JP2010168250A - 構造色発色体およびその製造方法 - Google Patents
構造色発色体およびその製造方法 Download PDFInfo
- Publication number
- JP2010168250A JP2010168250A JP2009012395A JP2009012395A JP2010168250A JP 2010168250 A JP2010168250 A JP 2010168250A JP 2009012395 A JP2009012395 A JP 2009012395A JP 2009012395 A JP2009012395 A JP 2009012395A JP 2010168250 A JP2010168250 A JP 2010168250A
- Authority
- JP
- Japan
- Prior art keywords
- solution
- structural color
- lead
- color developing
- solvent
- Prior art date
- Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
- Granted
Links
Abstract
【解決手段】水酸化鉄(III)コロイドを含む溶液(A)と、ハロゲン化鉛を含む溶液(B)と混合して混合溶液を形成し、次いで該混合溶液から溶媒を除去することにより得られてなる構造色発色体。溶液(A)と溶液(B)の混合比率を変えることにより、青色、緑色、赤色、金色およびその中間色を発色する。
【選択図】なし
Description
この色素色は、色素や顔料などの化学的発色剤を対象物に塗布し乾燥するだけの極めて簡便な操作で化学的に発色させることができるという利点がある一方で、色素や顔料物質を使用するため、近年、リサイクル性や環境保護の観点から問題視されるようになり、さらに紫外線による褪色という本質的に解決できない問題も抱えている。
例えば、ナノテクノロジーの一つである集束イオンビームCVD法によって、モルフォ蝶の翅の鱗粉上の棚構造とほぼ同じ構造を作り、モルフォ蝶独特の翅の構造色をほぼ再現することができるようになった(例えば、非特許文献3参照。)。しかしながら、この方法では高価な装置を使用する必要があるため高コストであり、その製造工程も複雑で量産性に問題がある。
一方、構造色発色体を人工的に形成する他の方法として、シリカのようなμmオーダーの球状粒子を規則的に配列させる方法がある。これらの球状粒子を自然沈降させて堆積させたり、電気泳動などにより、基板上に球状粒子を集積する方法などで形成される構造色発色体の研究が多方面で行われている(例えば、非特許文献5、6)。
しかしながら、構造色発色体として現在、主として使用されているものは、非特許文献5、6等で開示されているシリカなどからなる球状粒子であるが、このシリカ等の球状粒子の自己集合化によって形成されたコロイド結晶薄膜(構造色発色体)は、その基体への固定化に長時間を必要とし、量産性に問題がある。また、単一粒径のシリカ球状粒子は、高価なものが多く、形成されるコロイド結晶薄膜(構造色発色体)は高コストである。
一方で、安価な水酸化鉄(III)コロイドの自己組織化によって形成される構造色発色体は、ゾル状態でのみ安定であり、構造色を呈した状態で、乾燥させてゾル中から取り出すことは極めて困難である。
このように、色素や顔料などの化学的発色剤を対象物に塗布し乾燥するだけの極めて簡便な操作で発色させることができる色素色(化学的発色)に対し、このような簡便な操作で安定した耐久性のある構造発色を可能にする構造色発色体は未だに開発されていないのが実情である。
<1> 水酸化鉄(III)コロイドを含む溶液(A)と、ハロゲン化鉛を含む溶液(B)と混合して混合溶液を形成し、次いで該混合溶液から溶媒を除去することにより得られてなる構造色発色体。
<2> 前記混合溶液に含まれる水酸化鉄(III)とハロゲン化鉛のモル比が、1.0〜25の範囲である請求項1記載の構造色発色体。
<3> 溶液(A)の溶媒が水であり、かつ、溶液(B)の溶媒が、エタノールである前記<1>または<2>に記載の構造色発色体。
<4> 前記混合溶液の溶媒の除去を、温度20〜35℃、かつ、相対湿度40〜80%の条件で溶媒を蒸発させて、乾燥させることで行う前記<3>記載の構造色発色体。
<5> ハロゲン化鉛が、ヨウ化鉛(II)である前記<1>から<4>のいずれかに記載の構造色発色体。
<6> 前記溶液(A)を、予め、孔径または保留粒子径0.2〜5μmのフィルターまたはろ紙でろ過した後に前記溶液(B)と混合する前記<1>から<5>のいずれかに記載の構造色発色体。
<7> 水酸化鉄(III)コロイドを含む溶液(A)と、ハロゲン化鉛を含む溶液(B)と混合して混合溶液を形成する工程と、該混合溶液から溶媒を蒸発させて、乾燥させる工程とを含む構造色発色体の製造方法。
<8> 前記混合溶液の溶媒の除去を、温度20〜35℃、かつ、相対湿度40〜80%の条件で溶媒を蒸発させて、乾燥させることで行う前記<7>記載の構造色発色体の製造方法。
<9> ハロゲン化鉛が、ヨウ化鉛(II)である前記<7>または<8>に記載の構造色発色体の製造方法。
本発明は、水酸化鉄(III)コロイドを含む溶液(A)と、ハロゲン化鉛を含む溶液(B)と混合して形成した混合溶液から、次いで該混合溶液から溶媒を除去することにより得られてなる構造色発色体に係るものである。
このような簡単な操作によって顕著な構造色を発色する構造色発色体を形成できる理由については、現段階では完全に明らかでないが、混合液の溶媒(好適にはアルコールと水の混合溶媒)が徐々に蒸発する過程で、水酸化鉄(III)コロイドが自己組織化して、規則性のある構造体が形成され、その構造体の安定性の向上にハロゲン化鉛が寄与している、と推測される。
なお、構造色発色体が美麗に構造色を発色するためには、前記混合溶液に含まれる水酸化鉄(III)とハロゲン化鉛のモル比が、1.0〜25の範囲であることが好ましく、2.5〜10の範囲であることが特に好ましい。
特に、水酸化鉄(III)コロイドの安定性の観点からは、溶液(A)の溶媒は、水を含むことが好ましく、特には水であることが好ましい。
濃度が1×10-4mol/L未満の場合は、構造色の発色が不明瞭になるという問題があり、逆に2×10-3mol/Lを超える場合には、後述する溶媒除去を行う際に水酸化鉄(III)コロイドの配列が乱れ、構造発色を呈しにくくなるという問題がある。
FeCl3+3H2O → Fe(OH)3+3HCl (1)
なお、孔径が0.2μmのフィルターでろ過した水酸化鉄(III)コロイドゾルからはモルフォ蝶の翅の色に極めてよく似ている美麗な青色構造色を発現させることができる。フィルターとしては、0.2μm Supor Syringe Filters(Pall PharmAssure HP1002, LOT.NO. 21441 2010-07)を好適な具体例として挙げることができる。
ハロゲン化鉛の濃度が1×10-5mol/L未満の場合は、ハロゲン化鉛による水酸化鉄(III)コロイド粒子から安定化効果が小さくなり、2×10-4mol/Lを超える場合には、逆にハロゲン化鉛の存在により、水酸化鉄(III)コロイド粒子の自己組織化が阻害されるため、それぞれ安定した構造色発色体を得ることが困難になる。
なお、溶液(B)には、本発明の目的を損なわない範囲で、ハロゲン化鉛以外の成分を含んでもよい。
なお、上述のように特に薄膜状の構造色発色体を得る観点からは、水酸化鉄(III)の好適な濃度は、Fe原子換算濃度で、5×10-4〜1×10-3mol/Lである。
また、構造色発色体を再現性よく製造することができるため、ヨウ化鉛(II)を再結晶して使用することが好ましい。
溶液(B)の溶媒として使用されるエタノールは、水との相溶性が高く、そのヨウ化鉛(II)の飽和濃度が約8.0×10-5mol/Lであり、薄膜状の構造色発色体の形成に適した希薄なヨウ化鉛(II)溶液を得ることができるため好適である。
溶液(A)と溶液(B)とを混合する方法としては特に制限はなく、混合する温度も特に制限はないが、溶解したハロゲン化鉛が析出しない条件が選択され、通常、20〜40℃である。
なお、溶媒を蒸発除去させる工程において、溶液(A)と溶液(B)以外にも、必要に応じて、それぞれの溶媒であるエタノールや水をさらに添加すると、形成される構造色発色体が呈する色彩を変化させることができる。
基材としては、特に限定はなく、基材表面の性質(親水性あるいは疎水性、凹凸など)に応じて、使用する溶媒を適宜選択することで、ガラスをはじめとした無機系基材、プラスチックをはじめとした有機系基材のいずれにも使用できる。
本発明の構造色発色体は、特にその意匠性の観点からは、透明ガラスや陶磁器へ好適に使用することができ、また、加熱工程を必要としないことから樹脂からなる基材へも好適に使用することができる。
また、基材への塗布方法は特に限定されず、従来公知の塗布方法で行うことができる。すなわち、刷毛塗り塗装、バーコーター塗装、スポンジ塗装、スプレー塗装などが挙げられる。
塩化鉄(III)六水和物(関東化学(株)試薬特級、99.0%)
ヨウ化カリウム(関東化学(株)試薬特級、99.5%)
フッ化カリウム二水和物(関東化学(株)試薬一級、98.0%)
塩化カリウム(関東化学(株)試薬特級、99.5%)
臭化カリウム(関東化学(株)試薬特級、99.0%)
酢酸鉛(II)三水和物(関東化学(株)試薬特級、99.5%)
エタノール(関東化学(株)試薬特級、99.5%)
メタノール(関東化学(株)試薬特級、99.8%)
ビーカーに約1000mLの純水をとり、沸騰させながら新しく作った20重量%塩化鉄(III)水溶液50mLをガラス棒でかき混ぜながら加えて、水酸化鉄(III)コロイドを含む水溶液(以下、溶液(A))を作製した。
得られた溶液(A)の水酸化鉄(III)コロイド水溶液の濃度は8.0×10-4mol/Lであった。
さらに得られた溶液(A)を、以下のろ紙1、ろ紙2、ろ紙3、ろ紙(フィルター)4でろ過して得た溶液をそれぞれ溶液(A1)、溶液(A2)、溶液(A3)、溶液(A4)とした。
ろ紙1: No.2ろ紙(保留粒子径:5μm アドバンテック東洋 定性ろ紙)
ろ紙2: No.131ろ紙(保留粒子径:3μm アドバンテック東洋 定性ろ紙)
ろ紙3: ガラス繊維ろ紙GS−25(保留粒子径:0.6μm アドバンテック東洋 分析ろ紙)
ろ紙(フィルター)4: シリンジフィルター(孔径:0.2μm Pall PharmAssure
HP1002, LOT.NO. 21441 2010-07)
200mLビーカーに純水50mLを入れ、これに酢酸鉛(II)6.0gを加えてガラス棒でよくかき混ぜて溶解させ、酢酸鉛(II)溶液を作製した。
100mLビーカーに純水50mLを入れ、これにヨウ化カリウム6.0gを加えてガラス棒でよくかき混ぜて溶解させ、ヨウ化カリウム溶液を作製した。
このヨウ化カリウム溶液と酢酸鉛(II)溶液とを混合すると生じる黄色沈殿を吸引ろ過装置でろ過し、ろ紙上の粉末を純水で洗浄した。得られた粉末を再結晶により精製を行ってヨウ化鉛(II)を作製した。
得られたヨウ化鉛(II)粉末約2gをエタノール(関東化学(株)試薬特級、99.5%)300mLに入れ、マグネチックスターラーで2日間撹拌し、6時間静置後、ろ紙(アドバンテック東洋 定性ろ紙、No.2)でろ過することで、ヨウ化鉛(II)がエタノール溶媒に飽和溶解した溶液(B1)を得た。
溶液(B1)の色は、淡黄色であり、溶液(B1)の一定量を完全に蒸発させた時の重量変化からヨウ化鉛(II)の溶解量を測定した結果、その濃度が8.0×10-5mol/Lであることが判明した。
ヨウ化カリウム6.0gの代わりにフッ化カリウム2.14gを使用した以外は上記
ヨウ化鉛(II)と同様の操作を行い、フッ化鉛(II)がエタノール溶媒に飽和溶解した溶液(B2)を得た。
溶液(B2)の色は、無色であり、溶液(B2)の一定量を完全に蒸発させた時の重量変化からフッ化鉛(II)の溶解量を測定した結果、その濃度が2.78×10-3mol/Lであることが判明した。
ヨウ化カリウム6.0gの代わりに塩化カリウム2.75gを使用した以外は上記ヨウ化鉛(II)と同様の操作を行い、塩化鉛(II)がエタノール溶媒に飽和溶解した溶液(B3)を得た。
溶液(B3)の色は、無色であり、溶液(B3)の一定量を完全に蒸発させた時の重量変化から塩化鉛(II)の溶解量を測定した結果、その濃度が4.67×10-5mol/Lであることが判明した。
ヨウ化カリウム6.0gの代わりに臭化カリウム4.39gを使用した以外は上記ヨウ化鉛(II)と同様の操作を行い、臭化鉛(II)がエタノール溶媒に飽和溶解した溶液(B4)を得た。
溶液(B4)の色は、無色であり、溶液(B4)の一定量を完全に蒸発させた時の重量変化から臭化鉛(II)の溶解量を測定した結果、その濃度が9.73×10-4mol/Lであることが判明した。
室温28℃、相対湿度55%の環境下で、50mLビーカー(IWAKIガラス(株)製)に溶液(A)をスポイトで1滴(1滴は約0.05mL)滴下し、次にエタノール4滴を滴下して、よく振り混ぜて混合し、ビーカー底面に均一に塗布する。約5分後、最後に、溶液(B1)を4滴加えてよく混合し、約1日間静置することでビーカー底部に実施例1の構造色発色体を形成した。実施例1の構造色発色体は、青色の構造色を呈していた。
溶液(A)の代わりに溶液(A1)を使用した以外は実施例1と同様にして、実施例2の構造色発色体を形成した。実施例2の構造色発色体は、特に美麗な青色の構造色を呈していた(図1)。
溶液(A)の代わりに溶液(A2)を使用した以外は実施例1と同様にして、実施例3の構造色発色体を形成した。実施例3の構造色発色体は、不鮮明ながら青色の構造色を呈していた。
溶液(A)の代わりに溶液(A3)を使用した以外は実施例1と同様にして、実施例4の構造色発色体を形成した。実施例4の構造色発色体は、不鮮明ながら青色の構造色を呈していた。
溶液(A)の代わりに溶液(A4)を使用した以外は実施例1と同様にして、実施例4の構造色発色体を形成した。実施例4の構造色発色体は、モルフォ蝶の翅の色に極めてよく似た高輝度の美麗な青色構造色を呈していた。
室温28℃、相対湿度55%の環境下で、50mLビーカー(IWAKIガラス(株)製)に溶液(A1)をスポイトで3滴(1滴は約0.05mL)滴下し、溶液(B1)を3滴加えてよく混合し、約1日間静置するとビーカー底部に実施例6の構造色発色体を形成した。実施例6の構造色発色体は、美麗な緑色の構造色を呈していた(図2)。
室温28℃、相対湿度55%の環境下で、50mLビーカー(IWAKIガラス(株)製)に溶液(A1)をスポイトで2滴(1滴は約0.05mL)を滴下し、さらにエタノール1滴を滴下して、よく振り混ぜて混合し、最後に、溶液(B1)を3滴加えてよく混合し、約1日間静置するとビーカー底部に実施例7の構造色発色体を形成した。実施例7の構造色発色体は、美麗な赤色の構造色を呈していた(図3)。
エタノールの代わりに同量の水を使用した以外は実施例7と同様にして、実施例8の構造色発色体を形成した。実施例8の構造色発色体は、特に美麗な金色の構造色を呈していた(図4)。
ヨウ化鉛の代わりに同量のフッ化鉛を含む溶液(B2)使用した以外は実施例2と同様にして、実施例9の構造色発色体を形成した。実施例9の構造色発色体は、青色の構造色を呈していた実施例2と比較するとその色彩は鮮明ではなかった。
ヨウ化鉛の代わりに同量のフッ化鉛を含む溶液(B2)使用した以外は実施例6と同様にして、実施例10の構造色発色体を形成した。実施例10の構造色発色体は、緑色の構造色を呈していた実施例6と比較するとその色彩は鮮明ではなかった。
ヨウ化鉛の代わりに同量のフッ化鉛を含む溶液(B2)使用した以外は実施例7と同様にして、実施例11の構造色発色体を形成した。実施例11の構造色発色体は、緑色の構造色を呈していた実施例7と比較するとその色彩は鮮明ではなかった。
ヨウ化鉛の代わりに同量のフッ化鉛を含む溶液(B2)使用した以外は実施例8と同様にして、実施例11の構造色発色体を形成した。実施例11の構造色発色体は、緑色の構造色を呈していた実施例8と比較するとその色彩は鮮明ではなかった。
ヨウ化鉛の代わりに同量の塩化鉛を含む溶液(B3)使用した以外は実施例2と同様にして、実施例9の構造色発色体を形成した。実施例13の構造色発色体は、青色の構造色を呈していた実施例2と比較するとその色彩は鮮明ではなかった。
ヨウ化鉛の代わりに同量の塩化鉛を含む溶液(B3)使用した以外は実施例6と同様にして、実施例14の構造色発色体を形成した。実施例14の構造色発色体は、緑色の構造色を呈していた実施例6と比較するとその色彩は鮮明ではなかった。
ヨウ化鉛の代わりに同量の塩化鉛を含む溶液(B3)使用した以外は実施例7と同様にして、実施例15の構造色発色体を形成した。実施例15の構造色発色体は、緑色の構造色を呈していた実施例7と比較するとその色彩は鮮明ではなかった。
ヨウ化鉛の代わりに同量の塩化鉛を含む溶液(B3)使用した以外は実施例8と同様にして、実施例16の構造色発色体を形成した。実施例16の構造色発色体は、緑色の構造色を呈していた実施例8と比較するとその色彩は鮮明ではなかった。
ヨウ化鉛の代わりに同量の臭化鉛を含む溶液(B4)使用した以外は実施例2と同様にして、実施例17の構造色発色体を形成した。実施例17の構造色発色体は、青色の構造色を呈していた実施例2と比較するとその色彩は鮮明ではなかった。
ヨウ化鉛の代わりに同量の臭化鉛を含む溶液(B4)使用した以外は実施例6と同様にして、実施例18の構造色発色体を形成した。実施例18の構造色発色体は、緑色の構造色を呈していた実施例6と比較するとその色彩は鮮明ではなかった。
ヨウ化鉛の代わりに同量の臭化鉛を含む溶液(B4)使用した以外は実施例7と同様にして、実施例19の構造色発色体を形成した。実施例19の構造色発色体は、緑色の構造色を呈していた実施例7と比較するとその色彩は鮮明ではなかった。
ヨウ化鉛の代わりに同量の臭化鉛を含む溶液(B4)使用した以外は実施例8と同様にして、実施例20の構造色発色体を形成した。実施例20の構造色発色体は、緑色の構造色を呈していた実施例8と比較するとその色彩は鮮明ではなかった。
ハロゲン化鉛の代わりに同量の酢酸鉛を使用した以外は実施例2と同様の工程で構造色発色体の作製を試みたが、ビーカー底部に形成された薄膜は、構造色を呈さなかった。
ハロゲン化鉛の代わりに同量の酢酸鉛を使用した以外は実施例6と同様の工程で構造色発色体の作製を試みたが、ビーカー底部に形成された薄膜は、構造色を呈さなかった。
ハロゲン化鉛の代わりに同量の酢酸鉛を使用した以外は実施例7と同様の工程で構造色発色体の作製を試みたが、ビーカー底部に形成された薄膜は、構造色を呈さなかった。
ハロゲン化鉛の代わりに同量の酢酸鉛を使用した以外は実施例8と同様の工程で構造色発色体の作製を試みたが、ビーカー底部に形成された薄膜は、構造色を呈さなかった。
構造色発色体の作製容器を50mLビーカーから100mLビーカー(IWAKIガラス(株)製)に替えて同様の実験を行った。なお、50mLと100mLビーカーの底面の直径は、それぞれ4.0cmと5.0cmなので、ビーカー底面の面積比は1:1.56である。
薄膜(構造色発色体)の膜厚を50mLビーカーと100mLビーカーとで等しくするため、100mLビーカーの場合は滴下する液量を50mLビーカーの場合の約1.6倍量を使用した以外は実施例2、実施例6、実施例7、実施例8と同様の工程で構造色発色体の作製を試みたところ、それぞれ青、緑、赤、金の美麗な構造色を呈する構造色発色体が得られた。
薄膜(構造色発色体)の作製面をガラスから陶磁器に替えた以外は実施例2、実施例6、実施例7、実施例8と同様の工程で構造色発色体の作製を試みたところ、それぞれ青、緑、赤、金の美麗な構造色を呈する構造色発色体が得られた。
その表面に構造色発色体を形成した陶器をガスバーナーの炎の最高温度部分(約1800℃)で1時間加熱した後に、表面の観察を行ったが、構造色発色体にはまったく変化が確認されなかった。
さらに、この構造色発色体を形成した陶器を液体窒素(−196℃)中に浸漬し、8時間後に引き上げて、表面の観察を行ったが、構造色発色体にはまったく変化が確認されなかった。
Claims (9)
- 水酸化鉄(III)コロイドを含む溶液(A)と、ハロゲン化鉛を含む溶液(B)と混合して混合溶液を形成し、次いで該混合溶液から溶媒を除去することにより得られてなることを特徴とする構造色発色体。
- 前記混合溶液に含まれる水酸化鉄(III)とハロゲン化鉛のモル比が、1.0〜25の範囲である請求項1記載の構造色発色体。
- 溶液(A)の溶媒が水であり、かつ、溶液(B)の溶媒が、エタノールである請求項1または2に記載の構造色発色体。
- 前記混合溶液の溶媒の除去を、温度20〜35℃、かつ、相対湿度40〜80%の条件で溶媒を蒸発させて、乾燥させることで行うことを特徴とする請求項3記載の構造色発色体。
- ハロゲン化鉛が、ヨウ化鉛(II)である請求項1から4のいずれかに記載の構造色発色体。
- 前記溶液(A)を、予め、孔径または保留粒子径0.2〜5μmのフィルターまたはろ紙でろ過した後に前記溶液(B)と混合する請求項1から5のいずれかに記載の構造色発色体。
- 水酸化鉄(III)コロイドを含む水溶液(A)と、ハロゲン化鉛を含むエタノール溶液(B)と混合して混合溶液を形成する工程と、該混合溶液から溶媒を蒸発させて、乾燥させる工程とを含むことを特徴とする構造色発色体の製造方法。
- 前記混合溶液の溶媒の除去を、温度20〜35℃、かつ、相対湿度40〜80%の条件で溶媒を蒸発させて、乾燥させることで行うことを特徴とする請求項7記載の構造色発色体の製造方法。
- ハロゲン化鉛が、ヨウ化鉛(II)である請求項7または8に記載の構造色発色体の製造方法。
Priority Applications (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP2009012395A JP4628474B2 (ja) | 2009-01-22 | 2009-01-22 | 構造色発色体およびその製造方法 |
Applications Claiming Priority (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP2009012395A JP4628474B2 (ja) | 2009-01-22 | 2009-01-22 | 構造色発色体およびその製造方法 |
Publications (2)
Publication Number | Publication Date |
---|---|
JP2010168250A true JP2010168250A (ja) | 2010-08-05 |
JP4628474B2 JP4628474B2 (ja) | 2011-02-09 |
Family
ID=42700751
Family Applications (1)
Application Number | Title | Priority Date | Filing Date |
---|---|---|---|
JP2009012395A Expired - Fee Related JP4628474B2 (ja) | 2009-01-22 | 2009-01-22 | 構造色発色体およびその製造方法 |
Country Status (1)
Country | Link |
---|---|
JP (1) | JP4628474B2 (ja) |
Cited By (1)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
JP2019142069A (ja) * | 2018-02-19 | 2019-08-29 | 株式会社ミマキエンジニアリング | セラミック製品の製造方法 |
Citations (5)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
JPS61219720A (ja) * | 1985-03-25 | 1986-09-30 | Central Glass Co Ltd | 微粒子状マグネトプランバイト型フエライトの製造法 |
JP2005194595A (ja) * | 2004-01-08 | 2005-07-21 | Niigata Tlo:Kk | 表面凹凸を利用した構造色発色体の製造方法並びに表面凹凸を利用した構造色発色体 |
JP2007225935A (ja) * | 2006-02-23 | 2007-09-06 | Institute Of Physical & Chemical Research | 表示装置およびその製造方法 |
JP2008058652A (ja) * | 2006-08-31 | 2008-03-13 | Fuji Xerox Co Ltd | 光学素子及び光学装置 |
JP2009069344A (ja) * | 2007-09-12 | 2009-04-02 | Toppan Printing Co Ltd | 偽造防止積層体、偽造防止転写箔、偽造防止シール、偽造防止媒体、及びこれらの製造方法並びに偽造防止積層体の製造装置 |
-
2009
- 2009-01-22 JP JP2009012395A patent/JP4628474B2/ja not_active Expired - Fee Related
Patent Citations (5)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
JPS61219720A (ja) * | 1985-03-25 | 1986-09-30 | Central Glass Co Ltd | 微粒子状マグネトプランバイト型フエライトの製造法 |
JP2005194595A (ja) * | 2004-01-08 | 2005-07-21 | Niigata Tlo:Kk | 表面凹凸を利用した構造色発色体の製造方法並びに表面凹凸を利用した構造色発色体 |
JP2007225935A (ja) * | 2006-02-23 | 2007-09-06 | Institute Of Physical & Chemical Research | 表示装置およびその製造方法 |
JP2008058652A (ja) * | 2006-08-31 | 2008-03-13 | Fuji Xerox Co Ltd | 光学素子及び光学装置 |
JP2009069344A (ja) * | 2007-09-12 | 2009-04-02 | Toppan Printing Co Ltd | 偽造防止積層体、偽造防止転写箔、偽造防止シール、偽造防止媒体、及びこれらの製造方法並びに偽造防止積層体の製造装置 |
Cited By (2)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
JP2019142069A (ja) * | 2018-02-19 | 2019-08-29 | 株式会社ミマキエンジニアリング | セラミック製品の製造方法 |
JP7084154B2 (ja) | 2018-02-19 | 2022-06-14 | 株式会社ミマキエンジニアリング | セラミック製品の製造方法 |
Also Published As
Publication number | Publication date |
---|---|
JP4628474B2 (ja) | 2011-02-09 |
Similar Documents
Publication | Publication Date | Title |
---|---|---|
Li et al. | Additive mixing and conformal coating of noniridescent structural colors with robust mechanical properties fabricated by atomization deposition | |
US5006248A (en) | Metal oxide porous ceramic membranes with small pore sizes | |
RU2560403C2 (ru) | Неорганические мезопористые материалы с хиральными нематическими структурами и способ их приготовления | |
US5104539A (en) | Metal oxide porous ceramic membranes with small pore sizes | |
CN110272641B (zh) | 一种高分散性珠光颜料的制备方法及珠光颜料和应用 | |
Zhang et al. | Butterfly effects: novel functional materials inspired from the wings scales | |
Yuan et al. | Structural color fibers directly drawn from colloidal suspensions with controllable optical properties | |
US7648765B2 (en) | Dispersion of carbon nanoparticles and core-shell type carbon nanoparticles, and method of preparing the same | |
WO2006015530A1 (fr) | Pigment ayant une dependance angulaire des couleurs d’interference et son procede de fabrication | |
JPH07133105A (ja) | 複合酸化物ゾル、その製造方法および基材 | |
CN110461482A (zh) | 用于各向同性结构色印刷的方法和用于检测气相中的目标物质的装置 | |
JP2003533579A (ja) | 顔 料 | |
KR20070044053A (ko) | 티타늄-함유 실리카 졸 및 그의 제조방법, 오염방지 피막및 잉크-수용층을 지닌 기재 및 기록용 기재의 재생방법 | |
CN108608690B (zh) | 一种生色复合薄膜及其应用 | |
CN105038338B (zh) | 透明超疏水喷剂及其制备方法和应用 | |
EP0425252B1 (en) | Metal oxide porous ceramic membranes with small pore sizes | |
US5169576A (en) | Method of making metal oxide ceramic membranes with small pore sizes | |
JP4628474B2 (ja) | 構造色発色体およびその製造方法 | |
Zhou et al. | Hollow mesoporous cubic silica self-assembling into photonic crystals with rhombohedral lattices and vivid structural colors for anti-counterfeiting | |
US9725571B2 (en) | Method of making nanoporous structures | |
AU2009329038A1 (en) | Surface modified optically variable product for security feature | |
Yang et al. | Precise preparation of highly monodisperse ZrO 2@ SiO 2 core–shell nanoparticles with adjustable refractive indices | |
JPH0695290A (ja) | 粘土薄膜およびその製造方法 | |
Wang et al. | Rapid fabrication of large-scale structurally colored PS@ SiO 2 films with enhanced self-cleaning capability | |
Zhao et al. | From silica colloidal particles to photonic crystals: Progress in fabrication and application of structurally colored materials |
Legal Events
Date | Code | Title | Description |
---|---|---|---|
A621 | Written request for application examination |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A621 Effective date: 20100928 |
|
A871 | Explanation of circumstances concerning accelerated examination |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A871 Effective date: 20101004 |
|
TRDD | Decision of grant or rejection written | ||
A975 | Report on accelerated examination |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A971005 Effective date: 20101027 |
|
A01 | Written decision to grant a patent or to grant a registration (utility model) |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A01 Effective date: 20101102 |
|
A01 | Written decision to grant a patent or to grant a registration (utility model) |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A01 |
|
A61 | First payment of annual fees (during grant procedure) |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A61 Effective date: 20101109 |
|
FPAY | Renewal fee payment (event date is renewal date of database) |
Free format text: PAYMENT UNTIL: 20131119 Year of fee payment: 3 |
|
R150 | Certificate of patent or registration of utility model |
Ref document number: 4628474 Country of ref document: JP Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R150 Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R150 |
|
R250 | Receipt of annual fees |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R250 |
|
R250 | Receipt of annual fees |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R250 |
|
R250 | Receipt of annual fees |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R250 |
|
R250 | Receipt of annual fees |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R250 |
|
R250 | Receipt of annual fees |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R250 |
|
LAPS | Cancellation because of no payment of annual fees |