JP2010181622A - 電子写真用塗被紙 - Google Patents

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Abstract

【課題】電子写真方式の画像形成装置における熱定着時の臭気を低減する電子写真用塗被紙を提供する。
【解決手段】パルプ繊維を含む原紙と前記原紙の少なくとも片面に設けられた顔料および接着剤を含む塗被層とを有し、ヘッドスペース法で検出される物質の中で、臭気閾値を超える物質が2種類以内であり、かつ、発生濃度の高い物質から順に20種類について、それぞれの物質の臭気閾値で発生濃度を割った値の総和が12以下である電子写真用塗被紙である。
【選択図】なし

Description

本発明は電子写真用塗被紙に関する。
レーザープリンタや複写機といった電子写真方式の画像形成装置はいまやほとんどのオフィスに浸透している。オフィスは多くの人々が一日の大半をすごす生活の場であり、そのような場所に設置される性格上、プリンタ、複写機等は騒音、臭気、熱といった人に不快感を与えるものの排出を低減するように努力されてきた。
特に、臭気に関しては、電子写真方式では用紙上に転写されたトナー像を熱定着するため、その際に放散されるトナー、用紙、定着部材などに含まれる低分子物質が臭いの一因となる場合があった。
この熱定着時の低分子物質の放散を低減するためにさまざまな検討がなされてきた。例えば、ケミカルトナー製造時の連鎖移動剤の種類を特定することでトナーからの悪臭成分を低減する方法(例えば、特許文献1参照)や、トナーの製造工程や梱包時に消臭剤を添加する方法、トナーの粒子径を規定し、トナー内の未反応モノマ量を低減する方法など、トナーの由来の臭気を低減する方法が多数提案されてきている。また、用紙に消臭剤を含有するマイクロカプセルを保持させて、トナーを熱定着する際に消臭成分を揮発させる方法(例えば、特許文献2参照)もある。また、特に表面に塗被層を設けたコート紙については、塗被層に使用するラテックス内のスチレンダイマ、スチレントリマの残留分を低減する方法(例えば、特許文献3参照)や、ラテックス製造時に連鎖移動剤に起因する悪臭成分を除去する成分を添加する方法(例えば、特許文献4参照)が提案されている。
特開2002−40711号公報 特開2002−268260号公報 特開2007−204513号公報 特開平7−216018号公報
本発明は、電子写真方式の画像形成装置における熱定着時の臭気を低減する電子写真用塗被紙である。
請求項1に記載の発明は、パルプ繊維を含む原紙と前記原紙の少なくとも片面に設けられた顔料および接着剤を含む塗被層とを有し、ヘッドスペース法で検出される物質の中で、臭気閾値を超える物質が2種類以内であり、かつ、発生濃度の高い物質から順に20種類について、それぞれの物質の臭気閾値で発生濃度を割った値の総和が12以下である電子写真用塗被紙である。
本発明でいう、「ヘッドスペース法」とは、1cm×1cmの大きさの電子写真用塗被紙のサンプルを20mL容量のバイアルに密封し、120℃に設定されたTurboMatrix40(PerkinElmer社製)で3分間加熱し、前記バイアル内の空間に抽出されたガスを、インジェクションタイム0.15分にてガスクロマトグラフ・質量分析計GC2010(島津製作所製)に投入し、カラムとしてRTX−1(Restek製、φ0.25mm×15m)を用い、最初に40℃で3分間保持した後に、10℃/分で250℃まで昇温させ、その後250℃で6分間保持し、物質を検出する方法である。
また、「発生濃度」とは、前記ガスクロマトグラフ・質量分析計GC2010においてピーク閾値を0とした以外は自動波形処理を行い、予め測定しておいたスチレンとn−デカンとの感度比を用いて算出した、前記物質の濃度である。
また、「臭気閾値」とは、「三点比較式臭袋法による臭気物質の閾値測定結果」(永田好男,竹内教文、日本環境衛生センター所報、17号、77−89、1990年発行)にある物質の嗅覚閾値である。
また、「発生濃度の高い物質から順に20種類」は、前記「三点比較式臭袋法による臭気物質の閾値測定結果」に記載されている223の物質に含まれる物質に限ることとする。
請求項2に記載の発明は、灰分中に5質量%以上のゼオライトを含有する請求項1に記載の発明である。
電子写真用塗被紙の灰分中のゼオライトの割合は、JIS−P−8251「紙・板紙およびパルプ灰分試験方法−525℃燃焼法」に基づいて、電子写真用塗被紙の灰化物の重量を測定し、ICP発光法による元素分析結果から求めたものである。
請求項3に記載の発明は、前記塗被層に使用するラテックス中のスチレンモノマの含有量が50ppm以下である請求項1または2に記載の発明である。
ここで、「ラテックス中のスチレンモノマの含有量」とは、塗被層に使用するラテックスを23℃の室内にて48時間放置、乾燥したものを1mg採取して、20mL容量のバイアルに密封し、120℃に設定されたTurboMatrix40(PerkinElmer社製)内で3分間加熱し、インジェクションタイム0.15分にて、ガスクロマトグラフ・質量分析計GC2010(島津製作所製)に投入して測定した、スチレンの濃度である。使用した非極性カラムはRTX−1(Restek製、φ0.25mm×15m)、温度条件は、最初に40℃で3分間保持した後に、10℃/分で250℃まで昇温、その後250℃で6分間保持し、計30分間で完了とした。ピーク閾値0とした以外は測定装置の自動波形処理によってSlope調整、Drift調整およびベースライン作成を行い、それぞれの成分について濃度を算出した。濃度の算出に関しては、予め測定しておいたスチレンとn−デカンとの感度比からn−デカン換算にて求めた。
本発明の請求項1によると、本構成を有さない場合に比較して、電子写真方式の画像形成装置における熱定着時の臭気を低減する電子写真用塗被紙を提供することができる。
本発明の請求項2によると、灰分中のゼオライトの含有量が5質量%未満の場合に比較して、電子写真方式の画像形成装置における熱定着時の臭気をより低減する電子写真用塗被紙を提供することができる。
本発明の請求項3によると、塗被層に使用するラテックス中のスチレンモノマの含有量が50ppmを超える場合に比較して、電子写真方式の画像形成装置における熱定着時の臭気をより低減する電子写真用塗被紙を提供することができる。
本発明の実施の形態について以下説明する。本実施形態は本発明を実施する一例であって、本発明は本実施形態に限定されるものではない。
本発明者らは、電子写真方式の画像形成装置における熱定着時の臭気の発生について鋭意検討した結果、コート紙の原紙由来の臭気成分(臭気を発生させる物質)および塗被層由来の臭気成分、それに加えて複数の臭気成分が組み合わさることによる混合臭が発生することに着目し、用紙からの臭気成分の発生濃度を低減することにより、混合臭を含む熱定着時の臭気が低減することを見出した。
<電子写真用塗被紙>
本発明の電子写真用塗被紙(以下、適宜、単に「用紙」と称する場合がある。)は、ヘッドスペース法で検出される物質の中で、臭気閾値を超える物質が2種類以内であり、かつ、発生濃度の高い物質から順に20種類について、それぞれの物質の臭気閾値で発生濃度を割った値の総和が12以下である。
ここで、「ヘッドスペース法」では、熱分解に比べて、実際に電子写真方式で熱定着過程を通過するのに近い条件での用紙由来の放散物(放散される物質)を確認することができる。
複写機やプリンタなどの放散物として検出される用紙由来の放散物の絶対量は、トナー由来のベンズアルデヒド、トルエンなどの1割以下である。ただし、臭気閾値がトナー由来の放散物よりも小さい物が多い。また、塗被層を設けたコート紙の場合、原紙由来の放散物に塗被層由来の放散物も加わって、用紙由来の物質は15種類以上に増え、単独臭、混合臭が合わさって、普通紙を使用した場合以上に強い臭気が懸念される。グラビア印刷やオフセット印刷などに使用される場合には加熱条件が電子写真方式よりも穏やかであり、また使用される場所が専用排気設備を持っている場合が多い。電子写真方式による印刷の場合、一般にオフィス内で使用される上に、グラビア印刷やオフセット印刷に使用される場合に比較して用紙が高温となることが多く、用紙由来の放散物が発生しやすい。
ここで、臭気閾値としては、「三点比較式臭袋法による臭気物質の閾値測定結果」(永田好男,竹内教文、日本環境衛生センター所報、17号、77−89、1990年発行)にある223種類の物質の嗅覚閾値の測定結果(表1参照)を使用する。
Figure 2010181622
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このとき、ヘッドスペース法での測定において、発生濃度の高い物質から順に20種類の中に含まれる物質であっても、表1の嗅覚閾値表の223種類の物質に該当しないものは計算から除外する。
表1に記載の223種類の物質の中でも、特に、メルカプタン類、アルデヒド類、アクリル酸エステル類、メタアクリル酸エステル類、1,3−ブタジエン、スチレンなどが、電子写真用塗被紙の熱定着時に放散されやすく、これらを低減することが効果的である。
コストが安価である等の点から用紙に多用される材料として澱粉があり、原紙に添加するサイズ剤と繊維との定着剤としてカチオン化澱粉等が、サイズプレス液のバインダとして酸化澱粉等が、また、塗被層の接着剤として酸化澱粉等が主に用いられている。これらの澱粉には炭素数5以上20以下の直鎖アルキル基をもつ低分子のアルデヒドが含まれることが多いので、本実施形態において熱定着時の臭気を低減するために、用紙に使用する澱粉について低分子のアルデヒドの含有量を低減することが好ましい。炭素数6以上12以下である直鎖アルキル基を持つ低分子のアルデヒドは、それ以外の物質に比較して臭気閾値の小さいものが多く、わずかな発生濃度でも臭気が感知されることがある。
特に、酸化澱粉は天然の澱粉を酸化処理によって低分子化し、粘度調整した工業製品であるが、この酸化処理の工程において、グルコース単位の末端や側鎖が酸化され、アルデヒド基やカルボキシル基が発生することがある。用紙加熱時の放散物として末端にアルデヒド基を持ったグルコース単位が開裂、解離して発生する可能性があるため、用紙中の使用量が比較的多い酸化澱粉を低減したり、酸化澱粉の使用法を規定することにより、加熱による放散物中の直鎖アルキル基を持つアルデヒド類が低減される。その結果、複写機、プリンタなどでの熱定着からの放散物の臭気が低減される。
用紙中に使用される酸化澱粉を低減したり、使用方法を規定する手法としては、(1)低分子化による粘度調整を酵素によって行った工業澱粉(酵素変性澱粉)を使用する方法、(2)酸化澱粉を使用する場合に、過マンガン酸カリウムなどで緩和に酸化処理を行い、末端のアルデヒド基をカルボキシル基に酸化する方法、(3)酸化澱粉等を使用する前に、水洗等により低分子物質を除去する方法、また、(4)表面サイズに用いる場合に、サイズプレス液のpHを高く保持することで酸化澱粉のアルデヒド基を塩型に保持する方法等がある。これらのうち少なくともいずれかの方法を用いることにより、熱定着時の分解、放散が抑制される。
(1)低分子化による粘度調整を酵素によって行った工業澱粉を使用する方法
上記のように、炭素数5以上20以下の直鎖アルキル基を持つアルデヒド化合物の発生濃度を低減した電子写真用塗被紙を得るためには、酸化澱粉を使用しないことが一つの好ましい態様である。酸化処理によって澱粉を低分子化する際にアルデヒド基、カルボキシル基などが発生することがある。そのため、酵素処理によって低分子化処理を行えば、天然澱粉が持っているカルボキシル基、アルデヒド基以上には還元性末端の増加はほとんど無いため、熱定着時にグルコース単位が開裂したり、分解されたりした場合でも、直鎖を持つアルデヒド化合物はほとんど発生しない。
(2)酸化澱粉を使用する場合に、過マンガン酸カリウムなどで緩和に酸化処理を行う方法
酸化澱粉を使用する際に、過マンガン酸カリウムなどを用いて緩和に酸化処理を行い、アルデヒド基の部分をカルボキシル基に酸化してから使用する方法も一つの好ましい態様である。これによって熱定着時にグルコース単位が開裂したり、分解しても、直鎖アルキル基を持つカルボン酸が発生することになる。カルボン酸はアルデヒドに比べて臭気閾値が大きいため、臭気はアルデヒドが発生する場合に比べて感じにくくなる。
(3)酸化澱粉等を使用する前に、水洗等により低分子物質を除去する方法
また、酸化澱粉を使用する前に、水洗等により低分子物質を除去する方法も一つの好ましい態様である。例えば、酸化澱粉を1質量%以上10質量%以下の固形分量になるように0℃以上20℃以下の水に添加し、0.5時間以上1時間以下程度撹拌後、グラスフィルタ等によりろ過する方法等が挙げられる。なお、本方法は、酸化澱粉に限らず、カチオン化澱粉等の他の澱粉にも適用してもよい。
(4)表面サイズに用いる場合に、サイズプレス液のpHを高く保持することでアルデヒド基を塩型に保持する方法
酸化澱粉を表面サイズとして使用する場合には、アルカリ添加等の方法によりサイズプレス液のpHを高く維持するのが好ましい。pHを高くしておくことで、塗料中でのアルデヒド基が塩型を維持し、熱定着時に分解されにくくなるためである。このときのpHとしては、7以上12以下の範囲であることが好ましく、9以上12以下の範囲であることがより好ましい。
本実施形態においてトナー像の熱定着時の臭気を低減するために、サイズプレス液のバインダや、塗被層の接着剤として使用する酸化澱粉を低減したり、使用方法を規定することが好ましいが、サイズプレス液のバインダとして酸化澱粉以外の澱粉を使用する場合についても、上記(3)の方法や上記(4)の方法等により低分子のアルデヒドの含有量を低減することが好ましい。また、原紙に添加するサイズ剤と繊維との定着剤として、あるいは塗被層の接着剤として、酸化澱粉以外の澱粉を使用する場合についても、上記(3)の方法等により低分子物質を除去することが好ましい。また、上記(3)の方法等により、アルデヒド化合物以外にも例えばフラン化合物等の臭気の原因となる低分子物質が除去される。
しかし、塗被層にラテックスを用いる場合、塗被層由来の放散物として、ラテックスから発生するスチレン類(単量体、二量体など)、低分子のアクリル酸エステル、ブタジエンなどの低分子物質があり、特にスチレン類、アクリル酸エステルといった成分は臭気閾値が小さい物質である。また、プラスチックピグメントを使用する場合も、スチレンアクリル樹脂からスチレン、アクリル酸エステルが放散されることがある。また、ラテックス製造時には重合連鎖移動剤としてメルカプト系薬品が使用されることがあるが、メルカプタン物質は特に臭気閾値が小さく、少量の残留分であっても臭気の要因となる場合がある。
塗被層由来の放散物の低減方法としては、(A)放散される低分子物質を捕捉する無機顔料を併用する、(B)使用前に塗被層に使用する各材料を加熱、減圧処理する、といった方法が挙げられる。よって、加熱時にスチレンやアクリル酸エステルなどの低分子物質を放散する物質を塗被層に含む場合は、上記(A)、(B)の方法のうち少なくとも1つを行うことが好ましい。
(A)放散される低分子物質を捕捉する無機顔料を併用する方法
放散される低分子物質を捕捉する機能を持った無機顔料の、原紙への内添、サイズプレス液への添加、塗被層への添加のうち少なくとも1つにより、臭気が低減される。原紙への内添顔料としては、活性炭、ゼオライト、活性アルミナ、活性マグネシア、ハイドロタルサイトなどがある。中でも、低分子物質の捕捉能、白色度ともに用紙への使用が適しているのがゼオライトである。ゼオライトとは結晶中に微細孔を持つアルミノ珪酸塩の総称であり、低分子物質の吸着能が高いのが特徴である。塗被層への添加では、最表層に用いるものとしては、カオリン、炭酸カルシウムなど通常使用される無機顔料との併用でハイドロタルサイト、ゼオライト、活性アルミナ、活性マグネシアなどを使用すればよい。下引き層(サイズプレス液や、顔料を含む塗工液を複数回塗布する場合の、表面に出ない層)であれば、活性炭など白色度の低い物質であっても使用してもよい。これらの物質を用紙に含有させることにより、発生した低分子物質が捕捉され、臭気が低減される。
無機顔料としてゼオライトを使用する場合、用紙に含まれるゼオライトは、用紙の灰分中に5質量%以上あることが好ましく、10質量%以上あることがより好ましい。5質量%未満であると、低分子物質の捕捉効果が発揮されない場合がある。
(B)使用前に塗被層に使用する各材料を加熱、減圧処理する方法
使用前に塗被層に使用する材料を加熱、もしくは減圧と加熱処理とをすることで、低分子物質の含有量が低減され、熱定着時の分解、放散が抑制される。加熱、減圧条件としては、例えば40℃以上50℃以下の温度で0.02MPa以下の圧力下で1時間以上3時間以下保持するのが好適である。特に近年、スチレンの発生濃度を低減するために使用が増えてきた、アクリル酸ニトリル−ブタジエン共重合ラテックスについては、臭気閾値の小さいアクリル酸エステル類などの低分子物質を含有するため、前記特許文献3に記載されるような処理時間では十分でない場合がある。また、ここでいう材料には、ラテックスのほか、塗被層に使用される樹脂粒子(プラスチックピグメント)なども含まれている。また、さらに、原紙製造、サイズプレス液塗布時などに使用する材料についても、あらかじめ加熱、減圧処理によって低分子物質の含有量を低減しておくことが好ましい。
塗被層にスチレン−ブタジエンラテックスなどのスチレン系ラテックスを使用する場合、電子写真方式の画像形成装置における熱定着時において臭気をより抑えるために、ラテックス中のスチレンモノマの含有量が50ppm以下であることが好ましく、25ppm以下であることがより好ましい。
(原紙)
次に、本実施形態に係る電子写真用塗被紙に用いられる原紙について説明する。本実施形態に係る電子写真用塗被紙に用いられる原紙は、パルプ繊維と填量とを主成分として含むものが好ましい。特に環境負荷を低減させるという観点から原紙としては、古紙パルプを30質量%以上含むことが好ましく、70質量%以上含むことがより好ましい。
原紙を構成するパルプ繊維としては、化学パルプ、具体的には広葉樹晒クラフトパルプ、広葉樹未晒クラフトパルプ、針葉樹晒クラフトパルプ、針葉樹未晒クラフトパルプ、広葉樹晒亜硫酸パルプ、広葉樹未晒亜硫酸パルプ、針葉樹晒亜硫酸パルプ、針葉樹未晒亜硫酸パルプ等の他、木材および綿、麻、じん皮等の繊維原料を化学的に処理して作製されたパルプ等が好ましく挙げられる。
また、木材やチップを機械的にパルプ化したグランドウッドパルプ、木材やチップに薬液をしみこませた後に機械的にパルプ化したケミメカニカルパルプ、およびチップをやや軟らかくなるまで蒸解した後にリファイナでパルプ化したサーモメカニカルパルプ、中でも高収率が特徴であるケミサーモメカニカルパルプ等を使用してもよい。これらはバージンパルプのみで使用してもよいし、必要に応じて古紙パルプを配合してもよい。
特に前記バージンパルプとしては、塩素ガスを使用せずに二酸化塩素を使用する漂白方法(Elementally Chlorine Free:ECF)や、塩素化合物を一切使用せずにオゾン/過酸化水素などを主に使用して漂白する方法(Total Chlorine Free:TCF)等で漂白処理されたものであることが好ましい。
また、前記古紙パルプの原料としては、製本、印刷工場、断裁所等において発生する裁落、損紙、幅落しした上白、特白、中白、白損等の未印刷古紙;印刷やコピーが施された上質紙、上質コート紙などの上質印刷古紙;水性インク、油性インク、鉛筆等で筆記された古紙;印刷された中質紙、中質コート紙等のチラシを含む新聞古紙;中質紙、中質コート紙、更紙等の古紙;等を配合してもよい。
本実施形態に用いられる原紙において使用する古紙パルプは、前記古紙原料を、オゾン処理または過酸化水素漂白処理の少なくとも一方で処理して得られたものであることが好ましい。また、より白色度の高い電子写真用塗被紙を得るという観点から、前記漂白処理によって得られた古紙パルプの配合率を50質量%以上100質量%以下の範囲とすることが好ましい。さらに資源の再利用という観点から、前記古紙パルプの配合率を70質量%以上100質量%以下の範囲とすることがより好ましい。
前記オゾン処理漂白処理は上質紙に通常含まれている蛍光染料等を分解する作用があり、前記過酸化水素漂白処理は、脱墨処理時に使用されるアルカリによる黄変を防ぐ作用がある。前記古紙パルプは、オゾン漂白処理または過酸化水素漂白処理の二つの処理を組み合わせることによって、古紙の脱墨を容易にするだけでなくパルプの白色度がより向上する。また、パルプ中の残留塩素化合物を分解、除去する作用もあるため、塩素漂白されたパルプを使用した古紙の有機ハロゲン化合物の含有量低減において多大な効果が得られる。
また、本実施形態に用いられる原紙には、パルプ繊維に加えて不透明度、白さ、および表面性を調整するため填料を添加することが好ましい。また、電子写真用塗被紙中のハロゲン量を低減したい場合にはハロゲンを含まない填料を使用することが好ましい。
前記填料としては、先に挙げたゼオライト、活性炭、活性アルミナ、ハイドロタルサイトなど低分子物質を吸着する材料のほか、重質炭酸カルシウム、軽質炭酸カルシウム、チョーク、カオリン、焼成クレー、タルク、硫酸カルシウム、硫酸バリウム、二酸化チタン、酸化亜鉛、硫化亜鉛、炭酸亜鉛、珪酸アルミニウム、珪酸カルシウム、珪酸マグネシウム、合成シリカ、水酸化アルミニウム、アルミナ、セリサイト、ホワイトカーボン、サポナイト、ドロマイト、カルシウムモンモリロナイト、ソジウムモンモリロナイト、ベントナイト等の無機顔料、および、アクリル系プラスチックピグメント、ポリエチレン、キトサン粒子、セルロース粒子、ポリアミノ酸粒子、尿素樹脂などの有機顔料が挙げられる。
また、原紙に古紙パルプを配合する場合には、古紙パルプ原料に含まれる灰分をあらかじめ推定して、その添加量を調整することが好ましい。
本実施形態における原紙には内添サイズ剤を配合してもよい。ここでも用紙中のハロゲン量を低減するためにハロゲンを含まない内添サイズ剤や定着剤を使用することが好ましい。具体的には、ロジン系サイズ剤、合成サイズ剤、石油樹脂系サイズ剤、中性サイズ剤などを使用すればよく、さらに硫酸バンド、カチオン化澱粉など、サイズ剤と繊維との定着剤を組み合わせて使用してもよい。このとき上記の通り、カチオン化澱粉は使用前にグラスフィルタ等を用いて水洗して、アルデヒド基やカルボキシル基が多く含まれると思われる低分子物質を除去するのが好ましい。また、用紙保存性を向上させる観点から中性サイズ剤を使用することが好ましい。サイズ剤や定着剤に関しても、先に述べたような減圧、加熱方法によって低分子物質の含有量を低減しておくことが好ましい。
(サイズプレス液)
本実施形態の電子写真用塗被紙は、上述の原紙の表面に下記に示すサイズプレス液を塗布してなるものであることが好ましい。
サイズプレス液に用いるバインダとしては、コーンスターチ、馬鈴薯澱粉、タピオカ澱粉などの未加工澱粉を始めとして、加工澱粉として酵素変性澱粉、燐酸エステル化澱粉、カチオン化澱粉、アセチル化澱粉などを使用すればよい。ただし、これらの未加工澱粉、加工澱粉を使用する場合には上記の通り、グラスフィルタ等を用いて水洗し、アルデヒド基やカルボキシル基などを多く含む低分子物質を除去して使用するのが好ましい。また、酸化澱粉を使用する場合は上記の通り、過マンガン酸カリウムなどで緩和な酸化処理を行い、含有するアルデヒド基部分をカルボキシル基に酸化し、さらに水洗してから使用するのが好ましい。また、その他にもポリエチレンオキサイド、ポリアクリルアミド、ポリアクリル酸ソーダ、アルギン酸ソーダ、ヒドロキシメチルセルロース、カルボキシメチルセルロース、メチルセルロース、ポリビニルアルコール、グアーガム、カゼイン、カードランなどの水溶性高分子およびそれらの誘導体などを単独あるいは混合して使用してもよいが、これらに限定されるものではない。ただし、製造コストの観点からは、より安価である澱粉を使用する場合が多い。
また、本実施形態においてはサイズプレス液のpHを7以上12以下の範囲にするのが好ましい。さらには9以上12以下の範囲にするのがより好ましい。サイズプレス液のpHを高くすることで、澱粉等の水溶性高分子がアルデヒド基やカルボキシル基などを含有している場合に官能基を塩型に維持することが可能となり、熱定着時の開裂、分解反応が起こりにくくなる。
本実施形態の電子写真用塗被紙のサイズ度は、使用するバインダの量、種類によって、必要な値に調整してもよい。しかし、それだけではサイズ度の調整が十分でない場合には、さらに表面サイズ剤を使用してもよい。このような表面サイズ剤としてはロジン系サイズ剤、合成サイズ剤、石油樹脂系サイズ剤、中性サイズ剤などを使用すればよい。これら表面サイズ剤の具体例としては、スチレン系樹脂、スチレンアクリル系樹脂、スチレンマレイン酸アクリル系樹脂、アクリル酸ニトリル−ブタジエン樹脂などが挙げられるが、これらに限定されるものではない。ただし、その中でもアルデヒド基を末端に持たないものを使用することが好ましい。また、これらのサイズ剤についても加熱、減圧処理により低分子物質の含有量を低減させておくことがさらに好ましい。
本実施形態の電子写真用塗被紙は表面に塗布されるサイズプレス液中に導電剤を配合することで、表面電気抵抗率が調整されることが好ましい。ただし、電子写真用塗被紙中のハロゲン量を低減するためにハロゲンを含まない導電剤を使用することが好ましい。
このような導電剤としては硫酸ナトリウム、炭酸ナトリウム、炭酸リチウム、メタ珪酸ナトリウム、トリポリ燐酸ナトリウム、メタ燐酸ナトリウムなどの無機電解質;スルホン酸塩、硫酸エステル塩、カルボン酸塩、リン酸塩などのアニオン性界面活性剤;カチオン性界面活性剤;ポリエチレングリコール、グリセリン、ソルビット等の非イオン性界面活性剤および両性界面活性剤;高分子電解質などの導電剤を使用すればよい。
また、本実施形態の電子写真用塗被紙において、サイズプレス液中に活性炭、ゼオライトなどの前記低分子物質を吸着する物質を含有させてもよい。
また、サイズプレス液は、サイズプレス処理のほか、シムサイズ、ゲートロール、ロールコータ、バーコータ、エアナイフコータ、ロッドブレードコータ、ブレードコータ等の通常使用されている塗工手段によって原紙の表面に塗布してもよい。
また、サイズプレス液によって用紙表面に処理される固形分量が0.1g/mより少ないと用紙の表面被覆が不十分となり、紙粉が発生する原因となる場合がある。したがって表面に塗布される水溶性高分子などの固形分の総量は0.1g/m以上であることが好ましい。また、サイズプレスを施して乾燥し、完成した電子写真用塗被紙では、サイズプレス液によって用紙表面に処理される固形分量が5.0g/mを超えるといわゆる普通紙としての風合いを損なう場合がある。したがって、その場合は表面塗布される水溶性高分子などの固形分の総量は0.1g/m以上5.0g/m以下の範囲であることが好ましい。
(塗被層)
また、本実施形態の電子写真用塗被紙は、サイズプレスを施した上から顔料を含む塗被層(コート層)を付与したものである。その場合、塗被層に用いられる顔料としては、先に挙げた低分子物質を吸着する機能を持った、ゼオライト、ハイドロタルサイト、活性アルミナなどの他、通常の一般コート紙に用いられる顔料、例えば重質炭酸カルシウム、軽質炭酸カルシウム、二酸化チタン、水酸化アルミニウム、サチンホワイト、タルク、硫酸カルシウム、硫酸バリウム、酸化亜鉛、酸化マグネシウム、炭酸マグネシウム、非晶質シリカ、コロイダルシリカ、ホワイトカーボン、カオリン、焼成カオリン、デラミネーテッドクレー、アルミノ珪酸塩、セリサイト、ベントナイト、スメクタイトなどの無機顔料や、ポリスチレン樹脂粒子、尿素ホルムアルデヒド樹脂粒子、微小中空粒子およびその他の有機系顔料などが挙げられ、これらを単独あるいは複数組み合わせて使用すればよい。また、使用に際しては、それぞれの材料を単独で減圧、加熱処理して低分子物質の含有量を低下させておくことが好ましい。
塗被層に用いられる接着剤としては、合成接着剤や天然系の接着剤などを使用すればよい。合成接着剤としてはスチレンブタジエンラテックス、スチレンアクリルラテックス、エチレン/酢酸ビニルラテックス、ブタジエンメチルメタクリルートラテックス、ブタジエンアクリレートラテックス、酢酸ビニル/ブチルアクリレートラテックスなどの各種共重合体などが挙げられる。これらの合成接着剤の中で目的に応じて1種類以上を使用すればよい。これらの接着剤は顔料100質量部当たり5質量部以上50質量部以下で使用されることが好ましく、10質量部以上30質量部以下程度の範囲で使用されることがより好ましい。使用に際してはそれぞれの材料を単独で減圧、加熱処理して低分子物質の含有量を低下させておくことが好ましい。特にラテックスは元来モノマを重合させて得られるものであるため、モノマの残渣を多く含む場合がある。
また、天然系接着剤として、澱粉類、カゼイン、大豆蛋白などを使用すればよい。これらも顔料100質量部当たり、0.1質量部以上50質量部以下の範囲で使用されることが好ましく、2質量部以上30質量部以下程度の範囲で使用されることがより好ましい。
ここで、接着剤として澱粉を使用する際には表面サイズの場合と同様に、上記の通りグラスフィルタ等を用いて水洗し、アルデヒド基やカルボキシル基などを多く含む低分子物質を除去して使用するのが好ましい。また、酸化澱粉を使用する場合は、上記の通り過マンガン酸カリウムなどで緩和な酸化処理を行い、含有するアルデヒド基部分をカルボキシル基に酸化し、さらに水洗してから使用するのが好ましい。また、必要に応じて分散剤、増粘剤、保水剤、消泡剤、耐水化剤など通常のコート紙用顔料に配合される各種助剤が適宜使用される。
上述したような成分を含むように調整された塗被層組成物は、一般のコート紙製造に使用されるコーティング装置、例えばブレードコータ、エアナイフコータ、ロールコータ、リバースロールコータ、バーコータ、カーテンコータ、ダイスロットコータなどを用いて、オンマシンあるいはオフマシンによって、基材上に一層あるいは多層に分けて塗布量が乾燥質量で片面に2g/m以上15g/m以下程度となるように塗被層を設ける。
以下、実施例および比較例を挙げ、本発明をより具体的に詳細に説明するが、本発明は、以下の実施例に限定されるものではない。
<実施例1>
広葉樹クラフトパルプをECF多段漂白法にて漂白処理して、ろ水度450mLになるように叩解調整したパルプを100質量部、軽質炭酸カルシウム填料を15質量部、アルケニル無水コハク酸内添サイズ剤(ASA)を0.1質量部、100メッシュのグラスフィルタで水洗したカチオン化澱粉を0.05質量部配合して紙料を調製した。この紙料を用いて抄紙を行い、坪量が70g/mの原紙を作製した。なお、カチオン化澱粉の水洗は、カチオン化澱粉を固形分5質量%となるように15℃の水に添加し、60分撹拌後、100メッシュのグラスフィルタによりろ過することによって行った。
続いて、表面サイズ剤として水93質量部と、自家製酵素変性澱粉を5質量部と、導電剤として硫酸ナトリウムを2質量部とを含む塗工液を調整して、得られた原紙の表面に処理を行った。これにより原紙の表面に処理された固形分量が2g/mであり、坪量が72g/mとなった。
次に塗被層形成用の塗被液として、顔料成分100質量部(活性マグネシア(商品名:
MTK30、岩谷化学工業(株)製)を10質量部、カオリン(ウルトラホワイト90、エンゲルハード(株)製)を90質量部)、接着剤として自家製酵素変性澱粉 1質量部(顔料に対する固形比;以下同様)、およびスチレン−ブタジエンラテックス(LX430、日本ゼオン(株)製)30質量部、分散剤(アロンA、東亞合成(株)製)0.3質量部を配合した塗被組成物を調製した。なお、ラテックス、分散剤、顔料成分についてはそれぞれ40℃0.02MPaの条件で2時間加熱、減圧処理を実施した後に調製を行った。このときラテックス中のスチレンモノマの含有量が50ppmであることを確認した。
ラテックス中のスチレンモノマの含有量の測定については、ラテックスを23℃の室内にて48時間放置、乾燥したものを1mg採取して、20mL容量のバイアルに密封し、120℃に設定されたTurboMatrix40(PerkinElmer社製)内で3分間加熱し、インジェクションタイム0.15分にて、ガスクロマトグラフ・質量分析計GC2010(島津製作所製)に投入して測定を行った。使用した非極性カラムはRTX−1(Restek製、φ0.25mm×15m)、温度条件は、最初に40℃で3分間保持した後に、10℃/分で250℃まで昇温、その後250℃で6分間保持し、計30分間で完了とした。ピーク閾値0とした以外は測定装置の自動波形処理によってSlope調整、Drift調整およびベースライン作成を行い、それぞれの成分について濃度を算出した。濃度算出に関しては、予め測定しておいたスチレンとn−デカンとの感度比からn−デカン換算にて求めた。続いて、この塗被組成物を基材の両面に、片面当たり乾燥重量で7.5g/mとなるようにブレードコータにより塗被、乾燥して、坪量が87g/mの電子写真用塗被紙を得た。
このようにして得られた電子写真用塗被紙を1cm×1cmの大きさに2枚切り出し、20mL容量のバイアルに密封し、120℃に設定されたTurboMatrix40(PerkinElmer社製)内で3分間加熱し、インジェクションタイム0.15分にて、ガスクロマトグラフ・質量分析計GC2010(島津製作所製)に投入して測定を行った。使用した非極性カラムはRTX−1(Restek製、φ0.25mm×15m)、温度条件は、最初に40℃で3分間保持した後に、10℃/分で250℃まで昇温、その後250℃で6分間保持し、計30分間で完了とした。ピーク閾値0とした以外は測定装置の自動波形処理によってSlope調整、Drift調整およびベースライン作成を行い、それぞれの成分について濃度を算出した。濃度算出に関してはスチレンと同様のピーク感度であると仮定して、n−デカン換算にて行った。
ここで、検出成分のうち濃度の高い物質から20種類までについて、それぞれの臭気閾値で割った値を算出した。臭気閾値としては、日本環境衛生センター所報(17号、1990年発行、永田ら)にある223種類の物質の嗅覚閾値の測定結果(表1参照)を使用した。このとき、20種類の中に含まれる物質であっても、嗅覚閾値表の223種類の物質に該当しないものは計算から除外した。
また、JIS−P−8251「紙・板紙およびパルプ灰分試験方法−525℃燃焼法」に基づいて灰化物の重量を測定し、ICP発光法による元素分析結果から、灰分中のゼオライトが0質量%であることを確認した。
次にこの電子写真用塗被紙を、モノクロ複写機DC285(富士ゼロックス(株)製)を用いて画像密度5%の画像を連続印刷し、排紙部からの放散ガスの臭気強度を測定した。複写機は50mのチャンバ内に設置し、常時500m/hrの換気を行いながら、温度25℃、相対湿度45%RHの環境下で、排紙部において、幅方向の中央に、出口から下流方向へ向かって2cm、用紙が排出される面からほぼ直上に向かって1cmの位置に鼻が来るようにして、連続印刷しながら20人の評価者に臭いを嗅いでもらい、臭気強度を判定した。この場合の評価者は、平成7年公布環境庁告示63号に基づいたパネル選定を実施して正常な嗅覚を持っていると認定されたものであり、評価直前に別室にて基準臭として臭気強度2に相当するメチルシクロペンテノロンを嗅いでから試験に臨んだ。結果を表2に示す。
判定基準としては以下の通りとした。悪臭防止法における敷地境界基準値は一般に臭気強度2.5とされている。
20名全員が臭気強度2以下と判定:◎
15名以上が臭気強度2以下と判定:○
8名以上14名以下が臭気強度2以下と判定:△
7名以下が臭気強度2以下と判定:×
<実施例2>
実施例1と同様にして得た原紙に対して、表面サイズ剤として水93質量部と、酸化澱粉(エースA、王子コーンスターチ製)を5質量部と、導電剤として硫酸ナトリウムを2質量部とを含むサイズプレス液を調整して、得られた原紙の表面に処理を行った。酸化澱粉は塗工液に加える前に過マンガン酸カリウムによる酸化処理を行い、さらにグラスフィルタを用いて水洗した。酸化澱粉の水洗は、得られた酸化澱粉を固形分15質量%となるように15℃の水に添加し、60分撹拌後、100メッシュのグラスフィルタによりろ過することによって行った。これにより原紙の表面に処理された固形分量が両面で2g/mであり、坪量が72g/mとなった。
次に塗被層形成用の塗被液として、顔料成分100質量部(ゼオライト(商品名:日東ゼオライトSP#2300、日東粉化工業(株)製)を50質量部、カオリン(ウルトラホワイト90、エンゲルハード(株)製)を50質量部)、接着剤として自家製酵素変性澱粉 1質量部(顔料に対する固形比;以下同様)、およびアクリル酸ニトリル−ブタジエンラテックス(Nipol1562、日本ゼオン(株)製)30質量部、分散剤(アロンA、東亞合成(株)製)0.3質量部を配合した塗被組成物を調製した。なお、ラテックス、分散剤、顔料成分についてはそれぞれ40℃、0.02MPaの条件で2時間加熱、減圧処理を実施した後に調製を行った。続いて、この塗被組成物を基材の両面に、片面当たり乾燥重量で7.5g/mとなるようにブレードコータにより塗被、乾燥して坪量が87g/mの電子写真用塗被紙を得た。このときラテックス中のスチレンモノマの含有量が検知できる限界値(0.035ppm)以下であることを確認した。また、用紙の灰分中のゼオライトは6.6質量%であった。
実施例1と同様にして評価を行った。結果を表2に示す。
<実施例3>
広葉樹クラフトパルプをECF多段漂白法にて漂白処理して、ろ水度450mLになるように叩解調整したパルプを100質量部、ゼオライト(商品名:日東ゼオライトSP#2300)を20質量部、アルケニル無水コハク酸内添サイズ剤(ASA)を0.1質量部、100メッシュのグラスフィルタで水洗したカチオン化澱粉を0.05質量部配合して紙料を調製した。この紙料を用いて抄紙を行い、坪量が60g/mの原紙を作製した。なお、カチオン化澱粉の水洗は実施例1と同様の方法で行った。
続いて、表面サイズ剤として水90質量部と、自家製酵素変性澱粉を5質量部と、活性炭(商品名:クラレコールPW、クラレケミカル(株)製)を3質量部、導電剤として硫酸ナトリウムを2質量部とを含む塗工液を調製して、得られた原紙の表面に処理を行った。これにより原紙の表面に処理された固形分量が2g/mであり、坪量が62g/mとなった。
次に実施例2と同様の塗被液を、同様の方法で塗被、乾燥して、坪量が77g/mの電子写真用塗被紙を得た。また、用紙の灰分中のゼオライトは11質量%であった。実施例1と同様にして評価を行った結果を表2に示す。
<実施例4>
実施例3で作製した原紙を用いて、実施例3と同様のサイズプレスを施し、坪量62g/mの基材を得た。
次に塗被層形成用の塗被液として、顔料成分100質量部(ゼオライト(商品名:日東ゼオライトSP#2300、日東粉化工業(株)製)を50質量部、カオリン(ウルトラホワイト90、エンゲルハード(株)製)を50質量部)、接着剤として自家製酵素変性澱粉 1質量部(顔料に対する固形比;以下同様)、およびスチレン−ブタジエンラテックス(LX430、日本ゼオン(株)製)30質量部、分散剤(アロンA、東亞合成(株)製)0.3質量部を配合した塗被組成物を調製した。なお、分散剤、顔料成分についてはそれぞれ40℃、0.02MPaの条件で2時間加熱、減圧処理を実施した後に調製を行った。スチレン−ブタジエンラテックスは40℃、0.02MPaの条件で3時間加熱、減圧処理を実施し、ラテックス中のスチレンモノマの含有量が20ppmであることを確認した後に調製を行った。続いて、この塗被組成物を基材の両面に、片面当たり乾燥重量で7.5g/mとなるようにブレードコータにより塗被、乾燥して、坪量が77g/mの電子写真用塗被紙を得た。また、用紙の灰分中のゼオライトは20質量%であった。実施例1と同様にして評価を行った結果を表2に示す。
<比較例1>
針葉樹クラフトパルプをTCF多段漂白法にて漂白処理して、ろ水度480mLになるように叩解調整したパルプを100質量部、軽質炭酸カルシウム填料を15質量部、アルケニル無水コハク酸内添サイズ剤(ASA)を0.1質量部、カチオン化澱粉を0.05質量部配合して紙料を調製した。この紙料を用いて抄紙を行い、坪量が70g/mの原紙を作製した。
続いて、表面サイズ剤として水93質量部と、酸化澱粉(エースA、王子コーンスターチ製)を5質量部と、導電剤として硫酸ナトリウムを2質量部とを含む塗工液を調製して、得られた原紙の表面に処理を行った。これにより原紙の表面に処理された固形分量が両面で2g/mであり、坪量が72g/mの基材を得た。
次に塗被層形成用の塗被液として、顔料成分100質量部(カオリン(ウルトラホワイト90、エンゲルハード(株)製)を100質量部)、接着剤として自家製酵素変性澱粉 1質量部(顔料に対する固形比;以下同様)、およびスチレン−ブタジエンラテックス(LX430、日本ゼオン(株)製)30質量部、分散剤(アロンA、東亞合成(株)製)0.3質量部を配合した塗被組成物を調製した。続いて、この塗被組成物を基材の両面に、片面当たり乾燥重量で7.5g/mとなるようにブレードコータにより塗被、乾燥して、坪量が87g/mの電子写真用塗被紙を得た。実施例1と同様にして評価を行った結果を表3に示す。このとき使用したラテックス中のスチレンモノマの含有量は300ppmであった。また、用紙の灰分中のゼオライトは0質量%であった。
<比較例2>
市販の印刷用紙OKトップコートプラス(王子製紙(株)製)坪量73.3g/mを用いて、比較例とした。結果を表3に示す。
<比較例3>
比較例1と同様にして得た原紙に、実施例3と同様のサイズプレスを実施し、62g/mの基材を得た。ここに比較例1と同様にして塗被層を形成し、坪量が77g/mの電子写真用塗被紙を得た。また、用紙の灰分中のゼオライトは0質量%であった。実施例1と同様にして評価を行った結果を表3に示す。
Figure 2010181622
Figure 2010181622
このように、実施例1〜4の電子写真用塗被紙は比較例1〜3に比べて、用紙加熱時の低分子の放散物が少ないことがわかる。この結果、これらの電子写真用塗被紙は臭気低減に優れることがわかる。

Claims (3)

  1. パルプ繊維を含む原紙と前記原紙の少なくとも片面に設けられた顔料および接着剤を含む塗被層とを有し、
    ヘッドスペース法で検出される物質の中で、臭気閾値を超える物質が2種類以内であり、かつ、発生濃度の高い物質から順に20種類について、それぞれの物質の臭気閾値で発生濃度を割った値の総和が12以下であることを特徴とする電子写真用塗被紙。
  2. 請求項1に記載の電子写真用塗被紙であって、
    灰分中に5質量%以上のゼオライトを含有することを特徴とする電子写真用塗被紙。
  3. 請求項1または請求項2に記載の電子写真用塗被紙であって、
    前記塗被層に使用するラテックス中のスチレンモノマの含有量が50ppm以下であることを特徴とする電子写真用塗被紙。
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