JP2010170797A - 燃料電池用電極触媒層の製造方法 - Google Patents

燃料電池用電極触媒層の製造方法 Download PDF

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Abstract

【課題】本発明は、導電性担体粒子に担持された白金−遷移金属の合金触媒と高分子電解質とを十分に接触させることにより触媒効率を高めた、合金触媒を含む燃料電池用電極触媒層の簡便な製造方法を提供することを目的とする。
【解決手段】溶媒中に合金触媒担持粒子と高分子電解質とを含む混合物に、アンモニア水を添加し、超音波照射等の手段により分散させた触媒インクを用いることにより、プロトン伝導抵抗が小さい燃料電池用電極触媒層を簡便に作成することができる。本発明はまたこの方法により製造された電極触媒層を含有する膜電極接合体および燃料電池を提供する。
【選択図】図2

Description

本発明は、白金合金触媒が担持された、高活性の燃料電池用電極触媒層の製造方法、並びに該触媒層を備えた膜電極接合体および燃料電池に関する。
燃料電池は、水素および酸素を電気化学的に反応させて電力を得るため、発電に伴って生じる生成物は原理的に水のみである。それ故、地球環境への負荷がほとんどないクリーンな発電システムとして注目されている。
燃料電池は、電解質の種類によって、固体高分子型(PEFC)、リン酸型(PAFC)、溶融炭酸塩型(MCFC)、固体酸化物型(SOFC)のように分類される。
固体高分子型燃料電池は、プロトン伝導性のイオン交換性固体高分子膜を電解質として使用する。具体的には、触媒層およびガス拡散層からなる一対の電極により固体高分子電解質膜を挟み込むように該電極を設け、一方の電極(燃料極:アノード)側に水素を含む燃料ガスを、もう一方の電極(空気極:カソード)側に酸素を含む酸化剤を供給し、起電力を得る。
ここで、アノード側では下記の(1)式に示す酸化反応が、カソード側では下記の(2)式に示す還元反応が進行し、全体として(3)式に示す反応が進行して外部回路に起電力を供給する。
H2→2H++2e- (1)
(1/2)O2+2H++2e-→H2O (2)
H2+(1/2)O2→H2O (3)
固体高分子型燃料電池は、(1)高いイオン伝導性を有する高分子電解質膜が開発されたこと、(2)高分子電解質膜と同種または異種のイオン交換樹脂(高分子電解質)で被覆した触媒担持カーボンを電極触媒層の構成材料として使用し、いわゆる触媒層内の反応サイトの3次元化が図られるようになったこと等によって、電池特性が飛躍的に向上した。このような高い電池特性に加えて、固体高分子型燃料電池は、作動温度が常温から100℃までの範囲であることから迅速な起動が可能であり、かつ出力密度が高いことから小型軽量化が容易であるという特徴を具備する。これらの特徴から、固体高分子型燃料電池は、電気自動車の動力電源および小型コージェネレーションシステムのような定置型システムの電源としての実用化が期待されている。
固体高分子型燃料電池は、高分子電解質膜と、該膜の両面にそれぞれ配置された触媒層とからなる膜電極接合体(以下「MEA」(Membrane Electrode Assembly)と称することがある)と、MEAを挟持する一対のセパレータと、必要に応じてMEAとセパレータとの間に配置される一対のガス拡散層とを備える単セルにより構成される。
触媒層としては、白金が担持された導電性担体粒子(カーボン粒子等)と高分子電解質を主成分とする層が使用される。さらに電池性能を向上させること等を目的として、白金とコバルト等の遷移金属との合金を触媒金属として使用する技術が開発されている(例えば特許文献1〜3)。
一方、特許文献4には、触媒層中における触媒金属担持炭素粒子と高分子電解質との接触を改善することを目的として、炭素粒子が二次的に絡み合って形成するアグロメレート構造に着目し、高分子電解質の分子量を調節して高分子電解質をアグロメレート構造の細孔内に配置させた触媒層を備えた燃料電池が開示されている。また特許文献5には、主鎖の長さを規定し小粒子化した高分子電解質を炭素粒子のアグロメレート細孔内部に入り込ませ、放電性能を向上する技術が開示されている。
特許文献6には、(a)触媒金属を担持した炭素粒子を乾燥雰囲気中に流動させる工程と、(b)流動している前記粒子に、水素イオン伝導性高分子電解質を含む液Aおよび触媒金属の原料を含む液Bを、順不同もしくは同時に噴霧することにより、前記粒子に前記触媒金属の原料と前記水素イオン伝導性高分子電解質とを付着させる工程と、を有することを特徴とする燃料電池用触媒粉末の製造方法が開示されている。そして工程(B)において、触媒金属原料と高分子電解質との付着により凝集した複次粒子をNH等の還元性ガスにより還元することが記載されている。
特許文献7には、膜電極接合体の全体における水分管理を行うことを目的として、親水性基(-NH3 +基等のイオン交換基等)を、厚み方向に濃度勾配をもって存在させた膜電極接合体を用いた燃料電池が開示されている。
特開2001−68120号公報 特開2006−179427号公報 特開2008−27685号公報 特開2002−25560号公報 特開2002−63912号公報 特開2004−139789号公報 特開2007−200855号公報
燃料電池の電極触媒層における高分子電解質はプロトンの伝導パス(伝導経路)として機能すると考えられる。そして担体上の触媒金属が高分子電解質に十分に接触していない場合には、プロトン伝導抵抗が大きくなり、触媒の反応効率が悪化する。本発明者らの検討によれば、この問題は、白金と遷移金属との合金触媒を用いた場合に顕著である。
触媒金属と高分子電解質との接触を促進させるための手段として、特許文献4および5には高分子電解質の大きさを制御する技術が開示されている。これらの方法は、高分子電解質を調節する必要があるためコスト面で不利であり、かつ、利用できる高分子電解質が制限されるという問題があった。
また特許文献6には、触媒金属担持炭素粒子の表面を被覆する高分子電解質の被膜を薄く、かつ均一にすることを目的として、触媒金属担持炭素粒子を乾燥雰囲気中で流動させつつ高分子電解質含有液を噴霧する技術が開示されている。この方法は工程が複雑であり、かつ、特殊な装置を用いる必要があった。
そこで本発明は、導電性担体粒子に担持された白金−遷移金属の合金触媒と高分子電解質とを十分に接触させることにより触媒の反応効率を高めた、合金触媒を含む燃料電池用電極触媒層の簡便な製造方法を提供することを目的とする。
本発明者らは鋭意研究の結果、溶媒中に合金触媒担持粒子と高分子電解質とを含む混合物に、アンモニア水を添加し、超音波照射等の手段により分散させた触媒インクを用いて製造された燃料電池用電極触媒層がプロトン伝導抵抗が小さく、有効な触媒量が多いことを見出し、本発明を完成するに至った。本発明は以下の発明を包含する。
(1)溶媒中に、導電性担体粒子および該粒子に担持された白金と少なくとも1種の遷移金属との合金触媒を含む触媒担持粒子と、高分子電解質と、アンモニアまたはカチオンとを混合し、得られた混合物中で前記触媒担持粒子を分散させて触媒インクを形成する触媒インク形成工程と、
前記触媒インクからなる塗膜を形成する塗膜形成工程と、
前記塗膜を乾燥させて、前記触媒担持粒子と前記高分子電解質とを含む電極触媒層を形成する電極触媒層形成工程とを含む
燃料電池用電極触媒層の製造方法。
(2)前記混合物が、溶媒中に、前記触媒担持粒子と、高分子電解質と、アンモニアとを含む混合物である、(1)の方法。
(3)前記溶媒が水である、(1)または(2)の方法。
(4)前記混合物に、アルコールおよび/または増粘剤を添加することをさらに含む、(1)〜(3)のいずれかの方法。
(5)触媒インク形成工程が、前記混合物に超音波を照射することを含む、(1)〜(4)のいずれかの方法。
(6)電解質膜と、該電解質膜の一方の面上に配置されたアノード触媒層と、該電解質膜の他方の面上に配置されたカソード触媒層とを含み、前記アノード触媒層およびカソード触媒層のうち少なくともカソード触媒層が、(1)〜(5)のいずれかの方法により製造される燃料電池用電極触媒層であることを特徴とする、燃料電池用膜電極接合体。
(7)(6)の燃料電池用膜電極接合体を備えることを特徴とする燃料電池。
本発明によれば、プロトン伝導抵抗が低減された燃料電池用電極触媒層の簡便な製造方法が提供される。
本発明における触媒インク形成工程を模式的に示す。 (a)本発明の方法により製造される燃料電池用電極触媒層の構造を模式的に示す。(b)従来の方法により製造される燃料電池用電極触媒層の構造を模式的に示す。 低加湿IV特性についての、実施例1〜3および比較例を示す。 白金有効量についての、実施例1〜3および比較例の比較結果を示す。 低加湿IV特性についての、参考例1〜3および参考比較例1の比較結果を示す。
本発明に用いられる触媒担持粒子は、導電性担体粒子と、該導電性担体粒子に担持された合金触媒とを含む。
導電性担体粒子としては、燃料電池用電極触媒を担持させる用途で使用される粒子であればいずれも使用することができる。例えば、カーボンブラック(例えばKetjen EC)、活性炭等の多孔質炭素粒子が例示できる。
合金触媒としては、白金と少なくとも1種の遷移金属との合金触媒であれば特に限定されない。少なくとも1種の遷移金属としては、コバルト(Co)、ニッケル(Ni)、鉄(Fe)、およびセリウム(Ce)からなる群から選択される少なくとも1種が挙げられ、コバルトが特に好ましい。白金と遷移金属との比は、モル比で3:1〜15:1であることが好ましく、3:1〜7:1であることがさらに好ましい。
触媒担持粒子を構成する合金触媒と導電性担体粒子との比は、重量比で1:9〜7:3であることが好ましく、3:7〜6:4であることがさらに好ましい。
高分子電解質としては、プロトンを伝導するポリマー(プロトン伝導性ポリマー)であればいずれも使用することができる。高分子電解質の具体例としては、含フッ素高分子を骨格として少なくともスルホン酸基、ホスホン酸基、及びリン酸基のうち一種を有するポリマー(例えば、Nafion等(「Nafion」及び「ナフィオン」は米国デュポン社の登録商標。以下において、単に「Nafion」又は「ナフィオン」ということがある。))のほか、ポリオレフィンのような炭化水素を骨格とするポリマー等を挙げることができる。
触媒インク中の高分子電解質の配合量は、特に限定されないが、触媒担持粒子中の導電性担体粒子に対し20wt%〜150wt%であることが好ましく、50wt%〜100wt%であることがさらに好ましい。
触媒インクの調製に用いる溶媒としては水、エタノールまたは1−プロパノール等の低級アルコール類、およびプロピレングリコールが挙げられる。溶媒の使用量(最終的に調製された触媒インク中に含まれる溶媒の合計量)は特に限定されないが、触媒インク全重量に対して90〜97wt%である。
本発明の特徴は、触媒担持粒子と高分子電解質とを溶媒中に添加した混合物中に、アンモニアまたはカチオン(好ましくはアンモニアまたはアンモニウムイオン、より好ましくはアンモニア)を溶解させ、分散処理を行い、触媒インクとすることにある。
アンモニアはアンモニア水の形態で添加することができる。アンモニア水としては、アンモニアを28重量%含有する濃アンモニア水溶液として市販されているものまたはその希釈液を使用することができる。アンモニアの使用量は、28重量%アンモニア水としての重量で換算して、触媒担持粒子1gに対して0.004〜0.025gであることがより好ましい。
カチオンとしてはアンモニウムイオンが挙げられる。カチオンは、乾燥時に揮発する形態(例えば炭酸アンモニウム、炭酸水素アンモニウム等として)で含有されることが好ましい。
本発明の触媒インク形成工程では、溶媒中に、触媒担持粒子と、高分子電解質と、アンモニアまたはカチオンとを混合し、得られた混合物中で触媒担持粒子を分散させて触媒インクを形成する。
混合物の作成時における、触媒担持粒子と、高分子電解質と、アンモニアまたはカチオンとの添加順序は特に限定されない。例えば、触媒担持粒子に溶媒と高分子電解質とを加えた後にアンモニアまたはカチオン(アンモニアの場合はアンモニア水)を加えて混合することが好ましい。
分散処理を行う前に混合物は、例えば12〜70時間攪拌することにより、十分に混合することが好ましい。
上記混合物にはさらにアルコールおよび/または増粘剤が添加されてもよい。アルコールとしてはエタノール、1−プロパノール、2−プロパノールが挙げられる。増粘剤としてはプロピレングリコールが挙げられる。アルコールおよび/または増粘剤は、溶媒と、触媒担持粒子と、高分子電解質と、アンモニアまたはカチオンとを十分に混合した後に添加されることが好ましい。上記混合物形成時の溶媒として水を用い、混合後にアルコールを更に添加する実施形態では、水:アルコールの比は3:7〜8:2であることが好ましい。なお、後に添加されたアルコールおよび/または増粘剤は触媒インク中で溶媒の一部を構成する。
上記手順により得られた混合物に分散処理を施して触媒担持粒子を分散させる。触媒担持粒子を溶媒中に添加すると、一次粒子が集合した二次粒子の最小単位(ストラクチャー)がさらに凝集した状態となる。分散処理では、ストラクチャー同士の凝集を解消し、溶媒中にストラクチャーが分散した構造を形成することが好ましい。分散された各ストラクチャーの表面に高分子電解質が吸着し、合金触媒と高分子電解質との接触が促進されるものと考えられる。そしてアンモニアまたはカチオンが存在する場合には、合金触媒と高分子電解質との親和性が増し、両者の接触が促進されるものと考えられる。この分散および高分子電解質の吸着の機構を図1に模式的に示す。図1におけるストラクチャー8が溶媒中に均一に分散することにより三次元網目構造が形成される。
分散処理は、混合物への超音波の照射、メデイアによる混合物の分散(ボールミル、ビーズミル)、混合物を高圧で壁に衝突させることによる分散(ジェットミル)等により行うことができる。照射される超音波は20KHz±0.5KHz、600Wであることが好ましく、照射条件は約1分間照射、2分間冷却の操作を例えば15回繰り返し行うことが好ましい。
分散処理により得られた触媒インクの塗膜を形成し、次いで塗膜を乾燥させることにより電極触媒層を形成する。電極触媒層は、ガス拡散層(カーボンクロス等)または高分子電解質膜の表面に触媒インクを塗布して塗膜とし、該塗膜を乾燥させて形成してもよいし、別途用意した基板上に触媒インクを塗布して塗膜とし、該塗膜を乾燥させて触媒層を形成したのち、該触媒層を高分子電解質膜またはガス拡散層に転写することにより形成しても良い。塗布方法としては、アプリケーター、ダイ塗工、スプレー塗布、スクリーン印刷、キャスト法などの定法により行うことができる。塗膜の厚さは特に限定されないが、乾燥後の触媒層の厚さが5〜15μmとなるように調整されることが好ましい。塗膜を乾燥させる方法としては、60〜80℃での加熱乾燥が挙げられる。乾燥処理では、触媒インク中に含まれる溶媒と、アンモニアまたはカチオンとが実質的に揮発されることが好ましい。触媒インクがアンモニアまたは揮発性のカチオンを含むものである場合には、アンモニアまたはカチオンは最終的な触媒層中に残留せず、触媒活性への悪影響がない。
本発明の方法により製造される燃料電池用電極触媒層は、合金触媒を含む触媒担持粒子と高分子電解質と含む触媒インクを用いる従来法により製造される燃料電池用電極触媒層と比較して、プロトン伝導抵抗が小さく、且つ、サイクリックボルタンメトリー測定による白金有効量が高い。
その原因は以下のように推定される。図2(a)に示されるように、本発明の方法により製造される燃料電池用電極触媒層16では、高分子電解質14が触媒担持粒子13の周囲に均一に吸着される。このため電解質膜15と合金触媒11とが高分子電解質を介して連続的に連絡される。この結果、プロトンの伝導パス17が短くなり、円滑なプロトン輸送が可能になるとともに、プロトン伝導抵抗が低減される。一方、図2(b)に示されるように、従来の方法により製造される燃料電池用電極触媒層26では、高分子電解質24の触媒担持粒子23の周囲への吸着が不均一であるため、電解質膜25と合金触媒21との、高分子電解質を介した連絡が不連続になる。この結果、プロトンの伝導パス27が長くなり、円滑なプロトン輸送が困難となり、プロトン伝導抵抗が増大する(図2(b)中、×印はプロトンが伝導されないことを示す)。なお、この機構はあくまで推定機構であり、本発明の範囲がこの推定機構により限定を受けることはない。
本発明はまた、本発明の方法により製造される燃料電池用電極触媒層を備えた燃料電池用膜電極接合体を提供する。膜電極接合体は、高分子電解質膜と、該高分子電解質膜の一方の面上に配置されたアノード触媒層と、該高分子電解質膜の他方の面上に配置されたカソード触媒層とを含む。膜電極接合体が、カソードガス拡散層の一面上にカソード触媒層を形成し、得られたカソード触媒層付きカソードガス拡散層を、カソード触媒層と高分子電解質膜の一方の面とが接するように積層させ、同様の手順によりアノード触媒層付きアノードガス拡散層を、アノード触媒層と高分子電解質膜の他方の面とが接するように積層させることにより製造される場合には、膜電極接合体とは、ガス拡散層が両側に付加されたガス拡散層付き膜電極接合体を指す。膜電極接合体のアノード触媒層およびカソード触媒層のうち少なくともカソード触媒層、好ましくは両方が、本発明の方法により製造される燃料電池用電極触媒層である。
膜電極接合体を構成する高分子電解質膜は、含フッ素高分子を骨格として少なくともスルホン酸基、ホスホン酸基、及びリン酸基のうち一種を有するポリマー(例えば、Nafion等)のほか、ポリオレフィンのような炭化水素を骨格とするポリマー等の高分子電解質により形成される膜であることが好ましい。高分子電解質膜は、触媒層を構成する高分子電解質と同一の化合物により形成される膜であってもよいし、異なる化合物により形成される膜であってもよい。
本発明はまた、上記膜電極接合体を備える燃料電池を提供する。上記膜電極接合体のアノードおよびカソード触媒層の外側には、それぞれ、必要に応じてアノードおよびカソードガス拡散層が積層され、さらにその外側を挟持する一対のセパレータが配置されて本発明の燃料電池を構成する単セルとなる。
実験
手順
(実施例1)
以下の手順でPt(49wt%)/Co(1wt%)/Cを含有する触媒インクを調製し、MEAを作成し、MEAをセルに組み付け、性能評価した。なお、以下の実験において、Pt、Coの比率は、触媒担持粒子全量に対するwt%として示す。
(1)10gの田中貴金属製白金コバルト担持カーボン[Pt(49wt%)/Co(1wt%)/C]を、50gの純水、18gの21wt%電解質溶液(Nafion:商標名)、および28重量%アンモニア水と混合し、17時間攪拌した。アンモニア水は触媒1gに対して4mgとなるように添加した。攪拌は、常温にて、マグネチックスターラーを使用して行った。
(2)17時間攪拌後、40gのエタノールと20gのプロピレングリコールを添加した。添加後、分散処理を行った。
分散処理は超音波ホモゲナイザーを使用し、周波数20KHz±0.5KHz、出力600Wの超音波を約1分間照射し、2分間冷却する操作を15回繰り返し行うことにより行った。
こうして触媒インクを調製した。
(3)触媒インクをテフロン(商標名)樹脂膜にキャスト(膜厚10μm)して、乾燥させ、10cm程度に切り出し、触媒層とした。
(4)触媒層を電解質膜の両面に熱圧着してMEAを作成した。電解質膜としては、特開2008−288193号公報に記載の電解質膜を使用した。熱圧着は温度100〜150℃、圧力2〜6MPaの条件で行った。
(5)MEAをセルに組み付け、性能評価を行なった。
(5−1)低加湿I−V特性
セルを80℃程度に加熱し、湿度が約50%となるように両極のガス温度を調整した。ガスの流量としては、カソードが2000cc/min、アノードが500cc/minとなるように調整し、各電流密度(図3の各ポイント)における電圧を測定した。
(5−2)有効白金量
山梨大学医学工学総合研究部 内田裕之教授『電極触媒活性の評価と解析』(燃料電池研究会電気化学セミナーにおいて報告)記載の評価法を用いて測定した。
(実施例2)
工程(1)において、アンモニア水を触媒1gに対して12mgとなるように添加した点を除いて、実施例1と同様の手順で触媒インクを調製し、性能評価を行った。
(実施例3)
工程(1)において、アンモニア水を触媒1gに対して24mgとなるように添加した点を除いて、実施例1と同様の手順で触媒インクを調製し、性能評価を行った。
(比較例1)
工程(1)において、アンモニア水を添加しない点を除いて、実施例1と同様の手順で触媒インクを調製し、性能評価を行った。
結果
低加湿IV特性についての、実施例1〜3および比較例の比較結果を図3に示す。
白金有効量についての、実施例1〜3および比較例の比較結果を図4に示す。
実施例1、2、3は比較例1と比較して低加湿時の高電流密度域での電圧値が高いことが確認された(図3)。この要因として、アンモニア水を添加することにより、触媒に対する電解質溶液の吸着性が向上したため、触媒インク作成時において触媒表面に電解質溶液が吸着し、発電時において有効に機能する白金の量が増えた事が挙げられる(図4)。また、実施例では電解質溶液が触媒層内で均一に分散しているため局所的な乾燥が抑制され、乾燥によるプロトン抵抗の増加が抑制されていると推測される。
参考実験
参考のために、白金コバルト担持カーボン触媒ではなく、白金担持カーボン触媒の触媒インク作成時にアンモニア水を添加した場合の効果について検討した。
(参考例1)
工程(1)において、白金コバルト担持カーボンではなく、田中貴金属製白金担持カーボン触媒[Pt(49wt%)/C]を用いた点を除いて、実施例1と同様の手順で触媒インクを調製し、性能評価を行った。
(参考例2)
工程(1)において、白金コバルト担持カーボンではなく、田中貴金属製白金担持カーボン触媒[Pt(49wt%)/C]を用いた点を除いて、実施例2と同様の手順で触媒インクを調製し、性能評価を行った。
(参考例3)
工程(1)において、白金コバルト担持カーボンではなく、田中貴金属製白金担持カーボン触媒[Pt(49wt%)/C]を用いた点を除いて、実施例3と同様の手順で触媒インクを調製し、性能評価を行った。
(参考比較例1)
工程(1)において、白金コバルト担持カーボンではなく、田中貴金属製白金担持カーボン触媒[Pt(49wt%)/C]を用いた点を除いて、比較例1と同様の手順で触媒インクを調製し、性能評価を行った。
結果
低加湿IV特性についての、参考例1〜3および参考比較例1の比較結果を図5に示す。
参考例1〜3と参考比較例1とでは低加湿IV特性に関して差異が認められなかった。この結果は、白金担持カーボンは、白金コバルト担持カーボンとは異なり、電解質溶液に対する吸着性が十分に高いために、アンモニア水の添加による吸着性の改善効果が現れないためであると考えられる。
1、11、21・・合金触媒
2、12、22・・導電性担体粒子
3、13、23・・触媒担持粒子
4、14、24・・高分子電解質
5・・溶媒
6・・アンモニアまたはカチオン含有溶液(滴下)
7・・ストラクチャーの凝集物
8・・二次粒子の最小単位(ストラクチャー)
15、25・・電解質膜
16,26・・電極触媒層
17・・プロトン伝導パス

Claims (7)

  1. 溶媒中に、導電性担体粒子および該粒子に担持された白金と少なくとも1種の遷移金属との合金触媒を含む触媒担持粒子と、高分子電解質と、アンモニアまたはカチオンとを混合し、得られた混合物中で前記触媒担持粒子を分散させて触媒インクを形成する触媒インク形成工程と、
    前記触媒インクからなる塗膜を形成する塗膜形成工程と、
    前記塗膜を乾燥させて、前記触媒担持粒子と前記高分子電解質とを含む電極触媒層を形成する電極触媒層形成工程とを含む
    燃料電池用電極触媒層の製造方法。
  2. 前記混合物が、溶媒中に、前記触媒担持粒子と、高分子電解質と、アンモニアとを含む混合物である、請求項1の方法。
  3. 前記溶媒が水である、請求項1または2の方法。
  4. 前記混合物に、アルコールおよび/または増粘剤を添加することをさらに含む、請求項1〜3のいずれかの方法。
  5. 触媒インク形成工程が、前記混合物に超音波を照射することを含む、請求項1〜4のいずれかの方法。
  6. 電解質膜と、該電解質膜の一方の面上に配置されたアノード触媒層と、該電解質膜の他方の面上に配置されたカソード触媒層とを含み、前記アノード触媒層およびカソード触媒層のうち少なくともカソード触媒層が、請求項1〜5のいずれかの方法により製造される燃料電池用電極触媒層であることを特徴とする、燃料電池用膜電極接合体。
  7. 請求項6の燃料電池用膜電極接合体を備えることを特徴とする燃料電池。
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* Cited by examiner, † Cited by third party
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JP2010244700A (ja) * 2009-04-01 2010-10-28 Tokuyama Corp 電極触媒層用イオン伝導性付与剤
JP2016066510A (ja) * 2014-09-25 2016-04-28 本田技研工業株式会社 触媒インク及びその製造方法

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