JP2010170703A - 可動体への給電構造 - Google Patents
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Abstract
【課題】電極同士の電気的接触抵抗や摺動摩擦を低減させ、大電流にも対応でき、十分な給電性やアース性を発揮できるようにする。
【解決手段】外周に多数の弾性接触片7を並列に配置して構成されるローラ状の多点接触電極1と、多点接触電極の外面を回転接触させる長形な固定電極2と、固定電極とは反対側で多点接触電極に接触する可動電極3とを備える給電構造を採用する。可動電極3をカバー5に固定し、カバーに多点接触電極1を回転自在に支持した。多点接触電極1を保持する滑車12を固定電極側のベース10に回転自在に当接させた。カバー5を弾性部材13で固定電極側に付勢した。滑車12と一体にピニオン16を設け、ラック17をベース10に設けた。多点接触電極1と固定電極2と可動電極3,24とを複数並列に配置した。
【選択図】図2
【解決手段】外周に多数の弾性接触片7を並列に配置して構成されるローラ状の多点接触電極1と、多点接触電極の外面を回転接触させる長形な固定電極2と、固定電極とは反対側で多点接触電極に接触する可動電極3とを備える給電構造を採用する。可動電極3をカバー5に固定し、カバーに多点接触電極1を回転自在に支持した。多点接触電極1を保持する滑車12を固定電極側のベース10に回転自在に当接させた。カバー5を弾性部材13で固定電極側に付勢した。滑車12と一体にピニオン16を設け、ラック17をベース10に設けた。多点接触電極1と固定電極2と可動電極3,24とを複数並列に配置した。
【選択図】図2
Description
本発明は、自動車のスライドドア等への給電等のために可動電極と固定電極との間にローラ状の電極を配置した可動体への給電構造に関するものである。
図9は、従来の可動体への給電構造の一形態を示すものである(特許文献1参照)。
この構造は、自動車の車両ボディ(固定体)51からスライドドア(可動体)52に給電を行うべく、車両ボディ51のロア側のガイドレール53の上下の各部分にスライドドア側の金属製の上下の各アーム54,55の先端側のローラ56,58を接触させ、上側のローラ56と同軸(一体)に導電ローラ57を設け、ガイドレール53の上側部分に絶縁板を介して、導電ローラ57を接触させる導電板59を設け、導電板59をバッテリに接続し、両アーム54,55を絶縁板で隔絶し、上側のアーム54を回路でスライドドア側のモータ60の正逆回転用のスイッチに接続し、下側のアーム55をドアインナパネルと回路を経てモータ60のアース端子に接続したものである。
スライドドア52の開閉に伴って両ローラ56,58がガイドレール53に沿って摺動しつつ、車両ボディ側の導電板59から上側の導電ローラ57とアーム54とを経てモータ60に給電が行われ、それと同時にモータ60が下側のアーム55とローラ58を経て車両ボディ51側にアースされる。スライドドア52は車両ボディ51のロア側ガイドレール53以外にセンタ側ガイドレールやアッパ側ガイドレール(図示せず)に沿って開閉案内される。
上記以外の可動体への給電構造(図示せず)として、引用文献2には、ガイドレール内の金属条片を車両ボディ側の電力線通信モジュールに接続し、スライドドア側のガイドローラを金属条片に接触させ、ガイドローラの軸部をスライドドア内の電力線通信モジュールに接続したことが記載され、引用文献3には、スライドドア側のアッパアームに設けたスライダの各接触端子を車両ボディ側のケース内の各バスバーに弾性接触させたことが記載されている。
しかしながら、例えば上記従来の図9の可動体への給電構造にあっては、剛性の各ローラ(電極)57,58が一点接触ないし線接触で導電板(電極)59やガイドレール(電極)53に接触するために、電気的な接触抵抗が大きく、十分な給電性やアース性が得られないという懸念や、大電流に対応できないという懸念があった。また、車両の振動等で各ローラ57,58と導電板59やガイドレール52との間に隙間を生じ、アークを生じたりして、給電性やアース性が低下するという懸念があった。また、各ローラ57,58が導電板59やガイドレール53に摺動しつつ回転するために、ローラ57,58や導電板59やガイドレール53が摩耗しやすく、給電性やアース性が低下するという懸念があった。また、一つのローラ57で一つのモータ(補機)60への給電しか行うことができず、多回路の接続に対応できないという問題があった。
本発明は、上記した点に鑑み、電極同士の一点接触ないし線接触をなくして電気的接触抵抗を低減させ、大電流にも対応できて、十分な給電性やアース性を発揮させることができ、また、振動等によっても電極間に隙間やアーク(火花)を生じることがなく、給電性やアース性を良好に維持することができ、また、電極同士の摺動による摩耗を減少させて、給電性やアース性を良好に維持することができ、それに加えて、多回路の接続に対応することができる可動体への給電構造を提供することを目的とする。
上記目的を達成するために、本発明の請求項1に係る可動体への給電構造は、外周に多数の弾性接触片を並列に配置して構成されるローラ状の多点接触電極と、該多点接触電極の外面を回転接触させる長形な固定電極と、該固定電極とは反対側で該多点接触電極に接触する可動電極とを備えることを特徴とする。
上記構成により、多点接触電極の複数(二〜四枚程度)の弾性接触片が径方向に弾性的に撓んだ状態で同時に点接触で固定電極や可動電極に接触する。これにより、電気的接触抵抗が低減され、且つ大電流を通電可能となり、隙間の発生(アークの発生)が防止される。また、ローラ状の多点接触電極は多数のスリット(各弾性接触片の端部)で固定電極や可動電極との滑りが防止され、スムーズに固定電極や可動電極に回転接触する。各電極は電源側や給電側の各回路に接続される。上記構成は給電以外にアースにも適用可能である。「多数」の弾性接触片とは「多点」接触電極の呼称に対応したものである。
請求項2に係る可動体への給電構造は、請求項1記載の可動体への給電構造において、前記可動電極が前記多点接触電極に接する湾曲面を有することを特徴とする。
上記構成により、多点接触電極の複数の弾性接触片が同時に可動電極の湾曲面に面接触する。可動電極においては固定電極におけるように多点接触電極を径方向に圧縮(撓み)変形させる必要はなく、各弾性接触片が低摩擦でスムーズに湾曲面に摺接する。
請求項3に係る可動体への給電構造は、請求項1又は2記載の可動体への給電構造において、前記可動電極がカバーに固定され、該カバーに前記多点接触電極が回転自在に支持されたことを特徴とする。
上記構成により、カバーと可動電極と多点接触電極とがユニット化され、例えばカバーがスライドドア等の可動体側に固定される。
請求項4に係る可動体への給電構造は、請求項3記載の可動体への給電構造において、前記多点接触電極を保持する滑車が前記固定電極側のベースに回転自在に当接したことを特徴とする。
上記構成により、多点接触電極と滑車が一体化され、滑車がベースに当接することで、多点接触電極の径方向の必要以上の撓み変形が抑止され、固定電極や可動電極に対する接触圧力が最適な一定値に維持される(そうなるように滑車の外径が設定される)。
請求項5に係る可動体への給電構造は、請求項3又は4記載の可動体への給電構造において、前記カバーが弾性部材で前記固定電極側に付勢されたことを特徴とする。
上記構成により、カバーに支持された多点接触電極が弾性部材の付勢力で固定電極に常時押し付けられ、多点接触電極と固定電極との接触圧力が良好に高められると共に、振動等による固定電極からの多点接触電極の浮き上がりが防止される。
請求項6に係る可動体への給電構造は、請求項4又は5記載の可動体への給電構造において、前記滑車と一体にピニオンが設けられ、該ピニオンに歯合するラックが前記固定電極側のベースに設けられたことを特徴とする。
上記構成により、可動電極の移動時にピニオンがラックに沿って回転し、ピニオンと一体に多点接触電極が回転して、強制的に固定電極に滑りなく回転接触する。「一体にピニオンが設けられ」とは、滑車とピニオンとが相互に固定される、あるいは軸部等を介して固定されるの意味である。
請求項7に係る可動体への給電構造は、請求項1記載の可動体への給電構造において、前記可動電極が前記固定電極と同様に長形に形成されたことを特徴とする。
上記構成により、可動電極が固定電極に沿って平行に移動すると同時に、多点接触電極が可動電極と固定電極とに沿って一方向に回転しつつ接触する。可動電極と固定電極とを同じ長さに設定した場合、可動電極は可動電極は固定電極のほぼ二倍の距離を移動する。
請求項8に係る可動体への給電構造は、請求項7記載の可動体への給電構造において、前記多点接触電極を保持する滑車が前記固定電極側のベースに回転自在に当接したことを特徴とする。
上記構成により、多点接触電極と滑車が一体化され、滑車がベースに当接することで、多点接触電極の径方向の必要以上の撓み変形が抑止され、固定電極や可動電極に対する接触圧力が最適な一定値に維持される(そうなるように滑車の外径が設定される)。
請求項9に係る可動体への給電構造は、請求項1〜8の何れかに記載の可動体への給電構造において、前記多点接触電極と前記固定電極と前記可動電極とがそれぞれ複数並列に配置されたことを特徴とする。
上記構成により、回路数に応じて多点接触電極と固定電極と可動電極の数が適宜設定され、多回路の接続に適用可能となる。例えば給電側の多回路に各可動電極が接続され、電源側の多回路に各固定電極が接続される。
請求項1記載の発明によれば、多点接触電極の多数の弾性接触片を複数同時に撓ませて固定電極や可動電極に弾性的に且つ多点で接触させることで、電気的接触抵抗を低減させることができ、且つ大電流を通電することができ、且つ弾性的な接触により車両の振動等で接触隙間の発生を防いでアーク等を防止することができる。また、多数のスリットによって多点接触電極を固定電極や可動電極の表面に滑りなく回転接触させることで、多点接触電極や固定電極や可動電極の摺動摩耗を防止することができる。これらにより、例えば自動車のスライドドアやスライドシート等といった可動体への給電性を高めることができる。また、給電以外にアース用として使用した場合は、確実にアースを行ってアース性を高めることができる。
請求項2記載の発明によれば、多点接触電極の弾性接触片を可動電極の湾曲面に沿って撓み量を変化させずに一層小さな摺動抵抗でスムーズに且つ広い面積で確実に接触させることで、可動電極における摩耗等を一層確実に防止し、給電性やアース性を一層高めることができる。
請求項3記載の発明によれば、カバーによって多点接触電極と可動電極をユニット化して可動体への組付性を向上させることができる。
請求項4記載の発明によれば、多点接触電極と一体の滑車をベースに当接させることで、多点接触電極を固定電極や可動電極に常時一定の良好な接触圧力で接触させることができ、これにより、給電性やアース性を一層高めることができる。
請求項5記載の発明によれば、多点接触電極をカバーと共に弾性部材で固定電極に押し付けることで、多点接触電極と固定電極との接触圧力を良好に確保し、また、振動等による固定電極からの多点接触電極の浮き上がりやそれに伴うアークの発生を防止することができ、これらにより、給電性やアース性を一層高めることができる。
請求項6記載の発明によれば、ラックに沿ってピニオンと一体に多点接触電極を回転させることで、固定電極に対する多点接触電極の滑りを強制的に阻止して、滑りに伴う摩耗を確実に防止することができ、これにより、給電性やアース性を一層高めることができる。
請求項7記載の発明によれば、長形な可動電極を長形な固定電極に沿って移動させることで、多点接触電極を可動電極と固定電極とに沿って滑りなく回転接触させて、給電性やアース性を高めることができる。
請求項8記載の発明によれば、多点接触電極と一体の滑車をベースとカバーに当接させることで、多点接触電極を固定電極と可動電極に常時一定の良好な接触圧力で接触させることができ、これにより、給電性やアース性を一層高めることができる。
請求項9記載の発明によれば、給電側や電源側等の回路数に応じて多点接触電極と固定電極と可動電極の数を設定することで、多回路の接続に容易に対応することができる。
図1〜図3は、本発明に係る可動体への給電構造の一実施形態を示すものである。
図1,図2の如く、この給電構造は、導電金属製のローラ状の多点接触電極1と、多点接触電極1の下部外面に接触する導電金属製の水平な長板状の固定電極2と、多点接触電極1の上部外面に接触する導電金属製の短板状の水平な可動電極3と、多点接触電極1を回動自在に支持する水平な軸部4と、軸部4を受け、且つ可動電極3を固定した絶縁性の門型のカバー5とを少なくとも備えたものである。
多点接触電極1は、一枚の長方形の導電金属板の幅方向両側を除く部分に多数のスリット6を平行に入れて、幅方向両側部分8を環状に丸めることで、多数のスリット6で周方向に分離された多数の細幅の弾性接触片7を並列に環状(略樽状)に配置して構成されたものである。
各弾性接触片7は径方向外向きに円弧状に湾曲し、湾曲状の外面(符号7で代用)を有しており、弾性接触片7の中央の径が最大となって径方向外向きの弾性を有している。多数の弾性接触片7で多点接触電極本体1aが構成されている。弾性接触片7の数は一例として二十以上である。
多点接触電極1の両側部分8は電極本体1aの中央よりも小径で電極本体1aの左右両端の径にほぼ等しく、電極本体1aの両側にリング状(鍔状)に突出し、各弾性接触片7を相互に連結固定している。電極本体1aや両側部分8の長手方向の端部(図示せず)は重ねて溶着等で固定することが好ましい。
図3(図2のA−A断面図)の如く、多点接触電極1は少なくとも二枚の弾性接触片7で、すなわち大きな面積で固定電極2や可動電極3に接している。これは多点接触電極1が径方向の弾性を有しているからに他ならない。弾性接触片7の枚数や接触圧力、径等を調整することで、弾性接触片7を三〜四枚ないしそれ以上の枚数で固定電極2や可動電極3に接触させることが可能である。このように面接触で且つ弾性接触で固定電極2や可動電極3に接触することで、大電流(数十アンペアのレベル)に対応可能となり、給電性が向上する。アース用に使用する場合も良好なアース性が発揮される。
図3の拡大図の如く、可動電極3は多点接触電極1の外径に沿った湾曲面9を有する円弧状の溝ないし凹部(符号9で代用)を有していることが、接触面積を高める上で好ましい。湾曲面9に沿って多点接触電極1が円弧形状を保った状態で複数の弾性接触片7をスムーズに小さな摺動抵抗で接触させる。
例えば車両の振動等で多点接触電極1が弾んだ時でも、多点接触電極1が径方向の弾性を有しているから、可動電極3から離れることなく、常時複数の弾性接触片7でアーク等の発生なく可動電極3に安定に接触している。これは固定電極2においても同様である。
図2の如く、固定電極2は長形の板状のベース10の幅方向中央に設けられ、固定電極2の左右両側でベース10に長形の一対の溝部11が設けられ、多点接触電極1の両側部分8の外側に一対の滑車(円板)12が配設され、各滑車12は内向きのテーパ面12aを有し、テーパ面12aが両側部分8に押接され、滑車12で多点接触電極1が求心保持され、滑車12の下端の外周部が溝部11に回動自在に係合し、滑車12の中心が軸部4で固定され、滑車12と多点接触電極1とが一体に固定されて回動自在となっている。
滑車12は多点接触電極1を固定電極2に沿って案内する作用を行う他に、滑車12の下端の外周面12bをベース10の溝部11の上面に当接させたことで、多点接触電極1の径方向の潰れ(過度の圧縮変形や接触圧力の増加)を防ぐことができる。これにより、給電性やアース性が良好に確保される。溝部11を排除して滑車12の外周面12bをベース10の上面に回転自在に当接させることも可能である。
滑車12を用いない場合は、多点接触電極1の両側部分8の内側に円板(図示せず)を嵌合固定させ、この円板に軸部4を貫通固定させることも可能である。滑車12を多点接触電極1の両側部分8に一体に延長形成することも可能である。
図2の例で、カバー5の上壁14はコイルばね(弾性部材)13で下向きに押圧され、軸部4を介して多点接触電極1がばね13の力で固定電極2に弾性的に押し付けられ、カバー5を介して可動電極3がばね13の力で多点接触電極1に弾性的に押し付けられている。カバー5は絶縁材で形成ないし絶縁処理されていることが好ましい。
ばね13を用いない場合は、例えば、カバー5の垂直な両側壁15を下方に延長して、ベース10の側面に設けた水平溝(図示せず)にフック状にスライド自在に係合させ、カバー内で多点接触電極1を各弾性接触片7の弾性で固定電極2と可動電極3とに押し付けて接触させることも可能である。
図1,図2の例で、各滑車12の外側でカバー5の側壁15との間にピニオン16が一対配置され、各ピニオン16の中心に軸部4が貫通し、ベース10の左右両側の上面に一対のラック17が固定され、各ピニオン16が各ラック17に歯合している。軸部4はラック16と多点接触電極1と滑車12とを固定している。ラック17やピニオン16は一対ではなく一つでもよい。ピニオン16は複数の歯部16aを円周上に有し、ラック17は複数の歯部17aを直線上に有する。
図1の矢印の如くカバー5が前後に移動するに伴って、ピニオン16がラック17に沿って回転し、ラック17と一体に多点接触電極1が回転する。これにより、多点接触電極1が固定電極2の上面に沿って滑りなく回転し、多点接触電極1と固定電極2との摺動摩耗が防止され、給電性やアース性が継続的に良好に維持される。
図2の如く、各滑車12とカバー5の各側壁15との間には絶縁性等のスペーサ18が配置され、滑車12やカバー5やピニオン16やラック17は絶縁樹脂ないし絶縁処理された金属等で形成されることが好ましい。可動電極3から上向きに導出された電線等の回路19は絶縁性のカバー5の上壁14を貫通して例えば給電側に配索される。固定電極2はベース10との間で絶縁されることが好ましい。固定電極2は回路(図示せず)ないし固定電極自体で例えば電源側に接続される。
上記給電構造を例えば自動車のスライドドア(可動体)に適用する場合、多点接触電極1等を収容したカバー5をスライドドアのガイドアーム(図示せず)にばね13を介して固定し、可動電極3側の回路19をスライドドアに配索し、ベース10として車両ボディ(固定体)側の例えばガイドレールを用い、ガイドレールに沿って固定電極2を設け、固定電極2を回路でバッテリ(図示せず)に接続し、例えばガイドアーム側のローラに代えて多点接触電極1を用い、スライドドアの開閉に伴って多点接触電極1を固定電極2に回転接触させる。車両ボディ側のガイドレールはロアレールに限らず、ミドルレールやアッパレール等を用い、ガイドアームもロアアームに限らずミドルアームやアッパアームを用いることが可能である。
スライドドア以外に上記給電構造を例えば自動車のスライドシート(可動体)に適用する場合は、多点接触電極1等を収容したカバー5をスライドシートにばね13を介して固定し、固定電極2を含むベース10を車両フロア(固定体)に配置し、スライドシートの移動に伴って多点接触電極1を固定電極2に回転接触させる。
スライドドアやスライドシート以外の可動体にも、カバー5を多点接触電極1や可動電極3と共に固定し、固定電極2を他の固定体に配設して、固定体から可動体に電源や信号を供給したり、可動体から固定体にアースを行うことが可能である。
上記とは反対に、可動体に長形の上記固定電極2を配設し、固定体にカバー5や多点接触電極1や短い上記可動電極3を配設することも可能である。この場合、固定電極2が可動電極と呼称され、可動電極3が固定電極と呼称される。図1とは給電構造を上下反転させて、上側に固定電極2やベース10を配置し、下側に可動電極3やカバー5を配置することも可能である。
図4は、多回路に対応した給電構造の一実施形態を示すものである。上記実施形態と同様の構成部分には同じ符号を付して詳細な説明を省略する。
この給電構造は、回路数に応じた複数の多点接触電極1を並列に配置し、各多点接触電極1は中間の絶縁板20で相互に絶縁し、各多点接触電極1の上端部を各可動電極3に弾性接触片7で弾性的に接触させ、各多点接触電極1の下端部を各固定電極2に弾性接触片7で弾性的に接触させ、各可動電極3を共通のカバー21に並列に配置し、各固定電極2を共通のベース22に並列に配置したものである。
カバー21とベース22とは絶縁性のもの又は各電極2,3との間に絶縁部材を介在させたものであり、各多点接触電極1は絶縁板20を介して相互に固定され、左右両側の多点接触電極1の外側に各滑車12が配置固定され、各滑車12はカバー21とベース22との各溝部23の内面に当接しつつ各多点接触電極1の潰れ(必要以上の接触圧力の増加)を防いで回転自在に係合している。可動電極3が可動体側の回路に接続され、固定電極2が固定体側の回路に接続される。
本例のカバー21はベース22と同様(対称)に形成されている。カバー21はばね部材13(図2)で下向きに付勢してもよい。各滑車12は中心の軸部4(図2)で支持してもよく、この場合は図2と同様の門型のカバー5を用いる。カバー21とベース22とを垂直な側壁(図示せず)を介してスライド自在に係合させた場合は、ばね部材13は不要である。両側の滑車12で多点接触電極1を保持(固定)させれば、軸部4がなくとも多点接触電極1を回転自在に支持させることができる。軸部4を用いた場合は、中間の絶縁板20の固定を解除して、各多点接触電極1を各々独立して回転自在とすることも可能である。
各多点接触電極1の構成作用は図2の実施形態におけると同様である。カバー21は覆板と呼称してもよい。図4の構造に図1のラック17とピニオン16を用いることも可能である。また、図4の可動電極3に図3の円弧状の湾曲面9を設けることも可能である。
図5〜図7は、長尺な可動部位への接続に適した電極構造例として、可動体への給電構造の他の実施形態を示すものである。上記実施形態と同様の構成部分には同じ符号を付して詳細な説明を省略する。
この給電構造は、多点接触電極1の上側に帯板状の長形な可動電極24を配置し、多点接触電極1の下側に帯板状の長形な固定電極2を可動電極24と平行に配置したものである。本例の可動電極24の長さは固定電極2の長さに等しい。
図5は、一つの多点接触電極1を用いて上側の長形な覆板(カバー)25と下側のベース26との間で覆板側の可動電極24とベース側の固定電極2とに回転接触させた例を示すものである。図6は図5のB−B断面図である。多点接触電極1の作用は図1〜図3の実施形態と同様である。
図5,図6の如く、多点接触電極1の上側の複数(少なくとも二枚以上)の弾性接触片7が可動電極24に接触し、下側の複数(少なくとも二枚以上)の弾性接触片7が固定電極2に接触し、多点接触電極1の左右両側の滑車12が上側の覆板25の溝部27と下側のベース26の溝部27とに回転自在に当接して多点接触電極1の潰れ(必要以上の接触圧力の増加)を防いでいる。各電極2,24と覆板25やベース26との間には絶縁材(図示せず)が介在され、滑車12は絶縁材で形成される。あるいは覆板25とベース26が絶縁材で形成される。
多点接触電極1は滑車12の中心の軸部4で回転自在に支持され、軸部4は覆板25やベース26とは別体の垂直な受け壁(図示せず)で支持される。受け壁を覆板25とベース26とにスライド自在に係合(連結)させることも可能である。両側の滑車12で多点接触電極1を保持(固定)させれば、軸部4がなくとも多点接触電極1を回転自在に支持させることができる。
覆板25又はベース26をばね(弾性部材)13(図2)で多点接触電極1に向けて押圧することも可能である。ばね13に代えてゴムやスポンジ等を用いることも可能である。これら弾性部材を用いなくても、覆板25は長く重いのでその自重で可動電極24を多点接触電極1に押し付け、多点接触電極1を固定電極2に押し付けることができる。また、図1の例と同様に、多点接触電極1の軸部4にピニオン16(図1)を固定し、固定電極2又は固定電極2と可動電極24とに、ピニオン16に歯合するラック17(図1)を設けることも可能である。
図7(a)の如く、長形の固定電極2の左端に多点接触電極1が接して位置し、長形の可動電極24が多点接触電極1の左方に移動し、可動電極24の右端に多点接触電極1が接して位置した状態から、可動電極24を矢印の如く右方に移動させることで、多点接触電極1が矢印の如く時計回りに回転して、図7(b)の如く、固定電極2と可動電極24との各長手方向中央に多点接触電極1が位置し、さらに可動電極24を矢印の如く右方に移動させることで、多点接触電極1がさらに時計回りに回転して、固定電極2の右端に多点接触電極1が位置し、可動電極24の左端に多点接触電極1が位置する。図7(c)〜(a)の順に可動電極24を移動させた場合は上記とは逆の動作となる。
このように、可動電極24の移動に伴って多点接触電極1が回転しながら滑りなく固定電極2に沿って可動電極24の移動方向に移動する。図7の上下の電極2,24を共に可動電極とした場合は、両電極2,24が相反する方向に相対的に移動しつつ、多点接触電極1が回転しながら両電極2,24に接触する。
上記給電構造の適用例として、例えば、固定電極2を設けたベース26を車両ボディ側の水平なガイドレールとした場合に、可動電極24を設けた長い水平な覆板25がスライドドアに設けられ、多点接触電極1は両電極2,24の間で挟まれて位置する。ガイドレールの内向きの湾曲部(図示せず)を除く真直部分に真直な固定電極2を設けることが好ましい。ガイドレールはロア側に限らず、ミドルやアッパ側でもよい。また、固定電極2を車両フロアに水平に配置し、可動電極24をスライドシートに水平に配置し、多点接触電極1を両電極2,24の間に挟んで配置することも可能である。
また、各電極2,24を水平ではなく垂直に(縦置きすなわち電極2,24の幅方向を上下方向とし電極2,24の長手方向を水平方向として)配置し、多点接触電極1の軸部4を水平ではなく垂直に配置することも可能である。例えば、スライドドアのドアパネル面に可動電極24を配置し、車両ボディに固定電極2を配置する。但しスライドドアの全閉時に可動電極24は多点接触電極1から外れて固定電極2とほぼ同一面に移動する(ガイドレールに湾曲部があるため)。
図8は、前記図4の実施形態と同様に、複数の回路に対応して多点接触電極1と固定電極2と可動電極24とを複数並列に配置した実施形態を示すものである。
図4の構造と較べて可動電極24と覆板(カバー)25’との長さが増した点で相違している。その他の構成は図4におけると同様であるので、同じ符号を付して詳細な説明は省略する。
各多点接触電極1は絶縁板20を介して相互に連結又は独立して回転自在となっている。覆板25’とベース26’とには各絶縁板20に対する逃がし溝28が設けられ、各板25’,26’の左右端の溝部27に滑車12が回転自在に接し、滑車12と一体に各多点接触電極1が回転しつつ滑りなく上下の各電極2,24に接する。複数の各電極2,24はそれぞれ別々の回路(図示せず)に接続される。
図8の給電構造の作用は図7におけると同様である。図1の例と同様に、多点接触電極1の軸部4にピニオン16(図1)を固定し、固定電極2又は固定電極2と可動電極24とに、ピニオン16に歯合するラック17(図1)を設けることも可能である。両側の滑車12で多点接触電極1を保持(固定)させれば、軸部4がなくとも多点接触電極1を回転自在に支持させることができる。
本発明に係る可動体への給電構造によって、例えば自動車のスライドドアやスライドシート等といった可動体への給電性を高めることができる。また、給電以外にアース用として使用した場合は、確実にアースを行ってアース性を高めることができる。
1 多点接触電極
2 固定電極
3 可動電極
5 カバー
7 弾性接触片
9 湾曲面
10 ベース
12 滑車
13 ばね(弾性部材)
16 ピニオン
17 ラック
21,25 カバー
22,26 ベース
24 可動電極
2 固定電極
3 可動電極
5 カバー
7 弾性接触片
9 湾曲面
10 ベース
12 滑車
13 ばね(弾性部材)
16 ピニオン
17 ラック
21,25 カバー
22,26 ベース
24 可動電極
Claims (9)
- 外周に多数の弾性接触片を並列に配置して構成されるローラ状の多点接触電極と、該多点接触電極の外面を回転接触させる長形な固定電極と、該固定電極とは反対側で該多点接触電極に接触する可動電極とを備えることを特徴とする可動体への給電構造。
- 前記可動電極が前記多点接触電極に接する湾曲面を有することを特徴とする請求項1記載の可動体への給電構造。
- 前記可動電極がカバーに固定され、該カバーに前記多点接触電極が回転自在に支持されたことを特徴とする請求項1又は2記載の可動体への給電構造。
- 前記多点接触電極を保持する滑車が前記固定電極側のベースに回転自在に当接したことを特徴とする請求項3記載の可動体への給電構造。
- 前記カバーが弾性部材で前記固定電極側に付勢されたことを特徴とする請求項3又は4記載の可動体への給電構造。
- 前記滑車と一体にピニオンが設けられ、該ピニオンに歯合するラックが前記固定電極側のベースに設けられたことを特徴とする請求項4又は5記載の可動体への給電構造。
- 前記可動電極が前記固定電極と同様に長形に形成されたことを特徴とする請求項1記載の可動体への給電構造。
- 前記多点接触電極を保持する滑車が前記固定電極側のベースに回転自在に当接したことを特徴とする請求項7記載の可動体への給電構造。
- 前記多点接触電極と前記固定電極と前記可動電極とがそれぞれ複数並列に配置されたことを特徴とする請求項1〜8の何れかに記載の可動体への給電構造。
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JP2009009580A JP2010170703A (ja) | 2009-01-20 | 2009-01-20 | 可動体への給電構造 |
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Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
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JP2015090856A (ja) * | 2013-11-07 | 2015-05-11 | 富士通株式会社 | 電力供給機構及びラック型装置 |
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2009
- 2009-01-20 JP JP2009009580A patent/JP2010170703A/ja not_active Abandoned
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