JP2010183651A - 可変特性電動機 - Google Patents
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Abstract
【解決手段】高回転から低回転への移行で誘起電圧の抑制が不要になったとき、補助磁石列11,12を(a)の位置に上昇させる。このとき、エアギャップに平行な方向に起磁された補助磁束β1は磁気抵抗を低下させて磁気飽和を緩和する向きに切り替わり、補助磁束β2は界磁磁束αに対し順方向のものとなる向きに切り替わる。界磁磁束αに対し順方向の補助磁束β2は界磁磁束αを強めて電動機の出力を増大させる。よって低回転時は、磁気抵抗が小さく、効率の良い大きな出力で電動機を動作させることができ、電動機がレイアウト的に不利になることがない。
【選択図】図2
Description
この可変特性電動機は、高速回転時に顕著となる誘起電圧を低減させるため、高速回転時に磁路を磁性材プレートにより短絡させて上記の界磁磁束を低減させ、これにより、高回転時の誘起電圧を抑制し得るようにしたものである。
これにより上記従来のレイアウトに関する不利を解消し得るようになすことを目的とする。
電機子鉄心およびこれに巻き付けた電機子巻線より成る電機子と、界磁鉄心に極性の異なる永久磁石を交互に設けて成る界磁子とで構成され、該永久磁石が起磁させた、電機子および界磁子間のエアギャップに直角な方向の界磁磁束により駆動される電動機において、
前記界磁子は前記永久磁石を主磁石としてを具えるほか、前記エアギャップに平行な方向の補助磁束を発生する補助磁石を設け、
該補助磁石の極性を切り替えて補助磁束の向きを切り替えることにより、磁気抵抗を低下させて磁気飽和を緩和すると共に前記主磁石による界磁磁束を助勢したり、磁気抵抗を増大させて磁気飽和し易くすると共に前記主磁石による界磁磁束を減勢するよう構成したことを特徴とするものである。
高速駆動から低速駆動への移行で誘起電圧の抑制が不要となって、そのための特性変更用に補助磁石の極性切り替えを行うとき、
補助磁束の向きが、磁気抵抗を大きくして磁気飽和し易くすると共に主磁石による界磁磁束を減勢する高速駆動用(誘起電圧抑制用)の方向から、磁気抵抗を低下させて磁気飽和を緩和すると共に主磁石による界磁磁束を助勢する低速駆動用の方向へと切り替わる。
かかる界磁磁束の増大で電動機の出力を増大させ得て、電動機がレイアウト的に不利になることがなく、前記した従来の電動機が抱えていた問題を解消することができる。
<第1実施例の構成>
図1は、リニアモータまたは回転電機として構成可能な本発明の第1実施例になる可変特性電動機の斜視図で、図2,3はそれぞれ、図1の可変特性電動機の低回転時における状態および高回転時における状態を示す。
図1に示すように、本実施例の可変特性電動機を固定の電機子1および可動の界磁子2で構成する。
界磁子2は、二列1組の永久磁石列5,6を具え、これら永久磁石列5,6をそれぞれ図2(a)および図3(a)に示すごとく、N極の主磁石5a,6aとS極の主磁石5b,6bとの交互配列により構成する。
この交互配列に際しては、N極の主磁石5aとS極の主磁石6bとが相互に向かい合い、S極の主磁石5b とN極の主磁石6aとが相互に向かい合うよう配列する。
図2(b)および図3(b)に示すごとく、主磁石5a,5bの交互配列になる永久磁石列5は、コ字状電機子鉄心3の一方の脚部列に所定のエアギャップを持たせて対向配置し、界磁鉄心7に取着する。
また同じく図2(b)および図3(b)に示すように、主磁石6a,6bの交互配列になる永久磁石列6は、コ字状電機子鉄心3の他方の脚部列に所定のエアギャップを持たせて対向配置し、界磁鉄心8に取着する。
補助磁石列11は、図2(a)および図3(a)に示すごとく、N極の永久磁石11aとS極の永久磁石11bとの交互配列により構成する。
補助磁石列12も、同じく図2(a)および図3(a)に示すごとく、N極の永久磁石12aとS極の永久磁石12bとの交互配列により構成する。
この鉄心ロッド13は、補助磁石列11,12を伴い永久磁石列5,6間の隙間内で、永久磁石列5,6に対し相対的にストローク可能とし、
図2(a)に示す低回転用の第1位置と、図3(a)に示す高回転用の第2位置との間で位置切り替えされるものとする。
図3(a)に示す高回転用の第2位置では、N極の補助磁石11a,12aがS極の主磁石5b,6bに対向すると共に、S極の補助磁石11b,12bがN極の主磁石5a,6aに対向するものとする。
上記した第1実施例になる可変特性電動機の作用を以下に説明する。
本実施例においては、電機子1の巻線3への通電により永久磁石列5,6は、電機子1および界磁子2間に図2(b)、図3(b)に示すごとく、両者間のエアギャップに直角な方向の界磁磁束αを起磁させ、この界磁磁束αにより界磁子2が駆動される。
他方で低回転時は誘起電圧が大きくならないことから、この誘起電圧を低減させる必要がなくて、磁気抵抗の小さな特性で電動機を動作させるのが良い。
これにより補助磁石列11,12は、電機子1および界磁子2との共働により図2(b)に示すごとく、電機子1および界磁子2間のエアギャップに平行な矢印方向の補助磁束β1を起磁し、上記主磁石列5,6による界磁磁束αと同じ向きの補助磁束β2を発生させる。
以上により低回転時は、磁気抵抗が小さく、効率の良い大きな出力で電動機を動作させることができ、電動機がレイアウト的に不利になることがなく、前記した従来の電動機が抱えていた問題を解消することができる。
これにより補助磁石列11,12は、電機子1および界磁子2との共働により図3(b)に示すごとく、電機子1および界磁子2間のエアギャップに平行な矢印方向{図2(b)の場合とは逆向き}の補助磁束β3を起磁し、上記主磁石列5,6による界磁磁束αと逆向きの補助磁束β4を発生させる。
以上により高回転時は、磁気抵抗の大きな低出力特性で電動機を動作させることとなり、当該高回転時に大きくなる誘起電圧を抑制して、電動機の効率が低下するのを回避することができる。
ここで、上記した第1実施例における界磁子2の変形例について、図4,5を参照しつつ以下に詳述する。
図4の変形例では、補助磁石列を1個の補助磁石列14のみとし、これを鉄心ロッド15に設けたものである。
かかる変形例になる界磁子2によっても、上記した作用効果を同様に達成することができる。
なお図5では、界磁子2が補助磁石列11,12を有する場合について示した。
鉄心ロッド13に対する補助磁石列11,12の配置は、補助磁石列11,12が鉄心ロッド13から露出するよう鉄心ロッド13に対し取着する表面配置とする。
図6において、A1は、主磁石列5,6を同図の直下に図示するごとく界磁子鉄心7,8に表面配置し、補助磁石列11,12を設けなかった(低回転時と高回転時とで特性を可変にしなかった)場合における界磁磁束の大きさΨを示す。
鉄心ロッド13に対する補助磁石列11,12の配置は、補助磁石列11,12が鉄心ロッド13から露出するよう鉄心ロッド13に対し取着する表面配置とするのがよい。
図7は、本発明の第2実施例を示し、本実施例では補助磁石列11,12を、1個の主磁石5a,5b,6a,6bに対し長さが同じ3個の補助磁石が対峙する3極構造となす。
図7(b)に示す高回転用の第2位置では、2個のN極補助磁石11a(12a)が1個のS極主磁石5b(6b)に対向すると共に、2個のS極補助磁石11b(12b)が1個のN極主磁石5a(6a)に対向するものとする。
補助磁石列11,12の当該変位を生起させるための専用のアクチュエータが不要となり、コスト的に有利である。
図8は、本発明の第3実施例を示し、本実施例では補助磁石列11,12を、図7の第2実施例と同様な3極構造とするが、
3個の補助磁石11a,11b,12a,12bのうち、1個の補助磁石を他の2個の補助磁石よりも短くしたものである。
図8(b)に示す高回転用の第2位置では、2個のN極補助磁石11a(12a)が1個のS極主磁石5b(6b)に対向すると共に、2個のS極補助磁石11b(12b)が1個のN極主磁石5a(6a)と対向するようにするが、
上記2個のN極補助磁石11a,11a間におけるS極補助磁石11b、上記2個のS極補助磁石11b,11b間におけるN極補助磁石11a、上記2個のN極補助磁石12a,12a間におけるS極補助磁石12b、上記2個のS極補助磁石12b,12b間におけるN極補助磁石12aをそれぞれ、第2実施例よりも短くし、その分だけ他の補助磁石を同等に長くする。
図9は、本発明の第4実施例になる可変特性電動機を示し、本実施例においては、基本的に図1〜3の第1実施例と同様に構成するが、
界磁子2の主磁石列5,6間に設ける補助磁石列を、第1実施例のように永久磁石列11,12で構成する代わりに、電磁石31で構成する。
従って、電磁石31を変位させる必要がなく、これを主磁石列5,6に一体化させることができて、構成の簡易化を図ることができる。
かかる空心電磁石31によれば、図10(a)の低回転時と同図(b)の高回転時とで電磁石31に流れる電流の方向を逆転させることにより得られる上記の特性変更作用を一層確実なものとなし得る。
2 界磁子
3 電機子鉄心
4 電機子巻線
5,6 主磁石列
5a,6a N極永久磁石
5b,6b S極永久磁石
7,8 界磁鉄心
11,12 補助磁石列
11a,12a N極永久磁石
11b,12b S極永久磁石
13 鉄心ロッド
31 電磁石
32 空洞
Claims (4)
- 電機子鉄心およびこれに巻き付けた電機子巻線より成る電機子と、界磁鉄心に極性の異なる永久磁石を交互に設けて成る界磁子とで構成され、該永久磁石が起磁させた、電機子および界磁子間のエアギャップに直角な方向の界磁磁束により駆動される電動機において、
前記界磁子は前記永久磁石を主磁石としてを具えるほか、前記エアギャップに平行な方向の補助磁束を発生する補助磁石を設け、
該補助磁石の極性を切り替えて補助磁束の向きを切り替えることにより、磁気抵抗を低下させて磁気飽和を緩和すると共に前記主磁石による界磁磁束を助勢したり、磁気抵抗を増大させて磁気飽和し易くすると共に前記主磁石による界磁磁束を減勢するよう構成したことを特徴とする可変特性電動機。 - 請求項1に記載の可変特性電動機において、
前記界磁子上の主磁石を二列1組とし、前記補助磁石も極性の異なる永久磁石の交互配列になる二列1組の磁石列とし、これら補助磁石列を一体的に主磁石列間で変位させて前記極性の切り替えを行うことにより、前記界磁磁束の助勢状態または前記界磁磁束の減勢状態を得るよう構成したことを特徴とする可変特性電動機。 - 請求項2に記載の可変特性電動機において、
前記補助磁石列を、1個の主磁石に対し3個の補助磁石が対峙する3極構造となし、
前記電機子巻線への供給電流に、該3極構造に応じた励磁成分を重畳することにより、前記補助磁石列の変位を生起させるよう構成したことを特徴とする可変特性電動機。 - 請求項3に記載の可変特性電動機において、
前記3個の補助磁石のうち、1個の補助磁石を他の2個の補助磁石よりも短くしたことを特徴とする可変特性電動機。
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