JP2010180120A - チタン酸アルミニウム系焼成体の製造方法および多孔質セラミックス成形体、ならびに多孔質セラミックス成形体の試験方法 - Google Patents

チタン酸アルミニウム系焼成体の製造方法および多孔質セラミックス成形体、ならびに多孔質セラミックス成形体の試験方法 Download PDF

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Abstract

【課題】多孔性に優れるとともに、焼成時の収縮率(焼成収縮率)を低く抑えることが可能なチタン酸アルミニウム系セラミックスからなる焼成体を製造し得る方法、チタン酸アルミニウム系セラミックスからなる多孔質セラミックス成形体であって、DPFなどのフィルターとして好適に適用できる、優れた細孔特性を有する多孔質セラミックス成形体を提供する。
【解決手段】アルミニウム源粉末およびチタニウム源粉末を含む原料混合物の成形体を焼成する工程を備え、該アルミニウム源粉末は、レーザ回折法により測定される粒径分布において、下記式(1)を満たすチタン酸アルミニウム系焼成体の製造方法および特定の細孔特性を有する多孔質セラミックス成形体が提供される。式中、D90は体積基準の累積百分率90%相当粒子径であり、D10は体積基準の累積百分率10%相当粒子径である。
(D90/D10)1/2<2 (1)
【選択図】なし

Description

本発明は、チタン酸アルミニウム系セラミックスからなる焼成体の製造方法に関し、より詳しくは、アルミニウム源粉末およびチタニウム源粉末を含む原料混合物の成形体を焼成してチタン酸アルミニウム系セラミックスからなる焼成体を製造する方法に関する。また、本発明は、チタン酸アルミニウム系セラミックスからなる多孔質セラミックス成形体およびその試験方法に関する。
チタン酸アルミニウム系セラミックスは、構成元素としてチタンおよびアルミニウムを含み、X線回折スペクトルにおいて、チタン酸アルミニウムの結晶パターンを有するセラミックスであって、耐熱性に優れたセラミックスとして知られている。チタン酸アルミニウム系セラミックスは、従来からルツボのような焼結用の冶具などとして用いられてきたが、近年では、ディーゼルエンジンなどの内燃機関から排出される排ガスに含まれる微細なカーボン粒子を捕集するためのセラミックスフィルターを構成する材料として、産業上の利用価値が高まっている。
チタン酸アルミニウム系セラミックスの製造方法としては、チタニアなどのチタニウム源化合物の粉末およびアルミナなどのアルミニウム源化合物の粉末を含む原料混合物を焼成する方法が知られている(特許文献1)。
しかし、チタン酸アルミニウムは、これをアルミニウム源粉末およびチタニウム源粉末を含む原料粉末または該原料粉末の成形体を焼成することにより調製する場合、焼成時に大きく収縮する、すなわち、焼成収縮率が高いという課題を有していた。焼成収縮率が高いと、焼成時に割れが発生しやすくなる。
かかる課題を解決すべく、特許文献2には、特定の粒径分布特性を示すTiO2粉末、およびAl23粉末を含有する原料混合物をハニカム形状に成形し、該成形体を焼成することによりチタン酸アルミニウム質セラミックハニカム構造体を製造する方法が開示されている。
国際公開第05/105704号パンフレット 国際公開第08/078747号パンフレット
一方、チタン酸アルミニウム系セラミックスからなる焼成体を、たとえば上記セラミックスフィルターに適用する場合、フィルター性能(排ガス処理能力、高すす堆積能力、圧力損失等)向上の観点から、これを構成するチタン酸アルミニウム系焼成体には、多孔性に優れる(大きい細孔径および開気孔率を有する)ことが要求される。また、チタン酸アルミニウム系セラミックスからなる多孔質セラミックス成形体を、上記セラミックスフィルター、特には、ディーゼルエンジンの排ガスフィルター(ディーゼル微粒子フィルター;Diesel Particulate Filter、以下DPFとも称する)に適用する場合、該成形体には、適切に制御された細孔特性を有することが求められる。
そこで、本発明の目的は、多孔性に優れるとともに、焼成時の収縮率(焼成収縮率)を低く抑えることが可能なチタン酸アルミニウム系焼成体を製造し得る方法を提供することである。また、本発明の他の目的は、チタン酸アルミニウム系セラミックスからなる多孔質セラミックス成形体であって、DPFなどのフィルターとして好適に適用できる、優れた細孔特性を有する多孔質セラミックス成形体を提供することである。
本発明は、アルミニウム源粉末およびチタニウム源粉末を含む原料混合物の成形体を焼成する工程を備え、該アルミニウム源粉末が、レーザ回折法により測定される粒径分布において、下記式(1)を満たすチタン酸アルミニウム系焼成体の製造方法を提供する。
(D90/D10)1/2<2 (1)
ここで、上記式(1)中、D90は体積基準の累積百分率90%相当粒子径であり、D10は体積基準の累積百分率10%相当粒子径である。
上記原料混合物中における、Al23換算でのアルミニウム源粉末とTiO2換算でのチタニウム源粉末とのモル比は、35:65〜45:55の範囲内であることが好ましい。
また、アルミニウム源粉末の、レーザ回折法により測定される体積基準の累積百分率50%相当粒子径D50は、20〜60μmの範囲内であることが好ましい。
上記原料混合物は、マグネシウム源粉末をさらに含んでいてもよい。この場合、Al23換算でのアルミニウム源粉末とTiO2換算でのチタニウム源粉末との合計量に対する、MgO換算でのマグネシウム源粉末の量は、モル比で0.03〜0.15の範囲内であることが好ましい。
上記原料混合物は、ケイ素源粉末をさらに含んでいてもよい。また、ケイ素源粉末は、長石あるいはガラスフリット、またはそれらの混合物からなる粉末であることが好ましい。
上記原料混合物の成形体の形状としては、たとえばハニカム形状とすることができる。
また、本発明は、下記(i)もしくは(ii)、または(i)および(ii)に示される細孔特性を満たす、主にチタン酸アルミニウム系結晶からなる多孔質セラミックス成形体を提供する。
(i)開気孔率が35%以上であり、かつ、水銀圧入法により測定される細孔直径分布が下記式(2)および(3)を満たす。
4-20/Vtotal≧0.8 (2)
20-200/Vtotal≦0.1 (3)
ここで、式中、V4-20は細孔直径が4〜20μmである細孔の累積細孔容積であり、V20-200は細孔直径が20〜200μmである細孔の累積細孔容積であり、Vtotalは細孔直径が0.005〜200μmである細孔の累積細孔容積である。
(ii)該多孔質セラミックス成形体または該成形体から切り出された試験片を液相中に浸漬し、該成形体または該試験片のいずれかの面から12kPa(ゲージ圧)に加圧されたガスを供給したとき、該液相が水である場合、該ガスを供給する面とは異なるいずれかの面から該ガスによる発泡が生じず、該液相が100%エタノールである場合、該ガスを供給する面とは異なるいずれかの面から該ガスによる発泡が生じる。
本発明の多孔質セラミックス成形体は、好ましくは、内部に1以上の空洞部を有する成形体であり、該多孔質セラミックス成形体から、1つの上記空洞部からなる長さ方向に貫通する貫通穴を有する柱状の中空片を切り出し、その長さ方向における一方の端面を封止して試験片を作製し、該試験片を液相中に浸漬し、長さ方向における他方の端面に開いた該貫通穴の開口から12kPa(ゲージ圧)に加圧されたガスを供給したとき、該液相が水である場合、長さ方向における両端面以外の表面から該ガスによる発泡が生じず、該液相が100%エタノールである場合、長さ方向における両端面以外の表面のいずれかから該ガスによる発泡が生じる。
さらに、本発明は、多孔質セラミックス成形体の細孔構造を評価するための試験方法であって、該成形体または該成形体から切り出された試験片を液相中に浸漬し、該成形体または該試験片のいずれかの面から加圧されたガスを供給して、該ガスを供給する面とは異なるいずれかの面からの該ガスによる発泡の有無を確認する試験方法を提供する。
1つの好ましい形態において、本発明の試験方法は、内部に1以上の空洞部を有する多孔質セラミックス成形体の細孔構造を評価するための試験方法であり、該多孔質セラミックス成形体から、1つの上記空洞部からなる長さ方向に貫通する貫通穴を有する柱状の中空片を切り出し、その長さ方向における一方の端面を封止してなる試験片を液相中に浸漬し、長さ方向における他方の端面に開いた該貫通穴の開口から加圧されたガスを供給して、長さ方向における両端面以外の表面からの該ガスによる発泡の有無を確認することを特徴とする。
上記液相としては、水、アルコール類または水とアルコール類との混合溶媒が好ましく用いられる。これらのうち、2種以上の液相を用い、それぞれの液相について上記発泡の有無を測定し、液相の種類または組成比と発泡の有無との関係を知ることにより、多孔質セラミックス成形体の細孔構造をより具体的に評価することができる。
本発明の製造方法によれば、大きな細孔径および開気孔率を有するチタン酸アルミニウム系焼成体を製造することができるとともに、原料混合物の成形体の焼成時における収縮率(焼成収縮率)を低く抑えることができる。
また、本発明によれば、細孔特性が適切に制御されたチタン酸アルミニウム系セラミックスからなる多孔質セラミックス成形体を提供することができる。本発明の多孔質セラミックス成形体は、DPFなどのセラミックスフィルターのフィルター性能を向上させ得る、優れた細孔特性を有する。
さらに、本発明の試験方法によれば、多孔質セラミックス成形体の細孔構造を簡便に目視で評価することが可能となる。
多孔質セラミックスハニカム構造体から切り出された、ハニカム構造体の1つのセルからなる長さ方向に貫通する貫通穴を有する中空状の試験片を液相に浸漬したときの、貫通細孔を有するセル壁にかかる圧力を模式的に示す図である。 本発明の試験方法を説明するための模式図である。
<チタン酸アルミニウム系焼成体の製造方法>
本発明のチタン酸アルミニウム系焼成体は、アルミニウム源粉末およびチタニウム源粉末を含む原料混合物の成形体を焼成することにより製造される。かかる原料混合物を用いて得られるチタン酸アルミニウム系焼成体は、チタン酸アルミニウム系結晶からなる焼成体である。
本発明において用いられる原料混合物に含有されるアルミニウム源粉末は、チタン酸アルミニウム系焼成体を構成するアルミニウム成分となる化合物の粉末である。アルミニウム源粉末としては、たとえば、アルミナ(酸化アルミニウム)の粉末が挙げられる。アルミナの結晶型としては、γ型、δ型、θ型、α型などが挙げられ、不定形(アモルファス)であってもよい。なかでも、α型のアルミナが好ましく用いられる。
本発明で用いられるアルミニウム源粉末は、単独で空気中で焼成することによりアルミナに導かれる化合物の粉末であってもよい。かかる化合物としては、たとえばアルミニウム塩、アルミニウムアルコキシド、水酸化アルミニウム、金属アルミニウムなどが挙げられる。
アルミニウム塩は、無機酸との無機塩であってもよいし、有機酸との有機塩であってもよい。アルミニウム無機塩として具体的には、たとえば、硝酸アルミニウム、硝酸アンモニウムアルミニウムなどのアルミニウム硝酸塩;炭酸アンモニウムアルミニウムなどのアルミニウム炭酸塩などが挙げられる。アルミニウム有機塩としては、たとえば、蓚酸アルミニウム、酢酸アルミニウム、ステアリン酸アルミニウム、乳酸アルミニウム、ラウリン酸アルミニウムなどが挙げられる。
また、アルミニウムアルコキシドとして具体的には、たとえば、アルミニウムイソプロポキシド、アルミニウムエトキシド、アルミニウムsec−ブトキシド、アルミニウムtert−ブトキシドなどが挙げられる。
水酸化アルミニウムの結晶型としては、たとえば、ギブサイト型、バイヤライト型、ノロソトランダイト型、ベーマイト型、擬ベーマイト型などが挙げられ、不定形(アモルファス)であってもよい。アモルファスの水酸化アルミニウムとしては、たとえば、アルミニウム塩、アルミニウムアルコキシドなどのような水溶性アルミニウム化合物の水溶液を加水分解して得られるアルミニウム加水分解物も挙げられる。
本発明において、アルミニウム源粉末としては、1種のみが用いられてもよいし、2種以上が併用されてもよい。
上記のなかでも、アルミニウム源粉末としては、アルミナ粉末が好ましく用いられ、より好ましくは、α型のアルミナ粉末である。なお、アルミニウム源粉末は、その原料由来あるいは製造工程において不可避的に含まれる微量成分を含有し得る。
ここで、本発明においては、アルミニウム源粉末として、レーザ回折法による粒径分布において、下記式(1)を満たすアルミニウム源粉末を用いる。
(D90/D10)1/2<2 (1)
上記式(1)中、D90は体積基準の累積百分率90%相当粒子径であり、D10は体積基準の累積百分率10%相当粒子径である。
上記式(1)は、体積基準の累積百分率10%相当粒子径D10に対する累積百分率90%相当粒子径D90が比較的小さいことを意味しており、使用するアルミニウム源粉末の粒径分布が比較的狭い(シャープである)ことを示している。(D90/D10)1/2が2未満であるような粒径分布がシャープなアルミニウム源粉末を用いることにより、原料混合物成形体の焼成時における収縮率を十分に低減させることが可能であり、これにより、焼成時における成形体の割れ等を回避することができる。また、(D90/D10)1/2が2未満であるアルミニウム源粉末を用いることにより、大きい細孔径および開気孔率を有するチタン酸アルミニウム系焼成体を得ることが可能となる。(D90/D10)1/2が2以上である場合、十分に低い焼成収縮率が達成されないことがある。
原料混合物成形体の焼成収縮率のさらなる低減のためには、(D90/D10)1/2は、1.9以下であることがより好ましい。また、焼成時におけるチタン酸アルミニウムの生成を促進するという観点からは、(D90/D10)1/2は、1.1以上であることが好ましく、1.3以上であることがより好ましい。
なお、本発明において用いられるアルミニウム源粉末は、上記式(1)を満たす限りにおいて、シングルモーダルな粒径分布を有していてもよく、バイモーダルな粒径分布を有していてもよく、あるいはそれ以上の粒径ピークを有するものであってもよい。
上記式(1)を満たすアルミニウム源粉末としては、市販品をそのまま用いることもできるし、あるいは、市販品のアルミニウム源粉末に対して、たとえば次のような処理を施して上記式(1)を満たすアルミニウム源粉末を得てもよい。
(a)市販品のアルミニウム源粉末を、篩い分け等により分級する。
(b)市販品のアルミニウム源粉末を、造粒機等を用いて造粒する。
ここで、本発明においては、使用するアルミニウム源粉末の、レーザ回折法により測定される体積基準の累積百分率50%相当粒子径(D50)は、20μm以上、60μm以下の範囲内であることが好ましい。アルミニウム源粉末のD50をこの範囲内に調整することにより、優れた多孔性を示すチタン酸アルミニウム系焼成体が得られるとともに、焼成収縮率をより効果的に低減させることができる。アルミニウム源粉末のD50は、より好ましくは30μm以上、60μm以下である。
上記原料混合物に含有されるチタニウム源粉末は、チタン酸アルミニウム系焼成体を構成するチタン成分となる化合物の粉末であり、かかる化合物としては、たとえば酸化チタンの粉末が挙げられる。酸化チタンとしては、たとえば、酸化チタン(IV)、酸化チタン(III)、酸化チタン(II)などが挙げられ、酸化チタン(IV)が好ましく用いられる。酸化チタン(IV)の結晶型としては、アナターゼ型、ルチル型、ブルッカイト型などが挙げられ、不定形(アモルファス)であってもよい。より好ましくは、アナターゼ型、ルチル型の酸化チタン(IV)である。
本発明で用いられるチタニウム源粉末は、単独で空気中で焼成することによりチタニア(酸化チタン)に導かれる化合物の粉末であってもよい。かかる化合物としては、たとえば、チタニウム塩、チタニウムアルコキシド、水酸化チタニウム、窒化チタン、硫化チタン、チタン金属などが挙げられる。
チタニウム塩として具体的には、三塩化チタン、四塩化チタン、硫化チタン(IV)、硫化チタン(VI)、硫酸チタン(IV)などが挙げられる。チタニウムアルコキシドとして具体的には、チタン(IV)エトキシド、チタン(IV)メトキシド、チタン(IV)t−ブトキシド、チタン(IV)イソブトキシド、チタン(IV)n−プロポキシド、チタン(IV)テトライソプロポキシド、および、これらのキレート化物などが挙げられる。
本発明において、チタニウム源粉末としては、1種のみが用いられてもよいし、2種以上が併用されてもよい。
上記のなかでも、チタニウム源粉末としては、酸化チタン粉末が好ましく用いられ、より好ましくは、酸化チタン(IV)粉末である。なお、チタニウム源粉末は、その原料由来あるいは製造工程において不可避的に含まれる微量成分を含有し得る。
チタニウム源粉末の粒径は、特に限定されないが、通常、レーザ回折法により測定される、体積基準の累積百分率50%相当粒子径(D50)が0.5〜25μmの範囲内であるものが用いられ、十分に低い焼成収縮率の達成のためには、D50が1〜20μmの範囲内であるチタニウム源粉末を用いることが好ましい。なお、チタニウム源粉末は、バイモーダルな粒径分布を示すことがあるが、このようなバイモーダルな粒径分布を示すチタニウム源粉末を用いる場合においては、レーザ回折法により測定される、粒径が大きい方のピークを形成する粒子の粒径は、好ましくは20〜50μmの範囲内である。
また、レーザ回折法により測定されるチタニウム源粉末のモード径は、特に限定されないが、0.3〜60μmの範囲内であるものを用いることができる。
本発明においては、上記原料混合物中におけるAl23(アルミナ)換算でのアルミニウム源粉末とTiO2(チタニア)換算でのチタニウム源粉末とのモル比は、35:65〜45:55の範囲内とすることが好ましく、より好ましくは40:60〜45:55の範囲内である。このような範囲内で、チタニウム源粉末をアルミニウム源粉末に対して過剰に用いることにより、原料混合物の成形体の焼成収縮率をより効果的に低減させることが可能となる。
また、上記原料混合物は、マグネシウム源粉末を含有していてもよい。原料混合物がマグネシウム源粉末を含む場合、得られるチタン酸アルミニウム系焼成体は、チタン酸アルミニウムマグネシウム結晶からなる焼成体である。マグネシウム源粉末としては、マグネシア(酸化マグネシウム)の粉末のほか、単独で空気中で焼成することによりマグネシアに導かれる化合物の粉末が挙げられる。後者の例としては、たとえば、マグネシウム塩、マグネシウムアルコキシド、水酸化マグネシウム、窒化マグネシウム、金属マグネシウムなどが挙げられる。
マグネシウム塩として具体的には、塩化マグネシウム、過塩素酸マグネシウム、リン酸マグネシウム、ピロりん酸マグネシウム、蓚酸マグネシウム、硝酸マグネシウム、炭酸マグネシウム、酢酸マグネシウム、硫酸マグネシウム、クエン酸マグネシウム、乳酸マグネシウム、ステアリン酸マグネシウム、サリチル酸マグネシウム、ミリスチン酸マグネシウム、グルコン酸マグネシウム、ジメタクリル酸マグネシウム、安息香酸マグネシウムなどが挙げられる。
マグネシウムアルコキシドとして具体的には、マグネシウムメトキシド、マグネシウムエトキシドなどが挙げられる。なお、マグネシウム源粉末は、その原料由来あるいは製造工程において不可避的に含まれる微量成分を含有し得る。
マグネシウム源粉末として、マグネシウム源とアルミニウム源とを兼ねた化合物の粉末を用いることもできる。このような化合物としては、たとえば、マグネシアスピネル(MgAl24)が挙げられる。なお、マグネシウム源粉末として、マグネシウム源とアルミニウム源とを兼ねた化合物の粉末を用いる場合、アルミニウム源粉末のAl23(アルミナ)換算量、および、マグネシウム源とアルミニウム源とを兼ねた化合物粉末に含まれるAl成分のAl23(アルミナ)換算量の合計量と、チタニウム源粉末のTiO2(チタニア)換算量とのモル比が、原料混合物中において上記範囲内となるように調整される。
本発明において、マグネシウム源粉末としては、1種のみが用いられてもよいし、2種以上が併用されてもよい。
マグネシウム源粉末の粒径は、特に限定されないが、通常、レーザ回折法により測定される、体積基準の累積百分率50%相当粒子径(D50)が0.5〜30μmの範囲内であるものが用いられ、原料混合物成形体の焼成収縮率低減の観点からは、D50が3〜20μmの範囲内であるマグネシウム源粉末を用いることが好ましい。
原料混合物中におけるMgO(マグネシア)換算でのマグネシウム源粉末の含有量は、Al23(アルミナ)換算でのアルミニウム源粉末とTiO2(チタニア)換算でのチタニウム源粉末との合計量に対して、モル比で、0.03〜0.15とすることが好ましく、より好ましくは0.03〜0.12である。マグネシウム源粉末の含有量をこの範囲内に調整することにより、耐熱性がより向上された、大きい細孔径および開気孔率を有するチタン酸アルミニウム系焼成体を比較的容易に得ることができる。
また、上記原料混合物は、ケイ素源粉末をさらに含有していてもよい。ケイ素源粉末は、シリコン成分となってチタン酸アルミニウム系焼成体に含まれる化合物の粉末であり、ケイ素源粉末の併用により、耐熱性がより向上されたチタン酸アルミニウム系焼成体を得ることが可能となる。ケイ素源粉末としては、たとえば、二酸化ケイ素、一酸化ケイ素などの酸化ケイ素(シリカ)の粉末が挙げられる。
また、ケイ素源粉末は、単独で空気中で焼成することによりシリカに導かれる化合物の粉末であってもよい。かかる化合物としては、たとえば、ケイ酸、炭化ケイ素、窒化ケイ素、硫化ケイ素、四塩化ケイ素、酢酸ケイ素、ケイ酸ナトリウム、オルトケイ酸ナトリウム、長石、ガラスフリットなどが挙げられる。なかでも、長石、ガラスフリットなどが好ましく用いられ、工業的に入手が容易であり、組成が安定している点で、ガラスフリットなどがより好ましく用いられる。なお、ガラスフリットとは、ガラスを粉砕して得られるフレークまたは粉末状のガラスをいう。ケイ素源粉末として、長石とガラスフリットとの混合物からなる粉末を用いることも好ましい。
ガラスフリットを用いる場合、得られるチタン酸アルミニウム系焼成体の耐熱分解性をより向上させるという観点から、屈伏点が700℃以上のものを用いることが好ましい。本発明において、ガラスフリットの屈伏点は、熱機械分析装置(TMA:Thermo Mechanical Analyisis)を用いて、低温からガラスフリットの膨張を測定し、膨張が止まり、次に収縮が始まる温度(℃)と定義される。
上記ガラスフリットを構成するガラスには、ケイ酸〔SiO2〕を主成分(全成分中50質量%以上)とする一般的なケイ酸ガラスを用いることができる。ガラスフリットを構成するガラスは、その他の含有成分として、一般的なケイ酸ガラスと同様、アルミナ〔Al23〕、酸化ナトリウム〔Na2O〕、酸化カリウム〔K2O〕、酸化カルシウム〔CaO〕、マグネシア〔MgO〕等を含んでいてもよい。また、ガラスフリットを構成するガラスは、ガラス自体の耐熱水性を向上させるために、ZrO2を含有していてもよい。
本発明において、ケイ素源粉末としては、1種のみが用いられてもよいし、2種以上が併用されてもよい。
ケイ素源粉末の粒径は、特に限定されないが、通常、レーザ回折法により測定される、体積基準の累積百分率50%相当粒子径(D50)が0.5〜30μmの範囲内であるものが用いられ、原料混合物の成形体の充填率をより向上させ、機械的強度のより高い焼成体を得るためには、D50が1〜20μmの範囲内であるケイ素源粉末を用いることが好ましい。
原料混合物がケイ素源粉末を含む場合、原料混合物中におけるケイ素源粉末の含有量は、Al23(アルミナ)換算でのアルミニウム源粉末とTiO2(チタニア)換算でのチタニウム源粉末との合計量100質量部に対して、SiO2(シリカ)換算で、通常0.1質量部〜10質量部であり、好ましくは5質量部以下である。なお、ケイ素源粉末は、その原料由来あるいは製造工程において不可避的に含まれる微量成分を含有し得る。
なお、本発明では、上記マグネシアスピネル(MgAl24)などの複合酸化物のように、チタニウム、アルミニウム、ケイ素およびマグネシウムのうち、2つ以上の金属元素を成分とする化合物を原料粉末として用いることができる。この場合、そのような化合物は、それぞれの金属源化合物を混合した原料混合物と同じであると考えることができ、このような考えに基づき、原料混合物中におけるアルミニウム源原料、チタニウム源原料、マグネシウム源原料およびケイ素源原料の含有量が上記範囲内に調整される。
また、原料混合物にはチタン酸アルミニウムやチタン酸アルミニウムマグネシウム自体が含まれていてもよく、たとえば、原料混合物の構成成分としてチタン酸アルミニウムマグネシウムを使用する場合、該チタン酸アルミニウムマグネシウムは、チタニウム源、アルミニウム源およびマグネシウム源を兼ね備えた原料に相当する。
本発明においては、上記アルミニウム源粉末、チタニウム源粉末、ならびに任意で使用されるマグネシウム源粉末およびケイ素源粉末を含む原料混合物を成形して成形体を得た後、当該成形体を焼成することにより、チタン酸アルミニウム系焼成体を得る。成形してから焼成を行なうことにより、原料混合物を直接焼成する場合と比較して、焼成中の収縮を抑えることができることから、得られるチタン酸アルミニウム系焼成体の割れを効果的に抑制でき、また、焼成により生成した多孔質性のチタン酸アルミニウム結晶の細孔形状が維持されたチタン酸アルミニウム系焼成体を得ることができる。成形体の形状は特に制限されないが、たとえば、ハニカム形状、棒状、チューブ状、板状、るつぼ形状等を挙げることができる。
原料混合物の成形に用いる成形機としては、一軸プレス、押出成形機、打錠機、造粒機などが挙げられる。押出し成形を行なう際には、原料混合物に、たとえば、造孔剤、バインダ、潤滑剤および可塑剤、分散剤、ならびに溶媒などの添加剤を添加して成形することができる。
上記造孔剤としては、グラファイト等の炭素材;ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリメタクリル酸メチル等の樹脂類;でんぷん、ナッツ殻、クルミ殻、コーンなどの植物系材料;氷;およびドライアイス等などが挙げられる。造孔剤の添加量は、アルミニウム源粉末、チタニウム源粉末、マグネシウム源粉末およびケイ素源粉末の合計量100質量部に対して、通常、0〜40質量部であり、好ましくは0〜25質量部である。
上記バインダとしては、メチルセルロース、カルボキシルメチルセルロース、ナトリウムカルボキシルメチルセルロースなどのセルロース類;ポリビニルアルコールなどのアルコール類;リグニンスルホン酸塩などの塩;パラフィンワックス、マイクロクリスタリンワックス等のワックス;EVA、ポリエチレン、ポリスチレン、液晶ポリマー、エンジニアリングプラスチックなどの熱可塑性樹脂などが挙げられる。バインダの添加量は、アルミニウム源粉末、チタニウム源粉末、マグネシウム源粉末およびケイ素源粉末の合計量100質量部に対して、通常、20質量部以下であり、好ましくは15質量部以下である。
上記潤滑剤および可塑剤としては、グリセリンなどのアルコール類;カプリル酸、ラウリン酸、パルミチン酸、アラギン酸、オレイン酸、ステアリン酸などの高級脂肪酸;ステアリン酸Alなどのステアリン酸金属塩などが挙げられる。潤滑剤および可塑剤の添加量は、アルミニウム源粉末、チタニウム源粉末、マグネシウム源粉末およびケイ素源粉末の合計量100質量部に対して、通常、0〜10質量部であり、好ましくは1〜5質量部である。
上記分散剤としては、たとえば、硝酸、塩酸、硫酸などの無機酸;シュウ酸、クエン酸、酢酸、リンゴ酸、乳酸などの有機酸;メタノール、エタノール、プロパノールなどのアルコール類;ポリカルボン酸アンモニウム、ポリオキシアルキレンアルキルエーテルなどの界面活性剤などが挙げられる。分散剤の添加量は、アルミニウム源粉末、チタニウム源粉末、マグネシウム源粉末およびケイ素源粉末の合計量100質量部に対して、通常、0〜20質量部であり、好ましくは2〜8質量部である。
また、上記溶媒としては、たとえば、メタノール、エタノール、ブタノール、プロパノールなどのアルコール類;プロピレングリコール、ポリプロピレングリコール、エチレングリコールなどのグリコール類;および水などを用いることができる。なかでも、水が好ましく、不純物が少ない点で、より好ましくはイオン交換水が用いられる。溶媒の使用量は、アルミニウム源粉末、チタニウム源粉末、マグネシウム源粉末およびケイ素源粉末の合計量100質量部に対して、通常、10質量部〜100質量部、好ましくは20質量部〜80質量部である。
成形に供される原料混合物は、上記アルミニウム源粉末、チタニウム源粉末、ならびに任意で使用されるマグネシウム源粉末、ケイ素源粉末、および上記の各種添加剤を混合(混練)することにより得ることができる。
成形体の焼成における焼成温度は、通常、1300℃以上、好ましくは1400℃以上である。また、焼成温度は、通常、1650℃以下、好ましくは1550℃以下である。焼成温度までの昇温速度は特に限定されるものではないが、通常、1℃/時間〜500℃/時間である。ケイ素源粉末を用いる場合には、焼成工程の前に、1100〜1300℃の温度範囲で3時間以上保持する工程を設けることが好ましい。これにより、ケイ素源粉末の融解、拡散を促進させることができる。原料混合物がバインダ等の添加燃焼性有機物を含む場合、焼成工程には、これを除去するための仮焼(脱脂)工程が含まれる。脱脂は、典型的には、焼成温度に至るまでの昇温段階(たとえば、150〜400℃の温度範囲)になされる。脱脂工程おいては、昇温速度を極力おさえることが好ましい。
焼成は通常、大気中で行なわれるが、用いる原料粉末、すなわちアルミニウム源粉末、チタニウム源粉末、マグネシウム源粉末およびケイ素源粉末の種類や使用量比によっては、窒素ガス、アルゴンガスなどの不活性ガス中で焼成してもよいし、一酸化炭素ガス、水素ガスなどのような還元性ガス中で焼成してもよい。また、水蒸気分圧を低くした雰囲気中で焼成を行なってもよい。
焼成は、通常、管状電気炉、箱型電気炉、トンネル炉、遠赤外線炉、マイクロ波加熱炉、シャフト炉、反射炉、ロータリー炉、ローラーハース炉などの通常の焼成炉を用いて行なわれる。焼成は回分式で行なってもよいし、連続式で行なってもよい。また、静置式で行なってもよいし、流動式で行なってもよい。
焼成に要する時間は、原料混合物の成形体がチタン酸アルミニウム系結晶に遷移するのに十分な時間であればよく、原料混合物の量、焼成炉の形式、焼成温度、焼成雰囲気などにより異なるが、通常は10分〜24時間である。
以上のようにして、目的のチタン酸アルミニウム系焼成体を得ることができる。このようなチタン酸アルミニウム系焼成体は、成形直後の成形体の形状をほぼ維持した形状を有する。得られたチタン酸アルミニウム系焼成体は、研削加工等により、所望の形状に加工することもできる。
本発明により得られるチタン酸アルミニウム系焼成体は、たとえば、ルツボ、セッター、コウ鉢、炉材などの焼成炉用冶具;ディーゼルエンジン、ガソリンエンジンなどの内燃機関の排気ガス浄化に用いられる排ガスフィルターや、触媒担体、ビールなどの飲食物の濾過に用いる濾過フィルター、石油精製時に生じるガス成分、たとえば一酸化炭素、二酸化炭素、窒素、酸素などを選択的に透過させるための選択透過フィルターなどのセラミックスフィルター;基板、コンデンサーなどの電子部品などに好適に適用することができる。なかでも、セラミックスフィルターなどとして用いる場合、本発明のチタン酸アルミニウム系焼成体は、高い細孔容積および開気孔率を有することから、良好なフィルター性能を長期にわたって維持することができる。
本発明により得られるチタン酸アルミニウム系焼成体は、X線回折スペクトルにおいて、チタン酸アルミニウムまたはチタン酸アルミニウムマグネシウムの結晶パターンのほか、アルミナ、チタニアなどの結晶パターンを含んでいてもよい。なお、本発明のチタン酸アルミニウム系焼成体は、チタン酸アルミニウムマグネシウム結晶からなる場合、組成式:Al2(1−x)MgxTi(1+x)5で表すことができ、xの値は0.03以上であり、好ましくは0.03以上0.15以下、より好ましくは0.03以上0.12以下である。また、本発明により得られるチタン酸アルミニウム系焼成体は、原料由来あるいは製造工程において不可避的に含まれる微量成分を含有し得る。
<多孔質セラミックス成形体>
本発明の多孔質セラミックス成形体は、主にチタン酸アルミニウム系結晶からなる多孔性のセラミックス成形体である。「主にチタン酸アルミニウム系結晶からなる」とは、多孔質セラミックス成形体を構成する主結晶相がチタン酸アルミニウム系結晶相であることを意味し、チタン酸アルミニウム系結晶相は、たとえば、チタン酸アルミニウム結晶相、チタン酸アルミニウムマグネシウム結晶相などであってよい。
本発明の多孔質セラミックス成形体は、チタン酸アルミニウム系結晶相以外の相(結晶相)を含んでいてもよい。このようなチタン酸アルミニウム系結晶相以外の相(結晶相)としては、多孔質セラミックス成形体の作製に用いる原料由来の相などを挙げることができる。原料由来の相とは、より具体的には、本発明の多孔質セラミックス成形体を上記したチタン酸アルミニウム系焼成体の製造方法に従い製造する場合における、チタン酸アルミニウム系結晶相を形成することなく残存したアルミニウム源粉末、チタニウム源粉末および/またはマグネシウム源粉末由来の相である。また、上記原料混合物がケイ素源粉末を含む場合、多孔質セラミックス成形体は、SiO2成分を含むガラス相等のケイ素源粉末由来の相を含む。
本発明の多孔質セラミックス成形体の形状は、特に制限されず、ハニカム形状、棒状、チューブ状、板状(シート状)、るつぼ形状等であってよい。なかでも、本発明の多孔質セラミックス成形体をDPFなどのセラミックスフィルターとして用いる場合には、ハニカム形状とすることが好ましい。
本発明の多孔質セラミックス成形体は、下記(i)もしくは(ii)、または(i)および(ii)に示される細孔特性を有している点にその特徴を有する。
(i)開気孔率が35%以上であり、かつ、水銀圧入法により測定される細孔直径分布が下記式(2)および(3)を満たす。
4-20/Vtotal≧0.8 (2)
20-200/Vtotal≦0.1 (3)
ここで、式中、V4-20は細孔直径が4〜20μmである細孔の累積細孔容積であり、V20-200は細孔直径が20〜200μmである細孔の累積細孔容積であり、Vtotalは細孔直径が0.005〜200μmである細孔の累積細孔容積である。
(ii)該多孔質セラミックス成形体または該成形体から切り出された試験片を液相中に浸漬し、該成形体または該試験片のいずれかの面から12kPa(ゲージ圧)に加圧されたガスを供給したとき、該液相が水である場合、該ガスを供給する面とは異なるいずれかの面から該ガスによる発泡が生じず、該液相が100%エタノールである場合、該ガスを供給する面とは異なるいずれかの面から該ガスによる発泡が生じる。
以下、上記細孔特性(i)および(ii)について詳細に説明する。
上記(i)における「開気孔率」とは、JIS R1634に準拠した水中浸漬によるアルキメデス法により測定される開気孔率(%)である。すなわち、多孔質セラミックス成形体の開気孔率は、下記式に基づき算出される。
開気孔率(%)=100×(M3−M1)/(M3−M2)
ここで、M1は多孔質セラミックス成形体の乾燥重量(g)、M2は多孔質セラミックス成形体の水中重量(g)、M3は多孔質セラミックス成形体の飽水重量(g)である。
多孔質セラミックス成形体の開気孔率を35%以上とすることにより、該多孔質セラミックス成形体をDPF等のセラミックスフィルターとして用いる場合において、ディーゼル微粒子などの被捕集物の捕集容量(吸着容量)が向上されるとともに、フィルター処理されるガス(ディーゼルエンジンから排出される排ガス等)の圧力損失が低減され、優れたフィルター性能を備えるセラミックスフィルターを得ることができる。多孔質セラミックス成形体の開気孔率の上限は、特に限定されないが、たとえば、45%未満程度とすることができる。
上記(i)における式(2)および(3)は、多孔質セラミックス成形体が備える細孔の細孔直径分布を規定するものである。すなわち、本発明の多孔質セラミックス成形体は、好ましくは、細孔直径が4〜20μmの範囲である細孔の累積細孔容積V4-20が、細孔容積全量(細孔直径が0.005〜200μmの範囲である細孔の累積細孔容積Vtotal)に対して0.8以上と高く、一方、細孔直径が20〜200μmの範囲である細孔の累積細孔容積V20-200が、細孔容積全量に対して0.1以下と十分に小さい。細孔直径が4μm未満である細孔が多く存在すると、該多孔質セラミックス成形体をDPF等のセラミックスフィルターとして用いる際、フィルター処理されるガス(ディーゼルエンジンから排出される排ガス等)の圧力損失が大きくなり、ガス処理能力が低下する傾向にある。また、細孔直径が20μmを超える細孔が多く存在すると、該多孔質セラミックス成形体をDPF等のセラミックスフィルターとして用いる際、ディーゼル微粒子などの被捕集物が細孔内で吸着されることなく、フィルター外へ排出されてしまい、フィルターの除去能力が低下する傾向にある。細孔直径分布を、上記式(2)および(3)を充足する細孔直径分布を有する多孔質セラミックス成形体によれば、ガス処理能力が高く、被捕集物の除去能力が高いセラミックスフィルターを提供することができる。より高いガス処理能力および除去能力を達成するために、V4-20/Vtotalは、0.82以上であることがより好ましく、また、V20-200/Vtotalは、0.09以下であることがより好ましい。
また、本発明の多孔質セラミックス成形体は、上記(ii)に示される特性を有していることが好ましい。すなわち、本発明の多孔質セラミックス成形体は、好ましくは、後で詳述する多孔質セラミックス成形体の試験方法を行なったときに、液相として水(純水)を用いた場合には、ガスを供給する面とは異なるいずれかの面から該ガスによる発泡が生じず、液相として100%エタノール(純エタノール)を用いた場合、ガスを供給する面とは異なるいずれかの面から該ガスによる発泡が生じる。当該試験方法は、多孔質セラミックス成形体の細孔構造を評価するための手段、特には、該成形体を貫通する(該成形体の一方の面からこれに対向する面に貫通する)細孔のほか、該成形体が内部に1以上の空洞部を有する場合における該成形体内部の空洞部から成形体外表面に貫通する細孔および/または成形体内部の空洞部間を仕切る仕切り壁を貫通する細孔(以下、これらを総称して貫通細孔とも称する)の有無、ならびに貫通細孔の細孔直径を簡便に測定するための手段として有効である。後述するように、当該試験を行なったときに上記発泡現象が確認されることは、およそ、細孔直径が25μmを超える貫通細孔が存在せず、かつ、細孔直径が少なくとも7.7μmを超える貫通細孔が存在すること意味する。
本発明の多孔質セラミックス成形体が、内部に1以上の空洞部を有する成形体である場合、本発明の多孔質セラミックス成形体は、該多孔質セラミックス成形体から、1つの上記空洞部からなる長さ方向に貫通する貫通穴を有する柱状の中空片を切り出し、その長さ方向における一方の端面を封止して試験片を作製し、該試験片を液相中に浸漬し、長さ方向における他方の端面に開いた該貫通穴の開口から12kPa(ゲージ圧)に加圧されたガスを供給したとき、該液相が水である場合、長さ方向における両端面以外の表面から該ガスによる発泡が生じず、該液相が100%エタノールである場合、長さ方向における両端面以外の表面のいずれかから該ガスによる発泡が生じるものであることが好ましい。当該試験を行なったときにこのような発泡現象が確認されることは、およそ細孔直径が25μmを超える貫通細孔が存在せず、かつ、細孔直径が少なくとも7.7μmを超える貫通細孔が存在すること意味する。この場合の貫通細孔は、該成形体内部の空洞部から成形体外表面に貫通する細孔および/または成形体内部の空洞部間を仕切る仕切り壁を貫通する細孔である。
内部に1以上の空洞部を有する多孔質セラミックス成形体は、その内部に閉じた空間からなる空洞部を有するもの、成形体外表面にその開口が開いた貫通穴からなる空洞部を有するものであってよく、たとえば、その内部に、長さ方向に貫通する複数のセル(空洞部)を有するハニカム形状の多孔質セラミックス成形体(多孔質セラミックスハニカム構造体);中空状(たとえばパイプ状)の多孔質セラミックス成形体などを挙げることができる。
より具体的には、上記試験をハニカム形状の多孔質セラミックス成形体(多孔質セラミックスハニカム構造体)について行なったときに、上記発泡現象が確認されることは、ハニカム構造体内のセルを形成する多孔質セラミックスからなるセル壁およびハニカム構造体の外表面を形成する多孔質セラミックスからなる外壁に、細孔直径が少なくとも7.7μmを超える貫通細孔が存在し、かつ、細孔直径が25μmを超える貫通細孔が存在しないことを意味する。
また、内部に1以上の空洞部を有しない多孔質セラミックス成形体としては、たとえばシート状等の形状を有する多孔質セラミックス成形体を挙げることができる。たとえば、シート状の多孔質セラミックス成形体の一方の面から12kPa(ゲージ圧)に加圧されたガスを供給したとき、該一方の面に対向する面からの発泡現象が確認されることは、およそ細孔直径が25μmを超え、該一方の面から該対向する面に貫通する貫通細孔が存在せず、かつ、細孔直径が少なくとも7.7μmを超え、該一方の面から該対向する面に貫通する貫通細孔が存在すること意味する。
したがって、上記(ii)に示される特性を有する多孔質セラミックス成形体(たとえば、多孔質セラミックスハニカム構造体)によれば、細孔直径が少なくとも7.7μmを超える貫通細孔が存在することに起因して、フィルター処理されるガスの圧力損失が十分に低く、当該ガスを効率よくフィルター内を通過させることができるガス処理能力が高い、セラミックスフィルターを提供することができるとともに、細孔直径が25μmを超える貫通細孔が存在しないことに起因して、被捕集物を空洞部(セル)内で効率よく堆積させることができる被捕集物の除去能力が高いセラミックスフィルターを提供することができる。
本発明の多孔質セラミックス成形体は、液相として5質量%エタノール水溶液を用いた場合にも、ガスを供給する面とは異なるいずれかの面から(内部に1以上の空洞部を有する多孔質セラミックス成形体においては、長さ方向における両端面以外の表面から)該ガスによる発泡が生じないことが好ましい。このことは、およそ、細孔直径が21μmを超える貫通細孔が存在しないことを意味する。これにより、被捕集物の除去能力がより高いセラミックスフィルターを提供することができる。
上記試験方法の詳細については後述するが、内部に1以上の空洞部を有する多孔質セラミックス成形体が上記(ii)に示される特性を有するかどうかを確認するために上記試験を行なうにあたっては、試験片として、該多孔質セラミックス成形体から、1つの空洞部からなる長さ方向に貫通する貫通穴を有する柱状の中空片を切り出し、その長さ方向における一方の端面(すなわち、貫通穴の一方の開口)を封止したものを用いる。多孔質セラミックス成形体が多孔質セラミックスハニカム構造体である場合、該中空片は、成形体内部に形成された複数のセルのうちの1つのセル(またはその一部)と、該セルの四方を囲むセル壁を含む。該セルが中空片の貫通穴を構成しており、該貫通穴は、中空片の長さ方向と平行である。中空片の長さは、たとえば30mmとされる。この中空片は、その長さ方向における両端面にセル(貫通穴)の開口を有しており、この一方の端面(すなわち、貫通穴の一方の開口)を封止することにより試験片が得られる。そして、他方の端面に開いた該貫通穴の開口から、12kPa(ゲージ圧)に加圧されたガスを、該他方の端面に接続したガス導入管を介して供給し、長さ方向における両端面以外の表面(柱状試験片の長さ方向における両端面以外の4つの外表面)からの該ガスによる発泡の有無を目視で確認する。ガスとしては、通常、空気が用いられる。
内部に1以上の空洞部を有しない、たとえばシート状の多孔質セラミックス成形体などにおける、一方の表面からこれに対向する表面に貫通する貫通細孔の有無やその細孔直径を評価するにあたっては、上記発泡試験に供される成形体は、シート状の多孔質セラミックス成形体それ自身であってもよいし、該多孔質セラミックス成形体から切り出された試験片であってもよい。
発泡が確認される場合において、発泡状態としては、成形体や試験片外表面の一部のみから発泡が認められる場合と、ガスを供給する面とは異なるいずれかの表面全体(内部に1以上の空洞部を有する多孔質セラミックス成形体においては、長さ方向における両端面以外の表面全体)から発泡が認められる場合とがあるが、本発明の多孔質セラミックス成形体は、表面全体から発泡が認められるものであることが好ましい。このことは、適切な細孔直径を有する貫通細孔が多孔質セラミックス成形体全体にわたって形成されていることを意味する。
本発明の多孔質セラミックス成形体は、上記(i)および(ii)双方の特性を備えるものであることがより好ましい。
本発明の多孔質セラミックス成形体は、ガラス相を含んでいてもよい。ガラス相とは、SiO2が主要成分である非晶質相を指す。この場合、ガラス相の含有率は、5質量%以下であることが好ましく、また、2質量%以上であることが好ましい。ガラス相を5質量%以下含むことにより、上記(i)および/または(ii)の細孔特性を充足する多孔質セラミックス成形体が得られやすくなる。
上記(i)および/または(ii)の細孔特性を備える、主にチタン酸アルミニウム系結晶からなる本発明の多孔質セラミックス成形体の製造には、上記したチタン酸アルミニウム系焼成体の製造方法を好適に用いることができる。すなわち、アルミニウム源粉末、チタニウム源粉末、ならびに任意で使用されるマグネシウム源粉末およびケイ素源粉末を含む原料混合物を成形して成形体を得た後、当該成形体を焼成することにより本発明の多孔質セラミックス成形体を得ることができる。この方法により得られる多孔質セラミックス成形体は、主にチタン酸アルミニウム系結晶からなるチタン酸アルミニウム系焼成体である。
ここで、多孔質セラミックス成形体に上記(i)および/または(ii)の細孔特性を付与するためには、原料混合物は、ケイ素源粉末を含むことが好ましい。ケイ素源粉末としては前述したものを用いることができるが、なかでもガラスフリット、長石、またはこれらの混合物を用いることが好ましい。また、多孔質セラミックス成形体に上記(i)および/または(ii)の細孔特性を付与するために、ケイ素源粉末の含有量を、原料混合物中に含まれる無機成分中、2質量%以上5質量%以下とすることがより好ましい。原料混合物中に含まれる無機成分とは、多孔質セラミックス成形体を構成する元素を含む成分であり、典型的には、アルミニウム源粉末、チタニウム源粉末、マグネシウム源粉末およびケイ素源粉末である。ただし、原料混合物に含まれる添加剤(造孔剤、バインダ、潤滑剤、可塑剤、分散剤等)が無機成分を含む場合、それらも含まれる。
また、多孔質セラミックス成形体に上記(i)および/または(ii)の細孔特性を付与するためには、原料混合物は、マグネシウム源粉末を含むことが好ましい。原料混合物中におけるマグネシウム源粉末の好ましい含有量は、上記したとおりである。
<多孔質セラミックス成形体の試験方法>
本発明の多孔質セラミックス成形体の試験方法は、多孔質セラミックス成形体の細孔構造を評価するための手段、特には、該成形体を貫通する(該成形体の一方の面からこれに対向する面に貫通する)細孔のほか、該成形体が内部に1以上の空洞部を有する場合における該成形体内部の空洞部から成形体外表面に貫通する貫通細孔および/または成形体内部の空洞部間を仕切る仕切り壁を貫通する貫通細孔の有無、ならびに貫通細孔の細孔直径を測定するための手段として有効である。本発明の試験方法によれば、貫通細孔の有無および貫通細孔の細孔直径を簡便に測定することができる。本発明の試験方法の対象となる多孔質セラミックス成形体は、特に制限されないが、セラミックスフィルター用途に適する、シート状の多孔質セラミックス成形体や、内部に1以上の空洞部を有する多孔質セラミックス成形体の細孔構造を評価する手段として有効である。内部に1以上の空洞部を有する多孔質セラミックス成形体は、その内部に閉じた空間からなる空洞部を有するもの、成形体外表面にその開口が開いた貫通穴からなる空洞部を有するものであってよく、たとえば、その内部に、長さ方向に貫通する複数のセル(空洞部)を有するハニカム形状の多孔質セラミックス成形体(多孔質セラミックスハニカム構造体);中空状(たとえばパイプ状)の多孔質セラミックス成形体などを挙げることができる。以下、本発明の試験方法を、多孔質セラミックス成形体が多孔質セラミックスハニカム構造体である場合を例に挙げて詳細に説明する。
まず、本発明の試験方法の原理について説明する。図1は、多孔質セラミックスハニカム構造体から切り出された、ハニカム構造体の1つのセルからなる長さ方向に貫通する貫通穴を有する中空状の試験片を液相に浸漬したときの、セル壁を貫通する貫通細孔を有するセル壁にかかる圧力を模式的に示す図である。図1を参照して、セル壁3に対してセル1側からかかる圧力、すなわち、セル1内のガスの圧力Pgasと、セル壁3に対して液相5側からかかる圧力Pliqとは、次式(4)および(4)’に従うことが知られている(畑中 千秋,水野 康平,幡手 泰雄,環境資源工学,vol.52,No.4,pp.167−171(2005)参照)。
gas−Pliq=γ/d (4)
gas=Pliq+γ/d (4)’
ここで、γは液相を構成する液体の表面張力であり、dは、セル壁3が有する貫通細孔2の最小直径である。
上記式(4)および(4)’は、セル1内に圧力Pgasでガスを供給したときに、ガスが貫通細孔2を通して液相5側に透過せず、かつ液相5を構成する液体が貫通細孔2を通してセル1側に流入しない、釣り合った状態となるときの圧力Pgasは、セル壁3に対して液相5側からかかる圧力Pliqと貫通細孔2内への液体の凝縮力(γ/d)の和となることを意味している。
ここで、試験片をできるだけ液相5の液面近くに配置した場合には、Pliqは無視することができるから、Pliq=0を式(4)に代入して、次式(5)が得られる。
gas=γ/d (5)
上記式(5)より、セル1内に供給したガスが貫通細孔2を通して液相5側に透過し、液相5に発泡が認められるためには、次式(6)を満たす必要があることがわかる。
d>γ/Pgas (6)
上記式(6)は、Pgasが大きくなるほど、発泡が観測される貫通細孔2の最小直径dがより小さくなることを示している。また、Pgasを一定とした場合、液相5を構成する液体の表面張力γが小さいほど、発泡が観測される貫通細孔2の最小直径dがより小さくなることを示している。すなわち、既知の表面張力γを有する液相5に試験片を浸漬し、そのセル1内に一定の圧力Pgasでガスを供給して、該ガスによる発泡の有無を確認することにより、セル壁3にどの程度の最小直径dを有する貫通細孔2が形成されているかを評価することが可能となる。
表1に、液相として水(純粋)、100%エタノール(純エタノール)およびその混合溶媒を用いたときの、各液相において発泡が認められる最も小さい貫通細孔の最小直径(有効細孔直径)を示す。表1には、各液相の表面張力を併せて示している。供給ガスには、12kPa(ゲージ圧)の加圧空気を用いた。
Figure 2010180120
表1を参照して、たとえば、液相として純水を用いた場合、有効細孔直径は25μmである。このことは、液相として純水を用いたときに発泡が認められた場合、細孔直径が25μmを超える貫通細孔が存在することを意味する。逆に、発泡が認められない場合、細孔直径が25μmを超える貫通細孔が存在しないことを意味する。同様に、液相として100%エタノール(純エタノール)を用いた場合、有効細孔直径は7.7μmである。したがって、液相として100%エタノールを用いたときに発泡が認められた場合、細孔直径が7.7μmを超える貫通細孔が存在すると評価することができる。逆に、発泡が認められない場合、細孔直径が7.7μmを超える貫通細孔が存在しないと評価することができる。
本発明の試験方法においては、複数の液相(複数の異なる表面張力を有する液相)を用いて、発泡試験を行なうことにより、貫通細孔のより具体的な細孔直径を知ることが可能である。たとえば、液相として純水を用いたときに発泡が認められず、10質量%エタノール水溶液を用いたときに発泡が認められる場合、細孔直径が16〜25μmの範囲内である貫通細孔が存在すると評価することができる。
このように、本発明の試験方法によれば、多孔質セラミックスハニカム構造体のセル壁に貫通細孔が存在するかどうか、および貫通細孔の細孔直径を、液相中の発泡の有無という目視確認が容易な評価手段によって、簡便に知ることができる。
本発明の試験方法の具体的操作は、図2を参照して次のとおりである。まず、試験対象となる多孔質セラミックス成形体から1つの空洞部からなる長さ方向に貫通する貫通穴を有する柱状の中空片を切り出し、その長さ方向における一方の端面(すなわち、貫通穴の一方の開口)を封止することにより試験片4を得る。多孔質セラミックス成形体が多孔質セラミックスハニカム構造体である場合、該中空片は、成形体内部に形成された複数のセルのうちの1つのセル(またはその一部)と、該セルの四方を囲むセル壁を含む。該セルが中空片の貫通穴を構成しており、該貫通穴は、中空片の長さ方向と平行である。中空片の長さは、たとえば30mmとされる。この中空片は、その長さ方向における両端面にセル(貫通穴)の開口を有しており、この一方の端面(すなわち、貫通穴の一方の開口)を封止することにより試験片が得られる。次に、柱状の中空片の長さ方向における一方の端面の封止は、たとえばエポキシ樹脂層6を形成するなどの方法によりなされる。
次に、長さ方向における他方の端面に、ガスを供給するためのガス導入管7(たとえば、ゴム管等)を接続した後、試験片4を液相5に浸漬する。この際、試験片4は、できるだけ液相5の液面近くに配置されるように、また、その長さ方向が水平となるように配置する。そして、ガス導入管7を通して、長さ方向における他方の端面に開いた貫通穴の開口から、試験片4の貫通穴内にガスを一定圧力で供給し、発泡の有無を目視で確認する。
内部に1以上の空洞部を有しない、たとえばシート状の多孔質セラミックス成形体などにおける、一方の表面からこれに対向する表面に貫通する貫通細孔の有無やその細孔直径を評価するにあたっては、上記発泡試験に供される成形体は、シート状の多孔質セラミックス成形体それ自身であってもよいし、該多孔質セラミックス成形体から切り出された試験片であってもよい。
本発明の試験方法において、用いる液相を構成する液体は特に制限されず、評価しようとする有効細孔直径に応じて、適宜の表面張力を有する液相を選択することができる。液相を構成する液体は、1種のみの液体からなっていてもよいし、表面張力の調整等のために2種以上の混合溶媒からなっていてもよい。液相としては、たとえば、純水;アルコール類(たとえば、メタノール、エタノール、プロパノールなど)、界面活性剤類(たとえば、脂肪酸塩、アルキルベンゼンスルホン酸塩など)等の水溶性有機物;およびこれらの混合溶媒(たとえば、水とアルコール類または界面活性剤類との混合溶媒)などを用いることができる。
試験片に供給するガスも特に制限されないが、たとえば、空気を用いることができる。供給するガスの圧力は、一定である限り特に制限されず、たとえば12kPa(ゲージ圧)とすることができる。
以下、本発明を実施例によりさらに詳細に説明するが、本発明はこれらに限定されるものではない。なお、各実施例および比較例における原料混合物成形体の焼成収縮率、得られたチタン酸アルミニウム系焼成体のチタン酸アルミニウム化率(AT化率)、細孔径、細孔直径分布および開気孔率、ならびに用いた原料粉末の粒度分布は、下記方法により測定した。また、得られたチタン酸アルミニウム系焼成体の細孔構造を上記本発明の試験方法(発泡試験)により評価した。
(1)焼成収縮率
焼成前(押し出し成形後)のハニカム形状の成形体と、焼成後の成形体の押し出し断面方向(成形体における押し出し方向とは垂直な方向の断面)の長さ(隔壁ピッチ幅)を、それぞれ5点測定し、それらの値を平均することに得られる焼成前の平均長さおよび焼成後の平均長さから、下記式に基づき焼成収縮率を算出した。
焼成収縮率(%)={1−(焼成後の平均長さ)/(焼成前の平均長さ)}×100
(2)AT化率
チタン酸アルミニウム化率(AT化率)は、粉末X線回折スペクトルにおける2θ=27.4°の位置に現れるピーク〔チタニア・ルチル相(110)面〕の積分強度(IT)と、2θ=33.7°の位置に現れるピーク〔チタン酸アルミニウムマグネシウム相(230)面〕の積分強度(IAT)とから、下記式により算出した。
AT化率=IAT/(IT+IAT)×100(%)
(3)細孔径
0.4gの焼成体を砕き、得られた約2mm角の小片を、120℃で4時間、空気中で、電気炉を用いて乾燥させた後、水銀圧入法により、細孔半径測定範囲0.001〜100.0μmまで測定した。細孔容積基準でみたときの最大頻度を示す細孔半径を2倍した値を細孔径(モード径)とした。測定装置には、Micromeritics社製の「オートポアIII9420」を用いた。
(4)細孔直径分布
0.4gの焼成体を砕き、得られた約2mm角の小片を、120℃で4時間、空気中で、電気炉を用いて乾燥させた後、水銀圧入法により、細孔直径測定範囲0.005〜200.0μmまで測定し、焼成体1gあたりの細孔直径が4〜20.0μmの範囲である細孔の累積細孔容積V4-20、細孔直径が20.0〜200.0μmの範囲である細孔の累積細孔容積V20-200、および、細孔直径が0.005〜200.0μmの範囲である細孔の累積細孔容積Vtotalを得た。測定装置には、Micromeritics社製の「オートポアIII9420」を用いた。
(5)開気孔率
JIS R1634に準拠した、水中浸漬によるアルキメデス法により、焼成体の水中重量M2(g)、飽水重量M3(g)および乾燥重量M1(g)を測定し、下記式により開気孔率を算出した。
開気孔率(%)=100×(M3−M1)/(M3−M2)
(6)原料粉末の粒度分布
原料粉末の、体積基準の累積百分率10%相当粒子径(D10)、累積百分率50%相当粒子径(D50)および累積百分率90%相当粒子径(D90)は、レーザ回折式粒度分布測定装置〔日機装社製「Microtrac HRA(X−100)」〕を用いて測定した。
(7)発泡試験
得られたハニカム形状の焼成体から、該成形体が有する1つのセルの一部と、該セルの四方を囲むセル壁を含む柱状の中空片を切り出した。該中空片は、該セルからなる、長さ方向に貫通する貫通穴を有しており、該貫通穴は、中空片の長さ方向と平行である。該中空片の長さは30mmである。また、該中空片は、貫通穴を構成するセルと、これに隣接していたセルとを仕切るセル壁の一部を含んでおり、したがって、該中空片は、井型の断面形状を有している。該断面における縦横の長さは、最も長い部分でそれぞれ2.7mmである。セル壁の厚みは0.4〜0.5mmであり、また、貫通穴(セル)の断面形状は、縦横それぞれ1.7〜1.9mmの正方形である。
ついで、上記中空片の貫通穴の開口が開いた、長さ方向における一方の端面をエポキシ樹脂により封止し、一方の開口を塞いで、試験片を作製した。
次に、長さ方向における他方の端面にガス導入管としてのホースを差し込んだ。ついで、この試験片を液相に浸漬し、図2に示される状態とした。この際、試験片は、液相の液面近くに配置し、また、その長さ方向が水平となるように配置した。ガス導入管を通して、長さ方向における他方の端面に開いた貫通穴の開口から、試験片の貫通穴内に12kPa(ゲージ圧)に加圧された空気を供給し、試験片表面からの発泡の有無および発泡状態を目視で確認した。液相には、純水、5質量%エタノール水溶液、10質量%エタノール水溶液、および100%エタノールを用いた。
<実施例1>
原料粉末として以下のものを用いた。下記の原料粉末の仕込み組成は、アルミナ〔Al23〕、チタニア〔TiO2〕、マグネシア〔MgO〕およびシリカ〔SiO2〕換算のモル比で、〔Al23〕/〔TiO2〕/〔MgO〕/〔SiO2〕=35.1%/51.3%/9.6%/4.0%である。また、アルミニウム源粉末、チタニウム源粉末、マグネシウム源粉末およびケイ素源粉末の合計量中のケイ素源粉末の含有率は、4.0質量%である。
(1)アルミニウム源粉末
下記表2に示される粒径分布(D10、D50およびD90)を有する酸化アルミニウム粉末A(α−アルミナ粉末)
29質量部
(2)チタニウム源粉末
D50が1.0μmである酸化チタン粉末(ルチル型結晶)
49質量部
(3)マグネシウム源粉末
D50が5.5μmのマグネシアスピネル粉末
18質量部
(4)ケイ素源粉末
D50が8.5μmのガラスフリット(タカラスタンダード社製「CK0832」)
4質量部
上記アルミニウム源粉末、チタニウム源粉末、マグネシウム源粉末およびケイ素源粉末からなる混合物に、該混合物100質量部に対して、バインダとしてメチルセルロース 5.8質量部、界面活性剤としてポリオキシアルキレンアルキルエーテル 5.8質量部、ならびに、潤滑剤としてグリセリン 0.5質量部およびステアリン酸 1.5質量部を加え、さらに、分散媒として水を30質量部加えた後、混練機を用いて混練することにより、坏土(成形用原料混合物)を調製した。ついで、この坏土を押し出し成形することにより、ハニカム形状の成形体を作製した(セル密度100cpsi、セル壁厚0.5mm)。得られた成形体を、大気雰囲気下で、バインダを除去する仮焼(脱脂)工程を含む焼成を行ない、ハニカム形状の多孔質焼成体(ハニカム構造体)を得た。焼成時の最高温度は、1450℃とし、最高温度での保持時間は5時間とした。
得られた多孔質焼成体を乳鉢にて解砕し、粉末X線回折法により、得られた粉末の回折スペクトルを測定したところ、この粉末は、チタン酸アルミニウムマグネシウムの結晶ピークを示した。この粉末のAT化率を求めたところ、100%であった。表3に、原料混合物成形体の焼成収縮率ならびに、得られたチタン酸アルミニウム系焼成体の細孔径、細孔直径分布および開気孔率を示す。また、表4に発泡試験の結果を示す。表4に示される結果および上記表1から、本実施例で得られたチタン酸アルミニウム系焼成体からなるハニカム構造体は、そのセル壁に細孔直径がおよそ20μmを超える貫通細孔を有しない一方、細孔直径が16μmを超える貫通細孔をハニカム構造体全体にわたって有することがわかる。
<実施例2>
以下の原料粉末を用いたこと以外は、実施例1と同様にしてハニカム形状の多孔質焼成体を得た。下記の原料粉末の仕込み組成は、実施例1と同じく、アルミナ〔Al23〕、チタニア〔TiO2〕、マグネシア〔MgO〕およびシリカ〔SiO2〕換算のモル比で、〔Al23〕/〔TiO2〕/〔MgO〕/〔SiO2〕=34.3%/50.2%/9.4%/6.1%である。また、アルミニウム源粉末、チタニウム源粉末、マグネシウム源粉末およびケイ素源粉末の合計量中のケイ素源粉末の含有率は、6.1質量%である。
(1)アルミニウム源粉末
下記表2に示される粒径分布(D10、D50およびD90)を有する酸化アルミニウム粉末A(α−アルミナ粉末)
28質量部
(2)チタニウム源粉末
D50が1.0μmである酸化チタン粉末(ルチル型結晶)
48質量部
(3)マグネシウム源粉末
D50が5.5μmのマグネシアスピネル粉末
18質量部
(4)ケイ素源粉末
D50が8.5μmのガラスフリット(タカラスタンダード社製「CK0832」)
6.1質量部
得られた多孔質焼成体を乳鉢にて解砕し、粉末X線回折法により、得られた粉末の回折スペクトルを測定したところ、この粉末は、チタン酸アルミニウムマグネシウムの結晶ピークを示した。この粉末のAT化率を求めたところ、100%であった。表3に、原料混合物成形体の焼成収縮率ならびに、得られたチタン酸アルミニウム系焼成体の細孔径、細孔直径分布および開気孔率を示す。また、表4に発泡試験の結果を示す。表4に示される結果および上記表1から、本実施例で得られたチタン酸アルミニウム系焼成体からなるハニカム構造体は、そのセル壁の一部に細孔直径が25μmを超える貫通細孔を有し、また、細孔直径がおよそ20μmを超える貫通細孔をハニカム構造体全体にわたって有することがわかる。
<比較例1>
以下の原料粉末を用いたこと以外は、実施例1と同様にしてハニカム形状の多孔質焼成体を得た。下記の原料粉末の仕込み組成は、実施例1と同じく、アルミナ〔Al23〕、チタニア〔TiO2〕、マグネシア〔MgO〕およびシリカ〔SiO2〕換算のモル比で、〔Al23〕/〔TiO2〕/〔MgO〕/〔SiO2〕=35.1%/51.3%/9.6%/4.0%である。また、アルミニウム源粉末、チタニウム源粉末、マグネシウム源粉末およびケイ素源粉末の合計量中のケイ素源粉末の含有率は、4.0質量%である。
(1)アルミニウム源粉末
下記表2に示される粒径分布(D10、D50およびD90)を有する酸化アルミニウム粉末B(α−アルミナ粉末)
29質量部
(2)チタニウム源粉末
D50が1.0μmである酸化チタン粉末(ルチル型結晶)
49質量部
(3)マグネシウム源粉末
D50が5.5μmのマグネシアスピネル粉末
18質量部
(4)ケイ素源粉末
D50が8.5μmのガラスフリット(タカラスタンダード社製「CK0832」)
4質量部
得られた多孔質焼成体を乳鉢にて解砕し、粉末X線回折法により、得られた粉末の回折スペクトルを測定したところ、この粉末は、チタン酸アルミニウムマグネシウムの結晶ピークを示した。この粉末のAT化率を求めたところ、100%であった。表3に、原料混合物成形体の焼成収縮率ならびに、得られたチタン酸アルミニウム系焼成体の細孔径、細孔直径分布および開気孔率を示す。また、表4に発泡試験の結果を示す。表4に示される結果および上記表1から、本比較例で得られたチタン酸アルミニウム系焼成体からなるハニカム構造体は、そのセル壁の一部に細孔直径がおよそ20μmを超える貫通細孔を有することがわかる。
<比較例2>
以下の原料粉末を用いたこと以外は、実施例1と同様にしてハニカム形状の多孔質焼成体を得た。下記の原料粉末の仕込み組成は、実施例1と同じく、アルミナ〔Al23〕、チタニア〔TiO2〕、マグネシア〔MgO〕およびシリカ〔SiO2〕換算のモル比で、〔Al23〕/〔TiO2〕/〔MgO〕/〔SiO2〕=35.1%/51.3%/9.6%/4.0%である。また、アルミニウム源粉末、チタニウム源粉末、マグネシウム源粉末およびケイ素源粉末の合計量中のケイ素源粉末の含有率は、4.0質量%である。
(1)アルミニウム源粉末
下記表1に示される粒径分布(D10、D50およびD90)を有する酸化アルミニウム粉末C(α−アルミナ粉末)
29質量部
(2)チタニウム源粉末
D50が1.0μmである酸化チタン粉末(ルチル型結晶)
49質量部
(3)マグネシウム源粉末
D50が5.5μmのマグネシアスピネル粉末
18質量部
(4)ケイ素源粉末
D50が8.5μmのガラスフリット(タカラスタンダード社製「CK0832」)
4質量部
得られた多孔質焼成体を乳鉢にて解砕し、粉末X線回折法により、得られた粉末の回折スペクトルを測定したところ、この粉末は、チタン酸アルミニウムマグネシウムの結晶ピークを示した。この粉末のAT化率を求めたところ、100%であった。表3に、原料混合物成形体の焼成収縮率ならびに、得られたチタン酸アルミニウム系焼成体の細孔径、細孔直径分布および開気孔率を示す。また、表4に発泡試験の結果を示す。表4に示される結果および上記表1から、本比較例で得られたチタン酸アルミニウム系焼成体からなるハニカム構造体は、そのセル壁の一部に細孔直径が25μmを超える貫通細孔を有することがわかる。
Figure 2010180120
Figure 2010180120
Figure 2010180120
今回開示された実施の形態および実施例はすべての点で例示であって制限的なものではないと考えられるべきである。本発明の範囲は上記した説明ではなくて特許請求の範囲によって示され、特許請求の範囲と均等の意味および範囲内でのすべての変更が含まれることが意図される。
1 セル、2 貫通細孔、3 セル壁、4 試験片、5 液相、6 エポキシ樹脂層、7 ガス導入管。

Claims (15)

  1. アルミニウム源粉末およびチタニウム源粉末を含む原料混合物の成形体を焼成する工程を備え、
    前記アルミニウム源粉末は、レーザ回折法により測定される粒径分布において、下記式(1)を満たすチタン酸アルミニウム系焼成体の製造方法。
    (D90/D10)1/2<2 (1)
    (式中、D90は体積基準の累積百分率90%相当粒子径であり、D10は体積基準の累積百分率10%相当粒子径である。)
  2. 前記原料混合物中における、Al23換算での前記アルミニウム源粉末とTiO2換算での前記チタニウム源粉末とのモル比は、35:65〜45:55の範囲内である請求項1に記載のチタン酸アルミニウム系焼成体の製造方法。
  3. 前記アルミニウム源粉末の、レーザ回折法により測定される体積基準の累積百分率50%相当粒子径D50は、20〜60μmの範囲内である請求項1または2に記載のチタン酸アルミニウム系焼成体の製造方法。
  4. 前記原料混合物は、マグネシウム源粉末をさらに含む請求項1〜3のいずれかに記載のチタン酸アルミニウム系焼成体の製造方法。
  5. Al23換算での前記アルミニウム源粉末とTiO2換算での前記チタニウム源粉末との合計量に対する、MgO換算での前記マグネシウム源粉末の量は、モル比で0.03〜0.15の範囲内である請求項4に記載のチタン酸アルミニウム系焼成体の製造方法。
  6. 前記原料混合物は、ケイ素源粉末をさらに含む請求項1〜5のいずれかに記載のチタン酸アルミニウム系焼成体の製造方法。
  7. 前記ケイ素源粉末は、長石あるいはガラスフリット、またはそれらの混合物からなる粉末である請求項6に記載のチタン酸アルミニウム系焼成体の製造方法。
  8. 前記成形体がハニカム形状である請求項1〜7のいずれかに記載のチタン酸アルミニウム系焼成体の製造方法。
  9. 主にチタン酸アルミニウム系結晶からなる多孔質セラミックス成形体であって、
    開気孔率が35%以上であり、
    水銀圧入法により測定される細孔直径分布が下記式(2)および(3)を満たす多孔質セラミックス成形体。
    4-20/Vtotal≧0.8 (2)
    20-200/Vtotal≦0.1 (3)
    (式中、V4-20は細孔直径が4〜20μmである細孔の累積細孔容積であり、V20-200は細孔直径が20〜200μmである細孔の累積細孔容積であり、Vtotalは細孔直径が0.005〜200μmである細孔の累積細孔容積である。)
  10. 主にチタン酸アルミニウム系結晶からなる多孔質セラミックス成形体であって、
    前記成形体または前記成形体から切り出された試験片を液相中に浸漬し、前記成形体または前記試験片のいずれかの面から12kPa(ゲージ圧)に加圧されたガスを供給したとき、
    前記液相が水である場合、前記ガスを供給する面とは異なるいずれかの面から前記ガスによる発泡が生じず、
    前記液相が100%エタノールである場合、前記ガスを供給する面とは異なるいずれかの面から前記ガスによる発泡が生じる、多孔質セラミックス成形体。
  11. 主にチタン酸アルミニウム系結晶からなる多孔質セラミックス成形体であって、
    前記多孔質セラミックス成形体は、内部に1以上の空洞部を有し、
    前記多孔質セラミックス成形体の1つの空洞部からなる長さ方向に貫通する貫通穴を有する柱状の中空片を切り出し、その長さ方向における一方の端面を封止してなる試験片を液相中に浸漬し、長さ方向における他方の端面に開いた前記貫通穴の開口から12kPa(ゲージ圧)に加圧されたガスを供給したとき、
    前記液相が水である場合、長さ方向における両端面以外の表面から前記ガスによる発泡が生じず、
    前記液相が100%エタノールである場合、長さ方向における両端面以外の表面のいずれかから前記ガスによる発泡が生じる、請求項10に記載の多孔質セラミックス成形体。
  12. 開気孔率が35%以上であり、
    水銀圧入法により測定される細孔直径分布が下記式(2)および(3)を満たす請求項10または11に記載の多孔質セラミックス成形体。
    4-20/Vtotal≧0.8 (2)
    20-200/Vtotal≦0.1 (3)
    (式中、V4-20は細孔直径が4〜20μmである細孔の累積細孔容積であり、V20-200は細孔直径が20〜200μmである細孔の累積細孔容積であり、Vtotalは細孔直径が0.005〜200μmである細孔の累積細孔容積である。)
  13. 多孔質セラミックス成形体の細孔構造を評価するための試験方法であって、
    前記成形体または前記成形体から切り出された試験片を液相中に浸漬し、前記成形体または前記試験片のいずれかの面から加圧されたガスを供給して、前記ガスを供給する面とは異なるいずれかの面からの前記ガスによる発泡の有無を確認する試験方法。
  14. 内部に1以上の空洞部を有する多孔質セラミックス成形体の細孔構造を評価するための試験方法であって、
    前記多孔質セラミックス成形体の1つの空洞部からなる長さ方向に貫通する貫通穴を有する柱状の中空片を切り出し、その長さ方向における一方の端面を封止してなる試験片を液相中に浸漬し、長さ方向における他方の端面に開いた前記貫通穴の開口から加圧されたガスを供給して、長さ方向における両端面以外の表面からの前記ガスによる発泡の有無を確認する請求項13に記載の試験方法。
  15. 前記液相は、水、アルコール類または水とアルコール類との混合溶媒からなる請求項13または14に記載の試験方法。
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