JP2010179927A - 異物除去装置、電子線殺菌システム - Google Patents
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Abstract
【解決手段】ノズル31から気体を噴出しながら、容器100の口部100aから底部100b近傍までの区間を往復動させてスキャンすることにより、容器100内の、特に容器100の内周面に付着している異物を吹き飛ばし、容器100の口部100aから外部に排出する。異物の除去を確実に行うために、ノズル31から噴出する気体は、たとえば0.2MPa以上の圧縮空気とするのが好ましい。電子線照射による殺菌工程と、気体吹き付けによる異物除去工程により容器殺菌処理を行うことで、水を用いない完全にドライなシステムを実現する。
【選択図】図3
Description
特に、無菌水を用いる無菌充填方式においては、無菌水は、熱交換器により140℃程度まで加熱して殺菌を行っているため、熱交換器等をはじめとする初期設備投資も大きく、また加熱に用いるエネルギのためのランニングコストもかかるという問題がある。
しかしながら、製造工程において容器内に混入する可能性のある異物を除去するために、殺菌液による殺菌方式と同様、水を用いて容器をすすぐ必要がある。したがって、電子線殺菌方式を採用する場合においても、使用水量を削減することが望まれているのは共通している。
気体を噴出させながら容器内を移動させる(この動作を「スキャン」と称する)ことで、容器内の異物を確実に除去できる。
また、ノズルは、ノズル孔から気体を噴出させながら、容器の口部から底部、または底部から口部に向けて移動させてもよい。つまり、ノズルを往復動させる間、往路または復路のいずれか一方で、気体を噴出しながらスキャンを行うのである。この場合、気体を噴出しながら往復動する場合に比較し、気体の圧力を高めるのが好ましい。
また、容器に発生しているイオンの対イオンを発生させ、ノズルから噴出する気体に添加するイオン発生器をさらに備えるようにしても良い。
また、ノズルを容器内に進入させ、ノズル孔から気体を噴出させながら容器の高さ方向に沿って移動させることで、容器内の異物を除去するのが好ましい。
〔第一の実施形態〕
図1は、本実施の形態における飲料充填工程の流れを示す図であり、図2は、飲料充填工程を実施する飲料充填設備の概要を示す図である。
図1、図2に示すように、飲料充填設備においては、供給された容器に対し、殺菌装置(電子線殺菌装置)10において電子線照射により殺菌する殺菌工程、異物除去装置20において容器の異物を除去する異物除去工程、充填装置30において容器に液体を充填する充填工程、液体が充填された容器にキャッパ40においてキャップを装着するキャッピング工程、を順次経ることで、容器への飲料の充填が行われる。なお、互いに前後する装置間においては、スターホイール50や搬送コンベア60により容器が搬送される。
図3は、異物除去装置20の概略構成を示すための図であり、平面視円形の異物除去装置20を展開して側面視したものである。
異物除去装置20には、円盤状のホイール21が設けられている。このホイール21は、モーターなどの駆動源(図示せず)によって、ほぼ水平面内で回転駆動される。ホイール21の外周部には、容器100を倒立状態で保持するグリッパ22がホイール21の周方向に一定間隔ごとに配置されている。なお、図3においては、グリッパ22を5組のみ図示しているが、これはあくまでも動作説明のためであり、実際には多数のグリッパ22がホイール21の外周部に設けられる。
ホイール21が回転すると、カムフォロワ36がカム34の上端面34aに倣って上下方向に変位し、これによってシャフト32が昇降する。シャフト32の上端部に設けられたノズル31は、当初は、グリッパ22に保持されて倒立状態にある容器100に対し、容器100の口部100aよりも下方に位置している。ホイール21の回転によりカム34に沿ってシャフト32が上昇すると、ノズル31が容器100内に挿入され、シャフト32が下降すると、ノズル31は容器100内から外に出る。
このとき、ノズル31の容器100内への挿入高さの最大値H(すなわち、カム34の最大リフト量)は、容器100のサイズ等に応じて適宜設定される。
このノズル31には、シャフト32の内部に形成された流路、あるいはシャフト32に沿って配設された供給管により、図示しない気体供給源から気体が供給される。この気体としては、無菌のものであればよく、空気、窒素などを用いることができる。
まず、前工程側のスターホイール50から移載された容器100の口部をグリッパ22で保持する。このとき、ホイール21は、スターホイール50と等しい周速度で回転しながら容器100の移載が行われる。なお、容器100は、前工程で上下が倒立状態とされている場合には倒立状態のまま、正立状態であるときには図示しない反転機構により倒立状態とする。
ノズル31が容器100内に挿入されている間に、気体供給源から供給された気体をノズル孔37から噴出する。噴出された気体は、容器100の内周面に吹き付けられ、容器100の口部100aから外部に吹き出される。
このとき、ノズル31は、気体を噴出しながら、カム34のプロファイル形状に沿って、容器100の口部100aから容器100の内部の所定位置まで移動する(これをスキャンと称する)。ここでは、カムフォロワ36がカム34の最高部分に至ると、ノズル31は、底部100b近傍に到達するものとする。
なお、殺菌工程と異物除去工程とからなる容器殺菌処理を、このように水を用いずに行えるのは、殺菌工程を上述したように電子線殺菌により行うからである。殺菌工程に殺菌液による殺菌方法を採用していた場合、やはり殺菌液の「すすぎ」工程が必須となる。このように、電子線照射による殺菌工程と、気体吹き付けによる異物除去工程により容器殺菌処理を行うことで、水を用いない完全にドライなシステムを実現することが可能となる。
なお、上記第一の実施形態において、異物除去装置20の構成を示したが、これに限るものではない。以下にその変形例を示す。なお、以下の説明においては、上記第一の実施形態と異なる構成のみを説明し、共通する構成については同符号を伏してその説明を省略する。
すなわち、ノズル31から気体を噴出しながら、容器100の口部100aから底部100b近傍までスキャンさせた後、底部100bから口部100aを経て容器100外に戻るときには、ノズル31からの気体の噴出を停止してもよい。
これにより、気体の噴射圧力が高くても、噴射時間は上記実施形態に対して半減できるので、気体の使用量を低減でき、さらにランニングコストを低減することができる。
上記第一、第二の実施形態において、ノズル31から噴出する気体を加湿するのも有効である。
すなわち、ノズル31に供給する気体を、事前に、図6に示すように、加湿装置(加湿手段)70の槽71内に溜めた液体L中にバブリングさせて通過させる等すればよい。このときに用いる液体Lは、無菌水とするのが好ましい。
上記第一〜第三の実施形態において、容器100を静電気除去装置80により除電するのも有効である。
すなわち、図7に示すように、静電気により帯電している容器100に発生しているイオンの対イオンを、静電気除去装置80としてのイオン発生器81により発生させる。そして、この、イオン発生器81で発生させた対イオンを、ノズル31に供給する気体に添加するのである。
(実施例1)
ノズル31には、図5に示したものを用い、このノズル31を、0.2MPaの圧力で空気を噴出しながら、容器100の口部100aから、底部100bの7mm手前までの範囲を、往復1.5secをかけてスキャンさせた(往復スキャン)。
(実施例2)
また、同じノズル31を用い、0.3MPaの圧力で空気を噴出しながら、容器100の底部100bから7mm手前の位置から口部100aまで、片道0.75secをかけてスキャンさせた(片道スキャン)。
比較のため、実施例と同じノズル31を用い、このノズル31を、容器100の口部100aから50mmの位置に固定し、0.3MPaの圧力で空気を1.5sec噴出させた。
(比較例2)
また、シャワー状のノズルを用い、容器100の口部100aから10mmの位置に固定し、4L/minの流量で、水を1.5sec×2回噴出させた。
容器100は、容量が異なるものを複数種用意した。それぞれの容量の容器100に、所定量の異物を投入し、上記の条件でそれぞれ異物除去処理を行い、処理後に容器100内に残存する異物を計数した。ここで、異物としては、容器100の材料であるPET樹脂、キャップ材料であるPE(ポリエチレン)樹脂、髪の毛を用いた。PET樹脂、PE樹脂については、100〜250メッシュサイズの微細片を、耳掻き1杯分投入した。髪の毛については、5mmの長さのものを3本投入した。
その結果を表1に示す。
一方、ノズル31をスキャンせずに固定した比較例1においては、残留異物が容易に目視可能であるほど、異物除去が不完全であった(表中「×」印)。つまり、単に気体を噴出したのでは異物除去効果が低く、気体を噴出させながら容器内を移動させてスキャンさせることが重要であることがわかった。
また、ノズル31を、カムフォロワ36により昇降させる構成としたが、これは一例に過ぎず、例えば、エアシリンダ等によりノズル31を昇降させる構成とすることも可能であるのは言うまでもない。
これ以外にも、異物除去装置20以外の殺菌装置10や充填装置30、キャッパ40等については、いかなる構成としてもよいし、それ以外の構成についても、本発明の主旨を逸脱しない限り、上記実施の形態で挙げた構成を取捨選択したり、他の構成に適宜変更することが可能である。
Claims (7)
- 気体を外周側に向けて噴出するノズル孔を有したノズルと、
倒立状態に保持された容器に対し、前記ノズルを前記容器内に相対的に進入させるノズル駆動機構と、を備え、
前記ノズルを前記容器内に進入させ、前記ノズル孔から気体を噴出させながら前記容器の高さ方向に沿って移動させることで、前記容器内の異物を除去することを特徴とする異物除去装置。 - 前記ノズルを、前記ノズル孔から前記気体を噴出させながら、前記容器の口部から底部に向けて移動させた後、前記底部から前記口部に向けて移動させることを特徴とする請求項1に記載の異物除去装置。
- 前記ノズルを、前記ノズル孔から前記気体を噴出させながら、前記容器の口部から底部、または前記底部から前記口部に向けて移動させることを特徴とする請求項1に記載の異物除去装置。
- 前記ノズルから噴出する前記気体を加湿する加湿手段をさらに備えることを特徴とする請求項1から3のいずれかに記載の異物除去装置。
- 前記容器に発生しているイオンの対イオンを発生させ、前記ノズルから噴出する前記気体に添加するイオン発生器をさらに備えることを特徴とする請求項1から4のいずれかに記載の異物除去装置。
- 容器に電子線を照射することで前記容器を殺菌する電子線殺菌装置と、
前記電子線殺菌装置で殺菌された前記容器内に気体を吹き付けることで前記容器内の異物を除去する異物除去装置と、を備え、
前記異物除去装置は、
前記気体を外周側に向けて噴出するノズル孔を有したノズルと、
倒立状態に保持された前記容器に対し、前記ノズルを前記容器内に相対的に進入させるノズル駆動機構と、を備えることを特徴とする電子線殺菌システム。 - 前記ノズルを前記容器内に進入させ、前記ノズル孔から前記気体を噴出させながら前記容器の高さ方向に沿って移動させることで、前記容器内の異物を除去することを特徴とする請求項6に記載の電子線殺菌システム。
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