JP2010181057A - 封止管及び薄肉管の封止方法 - Google Patents

封止管及び薄肉管の封止方法 Download PDF

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Abstract

【課題】薄肉管であっても封止部が健全で欠陥のない封止管、及び薄肉管の封止方法を提供する。
【解決手段】内面に複数の溝1aが形成された例えば銅、銅合金、アルミニウム、またはアルミニウム合金などからなるパイプ1の封止予定部1bの外周部に、該パイプの肉厚と同程度かそれ以上の肉厚を有する管材2が配設され、または厚みが該パイプの肉厚と同程度以上となるように巻き付けられた例えば帯材、線材、またはテープ材などの巻付材5が配設され、該パイプと共に一体的に超音波かしめ加工することで封止管を得るようにしたものである。
【選択図】図1

Description

この発明は、例えば電子機器用のヒートパイプなどとして好ましく用いることができる封止管、及び薄肉管の封止方法に関するものである。
電子部品や電子機器の冷却、放熱用のヒートパイプは、熱伝導性に優れた銅などのパイプが用いられ、薄肉化したものが使われている。また、作動流体を封入したパイプの密閉方式として、超音波かしめ法が多用されている。しかし、パイプが薄肉で内部に溝を形成したものでは、封止部にボイドなどの欠陥が発生し易く、リークするという問題がある。その解決策として、パイプの肉厚、溝ピッチ、溝深さ等を条件因子にして、最終潰し肉厚を所定の範囲になるように設定することにより封止欠陥が解決できるとしたものがある(例えば特許文献1参照)。また、封止予定部分の肉厚を他の部分の肉厚よりも厚くすることにより、封止部の脆弱化を抑制するようにしたものがある(例えば特許文献2参照)。さらに、管部を縮径化して縮径部を形成し、外周部に補強部材を被せ、この二重管同士を外部から圧着して仮封止部を形成し、しかる後に仮封止部の先端を密閉加工する方法が提案されている(例えば特許文献3参照)。
特開平5−322463号公報(第1頁、図1) 特開平5−264185号公報(第1頁、図1) 特開平2006−200775号公報(第1頁、図1)
従来の上記特許文献1のような技術では、パイプの肉厚、溝ピッチや幅、溝深さ等を条件因子に封止肉厚が規定されているが、超音波かしめの振動周波数、かしめ刃具等の加振条件、パイプ強度等により変動するため一律的に規定し難く、ある程度の封止欠陥の発生が避けられないものであった。特許文献2の技術では、封止予定部を厚肉化するために厚肉管を端部に接合したり、製管加工時に引抜きを中断した材料を使用したり、封止部端面をスエージング加工したりしなければならず、量産品への適用が難しいという課題があった。また、特許文献3の技術では、管を縮径後外周に補強材を被せさらに外側から圧着して仮封止した後、再度、端部を封止するものであるので、工程が多く複雑になると共に先端の不要部が長くなるという課題があった。
この発明は、上記のような従来技術の実情に鑑みてなされたものであり、薄肉管であっても封止部が健全で欠陥のない封止管を得ることを第1の目的としている。また、封止欠陥の発生を皆無にでき、しかも量産品への適用も容易で、工程が簡素で材料の無駄も抑制できる薄肉管の封止方法を提供することを第2の目的としている。
この発明に係る封止管は、内面に複数の溝が形成されたパイプの封止部外周に、該パイプの肉厚と同程度以上の肉厚を有する管材が配設され、または巻付材が巻き付けられ、該パイプと共に一体的に超音波かしめ封止されてなるものである。
また、この発明に係る薄肉管の封止方法は、内面に複数の溝が形成された薄肉のパイプの封止予定部の外周に、該パイプの肉厚と同程度以上の肉厚を有する管材を配設し、または該パイプの肉厚と同程度以上の肉厚を有する巻付材を巻き付け、しかる後、上記封止予定部を超音波かしめ封止するようにしたものである。
この発明の封止管においては、封止部外周にパイプの肉厚以上の肉厚を有する管材を配設し、または巻付材を巻き付けて、該管材または巻付材を介して超音波かしめ加工されたものであるため、パイプに圧力が均一に付加され、被覆した管材または巻付材で加圧時の変形が抑制されるため変形が均一化されている。そのため、封止欠陥、不均一加圧による脆弱部の発生がない健全な封止部を有するという顕著な効果が得られる。
また、この発明の薄肉管の封止方法においては、パイプの封止予定部の外周に、所定の肉厚を有する管材を配設し、または巻付材を巻付け、然る後超音波かしめ封止するため、圧力が均一に付加され、加圧変形も管材または巻付材によって抑制されるため変形が均一化される。そのため、封止欠陥、不均一加圧による脆弱部の発生が起こらない健全な封止部が得られるという顕著な効果が得られる。また、パイプの封止部に特段の前加工を施す必要がなく工程も簡素にできるので、量産性にも優れ、さらに無駄な部分を生じることがない。
本発明の実施の形態1による封止管及び薄肉管の封止方法における封止予定部近傍を模式的に示す部分断面図。 図1のII−II線における矢視断面図。 図1に示された封止予定部を超音波かしめ封止後の封止管の封止部の近傍を模式的に示す部分断面図。 図3のIV−IV線における矢視断面図。 本発明の実施の形態2に係る薄肉管の封止方法における封止予定部を模式的に示す断面図。 図5に示された封止予定部を超音波かしめ封止後に得られた封止管の封止部を模式的に示す部分断面図。 本発明の実施の形態3に係る薄肉管の封止方法における封止予定部を模式的に示す部分断面図。
実施の形態1.
図1〜図4は本発明の実施の形態1による封止管及び薄肉管の封止方法を模式的に説明する図である。図において、薄肉のパイプ1の内周面には長手方向に沿って伸びる多数の溝1aが形成されており、その一端部の封止予定部1b外周にはパイプ1の肉厚と同程度以上の肉厚を有する管材からなる被覆管2がパイプ1の管端と端部を揃えて装着されている。図1のように被覆管2を装着した封止予定部を例えば公知の超音波かしめ装置(図示省略)でかしめると、図3、図4に模式的に示すようにパイプ1の管端部が押し潰されるように塑性変形し、封止部11が完全に気密・液密に封着された封止管3が得られる。
上記パイプ1や被覆管2として好ましく用いることができる材料としては、入手のし易さ、コストなどの観点から例えば銅、銅合金、アルミニウム、アルミニウム合金などの金属材料を挙げることができるが、これらに限定されるものではない。また、パイプ1と被覆管2を、異なる金属材料としてもよいが、主成分が同じ金属からなる材質を用いることが好ましい。超音波かしめ封止によれば、パイプ1と被覆管2との界面が超音波振動の摩擦熱で溶け合わさったようになってパイプ1と被覆管2とが一体となる。パイプ1と被覆管2とに同質の材料を用いると、両者間で膨張率などの物理特性や電気化学的な特性などに差が小さく、温度変化や化学物質などの影響で剥離や乖離が生じにくい強固な封止部が得られる。
また、被覆管2としてパイプ1と同一素材で材質が柔軟なものを用いてもよい。例えば、パイプ1として銅管のH材(硬質材)を用い、被覆管2として銅管のO材(軟質材)を用いることなどは好ましい。これにより、超音波かしめ加工の際に、パイプ1の外周部に対する被覆管2の密着性が優れるようになって、信頼性の高い封止部が得られる。上記封止管3の典型的な用途例はヒートパイプであり、封止の前にパイプ1の内部に例えば水、その他各種の冷媒等が作動液として所定量注入され、密封収容される。なお、封止管3の他端部は上記一端部側と同様に超音波かしめ封止加工しても良いし、予め溶接等、他の手段で封じられたものであっても良い。
一方、上記パイプ1の外径、肉厚(内面に設けられた溝1aの凹凸を含まない部分、即ち外表面と内部の溝底部との間の寸法)、及び溝1aの高さ(溝底部から溝頂部までの寸法)等は必ずしも限定されるものではないが、好ましく用いることができるものとして、例えば外径:約5〜約8mm、肉厚:約0.2〜約0.5mm、溝1aの高さ:肉厚の約1/2以上約0.5mm以下のものなどを挙げることができる。また、被覆管2の肉厚はパイプ1の肉厚と略同程度(パイプ1の肉厚より若干薄いものを含む)、またはパイプ1の肉厚より若干厚い程度のものが用いられる。例えばパイプ1の肉厚が約0.3mmの場合、被覆管2の肉厚は約0.2mm〜約0.5mm程度のものは好ましく用いることができる。なお、被覆管2の内径はパイプ1の外周に無理なく装着できる程度であれば特に限定されない。
なお、上記各寸法は上記例示した範囲内のものに限定されるものではなく、上記範囲を超えたものでも同様の効果を期待することができる。また、上記溝1aの形状についても特に限定されるものではない。例えば、図1、図2に示すように溝1aがパイプ1の長手方向にストレート状に形成されたものの他、例えばらせん状に形成されたものなどでも良い。また、溝1aの断面形状は図2の例では三角関数のsin波形のような周方向に規則的な形状に形成されているが、該形状についても、図示の例に限定されないことは言うまでもない。例えば形状の異なる複数の溝が形成されていても良い。
具体的な実施例として、外径:6mm、肉厚:0.3mm、内部の溝1aの高さ:0.23mm、溝数:55の銅管からなるパイプ1の端部の封止予定部に、外径:7mm、肉厚:0.2mmの銅管からなる被覆管2を装着し、図示省略している一般的な超音波かしめ装置でかしめ封止した結果、テストした試料数150個の全てについて、微小リークを皆無にすることができた。なお、比較のために被覆管2を装着しないで超音波かしめ封止を行った結果、最適条件下でのかしめ封止においても、数%の封止部に微小リークが発生することが確認された。
上記のように実施の形態1による封止管3は、内面に複数の溝1aが形成されたパイプ1の封止部外周に該パイプ1の肉厚と同程度以上の肉厚を有する被覆管2からなる管材を配設し、該パイプ1と共に一体的に超音波かしめ封止を行うようにして得られたものであるため、被覆管2がパイプ1のまわりに存在することによってパイプ1に対して圧力が均一に付加され、加圧変形も被覆管2で抑制されるため変形が均一化されてバラツキも少なくなり、封止部11に封止欠陥、不均一加圧による脆弱部の発生がない健全なものになっているという顕著な効果が得られる。また、封止部分の信頼性が向上することで、製品の長寿命化を図ることもできる。
また、実施の形態1による薄肉管の封止方法によれば、内面に複数の溝1aが形成されたパイプ1の封止予定部外周に該パイプ1の肉厚以上の肉厚を有する管材としての被覆管2を配設し、該パイプ1と共に一体的に超音波かしめ封止を行うようにしたので、超音波かしめ封止の際のパイプ1の外周部への変形がパイプ1のまわりに配設した被覆管2で抑制され、被覆管2の肉厚も加わって実質的なかしめ肉厚が増加するため、薄肉パイプのみのかしめ加工の場合よりも、かしめ肉厚に対する内面溝の影響が大きく低下する。そのため、封止欠陥の原因となる内面溝の影響を排除できると共に、パイプの過剰な変形を抑制できるため、ボイド、不均一変形などの封止欠陥の発生が著しく抑制されたリークの生じにくい封止部が得られ、厚さが均一で健全なかしめ封止部を得ることができる。
また、パイプ1の封止予定部分を予め別工程で厚肉化するなど、封止予定部に特段の前加工を行う必要がないので、量産性に優れている。また、不良率の低減ができるので歩留まりが向上し、工程も簡素で、無駄な部分を生じることがないので、大きなコストダウンを図ることもできる。
実施の形態2.
図5は本発明の実施の形態2に係る薄肉管の封止方法における封止予定部を概念的に示す断面図、図6は図5に示された封止予定部を超音波かしめ後に得られた本発明の実施の形態2に係る封止管の封止部を模式的に示す部分断面図である。なお、各図を通じて同一または相当部分には同一符号を付している。図において、内面に多数の溝1aが設けられた実施の形態1と同様のパイプ1の端部の封止予定部1b内側には、パイプ1の肉厚と同程度以上の厚さを有する矩形の板状の金属片4が図5に示すように挿入される。なお、この実施の形態2は、上記実施の形態1においてパイプ1の封止予定部1b外周に被覆管2を被せたのに対し、パイプ1の封止予定部1bの内部に金属片4を挿入するように変えて、かしめ部の断面肉厚を大きくするようにしたものである。
上記金属片4として好ましく用いることができる材料としては、パイプ1と同質もしくは軟質の銅、銅合金、アルミニウム、アルミニウム合金などの金属材料を挙げることができる。また、金属片4の板厚はパイプ1の肉厚と同程度以上の厚さを有していれば良い。また、形状は必ずしも板である必要はないが、扁平な形状であることがより望ましい。その他の点は実施の形態1と同様であるので、説明を省略する。なお、ヒートパイプを製造する際には、例えば水などの作動流体を封入する前に、予め金属片4を挿入しておき、かしめる前に作動流体をパイプ1と金属片4との間を通してパイプ1内に注入する。
そして、上記図5の上下方向から押し付ける方向に超音波かしめ加工を行うと、挿入した金属片4とパイプ1が接合されると共に、塑性変形が進むにつれ挿入した金属片4が展延して全体が一体化され、図6に模式的に示すように健全な封止断面が得られる。
上記実施の形態2によれば、パイプ1の封止予定部1b内側に、パイプ1の肉厚と同程度以上の厚さを有する矩形の板状の金属片4を設けたことにより、かしめ工程の際に内面に形成された対向する溝1a同士が接触することが無くなるため、リークをもたらすピンホールの発生が一層抑制され、かつ肉厚も増加するため確実な封止が可能となるという効果が得られる。なお、パイプ1の封止部分を厚肉化するなど、封止予定部に特段の前加工を必要としないなど、実施の形態1と同様の効果も得られる。
実施の形態3.
図7は本発明の実施の形態3に係る薄肉のパイプの封止方法における封止予定部を概念的に示す部分断面図である。この実施の形態3は、実施の形態1において用いた被覆管2を、パイプ1と同様の金属からなる断面が矩形ないし正方形の帯状の巻付材5を、図7に示すように隙間なく巻き付けたものに変更し、かしめ部の断面肉厚を大きくするようにしたものである。なお、巻付材5は断面が円形の線材でも良く、何れの場合も図のように隙間なく巻き締めるように装着するとよい。さらに、薄い金属テープ材などを複数回巻き付けて厚みがパイプ1の肉厚と同程度以上となるようにしてもよい。なお、パイプ1の材質や形状等は実施の形態1と同様であり、巻付材5の材質は実施の形態1の被覆管2と同様のものが好ましく用いられる。
上記のように構成された封止予定部1bにおいても、超音波かしめ加工を行うと、パイプ1の封止部外周が巻付材5によって拘束されるため、パイプ1の変形が均一になり不均一加圧に起因する脆弱部の発生が抑制され、実質的に図4と同様の封止断面を有する封止管が得られる。実施の形態1の被覆管2はパイプ1にかぶせた際にその間にわずかに隙間ができるが、実施の形態3では巻き締めるようにすることでパイプ1と巻付材5との間の隙間をほとんど無くすことが容易である。また被覆による厚肉化の量を調整できるので、信頼性の高い封止部を容易に実現できるという効果が得られる。
なお、上記実施の形態1と実施の形態2を組み合わせ、封止予定部1bの外部に被覆管2を設ける一方、封止予定部1bの内部に金属片4を設け、超音波かしめ加工を行うこともできる。同様に上記実施の形態2と実施の形態3を組み合わせてもよい。その他、この発明の精神の範囲内で各種の変形や変更ができることは当然である。
1 パイプ、 1a 溝、 1b 封止予定部、 2 被覆管(管材)、 3 封止管、 4 金属片、 5 巻付材、 11 封止部。

Claims (5)

  1. 内面に複数の溝が形成されたパイプの封止部外周に、該パイプの肉厚と同程度以上の肉厚を有する管材が配設され、または巻付材が巻き付けられ、該パイプと共に一体的に超音波かしめ封止されてなることを特徴とする封止管。
  2. 内面に複数の溝が形成されたパイプの封止部内側に該パイプの肉厚と同程度以上の厚さを有する該パイプと同質または該パイプより軟質の材料からなる金属片が配設され、該パイプと共に一体的に超音波かしめ封止されてなることを特徴とする封止管。
  3. 上記パイプの内部に作動流体が密封収容されていることを特徴とする請求項1または請求項2記載の封止管。
  4. 内面に複数の溝が形成された薄肉のパイプの封止予定部の外周に、該パイプの肉厚と同程度以上の肉厚を有する管材を配設し、または該パイプの肉厚と同程度以上の肉厚を有する巻付材を巻き付け、しかる後、上記封止予定部を超音波かしめ封止することを特徴とする薄肉管の封止方法。
  5. 内面に複数の溝が形成された薄肉のパイプの封止予定部の内側に、該パイプの肉厚と同程度以上の厚さを有する該パイプと同質または該パイプより軟質の材料からなる金属片を配設し、しかる後、上記封止予定部を超音波かしめ封止することを特徴とする薄肉管の封止方法。
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