JP2010176930A - 電解質、電解質組成物、およびそれらの応用 - Google Patents
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Abstract
Description
本発明は、電解質、電解質組成物、およびそれらを用いた電池に関するものである。
近年、クリーンエネルギーとしての太陽光の利用が近年盛んに研究されており、中でも色素増感太陽電池は製法がシンプルかつ安価であるため、大きな期待がもたれている。一方、新しい二次電池として、高エネルギー密度を持つリチウムイオン電池の研究も盛んに研究されている。これらの電池の特徴は有機溶媒を溶媒とする非水液体電解質を必要とすることである。
非水液体電解質は上記の電池だけでなく、一次電池、二次電池、燃料電池、電解コンデンサ、アクチュエーター、キャパシタなど、さまざまな用途に用いることができる。
一般的な液体電解質に用いられている電解質は無機塩である。無機塩は構成しているイオンが小さいため、液体電解質中で移動しやすく、イオン移動度の点では有利である。しかし、有機溶媒中では解離度が小さいため、水中と比べるとイオン伝導度は小さくなる。そのためイオン伝道度を大きくするため、非水液体電解質を必要とする電池は電解質を高濃度に溶解させることが多く、無機塩は一般的に有機溶媒に対して溶解性が低い。さらに、これらの電池は水の存在が電池自身の性能の劣化を起こすため、水の浸入を嫌うが、無機塩は逆に水への溶解性が高いため、水の浸入の原因となることがある。
また、電池の安定性向上のため、非水液体電解質にゲル化剤を加えたゲル電解質や、電解質を樹脂に分散させた固体電解質を液体電解質の代わりに用いることがある。ゲル電解質の場合はゲル化剤と、固体電解質の場合は樹脂との相溶性が必要であり、無機塩は一般的に相溶性に劣る。
これらの問題を解決するために、有機分子の電解質を用いることもある。しかし、一般的な有機分子の電解質は構成しているイオンが無機塩と比較して大きいため、イオン移動度が小さく、かつ有機溶媒中の解離度も小さいため、イオン伝導度が小さい。
電解質としての本来の機能である高いイオン伝導度を有しながらも、有機溶媒に対する高い溶解性と、高い疎水性を持った電解質が求められている。
したがって、本発明の目的は、これらの問題を解決すること、すなわち、高いイオン伝導度を有しながらも、有機溶媒に対する高い溶解性と、高い疎水性を持った電解質を提供することにある。また、本発明の他の目的は、前記電解質を用いた電解質組成物、並びにこれらを用いて作成された電池を提供することにある。
本発明は、下記一般式[1]で表される化合物からなる電解質に関する。
(式中、R1〜R8は、それぞれ独立に、水素原子、置換基を有してもよいアルキル基、置換基を有してもよいアルケニル基、置換基を有してもよいアルキニル基、置換基を有してもよいアリール基、または、置換基を有してもよい複素環基を表し、隣り合うR5〜R8は、互いに結合して環を形成してもよい。)
R1〜R4は、それぞれ独立に、置換基を有してもよいアルキル基、または、置換基を有してもよいアリール基であることが好ましく、それぞれ独立に、置換基を有してもよいアリール基であることがより好ましい。また、R5〜R6は、それぞれ独立に、置換基を有してもよいアルキル基であることが好ましい。
また、本発明は、上記電解質と、溶剤および/または樹脂とを含んでなる電解質組成物に関する。
また、本発明は、さらに、ゲル化剤を含んでなる上記電解質組成物に関する。
また、本発明は、上記電解質組成物のいずれかを用いて作成された電池に関する。
本発明によれば、高いイオン伝導度のみならず、樹脂や溶剤への溶解性(相溶性)・耐熱性・耐湿性を併せ持ち、貴金属や重金属含まない電解質を提供することができる。
本発明は、下記一般式[1]で表される化合物からなる電解質であることを特徴とする。
(式中、R1〜R8は、それぞれ独立に、水素原子、置換基を有してもよいアルキル基、置換基を有してもよいアルケニル基、置換基を有してもよいアルキニル基、置換基を有してもよいアリール基、または、置換基を有してもよい複素環基を表し、隣り合うR5〜R8は、互いに結合して環を形成してもよい。)
本発明における一般式[1]で示される化合物のR1からR8は、それぞれ独立に、水素原子、置換基を有してもよいアルキル基、置換基を有してもよいアルケニル基、置換基を有してもよいアルキニル基、置換基を有してもよいアリール基、置換基を有してもよい複素環基を表す。
置換基を有してもよいアルキル基としては、ハロゲン基、アルコキシ基、アリールオキシ基、アルコキシカルボニル基、アリールオキシカルボニル基、アルケニルオキシカルボニル基、アシルオキシ基、アシル基、アルキルスルファニル基、アリールスルファニル基、アルキルアミノ基、ジアルキルアミノ基、アリールアミノ基、アルキル基、アリール基、ヒドロキシル基、カルボキシル基、アミド基、スルホンアミド基、ホルミル基、メルカプト基、アルキルチオ基、スルホン基、メシル基、p−トルエンスルホニル基、アミノ基、ニトロ基、ニトロソ基、シアノ基、トリフルオロメチル基、トリクロロメチル基、トリメチルシリル基、ホスフィニル基、ホスホノ基、アルキルスルホニル基、アリールスルホニル基、トリアルキルアンモニウム基、ジメチルスルホニウム基、またはトリフェニルフェナシルホスホニウム基である置換基を有してもよいアルキル基等があり、中でも、炭素数1〜30のアルキル基が好ましく、例えば、メチル基、エチル基、プロピル基、ブチル基、ヘキシル基、オクチル基、デシル基、ドデシル基、オクダデシル基、イソプロピル基、イソブチル基、sec−ブチル基、tert−ブチル基、1−エチルペンチル基、シクロペンチル基、シクロヘキシル基、トリフルオロメチル基、2−エチルヘキシル基、フェナシル基、1−ナフトイルメチル基、2−ナフトイルメチル基、4−メチルスルファニルフェナシル基、4−フェニルスルファニルフェナシル基、4−ジメチルアミノフェナシル基、4−シアノフェナシル基、4−メチルフェナシル基、2−メチルフェナシル基、3−フルオロフェナシル基、3−トリフルオロメチルフェナシル基、3−ニトロフェナシル基等が挙げられる。
置換基を有してもよいアルケニル基としては、ハロゲン基、アルコキシ基、アリールオキシ基、アルコキシカルボニル基、アリールオキシカルボニル基、アルケニルオキシカルボニル基、アシルオキシ基、アシル基、アルキルスルファニル基、アリールスルファニル基、アルキルアミノ基、ジアルキルアミノ基、アリールアミノ基、アルキル基、アリール基、ヒドロキシル基、カルボキシル基、アミド基、スルホンアミド基、ホルミル基、メルカプト基、アルキルチオ基、スルホン基、メシル基、p−トルエンスルホニル基、アミノ基、ニトロ基、ニトロソ基、シアノ基、トリフルオロメチル基、トリクロロメチル基、トリメチルシリル基、ホスフィニル基、ホスホノ基、アルキルスルホニル基、アリールスルホニル基、トリアルキルアンモニウム基、ジメチルスルホニウム基、またはトリフェニルフェナシルホスホニウム基である置換基を有してもよいアルケニル基等があり、中でも、炭素数2〜10のアルケニル基が好ましく、例えば、ビニル基、アリル基、スチリル基等が挙げられる。
置換基を有してもよいアルキニル基としては、ハロゲン基、アルコキシ基、アリールオキシ基、アルコキシカルボニル基、アリールオキシカルボニル基、アルケニルオキシカルボニル基、アシルオキシ基、アシル基、アルキルスルファニル基、アリールスルファニル基、アルキルアミノ基、ジアルキルアミノ基、アリールアミノ基、アルキル基、アリール基、ヒドロキシル基、カルボキシル基、アミド基、スルホンアミド基、ホルミル基、メルカプト基、アルキルチオ基、スルホン基、メシル基、p−トルエンスルホニル基、アミノ基、ニトロ基、ニトロソ基、シアノ基、トリフルオロメチル基、トリクロロメチル基、トリメチルシリル基、ホスフィニル基、ホスホノ基、アルキルスルホニル基、アリールスルホニル基、トリアルキルアンモニウム基、ジメチルスルホニウム基、またはトリフェニルフェナシルホスホニウム基である置換基を有してもよいアルキニル基等があり、中でも、炭素数2〜10のアルキニル基が好ましく、例えば、エチニル基、プロピニル基、プロパルギル基等が挙げられる。
置換基を有してもよいアリール基としては、ハロゲン基、アルコキシ基、アリールオキシ基、アルコキシカルボニル基、アリールオキシカルボニル基、アルケニルオキシカルボニル基、アシルオキシ基、アシル基、アルキルスルファニル基、アリールスルファニル基、アルキルアミノ基、ジアルキルアミノ基、アリールアミノ基、アルキル基、アリール基、ヒドロキシル基、カルボキシル基、アミド基、スルホンアミド基、ホルミル基、メルカプト基、アルキルチオ基、スルホン基、メシル基、p−トルエンスルホニル基、アミノ基、ニトロ基、ニトロソ基、シアノ基、トリフルオロメチル基、トリクロロメチル基、トリメチルシリル基、ホスフィニル基、ホスホノ基、アルキルスルホニル基、アリールスルホニル基、トリアルキルアンモニウム基、ジメチルスルホニウム基、またはトリフェニルフェナシルホスホニウム基である置換基を有してもよいアリール基等があり、中でも、炭素数6〜30のアリール基が好ましく、フェニル基、ビフェニル基、1−ナフチル基、2−ナフチル基、9−アンスリル基、9−フェナントリル基、1−ピレニル基、5−ナフタセニル基、1−インデニル基、2−アズレニル基、9−フルオレニル基、ターフェニル基、クオーターフェニル基、o−、m−、およびp−トリル基、キシリル基、o−、m−、およびp−クメニル基、メシチル基、ペンタレニル基、ビナフタレニル基、ターナフタレニル基、クオーターナフタレニル基、ヘプタレニル基、ビフェニレニル基、インダセニル基、フルオランテニル基、アセナフチレニル基、アセアントリレニル基、フェナレニル基、フルオレニル基、アントリル基、ビアントラセニル基、ターアントラセニル基、クオーターアントラセニル基、アントラキノリル基、フェナントリル基、トリフェニレニル基、ピレニル基、クリセニル基、ナフタセニル基、プレイアデニル基、ピセニル基、ペリレニル基、ペンタフェニル基、ペンタセニル基、テトラフェニレニル基、ヘキサフェニル基、ヘキサセニル基、ルビセニル基、コロネニル基、トリナフチレニル基、ヘプタフェニル基、ヘプタセニル基、ピラントレニル基、オバレニル基等が挙げられる。
置換基を有してもよい複素環基としては、ハロゲン基、アルコキシ基、アリールオキシ基、アルコキシカルボニル基、アリールオキシカルボニル基、アルケニルオキシカルボニル基、アシルオキシ基、アシル基、アルキルスルファニル基、アリールスルファニル基、アルキルアミノ基、ジアルキルアミノ基、アリールアミノ基、アルキル基、アリール基、ヒドロキシル基、カルボキシル基、アミド基、スルホンアミド基、ホルミル基、メルカプト基、アルキルチオ基、スルホン基、メシル基、p−トルエンスルホニル基、アミノ基、ニトロ基、ニトロソ基、シアノ基、トリフルオロメチル基、トリクロロメチル基、トリメチルシリル基、ホスフィニル基、ホスホノ基、アルキルスルホニル基、アリールスルホニル基、トリアルキルアンモニウム基、ジメチルスルホニウム基、またはトリフェニルフェナシルホスホニウム基である置換基を有してもよい複素環基等があり、中でも、窒素原子、酸素原子、硫黄原子、リン原子を含む、芳香族あるいは脂肪族の複素環が好ましい。例えば、チエニル基、ベンゾ[b]チエニル基、ナフト[2,3−b]チエニル基、チアントレニル基、フリル基、ピラニル基、イソベンゾフラニル基、クロメニル基、キサンテニル基、フェノキサチイニル基、2H−ピロリル基、ピロリル基、イミダゾリル基、ピラゾリル基、ピリジル基、ピラジニル基、ピリミジニル基、ピリダジニル基、インドリジニル基、イソインドリル基、3H−インドリル基、インドリル基、1H−インダゾリル基、プリニル基、4H−キノリジニル基、イソキノリル基、キノリル基、フタラジニル基、ナフチリジニル基、キノキサニリル基、キナゾリニル基、シンノリニル基、プテリジニル基、4aH−カルバゾリル基、カルバゾリル基、β−カルボリニル基、フェナントリジニル基、アクリジニル基、ペリミジニル基、フェナントロリニル基、フェナジニル基、フェナルサジニル基、イソチアゾリル基、フェノチアジニル基、イソキサゾリル基、フラザニル基、フェノキサジニル基、イソクロマニル基、クロマニル基、ピロリジニル基、ピロリニル基、イミダゾリジニル基、イミダゾリニル基、ピラゾリジニル基、ピラゾリニル基、ピペリジル基、ピペラジニル基、インドリニル基、イソインドリニル基、キヌクリジニル基、モルホリニル基、チオキサントリル基等が挙げられる。
さらに、前述した置換基を有してもよいアルキル基、置換基を有してもよいアルケニル基、置換基を有してもよいアルキニル基、置換基を有してもよいアリール基および置換基を有してもよい複素環基の水素原子はさらに他の置換基で置換されていても良い。
そのような置換基としては、例えばフッ素原子、塩素原子、臭素原子、ヨウ素原子等のハロゲン基、メトキシ基、エトキシ基、tert−ブトキシ基等のアルコキシ基、フェノキシ基、p−トリルオキシ基等のアリールオキシ基、メトキシカルボニル基、ブトキシカルボニル基等のアルコキシカルボニル基、フェノキシカルボニル基等のアリールオキシカルボニル基、ビニルオキシカルボニル基等のアルケニルオキシカルボニル基、アセトキシ基、プロピオニルオキシ基、ベンゾイルオキシ基等のアシルオキシ基、アセチル基、ベンゾイル基、イソブチリル基、アクリロイル基、メタクリロイル基、メトキサリル基等のアシル基、メチルスルファニル基、tert−ブチルスルファニル基等のアルキルスルファニル基、フェニルスルファニル基、p−トリルスルファニル基等のアリールスルファニル基、メチルアミノ基、シクロヘキシルアミノ基等のアルキルアミノ基、ジメチルアミノ基、ジエチルアミノ基、モルホリノ基、ピペリジノ基等のジアルキルアミノ基、フェニルアミノ基、p−トリルアミノ基等のアリールアミノ基、メチル基、エチル基、tert−ブチル基、ドデシル基等のアルキル基、フェニル基、p−トリル基、キシリル基、クメニル基、ナフチル基、アンスリル基、フェナントリル基等のアリール基、ヒドロキシル基、カルボキシル基、アミド基、スルホンアミド基、ホルミル基、メルカプト基、アルキルチオ基、スルホ基、メシル基、p−トルエンスルホニル基、アミノ基、ニトロ基、ニトロソ基、シアノ基、トリフルオロメチル基、トリクロロメチル基、トリメチルシリル基、ホスフィニコ基、ホスホノ基、アルキルスルホニル基、アリールスルホニル基、トリアルキルアンモニウム基、ジメチルスルホニウミル基、トリフェニルフェナシルホスホニウミル基等が挙げられる。これらの置換基は、さらにハロゲン基によって置換されていてもよい。
このような置換基のうち、好ましい置換基として電子求引性の置換基が挙げられる。電子求引性の置換基により置換されることにより、一般的にイオン性化合物は解離しやすくなり、イオン伝導度は高くなる。
このような、電子求引性の置換基とは、共鳴効果や誘起効果によって相手から電子をひきつける置換基の総称であり、その多くは、ハメット則において、置換基定数σが正の値で示される。これらの置換基としては、特に制限はないが、具体的には、Chemical Review Vol.91、第165−195項 1991年発行に記載のσpが0より大きなものが挙げられる。より具体的には、ハロゲン基、シアノ基、カルボキシル基、ニトロ基、ニトロソ基、アシル基、アルコキシカルボニル基、アリールオキシカルボニル基、アルキルスルホニル基、アリールスルホニル基、トリアルキルアンモニウム基、アミド基、ペルフルオロアルキル基、ペルフルオロアルキルチオ基、ペルフルオロアルキルカルボニル基、スルホンアミド基、4−シアノフェニル基等が挙げられる。
R1からR4は、化合物の安定性面から考慮して、好ましくは置換基を有してもよいアルキル基、置換基を有してもよいアリール基であり、より好ましくは、置換基を有してもよいアリール基である。イオン伝導度の観点から、置換基としてはハロゲン基が好ましい。
R5からR8は、化合物の安定性面から考慮して、置換基を有してもよいアリール基が好ましい。R5からR8が置換基を有する場合、好ましい一例として疎水性の置換基が挙げられる。
本発明の一般式[1]で表される化合物の代表例を例示化合物(1)〜(80)として以下に具体的に例示するが、これらに限られるものではない。なお、例示化合物中のMeはメチル基、Etはエチル基、Prはノルマルプロピル基、i−Prはイソプロピル基、Buはノルマルブチル基、Hexはノルマルヘキシル基、c−Hexはシクロヘキシル基、Octはオクチル基、Cetはセチル基、Phはフェニル基を示す。
本発明の電解質は、単独で、または2種類以上を組み合わせて用いることができる。
本発明の電解質は、媒体とともに電解質組成物として用いることができる。媒体としては、溶剤、樹脂、ゲル化剤などが挙げられる。
一般的に、電解質と溶媒とからなる電解質組成物を液体電解質、液体電解質とゲル化剤とからなる電解質組成物をゲル電解質、電解質と樹脂からなる電解質組成物を固体電解質と呼ばれている。
液体電解質に使われている溶媒としては、一般的に液体電解質に使われている溶媒であれば何でも使用することができる。例えば、エチレンカーボネート、プロピレンカーボネート、ブチレンカーボネートなどの環状カーボネート化合物、ジメチルカーボネート、エチルメチルカーボネート、ジエチルカーボネートなどの鎖状カーボネート化合物、γ-ブチロラクトン、γ-バレロラクトンなどの環状エステル化合物、ギ酸メチル、酢酸メチル、酢酸エチル、プロピオン酸メチルなどの鎖状エステル化合物、3−メチル−2−オキサゾリジノンなどの複素環化合物、テトラヒドロフラン、メチルテトラヒドロフラン、ジオキサン、メチルジオキサンなどのエーテル化合物、ジエチルエーテル、エチルメチルエーテル、エチレングリコールジアルキルエーテル、プロピレングリコールジアルキルエーテル、ポリエチレングリコールジアルキルエーテル、ポリプロピレングリコールジアルキルエーテルなどの鎖状エーテル化合物、メタノール、エタノール、エチレングリコールモノアルキルエーテル、プロピレングリコールモノアルキルエーテル、ポリエチレングリコールモノアルキルエーテル、ポリプロピレングリコールモノアルキルエーテルなどのアルコール化合物、エチレングリコール、プロピレングリコール、ポリエチレングリコール、ポリプロピレングリコール、グリセリンなどの多価アルコール化合物、アセトニトリル、グルタロニトリル、アジポニトリル、メトキシアセトニトリル、プロピオニトリル、ベンゾニトリルなどのニトリル化合物、ジメチルホルミアミド、ジメチルアセトアミド、ジメチルスルホキシド、スルホラン、などの非プロトン性溶媒、4級アンモニウム塩、4級イミダゾリウム塩、4級ピリジニウム塩、などのイオン液体などを用いることができる。また、これらの溶媒を2種類以上組み合わせて用いてもよい。
本発明の電解質組成物としての液体電解質における電解質の使用割合は、電解質が溶解できる割合であれば任意の量を使用することができるが、好ましくは、溶媒中に、0.01mol/L〜20mol/Lの濃度であり、更に好ましくは0.1mol/L〜10mol/Lの濃度であることが望ましい。
ゲル電解質に使われているゲル化剤としては、一般的に使われているゲル化剤であれば何でも使用することができる。例えば、低分子オイルゲル化剤、樹脂、酸化物微粒子、カーボンナノチューブなどを用いることができる。
低分子オイルゲル化剤としては、既に様々なものが知られており、特に限定されることは無いが、例えば、12−ヒドロキシステアリン酸、N−ラウロイル−L−グルタミン酸−α、γ−ビス−n−ブチルアミド、1,2,3,4−ジベンジリデン−D−ソルビトール、ジアルキルリン酸アルミニウム、2,3−ビス−n−ヘキサデシロキシアントラセン、トリアルキル−シス−1,3,5−シクロヘキサントリカルボキシアミドなどを用いることができる。
樹脂としては、既に様々なものが知られており、一般的に液体電解質に使われている溶媒に溶解すれば、特に限定されることは無く、例えば、ポリエーテル、ポリエステル、ポリアクリル酸、ポリメタクリル酸、ポリアクリル酸アルキルエステル、ポリカプロラクトン、ポリカーボネート、ポリシロキサン、ポリエチレンオキサイド、ポリプロピレンオキサイド、ポリアクリロニトリル、ポリフッ化ビニリデン、ポリフッ化ビニル、ポリ塩化ビニル、ポリクロロプレン、ポリ塩化ビニリデン、ポリヘキサフルオロプロピレン、ポルフルオロエチレン、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリイソプレン、ポリブタジエン、ポリスチレン、ポリビニルピリジン、ポリビニルフェノール、ポリ酢酸ビニル、ポリビニルアルコール、ポリアクリロアミド、ポリビニルカルバゾール、ポリアミド、ポリイミド、ポリホスファゼンなどを主鎖に持つポリマーまたはこれらモノマー成分2種類以上の共重合体等を用いることができる。
さらには、これらの樹脂を組み合わせた、いわゆるポリマーアロイでもよい。
本発明の電解質組成物としてのゲル電解質における液体電解質とゲル化剤の比率は、ゲル状態を維持することができるのであれば任意の量を使用することができるが、好ましくは液体電解質100重量部に対してゲル化剤5重量部〜200重量部であり、更に好ましくは液体電解質100重量部に対してゲル化剤10重量部〜100重量部である。
固体電解質に使われている樹脂としては、本発明の電解質を均一に分散することができれば、特に限定されることは無く、例えば、ポリエーテル、ポリエステル、ポリアクリル酸、ポリメタクリル酸、ポリアクリル酸アルキルエステル、ポリカプロラクトン、ポリカーボネート、ポリシロキサン、ポリエチレンオキサイド、ポリプロピレンオキサイド、ポリアクリロニトリル、ポリフッ化ビニリデン、ポリフッ化ビニル、ポリ塩化ビニル、ポリクロロプレン、ポリ塩化ビニリデン、ポリヘキサフルオロプロピレン、ポルフルオロエチレン、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリイソプレン、ポリブタジエン、ポリスチレン、ポリビニルピリジン、ポリビニルフェノール、ポリ酢酸ビニル、ポリビニルアルコール、ポリアクリロアミド、ポリビニルカルバゾール、ポリアミド、ポリイミド、ポリホスファゼンなどのポリマーまたはこれらモノマー成分2種類以上の共重合体等を用いることができる。
さらには、これら樹脂を組み合わせた、いわゆるポリマーアロイでもよい。
本発明の電解質組成物としての固体電解質における樹脂と電解質の比率は、樹脂中に均一に電解質を分散することができるのであれば任意の量を使用することができるが、好ましくは樹脂100重量部に対して電解質5重量部〜200重量部であり、更に好ましくは液体電解質100重量部に対して樹脂10重量部〜100重量部である。
本発明の電解質組成物いずれかを用いて作成した電池としては、一次電池、二次電池、燃料電池、太陽電池、などがある。
本発明の電解質組成物は、センサー材料、電子発光材料、表示材料、アクチュエーターなどに用いることもできる。
本発明における電解質を使用する際に、必要に応じて他の電解質、顔料、着色剤、酸化防止剤、紫外線吸収剤、補強剤、耐候剤、滑剤、ブロッキング防止剤、可塑剤、香料、発泡剤、難燃剤、フィラー、等の添加物を同時に配合することも可能である。
顔料としては、カーボンブラック、酸化鉄、炭酸カルシウム、酸化チタン、酸化亜鉛、カドミウムイエロー、ニッケルチタンイエロー、ストロンチウムクロマート、プルシアンブルー等の無機顔料、アゾ顔料、インジゴ顔料、フタロシアニン顔料、キノフタロン顔料、イソインドリン顔料、イソインドリノン顔料、ジケトピロロピロール顔料、キナクリドン顔料、ペリレン顔料、インダンスロン顔料、ペリノン顔料、ジオキサジン顔料等の有機顔料が挙げられる。
酸化防止剤としては、例えば、2,6−ジ−tert.−ブチルフェノール(以下、tert.−ブチルを「t−ブチル」と略記する。)、2,6−ジ−t−ブチル−4−メチルフェノール、2,6−ジ−t−ブチル−4−エチルフェノール、2,4−ジメチル−6−t−ブチルフェノール、4,4’−メチレンビス(2,6−ジ−t−ブチルフェノール)、4,4’−ビス(2,6−ジ−t−ブチルフェノール)、4,4’−ビス(2−メチル−6−t−ブチルフェノール)、2,2’−メチレンビス(4−メチル−6−t−ブチルフェノール)、2,2’−メチレンビス(4−エチル−6−t−ブチルフェノール)、4,4’−ブチリデンビス(3−メチル−6−t−ブチルフェノール)、4,4’−イソプロピリデンビス(2,6−ジ−t−ブチルフェノール)、2,2’−メチレンビス(4−メチル−6−シクロヘキシルフェノール)、2,2’−メチレンビス(4−メチル−6−ノニルフェノール)、2,2’−イソブチリデンビス(4,6−ジメチルフェノール)、2,6−ビス(2’−ヒドロキシ−3’−t−ブチル−5’−メチルベンジル)4−メチルフェノール、3−t−ブチル−4−ヒドロキシアニソール、2−t−ブチル−4−ヒドロキシアニソール、3−(4−ヒドロキシ−3,5−ジ−t−ブチルフェニル)プロピオン酸ステアリル、3−(4−ヒドロキシ−3,5−ジ−t−ブチルフェニル)プロピオン酸オレイル、3−(4−ヒドロキシ−3,5−ジ−t−ブチルフェニル)プロピオン酸ドデシル、3−(4−ヒドロキシ−3,5−ジ−t−ブチルフェニル)プロピオン酸オクチル、テトラキス{3−(4−ヒドロキシ−3,5−ジ−t−ブチルフェニル)プロピオニルオキシメチル}メタン、3−(4−ヒドロキシ−3,5−ジ−t−ブチルフェニル)プロピオン酸グリセリンモノエステル、3−(4−ヒドロキシ−3,5−ジ−t−ブチルフェニル)プロピオン酸とグリセリンモノオレイルエーテルとのエステル、3−(4−ヒドロキシ−3,5−ジ−t−ブチルフェニル)プロピオン酸ブチレングリコールエステル、3−(4−ヒドロキシ−3,5−ジ−t−ブチルフェニル)プロピオン酸チオジグリコールエステル、4,4’−チオビス(3−メチル−6−t−ブチルフェノール)、4,4’−チオビス(2−メチル−6−t−ブチルフェノール)、2,2’−チオビス(4−メチル−6−t−ブチルフェノール)、2,6−ジ−t−ブチル−α−ジメチルアミノ−p−クレゾール、2,6−ジ−t−ブチル−4(N,N’−ジメチルアミノメチルフェノール)、ビス(3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシベンジル)サルファイド、トリス{(3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオニル−オキシエチル}イソシアヌルレート、トリス(3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)イソシアヌレート、1,3,5−トリス(3’,5’−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシベンゾイル)イソシアヌレート、ビス{2−メチル−4−(3−n−アルキルチオプロピオニルオキシ)−5−t−ブチルフェニル)サルファイド、1,3,5−トリス(4−ジ−t−ブチル−3−ヒドロキシ−2,6−ジメチルベンジル)イソシアヌレート、テトラフタロイル−ジ(2,6−ジメチル−4−t−ブチル−3−ヒドロキシベンジルサルファイド)、6−(4−ヒドロキシ−3,5−ジ−t−ブチルアニリノ)−2,4−ビス(オクチルチオ)−1,3,5−トリアジン、2,2−チオ−{ジエチル−ビス−3−(3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)}プロピオネート、N,N’−ヘキサメチレンビス(3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシ−ヒドロシナミド)、3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシ−ベンジル−リン酸ジエステル、ビス(3−メチル−4−ヒドロキシ−5−t−ブチルベンジル)サルファイド、3,9−ビス[1,1−ジメチル−2−{β−(3−t−ブチル−4−ヒドロキシ−5−メチルフェニル)プロピオニルオキシ}エチル]−2,4,8,10−テトラオキサスピロ[5,5]ウンデカン、1,1,3−トリス(2−メチル−4−ヒドロキシ−5−t−ブチルフェニル)ブタン、1,3,5−トリメチル−2,4,6−トリス(3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシベンジル)ベンゼン、ビス{3,3’−ビス−(4’−ヒドロキシ−3’−t−ブチルフェニル)ブチリックアシッド}グリコールエステル、トリフェニルホスファイト、ジフェニルイソデシルホスファイト、フェニルジイソデシルホスファイト、4,4−ブチリデンビス(3−メチル−6−t−ブチルフェニルジイソトリデシル)ホスファイト、ジステアリルペンタエリスリトールジホスファイト、ジイソデシルペンタエリスリトールジホスファイト、トリス(ノニルフェニル)ホスファイト、トリス(ジノニルフェニル)ホスファイト、トリス(2,4−ジ−t−ブチルフェニル)ホスファイト、ビス(2,6−ジ−t−ブチル−4−メチルフェニル)ペンタエリスリトールホスファイト、2,2−メチレンビス(4,6−ジ−t−ブチルフェニル)オクチルホスファイト、1,1,3−ブチリジントリス(3−メチル−6−t−ブチルフェニルジイソトリデシル)ホスファイト、2,2−プロピリデンビス(3−メチル−6−t−ブチルフェニルジイソトリデシル)ホスファイト、テトラキス(2,4−ジ−t−ブチルフェニル)−4,4−ビフェニレン−ジホスホナイト、9,10−ジヒドロ−9−オキサ−10−ホスファフェナントレン−10−オキサイド、10−(3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシベンジル)−9,10−ジヒドロ−9−オキサ−10−ホスファフェナントレン−10−オキサイド、10−デシルオキシ−9,10−ジヒドロ−9−オキサ−10−ホスファフェナントレン、ジオクチルチオジプロピオネート、ジデシルチオジプロピオネート、ジラウリルチオジプロピオネート、ジミリスチルチオジプロピオネート、ジステアリルチオジプロピオネート、ラウリルステアリルチオジプロピオネート、ジステアリル−β,β’−チオジブチレート、(3−オクチルチオプロピオン酸)ペンタエリスリトールテトラエステル、(3−デシルチオプロピオン酸)ペンタエリスリトールテトラエステル、(3−ラウリルチオプロピオン酸)ペンタエリスリトールテトラエステル、(3−ステアリルチオプロピオン酸)ペンタエリスリトールテトラエステル、(3−オレイルチオプロピオン酸)ペンタエリスリトールテトラエステル、(3−ラウリルチオプロピオン酸)−4,4’−チオジ(3−メチル−5−t−ブチル−4−フェノール)エステル、2−メルカプトベンズイミダゾール、2−メルカプトメチルベンズイミダゾール、2−ベンズイミダゾールジスルフィド、ジラウリルサルファイド、アミルチオグリコール等が挙げられる。
紫外線吸収剤としては、例えば、2−(2’−ヒドロキシ−5’−メチルフェニル)ベンゾトリアゾール、2−(2’−ヒドロキシ−5’−t−ブチルフェニル)ベンゾトリアゾール、2−(2’−ヒドロキシ−3’,5’−ジ−t−ブチルフェニル)ベンゾトリアゾール、2−(2’−ヒドロキシ−3’−t−ブチル−5’−メチルフェニル)ベンゾトリアゾール、2−{2’−ヒドロキシ−3’,5’−ビス(α,α−ジメチルベンジル)フェニル}ベンゾトリアゾール、2−(2’−ヒドロキシ−3’−t−ブチル−5’−メチルフェニル)−5−クロロベンゾトリアゾール、2−(2’−ヒドロキシ−3’,5’−ジ−t−ブチルフェニル)−5−クロロベンゾトリアゾール、2−(2’−ヒドロキシ−3’,5’−ジ−t−アミルフェニル)ベンゾトリアゾール、2−(2’−ヒドロキシ−5’−t−オクルフェニル)ベンゾトリアゾール、2−{2’−ヒドロキシ−3’−(3”,4”,5”,6”−テトラヒドロフタルイミドメチル)−5’−メチルフェニル}ベンゾトリアゾール、2,2−メチレンビス{4−(1,1,3,3−テトラメチルブチル)−6−(2H−ベンゾトリアゾール−2−イル)フェノール}、2−(2’−ヒドロキシ−5’−メタクリロキシフェニル)−2H−ベンゾトリアゾール、2,4−ジヒドロキシベンゾフェノン、2−ヒドロキシ−4−メトキシベンゾフェノン、2−ヒドロキシ−4−オクトキシベンゾフェノン、2−ヒドロキシ−4−ドデシルオキシベンゾフェノン、2,2’−ジヒドロキシ−4−メトキシベンゾフェノン、2,2’−ジヒドロキシ−4,4’−メトキシベンゾフェノン、2−ヒドロキシ−4−メトキシ−5−スルホベンゾフェノン、ビス(5−ベンゾイル−4−ヒドロキシ−2−メトキシフェニルメタン)、フェニルサリシレート、4−t−ブチルフェニルサリシレート、4−オクチルフェニルサリシレート等のサリシレート系;エチル−2−シアノ−3,3−ジフェニルアクリレート、2−エチルヘキシル−2−シアノ−3,3−ジフェニルアクリレート等のシアノアクリレート系;2−エトキシ−2’−エチルオキザリックアシッドビスアニリド等のオキザリックアシッド系、ビス(2,2,6,6−テトラメチル−4−ピペリジル)セバケート、ビス(N−メチル−2,2,6,6−テトラメチル−4−ピペリジル)セバケート、ビス(1,2,2,6,6−ペンタメチル−4−ピペリジル)−2−(3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシベンジル)−2−n−ブチルマロネート、テトラキス(2,2,6,6−テトラメチル−4−ピペリジル)−1,2,3,4−ブタンテトラカルボキシレート、テトラキス(1,2,2,6,6−ペンタメチル−4−ピペリジル)−1,2,3,4−ブタンテトラカルボキシレート、(ミックスト−2,2,6,6−テトラメチル−4−ピペリジル/トリデシル)−1,2,3,4−ブタンテトラカルボキシレート、(ミックスト−1,2,2,6,6−ペンタメチル−4−ピペリジル/トリデシル)−1,2,3,4−ブタンテトラカルボキシレート、ミックスト−{2,2,6,6−テトラメチル−4−ピペリジル/β,β,β’,β’−テトラメチル−3,9−(2,4,8,10−テトラオキサスピロ[5,5]ウンデカン)ジエチル}−1,2,3,4−ブタンテトラカルボキシレート、ミックスト−{1,2,2,6,6−ペンタメチル−4−ピペリジル/β,β,β’,β’−テトラメチル−3,9−(2,4,8,10−テトラオキサスピロ[5,5]ウンデカン)ジエチル}−1,2,3,4−ブタンテトラカルボキシレート、ポリ{6−(1,1,3,3,−テトラメチルブチル)イミノ−1,3,5−トリアジン−2,4−ジイル}{(2,2,6,6−テトラメチル−4−ピペリジル)イミノ}ヘキサメチレン{(2,2,6,6−テトラメチル−4−ピペリジル)イミノ}、ジメチルサクシネート/4−ヒドロキシ−2,2,6,6−テトラメチル−1−ピペリジンエタノール重合体、2,2,6,6−テトラメチル−4−ピペリジルメタクリレート、1,2,2,6,6−ペンタメチル−4−ピペリジルメタクリレート、エチレンビス(2,2,6,6−テトラメチル−3−オキサ−4−ピペリジン)、{2,2’−チオビス(4−t−オクチルフェノレート)}−2−エチルヘキシルアミンニッケル(II)、ニッケルジブチルジチオカルバメート、{2,2'−チオビス(4−t−オクチルフェノレート)}−2−ブチルアミンニッケル(II)、ニッケルビス(オクチルフェニル)サルファイド、3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシベンジルリン酸モノエチレートニッケル錯体等のニッケル系光安定剤;2,4−ジ−t−ブチルフェニル−3,5'−ジ−t−ブチル−4'−ヒドロキシベンゾエート等が挙げられる。
可塑剤としては、フタル酸エステル、リン酸エステル、ポリエステル、トリメリット酸エステル、塩素化パラフィン、二塩基酸エステル、エポキシ化エステル等が挙げられる。
難燃剤としては、テトラブロモビスフェノールA、ヘキサブロモベンゼン、トリス(2,3−ジブロモプロピル)イソシアヌレート、2,2−ビス(4−ヒドロキシエトキシ−3,5−ジブロモフェニル)プロパン、デカブロモジフェニルオキサイド、ヘキサブロモシクロデカン、テトラブロモ無水フタル酸、塩素化ポリエチレン、塩素化パラフィン、パークロロシクロペンタデカン、クロレンド酸、テトラクロロ無水フタル酸、リン酸アンモニウム、トリクレジルフォスフェート、トリエチルフォスフェート、トリス(β−クロロエチル)フォスフェート、トリスクロロエチルフォスフェート、トリスジクロロプロピルフォスフェート、クレジルジフェニルフォスフェート、キシレニルジフェニルフォスフェート、赤燐、酸化スズ、三酸化アンチモン、水酸化ジルコニウム、メタホウ酸バリウム、ホウ酸亜鉛、水酸化アルミニウム、水酸化マグネシウム、窒素化グアニジン等が挙げられる。
本発明によれば、高いイオン伝導度を有しながらも、有機溶媒に対する高い溶解性と、高い疎水性を持った電解質を提供することが可能となる。
次に、本発明について実施例を用いて説明するが、本発明はこれらの実施例に限定されるものではない。
まず、以下に本発明における電解質である化合物の合成例を示す。
<合成例1> 化合物(9)の合成
ナトリウム テトラフェニルボレート 342gを、イオン交換水1Lに溶解させた。そこに、テトラエチルアンモニウムブロマイド 210gをイオン交換水1Lに溶解させたものを徐々に添加した。析出物をろ過することにより、化合物(9)を 403g得た。元素分析((株)柳本製作所製 MT−5)(組成式:C32H40BN 計算値(%):C, 85.51; H, 8.97; N, 3.12 実測値(%):C, 85.61; H, 8.85; N, 3.24)により確認した。
ナトリウム テトラフェニルボレート 342gを、イオン交換水1Lに溶解させた。そこに、テトラエチルアンモニウムブロマイド 210gをイオン交換水1Lに溶解させたものを徐々に添加した。析出物をろ過することにより、化合物(9)を 403g得た。元素分析((株)柳本製作所製 MT−5)(組成式:C32H40BN 計算値(%):C, 85.51; H, 8.97; N, 3.12 実測値(%):C, 85.61; H, 8.85; N, 3.24)により確認した。
<合成例2> 化合物(20)の合成
テトラエチルアンモニウムブロマイドの代わりに、オクチルトリメチルアンモニウムブロマイドを用いた以外は、合成例1と同様にして、化合物(20)を得た。元素分析(組成式:C35H46BN 計算値(%):C, 85.52; H, 9.43; B, 2.20; N, 2.85 実測値(%):C, 85.68; H, 9.36; N, 2.79)により確認した。
テトラエチルアンモニウムブロマイドの代わりに、オクチルトリメチルアンモニウムブロマイドを用いた以外は、合成例1と同様にして、化合物(20)を得た。元素分析(組成式:C35H46BN 計算値(%):C, 85.52; H, 9.43; B, 2.20; N, 2.85 実測値(%):C, 85.68; H, 9.36; N, 2.79)により確認した。
<合成例3> 化合物(47)の合成
テトラエチルアンモニウムブロマイドの代わりに、トリメチルビニルオキシカルボニルメチルアンモニウムクロライド を用いた以外は、合成例1と同様にして、化合物(47)を得た。元素分析(組成式:C31H14BF20N2 計算値(%):C, 45.23; H, 1.71; N, 1.70 実測値(%):C, 45.14; H, 1.78; N, 1.88)により確認した。
テトラエチルアンモニウムブロマイドの代わりに、トリメチルビニルオキシカルボニルメチルアンモニウムクロライド を用いた以外は、合成例1と同様にして、化合物(47)を得た。元素分析(組成式:C31H14BF20N2 計算値(%):C, 45.23; H, 1.71; N, 1.70 実測値(%):C, 45.14; H, 1.78; N, 1.88)により確認した。
<合成例4> 化合物(56)の合成
テトラエチルアンモニウムブロマイドの代わりに、アリルトリメチルアンモニウムブロマイド を用いた以外は、合成例1と同様にして、化合物(56)を得た。元素分析(組成式:C30H14BF20N 計算値(%):C, 46.24; H, 1.81; N, 1.80 実測値(%):C, 46.18; H, 1.74; N, 1.89)により確認した。
テトラエチルアンモニウムブロマイドの代わりに、アリルトリメチルアンモニウムブロマイド を用いた以外は、合成例1と同様にして、化合物(56)を得た。元素分析(組成式:C30H14BF20N 計算値(%):C, 46.24; H, 1.81; N, 1.80 実測値(%):C, 46.18; H, 1.74; N, 1.89)により確認した。
<合成例5> 化合物(62)の合成
テトラエチルアンモニウムブロマイドの代わりに、テトラブチルアンモニウムブロマイド を用いた以外は、合成例1と同様にして、化合物(62)を得た。元素分析(組成式:C40H36BF20N 計算値(%):C, 52.14; H, 3.94; N, 1.52 実測値(%):C, 52.00; H, 4.00; N, 1.66)により確認した。
テトラエチルアンモニウムブロマイドの代わりに、テトラブチルアンモニウムブロマイド を用いた以外は、合成例1と同様にして、化合物(62)を得た。元素分析(組成式:C40H36BF20N 計算値(%):C, 52.14; H, 3.94; N, 1.52 実測値(%):C, 52.00; H, 4.00; N, 1.66)により確認した。
<合成例6> 化合物(64)の合成
テトラエチルアンモニウムブロマイドの代わりに、ベンジルトリメチルアンモニウムクロライド を用いた以外は、合成例1と同様にして、化合物(64)を得た。元素分析(組成式:C43H34BF20N 計算値(%):C, 54.05; H, 3.59; N, 1.47 実測値(%):C, 54.20; H, 5.66; N, 1.68)により確認した。
テトラエチルアンモニウムブロマイドの代わりに、ベンジルトリメチルアンモニウムクロライド を用いた以外は、合成例1と同様にして、化合物(64)を得た。元素分析(組成式:C43H34BF20N 計算値(%):C, 54.05; H, 3.59; N, 1.47 実測値(%):C, 54.20; H, 5.66; N, 1.68)により確認した。
合成例に挙げていない化合物に関しては、合成例1に従い、相当するボレートのナトリウム、カリウム、リチウムまたはマグネシウムハライド塩と相当するアンモニウム塩のブロマイド、クロライドまたはヨーダイドとの塩交換により化合物を合成した。なお、原料はアルドリッチ社、東京化成社、ナカライテスク社、メルク社等の試薬メーカーから購入した。
また、入手が困難なボレートに関しては、特開昭62−132893号公報、特開昭62−277307号公報、特開平6−247980号公報、特開平6−247981号公報、特開平8−311074号公報、特開平10−330381号公報、特開平10−310589号公報、特開平11−292883号公報、特開2000−143671号公報、特開2003−238572号公報、特開2003−335786号公報、特開2004−43435号公報、米国特許第398236号公報、米国特許第5473036号公報、Journal of Organometallic Chemistry誌 1964年 第2巻 245頁、Journal of Organometallic Chemistry誌 1967年 第8巻 411頁等を参考に合成を行った。
表1に、合成した化合物のうち代表的なものの元素分析値を示す。
次に、実施例により本発明を更に具体的に説明するが、本発明はこれにより限定されるものではない。
実施例1
PC(プロピレンカーボネート)/DME(ジメトキシエタン)体積比1/2の混合溶媒5gに、電解質として化合物(1)を1.0 mol/L(2.8 g)になるように秤量し、溶解させて、液体電解質を作成した。
PC(プロピレンカーボネート)/DME(ジメトキシエタン)体積比1/2の混合溶媒5gに、電解質として化合物(1)を1.0 mol/L(2.8 g)になるように秤量し、溶解させて、液体電解質を作成した。
インピーダンスアナライザー(HP社製、4192A)を用いて、イオン伝導度を測定したところ、イオン伝導度は2.1×10-3 S/cmであった。
実施例2〜実施例80
化合物(1)の代わりに、化合物(2)から化合物(80)を用いた以外は、実施例1と同様にして液体電解質のイオン伝導度を測定した。
化合物(1)の代わりに、化合物(2)から化合物(80)を用いた以外は、実施例1と同様にして液体電解質のイオン伝導度を測定した。
実施例81〜実施例160
化合物(1)から化合物(80)を5.0 mol/Lにして用いた以外は、実施例1から実施例80と同様にして液体電解質のイオン伝導度を測定した。
比較例1
化合物(1)の代わりに、ナトリウムテトラフェニルボレートを用いた以外は、実施例1と同様にして液体電解質のイオン伝導度を測定した。
比較例2
化合物(1)の代わりに、ナトリウムテトラフェニルボレートを用いた以外は、実施例81と同様にして液体電解質を作成しようとしたが、飽和、析出してしまい、目的の濃度に調整することができなかった。
比較例3
化合物(1)の代わりに、ヨウ化リチウムを用いた以外は、実施例1と同様にして液体電解質のイオン伝導度を測定した。
比較例4
化合物(1)の代わりに、ヨウ化リチウムを用いた以外は、実施例81と同様にして液体電解質を作成しようとしたが、飽和、析出してしまい、目的の濃度に調整することができなかった。
化合物(1)から化合物(80)を5.0 mol/Lにして用いた以外は、実施例1から実施例80と同様にして液体電解質のイオン伝導度を測定した。
比較例1
化合物(1)の代わりに、ナトリウムテトラフェニルボレートを用いた以外は、実施例1と同様にして液体電解質のイオン伝導度を測定した。
比較例2
化合物(1)の代わりに、ナトリウムテトラフェニルボレートを用いた以外は、実施例81と同様にして液体電解質を作成しようとしたが、飽和、析出してしまい、目的の濃度に調整することができなかった。
比較例3
化合物(1)の代わりに、ヨウ化リチウムを用いた以外は、実施例1と同様にして液体電解質のイオン伝導度を測定した。
比較例4
化合物(1)の代わりに、ヨウ化リチウムを用いた以外は、実施例81と同様にして液体電解質を作成しようとしたが、飽和、析出してしまい、目的の濃度に調整することができなかった。
表2に、実施例1〜実施例160及び比較例1〜比較例4の結果を示す。
実施例1〜実施例161より、本発明の電解質を用いて液体電解質を作成した場合、1.0 mol/Lでも無機塩と同等のイオン伝導度が得られ、5.0 mol/Lという非常に高濃度に溶解させた場合も析出せず、非常に高いイオン伝導度を示した。一方、比較例のような無機塩は有機溶媒に対して高濃度では溶解せず、析出して、液体電解質として使用することができなかった。
実施例161
γBL(γ-ブチロラクトン)10gに、電解質としてモル濃度が0.1mol/Lになるように化合物(1)を溶解させて、液体電解質を作成した。さらにその液体電解質に、ゲル化剤として、1,2,3,4−ジベンジリデン−D−ソルビトール(新日本理化株式会社製、商品名:ゲルオールD)を加熱溶解させて、完全に溶解させた後、室温まで冷却したところ、ゲル電解質を得ることができた。
γBL(γ-ブチロラクトン)10gに、電解質としてモル濃度が0.1mol/Lになるように化合物(1)を溶解させて、液体電解質を作成した。さらにその液体電解質に、ゲル化剤として、1,2,3,4−ジベンジリデン−D−ソルビトール(新日本理化株式会社製、商品名:ゲルオールD)を加熱溶解させて、完全に溶解させた後、室温まで冷却したところ、ゲル電解質を得ることができた。
インピーダンスアナライザーを用いて、イオン伝導度を測定したところ、イオン伝導度は1.1×10-3 S/cmであった。
実施例162〜実施例201
化合物(1)の代わりに、表3に記載した化合物を用いた以外は、実施例161と同様にしてゲル電解質のイオン伝道度を測定した。結果を表3に示す。
化合物(1)の代わりに、表3に記載した化合物を用いた以外は、実施例161と同様にしてゲル電解質のイオン伝道度を測定した。結果を表3に示す。
比較例5
化合物(1)の代わりに、電解質としてナトリウムテトラフェニルボレートを用いたが、電解質がゲル化を阻害したせいか、ゲル電解質を作ることができなかった。
化合物(1)の代わりに、電解質としてナトリウムテトラフェニルボレートを用いたが、電解質がゲル化を阻害したせいか、ゲル電解質を作ることができなかった。
比較例6
化合物(1)の代わりに、電解質としてヨウ化リチウムを用いたが、電解質がゲル化を阻害したせいか、ゲル電解質を作ることができなかった。
化合物(1)の代わりに、電解質としてヨウ化リチウムを用いたが、電解質がゲル化を阻害したせいか、ゲル電解質を作ることができなかった。
実施例161〜実施例201より、本発明の電解質を用いてゲル電解質を作成した場合、電解質とゲル化剤が良好な相溶性を示し、高いイオン伝導度を示した。一方、比較例で用いた無機塩では、ゲル電解質を作成することができなかった。今回使用したゲル化剤は水素結合でゲル化するものであり、無機塩では、水素結合の形成を阻害し、ゲル化が進行しないため、ゲル電解質を作成することができなかったと考えられる。
実施例202
DME10gに、電解質としてモル濃度が0.1 mol/Lになるように化合物(1)を溶解させて、液体電解質を作成した。さらにその液体電解質にPVDF−HFP(ポリ(フッ化ビニリデン−ヘキサフルオロプロピレン))(Aldrich社製)を加熱溶解させて、完全に溶解させた後、24時間真空乾燥してDMEを留去し、固体電解質を作成した。
DME10gに、電解質としてモル濃度が0.1 mol/Lになるように化合物(1)を溶解させて、液体電解質を作成した。さらにその液体電解質にPVDF−HFP(ポリ(フッ化ビニリデン−ヘキサフルオロプロピレン))(Aldrich社製)を加熱溶解させて、完全に溶解させた後、24時間真空乾燥してDMEを留去し、固体電解質を作成した。
湿度30%RH下において、インピーダンスアナライザーを用いて、イオン伝導度を測定したところ、イオン伝導度は4.0×10-4 S/cmであった。
実施例203〜実施例213
化合物(1)の代わりに、表4に記載した化合物を用いた以外は、実施例202と同様にして固体電解質のイオン伝導度を測定した。結果を表4に示す。
化合物(1)の代わりに、表4に記載した化合物を用いた以外は、実施例202と同様にして固体電解質のイオン伝導度を測定した。結果を表4に示す。
比較例7
化合物(1)の代わりに、ナトリウムテトラフェニルボレートを用いた以外は、実施例202と同様にして固体電解質のイオン伝導度を測定した。結果を表4に示す。
化合物(1)の代わりに、ナトリウムテトラフェニルボレートを用いた以外は、実施例202と同様にして固体電解質のイオン伝導度を測定した。結果を表4に示す。
比較例8
化合物(1)の代わりに、ヨウ化リチウムを用いた以外は、実施例202と同様にして固体電解質のイオン伝導度を測定した。結果を表4に示す。
化合物(1)の代わりに、ヨウ化リチウムを用いた以外は、実施例202と同様にして固体電解質のイオン伝導度を測定した。結果を表4に示す。
実施例202〜実施例213より、本発明の電解質を用いて固体電解質を作成した場合、電解質と樹脂が良好な相溶性を示し、湿度が変化してもそのイオン伝導度はほとんど変化しないことが分かった。
一方、比較例のような無機塩を電解質として用いた固体電解質は、湿度が上昇するにつれイオン伝導度が減少し、70%RHではほとんど導電性を示さなかった。これらの無機塩は吸湿性が高く、湿度の高い条件では固体電解質が吸湿し、イオン伝導度が減少したと考えられる。
一方、比較例のような無機塩を電解質として用いた固体電解質は、湿度が上昇するにつれイオン伝導度が減少し、70%RHではほとんど導電性を示さなかった。これらの無機塩は吸湿性が高く、湿度の高い条件では固体電解質が吸湿し、イオン伝導度が減少したと考えられる。
以上、総合的に判断をすると、本発明の電解質は、高いイオン伝導度に加え、樹脂や溶剤への溶解性(相溶性)・耐熱性・耐湿性を併せ持ち、貴金属や重金属さらには金属イオンを含まないといった特徴を兼ね備えている。
Claims (7)
- R1〜R4が、それぞれ独立に、置換基を有してもよいアルキル基、または、置換基を有してもよいアリール基である請求項1記載の電解質。
- R1〜R4が、それぞれ独立に、置換基を有してもよいアリール基である請求項1または2記載の電解質。
- R5〜R8が、それぞれ独立に、置換基を有してもよいアルキル基である請求項1ないし3いずれか記載の電解質。
- 請求項1ないし4いずれか記載の電解質と、溶剤および/または樹脂とを含んでなる電解質組成物。
- さらに、ゲル化剤を含んでなる請求項5記載の電解質組成物。
- 請求項5または6記載の電解質組成物を用いて作成された電池。
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