JP2010174302A - ダイクエンチ用鋼板 - Google Patents

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一洋 瀬戸
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Abstract

【課題】熱間加工時の耐スケール剥離性に優れたダイクエンチ用鋼板を提供する。
【解決手段】鋼板の組成を、質量%で、C:0.19%以上0.28%未満、Si:0.15〜0.50%、Mn:1.0〜1.8%、P:0.025%以下、S:0.001%以下、Al:0.01〜0.10%、N:0.005%以下、Cr:1.0超〜11.0%、Ti:0.01〜0.15%、B:0.0008〜0.0030%を含み、残部Feおよび不可避的不純物からなる組成とする。これにより、ダイクエンチの加熱に際してスケールの生成が抑制され、ショットブラスト処理の負荷が軽減でき、さらにダイクエンチの熱間加工に際してスケールの剥離が抑制され、ダイクエンチ加工用の金型の損傷や製品表面の線状疵の発生が防止され、寸法精度が著しく向上した、引張強さ1500MPa以上の高強度部品の製造が容易となる。
【選択図】なし

Description

本発明は、自動車部品等向けの高強度鋼板に係り、とくに、鋼板を加熱したのち、プレス加工しながら焼入れて、高強度化を図るダイクエンチ(ホットプレスともいう)の適用に好適な、ダイクエンチ用鋼板に関する。
従来から、自動車の車体構造部品、足回り部品等の多くは、所定の強度を有する鋼板をプレス加工して製造されてきた。近年、地球環境の保全という観点から、自動車車体の軽量化が熱望され、使用する鋼板の高強度化が求められている。しかし、鋼板の高強度に伴う加工性(成形性)の低下により、鋼板を所望の部品形状に加工することが困難になる場合が多い。具体的には、例えば、延性が低下して加工量の多い部位で破断が生じたり、スプリングバックが大きくなり寸法精度が低下するなどの問題がある。
このような問題に対し、自動車部品等を高強度化する方法の一つとして、ダイクエンチ(ホットプレスともいう)と称される技術が実用化されている。ダイクエンチでは、素材(鋼板)を950℃程度の温度に加熱し、ついで加熱された状態の素材を水冷等により冷却された金型を用いて、所望の形状にプレス加工すると同時に焼入れする。これにより、所望の加工形状に成形されると同時に硬化し、所望の寸法精度と所望の高強度とを兼備する部品となり、加工性(成形性)と高強度化を両立させることができる。
しかし、ダイクエンチでは、まず素材を950℃程度の高温に加熱する必要があり、素材の酸化によるスケール生成が問題となる。このスケールは、厚さが厚く、素材との密着性も悪いため、加工時に剥離しやすく、剥離して金型と被成形材である素材との間に噛み込まれ、金型を損傷させたり、製品(部品)表面に線状疵を発生させる。また、素材の表面にスケールが生成すると、その後に製品に施す化成処理や、溶接等の作業ができなくなる。さらに、スケールの厚さが厚くなると冷却時の熱伝達が悪くなり、焼きが入らずに強度が低下する場合がある。加熱時に素材の酸化を防止する方法としては、素材に酸化防止の薬剤を塗布する方法や、素材に酸化防止のめっきを施す方法等が考えられるが、これらの方法は、いずれもコストがかかる割りには、酸化を完全に防止することが困難である。そこで、生成したスケールを除去するために、通常、プレス加工後の製品にショットブラスト処理を施している。
しかし、プレス加工後の製品にショットブラスト処理を施すと、スケールが除去されると同時に、製品が変形する、あるいはスケール生成量が多いとスケール除去による製品の肉厚減少が大きくなり製品の寸法精度が悪化する、といった問題がある。
このような問題に対し、例えば特許文献1には、Si:0.01〜0.5%、Cr:0.01〜0.5%含有する組成を有し、表面平均粗さが3.0μm以下である鋼板表面にブラシ水洗浄と、酸洗とを行い、さらにアルカリ洗浄し、最後にブラシ水洗浄を行う処理を施すことにより、その後に大気酸化させた場合でも酸化されにくく、スケール生成量が少なくなるという熱間プレス用鋼板の製造方法が記載されている。鋼板にこのような処理を施すと、鋼板を大気中でAC3点以上に加熱保持した後に、表層に生成するスケールは、鋼板の地鉄との界面に、FeO、FeCrO、FeSiOの混合相と、その上層として実質的にFeO単相からなる構造のスケールとなり、スケール生成量が減少するとしている。
また、特許文献2には、質量%で、C:0.10〜0.25%,Si:0.01〜1.0%,Mn:0.5〜2.0%,P:0.025%以下,S:0.008%以下,Al:0.01〜0.10%,N:0.005%以下,Ti:0.01〜0.15%,B:0.0005〜0.0050%,あるいはさらにCr:0.05〜1.0%,Ni:0.05〜1.0%,Mo:0.05〜1.0%,V:0.05〜1.0%のうちから選ばれた1種または2種以上を含有する組成を有するスラブを、700〜850℃の仕上温度で熱間圧延し、熱間圧延後1s以内に冷却を開始し、少なくとも700℃まで平均冷却速度50℃/s以上で冷却した後、550〜630℃の巻取温度で巻き取る、ダイクエンチ用熱延鋼板の製造方法が記載されている。これにより、地鉄との界面の組成がFeOで、厚さが2.0〜7.0μmであるスケールを有するダイクエンチ用熱延鋼板が製造できるとしている。特許文献2に記載された技術で得られた熱延鋼板は、ダイクエンチの加熱時にスケールの成長を抑制でき、生成するスケール厚さが薄く、ダイクエンチ後にショットブラストによるスケール除去が容易になるとしている。
特開2005−133180号公報 特開2008−214650号公報
しかし、特許文献1に記載された技術では、複雑な洗浄工程を必要とし、生産性が低下するとともに、製造コストの高騰を招くという問題があった。また、特許文献2に記載された技術によってもなお、ダイクエンチの加熱時に生成するスケール量が多く、熱間でのスケールの密着性が不足し、熱間加工時にスケール剥離を起こし、線状疵を発生させる場合が皆無となっていないのが実情である。
本発明は、かかる従来技術の問題点を解決し、ダイクエンチの加熱に際してはスケールの生成を抑制し、ダイクエンチの加工に際してスケールの剥離を抑制できる、耐スケール剥離性に優れたダイクエンチ用鋼板を提供することを目的とする。なお、ここでいう「鋼板」は、熱延鋼板、冷延鋼板のいずれをも含む。本発明の鋼板はダイクエンチ用として好適であり、ダイクエンチ後に高い強度を確保できる。例えば、950℃で10min程度加熱保持後したのち水冷金型でプレス加工するといった、ダイクエンチ後の鋼板の引張強さが概ね1500MPa以上、概ね1800MPa未満となる。
本発明者らは、上記した目的を達成するため、ダイクエンチの加熱に際してスケールの生成、および生成したスケールの密着性に影響する各種合金元素の影響について鋭意研究した。その結果、大気中950℃程度の加熱であれば、1.0%を超えるCrを含有させた鋼板組成とすることにより、加熱中のスケール生成が抑制され、加熱に際して生成するスケール量を顕著に低減できることを知見した。また、上記した鋼板組成としたうえで、さらにS含有量を0.001%以下に低減することにより、熱間でのスケール密着性が格段に向上し、熱間加工に際してスケールの剥離量が著しく低減し、熱間加工時の耐スケール剥離性に優れた鋼板となることを新規に見出した。
本発明は、かかる知見に基づき、さらに検討を加えて完成されたものである。すなわち、本発明の要旨は、つぎのとおりである。
(1)質量%で、C:0.19%以上0.28%未満、Si:0.15〜0.50%、Mn:1.0〜1.8%、P:0.025%以下、S:0.001%以下、Al:0.01〜0.10%、N:0.005%以下、Cr:1.0超〜11.0%、Ti:0.01〜0.15%、B:0.0008〜0.0030%を含み、残部Feおよび不可避的不純物からなる組成を有し、熱間加工時の耐スケール剥離性に優れることを特徴とするダイクエンチ用鋼板。
(2)(1)において、前記組成に加えてさらに、質量%で、Ni:5.0%以下、Cu:5.0%以下、Mo:3.0%以下のうちから選ばれた1種または2種以上を含有する組成とすることを特徴とする請求項1に記載のダイクエンチ用鋼板。
(3)(1)または(2)において、前記組成に加えてさらに、質量%で、Nb:3.0%以下、V:3.0%以下、W:3.0%以下のうちから選ばれた1種または2種以上を含有する組成とすることを特徴とするダイクエンチ用鋼板。
本発明によれば、ダイクエンチの加熱に際してスケールの生成が抑制され、さらにダイクエンチの熱間加工に際してスケールの剥離が抑制され、ダイクエンチ加工用の金型の損傷やダイクエンチ加工製品表面の線状疵の発生が防止でき、産業上格段の効果を奏する。またさらに、本発明によれば、ショットブラスト後の製品の変形もなく、寸法精度が著しく向上するという効果もある。また、本発明によれば、素材(鋼板)の引張強さが1500MPa以上となるダイクエンチ加工製品を容易にかつ安価に製造できるという効果もある。
本発明鋼板の組成限定理由について、説明する。なお、以下、とくに断わらないかぎり、質量%は単に%と記す。
C:0.19%以上0.28%未満
Cは、焼入れ性の向上を介して組織強化により鋼の強度を増加させる作用を有する元素であり、ダイクエンチの焼入れ時にマルテンサイトを生成させ、所望の高強度を有するダイクエンチ加工製品を得るためには、0.19%以上の含有を必要とする。一方、0.28%以上の含有は、ダイクエンチ後の強度が高くなりすぎ、所望の強度範囲を外れるうえ、延性、靭性や、スポット溶接性、耐遅れ破壊性が低下する。このため、Cは0.19%以上0.28%未満に限定した。好ましくはCは、0.27%以下である。
Si:0.15〜0.50%
Siは、ダイクエンチ後の靭性を向上させる作用を有する元素である。このような効果を得るためには、0.15%以上の含有を必要とするが、0.50%を超える含有は、表面に赤スケールと称する剥離しにくいスケールを不均一に生成する。このため、Siは0.15〜0.50%の範囲に限定した。
Mn:1.0〜1.8%
Mnは、焼入れ性の向上を介して鋼の強度を増加させる作用を有する元素であり、所望の高強度を有するダイクエンチ加工製品を得るためには、1.0%以上の含有を必要とする。一方、1.8%を超える含有は、偏析が著しくなり、熱間圧延後や、ダイクエンチ後の、材質の均一性が低下する。このため、Mnは1.0〜1.8%の範囲に限定した。
P:0.025%以下
Pは、通常の高強度鋼板では、固溶して強度を増加させる作用を有する元素であるが、ダイクエンチ加工製品ではこのような効果は認められないうえ、0.025%を超えて含有すると偏析して、熱間圧延後やダイクエンチ後の、材質の均一性が低下し、さらに靭性も低下する。このため、Pは0.025%以下に限定した。なお、好ましくは0.015%以下である。
S:0.001%以下
Sは、スケール密着性に影響する、本発明では重要な元素の一つである。Sを0.001%以下に調整することにより、熱間でのスケール密着性、すなわち熱間加工に際しての耐スケール剥離性が向上し、ダイクエンチ加工製品の寸法精度の低下や表面欠陥等の発生が防止でき、ダイクエンチ加工製品の品質が向上する。このため、Sは0.001%以下に限定した。
Al:0.01〜0.10%
Alは、脱酸剤として作用する元素であり、本発明では0.01%以上の含有を必要とする。一方、0.10%を超える含有は、加工性を低下させ、さらに焼入れ性をも低下させる。このため、Alは0.01〜0.10%の範囲に限定した。なお、好ましくは0.03〜0.08%である。
N:0.005%以下
Nは、含有するTi、B、Al等の窒化物形成元素と結合し、TiN、BN、AlN等の窒化物を形成する元素であるが、0.005%を超える含有は多量の窒化物を析出させ、加工性を低下させるとともに、焼入れ性を低下させる。このため、Nは0.005%以下に限定した。
Cr:1.0超〜11.0%
Crは、スケール生成に影響する、本発明では重要な元素の一つである。Crは、ダイクエンチ加熱時に、表層にCrのサブスケール層を形成し、その後の酸化を抑制する作用を有し、ダイクエンチ加熱時のスケール生成量を著しく減少させるとともに、焼入れ性を格段に向上させる作用を有する元素である。このような効果は1.0%超の含有で顕著となる。一方、11.0%を超えて含有すると、950℃程度のダイクエンチ加熱時に、α→γ(オーステナイト)変態が生じなくなり、ダイクエンチによる高強度化が達成できなくなる。このため、Crは1.0超〜11.0%の範囲に限定した。なお、好ましくは3.0〜6.0%である。
Ti:0.01〜0.15%
Tiは、窒化物形成元素であり、Bに優先して窒化物を形成しBNの形成を阻止して、焼入れ性の向上に有効な固溶Bの確保に寄与する。このような効果を得るためには、本発明では0.01%以上の含有を必要とする。一方、0.15%を超える含有は、熱間圧延荷重が過大となりすぎ、熱間圧延を困難にするとともに、焼入れ性をも低下させ、さらにはダイクエンチ加工製品の靭性を低下させる。このため、Tiは0.01〜0.15%の範囲に限定した。なお、好ましくは0.02〜0.12%である。
B:0.0008〜0.0030%
Bは、少量の含有で、焼入れ性を顕著に向上させる有効な元素であり、靭性の向上にも寄与する。このような効果を得るためには、0.0008%以上の含有を必要とする、一方、0.0030%を超える含有は、熱間圧延時の圧延荷重の増大が著しくなるとともに、熱間圧延後にマルテンサイト、ベイナイトを生じ、板割れ等の不具合を発生させる。このため、Bは、0.0008〜0.0030%の範囲に限定した。なお、好ましくは0.0010〜0.0020%である。
上記した成分が基本の組成であるが、基本の組成に加えてさらに、Ni:5.0以下、Cu:5.0%以下、Mo:3.0%以下のうちから選ばれた1種または2種以上、および/または、Nb:3.0%以下、V:3.0%以下、W:3.0%以下のうちから選ばれた1種または2種以上を含有できる。
Ni:5.0以下、Cu:5.0%以下、Mo:3.0%以下のうちから選ばれた1種または2種以上
Ni、Cu、Moはいずれも、焼入れ性を向上させるのに有効な元素であり、必要に応じて選択して含有できる。
Niは、鋼を強化するとともに、焼入れ性を向上させるのに有効な元素である。このような効果の発現のためには、0.01%以上含有することが望ましいが、5.0%を超える含有は、著しいコスト高を招く。このため、含有する場合には、Niは5.0%以下に限定する。
Cuは、Niと同様に、鋼を強化するとともに、焼入れ性を向上させるのに有効な元素である。このような効果の発現のためには、0.01%以上含有することが望ましいが、5.0%を超える含有は、著しいコスト高を招く。このため、含有する場合には、Cuは5.0%以下に限定する。
Moは、Ni、Cuと同様に、鋼を強化するとともに、焼入れ性を向上させるのに有効な元素である。また、Moは、結晶粒の成長を抑制し、細粒化により靭性を向上させる効果も有する。このような効果の発現のためには、0.01%以上含有することが望ましいが、3.0%を超える含有は、著しいコスト高を招く。このため、含有する場合には、Moは3.0%以下に限定する。
Nb:3.0%以下、V:3.0%以下、W:3.0%以下のうちから選ばれた1種または2種以上
Nb、V、Wはいずれも、鋼を強化するとともに、細粒化により靭性を向上させるのに有効な元素であり、必要に応じて選択して含有できる。
Nbは、鋼を強化するとともに、細粒化により靭性を向上させるのに有効な元素である。このような効果の発現のためには、0.005%以上含有することが望ましいが、3.0%を超えて含有すると、炭窒化物の析出が顕著となり、延性や耐遅れ破壊性が低下する。このため、含有する場合には、Nbは3.0%以下に限定する。
Vは、Nbと同様に、鋼を強化するとともに、細粒化により靭性を向上させるのに有効な元素である。また、Vは、析出物や晶出物を形成し、水素のトラップサイトとして耐水素脆性を向上させる。このような効果の発現には、0.005%以上含有することが望ましいが、3.0%を超えて含有すると、炭窒化物の析出が顕著となり、延性が著しく低下する。このため、含有する場合には、Vは3.0%以下に限定する。
Wは、Vと同様に、鋼の強化、靭性の向上、耐水素脆性の向上に有効な元素である。このような効果の発現には、0.005%以上含有することが望ましいが、3.0%を超えて含有すると、延性が著しく低下する。このため、含有する場合には、Wは3.0%以下に限定する。
上記した成分以外の残部は、Feおよび不可避的不純物からなる。なお、不可避的不純物としては、例えば、O:0.010%以下が許容できる。
上記した組成を有する本発明鋼板の製造方法は、通常公知の熱延鋼板の製造方法、あるいは通常公知の冷延鋼板の製造方法がいずれも適用でき、とくに限定されないが、以下に、好ましい製造方法について説明する。
上記した組成の溶鋼を、転炉等の、常用の溶製方法で溶製し、連続鋳造方法等の常用の鋳造法で、スラブ等の鋳片とすることが好ましい。ついで、これら鋳片を熱間圧延し、熱延鋼板とするか、あるいはさらに、熱延鋼板を酸洗し、ついで冷間圧延を施し、必要に応じて焼鈍を施して冷延鋼板としてもよい。
熱間圧延では、鋳片を好ましくは1100〜1300℃に加熱し、あるいは鋳片が熱間圧延が可能な温度を保持している場合には加熱することなく、仕上圧延終了温度:850〜920℃とする熱間圧延を施し、必要に応じて、熱間圧延終了後、好ましくは30℃/s以上の冷却速度で加速冷却を施したのち、巻取温度:550〜650℃で巻取り、所望の板厚の熱延鋼板とすることが好ましい。なお、加速冷却の冷却速度、巻取温度は、その後の酸洗工程、冷延工程への負荷等を考慮して適宜調整することが好ましい。例えば、酸洗工程の負荷を軽減するには、加速冷却の冷却速度を高めに、巻取温度を低めに、また冷延工程の負荷を軽減するには、加速冷却の冷却速度を低めに巻取温度を高めに設定することが好ましい。
冷延鋼板とする場合には、酸洗工程を経た熱延鋼板に、好ましくは60%以上の圧下率の冷間圧延を施し、所望の板厚の冷延鋼板とし、さらに焼鈍温度:650〜850℃の焼鈍工程を施すことが好ましい。
好ましくは上記した製造方法で得られた本発明鋼板は、ダイクエンチ法を適用して、所定寸法形状の部品に加工される。このような加工、例えば、950℃で10min程度の加熱保持したのち、水冷した金型でプレス加工すると同時に焼き入れるといったダイクエンチ法による加工を行うことで、被成形材である素材鋼板の引張強さが1500MPa以上であるような高強度部品(製品)を得ることができる。本発明鋼板が熱延鋼板である場合には、一般的には、酸洗処理等により表層に形成されたスケールを除去するが、本発明では、スケールを除去することなく、ダイクエンチ法を適用しても問題はない。スケール(黒皮)を除去することなくダイクエンチ法を適用しても本発明の効果は維持される。
(実施例1)
表1に示す組成の溶鋼を転炉で溶製し、連続鋳造法でスラブ(素材:肉厚260mm)とした。ついで、該素材を加熱温度:1200℃で加熱し、仕上圧延終了温度:850〜880℃とする熱間圧延を施し、巻取温度:580〜650℃で巻き取り、板厚:1.6〜4.0mmの熱延板とした。得られた熱延板には、酸洗処理を施した。また、一部の熱延板については、酸洗処理を施したのち、60〜75%の圧下率で冷間圧延を施し、板厚:1.0〜1.6mmの冷延板とし、さらに焼鈍温度:700〜800℃で焼鈍した。
(1)加熱試験
得られた鋼板から試験板を採取し、大気雰囲気中で950℃×10minの加熱保持を施した。そして、酸洗減量法によりスケールの重量を求め、スケールの比重(密度)を5.2g/cmとして、鋼板表面に生成したスケール厚さを計算した。得られた結果を表2に示す。
(2)ダイクエンチ試験
得られた鋼板から試験板を採取し、大気雰囲気中で950℃×10minの加熱保持を施したのち、水冷金型を用いて、高さ50mm×幅50mm×長さ300mmのハット状に成形するダイクエンチを施し、試験品(ダイクエンチ加工品)を得た。得られた試験品について、外観を目視で観察し、表面欠陥の有無を調査した。幅が1mm以上、長さが10mm以上の表面欠陥が1箇所以上ある場合を×、ない場合を○として評価した。またさらに、得られた試験品のハット底部から、JIS Z 2201の規定に準拠して、JIS 5号試験片を採取し、JIS Z 2241の規定に準拠して引張試験を実施し、ダイクエンチ後の素材(鋼板)の引張強さTSを求めた。得られた結果を表2に併記する。
Figure 2010174302
Figure 2010174302
本発明例はいずれも、ダイクエンチの加熱時に生成するスケールの厚さは、Cr含有量の低い比較例にくらべ薄く、ダイクエンチの加熱時にスケール生成が抑制されていることがわかる。一方、Cr含有量が本発明範囲を低く外れる比較例は、スケール厚さが厚く、スケール生成の抑制が不十分となっている。
また、本発明例はいずれも、ダイクエンチ後の引張強さTSが1500MPa以上の高強度を示し、しかも表面欠陥の発生も認められず(評価○)、本発明例は、熱間加工時の耐スケール剥離性に優れていることがわかる。一方、本発明範囲を外れる比較例は、ダイクエンチ後の引張強さTSが1500MPa未満であるか、あるいは熱間加工時の耐スケール剥離性が低く、表面欠陥の発生が認められた(評価×)。

Claims (3)

  1. 質量%で、
    C:0.19%以上0.28%未満、 Si:0.15〜0.50%、
    Mn:1.0〜1.8%、 P:0.025%以下、
    S:0.001%以下、 Al:0.01〜0.10%、
    N:0.005%以下、 Cr:1.0超〜11.0%、
    Ti:0.01〜0.15%、 B:0.0008〜0.0030%
    を含み、残部Feおよび不可避的不純物からなる組成を有し、熱間加工時の耐スケール剥離性に優れることを特徴とするダイクエンチ用鋼板。
  2. 前記組成に加えてさらに、質量%で、Ni:5.0%以下、Cu:5.0%以下、Mo:3.0%以下のうちから選ばれた1種または2種以上を含有する組成とすることを特徴とする請求項1に記載のダイクエンチ用鋼板。
  3. 前記組成に加えてさらに、質量%で、Nb:3.0%以下、V:3.0%以下、W:3.0%以下のうちから選ばれた1種または2種以上を含有する組成とすることを特徴とする請求項1または2に記載のダイクエンチ用鋼板。


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