JP2010182862A - 低誘電率絶縁体材料層の形成方法及び該方法で形成された層又はパターン - Google Patents

低誘電率絶縁体材料層の形成方法及び該方法で形成された層又はパターン Download PDF

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Abstract

【課題】 塗布法又は印刷法により有機電子素子を形成するために用いる低誘電率絶縁材料層を低温で形成する方法、該方法で形成された層又はパターン及び有機電子素子を提供する。
【解決手段】 (a)基材上又は該電子素子を構成する導電層乃至は半導体層上に、フルオロポリマー分散体からなる第一の絶縁層形成材料を塗布又は印刷する工程、(b)フルオロポリマー分散体の乾燥皮膜を形成する工程、(c)フルオロカーボン共重合体溶液からなる第二の絶縁層形成材料を前記乾燥皮膜上に塗布又は印刷する工程、(d)フルオロカーボン共重合体溶液の乾燥皮膜を形成する工程を有する低誘電率絶縁体材料層の形成方法。
【選択図】 なし

Description

本発明は、塗布法又は印刷法により有機電子素子を形成するために用いる低誘電率絶縁材料層を、低温で形成する方法及び該方法で形成された層又はパターン、該層又はパターンを有する有機電子素子に関する。
電子素子の製造に、部分的に、又全体として、印刷方式又は塗布方式が採用され始めてきている。特に印刷方式は、電子素子の各要素のパターン化において、低コスト、大量生産の可能性を有している。有機半導体材料を溶液化し、スクリーン印刷、インクジェット印刷のみならず、従来からの印刷方式を用いた、低コストの製造方法が紹介されている。
有機半導体素子は、電極等の導電層、ゲート絶縁膜、層間絶縁膜等の絶縁体層、及び半導体層と3種類の機能性材料から構成される。電子素子の製造に用いられる各機能性材料は、製造の方式に大きく依存する。シリコン半導体薄膜の場合、真空蒸着方式で、金や白金等の導電層が、又、二酸化珪素、窒化珪素等の絶縁層が設けられる。
印刷方式の場合は、導電性インキ、絶縁性インキを用いて、スピンコーティングや通常の印刷方式で、導電層、絶縁層が設けられる。
導電性材料、絶縁性材料の選択は、有機半導体材料との適合性に依存する。有機半導体材料によっては、導電性材料層及び絶縁体材料層を100℃以下の条件で形成する必要がある。
上記3種類の機能性材料の内、絶縁性材料、特に、層間絶縁層を形成する材料には、出来る限り低い誘電率が期待されている。従来からの形成方法は、化学蒸着法等で二酸化珪素の層を形成することが知られているが、近年、絶縁性材料として、二酸化珪素に変わるものが求められている。二酸化珪素を絶縁膜に使用した場合、素子内部での複数の層間絶縁膜は、RC時定数の増加による、信号伝播遅延と信号混信を起こさせる。絶縁層の低誘電率化の達成は、混信、RC遅延、雑音、電力損失の低下に貢献する。
低誘電率材料層の例として、ポリテトラフルオロエチレン材料を含有する有機電子素子(例えば、特許文献1参照)、テトラフルオロエチレン及びパーフルオロメチルビニルエーテル共重合体材料の電子素子への適用(例えば、特許文献2参照)が知られている。
更に、低誘電率材料として、フルオロポリマーの水性分散体からの形成方法が知られているが、そこでは、スピンコーティング方式で層を形成した後360℃の高温で焼結して形成されている(例えば、特許文献3参照:USP5889104)。又、層間絶縁膜材料の形成方法として、スピンコーティング後の高温焼結及び高温での化学蒸着方式を用いる形成方法が紹介されている(例えば、特許文献4参照:USP7029945)。
有機電子素子の製造に当たり、低誘電体層、特に層間絶縁膜の低温での形成方法が求められている。
特表2005−513788号公報 特開2004−068006号公報 米国特許5889104号公報 米国特許7029945号公報
本発明の課題は、塗布法又は印刷法により有機電子素子を形成するために用いる低誘電率絶縁材料層を、低温で形成する方法及び該方法で形成された層又はパターン、該層又はパターンを有する有機電子素子を提供することにある。
本発明者らは、フルオロポリマー分散体の乾燥皮膜とフルオロカーボン共重合体乾燥皮膜の積層体が上記の課題を解決することを見出し、本発明に至った。
すなわち、本発明は、有機電子素子に用いる、低誘電率絶縁体材料層を形成する方法であって、
(a)基材上又は該電子素子を構成する導電層乃至は半導体層上に、フルオロポリマー分散体からなる第一の絶縁層形成材料を塗布又は印刷する工程、
(b)フルオロポリマー分散体の乾燥皮膜を形成する工程、
(c)フルオロカーボン共重合体溶液からなる第二の絶縁層形成材料を前記フルオロカーボン分散体の乾燥皮膜上に塗布又は印刷する工程、
(d)フルオロカーボン共重合体溶液の乾燥皮膜を形成する工程とを有することを特徴とする低誘電率絶縁体材料層の形成方法を提供する。
特に、前記した、乾燥工程(b)及び(d)を、100℃以下で行う低誘電率絶縁体材料層の形成方法を提供する。
本発明の方法は、低誘電体層として、二酸化珪素に代え、フルオロポリマー分散体の乾燥皮膜、及び、フルオロカーボン共重合体乾燥皮膜を塗布法又は印刷法で形成せしめ、かつ、100℃以下の低温での膜形成が可能となる。有機電子素子の基材として、耐熱性の低いプラスチックフィルムの利用が図られ、フレキシブルな有機電子素子の設計が可能となる。
本発明は、有機電子素子に用いる、低誘電率絶縁体材料層を形成する方法であって、
(a)基材上又は該電子素子を構成する導電層乃至は半導体層上に、フルオロポリマー分散体からなる第一の絶縁層形成材料を塗布又は印刷する工程、
(b)フルオロポリマー分散体の乾燥皮膜を形成する工程、
(c)フルオロカーボン共重合体溶液からなる第二の絶縁層形成材料を前記フルオロカーボン分散体の乾燥皮膜上に塗布又は印刷する工程、
(d)フルオロカーボン共重合体溶液の乾燥皮膜を形成する工程とを有することを特徴とする低誘電率絶縁体材料層の形成方法を提供するものである。
本発明で、第一の絶縁層形成材料に用いるフルオロポリマーとは、ポリエチレンの水素が全てフッ素に置換されたテトラフルオロエチレンの単独重合体又は共重合体を意味する。分散媒体としては水を含有する水系の媒体が好ましく、水を5〜95質量%含むことが好ましい。第一の層の水系分散体中の不揮発分は、50〜60%程度がより好ましい。
第一の絶縁層形成材料を塗布又は印刷する工程は、電子素子の基材上に直接、又は、該電子素子を構成する導電層乃至は半導体層上に、フルオロポリマー分散体からなる第一の絶縁層形成材料の層を形成する工程である。塗布又は印刷工程は、スピンコーティング、スクリーン印刷、インクジェット印刷を始め、各種の塗布、印刷方式を採用することができる。
電子素子の基材上に直接、又は、該電子素子を構成する導電層乃至は半導体層上に、第一の絶縁層形成材料を塗布又は印刷した後、90〜100℃で、60分程度乾燥することで、水分が除去され、第一の絶縁層が多孔質の状態で形成される。
第一の絶縁層を形成する絶縁性材料の乾燥膜厚は、1〜4μm程度が好ましく、より好ましくは2〜4μm程度である。好ましく用いられるテトラフルオロエチレン単独重合体の粒子径が50〜250nm程度であるため、厚さとしては、1μm以上あることが好ましい。一方、膜厚が厚すぎると、第二の層を形成するためのフルオロカーボン共重合体溶液が第一の絶縁層の空孔に浸透しにくくなるため、4μm以下程度が好ましい。
第一の絶縁層形成材料に用いるフルオロポリマーの市販品の例としては、固形分濃度59〜61質量%の、ポリテトラフルオロエチレンの水分散体(PTFE D−110、PTFE D−210C:ダイキン工業社製)、固形分濃度48〜52質量%の、テトラフルオロエチレンとヘキサフルオロプロペンとの共重合体(D603:シャンドン社製)を挙げることができる。
本発明で、第二の絶縁層形成材料に用いるフルオロカーボン共重合体とは、フッ化ビニル単量体とアルキルビニルエーテル及至はアルキルビニルエステルとの共重合体を意味する。フッ化ビニル単量体は、全ての水素原子がフッ素原子で置換されているものでも、部分的に置換されているものでもよい。
フルオロカーボン共重合体としては、フルオロエチレン−アルキルビニルエーテル共重合体、フルオロエチレン−アルキルビニルエステル共重合体、フルオロエチレン−アルキルビニルエーテル−アルキルビニルエステル3元共重合体から選ばれる1種以上であることが好ましい。
前記したフルオロカーボン共重合体が有機溶剤に可溶で、且つ、架橋剤で架橋可能なフルオロカーボン共重合体であることが好ましい。例えば、イソシアネート化合物と反応する水酸基を有することが好ましい。
第二の絶縁層形成材料を塗布又は印刷する工程は、前記フルオロカーボン分散体の乾燥皮膜上に、フルオロカーボン共重合体溶液を架橋剤とともに塗布又は印刷する工程である。スピンコーティング、スクリーン印刷、インクジェット印刷を始め、各種の塗布、印刷方式を採用することができる。この過程で、フルオロカーボン共重合体溶液の一部が、多孔質のフルオロカーボン分散体の乾燥皮膜の空孔に浸透する。
第二の絶縁層を形成する絶縁性材料の塗布量は、第一の絶縁層の空孔への浸透も含め、第二の絶縁層塗布又は印刷後の第一及び第二の絶縁層の合計乾燥膜厚が、第一の絶縁層単独での厚さに1〜2μm加える程度となるように設定することが好ましい。第一の絶縁層が2〜4μm程度の場合、合計の膜厚は3〜6μm程度が好ましい。
市販品で利用可能な架橋剤としては、ディスモジュールN3390(HDIトリマー)、ディスモジュールZ4470(IPDIトリマー)、ディスモジュールN75(HDIビュレット型:何れもバイエル社製)等が挙げられる。フルオロカーボン共重合体と架橋剤の配合比率は、OH:NCOが、1:0〜1:1.1程度であり、好ましくは、OH:NCO=1:1である。
第二の絶縁層形成材料を塗布又は印刷した後、フルオロカーボン共重合体と架橋剤との架橋反応を促進するために、室温〜100℃、好ましくは、90〜100℃で、60分程度乾燥する。反応の促進のために、ジブチル錫ジラウレート等の触媒を用いても良い。
第二の絶縁層形成材料に用いるフルオロカーボン共重合体の市販品の例としては、水酸基価64の、テトラフルオロエチレンとアルキルビニルエーテルの共重合体(GK570:ダイキン工業社製)、水酸基価38の、クロロトリフルオロエチレンとアルキルビニルエーテルの共重合体(F400:ダリアンゼボンフルオロカーボン社製)、トリフルオロエチレンビニルエーテル(フルオネートK702:DIC社製)等が挙げられる。
第一の絶縁層形成材料としての、固形分濃度59〜61質量%のポリテトラフルオロエチレンの水分散体(PTFE D−210C:ダイキン工業社製)と、第二の絶縁層形成材料としての、水酸基価64の、テトラフルオロエチレンとアルキルビニルエーテルの共重合体(GK570:ダイキン工業社製)の組み合わせが特に好ましい。
本発明の、ベースコートとしての第一の絶縁層形成材料、及び、トップコートとしての第二の絶縁層形成材料は、それぞれ単独でも低誘電体材料として機能し得る。例えば、第一の絶縁層形成材料単独で、1.5〜1.8、第二の絶縁層形成材料単独で2.6〜3の比誘電率を得るが、第一の絶縁層のみでは機械的な強度が実用に供せず、また第二の絶縁層のみでは誘電率の低減が不十分である。本発明の低誘電率絶縁体材料層の形成方法は、第一の絶縁層形成材料の乾燥皮膜の空孔に、第二の絶縁層形成材料が浸透する構造を取る事で、機械的にも、電気的にも相応しい低誘電率絶縁体材料層を提供している。
第二の絶縁層形成材料を塗布又は印刷する工程は、スピンコーティング、スクリーン印刷、インクジェット印刷を始め、各種の塗布、印刷方式を採用することができるが、第一の絶縁層の空孔を有する乾燥皮膜の構造を破壊しないよう塗布圧又は印圧を調整することが好ましい。スピンコーティング、インクジェット印刷等、非接触の塗布、印刷方式がより好ましい。
基材としては、ガラス、Si基板、アルミニウムシートの他、ポリエチレンナフタレート(PEN)、ポリエーテルサルフォン(PES)、ポリカーボネート、ポリエチレンテレフタレート(PET)等のプラスチック基材が適用できる。
有機電子素子を形成する構成要素としての有機半導体材料としては、溶剤可溶性でウェットプロセスが可能な有機半導体を用いることが出来る。溶剤可溶性有機半導体として、例えば、P3HT(ポリ(3−へキシルチオフェン))、PQT−12(ポリ[5,5‘−ビス(3−dodecyl−2−チエニル1)−2,2’−ビチオフェン])等のポリチオフェン系高分子、PB10TTT,PB12TTT,PB14TTT,PB16PBTTT等のチオフェン−チエノチオフェン(PBTTT:ポリ(2,5−ビス(3−アルキルチオフェン−2-イル)チエノ[3,2−b]チオフェン))共重合体、可溶性のチオフェン系オリゴマー、F8T2等のフルオレン系高分子、フェニレンビニレン系高分子、トリアリールアミン系高分子、TIPSペンタセン及びこれら有機半導体の前駆体や混合体が好適に使用できる。上記の有機半導体の中でも、P3HT(ポリ(3−へキシルチオフェン))、PQT−12(ポリ[5,5‘−ビス(3−dodecyl−2−チエニル1)−2,2’−ビチオフェン])等のポリチオフェン系高分子、PB10TTT,PB12TTT,PB14TTT,PB16PBTTT等のチオフェン−チエノチオフェン(PBTTT:ポリ(2,5−ビス(3−アルキルチオフェン−2-イル)チエノ[3,2−b]チオフェン))共重合体、TIPSペンタセン等の単独又は2種類以上の混合体が好ましい。これらの有機半導体は、自己凝集性が高く、結晶構造を取ることによって優れたトランジスタ特性を発揮することが出来る。
本明細書に於いて、低誘電率絶縁体材料層の評価は、誘電率、体積抵抗率、膜物性について実施する。誘電率が2.5以下の低誘電率、体積抵抗率が1015Ωcm以上の高体積抵抗率を有する絶縁体材料層を合格とする。膜物性については、柔軟性の評価を実施する。半径10〜15mmでの湾曲試験を20回以上繰り返した前後で誘電率と体積抵抗率に実質的に変化の無い柔軟性を有する絶縁体材料層を合格とする。
(実施例1)
基材として、50μm厚のアルミニウムシート上に、第一の絶縁体材料として、PTFE-D110(ダイキン工業製:ポリテトラフルオロエチレン水分散体、NV60%、粒径ピーク50nm及び250nm)を、スピンコーター(1800rpm)にて、乾燥膜厚2.0μmとなるように塗布後、100℃で、60分間乾燥した。PTFE-D110の乾燥膜上に、第二の絶縁体材料として、GK570(ダイキン工業製:フルオロエチレンビニルエーテル、フッ素含有量35%の酢酸ブチル溶液)/ディスモジュールN3390BA/SN(バイエル製:HDIトリマー)の質量比6.3:1.0の混合物を、スピンコーター(1800rpm)にて、合計の乾燥膜厚3.8μmとなるように塗布後、100℃で、60分間乾燥した。以上の工程で、本発明の低誘電率絶縁体材料の積層体(1)を得た。
(実施例2)
基材として、50μm厚のアルミニウムシート上に、第一の絶縁体材料として、PTFE-D210C(ダイキン工業製:ポリテトラフルオロエチレン水分散体、NV60%、粒径ピーク230nm)を、スピンコーター(1800rpm)にて、乾燥膜厚2.2μmとなるように塗布後、100℃で、60分間乾燥した。PTFE-D210Cの乾燥膜上に、第二の絶縁体材料として、GK570(ダイキン工業製:フルオロエチレンビニルエーテル、フッ素含有量35%の酢酸ブチル溶液)/ディスモジュールN3390BA/SN(バイエル製:HDIトリマー)の質量比6.3:1.0の混合物を、スピンコーター(1800rpm)にて、合計の乾燥膜厚4.0μmとなるように塗布後、100℃で、60分間乾燥した。以上の工程で、本発明の低誘電率絶縁体材料の積層体(2)を得た。
(実施例3)
基材として、50μm厚のアルミニウムシート上に、第一の絶縁体材料として、PTFE-D210C(ダイキン工業製:ポリテトラフルオロエチレン水分散体、NV60%、粒径ピーク230nm)を、スピンコーター(1800rpm)にて、乾燥膜厚2.2μmとなるように塗布後、100℃で、60分間乾燥した。PTFE-D210Cの乾燥膜上に、第二の絶縁体材料として、GK570(ダイキン工業製:フルオロエチレンビニルエーテル、フッ素含有量35%の酢酸ブチル溶液)/ディスモジュールZ4470SN(バイエル社製:IPDIトリマー)の質量比10.0:2.6の混合物を、スピンコーター(1800rpm)にて、合計の乾燥膜厚4.5μmとなるように塗布後、100℃で、60分間乾燥した。以上の工程で、本発明の低誘電率絶縁体材料の積層体(3)を得た。
同様に、表1及び表2に示す構成で、各積層体(4)〜(10)を得た。各積層体について、以下に示す評価方法で、100Hz及び1MHzにおける比誘電率、体積抵抗率及び膜物性を測定及び評価した。
更に、表3に示す構成で、比較例1〜5を得た。各積層体について、以下に示す評価方法で、100Hz及び1MHzにおける比誘電率、体積抵抗率及び膜物性を測定及び評価した。
前述のように、アルミニウムシート上に設けられた絶縁体材料層表面に、イオンスパッタリング装置(E101:日立製)を用いて、真空下で、金−パラジウム電極を形成した。塗布フィルムの誘電率の値は、LCRメーター(HP4980A:ヒューレットパッカード社製)を用いて、16451B固定D端子に接続して、金属−絶縁体−金属構造の電気容量を測定することから算出した。測定は、100Hz及び1MHzについて、室温25℃、相対湿度50%の条件下で実施した。絶縁体層の厚さの測定は、CHY−2厚さゲージで実施した。
各積層体の体積抵抗値は、メグオームメーター(SM−8220:DKK−TOA社製)を用いて、SME−8311固定端子に接続し、室温25℃、相対湿度50%の条件下で測定した。結果を表1〜表3に示す。
各積層体の膜物性として、柔軟性について、以下の試験を実施した。柔軟性試験機を用い、各積層体を半径13mmで湾曲させることを20回繰り返した後、比誘電率、体積抵抗率を測定し、湾曲試験を実施していない積層体と比較した。以上の結果を表1〜表3に示す。
Figure 2010182862
前記した表1で、柔軟性の評価「○」は、前記した条件で、20回湾曲を繰り返した前後で比誘電率と体積抵抗率に実質的な変化が無いことを示している。
Figure 2010182862
前記した表2で、柔軟性の評価「○」は、前記した条件で、20回湾曲を繰り返した前後で比誘電率と体積抵抗率に実質的な変化が無いことを示している。
Figure 2010182862
前記した表3で、柔軟性の評価「○」は、前記した条件で、20回湾曲を繰り返した前後で比誘電率と体積抵抗率に実質的な変化が無いことを示している。「×」は、20回湾曲を繰り返した後、塗膜が破壊したため比誘電率の測定が不可であることを示している。尚、比較例1,2は多孔質膜を形成しており、柔軟性不可により、比較例3〜5は比誘電率が基準より高いことにより、体積抵抗率を測定していない。
本発明の低誘電率絶縁体材料層の形成方法は、低誘電率絶縁体材料として、二酸化珪素に代え、フルオロポリマー分散体の乾燥皮膜、及び、フルオロカーボン共重合体乾燥皮膜を塗布法又は印刷法で形成せしめ、かつ、100℃以下の低温での低誘電率絶縁体膜形成を可能としている。有機電子素子の基材として、耐熱性の低いプラスチックフィルムの利用が図られ、フレキシブルな有機電子素子の設計が可能となる。

Claims (12)

  1. 有機電子素子に用いる、低誘電率絶縁体材料層を形成する方法であって、
    (a)基材上又は該電子素子を構成する導電層乃至は半導体層上に、フルオロポリマー分散体からなる第一の絶縁層形成材料を塗布又は印刷する工程、
    (b)フルオロポリマー分散体の乾燥皮膜を形成する工程、
    (c)フルオロカーボン共重合体溶液からなる第二の絶縁層形成材料を前記フルオロカーボン分散体の乾燥皮膜上に塗布又は印刷する工程、
    (d)フルオロカーボン共重合体溶液の乾燥皮膜を形成する工程と、を有することを特徴とする低誘電率絶縁体材料層の形成方法。
  2. 前記した、乾燥工程(b)及び(d)を、100℃以下で行う請求項1に記載の低誘電率絶縁体材料層の形成方法。
  3. 前記した(c)工程で、フルオロカーボン共重合体溶液の一部がフルオロポリマーの乾燥皮膜の細孔に浸透するものである請求項1又は2に記載の低誘電率絶縁体材料層の形成方法。
  4. 前記したフルオロポリマー分散体がテトラフルオロエチレン単独重合体又は共重合体の分散体である請求項1〜3の何れかに記載の低誘電率絶縁体材料層の形成方法。
  5. 前記したフルオロポリマー分散体が水を含有する請求項1〜4の何れかに記載の低誘電率絶縁体材料層の形成方法。
  6. 前記したフルオロカーボン共重合体が、フルオロエチレン−アルキルビニルエーテル共重合体、フルオロエチレン−アルキルビニルエステル共重合体、フルオロエチレン−アルキルビニルエーテル−アルキルビニルエステル3元共重合体から選ばれる1種以上である請求項1〜5の何れかに記載の低誘電率絶縁体材料層の形成方法。
  7. 前記したフルオロカーボン共重合体が、水酸基を有する請求項1〜6の何れかに記載の低誘電率絶縁体材料層の形成方法。
  8. 前記したフルオロカーボン共重合体が有機溶剤に可溶で、且つ、架橋剤で架橋可能なフルオロカーボン共重合体である請求項1〜7の何れかに記載の低誘電率絶縁体材料層の形成方法。
  9. 前記した工程(a)〜(d)を複数回繰り返し、積層体を形成する請求項1〜8の何れかに記載の低誘電率絶縁体材料層の形成方法。
  10. 請求項1〜9の何れかに記載の方法により形成されることを特徴とする、有機電子素子に用いる低誘電率絶縁体材料の層又はパターン。
  11. 請求項1〜9の何れかに記載の方法により形成された、有機電子素子に用いる低誘電率絶縁体材料の層又はパターンであって、該層又はパターンの比誘電率が1.5〜2.5の範囲である請求項10に記載の有機電子素子に用いる低誘電率絶縁体材料の層又はパターン。
  12. 請求項10又は11に記載の低誘電率絶縁体材料の層又はパターンを有することを特徴とする有機電子素子。
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