JP2010182547A - 燃料電池用膜電極接合体 - Google Patents

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Abstract

【課題】低加湿条件あるいは高加湿条件で発電運転されるときであっても、膜電極接合体の全体として適度な含水状態を維持でき、燃料電池の発電性能を確保できる燃料電池用膜電極接合体を提供する。
【解決手段】膜電極接合体は、プロトン伝導性をもつ電解質膜2と、カソード触媒層3と、アノード触媒層4と、カソード拡散層5と、アノード拡散層6とを有する。電解質膜2は、導電性をもつ内部電極触媒層20と、内部電極触媒層20とカソード触媒層3との間に設けられ内部電極触媒層20とカソード触媒層3とを電気的に繋ぐ導電性をもつカソード側電解質膜21とを厚み方向に有する。カソード側電解質膜21は、EW値が相対的に大きな部位211、212と、EW値が相対的に小さな部位213とを厚み方向に備えている。
【選択図】図1

Description

本発明は、厚み方向における反応ガスの透過を抑制するガスリーク抑制型の燃料電池用膜電極接合体に関する。
特許文献1,特許文献2,特許文献3には、高分子材料で形成された電解質膜に内部に内部電極触媒層を設けると共に、内部電極触媒層とカソード触媒層とを、導電性をもつカソード側電解質膜で電気的に接続している燃料電池用膜電極接合体(以下、MEAともいう)が開示されている。この膜電極接合体は、ガスリーク抑制型である。このものによれば、電解質膜を厚み方向に透過する反応ガスを内部電極触媒層で酸化させることによって、対極へのクロスガスリークが抑制され、ひいてはガス混合を防止することによって電解質膜の劣化を防止できる。これにより膜電極接合体の耐久性を飛躍的に向上させることを可能とする。
上記したガスリーク抑制型の膜電極接合体は、プロトン伝導性をもつ電解質膜と、厚み方向において電解質膜の一方の表面に積層されたカソード触媒層と、厚み方向において電解質膜の他方の表面に積層されたアノード触媒層と、厚み方向においてカソード触媒層の外側に積層されたカソード拡散層と、厚み方向においてアノード触媒層に外側に積層されたアノード拡散層とを有する。
特開2005-285733号公報, 特開2007-184190号公報 特開2004-12790号公報
導電性電解質膜であるカソード側電解質膜の成膜に用いる多くのアイオノマーは、吸水性のスルホン酸基などの官能基を多く含んだポリマーであり、それをベースに作製した膜は吸水性が高い。しかし、反応ガスの加湿を低加湿とした低加湿条件において燃料電池が発電運転されると、カソード側電解質膜は水を逆に蒸散する膜となってしまい、通常のMEAよりも、電解質膜から水を奪う傾向が強くなり、この結果、燃料電池の性能を低下させてしまうおそれがある。この問題を解決するために、より低EWのアイオノマーを使用してカソード側電解質膜を成膜し、MEAにおける保水性を向上させる技術が試みられている。この場合、反応ガスが低加湿状態において燃料電池が発電運転されるときであっても、燃料電池の発電性能が確保される。
しかし、反応ガスの加湿量を増すと、低EW成分で形成されているカソード側電解質膜は、過剰の水を含み易くなる。このため触媒層のフラッディング現象(水による流路閉鎖)を誘発し、発電性能を阻害する要因にもなる可能性がある。
本発明は上記した実情に鑑みなされたものであり、その課題は、低加湿条件あるいは高加湿条件で燃料電池が発電運転されるときであっても、膜電極接合体の全体として適度な含水状態を維持でき、燃料電池の発電性能を確保できる燃料電池用膜電極接合体を提供するにある。
本発明に係る燃料電池用膜電極接合体は、(i)プロトン伝導性をもつ電解質膜と、厚み方向において前記電解質膜の一方の表面に積層されたカソード触媒層と、厚み方向において電解質膜の他方の表面に積層されたアノード触媒層と、厚み方向においてカソード触媒層の外側に積層されたカソード拡散層と、厚み方向においてアノード触媒層に外側に積層されたアノード拡散層とを有する膜電極接合体であって、
(ii)電解質膜は、導電性をもつ内部電極触媒層と、内部電極触媒層とカソード触媒層との間に設けられ内部電極触媒層とカソード触媒層とを電気的に繋ぐ導電性をもつカソード側電解質膜とを電解質膜の厚み方向に有しており、(iii)カソード側電解質膜は、EW値が相対的に大きな部位とEW値が相対的に小さな部位とをカソード側電解質膜の厚み方向に備えていることを特徴とする。
EW(Equivalent Weight)値は、イオン交換性の大小を表すパラメータであり、イオン交換容量の逆数である。EW値は、イオン交換容基1モルあたりのイオン交換樹脂乾燥重量を表す値である。電解質成分のEW値が小さければ、イオン交換基の含有モル数が大きくなって、電解質成分の保水性が相対的に高くなり、電解質成分のイオン伝導性が相対的に高くなる。電解質成分のEW値が大きければ、イオン交換基の含有モル数が小さくなって、電解質成分の保水性が相対的に低くなり、電解質成分のイオン伝導性が相対的に低くなる。
本発明によれば、電解質膜は、導電性をもつ内部電極触媒層と、内部電極触媒層とカソード触媒層との間に設けられ内部電極触媒層とカソード触媒層とを電気的に繋ぐ導電性をもつカソード側電解質膜とを電解質膜の厚み方向に有する。カソード側電解質膜は、EW値が相対的に大きな部位と、EW値が相対的に小さな部位とをカソード側電解質膜の厚み方向に備えている。
このため低加湿条件で燃料電池が発電運転されるときであっても、EW値が相対的に小さな部位、すなわち、保水性が相対的に高い部位により、カソード側電解質膜の全体の保水性が確保され、ひいては電解質膜の全体の保水性が確保され易くなる。あるいは、高加湿条件で燃料電池が発電運転されるときであっても、EW値が相対的に大きな部位、すなわち、保水性が低い部位により、カソード側電解質膜の全体における過剰な保水が抑制され、ひいては電解質膜の全体における過剰な保水が抑制される。従ってフラッディングの抑制に貢献できる。
本発明の一視点によれば、好ましくは、カソード側電解質膜では、電解質膜の厚み方向において、EW値が相対的に大きな部位は、カソード触媒層の側および内部電極触媒層の側に設けられており、且つ、EW値が相対的に小さな部位は、カソード側電解質膜の厚み方向の中間部に設けられている。この場合、EW値が相対的に小さく且つ保水性が相対的に高い部位は、カソード側電解質膜の厚み方向において、カソード触媒層および内部電極触媒層からできるだけ遠ざけることができる。この場合、カソード触媒層におけるフラッディングを抑制できる。内部電極触媒層に含まれている触媒が過剰に水で覆われることが抑制され、触媒の本来の機能を発揮させ易い。
本発明の一視点によれば、好ましくは、カソード側電解質膜は、カソード触媒層に対向すると共にEW値が相対的に大きい第1層と、内部電極触媒層に近い側に設けられEW値が相対的に大きい第2層と、第1層と第2層との間に介在するとともに第1層および第2層よりもEW値が小さい第3層とを、カソード側電解質膜の厚み方向において備えている。この場合、EW値が相対的に大きく保水性が相対的に低い第1層がカソード触媒層に対向している。このため、カソード触媒層におけるフラッディングが抑制され易い。
なお、カソード触媒層は発電反応により水を生成させるため、フラッディングが発生し易い傾向がある。また、EW値が相対的に大きく保水性が相対的に低い第2層が内部電極触媒層に対向しているため、内部電極触媒層における過剰な保水が抑制される。故に、内部電極触媒層に含まれている触媒が水で過剰に覆われることが抑制され、内部電極触媒層に含まれている触媒の機能(電解質膜を厚み方向に透過する反応ガスを酸化させる機能)が良好に維持される。
本発明の一視点によれば、好ましくは、内部電極触媒層とカソード側電解質膜との間には接合中間層が設けられており、接合中間層は、導電性およびプロトン伝導性を有すると共に内部電極触媒層とカソード側電解質膜との接合性を高めると共にカソード側電解質膜よりも薄い。内部電極触媒層とカソード側電解質膜との接合性を高められる。この結果、カソード側電解質膜と内部電極触媒層との境界面における接合強度および密着性を向上させることができる。ひいては、当該境界面におけるプロトン伝導性および電子の移動性が高められる。故に、MEAの発電性能の向上が可能となる。更に内部電極触媒層とカソード側電解質膜との界面におけるガス透過制御機能をより有効に機能させることが可能となる。故に、MEAの耐久性の向上が可能となる。
本発明によれば、低加湿条件で燃料電池が発電運転されるときであっても、EW値が相対的に小さな部位、すなわち、保水性が良好な部位により、カソード側電解質膜の全体の保水性が確保され、電解質膜の全体の保水性が確保され易くなる。あるいは、高加湿条件で燃料電池が発電運転されるときであっても、EW値が相対的に大きな部位、すなわち、保水性が低い部位により、カソード側電解質膜の全体の過剰な保水が抑制され、電解質膜の全体の過剰な保水が抑制され、フラッディングが抑制される。
上記したように本発明によれば、低加湿条件あるいは高加湿条件で燃料電池のMEAが発電運転されるときであっても、MEAの全体として適度な含水状態を維持でき、燃料電池のMEAの発電性能を確保できる。
実施形態1に係るMEAの断面図である。 実施形態2に係るMEAの断面図である。 実施形態3に係るMEAの断面図である。 実施形態4に係るMEAの断面図である。 カソード側電解質膜の製造過程を示す図である。 低加湿条件でMEAが発電運転するときにおける試験結果を示すグラフである。 高加湿条件でMEAが発電運転するときにおける試験結果を示すグラフである。
本発明によれば、好ましくは、導電性をもつカソード側電解質膜を、EW値の異なる複数のアイオノマーからなる層を厚み方向に積層して複層化させた構造とすることができる。あるいは、EW値をカソード側電解質膜の厚み方向に変化させた構造とすることができる。カソード側電解質膜を作製させるにあたり、例えば、次の方法が採用できる。すなわち、アイオノマー成分と導電性フィラーとを主要成分として含むスラリー等の流動物をアプリケータ等の手段で成形し、キャステイング膜としたものを積層し、ホットプレスして熱融着するか、あるいは、スプレー工法を利用してスラリー等の流動物を複数層に塗布し、カソード側電解質膜の全体のEW値をカソード側電解質膜の厚み方向に傾斜させることにより実施できる。
上記した導電性フィラーとしてはカーボンフィラーを例示できる。カーボンフィラーとしてはカーボン微粒子、カーボン繊維等が例示される。カーボン微粒子としてはカーボンブラック、黒鉛粉末、カーボンナノチューブ等が例示される。カーボン繊維の場合には、繊維長としては5〜50マイクロメートル、殊に10〜20マイクロメートルが挙げられ、繊維径としては50〜200ナノメートル、殊に100〜150ナノメートルが挙げられる。
(実施形態1)
以下、本発明の実施形態1について図1を参照しつつ説明する。本発明は実施形態1に限定されるものではない。本実施形態に係る燃料電池用の膜電極接合体1は、固体高分子型の燃料電池に使用されるものであり、図1に示されているように、プロトン伝導性(イオン伝導性)をもつ積層構造タイプの電解質膜2と、厚み方向において電解質膜2の一方の表面に積層されたカソード触媒層3と、厚み方向において電解質膜2の他方の表面に積層されたアノード触媒層4と、厚み方向においてカソード触媒層3の外側に積層されたカソード拡散層5と、厚み方向においてアノード触媒層4に外側に積層されたアノード拡散層6とを有する。カソード拡散層5およびカソード触媒層3とでカソード(酸化剤極)が形成される。アノード拡散層6およびアノード触媒層4とでアノード(燃料極)が形成される。なお、発電運転時においてアノードの電位はカソードの電位よりも低い。
図1に示すように、電解質膜2は積層構造をもち、(i)導電性をもつ内部電極触媒層20と、(ii)内部電極触媒層20とカソード触媒層3との間に設けられ且つ内部電極触媒層20とカソード触媒層3とを電気的に繋ぐカソード側電解質膜21と、(iii)内部電極触媒層20とアノード触媒層4との間に設けられアノード側電解質膜25と、(iv)内部電極触媒層20とカソード側電解質膜21との間に配置され内部電極触媒層20とカソード側電解質膜21との接合性を高める薄肉状の接合中間層26とを備えている。
内部電極触媒層20は、微粒子状の触媒(例えば白金,ルテニウム、パラジウム、ロジウムなどの触媒金属)を担持したカーボン微粒子(導電性微粒子)と、プロトン伝導性をもつ電解質膜成分とを主要成分として含んでおり、従って、導電性、プロトン伝導性、水素のプロトン化を促進させ得る触媒活性を有する。プロトン伝導性は、スルホン酸基等のイオン交換基により得られる。なお、内部電極触媒層20では、触媒を担持したカーボン微粒子が多量に含有されているものの電解質成分が少ないため、内部電極触媒層20とカソード側電解質膜21との接合性は必ずしも充分ではないと考えられる。
カソード側電解質膜21は、イオン交換基を有する電解質成分と導電性物質(カーボン微粒子、カーボン繊維などのカーボンフィラー)を有している。従ってカソード側電解質膜21は、プロトン伝導性および導電性を有しており、内部電極触媒層20とカソード触媒層3とを電気的に繋ぐ。これにより内部電極触媒層20の電位はカソード触媒層3の電位に近づき、高くなる。内部電極触媒層20の電位がアノードの電位よりも高くなれば、後述するように、電解質膜2を透過する水素ガスを内部電極触媒層20において酸化させてプロトン(H)化を促進させるのに有利となる。
図1に示されるように、カソード側電解質膜21は、カソード触媒層3に対向する第1層211と、内部電極触媒層20に近い側に設けられた第2層212と、第1層211と第2層212との間に介在する第3層213とを有する。従って、第1層212、第2層212および第3層213はそれぞれ、電解質成分と導電性物質(カーボン微粒子、カーボン繊維などのカーボンフィラー)を有しており、従ってプロトン伝導性および導電性を有する。
第1層211のEW値は第3層213のEW値よりも相対的に大きい。第2層212のEW値は第3層213のEW値よりも相対的に大きい。第3層213のEW値は、第1層212および第2層212のEW値よりも相対的に小さい。図1に示されるように、第1層211、第3層213および第2層212は、カソード触媒層3側から内部電極触媒層20に向けて、カソード側電解質膜21の厚み方向(矢印X方向)においてこの順に配置されている。
本実施形態によれば、第1層211のEW値>第3層213のEW値、第2層212のEW値>第3層213のEW値という条件を満足させつつ、第1層211のEW値は例えば700〜1000の範囲内であり、第2層212のEW値は例えば600〜1500の範囲内であり、第3層213のEW値は例えば500〜1000の範囲内である。EW値が第2層212よりも相対的に大きい第1層211は、過剰に保水性を有しておらず、カソード触媒層3に対面するように設けられている。このためカソード触媒層3側においてフラッディングが発生するときであっても、過剰なフラッディングが抑制される。
本実施形態によれば、第1層211の厚みをtf(f:first)とし、第2層212の厚みをts(s:second)とし、第3層213の厚みをtt(t:third)とすると、tf>tt,ts>ttの関係とされている。ただし、この関係に限定されるものではなく、tf≒tt,ts≒ttの関係、あるいは、tf=tt,ts=ttの関係としても良い。
アノード側電解質膜25はプロトン伝導性を有する電解質成分で形成されており、プロトン伝導性を有するものの、基本的には、触媒担持カーボン、導電性フィラーを含有していない。従ってアノード側電解質膜25は、基本的には、導電性および触媒活性を有していない。
本実施形態によれば、電解質成分として、炭化フッ素系または炭化水素系を用いることができる。炭化フッ素系として、例えば、イオン交換基としてスルホン酸基を有するパーフルオロスルホン酸樹脂を採用できる。
カソード触媒層3はカソード側の発電反応に寄与するものであり、プロトン伝導性をもつ電解質成分と、触媒と、カーボン微粒子(導電性物質)とを有しており、プロトン伝導性、触媒活性、導電性を有する。アノード触媒層4はアノード側の発電反応に寄与するものであり、プロトン伝導性をもつ電解質成分と、触媒と、カーボン微粒子(導電性物質)とを有しており、プロトン伝導性、触媒活性、導電性を有する。ここで、カソード触媒層3およびアノード触媒層4において、触媒およびカーボン微粒子は、触媒を担持するカーボン微粒子で形成されている。例えば、触媒担持カーボンが例示される。触媒担持カーボンは触媒を担持したカーボンである。
アノード拡散層6は多孔性および導電性を有しており、導電繊維として機能するカーボン繊維の集積体で形成されている。カソード拡散層5は多孔性および導電性を有しており、導電繊維として機能するカーボン繊維の集積体で形成されている。
さて、使用時には、アノード流体としてのアノードガス(例えば水素を含むガス)がアノード拡散層6に供給される。アノードガスはアノード触媒層4に至り、アノードの発電反応(H→2H+2e)を発生させる。カソード流体としてのカソードガス(例えば酸素を含むガス)がカソード拡散層5に供給される。カソードガスはカソード触媒層3に至り、カソードの発電反応(2H+1/2O+2e→HO)を発生させる。ここで、アノードの電位は基本的には水素の平衡電極電位(0ボルト)に相当するため低い。カソードの電位は基本的に酸素の平衡電極電位と考えられるため、基本的にはアノードの電位よりも高い。
ところで、燃料電池の発電運転時において、アノードガスに含まれている水素ガスが電解質膜2を厚み方向に透過してカソード側に移動するおそれがある。この点について本実施形態によれば、内部電極触媒層20がカソード側電解質膜21を介してカソード触媒層3に電気的に繋がれていない場合に比較して、内部電極触媒層20はカソード側電解質膜21を介してカソード触媒層3に電気的に繋がれている。このため、内部電極触媒層20の電位はアノードの電位よりも高くなり、カソードの電位に近づく。ここで、内部電極触媒層20の電位が高いので、電解質膜2を厚み方向に透過する反応ガスの酸化反応を内部電極触媒層20は促進させる働きをする。
従って、万一、アノードガスに含まれている水素ガスが電解質膜2を厚み方向に透過してカソード側に移行するときであっても、内部電極触媒層20において水素ガスの酸化反応を促進させてプロトン(H)とし、プロトンとしてカソード側に透過させることができる。内部電極触媒層20は触媒を含むため、内部電極触媒層20において水素ガスを酸化させてプロトン化を図ることができる。これによりカソードである対極へ水素ガスがクロスガスリークすることが抑制される。ひいては水素ガスと酸素ガスとのガス混合を抑制することができる。これによってミクロ的な燃焼が抑制され、高分子材料を基材とする電解質膜2の劣化が抑制され、MEAの耐久性を飛躍的に向上させることができる。
本実施形態によれば、カソード側電解質膜21は、EW値が相対的に大きく且つ保水性が相対的に低い第1層211および第2層212と、EW値が相対的に小さく且つ保水性が相対的に高い第3層213とを、カソード側電解質膜21の厚み方向(矢印X方向)に備えている。このため低加湿条件で燃料電池が発電運転されるときであっても、EW値が相対的に小さく且つ保水性が相対的に高い第2層212(保水性が良好な部位)により、カソード側電解質膜21の全体における保水性が確保される。よって電解質膜2の全体における保水性が確保され易くなる。あるいは、高加湿条件で燃料電池が発電運転されるときであっても、EW値が相対的に大きく且つ保水性が相対的に低い第1層211および第2層212(保水性が相対的に低い部位に相当)により、カソード側電解質膜21の全体の過剰な保水が抑制される。ひいては、電解質膜2の全体の過剰な保水が抑制され、フラッディングが抑制される。
特に、カソード触媒層3は発電反応により水を生成させるため、本来的には、フラッディングを発生させるおそれがある。殊に、高加湿条件で燃料電池が発電運転されるとき、あるいは、高負荷で燃料電池が発電運転されるときには、カソード触媒層3はフラッディングを発生させ易い。このようにフラッディングを発生させ易いカソード触媒層3に、EW値が相対的に大きく且つ保水性が相対的に低い第1層211が直接的に対向している。換言すると、EW値が相対的に小さく保水性が相対的に高い第2層212は、カソード触媒層3から厚み方向(矢印X方向)において遠ざけられている。このためフラッディングを発生させ易いカソード触媒層3におけるフラッディングの抑制に貢献できる。この場合、フラッディングに起因する発電性能の低下が抑制される。
また、内部電極触媒層20において水が過剰に存在すると、内部電極触媒層20に含まれている触媒が水で過剰に覆われて、透過ガスが触媒に接触する頻度が低下する。このため、内部電極触媒層20の本来の機能を低下させるおそれがある。この点について本実施形態によれば、EW値が相対的に大きく且つ保水性が相対的に低い第3層213が、内部電極触媒層20に対向している。換言すると、EW値が相対的に小さく保水性が相対的に高い第2層212は、内部電極触媒層20から厚み方向(矢印X方向において)に遠ざけられている。これにより内部電極触媒層20において水が過剰に存在することが抑制されている。従って、内部電極触媒層20の触媒性能が良好に発揮される。
なお本実施形態によれば、図1に示されているように、カソード側電解質膜21と内部電極触媒層20との間には、カソード側電解質膜21および内部電極触媒層20よりも薄肉状の接合中間層26が介在している。電解質成分および導電フィラーを主要成分として含む接合中間層26により、カソード側電解質膜21の第2層212と内部電極触媒層20とを良好に密着接合させることができる。ここで、接合中間層26は、スルホン酸基等のイオン交換基を備える電解質成分と、カーボンフィラー(例えばカーボン微粒子、カーボン繊維)等の導電物質とを有しており、従って、プロトン伝導性、導電性、保水性および通水性を有する。接合中間層26は、細孔を有する多孔質性を備えている。その理由としては、接合中間層26により内部電極触媒層20とカソード側電解質膜21との接合性を高めるためであると共に、接合中間層26における通水性および保水性を更に高め得るためである。ここで、接合中間層26の厚みが過剰であると、電解質膜2の全体の厚肉化を招き、好ましくない。従って、接合性向上を主機能とする接合中間層26の厚みは、内部電極触媒層20の厚み、カソード側電解質膜21の厚み、アノード側電解質膜25の厚みよりも薄い。
接合中間層26は、例えば次のように形成できる。すなわち、カソード側電解質膜21のうち内部電極触媒層20に対向する側の表面にスラリー(流動物)をスプレー塗布またはスクリーン印刷することにより生成できる。この場合、スラリーを構成する粒子が細孔を形成しつつ堆積するため、多孔質性を発現させ易い。このスラリーは、プロトン伝導性をもつ電解質成分(例えばパーフルオロスルホン酸樹脂)と、導電性をもつ導電性物質(例えばカーボンブラックなどのカーボン微粒子やカーボン繊維等のカーボンフィラー)とを含む。この場合、カソード側電解質膜21を加熱させつつ、均一な厚みを有する膜状にスラリーをスプレー塗布またはスクリーン印刷することが好ましい。スラリーに含まれている溶媒を蒸散させて多孔質化を促進し易いためである。なお、接合中間層26を形成するスラリーは、カソード側電解質膜21の第2層212を形成するスラリーと同一の組成を採用しても良いし、異なる組成のスラリーを採用しても良い。
上記したような本実施形態によれば、カソード側電解質膜21と内部電極触媒層20との境界面における接合強度、密着性を、接合中間層26により向上させることができる。ひいては、当該境界面におけるプロトン伝導性および電子の移動性が高められる。故に、本実施形態に係るMEAの発電性能の向上、および内部電極触媒層20とカソード側電解質膜21との界面におけるガス透過制御機能をより有効に機能させることが可能となる。故に、膜電極接合体1の高耐久化を同時に図ることが可能となる。
(実施形態2)
図2は実施形態2を示す。本実施形態は実施形態1と基本的には同様の構成、同様の作用効果を有する。以下、異なる部分を中心として説明する。本実施形態によれば、カソード側電解質膜21と内部電極触媒層20との境界面における接合強度および密着性を高める接合中間層が設けられていない。カソード側電解質膜21の第2層212(高EWのため、保水性が相対的に低い部位)と内部電極触媒層20とが直接的に積層されている。本実施例においても、内部電極触媒層20における触媒が水で覆われることが抑制され、内部電極触媒層20における触媒活性が良好に確保される。故に、内部電極触媒層20の機能が良好に発揮される。従って、カソードからアノードに向けて透過する水素ガスを内部電極触媒層20において酸化させてプロトン化させるのに貢献できる。
(実施形態3)
図3は実施形態3を示す。本実施形態は実施形態1と基本的には同様の構成、同様の作用効果を有する。以下、異なる部分を中心として説明する。本実施形態によれば、カソード側電解質膜21は、カソード触媒層3に対向する第1層211と、内部電極触媒層20に近い側に設けられた第2層212と、第1層211と第2層212との間に介在する第3層213とを有する。ここで、第1層211のEW値は第3層213のEW値よりも相対的に大きい。第2層212のEW値は第3層213のEW値よりも相対的に大きい。第3層213のEW値は第層212および第2層212のEW値よりも小さい。図3に示されるように、第1層211、第3層213および第2層212は、カソード触媒層3側から内部電極触媒層20に向けて、カソード側電解質膜21の厚み方向においてこの順に配置されている。保水性に優れる第3層213の厚みttは、第1層211の厚みtfおよび第2層212の厚みtsよりも厚くされている。従って、かなりの低加湿の条件であっても、電解質膜2の全体の保水性が確保される。ひいては燃料電池が発電運転されるときに適する。
(実施形態4)
図4は実施形態4を示す。本実施形態は実施形態1と基本的には同様の構成、同様の作用効果を有する。以下、異なる部分を中心として説明する。本実施形態によれば、カソード側電解質膜21は二層構造をもち、カソード触媒層3に対向する第1層211と、内部電極触媒層20に近い側に設けられた第2層212とを有する。第1層211のEW値は、第2層212のEW値よりも相対的に大きい、。故に、カソード触媒層3に対向する第1層211の保水性は、第2層212の保水性よりも相対的に少ない。従って、高加湿条件で燃料電池が発電運転されるときであっても、カソード触媒層3におけるフラッディングを抑制させるのに有利である。
まず、内部電極触媒層20の形成手順について説明する。すなわち、フッ素系の電解質膜溶液(EW値1100)と白金担持カーボン(田中貴金属製、白金担持比70%)を、電解質成分:白金担持カーボンの質量比が1:2となるように、超音波ホモジナイザー(攪拌器)で均一に分散して調製し、内部電極触媒層20用の触媒ペーストを形成した。白金担持カーボンは、白金を担持したカーボン(カーボンブラック)である。その触媒ペーストをエタノール(溶媒)で希釈した。その希釈させた触媒ペースト(流動物)を市販のフッ素系電解質膜(15μm厚,アノード側電解質膜25に相当)の上に、スプレーガン(GSIクレオス製)を用いてスプレー塗布した後、風乾し、さらに、約80℃の乾燥炉で約1時間乾燥した。これにより図5の(1)(2)のステップに示されるように、内部電極触媒層20とアノード側電解質膜25とが積層した積層体120が作製された。内部電極触媒層20におけるPt量は0.1mg/cmとした。但し、これに限定されるものではない。
また、アノード触媒層4およびカソード触媒層3を形成する手順について説明する。すなわち、フッ素系の電解質膜溶液(同上)の溶質成分(固形分):白金担持カーボンを、0.75:1(質量比)で調製した触媒ペーストを、ETFE(約100μm)製のシート122上にアプリケータで塗布した。これにより図5の(3)のステップに示されているように、触媒転写シート124を作製した。触媒転写シート124は、アノード触媒層4およびカソード触媒層3を形成する。アノード触媒層4およびカソード触媒層3において、触媒担持量はいずれも約0.5mg/cmとした。ただしこれに限定されるものではない。
次に、本実施例を特徴づけるカソード側電解質膜21を形成する手順について説明する。すなわち、フッ素系の電解質膜溶液(EW値:1100)と導電性をもつカーボンフィラー(カーボン繊維,昭和電工製 VGCF)とを、電解質成分:カーボンの質量比で10:1となるように、超音波ホモジナイザー(攪拌機)で均一に分散し、導電性およびプロトン伝導性をもつ電解質ペーストを調整した。小型スプレーガンを用い、その電解質ペーストをPTFE製のシート126上にスプレー塗布し、風乾した。これによりEW値が高いアイオノマーで形成された導電性電解質膜(第1層211,第2層212に相当)を有する転写シート1を2枚作成した(図5の(4)のステップ)。一方の転写シート1の導電性電解質膜は、第1層211を構成する。他方の転写シート1の導電性電解質膜は、第2層212を構成する。この場合、乾燥後の転写シート1の導電性電解質膜(高EW)の厚みは約3μmとした。ここで、転写シート1の導電性電解質膜(高EWの第1層211および第2層212に相当)のガラス転移温度は、約180℃である。
次に、EW値が低いフッ素系の電解質膜溶液(EW値:720)を用い、同様な操作により(配合組成比は前述と同じ)導電性電解質ペーストを調整した。その後、この低EWの導電性電解質ペーストをPTFE製のシート128上にスプレー塗布し、風乾した。これによりEW値が低いアイオノマーで形成された導電性電解質膜(第3層213に相当)を有する転写シート2を成形した(図5の(5)のステップ)。乾燥後における転写シート2の導電性電解質膜(低EW)の厚みは約2μmとした。
図5の(6)のステップ)に示されるように、EW値が低い導電性電解質膜を有する転写シート2に、保護用のPTFEシート130を載せ、約180℃の高温でホットプレス機により厚み方向に加圧加熱し(ホットプレス温度:180℃)、電解質成分をポリマー化させた。これによりEW値が低い導電性電解質膜(第3層213に相当)を有する転写シート2を作製した。ここで、転写シート2の導電性電解質膜(第3層213に相当)のガラス転移温度は、約200℃である。上記したホットプレス温度180℃は、転写シート2の導電性電解質膜(低EWの第3層213に相当)のガラス転移開始温度に相当する。
その後、EW値が低い導電性電解質膜をもつ転写シート2からPTFEのシート128,130を剥離させた。そして、EW値が高い導電性電解質膜(第1層211に相当)をもつ転写シート1と、EW値が高い導電性電解質膜(第2層212に相当)をもつ転写シート1との間に、EW値が低い導電性電解質膜(第3層213に相当)をもつ転写シート2を挟み込み、積層体を形成した。この積層体をホットプレス機で140℃×1minで厚み方向に加熱加圧した。これによりシート1とシート2を加熱加圧により積層体化した。これにより本実施例に係るカソード側電解質膜21(厚み約7μm)を作成した。このようにしてEW値を厚み方向に変化させた積層構造をもつ本実施例に係るカソード側電解質膜21(厚み約7μm)が形成された(図5の(7)のステップ)。
比較例1として、EW値が低いフッ素系の電解質膜溶液(EW値:720)のみを用い、導電性カーボン繊維(昭和電工製VGCF)を電解質成分:カーボンの質量比で10:1となるように、超音波ホモジナイザーで均一に分散することにより、比較例1に係る導電性電解質ペーストを形成した。この比較例1に係るペーストをPTFE上にスプレー成形、乾燥した後、同様に約180℃で加熱し、比較例1に係るカソード側電解質膜(厚み約7μm)を作成した。
比較例2として、EW値が高いフッ素系の電解質膜溶液(EW値:1100)のみを用い、導電性カーボン繊維(昭和電工製VGCF)を電解質成分:カーボンの質量比で10:1となるように、超音波ホモジナイザーで均一に分散することにより、比較例2に係る導電性電解質ペーストを形成した。この比較例2に係るペーストをPTFE上にスプレー成形、乾燥した後、同様に約180℃で加熱し、比較例2に係るカソード側電解質膜(厚み約7μm)を作成した。
以上の部材を用い、以下の各実験を行った。
〔各MEAの作製〕
内部電極触媒層20とアノード側電解質膜25とで形成されている積層体120の上に、本実施例に係るカソード側電解質膜21を配置して第1積層体を形成した。この第1積層体を厚み方向にホットプレスで熱転写(140℃×1min)することにより、積層構造をもつ本実施例に係る電解質膜2を接合した。電解質膜2の厚み方向の両面に、触媒転写シートを配置した第2積層体を形成し、第2積層体を厚み方向にホットプレス(140℃×3min.)により、本実施例に係るMEA1を作製した。
次に、比較例1に係るカソード側電解質膜(低EW)を用い、同様の工法、部材により、比較例1に係るMEAを作製した。比較例2に係るカソード側電解質膜(高EW)を用い、同様の工法、部材により、比較例2に係るMEAを作製した。なお、カソード拡散層5およびアノード拡散層6は、いずれも独自の撥水化処理を施したカーボンペーパー(東レ社製,約180μm)を基材として調製したものを用いた。
〔試験例1〕
試験例1を次のように実施した。すなわち、MEAの構成要素であるカソード側電解質膜21を試験片として用いた。そしてカソード側電解質膜21を導電性カーボン電極の間に一定荷重で挟んだ。その状態でカソード側電解質膜21に厚み方向に5アンペアの直流電流を通電したときにおける電圧測定に基づいて、カソード側電解質膜21の厚み方向における比抵抗を測定した。また、厚み約5μmの白金箔の端子電極治具で電解質膜2を支持し、交流測定により、カソード側電解質膜21のプロトン導電率を測定した。比較例に係るカソード側電解質膜についても同様に測定した。
〔試験例2〕
実施例に係るMEA1を小型金属セパレータ(電極面白金めっき)で締結し、評価単セルとした。そしてセル温度を80℃とし、アノードガスの加湿バブラーの温度を60℃とし、カソードガスの加湿バブラーの温度を50℃とした。そしてアノードガスとして2気圧の水素ガスを、カソードガスとして空気を、ガス利用率70%および40%で流した。このようにアノードガスおよびカソードガスを低加湿条件(相対湿度50%)とした状態で、燃料電池の発電性能を測定した。比較例に係るMEAについても同様に試験した。
〔試験例3〕
実施例に係るMEA1を小型金属セパレータ(電極面白金めっき)で締結し、評価単セルとした。そしてセル温度を80℃とし、アノードガスの加湿バブラーの温度を80℃とし、カソードガスの加湿バブラーの温度を80℃とした。そして、アノードガスとして2気圧の水素ガスを、カソードガスとして空気を、ガス利用率70%および40%で流し、高加湿(相対湿度100%)条件下でのMEAの発電性能を測定した。
〔試験結果〕
試験例1の結果を表1に示す。実施例に係るカソード側電解質膜21と、比較例1,2に係るカソード側電解質膜とを比較すると、表1に示されているように、実施例は比較例1,2の中間の比抵抗を示した。また、プロトン導電率についても、本実施例は僅かに低めなものの、比較例1(低EWで保水性が高い)とほぼ同等の値を示した。
Figure 2010182547
図6は、反応ガスを低加湿の条件とした状態におけるMEAの発電性能の評価を示す。図6に示すように、実施例に係るMEAは、比較例1に係るMEA(低EWで保水性が高い)に対して、ドライアップの傾向を示すことなく、ほぼ等しい発電性能を示していることが確認できた。但し、比較例2では、カソード側電解質膜のEW値が高く、保水性が低いため、低加湿条件においてはセル電圧は低かった。
図7は、反応ガスを高加湿(相対湿度100%)の条件とした状態におけるMEAの発電性能を評価を示す。図7から理解できるように、比較例1に係るMEA((低EWで保水性が高い)では、電流密度が0.9A/cmを越える高負荷域において、出力電圧が不安定となり、セル電圧がかなり低下し、発電性能が低下した。これに対して本実施例に係るMEAでは、電流密度が0.9A/cmを越える高負荷域においても、安定したセル電圧が得られており、良好な発電運転性を示した。
このように本実施例によれば、低加湿条件でMEAが発電運転されるときであっても、あるいは、高加湿条件でMEAが発電運転されるときであっても、MEAの全体として適度な含水状態を維持でき、燃料電池のMEAの発電性能を確保できる。
これらの結果は次のように考えられる。すなわち、本実施例に係るカソード側電解質膜21を用いたMEA1では、低加湿条件の運転において、カソード側電解質膜の一部である低EWアイオノマーで形成されている第2層212により電解質膜2の全体の保水性が確保される。従って、低加湿条件においても電解質膜2の含水量を確保することができ、これにより高い発電性能を維持できたものと考えられる。また本実施例に係るMEA1では、高加湿条件においても、低EW値のアイオノマー成分と高EWアイオノマー成分とが第1層211、第2層212、第3層213として適度に積層されており、カソード側電解質膜21が形成されているため、カソード側電解質膜21が低EW値の電解質成分だけで構成されている場合に比較して、過剰な含水が抑制され、フラッディング現象が抑制され、良好な発電性能、安定性を示したものと考えられる。
本発明は車両用、定置用、電気機器用、電子機器用などの燃料電池システムに利用できる。
(その他)
本発明は上記し且つ図面に示した実施形態のみに限定されるものではなく、要旨を逸脱しない範囲内で適宜変更して実施できる。具体的に数値は上記した実施例に限定されるものではなく、適宜変更できるものである。
本発明は燃料電池システムに使用されるMEAに適用できる。燃料電池は例えば車両用、産業用、電子機器用、電気機器用が挙げられる。
1は膜電極接合体、2は電解質膜、20は内部電極触媒層、21はカソード側電解質膜、211は第1層(EW値が相対的に大きな部位)、212は第2層(EW値が相対的に小さな部位)、213は第3層(EW値が相対的に大きな部位)、25はアノード側電解質膜、26は接合中間層、3はカソード触媒層、4はアノード触媒層、5はカソード拡散層、6はアノード拡散層を示す。

Claims (4)

  1. プロトン伝導性をもつ電解質膜と、厚み方向において前記電解質膜の一方の表面に積層されたカソード触媒層と、厚み方向において前記電解質膜の他方の表面に積層されたアノード触媒層と、厚み方向において前記カソード触媒層の外側に積層されたカソード拡散層と、厚み方向において前記アノード触媒層に外側に積層されたアノード拡散層とを有する膜電極接合体であって、
    前記電解質膜は、導電性をもつ内部電極触媒層と、前記内部電極触媒層と前記カソード触媒層との間に設けられ前記内部電極触媒層と前記カソード触媒層とを電気的に繋ぐ導電性をもつカソード側電解質膜とを前記電解質膜の厚み方向に有しており、
    前記カソード側電解質膜は、EW値が相対的に大きな部位とEW値が相対的に小さな部位とを前記カソード側電解質膜の厚み方向に備えていることを特徴とする燃料電池用膜電極接合体。
  2. 請求項1において、前記カソード側電解質膜では、前記電解質膜の厚み方向において、EW値が相対的に大きな部位は、カソード触媒層の側および内部電極触媒層の側に設けられており、且つ、
    EW値が相対的に小さな部位は、前記カソード側電解質膜の厚み方向の中間部に設けられていることを特徴とする燃料電池用膜電極接合体。
  3. 請求項1または2において、前記カソード側電解質膜は、前記カソード触媒層に対向すると共にEW値が相対的に大きい第1層と、前記内部電極触媒層に近い側に設けられEW値が相対的に大きい第2層と、前記第1層と前記第2層との間に介在するとともに前記第1層および前記第2層よりもEW値が相対的に小さい第3層とを前記カソード側電解質膜の厚み方向において備えていることを特徴とする燃料電池用膜電極接合体。
  4. 請求項1〜3のうちの一項において、前記内部電極触媒層と前記カソード側電解質膜との間には接合中間層が設けられており、前記接合中間層は、導電性およびプロトン伝導性を有すると共に前記内部電極触媒層と前記カソード側電解質膜との接合性を高めると共に前記カソード側電解質膜よりも薄いことを特徴とする燃料電池用膜電極接合体。
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