JP2010180167A - 抗がん剤 - Google Patents
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Abstract
【解決手段】本発明に係る抗がん剤は、カフェ酸誘導体を有効成分として、癌細胞又は異常細胞の増殖を抑制する作用を有することを特徴とする。
ここで、異常細胞とは、ポリープや良性腫瘍等の前癌状態にある細胞が主に挙げられる。
また、このようなカフェ酸誘導体として、2−カフェ酸シクロヘキサエステル(2−Cyclohexyl caffeate)若しくは3−カフェ酸シクロヘキサエステル(3−Cyclohexyl caffeate)が好適に使用できる。
【選択図】図1
Description
係るカフェ酸誘導体は、乳癌細胞、結腸癌および子宮癌に対して細胞増殖抑制作用があり、癌の縮小を介して癌の治療に有用である。
ここで、異常細胞とは、ポリープや良性腫瘍等の前癌状態にある細胞が主に挙げられる。
係る2−カフェ酸シクロヘキサエステル(2−Cyclohexyl caffeate)又は3−カフェ酸シクロヘキサエステル(3−Cyclohexyl caffeate)のカフェ酸誘導体は、乳癌細胞、結腸癌および子宮癌に対して、優れた細胞増殖抑制作用があり、特に乳癌の縮小を介して癌の治療に有用である。
2−カフェ酸シクロヘキサエステル(2−Cyclohexyl caffeate)の化学反応式を下記に示す。
caffeate)のヒト腫瘍細胞4株に対するin vitro細胞増殖抑制試験を実施した。
ヒト腫瘍細胞としては、4株(HT−29(結腸癌)、MCF7(乳癌)、Hela S3(子宮癌)、K−562(白血病))を使用した。
そして、被験物質としては、製造された2−カフェ酸シクロヘキサエステル(2−Cyclohexyl
caffeate)、カフェ酸(ナカライテスク製)、および、5−フルオロウラシル(5−FU;SIGMA製)を使用した。
カフェ酸を除く、3つの化合物はdimethyl sulfoxide(DMSO;関東化学製)で、2×10−2 mol/Lに、カフェ酸は同様に2×10−1
mol/Lに溶解し保存液とした。DMSOの最終濃度は0.05%以下とした。
(1)HT−29・・・McCoys’s 5A培地にペニシリン-ストレプトマイシン(終濃度100units/mL ペニシリン,100μg/mLストレプトマイシン)および牛胎仔血清(終濃度10%;JRH Biosciences)を添加した。
(2)Hela S3・・・MEM培地にペニシリン-ストレプトマイシンおよび牛胎仔血清を添加した。
(3)MCF7・・・MEM培地に非必須アミノ酸液、ピルビン酸ナトリウム(終濃度1mM)、ペニシリン-ストレプトマイシンおよび牛胎仔血清を添加した。
(4)K−562・・・RPMI1640培地にHEPESバッファー(終濃度10mM)、ペニシリン-ストレプトマイシンおよび牛胎仔血清を添加した。
個/mLの細胞懸濁液とした。この細胞懸濁液を96穴マイクロプレートに135 μL/wellずつ播種後、化合物をwellあたり15 μL添加して、37℃、5%CO2の環境下にて72時間培養した。
白血病細胞を除く細胞(いずれも単層培養)は、培養中の細胞を0.05% トリプシン、0.35mM EDTA・4Na液で剥離し、1000rpm、3分間遠心後、上清を取り除き、新たな培養液を加えて、HT−29及びHela
S3は1×104 個/mLに、MCF7は3×104 個/mLに細胞数を調製した。この細胞懸濁液を96穴マイクロプレートの各wellに135μLずつ播種し、37℃、5%CO2の環境下にて培養した。
播種24時間後、各濃度の被験液15μLを各wellに添加して、さらに72時間培養した。なお、実験はtriplicateで実施した。
各細胞は72時間培養後、各wellにリン酸緩衝生理食塩水(PBS)で5mg/mLに溶解したMTT液(3−4,5−dimethylthiazol−2yl−2,5−diphenyl
tetrazolium bromide;ナカライテスク製) 15μLを添加して、37℃、5%CO2の環境下にて4時間培養した。
MTT−formazan形成後、浮遊培養した細胞は、3000rpm、10分間遠心し上清を吸引した。他方、単層培養した細胞は培養液を吸引した。
試験した2−カフェ酸シクロヘキサエステル(2−Cyclohexyl caffeate)および対照薬の各種ヒト腫瘍細胞に対する50%増殖阻害濃度(IC50)を下記の表1に、2−カフェ酸シクロヘキサエステル(2−Cyclohexyl caffeate)およびカフェ酸の増殖に与える影響を図1に示す。
ここで、5−FUは、1957年にNature誌で抗腫瘍効果が報告された以後、50年以上の長期にわたり、大腸がん化学療法として活用され続けた薬剤である。
このことから、2−カフェ酸シクロヘキサエステル(2−Cyclohexyl caffeate)が、抗がん剤として有用であることが理解できるであろう。
caffeate)は、MCF7(乳癌)に対する作用がもっとも強く、K−562(白血病)>HT−29(結腸癌)>Hela S3(子宮癌)の順に増殖阻害作用が弱くなっているが、各細胞に対する50%増殖阻害濃度(IC50)に大きな差は認められなかった。
一方、カフェ酸では、K−562(白血病)に対する作用がもっとも強く、Hela S3(子宮癌)>HT−29(結腸癌)>MCF7(乳癌)の順であり、K−562(白血病)とMCF7(乳癌)では50%増殖阻害濃度(IC50)に8.8倍の差が認められた。
3−カフェ酸シクロヘキサエステル(3−Cyclohexyl caffeate)の化学反応式を下記に示す。
caffeate)のヒト腫瘍細胞4株に対するin vitro細胞増殖抑制試験を実施した。
試験した3−カフェ酸シクロヘキサエステル(3−Cyclohexyl caffeate)および対照薬の各種ヒト腫瘍細胞に対する50%増殖阻害濃度(IC50)を下記の表2に、3−カフェ酸シクロヘキサエステル(3−Cyclohexyl caffeate)およびカフェ酸の増殖に与える影響を図2に示す。
ここで、5−FUは、1957年にNature誌で抗腫瘍効果が報告された以後、50年以上の長期にわたり、大腸がん化学療法として活用され続けた薬剤である。
ここで、上述したように、5−FUは、1957年にNature誌で抗腫瘍効果が報告された以後、50年以上の長期にわたり、大腸がん化学療法として活用され続けた薬剤である。このことからも、3−カフェ酸シクロヘキサエステル(3−Cyclohexyl
caffeate)が、抗がん剤として有用であることが理解できるであろう。
caffeate)は、MCF7(乳癌)に対する作用がもっとも強く、K−562(白血病)>HT−29(結腸癌)>Hela S3(子宮癌)の順に増殖阻害作用が弱くなっているが、各細胞に対する50%増殖阻害濃度(IC50)に大きな差は認められなかった。
一方、カフェ酸では、K−562(白血病)に対する作用がもっとも強く、Hela S3(子宮癌)=HT−29(結腸癌)>MCF7(乳癌)の順であり、K−562(白血病)とMCF7(乳癌)では50%増殖阻害濃度(IC50)に10.4倍の差が認められた。
上述した実施例は、以下に説明するように変更して具現化することもできる。
(1)上述の実施例のカフェ酸誘導体は、上述のような人為的に有機化学合成されたもの以外の植物(コーヒー豆、ヨモギ、カンショの葉など)又は動物から抽出することも可能である。
(2)飲食品や医薬品に用いる場合には、上述の実施例のカフェ酸誘導体に加え、ビタミン類やフラボノイド類を添加材として利用できる。
(3)上述の実施例のカフェ酸誘導体は、正常な血球系細胞に作用すると免疫賦活作用を発揮するため、免疫賦活剤として利用できる。
(4)上述の実施例のカフェ酸誘導体を利用して、それを含有する化粧品や医薬部外品を製造できる。
(5)上述の実施例のカフェ酸誘導体に、他の増殖抑制作用を有する2−カフェ酸フェネチルエステル(2−CAPE)、3−カフェ酸フェネチルエステル(3−CAPE)、又は4−カフェ酸フェネチルエステル(4−CAPE)を含めることでも構わない。
Claims (6)
- カフェ酸誘導体を有効成分として含有し、腫瘍細胞もしくは異常細胞の増殖抑制作用を有する抗がん剤。
- 前記有効成分は、2−カフェ酸シクロヘキサエステル(2−Cyclohexyl caffeate)、又は、3−カフェ酸シクロヘキサエステル(3−Cyclohexyl caffeate)から選択される少なくとも1種であることを特徴とする請求項1に記載の抗がん剤。
- 2−カフェ酸シクロヘキサエステル(2−Cyclohexyl caffeate)を有効成分として含有し、乳癌細胞、結腸癌および子宮癌に対して、50%増殖阻害濃度(IC50)比較で、5−フルオロウラシル(5−FU)の1.8倍以上の増殖抑制作用を有する抗がん剤。
- 2−カフェ酸シクロヘキサエステル(2−Cyclohexyl caffeate)を有効成分として含有し、乳癌細胞に対して、50%増殖阻害濃度(IC50)比較で、5−フルオロウラシル(5−FU)の4倍以上の増殖抑制作用を有する抗がん剤。
- 3−カフェ酸シクロヘキサエステル(3−Cyclohexyl caffeate)を有効成分として含有し、乳癌細胞、結腸癌および子宮癌に対して、50%増殖阻害濃度(IC50)比較で、5−フルオロウラシル(5−FU)の2倍以上の増殖抑制作用を有する抗がん剤。
- 3−カフェ酸シクロヘキサエステル(3−Cyclohexyl caffeate)を有効成分として含有し、乳癌細胞に対して、50%増殖阻害濃度(IC50)比較で、5−フルオロウラシル(5−FU)の7倍以上の増殖抑制作用を有する抗がん剤。
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