JP2010179695A - 車両用空調制御装置 - Google Patents

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貴久 新井
Koichi Mori
浩一 森
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Abstract

【課題】外気温度が低下する状況におけるコンプレッサの余分なエネルギー消費を抑制して燃費の悪化を抑制する。
【解決手段】本発明は、冷媒を加圧するコンプレッサと、冷媒と車室内へ導入される空調風との間で熱交換させて空調風を冷却するエバポレータとを備え、エバポレータの目標温度に基づいてコンプレッサの出力を制御する車両用空調制御装置において、車両の進行先に車外の気温が現在の外気温度より低下する車外気温低下区間があるか否かを判定する車外気温低下区間判定手段(S2、S5)と、車両が車外気温低下区間に到達したとき、エバポレータの目標温度を現在の温度より高い所定の高温度に設定する目標温度設定手段(S7、S11)とを備える。
【選択図】図2

Description

本発明は、車両用空調制御装置において特に走行環境に応じてエバポレータの温度を制御する技術に関する。
エンジンによって駆動されるコンプレッサによって冷媒を圧縮、循環させ、車室内へ送風される空調風と低温の冷媒との間で熱交換することで空調風を冷却する車両用空調装置が特許文献1に記載されている。また、外気温度や日射量に応じてコンプレッサの出力を制御することが知られており、このような技術では外気温度が低下すると要求される冷房性能が低下するので、これに応じてコンプレッサの出力を低下させ、エンジンの負荷を低減させている。
特開2005−212564公報
しかし、上記従来の技術では外気温度や日射量に応じてコンプレッサの出力を制御するので制御に応答遅れがあり、外気温度が低下しても応答遅れの分だけコンプレッサ出力の低下が遅れ、余分にコンプレッサを駆動することとなる。これによりコンプレッサを駆動するエンジンが無駄にエネルギーを消費することとなるので燃費が悪化する。
本発明は、外気温度が低下する状況におけるコンプレッサの余分なエネルギー消費を抑制することを目的とする。
本発明は、冷媒を加圧するコンプレッサと、冷媒と車室内へ導入される空調風との間で熱交換させて空調風を冷却するエバポレータとを備え、エバポレータの目標温度に基づいてコンプレッサの出力を制御する車両用空調制御装置において、車両の進行先に車外の気温が現在の外気温度より低下する車外気温低下区間があるか否かを判定する車外気温低下区間判定手段と、車両が車外気温低下区間に到達したとき、エバポレータの目標温度を現在の温度より高い所定の高温度に設定する目標温度設定手段とを備えることを特徴とする。
本発明によれば、車外気温低下区間が車両進行先にあるか否かを予め判定しておき、車両が車外気温低下区間に到達した時点でエバポレータの目標温度を所定の高温度に設定するので、車外の気温が低下してエバポレータ温度が高くても冷房性能を確保できる状況になったとき、即座にコンプレッサの負荷を低減することができ、これによりコンプレッサの余分なエネルギー消費を抑制することができる。
本実施形態における車両用空調制御装置の構成を示す概略構成図である。 本実施形態における車両用空調制御装置の制御を示すフローチャートである。 エバポレータの温度勾配を示すテーブルである。 本実施形態における車両用空調制御装置の作用を示すタイムチャートである。
以下では図面を参照して本発明の実施の形態について詳しく説明する。図1は本実施形態における車両用空調制御装置の構成を示す概略構成図である。本実施形態における車両用空調制御装置は、冷媒を吸入、圧縮し、高圧にして吐出するコンプレッサ1と、エンジン2の冷却水を冷却するラジエタ3に対して車両前方側に取り付けられ、コンプレッサ1から吐出された冷媒を外気によって冷却して液化させるコンデンサ4と、コンデンサ4によって液化された冷媒を気化することによって車室内へ送風される空調風から熱を奪うエバポレータ5とから構成される。
コンプレッサ1は、エンジン2の駆動力がエンジン2のクランクシャフトプーリー6からベルト7を介して伝達されることにより回転駆動される。コンプレッサ1によって圧縮された冷媒は高圧配管8を通ってコンデンサ4に送られ、コンデンサ4で冷却されて液体となった冷媒は液体通路9を通ってエバポレータ5に送られる。エバポレータ5で気化した冷媒は低圧配管10を通って再びコンプレッサ1に吸い込まれて圧縮される。
また、コンデンサ4の下流には冷媒を一時的に蓄えるリキッドタンク11が設けられ、エバポレータ5の下流側には気化された冷媒と液体の冷媒とを分離するアキュムレータ12が設けられる。コンデンサ4の近傍には、コンデンサ4とラジエタ3とを通過する空気の流れを生じさせ、コンデンサ4の冷却効率を向上させるためのファン13が設けられる。
エバポレータ5は車室内へと空調風を送風する送風路14内に配置され、エバポレータ5の近傍にはブロアファン15が設けられている。これによりエバポレータ5を通過するときに熱を奪われて低温になった空調風が送風路14を経由して車室内に送られて車室内を冷却する。すなわちエバポレータ5の温度を低くするほど車両用空調制御装置の冷房能力は向上する。
また、コントローラ16は外気温度を検出する外気温センサ17、環境情報取得手段18及びトンネル内温度取得手段19から受信した信号に基づいて目標エバポレータ温度を設定し、目標エバポレータ温度に基づいてコンプレッサ1の出力を制御する。コンプレッサ1の出力は例えば可変容量型のコンプレッサ1を用いた場合にはコンプレッサ1の容量を変えることで制御する。コンプレッサ1はエンジン2によって駆動されるので、コンプレッサ1の容量に応じてエンジン2の負荷が変化し、これに伴ってエンジン2の燃料噴射量が変化する。
環境情報取得手段18は、例えばナビゲーションシステム、VICS、FM波、及び携帯接続情報などであり、車両の現在位置から走行する道路の道路環境情報を取得する。トンネル内温度取得手段19は、車両進行先のトンネル内温度を取得する。トンネル内温度はトンネル内を走行中の他の車より発信される車外気温情報を入手してもよいし、また現在走行中の路面温度とトンネル長さとに基づいて演算によって求めてもよい。さらにトンネルを走行する車両から排出される排気熱を考慮して、トンネル内の渋滞情報に基づいて前述のトンネル内温度を補正してもよい。
次に、図2を参照しながらコントローラ16で行う制御について説明する。図2は本実施形態における車両用空調制御装置の制御を示すフローチャートである。
ステップS1では、環境情報取得手段18によって道路環境情報を取得する。
ステップS2(車外気温低下区間判定手段)では、取得された道路環境情報に基づいて車両がトンネル入口の手前を走行しているか否かを判定する。トンネル入口の手前を走行していると判定されるとステップS3へ進み、トンネル入口の手前ではないと判定されるとステップS1へ戻る。車両進行先にトンネルがあり、かつ所定時間後に車両がトンネルに侵入すると推定されるとき、トンネル入口の手前を走行していると判定される。
ステップS3では、外気温センサ17から外気温度を取得する。
ステップS4では、トンネル内温度取得手段19によってトンネル内温度を取得する。
ステップS5(車外気温低下区間判定手段)では、トンネル内温度が現在の車両位置における外気温度以下であるか否かを判定する。トンネル内温度が外気温度以下であると判定されるとステップS6へ進み、外気温度より高いと判定されると処理を終了する。
ステップS6では、車両がトンネル入口に到達したか否かを判定する。車両がトンネル入口に到達したと判定されるとステップS7へ進み、トンネル入口に到達していないと判定されると、到達したと判定されるまで本ステップを繰り返し実行する。
ステップS7(目標温度設定手段)では、エバポレータ5の目標温度を最高温度に設定する。これによりコンプレッサ1は出力が低下するように制御され、エンジン2の負荷が低減する。
ステップS8(第1の所要時間予測手段)では、車両が現在位置からトンネル出口に到達するまでの所要時間TAを予測演算する。所要時間TAは例えば車両の現在位置及び車速に基づいて演算される。
ステップS9(第2の所要時間予測手段)では、エバポレータ5の目標温度を最低温度に設定した場合に、エバポレータ5の実温度が最低温度に達するまでの所要時間TBを予測演算する。所要時間TBは、現在のエバポレータ5の温度とエバポレータ温度勾配とに基づいて例えば図3に示すように演算される。エバポレータ温度勾配は、エバポレータ5の目標温度を最低温度に設定した場合におけるエバポレータ実温度の低下率であり、車両ごとに設定される値である。
ステップS10では、所要時間TAが所要時間TB以下であるか否かを判定する。所要時間TAが所要時間TB以下であると判定されるとステップS11へ進み、所要時間TBより大きいと判定されるとステップS8へ戻る。
ステップS11(目標温度設定手段)では、エバポレータ5の目標温度を最低温度に設定する。これによりコンプレッサ1の出力は最大出力となる。
ステップS12では、車両がトンネル出口に到達したか否かを判定する。車両がトンネル出口に到達したと判定されるとステップS13へ進み、トンネル出口に到達していないと判定されると、到達したと判定されるまで本ステップを繰り返し実行する。
ステップS13では、エバポレータ5の目標温度を通常モード時の温度に設定する。通常モード時の温度はステップS7の最高温度より低く、ステップS11の最低温度より高い温度であり、外気温度や空調装置の設定温度などに基づいて設定される。
すなわち本実施形態では、車両がトンネル入口に到達した時点でエバポレータの温度が最高温度となるように制御し、その後車両がトンネル出口に到達するまでにエバポレータの温度を最低温度に低下させておくように制御している。
次に本実施形態における車両用空調制御装置の作用について図4を参照しながら説明する。図4は本実施形態における車両用空調制御装置の作用を示すタイムチャートであり、(a)はエバポレータの目標温度、(b)はエバポレータの実温度、(c)はコンプレッサの駆動トルク(出力)、(d)はエンジンの燃料噴射量をそれぞれ示す。また、実線は本実施形態、点線は従来例を示している。
車両が走行中、時刻t1においてトンネル入口の手前であると判定され、さらにトンネル内温度が外気温度以下であると判定される。
時刻t2において車両がトンネル入口に到達すると、エバポレータ5の目標温度を最高温度に設定する。これによりコンプレッサ1を駆動するための必要トルクが低下するので、その分だけエンジン2の燃料噴射量が低下する。
その後、トンネル出口までの所要時間TAとエバポレータ温度が最低温度に達するまでの所要時間TBとを比較して、時刻t3において所定時間TAが所定時間TB以下となるとエバポレータ5の目標温度を最低温度に設定する。これにより、エバポレータ5の実温度が低下していく。
時刻t4において車両がトンネル出口に到達すると、エバポレータ5の目標温度を通常モード時の温度に設定する。このとき、エバポレータ5の実温度は最低温度まで低下しているので、車両がトンネル外へと抜け出ることによって要求される冷房能力が高くなってもコンプレッサ1の出力を増大する必要はなく、その分エンジン2の燃料噴射量の増加を避けることができる。
以上のように本実施形態では、トンネルが車両進行先にあるか否かを予め判定しておき、車両がトンネル入口に到達した時点でエバポレータ5の目標温度を最高温度に設定するので、車外の気温が低下してエバポレータ5の温度が高くても冷房性能を確保できる状況になったとき、即座にコンプレッサ1の負荷を低減することができ、これによりコンプレッサ1の余分なエネルギー消費を抑制することができるので燃費の悪化を抑制することができる。
また、車両がトンネル出口に到達するまでの所要時間TAがエバポレータ5の温度が最低温度に達するまでの所要時間TB以下となったとき、エバポレータ5の目標温度を最低温度に設定するので、車両がトンネル出口を通過するまでにエバポレータ5の温度を最低温度まで低下させることができる。これにより、トンネル入口を通過後に最高温度になっているエバポレータ5の温度を再度低下させるためのコンプレッサ駆動を、外気温度が高いトンネル出口通過後ではなく外気温度が低いトンネル内で行っておくことができるので、トンネル出口通過後のコンプレッサ1の負荷を低減して燃費の悪化を抑制することができる。
以上説明した実施形態に限定されることなく、その技術的思想の範囲内において種々の変形や変更が可能である。
例えば、本実施形態ではコンプレッサとして可変容量型のコンプレッサ1を用いて説明したが、固定容量型のコンプレッサを用いてもよい。この場合には、プーリ6とコンプレッサ1との間にクラッチを設け、クラッチの締結時間を調整することでコンプレッサ1の出力が制御される。
また、本実施形態では車両がトンネルを走行する場合について説明したが、トンネル走行に限らず、トンネルと同様に外気温度が急激に低下する環境、例えば日陰などを走行する場合にも適用可能である。この場合には、外気温度が急激に低下する区間を、気象情報やナビゲーションシステムからの情報に基づいて特定してもよいし、また車両進行先を走行する他の車両から発信される外気温度や日射量の情報に基づいて特定してもよい。これにより、トンネルなどの予め定められた場所を走行する場合のみならず、気象などの変化する走行環境に応じても制御可能であり、この場合も本実施形態と同様の作用効果を得ることができる。
さらに、本実施形態ではコンプレッサをエンジンによって駆動しているが、これに代えて電動コンプレッサを用いても無駄なコンプレッサ負荷を低減してエネルギー消費を抑制することができる。
1 コンプレッサ
2 エンジン
5 エバポレータ
16 コントローラ
17 外気温センサ
18 環境情報取得手段
19 トンネル内温度取得手段

S2 車外気温低下区間判定手段
S5 車外気温低下区間判定手段
S7 目標温度設定手段
S8 第1の所要時間予測手段
S9 第2の所要時間予測手段
S11 目標温度設定手段

Claims (5)

  1. 冷媒を加圧するコンプレッサと、前記冷媒と車室内へ導入される空調風との間で熱交換させて前記空調風を冷却するエバポレータとを備え、前記エバポレータの目標温度に基づいて前記コンプレッサの出力を制御する車両用空調制御装置において、
    前記車両の進行先に車外の気温が現在の外気温度より低下する車外気温低下区間があるか否かを判定する車外気温低下区間判定手段と、
    前記車両が前記車外気温低下区間に到達したとき、前記エバポレータの目標温度を現在の温度より高い所定の高温度に設定する目標温度設定手段と、
    を備えることを特徴とする車両用空調制御装置。
  2. 前記車両が前記車外気温低下区間を走行中、前記車外気温低下区間から抜け出るまでに要する時間である第1の所要時間を予測する第1の所要時間予測手段と、
    前記エバポレータの目標温度を現在の温度より低い所定の低温度に設定した場合に、前記エバポレータの実温度が前記所定の低温度に低下するまでに要する時間である第2の所要時間を予測する第2の所要時間予測手段と、
    を備え、
    前記目標温度設定手段は、前記第1の所要時間が前記第2の所要時間以下となったとき、前記エバポレータの目標温度を前記所定の低温度に設定することを特徴とする請求項1に記載の車両用空調制御装置。
  3. 前記車外気温低下区間はトンネルであることを特徴とする請求項1又は2に記載の車両用空調制御装置。
  4. 前記車両の進行先の気温及び日射量を取得する環境情報取得手段を備え、
    前記車外気温低下区間判定手段は、前記環境情報取得手段によって取得された気温及び日射量に基づいて前記車両の進行先に前記車外気温低下区間があるか否かを判定することを特徴とする請求項1又は2に記載の車両用空調制御装置。
  5. 前記環境情報取得手段は、前記車両の進行先を走行中の他の車両から、前記他の車両が走行中の位置における気温及び日射量を取得することを特徴とする請求項4に記載の車両用空調制御装置。
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* Cited by examiner, † Cited by third party
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CN110111536A (zh) * 2019-06-13 2019-08-09 广州小鹏汽车科技有限公司 一种汽车的目的地提醒方法和装置
JP2020179702A (ja) * 2019-04-23 2020-11-05 トヨタ自動車株式会社 車両空調システム

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