JP2010178475A - 開閉器一括遠隔監視方法、開閉器一括遠隔監視システム - Google Patents

開閉器一括遠隔監視方法、開閉器一括遠隔監視システム Download PDF

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Abstract

【課題】電気所の各開閉器の動作を一括して遠隔監視するコストを低減する。
【解決手段】遠隔監視制御装置200が、操作対象の開閉器に操作指令を送信するとともに、操作対象の開閉器の操作ログを出力し、開閉器一括監視装置100が、操作対象の開閉器の動作が開始してから終了するまでの間、制御電源の配線用遮断器MCCB2を流れる主幹電流I1を測定して操作対象の開閉器の制御電流波形として記録し、開閉器一括監視装置100が、記録された制御電流波形に基づき制御電流が流れた時間を操作対象の開閉器の動作時間として検出し、開閉器一括監視装置100が、検出した操作対象の開閉器の動作時間を示す動作時間信号S2を、遠隔監視制御装置200に送信し、遠隔監視制御装置200が、開閉器一括監視装置100から受信した動作時間信号S2が示す操作対象の開閉器の動作時間ログを、操作ログに続けて出力する。
【選択図】図7

Description

本発明は、開閉器一括遠隔監視方法、開閉器一括遠隔監視システムに関する。
遠隔地にある制御所(給電所も含む)より電気所(発電所、変電所等)に配置された開閉器(遮断器、断路器)の状態を把握するための開閉器遠隔監視システムとして、特許文献1、2に開示された技術が提案されている。
特許文献1では、変電所に配置される遮断器に、当該遮断器への電流入力を検知するためのCTセンサ、開閉指令入力を検知するためのTCセンサ、接点コンタクトを検知するためのCCセンサ及びこれらのセンサにより検知されたデータを収集するデータ収集装置を設けることが開示されている。また、変電所と通信網を介して通信可能に接続された監視センターの監視装置が、上記のセンサにより検知された信号を受信することで、遠隔地にある変電所の遮断器の特性のトレンドを画面表示することが開示されている。
特許文献2では、変電所に設置された遠方操作機器である遮断器又は断路器を開閉させるための指令信号を、変電所ごとにまたは複数の変電所毎に設けられた遠制装置から当該遮断器(又は断路器)に入力し、当該指令信号に対する当該遮断器(又は断路器)の開閉動作に応じて作動する補助スイッチ(又はリミットスイッチ)の出力信号を当該遮断器(又は断路器)から当該遠制装置に入力し、当該補助スイッチ(又はリミットスイッチ)の出力信号に応じて当該遮断器(又は断路器)の状態を判定することが開示されている。また、遠制装置が、指令信号を遮断器(又は断路器)に入力した時間から補助スイッチ(又はリミットスイッチ)の出力信号が変化するまでの時間を測定し、この測定した時間の長短により遮断器(又は断路器)の状態を判定することが開示されている。
特開2002−171696号公報 特開2005−168121号公報
しかし、特許文献1に開示された開閉器遠隔監視システムを構築する場合には、変電所に配置される複数の遮断器等の諸設備毎に、当該諸設備への電流入力を検知するためのCTセンサ、開閉指令入力を検知するためのTCセンサ、接点コンタクトを検知するためのCCセンサ及びこれらのセンサにより検知されたデータを収集するデータ収集装置を設ける必要があり、システム構築コストが過大になるという課題がある。
また、特許文献2に開示された開閉器遠隔監視システムを構築する場合には、変電所毎に設けられた遠制装置は、変電所に設置された複数の遮断器(又は断路器)毎に、開閉動作に応じて作動する各補助スイッチ(又はリミットスイッチ)の出力信号を入力するための入力端子を必要とするので、その装置規模が大きくなるという課題がある。また、遠制装置は、入力された複数の補助スイッチ(又はリミットスイッチ)の出力信号に対し、遮断器(又は断路器)に指令信号を入力した時間から当該出力信号が変化するまでの時間を測定する機能や、測定された時間の長短により対象とする遮断器(又は断路器)の状態を判定する機能を備える必要がある。このため、それらの機能を実現するための制御回路が複雑化するとともにその回路規模が過大になるという課題もある。
前述した課題を解決する主たる本発明は、遠隔監視制御装置が制御所に配置され、当該遠隔監視制御装置と通信可能に接続された遠隔監視制御対象機器である複数の開閉器と、当該複数の開閉器の各制御部及び当該複数の開閉器以外の機器の各制御部に流れる制御電流を配線用遮断器より分岐して供給する制御電源と、当該複数の開閉器の動作を一括監視する開閉器一括監視装置と、が電気所に配置され、前記遠隔監視制御装置が前記開閉器一括監視装置を介して前記複数の開閉器の動作を一括監視する開閉器一括遠隔方法であって、前記遠隔監視制御装置が、前記複数の開閉器のうち操作対象の開閉器に操作指令を送信するとともに、当該操作対象の開閉器の操作ログを出力するステップと、前記開閉器一括監視装置が、前記遠隔監視制御装置からの操作指令に基づき前記操作対象の開閉器の動作が開始してから終了するまでの間、前記制御電源の前記配線用遮断器を流れる主幹電流波形を測定して前記操作対象の開閉器の制御電流波形として記録するステップと、前記開閉器一括監視装置が、記録された制御電流波形に基づき制御電流が流れた時間を前記操作対象の開閉器の動作時間として検出するステップと、前記開閉器一括監視装置が、検出した前記操作対象の開閉器の動作時間を示す動作時間信号を、前記遠隔監視制御装置に送信するステップと、前記遠隔監視制御装置が、前記開閉器一括監視装置から受信した動作時間信号が示す前記操作対象の開閉器の動作時間ログを、前記操作ログに続けて出力するステップと、を有することを特徴とする。
また、上記の開閉器一括遠隔監視方法であって、前記開閉器一括監視装置が、測定した主幹電流波形から定常電流を差し引いた相対電流波形が、前記開閉器の制御電流波形の特性に基づき前記複数の開閉器のいずれかの制御部に流れる制御電流波形であるか否かを判定するステップと、前記開閉器一括監視装置が、前記制御電流波形であることが判定されたとき、測定した主幹電流波形を制御電流波形として記録するステップと、前記開閉器一括監視装置が、制御電流波形の記録が完了したことを示す状態信号を、前記動作時間信号とともに前記遠隔監視制御装置に送信するステップと、前記遠隔監視制御装置が、前記操作指令を送信した後に前記開閉器一括監視装置より前記動作時間信号とともに前記状態信号を受信するか否かを監視するステップと、前記遠隔監視制御装置が、前記状態信号を受信した場合、前記開閉器一括監視装置の動作ログを、前記操作ログに続けて出力するステップと、を有することとしてもよい。
また、上記の開閉器一括遠隔監視方法であって、前記遠隔監視制御装置が、前記動作時間信号が示す前記操作対象の開閉器の動作時間と予め記憶しておいた前記開閉器の標準動作時間との差が基準値以内か否かを判定するステップと、前記遠隔監視制御装置が、前記基準値外であることが判定されたとき、前記操作対象の開閉器の動作の異常ログを、前記動作時間ログに続けて出力するステップと、を有してもよい。
また、上記の開閉器一括遠隔監視方法であって、前記開閉器一括監視装置が、前記動作時間信号が示す前記操作対象の開閉器の動作時間と予め記憶しておいた前記開閉器の標準動作時間との差が基準値以内か否かを判定するステップと、前記開閉器一括監視装置が、前記基準値外であることが判定されたとき、前記操作対象の開閉器の動作の異常通知信号を、前記遠隔監視制御装置に送信するステップと、前記遠隔監視制御装置が、前記開閉器一括監視装置より受信した前記異常通知信号に基づき、前記操作対象の開閉器の動作の異常ログを、前記動作時間ログに続けて出力するステップと、を有してもよい。
また、前述した課題を解決する主たるその他の本発明は、遠隔監視制御装置が制御所に配置され、当該遠隔監視制御装置と通信可能に接続された遠隔監視制御対象機器である複数の開閉器と、当該複数の開閉器の各制御部及び当該複数の開閉器以外の機器の各制御部に流れる制御電流を配線用遮断器より分岐して供給する制御電源と、当該複数の開閉器の動作を一括監視する開閉器一括監視装置と、が電気所に配置され、前記遠隔監視制御装置が前記開閉器一括監視装置を介して前記複数の開閉器の動作を一括監視する開閉器一括遠隔システムであって、前記開閉器一括監視装置は、前記配線用遮断器を流れる主幹電流波形を測定する電流波形測定部と、前記遠隔監視制御装置からの操作指令に基づき操作対象の開閉器の動作が開始してから終了するまでの間、前記電流波形測定部により測定された主幹電流波形を前記操作対象の開閉器の制御電流波形として記録する波形記録部と、前記記録装置により記録された制御電流波形に基づき制御電流が流れた時間を前記操作対象の開閉器の動作時間として検出して当該動作時間を示す動作時間信号を出力する動作時間検出部と、を有し、前記遠隔監視制御装置は、前記複数の開閉器のうち操作指令を送信した操作対象の開閉器の操作ログと、当該操作対象の開閉器に操作指令を送信した後に前記開閉器一括監視装置より受信する動作時間信号が示す当該操作対象の開閉器の動作時間ログと、を出力するログ出力部を有すること、を特徴とする。
本発明によれば、電気所の各開閉器の動作を一括して遠隔監視するコストを低減することができる。
遮断器が投入操作した時の直流電源装置の配線用遮断器MCCBに流れる主幹電流波形及びその電流変化率の時間推移を示した図である。 遮断器の引外し操作の際に引外しコイルに流れる引外しコイル電流の波形(制御電流波形)を示した図である。 開閉器一括監視システムの構成を示した図である。 遠隔監視制御装置の構成を示した図である。 開閉器一括監視装置の構成を示した図である。 開閉器一括監視装置による遮断器の制御電流波形及び操作電流波形の判定フローを示したフローチャートである。 遠隔監視制御装置による遮断器の動作監視フローを示したフローチャートである。
<<<開閉器一括遠隔監視システムの概要>>>
本発明の実施の形態の開閉器一括遠隔監視システムは、制御所(給電所を含む)に配置された遠隔監視制御装置と、電気所(発電所、変電所等)に配置された複数の開閉器(遮断器、断路器)と接続される遠制装置(遠隔制御装置)と、を通信網を介して通信可能に接続し、電気所内に配置された遠隔監視制御対象機器である複数の開閉器の動作を一括して制御所内に配置された遠隔監視制御装置により遠隔監視を行うものである。
また、複数の開閉器の動作を一括監視すべく、電気所に配置された複数の開閉器の各制御部に流れる制御電流の供給源である制御電源において、当該制御電源が具備する配線用遮断器MCCB(Molded Case Circuit Breaker)に流れる主幹電流波形を測定する電流波形測定部を設ける。つまり、制御電源電流を各機器に分岐する前の経路上に電流波形測定部を設けることで、全ての機器の制御電流波形を一括して測定できる。
さらに、複数の開閉器の動作を一括監視するための開閉器一括監視装置を電気所に配置する。開閉器一括監視装置は、上記の電流波形測定部により測定された制御電源の配線用遮断器MCCBに流れる主幹電流波形を所定時間分記録するとともに、投入操作時又は引外し操作時に開閉器の制御部に流れる制御電流波形であるか否かの判定を行う。そして、主幹電流波形が制御電流波形であると判定した場合、開閉器の動作波形として記録(装置内に保存)する。
制御電流波形であるか否かの判定は、制御電源の主幹電流波形により導出される特性を用いて行う。尚、主幹電流波形の測定箇所である直流電源装置の配線用遮断器MCCBは、常時一定量の変化の少ない定常電流が流れているため、主幹電流波形の各測定値から定常電流を差し引いた相対電流波形に基づいて判定を行う。
図1は、開閉器の一例として遮断器が投入操作した時の制御電源の配線用遮断器MCCBに流れる主幹電流波形及びその電流変化率の時間推移を示した図である。尚、電流変化率は、5サンプリングの移動平均で算出した値とする。図1に示す主幹電流波形及びその電流変化率の時間推移より以下の特性を導出できる。
第1に、主幹電流波形が遮断器の制御電流波形である場合の波高値(定常電流を差し引いた相対電流波形)は、1A以上(通常は5A程度)である(電流量特性)。第2に、主幹電流波形が遮断器の制御電流波形となる期間は、比較的短時間(1S未満が殆ど)である(時間特性)。第3に、図1中の破線で囲まれた箇所Aのように、遮断器の投入操作が開始されると同時に、L/Rの時定数を持って主幹電流波形(制御電流波形)が上昇する(波形開始特性)。第4に、図1中の破線で囲まれた箇所Bのように、遮断器の補助接点が投入操作完了時に開くときアーク抵抗により主幹電流波形(制御電流波形)が急減する(波形終了特性)。第5に、図1中の破線で囲まれた箇所Cのように、主幹電流波形(制御電流波形)がL/Rの時定数を持って上昇していく過程で、電流上昇率が一旦急変する(波形中間特性)。
以上の5つの特性のうち、少なくとも第3、第4、第5の特性(好ましくは全ての特性)を満足する主幹電流波形が遮断器の制御電流波形である、と判定することができる。
さらに、開閉器一括監視装置は、上記の電流測定手段により測定された主幹電流波形を制御電流波形と判定したときに生成する状態信号と、制御所の遠隔監視制御装置より電気所の複数の開閉器の中で指定された開閉器に対し所定の操作が行われる場合、指定された開閉器の操作開始から所定の補助接点が操作終了時に動作するまでの時間を示す動作時間信号と、を遠制装置を介して制御所の遠隔監視制御装置に送信する。
制御所の遠隔監視制御装置は、自身が遠隔操作を行った開閉器を特定することが容易であるため、電気所の遠制装置より送信された状態信号及び動作時間信号に基づいて、通常の開閉器の操作ログの後に続いて、当該開閉器の動作時間ログを出力する仕組みを設ける。この出力されたログを参照することで、電気所の開閉器を操作する度に、開閉器の動作時間の確認が可能となる。
また、制御所の遠隔監視制御装置は、電気所の各開閉器の標準動作時間や定格等の情報を予め格納しておき、開閉器の操作に応じて動作時間信号が伝送されてくる度に標準動作間と比較することで、当該開閉器の動作が正常であるか否かの判定や不具合の兆候があるか否か等の判定を行う。これにより、制御所の遠隔監視制御装置は、電気所の各開閉器の状態をリアルタイムで把握することが可能となる。
開閉器の動作不具合の兆候を開閉器の制御電流波形により判定できることを、図2に示す遮断器の引外し操作の際に引外しコイルに流れる引外しコイル電流波形(制御電流波形)を例に挙げて説明する。
図2に示されるように、引外しコイル電流波形の動作時間を5つの区間D1〜D5に区分した場合、5つの区間D1〜D5は次の要因により延長することが推定される。
区間D1は、引外しコイルのプランジャーロッド部2がグリス固着やピンのかじり等が要因となって動作しない場合に、延長することが推定される。区間D2は、引外しコイルのプランジャーロッド部2がピン(不図示)のかじり等が要因となってスムーズに動作しない場合に、延長することが推定される。区間D3は、引外しコイルのプランジャーロッド部2は動作したがリンク機構3の動作がグリス固着やピンのかじり等が要因となって重くなる場合に、延長することが推定される。区間D4は、引外しコイルのプランジャーロッド部2は動作したが、リンク機構3の動作時間が間延びしたか又は遮断器の主回路接点(パレットスイッチのa接点)が切り遅れた場合に、延長することが推定される。区間D5は、遮断器の主回路接点が異常の場合、延長することが推定される。
従って、引外しコイル電流波形の動作時間を区分した5つの区間D1〜D5は、グリス固着、ピンのこじれ、リンク機構3のこじれ等の要因によって延長することが推定される。そこで、引外しコイル電流波形の各区間D1〜D5をそれらの標準動作時間と比較することで、遮断器の引外し操作時の動作不具合の兆候を推定することができる。また、各区間D1〜D5単位の判定の他に、引外しコイル電流波形の動作時間(全区間D1〜D5)をその標準動作時間と比較することで、遮断器の引外し操作時の動作不具合の兆候を推定してもよい。
遮断器の投入操作時の場合も同様に、投入コイル電流波形の各区間D1〜D5をそれらの標準動作時間と比較することで、遮断器の投入操作時の動作の不具合の兆候を推定することができる。
<<<開閉器一括遠隔監視システムの構成>>>
図3は、本発明の一実施形態に係る開閉器一括遠隔監視システムの構成を示した図である。尚、図3には、複数の開閉器を含めた機器の一例として遮断器52のみが図示されている。
電気所は、電力系統を構成する電線路上に設けられる遮断器52の他に、直流電源装置10と、分電盤20、30と、遠隔監視制御装置(以下、遠制装置と呼ぶ。)40と、遮断器52と、自動復旧回路70と、保護継電器回路80と、開閉器一括監視装置100と、を有する。
直流電源装置10は、複数の開閉器を含めた電気所の機器に対し、当該機器夫々を制御するための制御電流と、当該機器夫々を実際に操作するための操作電流と、を供給する直流電源である。つまり、直流電源装置10は、各機器に供給する制御電流を一括して生成する制御電源と、各機器に供給する操作電流を一括して生成する操作電源と、を具備している。尚、本実施の形態に限定されず、制御電源と操作電源は個別の直流電源装置に設けるようにしてもよい。
開閉器の制御電流は、遮断器52の引外し操作時や投入操作時の各制御電流、具体的には、遮断器52の引外しコイル52Tに流れる引外しコイル電流および投入用制御用継電器52CXに流れる電流とする。また、開閉器の操作電流は、遮断器52の投入操作時の操作電流、具体的には、遮断器52の投入コイル52Cに流れる投入コイル電流とする。尚、投入操作時の方が、引外し操作時よりも多大な電流を必要とするため、本実施の形態では、投入コイル電流のみを操作電流として取り扱うことにしたが、引外しコイル電流を操作電流として取り扱うようにしてもよい。
直流電源装置10は、給電母線11と、給電母線11の電源側に設けられ交流電源からの交流電流を直流電流に変換する整流器12と、整流器12と給電母線1とを接続する配線上に設けられる配線用遮断器MCCB1と、給電母線11の電源側に設けられ整流器12より出力される直流電流を充電する蓄電池13と、を有する。
さらに、直流電源装置10は、給電母線11の直流電源より分割された制御電源を分電盤20に向けて出力する制御電源出力端子14と、給電母線11と制御電源出力端子14との間の配線上に設けられ第1最大値の主幹電流I1を流すことが可能な配線用遮断器MCCB2と、給電母線11の直流電源より分割された操作電源を分電盤30に向けて出力する操作電源出力端子15と、予備として未使用である一又は複数の電源出力端子16と、給電母線11と操作電源端子15との間の配線上に設けられ第1最大値よりも大きい第2最大値の主幹電流I2を流すことが可能な配線用遮断器MCCB3と、を有する。つまり、配線用遮断器MCCB1は、主幹電流I1の第1最大値と主幹電流I2の第2最大値とを加算した値に対し更に予備分を加えた第3最大値の主幹電流を流すことが可能な定格容量のものを用いる。
直流電源装置10より制御電源出力端子14を介して分電盤20に供給される主幹電流I1の波形はクランプ式電流変成器CT1により測定される。また、直流電源装置10より操作電源出力端子15を介して分電盤300に供給される主幹電流I2の波形はクランプ式電流変成器CT2により測定される。なお、連系変電所等の大規模な電気所の場合、制御電源が分割されている。この場合、主幹電流I1の波形の測定精度を向上するために、制御電源単位にクランプ式電流変成器CT1を設けることが好ましい。
分電盤20は、直流電源装置10の制御電源出力端子14を介して供給される制御電源を各機器に分配する受電設備である。分電盤20は、制御電源母線21と、直流電源装置10の制御電源出力端子14と接続されるとともに制御電源母線21と接続される制御電源入力端子22と、制御電源母線21より分配された複数の制御電源を各機器に出力する複数の制御電源出力端子23と、を有する。本実施形態の場合、複数の制御電源出力端子23と接続される各機器の一例として、遠制装置40、遮断器52の投入制御回路60及び引外し回路62等を例示している。
分電盤30は、直流電源装置10の操作電源出力端子15を介して供給される操作電源を各機器に分配する受電設備である。分電盤30は、操作電源母線31と、直流電源装置10の操作電源出力端子15と接続されるとともに操作電源母線31と接続される操作電源入力端子32と、操作電源母線31より分配された複数の操作電源を各機器に出力する複数の操作電源出力端子33と、を有する。本実施形態の場合、複数の操作電源出力端子33と接続される各機器の一例として、遮断器52の投入回路64を例示している。
遠制装置40は、通信網210を介して制御所に配置された遠隔監視制御装置200と通信可能に接続され、遠隔監視制御装置200の後述の親局201に対する子局として機能する。具体的には、遠制装置40は、遠隔監視制御装置200からの遮断器52を含めた複数の開閉器に向けた投入指令又は引外し指令を所定の伝送手順により受信して各指令に応じた信号を当該複数の開閉器に送信する機能と、開閉器監視装置100より出力される後述の状態信号S1及び動作時間信号S2を所定の伝送手順により遠隔監視制御装置200に送信する機能と、を有する。尚、所定の伝送手順としては、情報を定周期で送受信するCDT(Cyclic Data Transfer)方式、イベント情報が発生する度に送受信するHDLC(High level Data Link Control)方式等が採用される。
遠制装置40は、分電盤20の複数の制御電源出力端子23の中の一つと接続される一の電源入力端子41と、遠隔監視制御装置200から受信した投入指令に基づいて複数の開閉器の中でいずれか一つの開閉器を投入する際に励磁される制御用継電器42と、遠隔監視制御装置200から受信した投入指令に基づいて複数の開閉器の中で投入操作を行う開閉器を選択する複数の選択用継電器43と、複数の選択用継電器43毎に対応づけられて設けられ選択用継電器43により選択された開閉器の投入制御回路60に向けて投入指令を出力する投入指令出力端子44と、を有する。尚、制御用継電器42及び複数の選択用継電器43は、対応する継電器が励磁された場合に連動して閉じる主接点及び補助接点を夫々有する。
さらに、遠制装置40は、遠隔監視制御装置200から受信した引外し指令に基づいて複数の開閉器の中でいずれか一つの開閉器を遮断する際に励磁される制御用継電器45と、遠隔監視制御装置200から受信した引外し指令に基づいて複数の開閉器の中で引外し操作を行う開閉器を選択する複数の選択用継電器46と、複数の選択用継電器46毎に対応づけられて設けられ選択用継電器46により選択された開閉器の引外し回路62に向けて引外し指令を出力する引外し指令出力端子47と、を有する。尚、制御用継電器45及び複数の選択用継電器46は、対応する継電器が励磁された場合に連動して閉じる主接点及び補助接点を夫々有する。
遮断器52は、高圧・特別高圧向けの電線路(送電線又は配電線)に流れる電流の開閉を行う開閉器であり、真空遮断器、ガス遮断器、空気遮断器、磁気遮断器等の種類がある。遮断器52は、絶縁ケース内に可動接触子と固定接触子とを具備する遮断部(不図示)と、投入制御回路60と、引外し回路62と、投入回路64と、投入コイル52C又は引外しコイル52Tの駆動力を伝達するリンク機構(不図示)と、当該リンク機構より伝達された駆動力を絶縁操作ロッド等を介して遮断部の可動接触子に伝える駆動機構(不図示)と、を有する。尚、上記のリンク機構や駆動機構は、例えば、特開2005−168121号公報の図2等に示されている。
以下、投入制御回路60、引外し回路62、投入回路64について詳述する。投入制御回路60及び引外し回路62は分電盤20の制御電源により動作し、投入回路64は分電盤30の操作電源により動作する。このため、遮断器52は、電源系統として2系統有する。
投入制御回路60は、分電盤20の制御電源出力端子23と接続された制御電源の正側制御電源線P1と負側制御電源線N1との間に、手動操作型の投入スイッチ3−52F「入」と、投入用制御用継電器52CXと、反復防止用継電器52CZの補助接点52CZ(b接点)と、を直列に接続し、投入用制御用継電器52CX及び補助接点52CZ(b接点)と並列に反復防止用継電器52CZ及び補助接点52CZ(a接点)を設け、補助接点52CZ(a接点)と並列に引外しコイル52TのリミットスイッチLS(a接点)を設けて構成される。尚、投入スイッチ3−52F「入」は、断路端子コネクタを介して遮断器52の外付けとされる。投入スイッチ3−52F「入」と断路端子コネクタとの間には、遠制装置40の複数の投入指令出力端子44の中で対応する端子と接続されるとともに、自動復旧回路80の出力側と接続される。
引外し回路62は、分電盤20の複数の制御電源出力端子23の中の一つと接続された制御電源の正側制御電源線P1と負側制御電源線N1との間に、手動操作型の引外しスイッチ3−52F「切」と、引外しコイル52Tと、引外しコイル52TのリミットスイッチLS(a接点)と、を直列に接続して構成される。尚、引外しスイッチ3−52F「切」は、断路端子コネクタを介して遮断器52の外付けとされる。引外しスイッチ3−52F「切」と断路端子コネクタとの間には、遠制装置40の複数の引外し指令出力端子47の中で対応する端子と接続されるとともに、保護継電器回路70の出力側と接続される。
投入回路64は、分電盤30の複数の操作電源出力端子33の中の一つと接続された操作電源の正側操作電源線P0と負側操作電源線N0との間に、投入用制御用継電器52CXの補助接点52CX(a接点)と、投入コイル52Cと、を直列に接続して構成される。
保護継電器回路70は、引外しスイッチ3−52F「切」と並列に設けられ、分電盤20の複数の制御電源出力端子23の中の一つと接続された制御電源(正側制御電源線P1)により動作する。保護継電器回路70は、地絡事故や短絡事故を検出した場合、引外しスイッチ3−52F「切」の手動操作よりも優先して、遮断器52の引外し回路62の引外しコイル52Tを励磁させる。
自動復旧回路80は、投入スイッチ3−52F「入」と並列に設けられ、分電盤20の複数の制御電源出力端子23の中の一つと接続された制御電源(正側制御電源線P1)により動作する。自動復旧回路80は、地絡事故や短絡事故を検出した場合、投入スイッチ3−52F「入」の手動操作よりも優先して、遮断器52の投入制御回路60の投入用制御用継電器52CXを励磁させる。
遠隔監視制御装置200は、図4に示される構成を有する。即ち、遠隔監視制御装置200は、親局201、メモリ202、データベース203、CPU204、入力装置205、表示装置206、ログ出力装置207を夫々バス208を介して通信可能に接続して構成される。尚、本願請求項に記載のログ出力部は、ログ出力装置207に対応する。
親局201は、電気所の遠制装置40と通信可能に接続される遠制装置である。メモリ202は、CPU204より実行されるプログラムや作業データを格納する。データベース203は、電気所に配置された複数の開閉器の情報を格納する。CPU204は、メモリ202に格納されたプログラムを実行することで、遠隔監視制御装置200全体の制御を統括するプロセッサである。入力装置205は、キーボード、マウス、タッチパネル等である。表示装置206は、液晶ディスプレイやプラズマディスプレイ等であり、電気所の電力系統図や電気所に配置された複数の開閉器の動作監視の結果等の各種表示を行う。ログ出力装置207は、電気所に配置された複数の開閉器の動作監視の結果のログ(後述の開閉器の操作ログ、動作時間ログ、異常ログを含む。)を出力する。ログ出力装置207より出力されたログは、ログ出力装置207内に格納されるようにしてもよいし、データベース203等に格納されるようにしてもよい。また、データベース203等に格納されたログは、表示装置206に表示することができる。
開閉器一括監視装置100は、電気所に配置された複数の開閉器の動作を一括監視する装置である。開閉器一括監視装置100は、図5に示される構成を有する。即ち、開閉器一括監視装置100は、ADC(AD変換器)101、メモリ102、データベース103、CPU104、入力装置105、表示装置106を夫々バス108を介して通信可能に接続して構成される。尚、本願請求項に記載の波形記録部はデータベース103に対応し、本願請求項に記載の動作時間検出部はCPU104に対応する。
ADC101は、クランプ式電流変成器CT1により測定される主幹電流I1の波形と、クランプ式電流変成器CT2により測定される主幹電流I2の波形と、遠制装置40の制御用継電器42、45の各補助接点の開閉状態を表した接点信号S0と、を、所定のサンプリング周期で所定のバッファメモリ(リングバッファ等)にサンプリングする。メモリ102は、CPU104より実行されるプログラムや作業データを格納する。データベース103は、複数の開閉器の動作波形(制御電流波形、操作電流波形)を記録保存する。CPU104は、メモリ202に格納されたプログラムを実行することにより、開閉器一括監視装置100全体の制御を統括するプロセッサである。入力装置105は、キーボード、マウス、タッチパネル等である。表示装置106は、液晶ディスプレイやプラズマディスプレイ等であり、電気所に配置された複数の開閉器の動作監視の結果等の各種表示を行う。
<<<遮断器52の操作時の主な流れ>>>
以下、遮断器52の引外し操作時及び投入操作時の主な流れを説明する。
遮断器52の引外し回路62による引外し操作時の流れは次のとおりである。制御所の遠隔監視制御装置200より遠制装置40に送信される引外し指令、引外しスイッチ3−52F「切」の手動操作による引外し指令又は保護継電器回路70から出力される引外し指令により、投入時にリミットスイッチLS(a接点)は閉じていることから、引外しコイル電流52Tに引外しコイル電流(制御電流)が流れて励磁される。尚、この引外しコイル電流はクランプ式電流変成器CT1により検出される。引外しコイル52Tが励磁されたとき、引外しコイル52T内に設けられるプランジャーロッド部2が押し出され、プランジャーロッド部2の先端が接触する引外しフックがリンク機構(コロ等)との係合を解除する方向に回転する。これにより、遮断バネや圧接バネの力によって駆動機構が動作し、遮断部の可動接触子と固定接触子とを引き外す。
遮断器52の投入制御回路60及び投入回路64による投入操作時の流れは次のとおりである。制御所の遠隔監視制御装置200より遠制装置40に送信される投入指令、投入スイッチ3−52F「入」の手動操作による投入指令又は自動復旧回路80から出力される投入指令により、反復防止用継電器52CZの補助接点52CZ(b接点)が閉じていることから、投入用制御用継電器52CXに投入制御電流(制御電流)が流れて励磁される。尚、この投入制御電流はクランプ式電流変成器CT1により検出される。
投入用制御用継電器52CXの励磁により補助接点52CXが閉じ、投入コイル52Cに投入操作電流(操作電流)が流れて励磁される。尚、この投入操作電流はクランプ式電流変成器CT2により検出される。投入コイル52Cを励磁すると可動鉄心と一体に固定された操作ロッドが押し出され、操作ロッドの先端と接触するリンク機構を介して駆動機構が動作し、遮断部の可動接触子を固定接触子に接触させる。
尚、遮断器52の投入操作完了によりリミットスイッチLS(a接点)が閉じるため、反復防止用継電器52CZが励磁されて、補助接点52CZが開く。以降、反復防止用継電器52CZの励磁が自己保持され、連続した遮断器52の投入指令に対する投入反復操作を防止する。
<<<遮断器52の制御電流波形及び操作電流波形判定フロー>>>
以下、図6に示すフローチャートを用いて、開閉器一括監視装置100による遮断器52の制御電流波形及び操作電流波形の判定フローを説明する。尚、以下では特に断らない限り、本フローの動作主体は、メモリ102に格納されたプログラムに従って動作するCPU104である。
開閉器一括監視装置100は、直流電源装置10の配線用遮断器MCCB2に流れる主幹電流I1の波形をクランプ式電流変成器CT1を介して常時ADC101のバッファメモリにサンプリングするとともに、直流電源装置10の配線用遮断器MCCB3に流れる主幹電流I2の波形をクランプ式電流変成器CT2を介して常時ADC101のバッファメモリにサンプリングする(S600)。
開閉器一括監視装置100は、ADC101によりサンプリングされた主幹電流I1及び主幹電流I2の波形の電流変化率(複数サンプリングデータの移動平均)を監視しており、少なくともいずれか一方の電流変化率が急変するか(所定の変化率以上となるか)否かを判定する(S601)。ADC101によりサンプリングされた主幹電流I1及び主幹電流I2の波形の少なくともいずれか一方の電流変化率が急変した場合(S601:YES)、制御電流及び操作電流が流れる時間よりも余裕を持たせた所定時間分の主幹電流I1及び主幹電流I2の波形をデータベース103に記録保存する(S602)。尚、短時間記録のためにトリガがかからない虞があるため、電流変化率が急変する前の主幹電流I1及び主幹電流I2の波形を記録することができるプリトリガ機能を有した記録を採用することが好ましい。
つぎに、開閉器一括監視装置100は、データベース103に記録保存された主幹電流I1の波形のサンプリングデータ(ADC101のバッファメモリに格納)に基づいて、主幹電流I1の波形より定常電流を差し引いた第1相対電流波形が、制御電流として規定された規定電流量以上であるか否かを判定する(S603)。例えば、引外し操作時の制御電流(引外しコイル電流)の規定電流量は1A以上と規定されており、1A未満の規定外のデータを排除するためである。第1相対電流波形が制御電流として規定された規定電流量未満の場合(S603:NO)、主幹電流I2の波形のサンプリングデータに基づいて、主幹電流I2の波形より定常電流を差し引いた第2相対電流波形が、操作電流として規定された規定電流量(例えば、2A〜5A)以上であるか否かを判定する(S608)。第2相対電流波形が操作電流の規定電流量以上である場合(S608:YES)にはS609に進み、第2相対電流波形が操作電流の規定電流量未満である場合(S608:NO)には主幹電流I1及び主幹電流I2の波形のサンプリングデータをADC101のバッファメモリより消去してS600に戻る。
つぎに、開閉器一括監視装置100は、主幹電流I1の波形のサンプリングデータに基づいて、第1相対電流波形の急増時間(制御電流の規定電流量以上を継続する時間)が制御電流として規定された規定時間(例えば、1S)未満であるか否かを判定する(S604)。第1相対電流波形の急増時間が規定時間以上であれば(S604:NO)、遮断器52の制御電流波形でないと判定され、主幹電流I1及び主幹電流I2の波形のサンプリングデータをADC101のバッファメモリより消去してS600に戻る。主幹電流I1より定常電流を差し引いた第1相対電流波形の急増時間が規定時間未満であれば(S604:YES)、S605に進む。
つぎに、開閉器一括監視装置100は、主幹電流I1の波形のサンプリングデータに基づいて、主幹電流I1の波形より定常電流を差し引いた第1相対電流波形が所定の時定数(L/R)で上昇しているか否かを判定する(S605)。所定の時定数で上昇していない場合(S605:NO)、遮断器52の制御電流波形でないと判定され、主幹電流I1及び主幹電流I2の波形のサンプリングデータをADC101のバッファメモリより消去してS600に戻る。所定の時定数で上昇する場合(S605:YES)、S606に進む。
つぎに、開閉器一括監視装置100は、主幹電流I1の波形のサンプリングデータに基づいて、主幹電流I1の波形より定常電流を差し引いた第1相対電流波形の電流上昇率が一旦急変するか否かを判定する(S606)。電流上昇率が急変しない場合(S606:NO)、遮断器52の制御電流波形でないと判定され、主幹電流I1及び主幹電流I2の波形のサンプリングデータをADC101のバッファメモリより消去してS600に戻る。電流上昇率が急変する場合(S606:YES)、S607に進む。
つぎに、開閉器一括監視装置100は、主幹電流I1の波形のサンプリングデータに基づいて、主幹電流I1の波形より定常電流を差し引いた第1相対電流波形が所定の時定数で上昇した後に急減(所定の減少率で減少)するか否かを判定する(S607)。急減しない場合(S607:NO)、遮断器52の制御電流波形でないと判定され、主幹電流I1及び主幹電流I2の波形のサンプリングデータをADC101のバッファメモリより消去してS600に戻る。急減する場合(S607:YES)、S609に進む。
つぎに、開閉器一括監視装置100は、配線用遮断器MCCB2の開閉状況に基づいて、突入電流(電気機器に電源を投入したときに、一時的に流れる大電流)が発生したか否かを判定する(S609)。突入電流が発生した場合(S609:NO)、開閉器一括監視装置100は、主幹電流I1及び主幹電流I2の波形のサンプリングデータをADC101のバッファメモリより消去してS600に戻る。
突入電流が発生しなかった場合(S609:YES)、開閉器一括監視装置100は、主幹電流I1及び主幹電流I2の波形のサンプリングデータ、つまり制御電流波形及び操作電流波形をデータベース103に記録保存する(S610)。そして、開閉器一括監視装置100は、遠制装置40を介して遠隔監視制御装置200に向けて、制御電流波形及び操作電流波形の記録保存が完了したことを示す状態信号S1、記録保存した制御電流波形より検出される遮断器52の動作時間を示す動作時間信号S2を送信する(S611)。
ところで、図6のS601に示した主幹電流I1及び主幹電流I2の波形のサンプリングデータの記録を行うための判定を、制御用継電器42、45の各補助接点の開閉状態を表した接点信号S0に基づいて行ってもよい。具体的には、遠制装置40は、遠隔監視制御装置200より操作対象の開閉器が選択される場合、開閉器単位に設置される選択用継電器43、46が動作し、遠隔監視制御装置200より開閉器操作が行われる場合、各開閉器共通の制御用継電器42、45が動作して、選択用継電器43、46により選択された開閉器に操作指令が出力される仕組みとなっている。また、開閉器一括監視装置100は、上記のとおり、制御用継電器42、45の各補助接点の開閉状態を表した接点信号S0を取得している。そこで、開閉器一括監視装置100は、主幹電流I1及び主幹電流I2の波形のサンプリングデータの記録を行うための条件として、制御用継電器42、45の補助接点の接点信号S0に基づいて制御用継電器42、45が動作したことをトリガ条件としてもよい。
<<<遮断器52の動作監視フロー>>>
図7は、制御所の遠隔監視制御装置200による遮断器52の動作監視フローを示すフローチャートである。尚、以下のフローの説明において、特に断らない限り、制御所側では遠隔監視制御装置200のCPU204が動作主体となり、電気所側では開閉器一括監視装置100のCPU104が動作主体となる
遠隔監視制御装置200は、通信網210を介して電気所の遠制装置40に遮断器52の投入又は引外し操作指令を送信する。このとき、遠隔監視制御装置200のログ出力装置207は、遮断器52の操作ログを出力する(S700)。操作ログとは、操作日時、操作内容、操作対象機器等を対応づけた操作の履歴情報のことである。
遠制装置40は、遠隔監視制御装置200より受信した投入又は引外し操作指令に基づき、制御用継電器42又は45及び選択用継電器43又は46を動作させる。例えば、投入操作指令の場合、投入用の制御用継電器42が励磁され、投入操作対象の開閉器に対応した選択用継電器43が励磁される。これにより、遮断器52の投入操作が開始される(S701)。また、引外し操作指令の場合、引外し用の制御用継電器45が励磁され、引外し操作対象の開閉器に対応した選択用継電器46が励磁される。これにより、遮断器52の引外し操作が開始される(S701)。
開閉器一括監視装置100は、遮断器52が動作したことに伴い、主幹電流I1及び主幹電流I2の波形の急変を検出する。そして、開閉器一括監視装置100は、図6に示したフローチャートに従い、所定時間分の制御電流及び操作電流の波形のサンプリングデータをデータベース103に記録保存する(S702)。その後、開閉器一括監視装置100は、遠制装置40を介して遠隔監視制御装置200に状態信号S1及び動作時間信号S2を送信する(S703)。
遠隔監視制御装置200は、遮断器52の操作指令を送信した後、遠制装置40から状態信号S1及び動作時間信号S2が送られてくるか否かを監視している(S704)。遠隔監視制御装置200は、遮断器52の操作指令を送信した後に遠制装置40から状態信号S1を受信できなかった場合(S704:NO)、開閉器一括監視装置100より制御電流波形又は操作電流波形が特定できなかったこと、つまり遮断器52の操作が正常に行われなかったことを識別する。
つぎに、遠隔監視制御装置200は、遠制装置40から状態信号S1の受信を確認できた場合(S704:YES)、ログ出力装置207によって、開閉器一括監視装置100が正常に動作したことを示す動作ログ(動作イベント発生日時、開閉器一括監視装置100の識別子、開閉器一括監視装置100が動作した旨等を対応づけたログ)を、S700で出力した操作ログに続けて出力する(S705)。さらに、遠制装置40から状態信号S1とともに受信した動作時間信号S2に基づいて、ログ出力装置207によって、遮断器52の動作時間を示した動作時間ログ(動作イベント発生日時、遮断器52の識別子、遮断器52の動作時間等を対応づけたログ)を、S705で出力した動作ログに続けて出力する(S706)。
つぎに、遠隔監視制御装置200は、遠制装置40から受信した動作時間信号S2が示す遮断器52の動作時間と、メモリ202等に予め格納しておいた遮断器52の標準動作時間との差が基準値以内か否かを判定する(S706)。基準値内であることが判定された場合(S706:NO)、遮断器52の動作が正常であるため、S700に戻る。一方、基準値外であることが判定された場合(S706:NO)、ログ出力装置207によって、遮断器52の動作に異常が発生したことを通知するための異常ログ(異常イベント発生日時、遮断器52の識別子、遮断器52の動作に異常が発生した旨等を対応づけたログ)を、S705で出力した動作時間ログに続けて出力する(S707)。
尚、S707における遮断器52の動作に異常が発生したか否かの判定は、開閉器一括監視装置100が行ってもよい。この場合、開閉器一括監視装置100は、上記異常ログの内容を通知する異常通知信号を、状態信号S1及び動作時間信号S2とともに、遠制装置40を介して遠隔監視制御装置200に送信する。また、遠隔監視制御装置200は、開閉器一括監視装置100から受信した状態信号S1、動作時間信号S2、異常通知信号(異常の場合のみ)に基づいて、ログ出力装置207によって、遮断器52の操作ログ、開閉器一括監視装置100の動作ログ、遮断器52の動作時間ログ、遮断器52の動作の異常ログ(異常の場合のみ)を、時系列に出力する。
表1は、○○変電所の○○線に配置された遮断器番号101の遮断器52を投入操作した場合に、遮断器番号101の遮断器52の動作時間(30.5ms)と標準動作時間との差が基準値内となるとき、遠隔監視制御装置200のログ出力装置207によって出力されるログの一例を示している。表1の中で、1行目が遮断器52の操作ログに対応し、2行目が開閉器一括監視装置200の動作ログに対応し、3行目が遮断器52の動作時間ログに対応している。
Figure 2010178475
表2は、○○変電所の○○線に配置された遮断器番号101の遮断器52を投入操作した場合に、その遮断器52の動作時間(60.3ms)と標準動作時間との差が基準値外となるとき、遠隔監視制御装置200のログ出力装置207によって出力されるログの一例を示している。表2の中で、1行目が遮断器52の操作ログに対応し、2行目が開閉器一括監視装置200の動作ログに対応し、3行目が遮断器52の動作時間ログに対応し、4行目が遮断器52の異常ログに対応している。
Figure 2010178475
以上、本発明によれば、電気所に開閉器一括監視装置100を1台設置すれば、電気所の開閉器を停電することなく、当該電気所内の全ての開閉器の動作特性、具体的には、系統操作時や事故遮断時等において当該開閉器が動作する際にその制御部に流れる制御電流波形及び操作電流波形や、操作指令を発してから当該開閉器の制御用継電器の補助接点(52a、52b等)が動作するまでの動作時間を測定できる。つまり、1台の開閉器一括監視装置100によって、電気所内の全ての開閉器の状態を低コストで把握することが可能である。
また、上記の表1、表2に示すとおり、遠隔監視制御装置200は、遮断器52の通常の操作ログに続けて、開閉器一括監視装置100の動作ログと、遮断器52の動作時間を示す動作時間ログと、遮断器52の動作に異常が発生した場合には異常ログと、を続けて出力する。これらの出力されたログによって、電気所の開閉器を一々停止して点検作業しなくても、電気所の開閉器を操作する毎に、電気所の開閉器の状態把握をリアルタイムで行うことが可能である。
また、 遠隔監視制御装置200は、ログ出力装置207によって、電気所全ての開閉器の動作時間を動作時間ログとしてデータベース203等に蓄積しているため、将来的な電気所の開閉器の予防保全のための基礎データを取得することができる。
また、遠隔監視制御装置200は、電気所の各開閉器の標準動作時間をメモリ202等に予め格納しておき、遠制装置40から送られる動作時間信号S2が示す動作時間と照合することで、開閉器の動作に異常が発生したか否かの判定を自動で行うことができる。このため、監視員による開閉器の動作良否の判断が不要となる。
また、グリス固化が原因となる遮断器の不具合を把握するためには、停電操作等の最初の操作時において遮断器の動作特性を測定することが有効であることが知られている。本実施の形態によれば、開閉器一括監視装置100を配置しているため、停電操作前に専用の測定装置を設置することが不要となり、監視コストの低減化を図ることができる。
また、開閉器一括監視装置100のデータベース103に記録保存されている開閉器の制御電流波形及び操作電流波形により詳細な分析(例えば、開閉器の不具合の前兆)が可能となり、事故に進展するよりも前に、実効性の高い予防保全の対応が可能となる。
以上、本発明の実施形態について前述したように説明したが、本発明の理解を容易にするためのものであり、本発明を限定して解釈するためのものではない。本発明は、その趣旨を逸脱することなく、変更/改良され得るととともに、本発明にはその等価物も含まれる。
10 直流電源装置
CT1、CT2 電流変成器
MCCB1、MCCB2、MCCB3 配線用遮断器
20、30 分電盤
40 遠制装置
42、45 制御用継電器
43、46 選択用継電器
52 遮断器
60 投入制御回路
62 引外し回路
64 投入回路
70 保護継電器回路
80 自動復旧回路
100 開閉器一括監視装置
101 ADC
102 メモリ
103 データベース
104 CPU
105 入力装置
106 表示装置
200 遠隔監視制御装置
201 親局
202 メモリ
203 データベース
204 CPU
205 入力装置
206 表示装置
207 ログ出力装置
208 バス
210 通信網

Claims (5)

  1. 遠隔監視制御装置が制御所に配置され、当該遠隔監視制御装置と通信可能に接続された遠隔監視制御対象機器である複数の開閉器と、当該複数の開閉器の各制御部及び当該複数の開閉器以外の機器の各制御部に流れる制御電流を配線用遮断器より分岐して供給する制御電源と、当該複数の開閉器の動作を一括監視する開閉器一括監視装置と、が電気所に配置され、前記遠隔監視制御装置が前記開閉器一括監視装置を介して前記複数の開閉器の動作を一括監視する開閉器一括遠隔方法であって、
    前記遠隔監視制御装置が、前記複数の開閉器のうち操作対象の開閉器に操作指令を送信するとともに、当該操作対象の開閉器の操作ログを出力するステップと、
    前記開閉器一括監視装置が、前記遠隔監視制御装置からの操作指令に基づき前記操作対象の開閉器の動作が開始してから終了するまでの間、前記制御電源の前記配線用遮断器を流れる主幹電流波形を測定して前記操作対象の開閉器の制御電流波形として記録するステップと、
    前記開閉器一括監視装置が、記録された制御電流波形に基づき制御電流が流れた時間を前記操作対象の開閉器の動作時間として検出するステップと、
    前記開閉器一括監視装置が、検出した前記操作対象の開閉器の動作時間を示す動作時間信号を、前記遠隔監視制御装置に送信するステップと、
    前記遠隔監視制御装置が、前記開閉器一括監視装置から受信した動作時間信号が示す前記操作対象の開閉器の動作時間ログを、前記操作ログに続けて出力するステップと、
    を有することを特徴とする開閉器一括遠隔監視方法。
  2. 請求項1に記載の開閉器一括遠隔監視方法であって、
    前記開閉器一括監視装置が、測定した主幹電流波形から定常電流を差し引いた相対電流波形が、前記開閉器の制御電流波形の特性に基づき前記複数の開閉器のいずれかの制御部に流れる制御電流波形であるか否かを判定するステップと、
    前記開閉器一括監視装置が、前記制御電流波形であることが判定されたとき、測定した主幹電流波形を制御電流波形として記録するステップと、
    前記開閉器一括監視装置が、制御電流波形の記録が完了したことを示す状態信号を、前記動作時間信号とともに前記遠隔監視制御装置に送信するステップと、
    前記遠隔監視制御装置が、前記操作指令を送信した後に前記開閉器一括監視装置より前記動作時間信号とともに前記状態信号を受信するか否かを監視するステップと、
    前記遠隔監視制御装置が、前記状態信号を受信した場合、前記開閉器一括監視装置の動作ログを、前記操作ログに続けて出力するステップと、
    を有することを特徴とする開閉器一括遠隔監視方法。
  3. 請求項1又は2に記載の開閉器一括遠隔監視方法であって、
    前記遠隔監視制御装置が、前記動作時間信号が示す前記操作対象の開閉器の動作時間と予め記憶しておいた前記開閉器の標準動作時間との差が基準値以内か否かを判定するステップと、
    前記遠隔監視制御装置が、前記基準値外であることが判定されたとき、前記操作対象の開閉器の動作の異常ログを、前記動作時間ログに続けて出力するステップと、
    を有することを特徴とする開閉器一括遠隔監視方法。
  4. 請求項1又は2に記載の開閉器一括遠隔監視方法であって、
    前記開閉器一括監視装置が、前記動作時間信号が示す前記操作対象の開閉器の動作時間と予め記憶しておいた前記開閉器の標準動作時間との差が基準値以内か否かを判定するステップと、
    前記開閉器一括監視装置が、前記基準値外であることが判定されたとき、前記操作対象の開閉器の動作の異常通知信号を、前記遠隔監視制御装置に送信するステップと、
    前記遠隔監視制御装置が、前記開閉器一括監視装置より受信した前記異常通知信号に基づき、前記操作対象の開閉器の動作の異常ログを、前記動作時間ログに続けて出力するステップと、
    を有することを特徴とする開閉器一括遠隔監視方法。
  5. 遠隔監視制御装置が制御所に配置され、当該遠隔監視制御装置と通信可能に接続された遠隔監視制御対象機器である複数の開閉器と、当該複数の開閉器の各制御部及び当該複数の開閉器以外の機器の各制御部に流れる制御電流を配線用遮断器より分岐して供給する制御電源と、当該複数の開閉器の動作を一括監視する開閉器一括監視装置と、が電気所に配置され、前記遠隔監視制御装置が前記開閉器一括監視装置を介して前記複数の開閉器の動作を一括監視する開閉器一括遠隔システムであって、
    前記開閉器一括監視装置は、
    前記配線用遮断器を流れる主幹電流波形を測定する電流波形測定部と、
    前記遠隔監視制御装置からの操作指令に基づき操作対象の開閉器の動作が開始してから終了するまでの間、前記電流波形測定部により測定された主幹電流波形を前記操作対象の開閉器の制御電流波形として記録する波形記録部と、
    前記記録装置により記録された制御電流波形に基づき制御電流が流れた時間を前記操作対象の開閉器の動作時間として検出して当該動作時間を示す動作時間信号を出力する動作時間検出部と、を有し、
    前記遠隔監視制御装置は
    前記複数の開閉器のうち操作指令を送信した操作対象の開閉器の操作ログと、当該操作対象の開閉器に操作指令を送信した後に前記開閉器一括監視装置より受信する動作時間信号が示す当該操作対象の開閉器の動作時間ログと、を出力するログ出力部を有すること、
    を特徴とする開閉器一括遠隔監視システム。
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