JP2010170850A - プラズマディスプレイパネル及びそれを備えた画像表示装置 - Google Patents

プラズマディスプレイパネル及びそれを備えた画像表示装置 Download PDF

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Abstract

【課題】 PDPパネルの消費電力を低減する
【解決手段】 前面基板とバス電極との間の第1誘電体層、バス電極と保護膜との間の第2誘電体層に、前面基板よりも低誘電率の材料を用いることで、XY電極間容量の基板成分を軽減し、かつ放電空間への電界染み出しを増加させることで放電維持電圧を低減する。また、両者を併用することにより、無効電力を半分以下にすることが可能となる。
【選択図】 図10

Description

本発明はプラズマディスプレイパネル(Plasma Display Panel:以下、プラズマパネルまたはPDPとも称する)に関し、特に、維持放電電圧と電流を低減させ、省電力なPDPを実現できるプラズマパネル構造、および駆動装置を含めたプラズマディスプレイ装置に関する。
近年、大型かつ厚みの薄いカラー表示装置として、プラズマディスプレイ装置が期待されている。PDPには、その構造と駆動方法の違いからDC(直流)型とAC(交流)型に分類される。特に、表示放電を、同一基板上に設けられた電極間で発生させ、且つ交流駆動される、交流(AC)面内放電型PDPは、構造の単純さと高信頼性のため、もっとも実用化の進んでいる方式である。以下、従来技術のAC面内放電型PDPの実施形態を説明する。
図1は、一般的なAC面放電型PDPの構造の一部を示す分解斜視図の例である。図に示すPDPは、ガラス基板から成る前面基板21と背面基板28とを貼り合わせて一体化したものであり、赤(R)、緑(G)、青(B)の各蛍光体層32を背面基板28側に形成した反射型のPDPである。前面基板21は、背面基板28との対向面上に一定の距離を隔てて平行に形成される一対の維持放電電極(表示電極とも言う)を有する。この一対の維持放電電極は、透明な共通電極(以下、単に、X電極と称する。)(22-1、22-2……)と、透明な独立電極(以下、単に、Y電極または走査電極と称する。)(23-1、23-2……)で構成される。また、X電極(22-1、22-2……)には、透明電極の導電性を補うための不透明のXバス電極(24-1、24-2……)、またY電極(23-1、23-2……)には、Yバス電極(25-1、25-2……)が、図2の矢印D2の方向(行方向)に延長して設けられる。また、X電極(22-1、22-2……)、Y電極(23-1、23-2……)、Xバス電極(24-1、24-2……)およびYバス電極(25-1、25-2……)は、AC駆動のために放電から絶縁されている。すなわちこれらの電極は、一般に低融点ガラス層からなる、誘電体層26により被覆され、この誘電体層26は保護膜27により被覆されている。
背面基板28は、前面基板21との対向面上に、前面基板21のX電極(22-1、22-2……)およびY電極(23-1、23-2……)と直角に立体交差するアドレス電極(以下、単に、A電極と称する。)29を有し、このA電極29は、誘電体層30により被覆される。このA電極29は、図2の矢印D1方向(列方向)に延長して設けられる。この誘電体30上には、放電の広がりを防止(放電の領域を規定)するためにA電極29間を仕切る隔壁(リブ)31が設けられる。この隔壁31間の溝面を被覆する形で、赤、緑、青に発光する各蛍光体層32が、順次ストライプ状に塗布される。
図2は、図1中の矢印D2の方向から見たPDP断面構造を示す要部断面図であり、画素の最小単位である放電セル1個を示している。同図において、放電セルの境界は概略破線で示す位置である。33は放電空間を示し、プラズマを生成するための放電ガスが充填される。電極間に電圧を印加すると、放電ガスの電離によってプラズマ10が発生する。図3は、プラズマ10が発生している様子を模式的に示している。このプラズマからの紫外線が蛍光体32を励起して発光させ、蛍光体32からの発光は、前面基板21を透過して、それぞれの放電セルからの発光でディスプレイ画面を構成する。
図3は,図2におけるプラズマ10中の荷電粒子(正または負の電荷を持った粒子)の動きを模式的に示したものである。図3中の3は負の電荷を持った粒子(例えば電子),4は正の電荷を持った粒子(例えば正イオン),5は正壁電荷,6は負壁電荷を示す。これは,PDP駆動中のある時点での電荷の状態を表しているものであり,その電荷配置に特別な意味は無い。
図3には,例として,Y電極23-1に負の電圧を,A電極29とX電極22-1に(相対的に)正の電圧を印加して放電が発生,終了した模式図を表している。この結果,Y電極23-1とX電極22-1の間の放電を開始するための補助となる壁電荷の形成(これを書き込みと称す)が行なわれている。この状態でY電極23-1とX電極22-1の間に適当な逆の電荷を印加すると,誘電体層26(および保護膜27)を介して両電極の間の放電空間で放電が起こる。放電終了後Y電極23-1とX電極22-1の印加電圧を逆にすると,新たに放電が発生する。これを繰り返すことにより継続的に放電を形成できる。これを維持放電と呼ぶ。
PDPパネルの消費電力の約7割は維持放電電力Psが占めている。維持放電電力Psの内訳は、放電電力Pdcと無効電力Pndcに分けられる。後者はガス放電によらない容量への充放電電力で、前者がガス放電に伴う消費電力である。
AC型PDPの場合維持放電電力Psは、XY電極間の容量をCxy、放電電圧Vs、周波数fとすれば、
Ps∝f×Cxy×Vs (数3)
として表すことが出来る。
XY電極間容量Cxyは、等価回路を用いて図4のように表わすことができる。等価回路は放電を伴わない時の(A)と、放電を伴うときの(B)に分かれる。両者の違いは、X’、Y’のノードが短絡されているか否かにある。
まず(A)から説明をすると、ノードXとYの間の容量Cxyには、(i)前面基板を介した容量Csubと、(ii)誘電体と保護膜が構成する容量CIFに放電ギャップが作る容量Cgapとの直列容量、それと(iii)アドレス電極との容量Cxa, Cyaの3種類の合成容量からなる。このうち並列に存在するCxa, Cya, Csubは維持放電に寄与しない寄生容量成分であり、できる限り小さくするのが望ましい。数3によれば維持放電電力Psを低減するには、維持放電電圧VsとXY電極間容量Cxyを減らすことが課題となる。
続いて図4(B)を説明する。放電中はセル内に荷電粒子が存在するのでX’とY’のノードが短絡状態となり等価回路は図4(B)になる。この場合も同様に、Cxa, Cya, Csubは維持放電に寄与しない寄生容量成分であり、できる限り小さくするのが望ましい。
このような課題に対応する従来技術としては、特許文献1〜5が知られている。
特許文献1〜3では、前記のCsubを低減することを目的として、前面基板と維持電極との間に第1誘電層を設け、維持電極と保護層の間に第2誘電体を形成し、第1誘電膜の比誘電率を前面基板よりも小さくすることが開示されている。特に特許文献1では、第1誘電体層の厚さをd[um]、比誘電率をεとした時に、第1誘電体層が、
ε/d≦0.1 (数4)
を満たす構成とすることで、膜厚dに対してCxyが飽和する程度まで低下すると述べている。
また特許文献4では、特許文献1に加えて第2誘電体層の比誘電率を前面基板よりも小さく設定すること、特許文献5では、維持電極と保護膜との間にある誘電体層において、誘電体層に前面基板よりも比誘電率の小さいケイ素含有共重合ポリマー(以下本願では、有機ポリシラザンと称す)を用いることが開示されている。
特開2003-197110 特開2006-164526 特開2007-287349 特開2007-299641 WO03/087228
特許文献1における実施例1によれば、
(1)基板ガラスに比誘電率7.9の高歪点ガラスを用いる、
(2)第1誘電体層に比誘電率4のB-Si系ガラスを厚さ40um形成する、
(3)第2誘電体層にPb-Bi-P系ガラスを厚さ40um形成する、
(4)これによりCxyが25%低下し、無効電力Pndcが40%低減する、
と述べている。
これに対して本願発明者等は、有限要素法による電磁界シミュレーションを用いて電極間容量Cxyを計算したところ、図9に示すような第1誘電体層に対する依存性を得た(表1に計算に用いた構造データを示す)。我々の計算よればCxyはd≧100umで飽和することが示され、比誘電率の低く設定しているにも関わらず、特許文献1の(数4)より膜を厚くする必要があることが分かった。


図9によれば20%容量を低減するには、第1誘電体層の厚さは50um程度にする必要がある。これを一般化すると、第1の誘電体層の比誘電率が4以下であり、前面基板の比誘電率をεsub、第1の誘電体層の膜厚t1[um]と比誘電率ε1とした場合、膜厚t1が、
t1≧100×ε1/εsub [um] (数1)
で表される。
後述する実施例2では、εsub=6.5、ε1=3なので、t1≧46umとなる。
特許文献1との差異については、素子構造、材料の違い、特に第1誘電体層、リブ材等として所謂有鉛ガラス材を用いるのに対して、本願が無鉛ガラス材を使い相対的に誘電率が低い系からなることに起因している。最近のPDPパネルは、部材の無鉛化がなされているので、特許文献1の対応では効果が不十分になっていると言える。
一方特許文献4では、第1及び第2誘電体層に使われている材料はすべて無鉛材料で、かつ比誘電率は概ね7ある。膜厚に関しては第1、第2誘電体それぞれについて、10um以上50um以下、20um以上と規定している。これによる全面白色点灯時の消費電力低減効果は、11%から34%であることが述べられている。これについても本願発明者が検討したところでは、前述した特許文献1に対する問題点に加えて、第2誘電体の誘電率と膜厚設定が適切ではないと考える。
例えば仮に従来第2誘電体層の比誘電率が8、膜厚が20umであるとして、新たに比誘電率3の有機ポリシラザンを適用する場合、膜厚を20um以上にするということは前述のCIFが半分以下になることを意味する。CIFは放電の総電荷量を決める要因なので、このままでは放電による単発輝度が半減することになる。この状態でパネルの表示輝度を一定に保つには、周波数f、もしくはVsを上げる必要があるが、これは本来目的とする消費電力を下げることと相反している。
我々の考察によれば、CIFを一定に保つよう、比誘電率に従って膜厚を薄くすべきと考える。すなわち第2の誘電体層の比誘電率が4以下であり、第2の誘電体層の膜厚t2[um]、比誘電率ε2とした場合、膜厚t2が、
60/ε2≧t2≧30/ε2 [um] (数2)
を満足するようにすべきである。
後述する実施例1によれば、ε2=3に対してt2=10umに設定することで、維持放電開始電圧が約20V低下することが述べられている。
本発明では、パネル部材が既に無鉛化されている場合を前提とし、部材の低誘電率化により維持放電電力、ひいてはパネルの消費電力を低減する有効な手法を開示する。
本書において開示される発明のうち、代表的なものの概要を説明すれば、下記の通りである。
前面基板と、バス電極と、前面基板に形成されバス電極の短手方向に併設されて表示ラインを形成する維持放電電極対と、背面基板と、背面基板に形成され維持放電電極対に対向し、バス電極の短手方向に延びるアドレス電極を備え、かつ複数個の放電セルとの間を区画する隔壁を備えており、
前記前面板とバス電極の間に比誘電率が前面板よりも小さい第1の誘電体層が形成されており、又は/かつ、前記前面板には放電空間に面する保護膜があり、かつバス電極と保護膜との間に比誘電率が前面板よりも小さい第2の誘電体層が形成されていること。
第1の誘電体層の比誘電率が4以下であり、前面基板の比誘電率をεsub、第1の誘電体層の膜厚t1[um]と比誘電率ε1とした場合、膜厚t1が、
t1≧100×ε1/εsub [um] (数1)
を満足すること。
第2の誘電体層の比誘電率が4以下であり、第2の誘電体層の膜厚t2[um]、比誘電率ε2とした場合、膜厚t2が、
60/ε2≧t2≧30/ε2 [um] (数2)
を満足するすること。
(1)第1誘電体層の比誘電率を4以下、膜厚として数1を満たすように設定すれば、XY電極間容量Cxyは従来比で20%以上低減する。
(2)また第2誘電体層の比誘電率を4以下、膜厚として数2を満たすように設定すれば、電極間容量CIFはほとんど変化しない。これに対して放電空間における電界強度分布は、図5に示すごとくXY電極間の放電空間領域で電界強度が増すので、維持放電電圧を低減することが可能になる。
(3)後述する実施例2に示すごとく、上記(1)と(2)を併用することで、XY電極間容量Cxyと、維持放電電圧の低減により、維持放電電力を半分以下に削減することができる。
一般的なAC面内放電方式PDP構造の一部を示す分解斜視図である。 一般的なAC面内放電方式PDP構造の一部を示す分解斜視図である。 図2に示すプラズマ10中にある荷電粒子の動きを模式的に示した図である。 維持放電におけるPDPパネルの等価回路図である。 実施例1素子のV−V‘で示した断面内における電界強度分布である。 本発明の一実施例によるPDPの構造の一部を示す平面図である。 図5に示すプラズマパネルのV−V‘断面図である。 電磁界シミュレーションに用いた素子モデルである。 実施例2における、第1誘電体層の厚さとXY電極間容量の関係である。 実施例2における低誘電率化に伴うXY電極間容量の低減効果を示す図である。 PDPを用いた画像表示システムを示した図である。
以下、本発明の実施例を詳細に説明する。なお、実施例を説明する全図において、同一機能を有するものは同一符号を付け、その繰り返しの説明は省略する。
図6は本発明に関わる実施形態の一例を示すものであり、セル構造の平面図である。また、図6のV-V’断面構造を図7に示す。検討に用いたPDPは、50型HD(1240×1080画素)であり、セルのピッチは縦580μm、横288μmである。
前面基板21には、Xバス電極24-1、Yバス電極25-1を形成し、バス電極の短手方向に併設して表示ラインを形成するX電極22-1、Y電極23-1の維持放電電極対が配置してあり、逆スリット側にはYバス電極25-1が形成されている。また電極を覆うように誘電体層26が形成され、誘電体層を覆うように酸化マグネシウムを主成分とする保護層27が形成されている。
背面基板にはアドレス電極35が形成され、アドレス電極を覆うように誘電体層30が形成されており、隔壁31により画素形成のための放電セルに分割されている。それぞれの放電セルは一対の維持放電セル61とプライミング放電セル62を有し、その間に所定の隙間60を設けてある。
隙間60の形成方法について述べる。本実施例においては隔壁形成にサンドブラストを用いた。特にサンドブラストにこだわるものではなく、感光性材料を用いた隔壁やモールド法を用いた隔壁でも形成可能である。
以下製造方法の概略を述べる。あらかじめ使用する部材は、すべて無鉛材であることを断っておく。
前面板であるが、ガラス基板21はPDP用の高歪点ガラスを用いた。ガラス基板21上にITO(透明電極)を反応性スパッタで成膜し、ホトリソグラフィとウェットエッチングで、X,Yの電極パターンを形成する。続いてCr, Cu, Crの順でDCスパッタ装置を用いて金属膜を積層する。同様にホトリソグラフィとウェットエッチングでX,Yのバス配線パターンを形成する。次に誘電体ペーストをコーティングし、焼成により誘電体26を形成する。通常誘電体ペーストにはB-Zn系ガラスペーストを使用するが、ここでは有機ポリシラザンを用いる。前者の比誘電率は8、膜厚は20umである。有機ポリシラザンの比誘電率としては3になるような組成を使い、CIFがほぼ同じになるよう膜厚を10umに設定する。有機ポリシラザン膜は、溶液状態でスリットコーターを使って基板に塗布し、大気中400℃の焼成により形成した。
比誘電率の低い誘電体材料としてはSiO2系のシリカ膜が一般的である。成膜法としては、スパッタ、プラズマCVD、無機ポリシラザンの塗膜は緻密で高耐圧な膜が得られるが、数〜数10um厚のバス電極のような高段差配線上に適用するには被覆性が不十分である。一方ゾル-ゲル膜を塗膜・焼成する手法は容易に厚膜が得られるメリットがあるが、膜質はポーラスで十分な耐電圧が確保できない。
また、前面板の素材として、いわゆる高歪点ガラスではないソーダライムガラスを用い、前面板の製造プロセス中における最高焼成温度が450℃以下となるようにしてもよい。
続いて電子線蒸着装置を用いて保護層27としてMgOを0.8um形成した。
背面板も、基板はPDPガラス、アドレス線35としてCr/Cu/Crを配線に加工する。誘電体30として誘電体ペーストをコーティングし焼成する。リブ形成については既に述べた。続けて蛍光体を印刷・仮焼成(乾燥)する。
前面板と背面板はフリットシールで封着し、高温で排気を行った後、放電ガスとしてXe12%-Ne混合ガスを500Torrで封印する。出来上がったパネルは、X,Y,アドレスの各配線端子にFPCをACF圧着してパネルが完成する。
このようにして完成したパネルを使い、放電特性を評価した。駆動波形は、パルス幅4usec、繰り返し周波数は1kHzである。従来誘電体層を用いたパネルの維持放電電圧は230Vであったのに対し、有機ポリシラザンを用いたパネルでは維持放電電圧が209Vに低減した。数3から維持電圧低減による無効電力の改善効果は、約18%であり実測結果と一致した。
ここでは、前面版とバス電極との間に、前面基板よりも比誘電率の小さい第1誘電層を加えた事例を開示する。
高歪点ガラスからなる前面基板の比誘電率は6.5である。あらかじめ有限要素法による電磁界シミュレーターで静電容量の低減効果を見積もった。素子構造は実施例1に倣い、前面基板上に厚さを変えた有機ポリシラザン層(比誘電率3)を第1誘電体層とした。計算に用いた素子構造及び構造データを図8と表1に示す。バイアス条件は、アドレスとX電極はGND、Y電極に100Vを印加して、GNDとの間の静電容量を算出した。結果を図9に示す。
電極間容量Cxyは、ポリシラザン層の膜厚が増すのに反比例して減少する。ただし特許文献1にあるようなt≒0.1/εよりも厚いところで飽和する傾向を示した。膜と基板との熱膨張係数差がある場合、積層限界が存在するので、むやみに膜を厚くすることはできない。有機ポリシラザンの積層限界は100um以上なので、適用に当たっては目標膜厚を50umに設定した。このときの低減効果は約20%と見積もられた。以上の条件で実施例1同様にパネルを試作し、電極間容量Cxyを評価した結果を図10に示す。図中には比較のため、従来と実施例1を適用したパネルのデータも併記する。実施例1(第2の誘電体層)により12%減、実施例2(第1の誘電体層)の適用によりさらに34%減(従来比合計46%減)という効果が得られた。
以上により無効電力としては従来と比較して、約55%減と半分以下にすることができた。
ここでは実施例2において、隔壁材を低誘電率化した場合の効果を開示する。
隔壁材の誘電率が、電極間容量Cxyに関係するというのは一見奇異に考えられる。しかし前述の図5をみると、高電界領域はXYギャップだけでなく、隔壁材を介したX電極とアドレス電極間にも存在することが判る。従って隔壁材を低誘電率化することは効果があると考えた。隔壁を形成する材料の比誘電率は4以下となるように設定する。実験では、隔壁材に誘電率3の有機ポリシラザンを使い、これをペースト化して印刷により隔壁を形成した。隔壁材に有機ポリシラザンを適用すると、電極間容量Cxyは実施例2に比べてさらに10%低減し、従来比56%減まで低容量化を図ることができた。
ここでは実施例3に加えて、背面基板に対して、前面基板における第1と第2誘電体層に相当する、比誘電率が背面基板よりも小さい第3と第4の誘電体層を設けた例を開示する。
まず実施例1に倣い背面基板上に比誘電率3の有機ポリシラザン膜を第3誘電体層として50um形成する。続いてアドレス電極を形成したのち、実施例2に倣い比誘電率3の有機ポリシラザン膜を第4誘電体層として10um形成する。
こうして得られたパネルの電極間容量Cxyを測定したところ、実施例3と同じ容量値が得られた。背面基板の低誘電率化は、電極間容量Cxyを減らす効果はないことが分かった。しかしながら、アドレス電極線の奇数番と偶数番を分けて取り出し、奇遇間の容量を測定したところ、実施例3に比べて30%容量が低減した。
アドレス電極間容量の充放電電力が、全消費電力に占める割合は10%に満たない。上記30%の低減効果が全消費電力に与える影響はわずかと言わざるを得ない。しかしアドレス電極を駆動するADM(アドレスドライバーモジュール)チップにとって、低容量化はチップの発熱量低減を意味し、その分放熱設計が軽減(具体的には、放熱用のフィンが小型になる)するのでコスト低減効果が期待できる。
これまでのところ無効電力の低減という観点で、低誘電率化のメリットを開示した。この他にも製造上の観点からも大きなメリットがあることを指摘しておく。
上述の有機ポリシラザンの適用により、プロセス温度の低温化が可能になる。従来B-Zn-Si系ガラスペーストでは、焼成温度600℃以上が必要であったのに対して、有機ポリシラザンでは400℃程度の焼成で十分である。この低温化により、製造インデックスの改善(熱処理時間短縮)、製造装置・治具の耐熱性軽減(コスト減)、環境負荷低減(排熱)等が可能になり生産性向上にも大いに役立つことが分かった。
尚、ここでは第3,4の誘電体の両方を設けた例を示しているが、単独で用いてもそれぞれ効果を奏する。
図11は、以上説明した本発明の実施の形態で示したPDP100を用いたプラズマディスプレイ装置102およびこれに映像源103を接続した画像表示システムを示す一例である。駆動電源(駆動回路とも呼ぶ)101は、映像源からの表示画面の信号を受取り、これをPDPの駆動信号に変換してPDPを駆動する。
プラズマディスプレイパネル及びそれを備えた画像表示装置に用いられる。
3…負の電荷を持った粒子(例えば電子),4…正の電荷を持った粒子(例えば正イオン),5…正壁電荷,6…負壁電荷,10…プラズマ,21…前面ガラス基板,22-1,22-2…X電極,23-1,23-2…Y電極,24-1,24-2…Xバス電極,25-1,25-2…Yバス電極,26…誘電体層,27…保護膜,28…背面ガラス基板,29…A電極,30…誘電体層,31…隔壁(リブ),32…蛍光体,33…放電空間,35…アドレス電極,
40…第1誘電体層,50…第2誘電体層
60…隙間,61…維持放電セル,62…逆スリット,100…プラズマディスプレイパネルまたはPDP,101…駆動回路,102…プラズマディスプレイ装置(画像表示装置),103…映像源,104…画像表示システム

Claims (11)

  1. 前面基板と、バス電極と、前記前面基板に形成され前記バス電極の短手方向に併設されて表示ラインを形成する維持放電電極対と、背面基板と、前記背面基板に形成され維持放電電極対に対向し、バス電極の短手方向に延びるアドレス電極と、複数個の放電セルとの間を区画する隔壁とを備え、
    前記前面板と前記バス電極との間に、比誘電率が前記前面板よりも小さい第1の誘電体層を有することを特徴とする有鉛材を含まないプラズマディスプレイパネル。
  2. 前面基板と、バス電極と、前記前面基板に形成され前記バス電極の短手方向に併設されて表示ラインを形成する維持放電電極対と、背面基板と、前記背面基板に形成され維持放電電極対に対向し、バス電極の短手方向に延びるアドレス電極と、複数個の放電セルとの間を区画する隔壁を備え、
    前記前面板には放電空間に面する保護膜を有し、前記バス電極と前記保護膜との間に比誘電率が前面板よりも小さい第2の誘電体層を有することを特徴とする有鉛材を含まないプラズマディスプレイパネル。
  3. 請求項1に記載のプラズマディスプレイパネルおいて、前記第1の誘電体層の比誘電率が4以下であり、前記前面基板の比誘電率をεsub、前記第1の誘電体層の膜厚t1[um]と比誘電率ε1とした場合、膜厚t1が、
    t1≧100×ε/εsub [um] (数1)
    を満たすことを特徴とするプラズマディスプレイパネル。
  4. 請求項2に記載のプラズマディスプレイパネルおいて、前記第2の誘電体層の比誘電率ε2が4以下であり、前記第2の誘電体層の膜厚t2[um]、膜厚t2が、
    60/ε≧t≧30/ε2 [um] (数2)
    を満たすことを特徴とするプラズマディスプレイパネル。
  5. 前面基板と、バス電極と、前記前面基板に形成されバス電極の短手方向に併設されて表示ラインを形成する維持放電電極対と、背面基板と、前記背面基板に形成され維持放電電極対に対向し、バス電極の短手方向に延びるアドレス電極と、複数個の放電セルとの間を区画する隔壁を備え、
    前記前面板と前記バス電極の間に比誘電率が前記前面板よりも小さい第1の誘電体層を有し、
    前記前面板には放電空間に面する保護膜があり、前記バス電極と前記保護膜との間に比誘電率が前記前面板よりも小さい第2の誘電体層を有することを特徴とする有鉛材を含まないプラズマディスプレイパネル。
  6. 請求項5に記載のプラズマディスプレイパネルにおいて、前記第1の誘電体層の比誘電率が4以下であり、前記前面基板の比誘電率をεsub、前記第1の誘電体層の膜厚t1[um]と比誘電率ε1とした場合、膜厚t1が、
    ≧100×ε/εsub [um] (数1)
    を満たし、かつ、
    前記第2の誘電体層の比誘電率が4以下であり、第2の誘電体層の膜厚t2[um]、比誘電率εとした場合、膜厚t2が、
    60/ε≧t≧30/ε2 [um] (数2)
    を満たすことを特徴とするプラズマディスプレイ。
  7. 請求項1乃至6に記載のプラズマディスプレイパネルにおいて、前記第1、第2の誘電体層の少なくとも一方が、有機ポリシラザンを主成分とする高分子層からなることを特徴とするプラズマディスプレイ。
  8. 請求項7に記載のプラズマディスプレイパネルにおいて、前記前面板の素材がソーダライムガラスからなり、前記前面板の製造プロセス中における最高焼成温度が450℃以下であることを特徴とするプラズマディスプレイパネル。
  9. 請求項1乃至6に記載のプラズマディスプレイパネルにおいて、隔壁を形成する材料の比誘電率は、4以下であることを特徴とするプラズマディスプレイパネル。
  10. 請求項1乃至6に記載のプラズマディスプレイパネルにおいて、前記背面基板と前記アドレス電極との間に比誘電率が背面版よりも小さい第3の誘電体層が形成されていることを特徴とするプラズマディスプレイパネル。
  11. 請求項1乃至6に記載のプラズマディスプレイパネルにおいて、前記アドレス電極に接し、比誘電率が背面版よりも小さい第4の誘電体層が形成されていることを特徴とするプラズマディスプレイパネル。
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