JP2010168017A - 車両用ステアバイワイヤシステムと車両用ステアバイワイヤシステムの制御方法 - Google Patents
車両用ステアバイワイヤシステムと車両用ステアバイワイヤシステムの制御方法 Download PDFInfo
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Abstract
【解決手段】操舵装置のモータ11のトルク推定回路13は、モータ11に加えられた入力トルクの推定トルクT^i1を算出する。その推定トルクT^i1は、(A1−1)倍されてモータ11へ伝達される。転舵装置のモータ21のトルク推定回路23は、モータ21に加えられた入力トルクの推定トルクT^i2を算出する。その推定トルクT^i2は、A2倍されてモータ11へ伝達される。またモータ11のロータ位置θ1とモータ21のロータ位置θ2との偏差は、A3倍されてモータ21へ伝達される。
【選択図】図1
Description
本願発明は、従来のステアバイワイヤシステムにおける前記問題点に鑑み、ステアバイワイヤシステムでありながら油圧式パワーステアリングシステムに近い操舵フィーリングを実現できるステアバイワイヤシステムとその車両用ステアバイワイヤシステムの制御方法を提供することを目的とする。
請求項2に記載の車両用ステアバイワイヤシステムは、反力アクチュエータとして反力モータを用いた操舵装置と転舵用アクチュエータとして転舵モータを用いた転舵装置を備えた車両用ステアバイワイヤシステムにおいて、反力モータに加わる入力トルクを反力モータのモータ電流と反力モータのロータ位置に基づいて推定し、その推定した入力トルクを任意の伝達倍率倍して反力モータへ伝達し、転舵モータに加わる入力トルクを転舵モータのモータ電流と転舵モータのロータ位置に基づいて推定し、その推定した入力トルクを転舵モータへ伝達するとともにその推定した入力トルクを任意の伝達倍率倍して反力モータへ伝達し、反力モータのロータ位置と転舵モータのロータ位置の偏差を位置制御用ゲイン倍し、トルクに変換して転舵モータへ伝達することを特徴とする。
請求項3に記載の車両用ステアバイワイヤシステムは、請求項1又は請求項2に記載の車両用ステアバイワイヤシステムにおいて、転舵モータは複数個であることを特徴とする。
請求項5に記載の車両用ステアバイワイヤシステムの制御方法は、反力アクチュエータとして反力モータを用いた操舵装置と転舵用アクチュエータとして転舵モータを用いた転舵装置を備えた車両用ステアバイワイヤシステムにおいて、反力モータに加わる入力トルクを反力モータのモータ電流と反力モータのロータ位置に基づいて推定し、その推定した入力トルクを任意の伝達倍率倍して反力モータへ伝達し、転舵モータに加わる入力トルクを転舵モータのモータ電流と転舵モータのロータ位置に基づいて推定し、その推定した入力トルクを転舵モータへ伝達するとともにその推定した入力トルクを任意の伝達倍率倍して反力モータへ伝達し、反力モータのロータ位置と転舵モータのロータ位置の偏差を位置制御用ゲイン倍し、トルクに変換して転舵モータへ伝達することを特徴とする。
請求項6に記載の車両用ステアバイワイヤシステムの制御方法は、請求項4又は請求項5に記載の車両用ステアバイワイヤシステムの制御方法において、転舵モータは複数個であることを特徴とする。
本願発明のセンサは、電流センサとモータのロータ位置を検出する位置センサのみでよいから、センサの個数や種類が少なくてよい。
ステアバイワイヤシステムは、操舵装置51、転舵装置52、マイコン等によって構成する制御装置60等からなる。操舵装置51は、ハンドル511、ハンドル511によって回転する回転軸512、回転軸512と一体の回転軸を持つ反力アクチュエータとしてのモータ(反力モータ)11、モータ駆動回路12、モータ電流を検出する電流センサS11,S12、モータ11のロータ位置(回転角度)を検出する位置センサS13等を備えている。転舵装置52は、ラックアンドピニオン522、転舵アクチュエータとしてのモータ(転舵モータ)21、モータ駆動回路22、モータ電流を検出する電流センサS21,S22、モータ21のロータの位置(回転角度)を検出する位置センサS23等を備えている。モータ21は、ラックアンドピニオン522を駆動して一対の転舵輪521を旋回してその方向を変える。モータ11、モータ21は、例えば永久磁石同期モータを用いるが、他のモータであってもよい。
制御装置60は、モータ11,21の電流を制御する電流制御部61,62等からなる。
図2は、永久磁石同期モータのベクトル制御方式を適用し、d軸、q軸電流を非干渉かつ最大効率となるように制御するもので、d軸電流を0としたときのブロック線図である。
図2において、上半分は、モータ11に関係するブロック線図で、モータ11、駆動回路12、トルク推定回路13、伝達倍率(A1−1)の増力回路14等を備えている。下半分は、モータ21に関係するブロック線図で、モータ21、駆動回路22、トルク推定回路23、伝達倍率A2の増力回路24、位置制御用ゲイン回路26、位置・トルク変換回路27等を備えている。
図2において、Ra1,Ra2はモータ11,21の電機子抵抗、Laq1,Laq2はモータ11,21の電機子リアクタンス、J1,J2はモータ11,21の慣性モーメント、D1,D2はモータ11,21の粘性制動係数、KT1,KT2はモータ11,21のトルク定数、KE1,KE2はモータ11,21の逆起電力定数である。Ti1,Ti2はモータ11,21へ加えられる入力トルク、T^i1,T^i2は入力トルクTi1,Ti2の推定トルク、θ1,θ2はモータ11,21のロータ位置である。Pi1,Pi2はモータ11,21の電流制御用ゲイン、A1はモータ11からモータ21へトルクを伝達する伝達倍率、A2はモータ21からモータ11へトルクを伝達する伝達倍率、A3はモータ21のロータ位置制御用ゲイン、G(s)はロータの位置をトルクに変換する位置・トルク変換要素、sはラプラス変数である。
なお式(1)は、図2のiq1 *とiq1の間のブロックを図3(a)のように変形して求める。式(2)も同様にiq2 *とiq2の間のブロックを変形して求める。
なお式(10)は、図2のモータ21、駆動回路22、「1/s」のブロック、位置制御用ゲイン回路26、位置・トルク変換回路27を図3(b)のように変形して求めることができる。
図1、図2の例は、操舵装置と転舵装置にモータ11,21をそれぞれ一個用いているが、図5は、安全性の観点から転舵装置側に図2のモータ21に加えてモータ31を用いている。
図5において、図2と表示した部分は、図2の構成と同じであり、追加したモータ31は、モータ21と同じ構成である。即ちモータ31、駆動回路32、トルク推定回路33、増力回路34、位置制御用ゲイン回路36、位置・トルク変換回路37は、モータ21、駆動回路22、トルク推定回路23、増力回路24、位置制御用ゲイン回路26、位置・トルク変換回路27に対応している。
モータ31の入力トルクの推定トルクT^i3は、増力回路34でA4倍されて加算点15を介してモータ11へ伝達される。したがって図5の場合、モータ11には、モータ21の入力トルクの推定トルクT^i2とモータ21の入力トルクの推定トルクT^i3が伝達される。一方モータ11のロータ位置θ1は、加算点25,35、位置制御用ゲイン回路26,36、位置・トルク変換回路27,37を介してモータ21,31へ伝達される。
したがって図5の場合には、図2の場合と同様に、モータ11,21,31は、全てのモータのロータ軸に加わる入力トルクの総和によって回転し、全てのモータのロータの位置は一致している。
ラックに取り付けるモータ21,31が同一仕様の場合、各モータに供給される電流や電圧は略等しくなるから、どちらかのモータの電流や電圧が異常に大きくなったときは、どちらかのモータに異常が発生していることになる。したがってその場合には、異常が発生しているモータを電気的或いは機械的に切り離して正常なモータのみで操舵を継続することができる。
シミュレーションは、MATLAB/Simulinkを用い、永久磁石同期モータのベクトル制御モデルを用いて行った。
シミュレーションは、モータ11とモータ21のロータの位置が一致すること、及び任意の伝達倍率でモータに加わるトルクが伝達されることを確認した。
図6において、縦軸は、ロータの回転数とモータのロータ軸に印加するトルクを表わし、横軸は、時間を表している。点線の台形は、モータ11,21の回転数を、実線は、モータ11,21に印加するトルクを示し、TM1はモータ11に印加したトルクTi1を、TM2はモータ21に印加したトルクTi2を示す。なおロータの回転数は、ロータが回転した位置(角度)、即ちロータの位置に相当する。
図6(a)は、伝達倍率が1の場合で、ロータが0.5秒で約1回転するトルクを基準に、0.5〜1秒の間モータ11のロータ軸にステップ状のトルクTM1を印加し、2〜2.5の間モータ21のロータ軸にステップ状のトルクTM2を印加した。なおトルクTM2は、ロータを逆転させるため逆方向のトルクを印加している。
図6(a)の場合、モータ11,21のロータの回転数(台形の点線)は、同じで重なっている(2個のモータの回転数を重ねて表示してある)。またモータ11,21のロータの回転数は、トルクが加えられたモータと同じ回転数で動作し、両モータのロータの位置は一致している。そしてモータ11,21に加えられたトルクの大きさは略同じで、ロータの回転数が略一致していることから、両モータのトルク伝達倍率が一対一になっていることが確認できた。
図6(b),(c),(d)は、モータ11,21のトルク伝達倍率を変えて図6(a)と同様の動作を確認した。
図6(b)は、モータ11,21のトルク伝達倍率が夫々2,1の場合、図6(c)は、モータ11,21のトルク伝達倍率が夫々1,0.5の場合、図6(d)は、モータ11,21のトルク伝達倍率が夫々2,0.5の場合である。
図6(b)の場合、モータ11の入力トルクは、図6(a)の1/2倍程度になり、モータ21の入力トルクは、図6(a)と略同じである。同様に図6(c)の場合、モータ11の入力トルクは、図6(a)と略同じであり、モータ21の入力トルクは、図6(a)の約2倍である。また図6(d)の場合、モータ11の入力トルクは、図6(a)の1/2倍程度になり、モータ21の入力トルクは、図6(a)の約2倍である。
以上図6(a)〜図6(d)から、図2のステアバイワイヤシステムは、モータ11,21に加わるトルクを任意の伝達倍率で伝達することができ、モータ11,21のトルクの伝達倍率は、他方のモータの伝達倍率と干渉せずに決定できることが確認できた。
図7において、図7(a)は、図5のステアバイワイヤシステムのシミュレーションの結果を示し、図7(b)は、比較のため図6(a)と同じものを記載してある。シミュレーションは、図6と同様に、MATLAB/Simulinkを用い、永久磁石同期モータのベクトル制御モデルを用いて行った。
図7(a)は、モータ11,21,31のトルク伝達倍率を、夫々1に設定し、0.5〜1秒の間モータ11にトルクを加え、2〜2.5秒の間モータ21,31にトルクを加えて確認した。
実験システムは、図8(b)のようにモータ11,21に相当する永久磁石同期モータM1,M2、位置センサとしてロータリエンコーダEC1,2、MPU1,2、インバータIV1,2を用いた。
実験は、実験開始後約2秒から1秒間モータM1のロータ軸にパルス状のトルクTi1を印加し、5.5秒から1秒間モータM2のロータ軸にパルス状のトルクTi2を印加して行った。
実験結果は、図8(a)に示すように、モータM1のロータの回転数RM1(点線)とモータM2のロータの回転数(実線)は略重なり、モータM1,M2の位置は一致していることが確認できた。
この実験結果からも、操舵装置側のモータM1と転舵装置側のモータM2は、モータM1が外部トルクで回転すると、モータM2もロータの位置がモータM1と同じになるように回転し、モータM2が外部トルクで回転すると、モータM1もロータの位置がモータM2と同じになるように回転することが確認できた。
12,22,32 駆動回路
13,23,33 トルク推定回路
51 操舵装置
52 転舵装置
60 制御装置
A1,A2,A4 トルクの伝達倍率
A3,A5 位置制御用ゲイン
θ1,θ2,θ3 モータのロータ位置
θ・ 1,θ・ 2,θ・ 3 モータの回転角速度
Ti1,Ti2,Ti3 モータに加わるトルク
T^i1,T^i2,T^i3 推定トルク
S11,S12,S21,S22 電流センサ
S13,S23 位置センサ
Claims (6)
- 反力アクチュエータとして反力モータを用いた操舵装置と転舵アクチュエータとして転舵モータを用いた転舵装置を備えた車両用ステアバイワイヤシステムにおいて、反力モータに加わる入力トルクを推定し、その推定した入力トルクを任意の伝達倍率倍して転舵モータへ伝達し、転舵モータに加わる入力トルクを推定し、その推定した入力トルクを任意の伝達倍率倍して反力モータへ伝達することを特徴とする車両用ステアバイワイヤシステム。
- 反力アクチュエータとして反力モータを用いた操舵装置と転舵用アクチュエータとして転舵モータを用いた転舵装置を備えた車両用ステアバイワイヤシステムにおいて、反力モータに加わる入力トルクを反力モータのモータ電流と反力モータのロータ位置に基づいて推定し、その推定した入力トルクを任意の伝達倍率倍して反力モータへ伝達し、転舵モータに加わる入力トルクを転舵モータのモータ電流と転舵モータのロータ位置に基づいて推定し、その推定した入力トルクを転舵モータへ伝達するとともにその推定した入力トルクを任意の伝達倍率倍して反力モータへ伝達し、反力モータのロータ位置と転舵モータのロータ位置の偏差を位置制御用ゲイン倍し、トルクに変換して転舵モータへ伝達することを特徴とする車両用ステアバイワイヤシステム。
- 請求項1又は請求項2に記載の車両用ステアバイワイヤシステムにおいて、転舵モータは複数個であることを特徴とする車両用ステアバイワイヤシステム。
- 反力アクチュエータとして反力モータを用いた操舵装置と転舵用アクチュエータとして転舵モータを用いた転舵装置を備えた車両用ステアバイワイヤシステムにおいて、反力モータに加わる入力トルクを推定し、その推定した入力トルクを任意の伝達倍率倍して転舵モータへ伝達し、操舵モータに加わる入力トルクを推定し、その推定した入力トルクを任意の伝達倍率倍して反力モータへ伝達することを特徴とする車両用ステアバイワイヤシステムの制御方法。
- 反力アクチュエータとして反力モータを用いた操舵装置と転舵用アクチュエータとして転舵モータを用いた転舵装置を備えた車両用ステアバイワイヤシステムにおいて、反力モータに加わる入力トルクを反力モータのモータ電流と反力モータのロータ位置に基づいて推定し、その推定した入力トルクを任意の伝達倍率倍して反力モータへ伝達し、転舵モータに加わる入力トルクを転舵モータのモータ電流と転舵モータのロータ位置に基づいて推定し、その推定した入力トルクを転舵モータへ伝達するとともにその推定した入力トルクを任意の伝達倍率倍して反力モータへ伝達し、反力モータのロータ位置と転舵モータのロータ位置の偏差を位置制御用ゲイン倍し、トルクに変換して転舵モータへ伝達することを特徴とする車両用ステアバイワイヤシステムの制御方法。
- 請求項4又は請求項5に記載の車両用ステアバイワイヤシステムの制御方法において、転舵モータは複数個であることを特徴とする車両用ステアバイワイヤシステムの制御方法。
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