JP2010172129A - 回転電機の冷却方法及び回転電機の冷却装置 - Google Patents
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Abstract
【解決手段】ポンプ21により汲み上げられた冷却媒体26を、流入側パイプ22から、コイル14の軸方向における一端から他端に向けて供給して、コイル14を構成する電線の隙間を軸方向に流し、流出側パイプ25から排出する。したがって、冷却媒体とコイル14との接触面積を従来よりも大幅に増加させることができる。よって、駆動モータ10の固定子11の温度上昇を従来よりも抑制することができる。
【選択図】図1
Description
また、コイル温度が上昇してコイルに使用されている電線の絶縁材料の許容温度を越すと、モータに非可逆な損傷を与える。このため、例えば、電気自動車に用いられる駆動モータにおいては、急坂の登攀時においてモータに大きなトルクを発生するために大きな電流がコイルに流れる場合に、コイルの温度上昇のため、坂の途中で電流を絶ちモータによる駆動を停止せざるを得なくなる虞がある。
特許文献1では、固定子のコイルエンドに対して、回転軸に対して垂直な方向から冷却油を流下させ、その冷却油を回収して熱交換した後に、固定子のコイルエンドに対して冷却油を再度流下させるようにするようにしている。
また、特許文献2では、回転子の回転軸と同軸となるように設けられた回転シャフトから供給される冷却油を、回転子内を通る油路から固定子のコイルエンドに、回転子が回転することにより発生する遠心力を利用して供給するようにしている。
通常の使用時におけるモータの冷却には、固定子の外周に設けられたケースを空冷あるいは水冷すること等により対応することができるが、そのような対応だけでは一時的に大きなトルクがモータに発生した場合の温度上昇に対応することができない虞がある。そこで、特許文献1、2に記載の技術を、一時的に大きなトルクがモータに発生した場合の温度上昇を抑制するために使用することが考えられる。
しかしながら、前述した特許文献1、2に記載の技術では、回転軸に対して垂直な方向から冷却油をコイルエンドに当てているだけであるので、コイルと冷却油との接触面積が小さい。よって、固定子の温度上昇を抑制することが困難であり、特に、一時的に大きなトルクが回転電機に発生するときのコイルの温度上昇を抑制するのに適したものではなかった。
図1は、駆動モータ及び駆動モータの冷却装置の構成の一例を示す図である。具体的に図1では、駆動モータの回転軸(回転シャフト15の回転軸)を通り、且つ、当該回転軸に沿って切った場合の駆動モータの断面図の一例を示す。また、図2は、図1のA−A´方向から見た駆動モータの断面図である。尚、各図では、説明の都合上、必要な部分の概略だけを示している。また、以下の説明では、駆動モータの冷却装置を必要に応じて冷却装置と略称し、駆動モータの回転軸、軸心(回転シャフト15の回転軸、軸心)を必要に応じて回転軸又は軸と略称する。
図1、図2において、駆動モータ10は、コイル14が巻き回された固定子(ステータ)11と、回転子(ロータ)12と、ケース13と、回転シャフト15と、スロット遮蔽板16とを有している。
回転シャフト15は、回転子12を回転させるためのものであり、その軸心(回転軸)が駆動モータ10の軸心(回転軸)と一致するように、駆動モータ10の最も軸心側に配置されている。
回転子12は、その軸心が駆動モータ10の軸心と一致し、且つ、その内周面が回転シャフト15の外周面と相互に対向する位置に配置されている。
具体的に固定子11は、ティース11a〜11lと、ヨーク11mとを有する。ヨーク11mは、固定子11の外周側に配置され、当該外周に沿って延在するリング状の部分である。ティース11a〜11lは、ヨーク11mから駆動モータ10の軸心の方向(径方向)に延在する部分であり、固定子11の外周方向に沿って略等間隔で複数存在する。図2に示す例では、12個のティース11a〜11lが設けられている場合を例に挙げて示している。
スロット遮蔽板16は、相互に間隔を有して隣接する2つのティース(例えばティース11a、11b)の先端部(回転子12の外周面と対向する側の部分)の間の領域に配置される。このスロット遮蔽板16により、スロットの軸心側の領域が略塞がれる。スロット遮蔽板16は、絶縁性の材料、例えば樹脂を用いて形成される。
図1において、冷却装置20は、ポンプ21と、流入側パイプ22と、サーミスタ23と、制御装置24と、流出側パイプ25と、スロット遮蔽板16とを有する。尚、スロット遮蔽板16は、駆動モータ10と冷却装置20とで兼用される。
ポンプ21は、駆動モータ10の下部に溜まっている冷却媒体26を汲み上げる。このときポンプ21は、後述するようにしてスロット27の軸方向における一端から他端へ冷却媒体26を供給することができる圧力で冷却媒体26を汲み上げる。尚、冷却媒体26は、駆動モータ10に付随するベアリングあるいは動力伝達部(ギヤ等)にATF(Automatic Transmission Fluid)等の潤滑油が循環使用されている場合には、当該潤滑油を用いることが好ましい。
図3は、図1のB−B´方向から見た断面図である。尚、図3では、説明の都合上、固定子11や回転子12の図示を省略する。また、図3では、コイル14a、14lが収まっているスロット27aを例に挙げて説明したが、その他のスロット27b〜27lにも図3と同じようにして流入側パイプ22が、個別にあるいは分岐して配置されるか、あるいは全てのスロット27a〜27lを覆う1個の流入側パイプが配置される。
以上のように本実施形態では、例えば流入側パイプ22を用いることにより第1の誘導部材が実現される。
以上のように本実施形態では、例えばサーミスタ23を用いることにより測定手段が実現される。
制御装置24は、例えば、ポンプ21及びサーミスタ23と信号のやり取りを行うためのインターフェースと、マイクロコンピュータとを用いることにより実現することができる。
以上のように本実施形態では、例えばポンプ21と制御装置24とを用いることにより供給手段を実現することができる。
図4は、図1のC−C´方向から見た断面図である。尚、図4でも図3と同様に、説明の都合上、固定子11や回転子12の図示を省略する。また、図4では、コイル14a、14lが収まっているスロット27aを例に挙げて説明したが、その他のスロット27b〜27lにも図4と同じようにして流出側パイプ22が配置される。
流出側パイプ25の各受入口から流出側パイプ25の内部に流れ出た冷却媒体26は、流出側パイプ25内で合流し、冷却媒体26が溜まっている駆動モータ10の下部の領域に排出される。
本実施形態では、以上のようにして駆動モータ10の下部の領域に溜まっている冷却媒体26を、駆動モータ10の下部の領域→流入側パイプ22→スロット27→流出側パイプ25→駆動モータ10の下部の領域の経路で循環させるようにしている。なお、冷却媒体26の冷却のため、前記の循環経路の途中に、空冷あるいは水冷の熱交換器を設けてもよい。
以上のように本実施形態では、例えば流出側パイプ25を用いることにより第2の誘導部材が実現される。
以上のように本実施形態では、例えばスロット遮蔽板16a〜16lを用いることにより遮蔽部材が実現される。
また、コイル14の温度と所定値との差に応じてスロット27に流す冷却媒体26の流量を調整するようにしたので、コイル14の温度が上昇した時にのみポンプ21の吐出量を増やし、冷却媒体26の流量を増加させることによって固定子11の冷却を強化できる。すなわち、例えば、コイル14の温度が一時的に上昇するような用途で駆動モータ10が使用される場合には、コイル14の温度が低い時には、ポンプ21を停止あるいは低い吐出量で運転させることにより、駆動エネルギーの省エネが可能である。
また、前述した実施形態は、何れも本発明を実施するにあたっての具体化の例を示したものに過ぎず、これらによって本発明の技術的範囲が限定的に解釈されてはならないものである。すなわち、本発明はその技術思想、またはその主要な特徴から逸脱することなく、様々な形で実施することができる。
11 固定子
12 回転子
13 ケース
14 コイル
15 回転シャフト
16 スロット遮蔽板
20 冷却装置
21 ポンプ
22 流入側パイプ
23 サーミスタ
24 制御装置
25 流出側パイプ
26 冷却媒体
27 スロット
Claims (9)
- それぞれの軸心が同一となるように配置された固定子及び回転子を有する回転電機であり、前記固定子が、周方向に延在するヨークと、当該ヨークから径方向に延在するティースと、前記ティースの間の空間であるスロットを通り前記ティースに対して巻き回されているコイルとを有する回転電機を冷却する回転電機の冷却方法であって、
前記スロットの前記軸心の方向における一端から、前記コイルを構成する電線の隙間を通って、前記スロットの前記軸心の方向における他端に到達するように、前記スロットの前記軸心の方向における一端に冷却媒体を供給する供給工程を有することを特徴とする回転電機の冷却方法。 - 前記供給工程は、前記スロットの前記軸心の方向における他端から流れ出た冷却媒体を、前記スロットの前記軸心の方向における一端に再度供給して循環させることを特徴とする請求項1に記載の回転電機の冷却方法。
- 前記コイルの温度を測定する測定ステップを有し、
前記供給工程は、前記コイルの温度に応じて、前記スロットの前記軸心の方向における一端に供給する冷却媒体の量を制御することを特徴とする請求項1又は2に記載の回転電機の冷却方法。 - 前記供給工程は、前記回転子が回転することに伴い前記冷却媒体に作用する遠心力を用いて、前記スロットの前記軸心の方向における一端に冷却媒体を供給することを特徴とする請求項1〜3の何れか1項に記載の回転電機の冷却方法。
- それぞれの軸心が同一となるように配置された固定子及び回転子を有する回転電機であり、前記固定子が、周方向に延在するヨークと、当該ヨークから径方向に延在するティースと、前記ティースの間の空間であるスロットを通り前記ティースに対して巻き回されているコイルとを有する回転電機を冷却する回転電機の冷却装置であって、
前記スロットの前記軸心の方向における一端に冷却媒体を供給するために当該冷却媒体を誘導する第1の誘導部材と、
前記スロットの前記軸心の方向における一端から、前記コイルを構成する電線の隙間を通って、前記スロットの前記軸心の方向における他端に到達するように、前記第1の誘導部材に冷却媒体を供給する供給手段を有することを特徴とする回転電機の冷却装置。 - 前記コスロットの前記軸心の方向における他端から流れ出た冷却媒体を誘導する第2の誘導部材を有し、
前記供給手段は、前記第2の誘導部材によって誘導された冷却媒体を、前記第1の誘導部材に再度供給して循環させることを特徴とする請求項5に記載の回転電機の冷却装置。 - 前記コイルの温度を測定する測定手段を有し、
前記供給手段は、前記コイルの温度に応じて、前記スロットの前記軸心の方向における一端に供給する冷却媒体の量を制御することを特徴とする請求項5又は6に記載の回転電機の冷却装置。 - 前記供給手段は、前記回転子が回転することに伴い前記冷却媒体に作用する遠心力を用いて、前記第1の誘導部材に冷却媒体を供給することを特徴とする請求項5〜7の何れか1項に記載の回転電機の冷却装置。
- 前記コイルが収まっている領域である、前記固定子のスロットの前記軸心側の領域を塞ぐ遮蔽部材を有することを特徴とする請求項5〜8の何れか1項に記載の回転電機の冷却装置。
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JP2019193320A (ja) * | 2018-04-18 | 2019-10-31 | 株式会社デンソー | 回転電機 |
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