JP2010172800A - 微細気泡発生装置、および微細気泡発生方法 - Google Patents

微細気泡発生装置、および微細気泡発生方法 Download PDF

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Abstract

【課題】 液体を流れ方向に旋回させることにより微細な気泡を発生させる装置あるいは方法であって、より効率良く、且つ、簡易な構成で、多量の気泡を短時間に発生させることができ、また液体の種類を選ばずに実施することのできる装置及び方法を提供する。
【解決手段】 液体の流れる流水管において、螺旋方向に傾きを有するとともに外縁が上記流水管の内壁面に直接または間接に固定されている複数の固定翼から構成される旋回流発生用固定翼体を設置し、さらにその下流側に、上記旋回流発生用固定翼体とは互いに、左右逆の螺旋方向に傾きを有する固定翼を備える旋回流発生用固定翼体を設置し、液体の流れを螺旋方向に旋回し、次いで、旋回する方向を左右逆方向に逆転させる。
【選択図】図1

Description

本発明は、液体を流れ方向に旋回させる旋回流を利用することにより微細な気泡を発生させるための微細気泡発生装置、および微細気泡発生方法に関する。
近年、マイクロバブルなどの微細な気泡による、洗浄効果、殺菌効果、あるいは微細気泡表面における液体中の微小な混濁物の吸着効果などが着目されている。また液体中に微細な気泡を発生させることによって、当該液体における気体濃度を高めることを利用する技術も着目されている。これにともない、微細気泡を液体中において発生させる技術の研究も種々、行われている。液体中に微細気泡を発生させる装置あるいは方法としては、該液体を流路方向に旋回させ、この旋回流を利用してマイクロバブルを発生させることを特徴とする技術が挙げられる。
液体を旋回させて微細気泡を発生させる装置の例としては、たとえば、特許文献1に開示されるマイクロバブル発生装置が知られている。本装置は、旋回流発生用翼型ノズルと渦崩壊用ノズルとを同軸に結合して構成されており、上記旋回流発生用翼型ノズルにより、中心に気体が導入された液体の旋回流を生成するとともに、生成された旋回流を渦崩壊用ノズルの縮流部に供給することにより、該渦崩壊部からマイクロバブルを発生させるものである。上記発明は、渦崩壊現象を利用してマイクロバブルを発生させるものであって、高速旋回流が不安定となる流速場を生成させることにより渦崩壊を起こさせ、この渦崩壊部に気泡を混入し崩壊することでマイクロバブルを発生させることを趣旨とするものである。
また別な例として、特許文献2には、長手方向の両端にそれぞれ一端開口部および他端開口部を開放したケーシングと、ケーシングに気体を導入させる気液混合手段と、ケーシングに内装された整流筒体と、整流筒体の外側に固定された第1のプロペラ形翼列と、整流筒体の内側に固定された第2のプロペラ形翼列とを備えるマイクロバブル発生装置が開示されている。特許文献2に開示される発明は、第1および第2のプロペラ形翼例がそれぞれ液体を逆向きに旋回させる向きに設けられており、且つ、外側の旋回流と内側の旋回流とを整流筒体の出口部で接触させることにより、外側の旋回流と内側の旋回流との間の境界層に作用する相対的な加速度が、加速手段にて液体が加速される加速度を倍増した大きさに相当し、この結果、マイクロバブルを効率良く発生させることができることが説明されている。
再表2006−075452号公報 特開2007−21343号公報
上述する従来技術のごとく、液体を旋回させ、ついでこの旋回流に圧力や加速度などの物理的な力を与えるとともに気体を供給することによって、液体中に微細な気泡を発生させる技術によれば、強力なポンプで液体を加圧して高速度で直進方向に流すとともに気体を供給し、邪魔板などに衝突させることによってのみ微細な気泡を発生させる方法に比べて、エネルギーコストを節約することができ、また高圧に耐えうる装置を設計する必要もないことから、設備面においても優れている。
しかしながら、従来の旋回流を利用した微細気泡発生装置は、装置が複雑であったり、充分なせん断力を与えることができず、液体を旋回させたことのメリットを活かしきれていない場合があった。たとえば、上記特許文献1に記載の装置では、旋回する液体を先細の縮流部に導き渦崩壊させるものであるが、このように流路を狭めた構造では、処理水中の比較的大きな混濁物によって目詰まりを起こす可能性があり、また粘度の高い液体であっても、粘度の低い液体であっても、同様の渦崩壊の作用効果が得られるか否かは疑問であった。加えて、液体が必ず先細の縮流部を通過しなくてはならないので、液体の処理流量が制限されて、処理量の増大や装置の大型化の点で問題があった。
また特許文献2に記載の装置では、確かに、整流筒体の出口部付近で接触する外側の旋回流と、これとは逆向きに旋回する内側の旋回流との境界層には、相対的な加速度がかかることが予想される。しかしながら、整流筒体の後方に位置するチャンバー内に流れ込む、外側の旋回流と内側の旋回流との全てが、好条件で互いに接触する構造とはなっていない。即ち、整流筒体出口部において、外側の旋回流と内側の旋回流とがその境界において接触することにより、乱流が発生し、これにともない、外側の旋回流全体および内側の旋回流全体の旋回方向が乱れ、この結果、両者の接触によるせん断力も小さくなることが予想されるからである。
本発明は、上記問題を鑑みなされたものであり、液体を流れ方向に旋回させることにより微細な気泡を発生させる装置あるいは方法であって、より効率良く、且つ、簡易な構成で、多量の気泡を短時間に発生させることができ、また液体の種類を選ばずに実施することのできる装置及び方法を提供することを目的とするものである。
本発明者らは、加圧された液体をまず、一方方向に旋回させたあと、続いて、逆向きに旋回させることによれば、液体に360度逆向きのねじれを生じさせることができ、このとき、該液体に、非常に大きなせん断力を与えることができることを見出した。しかも液体を旋回させる方法として、固定された旋回流発生用の翼体に加速された液体を接触させる方法を採用することによれば、液体と翼体との接触時に該液体に衝撃力を与えることができ、結果として、上記ねじれの際のせん断力と、固定された翼体への衝突力とから、多量の微細な気泡を発生させることができることを見出し、本発明を完成させた。
即ち本発明は、
(1)流水管と、上記流水管の上流側から下流側に向けて並列する2以上の旋回流発生用固定翼体からなる旋回流逆転部と、を備え、上記旋回流発生用固定翼体は、流水管の上流側から下流側に向けて螺旋方向に傾きを有するとともに外縁が上記流水管の内壁面に直接または間接に固定されている複数の固定翼から構成されており、且つ、隣り合う上記旋回流発生用固定翼体は互いに、左右逆の螺旋方向に傾きを有する固定翼を備えており、上記旋回流逆転部において、液体の流れが螺旋方向に旋回し、次いで、旋回する方向が左右逆方向に逆転することを特徴とする微細気泡発生装置、
(2)一端に液体流入口を備え、他端に液体排出口を備えるケーシングと、上記ケーシング内において液体流入口側から液体排出口側に向けて並列する2以上の旋回流発生用固定翼体からなる旋回流逆転部と、を備え、上記旋回流発生用固定翼体は、上記ケーシングの液体流入口側から液体排出口側に向けて螺旋方向に傾きを有するとともに外縁が上記ケーシングの内壁面に直接または間接に固定されている複数の固定翼から構成されており、且つ、隣り合う上記旋回流発生用固定翼体は互いに、左右逆の螺旋方向に傾きを有する固定翼を備えており、上記旋回流発生用固定翼体を液体が通過することによって生じる旋回流の旋回方向が隣り合う上記旋回流発生用固定翼体において互いに左右逆方向となることを特徴とする微細気泡発生装置、
(3)上記旋回流逆転部の上流側、上記旋回流逆転部の下流側、または、上記2以上の旋回流発生用固定翼体において隣り合う旋回流発生用固定翼体間の少なくとも一か所において、気体供給孔が設けられていることを特徴とする上記(1)に記載の微細気泡発生装置、
(4)上記ケーシング内であって上記旋回流逆転部の上流側、上記旋回流逆転部の下流側、上記2以上の旋回流発生用固定翼体において隣り合う旋回流発生用固定翼体間、上記ケーシング外であって上記液体流入口の上流側、または上記ケーシング外であって上記液体排出口の下流側の少なくとも一か所において、気体供給孔が設けられていることを特徴とする上記(2)に記載の微細気泡発生装置、
(5)上記旋回流発生用固定翼体が、外周から円中心方向に向けて2以上の切り込みが入れられた円盤からなり、上記切り込み間に位置する1つの領域により1つの固定翼が構成されており、且つ、上記切り込み間に位置する領域面が、それぞれ略同一方向の螺旋状に傾くように当該領域面をねじることによって螺旋方向に傾きを有し、円中心において結合する複数の固定翼を有している旋回流発生用固定翼体であることを特徴とする上記(1)乃至(4)のいずれか1つに記載の微細気泡発生装置、
(6)上記旋回流逆転部の上流側において、液体の流速を調整するための液体加速手段が設けられていることを特徴とする上記(1)乃至(5)のいずれか1つに記載の微細気泡発生装置、
(7)上記2以上の旋回流発生用固定翼体において、上流側に位置する旋回流発生用固定翼体のピッチが、これと隣り合う下流側に位置する旋回流発生用固定翼体のピッチ以上であることを特徴とする上記(1)乃至(6)のいずれか1つに記載の微細気泡発生装置、
(8)液体の流れる流路において、上記流路を流れる液体を下流方向に向かって加圧して加速させ、上記流路内に設けられる、上流側から下流側に向けて螺旋方向に傾きを有する第一固定翼を複数備える第一旋回流発生用固定翼体に、上記加圧された液体を接触させることにより、該液体を一方方向に螺旋状に旋回させ、次いで、上記第一旋回流発生用固定翼体に隣り合い、上記第一固定翼とは逆向きの螺旋方向に傾きを有する第二固定翼を複数備える第二旋回流発生用固定翼体に、上記一方方向に螺旋状に旋回する液体を接触させることにより、該液体を逆向きの螺旋方向に旋回させることによって、上記液体中に微細な気泡を発生させることを特徴とする微細気泡発生方法、
(9)上記第一旋回流発生用固定翼体のさらに上流側、上記第一旋回流発生用固定翼体と上記第二旋回流発生用固定翼体との間、または全ての旋回流発生用固定翼体のさらに下流側の少なくとも一か所において、気体を供給することを特徴とする上記(8)に記載の微細気泡発生方法、
を要旨とするものである。
本発明および本明細書において「上流側」とは、装置内を流れる液体の供給側により近い側を意味し、「下流側」とは、装置内を流れる液体の供給側により遠い側を意味する。
また本発明及び本明細書において「第一旋回流発生用固定翼体」及び「第二旋回流発生用固定翼体」とは、並列する2つの旋回流発生用固定翼体において、より上流側に位置する旋回流発生用固定翼体を第一旋回流発生用固定翼体といい、これに対し下流側に隣り合う2番目の旋回流発生用固定翼体を第二旋回流発生用固定翼体という。また2つを越えて、nヶの旋回流発生用固定翼体を備える本発明においては、第二旋回流発生用固定翼体に続いて並列して設置される旋回流発生用固定翼体を、第三、第四・・・・第n旋回流発生用固定翼体という。
本発明によれば、加圧された液体が導入される流水管またはケーシング内において、まず、上記液体が第一旋回流発生用固定翼体に接触し、接触の際の衝突力によって、液体中に気泡が発生するとともに(以下、本段落において当該気泡を「気泡1」という)、液体自体は、一方方向へ旋回する旋回流(以下、本段落において「旋回流A」という)となる。そして、気泡1を含む旋回流Aは、次に、第二旋回流発生用固定翼体に接触する。このとき、該翼体と旋回流Aが接触し、接触の際の衝突力によって、液体中にさらなる気泡が発生するとともに(以下、本段落において当該気泡を「気泡2」という)、気泡1がより微細化される。同時に液体は、旋回流Aとは逆向きの方向に旋回する旋回流(以下、本段落において「旋回流B」という)となる。流水管またはケーシング内を流れる液体が、旋回流Aから旋回流Bとなるときには、非常に大きなねじれの力がはたらき液体に強いせん断力がかかるため、気泡1及び気泡2を微細化するとともに気泡3を発生させることができるのである。
またさらに上記第一、第二旋回流発生用固定翼体に続き、第三以上の旋回流発生用固定翼体が設けられた本発明においても、隣り合う旋回流発生用固定翼体において左右逆の螺旋方向に傾きを有する固定翼を互いに備えている。したがってたとえば、さらに第三旋回流発生用固定翼体を備える本発明では、第二旋回流発生用固定翼体を通過して旋回流Bとなった液体は、次に第三旋回流発生用固定翼体における固定翼に接触することによって、旋回流Bとは逆方向に旋回する旋回流Aとなる。旋回流Bから旋回流Aとなる際には、上述と同様に液体に大きなねじれの力がはたらき、せん断力がかかることになり、さらなる気泡の発生及び既に発生している気泡の微細化が可能である。
以上のとおり、本発明の微細気泡発生装置、あるいは微細気泡発生方法によれば、液体と固定翼との接触による衝突力、および、一方方向に旋回させた旋回流を、逆向きに旋回させる際に発生するせん断力により、非常に効率よく微細な気泡を発生させることができるため、短時間で多量の微細気泡を発生させることができる。
また、上記第一の旋回流発生用固定翼体のピッチが、上記第二の旋回流発生用固定翼体のピッチ以上となる本発明の態様では、加圧された液体の流速を第一の旋回流発生用固定翼体によって著しく減速させることなく、流速の早い旋回流として第二の旋回流発生用固定翼体に接触させることができる。したがって、第一の旋回流発生用固定翼体によって発生した旋回流が、第二の旋回流発生用固定翼体に接触することによって発生する衝突力を効果的に得ることができる。特に、上記第一の旋回流発生用固定翼体のピッチが、上記第二の旋回流発生用固定翼体のピッチより大きい場合に、上記効果を充分に得ることができる。
本発明の微細気泡発生装置によれば、上述のとおり、2以上の旋回流発生用固定翼体を設けることによって、液体に、効果的に衝突力とせん断力を与えることができるため、気体を供給しなくても、液体中に存在する既存の気体が微細化されることによって該液体中に微細気泡を発生させることが可能である。あるいはさらに、旋回流逆転部の上流側、旋回流逆転部の下流側、または、隣り合う旋回流発生用固定翼体間の少なくとも1か所において気体供給孔を設けることで、供給された気体の気泡径を縮小化させることができるので、より効果的に微細気泡の発生量を増大させることができる。また上記気体供給孔から目的に応じた所望の気体を供給することによって、当該気体を微細化させることができるとともに、液体中にその微細気泡を溶存させることが可能である。したがって本発明によれば、所望の気体の溶存量が非常に高い液体を容易且つ低コストに提供することができる。即ち、発生する微細気泡が所謂マイクロバブルと一般的に理解される程度の大きさ以下の場合には、液体中における該微細気泡の一部は、数時間から数十時間、液体中に留めさせることが可能である。あるいは、生成された微細気泡がマイクロバブルあるいはナノバブルと一般的に理解される程度の大きさの場合には、時間の経過とともに、液体中に溶存する微細気泡の径がさらに収縮し得るため、最終的に液体に完全に溶解させることが可能である。したがって、微細気泡を多量に発生させることが可能な本発明において、所望の気体を供給することによれば、所望の気体の濃度が高く、且つ高濃度の状態が安定した液体を提供することができる。
本発明の微細気泡発生装置は、新規に設けられる流水管などの液体流路の一部に取り付けることができる。また、既存の流水管において、2以上の旋回流発生用固定翼体を後付けでとりつけ、また必要に応じてさらに液体加圧ポンプを上記旋回流発生用固定翼体より上流側に設置することによって実施することもできる。あるいはケーシングを利用して、単体の装置として他の装置に組み込むことも可能である。そのため、非常に汎用な分野で液体中に微細気泡を多量且つ短時間に発生させることを容易に実現することができる。また、上述のとおり、本発明において微細気泡を発生させる構成が非常に簡易である上、装置を大型化あるいは小型化する際に、流水管の径と微細気泡発生用固定翼体の寸法を所望の大きさに設計する以外は、特段の設計変更を要しない。したがって本発明の微細気泡発生装置は、大型化、小型化のどちらにも容易に対応でき、かかる観点からも非常に汎用性が広いという有利な点を有する。
また本発明の微細気泡発生方法は、加速した液体を第一旋回流発生用固定翼体の固定翼に接触させて一方方向に旋回させ、次いで、該旋回流を、第二旋回流発生用固定翼体の固定翼に接触させることによって逆方向に旋回させるという簡易な方法によって、非常に効率的に微細気泡を発生させることができる。即ち、固定翼に液体を接触させるだけなので、翼を回転させるモーターなどが不要であってエネルギー効率が良く、また一方方向に旋回させられた液体を逆方向に旋回させることによって液体にねじれのせん断力を与えることができるので、低コストで短時間に大量の微細気泡を発生させることを可能とした。
本発明の微細気泡発生装置の一実施形態を示す概略断面図である。 並列する旋回流発生用固定翼体の一実施態様を示す破断斜視図である。 3aは、図2に示す旋回流発生用固定翼体の形成するために用いられる円盤の正面図、3b及び3cは図2に示す旋回流発生用固定翼体の正面図である。 本発明に用いられる旋回流発生用固定翼体の異なる実施態様を示す斜視図である。 本発明の微細気泡発生装置の一実施形態を示す概略断面図である。 ケーシングを用いた本発明の微細気泡発生装置の一実施態様を示す概略斜視図である。 図6に示すケーシングの内部を示す部分破断斜視図である。 8aは本発明に用いられるケーシングの概略斜視図であり、また8bは8aに示すケーシングの概略断面図である。 本発明の微細気泡発生装置を用いた液体の処理構造の一例を示す概念図である。 本発明の微細気泡発生装置を用いた液体の処理構造の一例を示す概念図である。 本発明の微細気泡発生装置を用いた液体の処理構造の一例を示す概念図である。 本発明の微細気泡発生装置の一実施形態を示す概略断面図である。
[第一の本発明について]
以下に、本発明について図を用いて説明する。図1は、本発明の一実施態様を示す微細気泡発生装置1であって、配管の伸長方向に並行な向きに切断した概略断面図である。微細気泡発生装置1は、矢印Aの方向に液体が流れる流水管2の内部に、上流側から旋回流発生用固定翼体3が設置され、これに並列して下流側に旋回流発生用固定翼体4が設置されている。この旋回流発生用固定翼体3及び4の領域が旋回流逆転部となる。そして、旋回流逆転部の上流側、即ち、旋回流発生用固定翼体3の上流側には、気体供給孔5が、旋回流発生用固定翼体3及び4の間には、気体供給孔6が設けられている。また上記旋回流逆転部に流れ込む液体の流速を早めるために、気体供給孔5の上流側には、液体加速手段7が設けられ、微細気泡発生装置1が完成されている。
微細気泡発生装置1では、流水管1を流れる液体が液体加速手段7により加圧されて流速が増大した状態で、まず旋回流発生用固定翼体3に接触する。このとき、接触の手前で気体供給孔5から供給される気体も、液体に取り込まれながら旋回流発生用固定翼体3に接触する。旋回流発生用固定翼体3を構成する複数の固定翼は螺旋方向に傾きを有しており、当該固定翼に導かれて、液体が螺旋状の方向を示す矢印B方向に旋回する。次いで、矢印B方向に旋回する液体が、気体供給孔6から供給される気体をさらに含んで旋回流発生用固定翼体4に接触する。ここで旋回流発生用固定翼体4は、旋回流発生用固定翼体3における固定翼とは、左右逆の螺旋方向に傾きを有する固定翼を備えているため、液体は、矢印Bとは360度反対向きである螺旋状の方向を示す矢印C方向に旋回することとなる。
微細気泡発生装置1を通過する液体と微細気泡の発生についてさらに詳細に説明する。液体は、上述のとおり液体加速手段7により加速されて流速が増大した状態で旋回流発生用固定翼体3における固定翼に接触する。このときの衝突力により、微細気泡が発生する。当該気泡には、上記接触により、液体中に既存していた気体であってその径が縮小したもの、及び気体供給孔5により供給された気体であって供給時よりも気泡径が小さくなったものが含まれる。そして液体は、上記固定翼の傾きに導かれて、矢印B方向に旋回する。
次いで、矢印B方向に旋回する液体は、気体供給孔6により供給された気体をさらに含んで旋回流発生用固定翼体4における固定翼に接触する。この第2回目の固定翼との接触で、液体中に含まれる気体の気泡径をさらに小さくすることができる。また液体は、旋回流発生用固定翼体4における固定翼の傾きに導かれて、流れ方向が矢印B方向から矢印C方向、即ち、360度逆の方向に旋回することとなるが、この流れ方向の急激な変化により、液体にねじれのせん断力が与えることができ、これによってさらに微細な気泡を多量に発生させることができる。
その結果、微細気泡発生装置1を通過した液体には、マイクロバブルあるいはナノバブルサイズの微細な気泡が多量に含まれることとなる。当該気泡が、液体中に当初から溶存していた空気などの気体および、気体供給孔5及び6により供給された気体のどちらをも含み、いずれも非常に微細な気泡径となって液体中に溶存する。このように、本発明の微細気泡発生装置を通過するわずかな時間の間に、通過する液体中に多量の微細気泡を発生させることができる。
尚、本発明において「微細気泡」は、固定翼の固定角度や液体の流速などによって、その寸法は調整可能であるが、一般的には、気泡径が10μm〜数百μm程度のマイクロバブル、あるいは気泡径が数十nm〜10μm未満のナノバブル、あるいはこの混合を意味する。これらのサイズの気泡は、数mm単位の気泡とは異なる物理的、化学的作用を発揮することが知られ、これらの性質を活かして、浄化作用、ごみ付着作用、液体への溶存作用、脱酸素作用(気体置換作用)などの種々の作用を、目的に応じて各技術分野において有用に利用可能だからである。
本発明の微細気泡発生装置において、さらに多量の微細気泡を得るための好ましい態様を図5に示す。図5に示す微細気泡発生装置1’は、図1に示す微細気泡発生装置1において、旋回流逆転部より下流側に連続する流水管2の内径を拡大し減圧部8を設けたこと以外は、微細気泡発生装置1と同様に作製される。このように、旋回流発生用固定翼体3及び4を通過して多量の微細気泡を含んだ液体の流路面積を拡大して液体にかかる圧力を低下させることによって、さらに多量の微細気泡を発生させることができる。尚、図5において、減圧部8の開始部分と旋回流発生用固定翼体4との距離をdとして示した。ここでdは0以上であればよい。即ち、図5に示すように、旋回流逆転部の最下流側に設けられる旋回流発生用固定翼体4の設置した位置から少し距離をおいて(即ち、d>0)、減圧部8を設けても良いし、あるいは旋回流発生用固定翼体4を通過した液体がすぐ減圧部8にさしかかるように、旋回流発生用固定翼体4の設置位置の直後(即ち、d=0)に、減圧部8を設けても良い。
また減圧部8を備える微細気泡発生装置1’の異なる態様を図12に示す。図12に示す微細気泡発生装置1’は、流水管2と減圧部8が不連続となっており、流水管2の下流側端部に減圧部8の内部まで伸長するガイド2’が設けられていること以外は、図5に示す微細気泡発生装置1’と同様に作製される。このように減圧部を旋回流逆転部の下流側に備える本発明の微細気泡発生装置において、流水管の下流側に該流水管と略同じ径のガイドを設け、該ガイドを減圧部の内部に伸長させることによって、旋回流逆転部から減圧部に流れ込む液体を、減圧部の途中において放出させる本態様では、減圧部に流れ込んだ液体の流れを該減圧部内部において整流させることができるため好ましい。即ち、旋回流が減圧部に流れ込む際には、既に減圧部に存在する液体と、ここに流れ込む旋回流とにおいて抵抗が生じる場合がある。そして、減圧部において上記抵抗が生じた結果、旋回流逆転部から押し出される新たな旋回流の流速が遅くなり、微細気泡の発生の効率を落とす恐れがある。この減圧部における液体間の抵抗を少なくするために、ガイドで減圧部の内部に旋回流を流し込む図12に示す態様を採用することによれば、減圧部に既に存在する液体は、流れ込む旋回流に押されて、ガイド側面域に移動し、ここで流れをUターンさせてガイド側面に沿って流れ、次いでガイドから流れ込む旋回流に巻き込まれるようにして、旋回流と合流することができる。このため減圧部にすでに存在していた液体と減圧部に流れ込む旋回流との間に生じる抵抗を極力小さくすることができる。この結果、減圧部に流れ込む旋回流を整流させることができ、旋回流逆転部から押し出される新たな旋回流の流れの妨げになることを良好に防止することができるのである。
流水管:
以下に、本発明の微細気泡発生装置の構成についてさらに詳細に説明する。まず微細気泡発生装置1における流水管2について説明する。流水管2は、液体の流路を確保するための配水管である。一般的には、断面円形状の樹脂製あるいは金属製のパイプなどであってよいが、形状および材質についてはとくに限定されるものではなく、流れる液体の種類と、所望の流速などを勘案して、適宜設計することができる。
新規に本発明の微細気泡発生装置1を製造する際には、流水管2の両端を、液体が流れる配水管に接合して種々の配水路の中に本発明の装置を組み込めばよい。一方、既存の配水管において、本発明の微細気泡発生装置1を実施する際には、既存の配水管の一部を切断して、流水管2ごと、既存の配水管の一部に組み込んで、流水管2の両端を既存の配水管に結合してもよいし、あるいは、既存の配水管を本発明の微細気泡発生装置1における流水管2として利用し、当該既存の配水管の内部に、旋回流発生用固定翼体などの必要な構成を設置して、本発明の微細気泡発生装置1を完成させてもよい。
旋回流発生用固定翼体:
旋回流発生用固定翼体3及び4は、流水管2を流れる液体の流れ方向を特定の方向に旋回させるためのものであって、螺旋方向に傾きを有する固定翼を複数備えて構成される。ここで固定翼体、あるいは固定翼における「固定」とは、回転するプロペラのように駆動力により自身が回転するものではなく、流水管中に固定されて一定の姿勢を維持することを意味する。このように固定翼体及び固定翼を流水管中に設置することにより、翼を回転させるための駆動力が不要となりエネルギーコストが削減される。また回転する翼に液体を衝突させる場合には、その衝突力によっては翼の破損、破壊などが生じる場合があるが、本発明では、翼が流水管内に固定されているため、そのような心配がない。
本発明における旋回流発生用固定翼体の特徴的な点は、2以上の旋回流発生用固定翼体が流水管中に並列して設けられている点、および、隣り合う2つの旋回流発生用固定翼体に備わる固定翼が互いに左右逆の螺旋方向に傾きを有する点にある。したがって、旋回流発生用固定翼体からなる旋回流逆転部を通過する液体は、略直進的な流れから、まず旋回流となり、次いで必ず一度は逆方向に旋回するよう流れ方向が逆転される。
以上に述べたとおり、本発明における旋回流発生用固定翼体およびこれに備わる固定翼は、液体を旋回方向に導くことができるものであって、且つ、流水管中に固定されるものであれば、特に制限されず、例えば、一般的に知られるプロペラ形状であって、これを流水間内部に固定して設置することで、本発明の旋回流発生用固定翼体とすることができる。また旋回流発生用固定翼体及び固定翼を流水管中に固定する方法はとくに限定されず任意である。尚、1つの旋回流発生用固定翼体における固定翼の枚数は、2枚以上であれば特に限定されない。
好ましい旋回流発生用固定翼体3及び4の一実施態様を図2に示す。図2は、微細気泡発生装置1において、旋回流発生用固定翼体3及び4の一実施態様を示すための破断斜視図である。図2に示す旋回流発生用固定翼体3は、4枚の固定翼11とリング13から構成されており、4枚の固定翼11が翼の中心で互いに結合するとともに、それぞれの外縁がリング13の内壁面に接合されている。そしてリング13の外壁面が流水管2の内壁面と接合されることによって、旋回流発生用固定翼体3が流水管2の内部に固定されている。4枚の固定翼11は、それぞれ同方向の螺旋方向に傾きを有しており、通過する液体を図1に示す矢印B方向に旋回させることができる。一方、旋回流発生用固定翼体4は、4枚の固定翼12を備えており、固定翼12がそれぞれ、固定翼11とは左右逆方向の螺旋方向に傾きを有している以外には、旋回流発生用固定翼体3と同様に構成される。したがって、旋回流発生用固定翼体4は、図1に示すように、ここを通過する液体の流れ方向を矢印B方向から矢印C方向に逆転させることができる。
図2に示す旋回流発生用固定翼体3および4は、たとえば図3aに示すように、液体の流速に耐え得る金属製の円盤14を用い、この円盤14の外周から円中心方向に向けて4本の切り込み15を入れたものを用いて構成することができる。かかる態様の場合には、隣り合う切り込み15間における領域が固定翼11あるいは12に相当する。即ち、この切り込み15間における領域面が所望の角度の螺旋状に傾斜するようにねじることによって所望の角度を備える固定翼11あるいは固定翼12を形成することができる。図3bは、円盤14を用いて形成した旋回流発生用固定翼体3であって、図2に示す旋回流発生用固定翼体3の正面図であり、切り込み15間をねじって形成した4枚の固定翼が翼の中心で連続しており、且つ固定翼の外縁はリング13の内壁面に溶接され、またリング13の外壁面は流水管2の内壁面に接合し固定されて構成されている。また図3cは、図2に示す旋回流発生用固定翼体4の正面図であり、切り込み15間の領域のねじり方向を、固定翼11とは反対の螺旋状に傾斜したこと以外は、旋回流発生用固定翼体3と同様に構成される。尚、図示はしないが、上述のとおり円盤を用いて旋回流発生用固定翼体を形成するかわりに、固定翼用の独立の翼を所望の数だけ予め作成し、互いの中心部分において溶接して一体化するとともに、それぞれの翼の外縁をリングの内壁面に溶接することで旋回流発生用固定翼体を作成してもよい。
また本発明の旋回流発生用固定翼体の異なる実施態様を図4に示す。図4aは、流水管2の内壁面に固定される独立の固定翼16を複数有する旋回流発生用固定翼体3を示す斜視図である。上記独立の固定翼16は、それぞれ同方向であって螺旋状に傾斜する姿勢で円周方向に整列し、且つその外縁が流水管2の内壁面に固定されることによって旋回流発生用固定翼体3を構成している。また図4bは、流水管2の内壁面に固定される独立の固定翼17を複数有する旋回流発生用固定翼体4を示す正面図であって、図4aに示す固定翼16の螺旋状の傾斜とは左右反対側に傾斜させた固定翼17により構成されること以外は、旋回流発生用固定翼体3と同様に構成される。上述するように、本発明に用いられる旋回流発生用固定翼体は、その形状、構成について特に限定されるものではなく、当該旋回流発生用固定翼体を通過する液体を旋回するよう導くための固定翼を備えていればよい。
尚、上記説明では、いずれも、2つの並列する旋回流発生用固定翼体を用いた微細気泡発生装置を例に本発明を説明したが、当該記載は本発明において3つ以上の旋回流発生用固定翼体を並列して使用することを除外する趣旨ではない。本発明において旋回流発生用固定翼体の数は、2以上であって任意である。ただし、隣り合う旋回流発生用固定翼体において、これに備わる固定翼の傾斜が、互いに逆の螺旋方向に傾きを有するよう構成されることが重要である。これによって、液体の流れ方向を360度逆に旋回させることができ、このとき液体にねじれのせん断力を与えることができるからである。
本発明における固定翼は、上述のとおり、隣り合う旋回流発生用固定翼体において液体が逆向きに旋回するように、互いに左右反対の螺旋状の傾きを備えていることが重要であり、傾きの具体的な角度は、適宜設計してよい。ただし、隣り合う旋回流発生用固定翼体において、上流側に位置する第一の旋回流発生用固定翼体および下流側に位置する第二の旋回流発生用固定翼体に液体が衝突するときの衝撃力をより有利に得るためには、第一の旋回流発生用固定翼体のピッチが、第二の旋回流発生用固定翼体のピッチ以上であることが好ましい。
ここで本発明において、「旋回流発生用固定翼体のピッチ」とは、旋回流発生用固定翼体に接触した液体の旋回流が、一旋回において下流方向に進む距離を意味する。即ち、ピッチを大きく設計したい場合には、各固定翼を流水管の流路方向に対して水平方向側に傾かせて固定させ、またよりピッチを小さく設計する場合には、各固定翼を流水管の流路方向に対して垂直方向側に傾かせて固定させればよい。換言すると、ピッチを大きく設計した場合には、固定翼と液体とが接触するときの抵抗力が小さくなり、液体は、ゆるく螺旋を描きながら一旋回する間により大きい距離を流れ、一方、ピッチを小さく設計した場合には、固定翼と液体とが接触したときの抵抗力が大きくなり、螺旋を一旋回する間に流れる距離が小さくなる。
液体:
本発明の微細気泡発生装置において微細気泡を発生させるために用いられる液体は、流水管中を流れることが可能な流動性を示すものであれば特に限定されない。より具体的には、飲料水、工業用水、下水、海水、河川水、プールや風呂に使用された水、バラスト水、燃料油などが挙げられるがこれに限定されるものではない。また、土砂、微生物、微小なゴミなどの混濁物が含まれている液体であっても、本発明の装置において微細気泡を発生させるための液体にとして用いることができる。
気体供給孔:
本発明において気体供給孔5、6は、任意の構成である。図1では、2か所に気体供給孔を設置した態様を示したが、どちらか一方だけを採用してもよいし、あるいは気体供給孔を設置しない設計も本発明の装置に含有される。また図示はしないが、旋回流逆転部の下流側に気体供給孔を設けても良い。たとえば、選択された液体を本装置に流すだけで所期の目的を達する微細気泡を得られる場合には、特に気体供給孔から気体を供給しなくてもよい。一方、より多量の微細気泡を発生させたい場合、あるいは、液体中には溶存しない気体あるいは液体中における溶存量の少ない気体を供給し、当該気体の微細気泡を得ることによって特別の利益を享受したい場合には、気体供給孔を設置することが好ましい。上記気体供給孔から供給される気体は、特に限定されないが、例えば、空気、酸素、窒素、水素、炭酸ガスなどを挙げることができる。また本発明において2か所以上の気体供給孔を設ける場合には、それぞれの気体供給孔から同じ気体を供給してもよいし、あるいは各気体供給孔において異なる気体を供給してもよい。
例えば種々の液体を用い、これに気体供給孔から空気を供給する場合には、供給された空気が液体と混合した状態で旋回流発生用固定翼体と接触する際、および第一の旋回流発生用固定翼体を通過し、旋回流発生用固定翼体と接触する際に液体にせん断力がかかる際に、供給された空気の気泡径が微細化されるので微細気泡を多量に得ることができる。他の気体を供給した場合であっても、供給された気体が微細化され微細気泡が形成される作用は同様である。
本発明に用いられる液体中において、溶存していない気体あるいは溶存量の少ない気体を上記気体供給孔から供給し、当該気体の微細気泡を上記液体中に多量に発生させることによって特別の利益を享受する例を下記にいくつか述べる。
たとえば気体供給孔を備える本発明の微細気泡発生装置において、液体として燃料油を用い、気体供給孔から供給される気体として酸素あるいは酸素濃度が60%以上の気体を用いて実施した場合に、短時間で、微細な気泡径の酸素が多量に溶存する燃料油を得ることができる。このように、微細化された酸素は燃料油中から容易に放出されず、長時間燃料油中に溶存し、あるいは完全に溶解することが可能なため、酸素リッチの燃料油を生成することができ、この結果、燃料油の燃焼効率を向上させることができる。
また液体として、燃料油の代わりに、魚を飼育する水槽の水や、養殖場に流し込まれる水を用い、且つ、気体供給孔から供給される気体として酸素あるいは酸素濃度が60%以上の気体を用いて本発明を実施した場合には、酸素濃度が高く、且つ、その高い酸素濃度は長時間維持される水が水槽や養殖場に提供されるので、魚の飼育において非常に有利である。
また別の例として、処理水の浄化において、当該処理水中に生存する好気性菌を死滅させることを目的として本発明の微細気泡発生装置を使用することができる。具体的には、本発明において流す液体として未浄化の液体を用い、且つ、窒素、あるいは窒素を60%以上含有する気体を気体供給孔から供給して本発明を実施する。すると、処理水中に溶存する酸素が、微細化された窒素と置換され、処理水を窒素リッチの状態にすることができる。しかも、窒素は、微細気泡となっているため、処理水中から容易に放出されず、長時間処理水中に溶存するため、処理水中の好気性菌を充分に死滅させることが可能である。
あるいはまた別の例として、従来、特定の好気性菌を担体に担持させて、そこに処理水を流すことにより、処理水中の微生物を当該好気性菌の作用により死滅させる浄化方法が知られているが、このような処理システムを実施する際に、予め本発明の微細気泡発生装置を用いて処理水を酸素の微細気泡で満たしておけば、担体に担持される好気性菌を活性化させることができるので、微生物の死滅作用を向上させることができる。
以上、例示するように、本発明の微細気泡発生装置は、選択される液体、および供給される気体の種類によって種々の分野で非常に有利な効果を発揮することができる。しかも、本発明には微細気泡が短時間で多量に発生させることができるため、液体中に含有される気体量を容易に増大させることができるために、一度、本発明の装置を通過させるだけで所望の微細気泡を発生させることも可能であるし、あるいは循環数を従来よりも著しく低減させ処理時間を短縮化することができる。
液体加速手段:
本発明において液体加速手段7は任意の構成である。本発明の装置において液体を加速させなくても、充分に流速の早い液体が旋回流発生用固定翼体に接触可能である場合には、特に液体加速手段を設けなくてもよい場合がある。より具体的には、本発明における旋回流発生用固定翼体に液体が接触し、所望の微細気泡が発生する場合には、特に液体加速手段を設ける必要はない。ただし、液体が旋回流発生用固定翼体に接触する際の衝撃が大きいほど、微細気泡を効率よく発生させることができるので、液体加速手段を備える本発明は好ましい態様といえる。
上記液体加速手段としては、一般的に、液体を配水管中において輸送するためのポンプ、液体の流速を増加させるために用いられるポンプ、液体をノズルから放出して一気に水圧を低くすることにより液体の流速を増大させることが可能な装置、あるいは流水管などの液体の流路の径を一部狭め、次いで流路の径を広げることで液体の水圧を意図的に低くし加速させる手段などが例示される。このように液体の流速を増大させることができる従来公知の装置あるいは手段であれば、本発明における液体加速手段として、適宜選択して用いることができる。尚、液体を加速させるために、当該液体にかけられる圧力は、所望の液体の流速に応じて適宜調整してよいが、一般的には、0.1〜9.8MPa程度であることが好ましい。
[第二の本発明について]
次に、第二の本発明の微細気泡発生装置について、図6を用いて説明する。図6は、ケーシングを用いた微細気泡発生装置21の概略斜視図である。微細気泡発生装置21は、液体流入口22と液体排出口23を備えるケーシング24において、配水管25に流れる液体が液体流入口22から流入するとともにケーシング24の内部に気体を供給するための気体供給孔27が設けられて構成されている。また配水管25には液体加速手段26が設けられおり、ケーシング24には所望の流速を示す液体が流入される。ケーシング24の内部には、図7に示すように、旋回流発生用固定翼体28及び29が並列して設けられている。旋回流発生用固定翼体28及び29は、上述する旋回流発生用固定翼体3及び4に関する説明と同様に、逆方向の螺旋状の傾きを有する複数の固定翼を備えてなるものである。旋回流発生用固定翼体28及び29により、微細気泡発生装置21の旋回流逆転部が構成される。
したがって、微細気泡発生装置21を通過する液体は、まず、配水管25を直進方向(矢印A)流れ、液体入流口22を通過し、気体供給孔27より供給される気体を含んで旋回流発生用固定翼体28に接触し、矢印B方向に旋回する。次いで旋回流発生用固定翼体29に接触して、矢印B方向とは反対向きの旋回方向矢印C方向に旋回し、最後に液体排出口23より排出される。
微細気泡発生装置21において、微細気泡が発生するメカニズム、設置される旋回流発生用固定翼体と固定翼、用いられる液体、供給される気体、および、選択される液体と供給される気体とにより種々享受される利益については、いずれも、上述する微細気泡発生用装置1と同様であるため、ここではこれらの説明を割愛する。
ケーシング:
ケーシング24は、図6においては円筒形状の態様を示したが、本発明において用いられるケーシングの形状はこれに限定されるものではない。たとえば直方体などであってもよいし、あるいは図8aに示すように、ケーシングの流れ方向において径を小さく設計した縮小領域41を設けてもよい。図8aに示すケーシング24’は、図6で示すケーシング24と同様に、液体流入口22と液体排出口23を備えており、且つ気体供給孔27を備えるとともに、液体流入口22と液体排出口23との間において、ケーシングの径が小さく設計された縮小領域41が設けられてなる。ここで、縮小領域41が設けられたケーシング24’の内部において、旋回流発生用固定翼体28及び29の取り付け位置は任意であるが、図8bのケーシング24’の概略断面図に示すように、特に縮小領域41の上流側端部と下流側端部とに旋回流発生用固定翼体28及び29が設置されることが好ましい。かかる態様によれば、ケーシング24’の径を縮小領域41において縮小させることで、液体が径の大きい領域から小さい領域(即ち縮小領域41)にかけて流れ込むことになり、物理的に液体への圧力が増大する。そして当該圧力の増した液体と旋回流発生用固定翼体28とを接触させることにより、微細気泡の発生効率を向上させることができるからである。また旋回流発生用固定翼体29を通過し微細気泡を含んだ液体が、ケーシングの径の小さな領域(即ち縮小領域41)から径の大きい領域にかけて流れる際には、液体にかかる圧力が小さくなるため、液体は減圧された状態となり、これに含まれる気体も圧力から解放されるため、気体の寸法が微細化される。
また図6に示すケーシングに設けられる液体流入口および液体排出口は、その断面中心が略同一直線上に存在するよう設けられているが、液体流入口および液体排出口の設けられる位置はこれに限定されるものではない。ただし、液体が旋回流発生用固定翼体に接触して効率良く微細気泡を発生するとともに望ましく旋回させるためには、液体流入口から流入する液体の流れ方向が、旋回流発生用固定翼体の面に垂直となることが望ましいため、これを考慮して液体流入口を形成することが望ましい。
液体加速手段:
また図6に示す微細気泡発生装置に流入する液体は、配水管25に液体加速手段26が設けられており、ケーシング内に流入される液体の流速を好ましい速度に調整して流入されるよう構成されている。一方、配水管に液体加速手段を設ける代わりに、液体流入口22において、あるいはケーシング24の内部であって旋回流逆転部の上流側において液体加速手段を設けることもできる(図示せず)。第二の本発明においても液体加速手段の使用は任意であるが、ケーシング24に流入される液体の速度が、旋回流発生用固定翼体と好ましい衝突力で接触するほどの流速が示されない場合には、使用することが好ましい。液体加速手段としては、上記第一の本発明において述べたものと同様にポンプ式であってもよいし、ノズル式であってもよい。
気体供給孔:
微細気泡発生装置21において示す気体供給孔27の取り付け位置は、本発明における気体供給孔の設置位置を限定するものではなく、また気体供給孔を設けない態様を除外する趣旨ではない。気体供給孔を設けるか否かは、上述するとおり、所望の微細気泡の発生量や、空気以外の液体を使用することにより得られる利益を享受するか否かにより決定される。ケーシングを用いる本発明の微細気泡発生装置において、気体供給孔を設ける場合には、ケーシング内であって旋回流逆転部の上流側、および/または、ケーシング内に設けられる2以上の旋回流発生用固定翼体において隣り合う旋回流発生用固定翼体間、あるいはケーシング外であって上記液体流入口の上流側の少なくとも一か所において設けることができる。
[本発明の微細気泡発生装置を用いた液体処理構造について]
以上に説明する本発明の微細気泡発生装置は、小型化、大型化のいずれにも対応可能であって、構造も簡易であるため、種々の用途に使用可能である。上述する微細気泡発生装置はいずれも、液体の配水路の途中に組み込む形で設けられることができる。また微細気泡自体に洗浄効果があるため、シャワーの頭部に本発明の装置を内蔵させ、あるいは洗濯機の洗浄槽に流れ込む水を処理するための装置として本発明の装置を実施することによって、本発明の装置により生成された微細気泡を多量に含んだ液体を浄化用の水として使用することもできる。
図9は、本発明の微細気泡発生装置1を配水路中に設置した、液体処理構造31を示す概念図である。液体処理構造31のように、微細気泡発生装置1を通過した液体を微細気泡36とともに、集水槽32に集水させることができる。このとき、集水槽32には、任意で集水槽32と天板34との間にオーバーフロー部33を設けてもよい。液体中の微細な混濁物を微細気泡36の表面に吸着させ、その状態で微細気泡36の一部を集水槽32の上部に浮上させ、これを上澄みとともにオーバーフロー部33から排出することによって、液体の浄化を促進させることができる。また、微細気泡を多量に含有する液体は、その目的に応じて、配水管35から次の工程に導いてもよい。したがって、液体処理構造31は、液体の浄化処理などにおける一次処理などに特に適しているといえる。
尚、液体中の気泡の特性として、マイクロバブルあるいはナノバブルレベルの小さい径の気泡では、当該気泡は水中に残存する割合が高いので、上述のとおり、気泡表面に液体中の微細な混濁物を吸着させ、これを浮上させてオーバーフロー部33から排出させる場合には、混濁物の大きさを勘案し、生成される気泡の径を浮上させるに適した径になるよう、液体の流速などを調整することが望ましい。図9に示すように、比較的に気泡径の大きい気泡は、集水槽の上部に浮上し、上澄みとともにオーバーフロー部33から排出させることができる。また図9において示す微細気泡36は、生成される気泡のイメージを示したものであって、実際に本発明において生成される気泡径を示すものではない。他の図面に示す気泡も同様である。
また別の液体処理構造としては、図10に示す液体処理構造41が挙げられる。液体処理構造41は、集水槽42に集水された液体を循環路43において循環させ、この循環路43の途中において微細気泡発生装置1を設けることにより完成される。たとえば、集水槽42が水槽やプール、浴槽などであって、集水槽42中の液体の少なくとも一部を、浄化などの処理をしながら繰り返し使用する場合に、液体処理構造41は以下の好ましい作用効果を発揮する。即ち、集水槽中の水などの液体を繰り返し使用する場合には、液体中に好気性菌が発生する場合があるが、この好気性菌を死滅させて液体を浄化させるために、微細気泡発生装置1において、窒素などの酸素以外の気体を供給することができる。この結果、液体中の酸素が窒素と置換され、当該液体の酸素濃度を減少させることができるので、液体中の好気性菌を死滅させることができる。また水槽中における魚の飼育などの観点からは、水槽中の水を循環路43に循環させ、ここで微細気泡発生装置1における気体供給孔において酸素を供給することにより、微細な気泡径の酸素がリッチとなった液体を集水槽42に戻すことができ、魚の飼育に望ましい影響を与えることができる。尚、液体処理構造41においても、任意で配水管44を設けることができる。
また図11に示す液体処理構造41’のように、集水槽42から循環路43を通り、微細気泡発生装置1を通過することにより微細気泡を多量に含んだ液体を、再度、集水槽42に戻すために、集水槽42の中央部まで、流水管2から伸長するガイド45を設けてもよい。
[第3の本発明について]
次に本発明の微細気泡発生方法について説明する。本発明の微細気泡発生方法は、液体を、固定翼に接触させることによる衝突力と、液体を一方方向に旋回させ、次いで逆方向に旋回させることによって液体にねじれのせん断力を与えることにより、液体中に微細気泡を発生させることを特徴とする。より具体的に説明するためにいくつかの工程に分けて、本発明の方法について説明する。
液体加速工程:
上述する液体加速手段などを用いて、流路中を流れる液体の流速を増大させる。固定翼に液体が接触する際の衝突力をより大きなものとし、これによってより多量かつ微細の気泡を発生させるものである。尚、第3の本発明である微細気泡発生方法において、流路とは、上述する流水路あるいは液体流入口及び液体排出口を備えるケーシングを含む、液体の流れが確保されるものを意味する。
液体旋回工程:
加速されて流速の増大した液体の流れを、流路中に固定された第一の旋回流発生用固定翼体に接触させ、該旋回流発生用固定翼体を構成する固定翼の傾斜により液体を旋回方向に導く。旋回流発生用固定翼体については、上記第一、第二の本発明において説明したものと同様のものを用いることができる。
旋回流逆転工程:
上記液体旋回工程において旋回方向に流れが導かれた液体を、第一の旋回流発生用固定翼体に並列する第二の旋回流発生用固定翼体に接触させる。第二の旋回流発生翼体は、第一の旋回流発生用固定翼体に設けられる固定翼とは左右逆向きの螺旋状の傾きを有する固定翼が設けられる。この点についても、上述する上記第一、第二の本発明において説明したものと同様である。当該旋回流逆転工程において、液体を第二の旋回流発生用固定翼体に接触させてさらに微細気泡を発生させるとともに、液体の旋回方向を逆転させることにより液体にねじれのせん断力を与え、これによってさらに微細気泡を発生させることができるとともに、すでに液体中に溶存される液体の気泡径をさらに縮小させることができる。
尚、上述する微細気泡発生方法では、液体旋回工程についで一度の旋回流逆転工程を実施する本発明について説明したが、本発明の微細気泡発生方法では、上記旋回流逆転工程に続き、さらに第二、第三の旋回流逆転工程を設けても良い。即ち、隣り合う旋回流発生用固定翼体において固定翼の傾きが逆の旋回方向に傾くよう形成された、3つ以上の旋回流発生用固定翼体を流路に固定し、液体旋回流逆転工程を連続して実施してもよい。
気体供給工程:
また上記液体加速工程と液体旋回工程との間、あるいは液体旋回工程と旋回流逆転工程との間のいずれかあるいは両方において、気体供給工程をさらに設けても良い。供給される液体の種類や、液体が供給されることにより享受される利益は、上記第一、第二の本発明において説明したものと同様であるためここでは割愛する。
[実施例1]
厚さ1.0mmのステンレス(SUS304)を、直径24mmの円状にカットした円盤を準備し、円周から円中心方向に向けて均等の間隔で1.15cmの切り込み4本をいれ、切り込み間を螺旋方向に傾くよう円盤面から約30度にねじって固定翼を4枚備えるプロペラAを作成した。次いで、厚さ3mm、内径21.2mm、幅12mmのステンレス(SAS304)製のリングを準備し、リングの内壁面に、上記固定翼の外縁を接合して、旋回流発生用固定翼体Aを得た。
また、切り込み間のねじる方向が上記旋回流発生用固定翼体Aにおける固定翼とは左右逆方向であること以外は旋回流発生用固定翼体Aと同様に旋回流発生用固定翼体を作成し、これを旋回流発生用固定翼体Bとした。
次いで、内径27.2mmの流水管を準備し、上記旋回流発生用固定翼体Aのリングの外壁面を上記流水管の内壁面に固定し、次いで、旋回流発生用固定翼体Aの下流側10cmの位置において、旋回流発生用固定翼体Bのリングの外壁面を上記流水管の内壁面に固定して、旋回流逆転部を形成した。そして旋回流発生用固定翼体Bのさらに下流側20cmの位置から、流水管の内系を70.3mmに拡大し、長さ10cmの減圧部を設け、且つ、上記旋回流逆転部より上流側約4cmの位置、および旋回流発生用固定翼体A及びBの中間の2か所において、気体供給孔を設けた装置1を2つ作製した。
液体加速手段として、循環ポンプ(株式会社荏原製作所製40DPA3 52.2、5t、50m、電力AC200V、2.2W、3P、50Hz)を準備し、これを容量98Lであって内部の液体が視認可能な集水槽の側面部に設けた循環口(液体が集水槽より流れ出るための口)に接続した。そして、上記ポンプから排出される加速された液体を二股の流水管に流し、その二股の流水管を上記2つの装置1の流水管の上流側にそれぞれ接続した。一方、上記集水槽の底部には、2つの循環口(液体が集水槽に流れ込むための口)を設け、それぞれの口に、上記装置1の下流側に位置する減圧部の下流側末端を接続して、集水槽中の液体が循環する順管路中に本発明の微細気泡発生装置が2つ設けられた処理構造を完成し、実施例1とした。
(試験1)
実施例1を用いて微細気泡発生試験を以下とおり行った。
使用液体:隅田川河川水80L
供給気体:空気
気体供給条件:気体供給用ポンプのバルブの開いた角度が6分の1となるよう調整し、0.6〜0.8MPaの圧力で、2か所の気体供給孔から供給される気体の合計が1分間に約20Lとなる流速で供給した。
以上の条件において、まず、河川水80Lを集水槽に注ぎ入れ、次いで循環ポンプを作動させるとともに気体の供給を開始して、集水槽中の河川水を循環させて試験を開始した。
その結果、試験開始時は、白濁のない透明な水であることが確認され集水槽中の液体は、試験開始60秒後には、全体が不透明になる程度に白濁した状態が目視で確認され、液体中に微細な気泡が多量に発生したことが確認された。
上記実施例1を30分間運転した後、気体の供給及び循環ポンプを停止して、実施例1の運転を終了した。そしてそのままの状態で集水槽中の河川水を放置し、20時間後に肉眼観察した。その結果、集水槽中の河川水は、白濁状態を維持しており、実施例1によって生成された液体中の気泡が、マイクロバブル以下の非常に気泡径の小さい気泡であって、長時間、河川水中に維持されたことが確認された。
[実施例2]
容積150Lの集水槽と、容積150Lのドラム缶を1つずつ準備した。そして、上記ドラム缶の側面に液体循環口(液体がドラム缶から排出されるための口)を設けて、該液体循環口に油輸送用のギアポンプ(株式会社荏原製作所製GRD−20、200V、50Hz、1.5kW、4P、0.5MPa、1.8t/hr)を接続した。続いて、気体供給孔を減圧部に1か所だけ設けたこと以外は、実施例1において作製した装置1と同様の装置を1つ作製し、この装置の上流側を上記ギアポンプに接続するとともに、下流側にある減圧部の下流側末端を上記集水槽の底部に設けた液体循環口(集水管に液体が流入するための口)に接続した。また集水槽の側面部には液体が該集水層から排出されるための循環口を設け、ここに循環用ポンプ(株式会社荏原製作所製20GPF、51.5A、AC200V、1.5kW、50Hz、0.1MPa)を接続しポンプから排出される液体を通す配管を上記ドラム缶の側面に設けた循環口に接続して、燃料油処理用の処理構造を完成し、これを実施例2とした。
(試験2)
実施例2を用いた装置において燃料油を用いた燃料油処理試験を以下のとおり行った。
使用液体:A重油
供給気体:酸素を約90%含む気体
気体供給条件:最大突出圧力0.3MPa、約3L/分で酸素を多量に含む気体を供給した。
以上の条件において、まずドラム缶にA重油を充填するとともに、集水槽にも呼び油としてA重油を小量張り込み、各ポンプを作動させるとともに気体の供給を開始し、実施例2の運転を開始した。A重油は、ドラム缶から本発明の微細気泡発生装置をとおって集水槽に流れ込み、続いて、ドラム缶へ戻るよう循環させた。この循環の運転を30分間行い、その後、ポンプと気体の供給を停止し、運転を終了した。そして、上記ドラム缶から処理済みのA重油をサンプリングし試料1とし、以下に示す燃焼試験に供した。尚、運転開始前の未処理のA重油の色合いを目視で確認したところ真っ黒であったが、運転終了後、試料1の色合いは、濃い褐色に変化しており、A重油中に酸素を多量に含む微細な気泡が多量に発生していることが推察された。
次に、上述で得た試料1(実施例2で処理したA重油)と、比較試料である未処理のA重油とを用いて、残留炭素、灰分、硫黄分、アスファルテン、ドライスラッジ、総発熱量について分析を行った。分析項目、分析方法、分析結果を、あわせて表1に示す。
Figure 2010172800
また、試料1及び未処理のA重油を用いて、燃焼試験を行った。燃焼試験には、燃料着火燃焼性試験装置(Fuel Combustion Analyzer:FCA)を用い、各試料の燃焼終わり時間と、後燃え期間を観測した。その結果について、表2に示す。
Figure 2010172800
表1に示すように、試料1は未処理のA重油に比べて、アスファルテンが15%、ドライスラッジが50%減少しており、試料1において燃料油の軽質化が促進されたことが確認された。一方、総発熱量については、試料1は未処理のA重油に比べて0.2%増加していた。また表2に示すように、燃焼試験では、試料1は、未処理A重油に比べて、燃焼時間と後燃え期間の短縮が認められ、燃焼速度が速まったことが確認された。上記燃料の軽質化、総発熱量の増加、および燃焼速度の変化は、いずれも試料1の燃焼効率が向上したことを示している。かかる燃焼効率の向上は、本発明の微細気泡発生装置において燃料油中に微細な酸素の気泡が多量に発生し、且つ、微細気泡の溶存状態が安定に維持された結果、かかる微細径の酸素の存在により燃料油の燃焼効率の向上したものと思われる。換言すると、本発明の微細気泡発生装置において酸素を供給しながら燃料油中に微細気泡を発生させることによって、当該燃料油の燃焼効率を向上させることができることが、上記試験において示された。
1、1’、21 微細気泡発生装置
2 流水管
2’ガイド
3、4、28、29 旋回流発生用固定翼体
5、6、27 気体供給孔
7、26 液体加速手段
8 減圧部
11、12、16、17 固定翼
13 リング
14 円盤
15 切り込み
22 液体流入口
23 液体排出口
24、24’ ケーシング
25 配水管
31 液体処理構造
32 集水層
33 オーバーフロー部
34 天板
35 配水管
36 微細気泡
41 縮小領域

Claims (9)

  1. 流水管と、
    上記流水管の上流側から下流側に向けて並列する2以上の旋回流発生用固定翼体からなる旋回流逆転部と、
    を備え、
    上記旋回流発生用固定翼体は、流水管の上流側から下流側に向けて螺旋方向に傾きを有するとともに外縁が上記流水管の内壁面に直接または間接に固定されている複数の固定翼から構成されており、且つ、
    隣り合う上記旋回流発生用固定翼体は互いに、左右逆の螺旋方向に傾きを有する固定翼を備えており、
    上記旋回流逆転部において、液体の流れが螺旋方向に旋回し、次いで、旋回する方向が左右逆方向に逆転することを特徴とする微細気泡発生装置。
  2. 一端に液体流入口を備え、他端に液体排出口を備えるケーシングと、
    上記ケーシング内において液体流入口側から液体排出口側に向けて並列する2以上の旋回流発生用固定翼体からなる旋回流逆転部と、
    を備え、
    上記旋回流発生用固定翼体は、上記ケーシングの液体流入口側から液体排出口側に向けて螺旋方向に傾きを有するとともに外縁が上記ケーシングの内壁面に直接または間接に固定されている複数の固定翼から構成されており、且つ、
    隣り合う上記旋回流発生用固定翼体は互いに、左右逆の螺旋方向に傾きを有する固定翼を備えており、上記旋回流発生用固定翼体を液体が通過することによって生じる旋回流の旋回方向が隣り合う上記旋回流発生用固定翼体において互いに左右逆方向となることを特徴とする微細気泡発生装置。
  3. 上記旋回流逆転部の上流側、上記旋回流逆転部の下流側、または、上記2以上の旋回流発生用固定翼体において隣り合う旋回流発生用固定翼体間の少なくとも一か所において、気体供給孔が設けられていることを特徴とする請求項1に記載の微細気泡発生装置。
  4. 上記ケーシング内であって上記旋回流逆転部の上流側、上記旋回流逆転部の下流側、上記2以上の旋回流発生用固定翼体において隣り合う旋回流発生用固定翼体間、上記ケーシング外であって上記液体流入口の上流側、または上記ケーシング外であって上記液体排出口の下流側の少なくとも一か所において、
    気体供給孔が設けられていることを特徴とする請求項2に記載の微細気泡発生装置。
  5. 上記旋回流発生用固定翼体が、外周から円中心方向に向けて2以上の切り込みが入れられた円盤からなり、
    上記切り込み間に位置する1つの領域により1つの固定翼が構成されており、且つ、
    上記切り込み間に位置する領域面が、それぞれ略同一方向の螺旋状に傾くように当該領域面をねじることによって螺旋方向に傾きを有し、円中心において結合する複数の固定翼を有している旋回流発生用固定翼体であることを特徴とする請求項1乃至4のいずれか1項に記載の微細気泡発生装置。
  6. 上記旋回流逆転部の上流側において、液体の流速を調整するための液体加速手段が設けられていることを特徴とする請求項1乃至5のいずれか1項に記載の微細気泡発生装置。
  7. 上記2以上の旋回流発生用固定翼体において、上流側に位置する旋回流発生用固定翼体のピッチが、これと隣り合う下流側に位置する旋回流発生用固定翼体のピッチ以上であることを特徴とする請求項1乃至6のいずれか1項に記載の微細気泡発生装置。
  8. 液体の流れる流路において、上記流路を流れる液体を下流方向に向かって加圧して加速させ、
    上記流路内に設けられる、上流側から下流側に向けて螺旋方向に傾きを有する第一固定翼を複数備える第一旋回流発生用固定翼体に、上記加圧された液体を接触させることにより、該液体を一方方向に螺旋状に旋回させ、
    次いで、上記第一旋回流発生用固定翼体に隣り合い、上記第一固定翼とは逆向きの螺旋方向に傾きを有する第二固定翼を複数備える第二旋回流発生用固定翼体に、上記一方方向に螺旋状に旋回する液体を接触させることにより、該液体を逆向きの螺旋方向に旋回させることによって、
    上記液体中に微細な気泡を発生させることを特徴とする微細気泡発生方法。
  9. 上記第一旋回流発生用固定翼体のさらに上流側、上記第一旋回流発生用固定翼体と上記第二旋回流発生用固定翼体との間、または全ての旋回流発生用固定翼体のさらに下流側の少なくとも一か所において、気体を供給することを特徴とする請求項8に記載の微細気泡発生方法。
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