JP2010167479A - 複合ロールの製造方法 - Google Patents
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Abstract
【課題】遠心鋳造法で形成した外層の内側に注入管を介して内層溶湯を上から注湯するに際し、溶湯流に決まった振れがあっても、外層の内側には局部的な溶損箇所が生じず、内層溶湯への外層の均一な溶け込みが生じる複合ロールの製造方法を提供する。
【解決手段】鋳型1を遠心鋳造機の鋳型支持ローラ上に水平又は傾けて載置し、中心周りに鋳型を回転させながら、鋳型内に外層溶湯を注湯し、ロール胴部の外層W1を遠心鋳造法で形成する第1工程と、外層が形成された鋳型を、その中心を垂直にして竪置きにした後、該鋳型の上部に注入管を有する上注ぎ用漏斗7を回転自在に搭載し、竪置きにした鋳型は静止させたまま、前記注入管の方を鋳型中心周りに回転させつつ内層溶湯L3を上から注湯するようにした第2工程を有する。
【選択図】図2
【解決手段】鋳型1を遠心鋳造機の鋳型支持ローラ上に水平又は傾けて載置し、中心周りに鋳型を回転させながら、鋳型内に外層溶湯を注湯し、ロール胴部の外層W1を遠心鋳造法で形成する第1工程と、外層が形成された鋳型を、その中心を垂直にして竪置きにした後、該鋳型の上部に注入管を有する上注ぎ用漏斗7を回転自在に搭載し、竪置きにした鋳型は静止させたまま、前記注入管の方を鋳型中心周りに回転させつつ内層溶湯L3を上から注湯するようにした第2工程を有する。
【選択図】図2
Description
本発明は、ロール胴部の内・外層の成分が異なる複合ロールを効率的に製造する方法に係り、特に鉄鋼の圧延に使用される複合ロールの製造方法に関する。ここで、ロール胴部の内層とは、表面部を除くロール軸部を意味し、一方ロール胴部の外層とは、ロール軸部を除く表面部を意味する。外層は1層あるいは複数層からなる。
鉄鋼等の金属の圧延に供されるロールは、表面部が耐摩耗性に優れ、ロール軸部は靭性に優れることが必要とされる。このため、遠心鋳造機を利用してロール胴部の内・外層の成分が異なる複合ロールを製造することが一般に行われている(特許文献1、2、3、4等)。
ロール胴部の内・外層をともに遠心鋳造法で形成する場合、たとえば図6(a)に示した鋳型1をその中心1a周りに回転させながら、まず鋳型内に外層溶湯L1を注湯して外層W1を形成し、次いでその内側に内層溶湯を注湯して内層を形成する。その際、鋳型1の回転速度を調整して遠心力の調整を行い、さらにロール胴部の表面部、その内側のロール軸部、両ロールネック部などの部位ごとに鋳型の傾斜角度の調整を行うこともある(特許文献2、3、4)。図6(a)中、23は遠心力付与モータ、2、3は遠心鋳造機の鋳型支持部材、2a、3aは鋳型支持ローラ、5は取鍋、6は鋳型1に装着する注湯用漏斗をそれぞれ示す。鋳型の傾斜角度の調整を行うには公知の傾斜型遠心鋳造機を用いる。
ロール胴部の内・外層をともに遠心鋳造法で形成する場合、たとえば図6(a)に示した鋳型1をその中心1a周りに回転させながら、まず鋳型内に外層溶湯L1を注湯して外層W1を形成し、次いでその内側に内層溶湯を注湯して内層を形成する。その際、鋳型1の回転速度を調整して遠心力の調整を行い、さらにロール胴部の表面部、その内側のロール軸部、両ロールネック部などの部位ごとに鋳型の傾斜角度の調整を行うこともある(特許文献2、3、4)。図6(a)中、23は遠心力付与モータ、2、3は遠心鋳造機の鋳型支持部材、2a、3aは鋳型支持ローラ、5は取鍋、6は鋳型1に装着する注湯用漏斗をそれぞれ示す。鋳型の傾斜角度の調整を行うには公知の傾斜型遠心鋳造機を用いる。
図7には、遠心鋳造機を利用してロール胴部の内、外層を遠心鋳造法で形成した複合ロールの特性図を示した。この場合、高硬度の外層W1から、低硬度の内層W3となる内層溶湯への溶け込みが十分に生じていないため、外層W1に向かい内層W3の硬さが急激に上昇している。このような複合ロールは圧延に供すると使用時に外層が剥離しやすいことが知られている。
そこで、耐スポーリング性に優れる複合ロールを製造するための製造方法が、特許文献1に開示されている。この特許文献1に記載の複合ロールの製造方法は、図6(a)に示した遠心鋳造機を用い、ロール胴部の外層W1を遠心鋳造法で形成する第1工程と、図6(b)に示したように、鋳型1を竪置きにし、鋳型1を静止させた状態で内層溶湯L3を下から注湯する第2工程を有する。図6(b)中、21は鋳型1に設けた下注ぎ管接続口を示し、内層溶湯L3はここから鋳型1内へ注湯される。溶湯下注ぎ管24は下注ぎ管接続口21と接続して使用する。また、鋳型1には溶湯吐出口22が設けてある。
この2工程からなる複合ロールの製造方法によれば、図8に示したように、ロール胴部の外層W1をその内側に注湯する内層溶湯に十分溶け込ませることができ、ロール胴部の内・外層間を冶金的に溶着してなる複合ロールを得ることができる。
しかしながら、特許文献1の複合ロールの製造方法は、第2工程で内層溶湯L3を下から、ロール全長を超える長さの溶湯下注ぎ管24を介して注湯する必要があり、製造効率に難点があった。
これに対し、図4(a)に示したように、下側に開口部が形成された注入管7aを有する上注ぎ漏斗7を用い、内層溶湯L3を上から注湯する第2工程とすれば、複合ロールを効率よく製造することが可能となる。ここで、図4(a)には、注入管7aを介して内層溶湯L3を上から注湯する際、溶湯流10に振れがない状態を示し、一方図5(a)には溶湯流11に決まった振れがある状態を示した。また、図4(b)、図5(b)には内層溶湯L3への溶け込み状態をそれぞれ模式的に示した。すなわち、鋳型1を竪置きにした後、鋳型1を静止させたまま、注入管7aを介して内層溶湯L3を上から注湯する際、流下する溶湯流11に決まった振れがあると、図5(b)で示したように、局部的に内層溶湯L3が当った部分の溶損量が過大となり、表面部に溶損箇所12が生じる。この結果、遠心鋳造法で形成した表面部(外層W1あるいはその内側に形成した中間層W2)内側の、内層溶湯L3への溶け込みが不均一となる。上述のように、外層W1は圧延に使用するための耐摩耗性に優れた材質で構成し、内層は靱性に優れた材質のものが用いられる。中間層W2を設ける場合もあるが、これは、外層の合金成分が内層へ溶け込んで、内層の材質が劣化することを防止する目的で設けるものである。図5(b)に示したように、外層の内側の内層溶湯への溶け込みが不均一となると、外層厚が局部的に薄くなり、所期した外層厚が確保できなくなり、結果としてロール寿命が短くなるという問題が生じる。
これに対し、図4(a)に示したように、下側に開口部が形成された注入管7aを有する上注ぎ漏斗7を用い、内層溶湯L3を上から注湯する第2工程とすれば、複合ロールを効率よく製造することが可能となる。ここで、図4(a)には、注入管7aを介して内層溶湯L3を上から注湯する際、溶湯流10に振れがない状態を示し、一方図5(a)には溶湯流11に決まった振れがある状態を示した。また、図4(b)、図5(b)には内層溶湯L3への溶け込み状態をそれぞれ模式的に示した。すなわち、鋳型1を竪置きにした後、鋳型1を静止させたまま、注入管7aを介して内層溶湯L3を上から注湯する際、流下する溶湯流11に決まった振れがあると、図5(b)で示したように、局部的に内層溶湯L3が当った部分の溶損量が過大となり、表面部に溶損箇所12が生じる。この結果、遠心鋳造法で形成した表面部(外層W1あるいはその内側に形成した中間層W2)内側の、内層溶湯L3への溶け込みが不均一となる。上述のように、外層W1は圧延に使用するための耐摩耗性に優れた材質で構成し、内層は靱性に優れた材質のものが用いられる。中間層W2を設ける場合もあるが、これは、外層の合金成分が内層へ溶け込んで、内層の材質が劣化することを防止する目的で設けるものである。図5(b)に示したように、外層の内側の内層溶湯への溶け込みが不均一となると、外層厚が局部的に薄くなり、所期した外層厚が確保できなくなり、結果としてロール寿命が短くなるという問題が生じる。
そこで、本発明は、上記従来技術の問題点に鑑み、遠心鋳造法で形成した外層の内側に注入管を介して内層溶湯を上から注湯するに際し、外層の内側には局部的な溶損箇所が生じず、内層溶湯への外層の均一な溶け込みが生じる複合ロールの製造方法を提供することを目的とする。
本発明者は、ロール胴部の内・外層の成分が異なる複合ロールを効率的に製造する方法について鋭意検討した結果、遠心鋳造法で形成した外層の内側に注入管を介して内層溶湯を上注ぎ法で注湯する際、以下の構成を有する第2工程とすれば、前記課題を解決できることを見出し、この知見に基づいて本発明をなすに至った。
すなわち本発明は、以下のとおりである。
1.ロール胴部の外層をその内側に注湯する内層溶湯に溶け込ませ、ロール胴部の内・外層間を冶金的に溶着してなる複合ロールを製造するにあたり、鋳型を遠心鋳造機の鋳型支持ローラ上に水平又は傾けて載置し、中心周りに鋳型を回転させながら、鋳型内に外層溶湯を注湯し、ロール胴部の外層を遠心鋳造法で形成する第1工程と、前記外層が形成された鋳型を、その中心を垂直にして竪置きにした後、該鋳型の上部に注入管を有する上注ぎ用漏斗を回転自在に搭載し、竪置きにした鋳型は静止させたまま、前記注入管の方を鋳型中心周りに回転させつつ内層溶湯を上から注湯するようにした第2工程を有することを特徴とする複合ロールの製造方法。
2.前記第1工程で、外層の内側に中間層溶湯を注湯し、遠心鋳造法で中間層を形成することを特徴とする請求項1に記載の複合ロールの製造方法。
すなわち本発明は、以下のとおりである。
1.ロール胴部の外層をその内側に注湯する内層溶湯に溶け込ませ、ロール胴部の内・外層間を冶金的に溶着してなる複合ロールを製造するにあたり、鋳型を遠心鋳造機の鋳型支持ローラ上に水平又は傾けて載置し、中心周りに鋳型を回転させながら、鋳型内に外層溶湯を注湯し、ロール胴部の外層を遠心鋳造法で形成する第1工程と、前記外層が形成された鋳型を、その中心を垂直にして竪置きにした後、該鋳型の上部に注入管を有する上注ぎ用漏斗を回転自在に搭載し、竪置きにした鋳型は静止させたまま、前記注入管の方を鋳型中心周りに回転させつつ内層溶湯を上から注湯するようにした第2工程を有することを特徴とする複合ロールの製造方法。
2.前記第1工程で、外層の内側に中間層溶湯を注湯し、遠心鋳造法で中間層を形成することを特徴とする請求項1に記載の複合ロールの製造方法。
本発明によれば、遠心鋳造法で形成した外層の内側に注入管を介して内層溶湯を上から注湯するに際し、外層が形成された鋳型を、その中心を垂直にして竪置きにした後、該鋳型の上部に注入管を有する上注ぎ用漏斗を回転自在に搭載し、竪置きにした鋳型は静止させたまま、前記注入管の方を鋳型中心周りに回転させつつ内層溶湯を上から注湯するようにしたから、注入管から内層溶湯流に決まった振れがあったとしても、内層溶湯流が外層の内周をまわりながら落下するので、外層の内側には局部的な溶損箇所が生じず、内層溶湯への外層の均一な溶け込みが生じる。このため、所期した外層厚を安定して確保することが可能となる。
以下、本発明法について詳細に説明する。
図1は、本発明法の第1工程に用いて好適な遠心鋳造機の正面図、図2は、本発明法の第2工程に用いて好適な、注入管7aを有する上注ぎ用漏斗7を回転自在に搭載した鋳型1の正面図である。
(第1工程について)
本発明法の第1工程では、図1に示した遠心鋳造機を用い、外層を形成させる。外層は外層W1のみからなる場合と、外層W1に加えて中間層W2を有し、これら2層をまとめて外層とする場合もある。この遠心鋳造機は、水平方向と鋳型1の中心1aのなす鋳型傾斜角θが調整可能なものであり、外層W1、あるいはその内側に中間層W2を形成する際、θ=0とするか、0<θ<90°で調整する。これに限らず、鋳型傾斜角θを所定の角度に固定した遠心鋳造機を用いてもよい。
図1は、本発明法の第1工程に用いて好適な遠心鋳造機の正面図、図2は、本発明法の第2工程に用いて好適な、注入管7aを有する上注ぎ用漏斗7を回転自在に搭載した鋳型1の正面図である。
(第1工程について)
本発明法の第1工程では、図1に示した遠心鋳造機を用い、外層を形成させる。外層は外層W1のみからなる場合と、外層W1に加えて中間層W2を有し、これら2層をまとめて外層とする場合もある。この遠心鋳造機は、水平方向と鋳型1の中心1aのなす鋳型傾斜角θが調整可能なものであり、外層W1、あるいはその内側に中間層W2を形成する際、θ=0とするか、0<θ<90°で調整する。これに限らず、鋳型傾斜角θを所定の角度に固定した遠心鋳造機を用いてもよい。
この傾斜型遠心鋳造機には、傾斜した鋳型1の下側側面に接触して、スラスト力を受ける鋳型支持ローラ4aが設けられている。傾斜した鋳型1の下側面に接触している鋳型支持ローラ4aは、鋳型支持部材4に回転自在に支持され、図示しないベッド上に搭載されている。また、鋳型1の外周面と接触している鋳型支持ローラ2a、3aも同様に、鋳型支持部材2、3を介してベッド上に搭載されている。図1中、L1は鋳型内へ最初に注湯する外層溶湯であり、取鍋5内で所定温度に保持されている。取鍋5から溶湯を受ける注湯用漏斗は、傾斜した鋳型1の上側面の開口に軸方向移動可能に設けてられている。そのほか、図6(a)に示した水平型遠心鋳造機と同様、遠心力付与モータが設けられている。
取鍋5内で所定温度に保持されている外層溶湯L1を、中心1a周りに鋳型1を回転させながら、注湯用漏斗を介して鋳型1内に注湯し、外層W1を遠心鋳造法で形成する。外層W1を形成した後に、後述する第2工程に進んでもよいし、第2工程へ進む前に、遠心鋳造機でさらに中間層W2を形成させてもよい。遠心鋳造法で引き続き中間層W2を形成する際、外層W1の内周面が、後で注湯された中間層溶湯によって溶かされ、混ざり合うこと(すなわち、外層W1の内周面が中間層溶湯へ溶け込むことを、外層の溶け込みという)が均一に生じるようにする。この外層の均一な溶け込みが生じるように、遠心力付与モータで鋳型1に加える遠心力と時間を調整しつつ、所定温度に保持した中間層溶湯の供給を行う。鋳型1に加える遠心力と時間については、たとえば特許文献2に記載されている条件とすることができる。
外層W1の均一な溶け込みが生じたときの状態を模式的に図3(b)に示した。外層の均一な溶け込みが生じた複合ロールは、外層W1とその内側に形成される中間層W2間に鋳造欠陥が生じ難い。このように第1工程で、外層W1の内側に中間層溶湯を注湯し、遠心鋳造法で中間層W2を形成するのが、ロール胴部の内・外層間を冶金的に溶着する際、中間層W2を介することで、溶け込みを十分に行うようにでき、ロール胴部の内・外層間を冶金的により強固に溶着できるので好ましい。また、外層W1の合金成分が内層に溶け込んで、内層の材質が劣化することを防止する観点からも、中間層W2を形成させることが好ましい。
(第2工程について)
本発明法の第2工程は、第1工程で形成した外層W1もしくはその内側に形成した中間層W2の内周面が内層溶湯L3へ均一に溶け込むようにするため、次のようにして内層を形成する。すなわち、外層W1もしくはその内側に中間層W2が形成された鋳型1を、その中心を垂直にして竪置きにした後、図2に示したように、竪置きにした鋳型1の上部に注入管7aを有する上注ぎ用漏斗7を回転自在に搭載し、竪置きにした鋳型1は静止させたまま、注入管7aの方を鋳型中心周りに回転させつつ内層溶湯L3を上から注湯する。
(第2工程について)
本発明法の第2工程は、第1工程で形成した外層W1もしくはその内側に形成した中間層W2の内周面が内層溶湯L3へ均一に溶け込むようにするため、次のようにして内層を形成する。すなわち、外層W1もしくはその内側に中間層W2が形成された鋳型1を、その中心を垂直にして竪置きにした後、図2に示したように、竪置きにした鋳型1の上部に注入管7aを有する上注ぎ用漏斗7を回転自在に搭載し、竪置きにした鋳型1は静止させたまま、注入管7aの方を鋳型中心周りに回転させつつ内層溶湯L3を上から注湯する。
したがって、本発明法の第2工程によれば、竪置きにした鋳型1は静止させたまま、注入管7aの方を回転させつつロール軸部である内層を形成するようにしたから、少なくとも内層溶湯L3によって湯面が、上側に位置するロールネック部に達するまでの間、溶湯流に決まった振れが生じても、図5(b)に示したような局部的な溶損箇所12が生じず、第1工程で形成した外層W1もしくはその内側に形成した中間層W2の内周面の均一な溶け込みが生じる。本発明法の第2工程により、中間層W2の均一な溶け込みが生じたときの状態を模式的に図3(c)に示した。
これに対し、竪置きにした鋳型1を静止させたまま、注入管7aを鋳型中心周りに回転させず、注入管7aを介して内層溶湯L3を上から注湯した場合、図5(a)で示したように、溶湯流11に決まった振れが生じることがあるため、この溶湯流11が当った部分の溶損量が過大となり、図5(b)で示したように、溶損箇所12が生じ、第1工程で形成した外層W1あるいは中間層W2の溶け込不良が生じる。
本発明法の第2工程に用いて好適な、注入管7aを有する上注ぎ用漏斗7の回転構造は図2に示したとおりである。たとえば駆動モータ8を具備し、駆動力伝達手段として、駆動モータ8と軸で連結される駆動側の歯車8aと、駆動側の歯車8aと噛み合う従動側の歯車8bを有し、従動側の歯車8bが上注ぎ用漏斗7を内部に納めた状態で漏斗7に固定され、上注ぎ用漏斗7が、竪置きにした鋳型1に対して遊嵌状態とされ、ベアリングを内蔵する上注ぎ用漏斗受け9で回転自在に受けられている。なお、図2に示したように、上注ぎ用漏斗7を回転させる駆動モータ8、ベアリングを内蔵した上注ぎ用漏斗受け9などは架台の上部に固定する。
この上注ぎ用漏斗7を用いた本発明法によれば、遠心鋳造法で形成した外層の内側に注入管7aを介して内層溶湯を上注ぎ法で注湯する際、駆動モータ8を作動させることによって、竪置きにした鋳型1を静止させたまま、上注ぎ用漏斗7と一緒に注入管7aを鋳型中心1aの周りに回転させることができ、上記した作用により、ロール胴部の外層の厚さを周方向に均一とでき、目標とする外層の厚さを安定して確保することが可能となる。
一方、遠心鋳造法で形成した外層の内側に注入管7aを介して内層溶湯を上注ぎ法で注湯する際、回転台上に鋳型1を竪置きにして載せた後、鋳型1に対して遊嵌状態とされた上注ぎ用漏斗7の注入管7aを回転させず、回転台を駆動モータで回転させることによっても、本発明法と同様な作用により、ロール胴部の内・外層間に剥離が生じ難い複合ロールを製造することが可能となる。この複合ロールの製造方法を参考例とする。
この参考例の駆動モータの動力と、本発明法の駆動モータの動力とを比較すると、本発明法の場合には、竪置きにした鋳型1を回転させないで済むので、回転エネルギーが小さいという利点がある。
表1に示す成分組成の外層および内層を有する、ロール胴部の直径が680mm、胴長が2050mm、全長が5800mmの熱間仕上げ圧延機用ワークロールを本発明法で製造した。
傾斜型遠心鋳造機上で、重力倍数で130Gの遠心力で鋳型を回転させつつ注入温度が1410℃である外層溶湯を注湯し、肉厚が100mmの外層を形成した。その際、外層に重力倍数で130Gの遠心力が加わるように鋳型を回転させ、注湯した後も同程の度回転を20分間継続した。なお、鋳型傾斜角θは20°とした。
本発明法では、遠心鋳造法でロール胴部の外層(外層肉厚:100mm)を形成し、その後、外層が形成された鋳型をその中心を垂直にして竪置きにした後、竪置きにした鋳型は静止させたまま、竪置きにした鋳型の上部に注入管を有する上注ぎ用漏斗を回転自在に搭載し、注入管の方を鋳型中心周りに5〜30rpmの回転速度で回転させつつ内層溶湯を上から注湯するようにし、ロール軸部である内層と、両側のロールネック部も形成した。
本発明法では、遠心鋳造法でロール胴部の外層(外層肉厚:100mm)を形成し、その後、外層が形成された鋳型をその中心を垂直にして竪置きにした後、竪置きにした鋳型は静止させたまま、竪置きにした鋳型の上部に注入管を有する上注ぎ用漏斗を回転自在に搭載し、注入管の方を鋳型中心周りに5〜30rpmの回転速度で回転させつつ内層溶湯を上から注湯するようにし、ロール軸部である内層と、両側のロールネック部も形成した。
また、比較例として、竪置きにした鋳型は静止させたまま、注入管を回転させず、内層溶湯を上から注入管を介して注湯することも行った。
本発明法によれば、内層溶湯によって外層が周方向に均一に溶け込み、外層に局部的に薄い部分が生じることはなかった。
一方、比較例の場合、内層溶湯による外層の内側の溶け込みが、周方向に不均一となったことが原因で、外層の異常溶損により使用できる外層の厚さを必要量とることができなかった。そのため、本発明法に比べてロール寿命が80%と短かった。
本発明法によれば、内層溶湯によって外層が周方向に均一に溶け込み、外層に局部的に薄い部分が生じることはなかった。
一方、比較例の場合、内層溶湯による外層の内側の溶け込みが、周方向に不均一となったことが原因で、外層の異常溶損により使用できる外層の厚さを必要量とることができなかった。そのため、本発明法に比べてロール寿命が80%と短かった。
θ 鋳型傾斜角
L1 外層溶湯
L2 中間層溶湯
L3 内層溶湯
W1 外層
W2 中間層
W3 内層(ロール軸部)
1 鋳型
1a 鋳型1の中心
2、3、4 鋳型支持部材
2a、3a、4a 遠心鋳造機の鋳型支持ローラ
5 取鍋
6 注湯用漏斗
7 上注ぎ用漏斗
7a 注入管
8 駆動モータ
8a、8b 歯車
9 上注ぎ用漏斗受け
10、11 溶湯流
12 溶損箇所
21 下注ぎ管接続口
22 溶湯吐出口
23 遠心力付与モータ
24 溶湯下注ぎ管
L1 外層溶湯
L2 中間層溶湯
L3 内層溶湯
W1 外層
W2 中間層
W3 内層(ロール軸部)
1 鋳型
1a 鋳型1の中心
2、3、4 鋳型支持部材
2a、3a、4a 遠心鋳造機の鋳型支持ローラ
5 取鍋
6 注湯用漏斗
7 上注ぎ用漏斗
7a 注入管
8 駆動モータ
8a、8b 歯車
9 上注ぎ用漏斗受け
10、11 溶湯流
12 溶損箇所
21 下注ぎ管接続口
22 溶湯吐出口
23 遠心力付与モータ
24 溶湯下注ぎ管
Claims (2)
- ロール胴部の外層をその内側に注湯する内層溶湯に溶け込ませ、ロール胴部の内・外層間を冶金的に溶着してなる複合ロールを製造するにあたり、
鋳型を遠心鋳造機の鋳型支持ローラ上に水平又は傾けて載置し、中心周りに鋳型を回転させながら、鋳型内に外層溶湯を注湯し、ロール胴部の外層を遠心鋳造法で形成する第1工程と、前記外層が形成された鋳型を、その中心を垂直にして竪置きにした後、該鋳型の上部に注入管を有する上注ぎ用漏斗を回転自在に搭載し、竪置きにした鋳型は静止させたまま、前記注入管の方を鋳型中心周りに回転させつつ内層溶湯を上から注湯するようにした第2工程を有することを特徴とする複合ロールの製造方法。 - 前記第1工程で、外層の内側に中間層溶湯を注湯し、遠心鋳造法で中間層を形成することを特徴とする請求項1に記載の複合ロールの製造方法。
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