JP2010166727A - 電動機制御装置 - Google Patents

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Abstract

【課題】各相電流として直流成分を含む交流電流を流す電動機制御装置において、トルクリプルを抑えることができる電動機制御装置を提供する。
【解決手段】固定子巻線1211は、断面が円形状の丸によって構成されている。固定子巻線1211は、歯部1210aに集中巻きされている。鍔部1210bは、歯部1210aの求心側端部の周方向両側面から周方向に突出している。鍔部1210bの周方向幅W1は、固定子巻線1211を構成する丸線の線径Dの0.75倍に設定されている。これにより、各相電流として直流成分を含む交流電流を流す電動機制御装置において、トルクリプルを抑えることができる。
【選択図】図4

Description

本発明は、電動機とインバータを備えた電動機制御装置に関する。
従来、電動機とインバータを備えた電動機制御装置として、例えば特許文献1に開示されている回転電機制御装置がある。この回転電機制御装置は、コンデンサと、3相インバータと、3相回転電機と、電池とから構成されている。3相インバータは、直流端と交流端とを有している。3相インバータの直流端は、コンデンサに接続されている。3相回転電機は、星形結線された3相巻線を備えている。3相巻線の各相端は、3相インバータの交流端に接続されている。電池の正極端及び負極端は、3相インバータの直流端と3相巻線の中性点の間に接続されている。そして、直流成分を含む交流電流が各相巻線に流れるように、3相インバータが制御される。これにより、電池の直流電圧が昇圧され、コンデンサに供給されるとともに、コンデンサからの電圧によって3相回転機がトルクを発生する。
ところで、3相回転電機のトルク瞬時値Tは、数1に示すように、各相の誘起電圧と、各相電流とによって決まる。
Figure 2010166727
ここで、各相の誘起電圧は、基本波成分以外に3次高調波成分を含んでいる。また、各相電流は、直流成分を含んでいる。そのため、3相回転電機のトルク瞬時値Tは、数2に示すように、誘起電圧の3次高調波成分と相電流の直流成分とによって決まるトルクリプルを有することとなる。
Figure 2010166727
従来、トルクリプルを低減できる電動機として、例えば特許文献2に開示されているブラシレスDCモータがある。このブラシレスDCモータは、ステータコアの歯部先端部の一部がカットされている。これにより、磁束の集中が平均化され、トルクリプルが低減される。
特開2008−306914号公報 特開2000−184633号公報
ところで、ステータコアの歯部先端部の一部をカットしてトルクリプルを低減する技術は、各相電流が対称性を保っている場合に適用できるものである。各相電流が直流成分を含む回転電動機制御装置では、逆にトルクリプルが増加してしまう。そのため、各相電流として直流成分を含む交流電流を流す場合には、トルクリプルを低減できないという問題があった。
本発明はこのような事情に鑑みてなされたものであり、各相電流として直流成分を含む交流電流を流す電動機制御装置において、トルクリプルを抑えることができる電動機制御装置を提供することを目的とする。
課題を解決するための手段及び発明の効果
そこで、本発明者は、この課題を解決すべく鋭意研究し試行錯誤を重ねた結果、鍔部の周方向幅を所定幅以下とすることで、各相電流として直流成分を含む交流電流を流す電動機制御装置において、トルクリプルを抑えられることを明らかにし、本発明を完成するに至った。
すなわち、請求項1に記載の電動機制御装置は、コンデンサと、直流端と交流端とを有し、直流端がコンデンサに接続される多相インバータと、複数の磁極を有する回転子と、回転子と径方向に対向し、回転子の磁極ピッチに対して5/6倍又は7/6倍のピッチで放射状に延びた状態で配置される歯部と、回転子と対向する歯部の端部の周方向両側面から周方向に突出する鍔部と、歯部に集中巻きされ、星形結線される多相の相巻線からなる固定子巻線と、を有し、固定子巻線の各相端が多相インバータの交流端に接続される多相電動機と、多相インバータの直流端と固定子巻線の中性点の間に接続される直流電源と、直流成分を含む多相交流電流が固定子巻線に流れるように多相インバータを制御する制御手段と、を備えた電動機制御装置において、鍔部の周方向幅は、固定子巻線を構成する線材の断面寸法の0.75倍以下であることを特徴とする。この構成によれば、各相電流として直流成分を含む交流電流を流す電動機制御装置において、トルクリプルを抑えることができる。
請求項2に記載の電動機制御装置は、請求項1に記載の電動機制御装置において、線材は、丸線であり、鍔部の周方向幅は、丸線の線径の0.75倍以下であることを特徴とする。この構成によれば、各相電流として直流成分を含む交流電流を流す電動機制御装置において、トルクリプルを確実に抑えることができる。
請求項3に記載の電動機制御装置は、請求項1に記載の電動機制御装置において、線材は、角線であり、鍔部の周方向幅は、鍔部と対向する角線の辺の長さの0.75倍以下であることを特徴とする。この構成によれば、各相電流として直流成分を含む交流電流を流す電動機制御装置において、トルクリプルを確実に抑えることができる。
請求項4に記載の電動機制御装置は、請求項3に記載の電動機制御装置において、角線は、角部に丸みを有することを特徴とする。この構成によっても、各相電流として直流成分を含む交流電流を流す電動機制御装置において、トルクリプルを確実に抑えることができる。
請求項5に記載の電動機制御装置は、コンデンサと、直流端と交流端とを有し、直流端がコンデンサに接続される多相インバータと、複数の磁極を有する回転子と、回転子と径方向に対向し、回転子の磁極ピッチに対して5/6倍又は7/6倍のピッチで放射状に延びた状態で配置される歯部と、回転子と対向する歯部の端部の周方向両側面から周方向に突出する鍔部と、歯部に集中巻きされ、星形結線される多相の相巻線からなる固定子巻線と、を有し、固定子巻線の各相端が多相インバータの交流端に接続される多相電動機と、多相インバータの直流端と固定子巻線の中性点の間に接続される直流電源と、直流成分を含む多相交流電流が固定子巻線に流れるように多相インバータを制御する制御手段と、を備えた電動機制御装置において、回転子と対向する端部側の鍔部を含む歯部の周方向幅は、回転子と対向する端部側以外の歯部の周方向幅の1.13倍以下であることを特徴とする。この構成によれば、各相電流として直流成分を含む交流電流を流す電動機制御装置において、トルクリプルを抑えることができる。
請求項6に記載の電動機制御装置は、コンデンサと、直流端と交流端とを有し、直流端がコンデンサに接続される多相インバータと、複数の磁極を有する回転子と、回転子と径方向に対向し、回転子の磁極ピッチに対して5/6倍又は7/6倍のピッチで放射状に延びた状態で配置される歯部と、回転子と対向する歯部の端部の周方向両側面から周方向に突出する鍔部と、歯部に集中巻きされ、星形結線される多相の相巻線からなる固定子巻線と、を有し、固定子巻線の各相端が多相インバータの交流端に接続される多相電動機と、多相インバータの直流端と固定子巻線の中性点の間に接続される直流電源と、直流成分を含む多相交流電流が固定子巻線に流れるように多相インバータを制御する制御手段と、を備えた電動機制御装置において、周方向に隣接した鍔部の間に形成される開口部の周方向幅は、互いに対向する回転子の表面と歯部の端面の間に形成される空隙部の径方向寸法の3倍以上であることを特徴とする。この構成によれば、各相電流として直流成分を含む交流電流を流す電動機制御装置において、トルクリプルを抑えることができる。
請求項7に記載の電動機制御装置は、請求項1〜6のいずれか1項に記載の電動機制御装置において、多相インバータの直流端は、直流高電位端と直流低電位端とからなり、直流電源は、正極端が固定子巻線の中性点に、負極端が多相インバータの直流低電位端に接続され、制御手段は、負側にオフセットした直流成分を含む多相交流電流が固定子巻線に流れるように多相インバータを制御することを特徴とする。この構成によれば、直流電源の電圧を確実に昇圧することができる。
請求項8に記載の電動機制御装置は、請求項1〜6のいずれか1項に記載の電動機制御装置において、多相インバータの直流端は、直流高電位端と直流低電位端とからなり、直流電源は、正極端が多相インバータの直流高電位端に、負極端が固定子巻線の中性点に接続され、制御手段は、正側にオフセットした直流成分を含む多相交流電流が固定子巻線に流れるように多相インバータを制御することを特徴とする。この構成によれば、直流電源の電圧を確実に昇圧することができる。
請求項9に記載の電動機制御装置は、請求項1〜8のいずれか1項に記載の電動機制御装置において、多相電動機は、回転子の外周に径方向に磁化され磁極を形成する永久磁石を有することを特徴とする。この構成によれば、多相電動機として表面磁石型同期電動機を用い、各相電流として直流成分を含む交流電流を流す電動機制御装置において、トルクリプルを抑えることができる。
請求項10に記載の電動機制御装置は、請求項9に記載の電動機制御装置において、磁極は、スキューしていることを特徴とする。この構成によれば、誘起電圧の3次高調波成分を抑えることができる。そのため、各相電流として直流成分を含む交流電流を流す電動機制御装置において、トルクリプルをより確実に抑えることができる。
請求項11に記載の電動機制御装置は、請求項9又は10のいずれか1項に記載の電動機制御装置において、磁極数は、周方向に10極又は14極であることを特徴とする。この構成によれば、構成的にトルクリプルの発生しやすい10極又は14極の多相電動機を用い、各相電流として直流成分を含む交流電流を流す電動機制御装置において、トルクリプルを抑えることができる。
請求項12に記載の電動機制御装置は、請求項1〜11のいずれか1項に記載の電動機制御装置において、多相電動機は、電動パワーステアリング装置を構成する駆動用の電動機であることを特徴とする。この構成によれば、電動パワーステアリング装置を構成する駆動用の電動機に、各相電流として直流成分を含む交流電流を流す電動機制御装置において、トルクリプルを抑えることができる。そのため、ステアリングホイールの操舵感を向上させることができる。
第1実施形態における電動機制御装置の回路図である。 3相電動機の内部構造を示す断面図である。 固定子巻線の展開図である。 図1における歯部周辺の構造を示す模式的拡大断面図である。 固定子巻線に流れる電流波形のグラフである。 昇圧動作を説明するための回路図である。 3相電動機の発生するトルク波形のグラフである。 固定子巻線の線径に対する鍔部の周方向幅の比率と、トルクリプル率の関係を示すグラフである。 トルクリプル率の比較結果を示すグラフである。 第2実施形態における3相電動機の歯部周辺の構造を示す模式的断面図である。 第3実施形態における3相電動機の歯部周辺の構造を示す模式的断面図である。 歯部の周方向幅に対する鍔部を含む歯部の周方向幅の比率と、トルクリプル率の関係を示すグラフである。 第4実施形態における3相電動機の歯部周辺の構造を示す模式的断面図である。 空隙の径方向寸法に対する開口部の周方向幅の比率と、トルクリプル率の関係を示すグラフである。
次に実施形態を挙げ、本発明をより詳しく説明する。本実施形態では、本発明に係る電動機制御装置を、車両に搭載された電動パワーステアリング装置に適用した例を示す。
(第1実施形態)
まず、図1を参照して電動機制御装置の構成について説明する。ここで、図1は、第1実施形態における電動機制御装置の回路図である。図2は、3相電動機の内部構造を示す断面図である。図3は、固定子巻線の展開図である。図4は、図2における歯部周辺の構造を示す模式的拡大断面図である。なお、図4において、歯部に1〜12の番号が付してあるが、これは、歯部を区別するために便宜的に導入したものである。
図1に示すように、電動機制御装置1は、コンデンサ10と、3相インバータ11(多相インバータ)と、3相電動機12(多相電動機)と、バッテリ13(直流電源)と、制御回路14(制御手段)とから構成されている。
コンデンサ10は、3相電動機12を駆動するための直流電圧を3相インバータ11に供給する素子である。コンデンサ10は、バッテリ13の直流電圧を昇圧した電圧によって充電される。コンデンサ10は、3相インバータ11に接続されている。
3相インバータ11は、バッテリ10の直流電圧を3相交流電圧に変換し、3相電動機12に供給する装置である。また、3相電動機12を利用してバッテリ13の直流電圧を昇圧し、コンデンサ10に供給する装置でもある。3相インバータ11は、MOSFET110〜115によって構成されている。
MOSFET110〜115は、オン、オフすることでコンデンサ10の直流電圧を3相交流電圧に変換するためのスイッチング素子である。また、3相電動機12を利用してバッテリ13の直流電圧を昇圧するためのスイッチング素子でもある。MOSFET110、113、MOSFET111、114及びMOSFET112、115は、それぞれ直列接続されている。具体的には、MOSFET110〜112のソースが、MOSFET113〜115のドレインにそれぞれ接続されている。直列接続された3組のMOSFET110、113、MOSFET111、114及びMOSFET112、115は、並列接続されている。MOSFET110〜112のドレインは、3相インバータ11の直流高電位端を構成し、コンデンサ10の一端に、MOSFET113〜115のソースは、3相インバータ11の直流低電位端を構成し、コンデンサ10の他端にそれぞれ接続されている。MOSFET110〜115のゲートは、制御回路14にそれぞれ接続されている。また、直列接続されたMOSFET110、113、MOSFET111、114及びMOSFET112、115の直列接続点は、3相インバータ11の交流端、具体的には、U、V、W相端を構成し、3相電動機12にそれぞれ接続されている。
電動機12は、3相交流電圧が印加され、3相交流電流が流れることで、ステアリングホイールの操舵をアシストするための駆動力を発生する機器である。具体的には、表面磁石型同期電動機である。図2に示すように、3相電動機12は、回転子120と、固定子121とから構成されている。
回転子120は、磁路の一部を構成するとともに、磁束を発生する部材である。回転子120は、自らの発生する磁束が、後述する固定子102の回転磁束と鎖交することでトルクを発生し、回転する。回転子120は、回転子コア1200と、回転子マグネット1201(永久磁石)と、保護カバー1202とから構成されている。
回転子コア1200は、磁路の一部を構成するとともに、回転子マグネット1201を保持する、例えば磁性材料である鉄からなる円柱状の部材である。
回転子マグネット1201は、磁束を発生する、例えばフェライトからなる円筒状の部材である。回転子マグネット1201は、回転子コア1200の外周面に固定されている。回転子マグネット1201の周面には、14極の磁極が周方向に等間隔に着磁されている。具体的には、周方向に隣接する磁極が、互いに異なる磁極となるように、径方向に磁化され、着磁されている。このとき、磁極ピッチは、電気角で180度である。
保護カバー1202は、回転子マグネット1201の外周面を保護する、非磁性材料からなる薄板円筒状の部材である。保護カバー1202は、回転子マグネット1201の外周面を覆うように固定されている。
固定子121は、電流が流れることで回転磁束を発生する部材である。回転磁束が回転子120の磁束と鎖交することで、回転子120がトルクを発生し、回転することとなる。固定子121は、固定子コア1210と、固定子巻線1211とから構成されている。
固定子コア1210は、磁路の一部を構成する、例えば磁性材料であるけい素鋼板を積層して構成される部材である。固定子コア1210は、歯部1210aと、鍔部1210bと、円筒部1210cとから構成されている。
歯部1210aは、回転子120の外周面と径方向に対向し、放射状に延びた状態で配置される周方向幅が均一な12個の略直方体状の部位である。歯部1210aは、回転子120の磁極ピッチが電気角で180度であるのに対して、電気角で210度のピッチで放射状に延びた状態で配置されている。つまり、回転子120の磁極ピッチに対して7/6倍のピッチで放射状に延びた状態で配置されている。
鍔部1210bは、回転子120と対向する歯部1210aの求心側端部の周方向両側面から周方向に突出する略直方体状の部位である。
円筒部1210cは、歯部1210aの遠心側端部を連結する円筒状の部位である。
固定子巻線1211は、電流が流れることで磁束を発生する、線材から構成される部材である。具体的には、断面が円形状の丸線によって構成されている。図3に示すように、固定子巻線1211は、U相巻線1211aと、V相巻線1211bと、W相巻線1211cとから構成されている。実線で示されるU相巻線1211aは、1番目の歯部1210aに左周りに、7番目の歯部1210aに右周りに、6番目の歯部1210aに左周りに、12番目の歯部1210aに右周りに連続してそれぞれ集中巻きされている。破線で示されるV相巻線1211bは、5番目の歯部1210aに左周りに、11番目の歯部1210aに右周りに、10番目の歯部1210aに左周りに、4番目の歯部1210aに右周りに連続してそれぞれ集中巻きされている。一点鎖線で示されるW相巻線1211cは、9番目の歯部1210aに左周りに、3番目の歯部1210aに右周りに、2番目の歯部1210aに左周りに、8番目の歯部1210aに右周りに連続してそれぞれ集中巻きされている。12番目の歯部1210aに巻回されたU相巻線1211aの端部、4番目の歯部1210aに巻回されたV相巻線1211bの端部、及び、8番目の歯部1210aに巻回されたW相巻線1211c端部は、共通接続され中性点を形成している。
ここで、図4に示すように、鍔部1210bの周方向幅W1は、固定子巻線1211を構成する丸線の線径Dの0.75倍に設定されている。
図1に示すバッテリ13は、コンデンサ10に電圧を供給するための直流電源である。バッテリ13の直流電圧は、3相電動機12の固定子巻線1211及び3相インバータ11を介して昇圧され、コンデンサ10に供給される。バッテリ13の正極端は固定子巻線1211の中性点に、負極端は3相インバータ11の直流低電位端にそれぞれ接続されている。
制御回路14は、直流成分を含む3相交流電流が固定子巻線1211に流れるように3相インバータ11を制御する回路である。具体的には、負側にオフセットした直流成分を含む3相交流電流が流れるように3相インバータ11を制御する。これにより、バッテリ13の直流電圧が昇圧され、コンデンサ10に供給されるとともに、コンデンサ10からの電圧によって3相電動機12がトルクを発生する。制御回路14は、3相インバータ11に接続されている。
次に、図1及び図4〜図9を参照して電動機制御装置の動作について説明する。ここで、図5は、固定子巻線に流れる電流波形のグラフである。図6は、昇圧動作を説明するための回路図である。図7は、3相電動機の発生するトルク波形のグラフである。図8は、固定コイルの線径に対する鍔部の周方向幅の比率と、トルクリプル率の関係を示すグラフである。図9は、トルクリプル率の比較結果を示すグラフである。
図1において、制御回路14は、直流成分を含む3相交流電流iu、iv、iwがU相巻線1211a、V相巻線1211b及びW相巻線1211cに流れるように3相インバータ11を制御する。具体的には、図5に示すように、−i0/3だけオフセットした3相交流電流iu、iv、iwが流れるように、図1に示すMOSFET110〜115をオン、オフする。これにより、バッテリ13から固定子巻線1211の中性点に直流電流i0が流れる。具体的には、図5に示すように、負側にオフセットした略正弦波状の電流が流れる。W相に着目すれば、図6において、MOSFET115をオンすると、W相巻線1211cに直流電流i0が流れ、磁気エネルギーが蓄積される。そして、MOSFET115をオフしMOSFET112をオンすると、W相巻線1211cのインダクタンス成分により、電流が流れ続けてコンデンサ10を充電し、W相巻線1211cに蓄積された磁気エネルギーが静電エネルギーに変換される。交互のスイッチングをモータの基本周期に対して十分に高速に、例えば10kHzで実施すれば、バッテリ13の直流電圧が昇圧されてコンデンサ10に供給される。また、U相巻線1211aに直流電流i0が流れ、MOSFET110、113がオン、オフすることで、さらに、V相巻線1211bに直流電流i0が流れ、MOSFET111、114がオン、オフすることで、同様にバッテリ13の直流電圧が昇圧されコンデンサ10に供給される。これにより、バッテリ13の直流電圧が昇圧され、コンデンサ10に供給されるとともに、コンデンサ10からの電圧によって3相電動機12がトルクを発生する。
図7に示すように、3相電動機12の発生するトルクは、変動成分であるトルクリプルを有している。前述したように、誘起電圧の3次高調波成分に起因するトルクリプルを有している。しかし、図4に示す鍔部1210bの周方向幅W1は、固定子巻線1211を構成する丸線の線径の0.75倍に設定されている。図8に示すように、固定子巻線1211の線径Dに対する鍔部1210bの周方向幅の比率を0.75倍以下にすると、トルクリプル率を、ステアリングホイールの操舵感に影響与えないレベルまで抑えることができる。ここで、トルクリプル率は、図7におけるトルク平均値に対するトルクリプルの割合である。例えば、図7及び図9に示すように、鍔部1210bの周方向幅W1のみが、固定子巻線1211の線径の1.75倍である従来構成に比べ、誘起電圧の3次高調波成分に起因するトルクリプルを、60%程度に抑えることができる。
最後に、効果について説明する。第1実施形態によれば、電動パワーステアリング装置を構成する駆動用の3相電動機に、各相電流として直流成分を含む交流電流を流す電動機制御装置において、トルクリプルを抑えることができる。そのため、ステアリングホイールの操舵感を向上させることができる。
また、第1実施形態によれば、バッテリ13の正極端が固定子巻線1211の中性点に、負極端が3相インバータ11の直流低電位端にそれぞれ接続され、負側にオフセットした直流成分を含む3相交流電流が固定子巻線1211に流れるように3相インバータ11が制御される。そのため、バッテリ13の直流電圧を確実に昇圧して、コンデンサ10に供給することができる。
さらに、第1実施形態によれば、3相電動機12は、回転子120の表面に回転子マグネット1201を有する、表面磁石型同期電動機である。そのため、表面磁石型同期電動機を用い、各相電流として直流成分を含む交流電流を流す電動機制御装置においても、トルクリプルを抑えることができる。
加えて、第1実施形態によれば、回転子マグネット1201の周面に、14極の磁極が着磁されている。この場合、構成的にトルクリプルが発生しやすい。しかし、このようなトルクリプルの発生しやすい14極の3相電動機を用い、各相電流として直流成分を含む交流電流を流す電動機制御装置においても、トルクリプルを抑えることができる。
(第2実施形態)
次に、第2実施形態の電動機制御装置について説明する。第2実施形態の電動機制御装置は、第1実施形態の電動機制御装置に対して、3相電動機の固定子巻線を構成する線材を角線に変更したものである。
図10を参照して3相電動機の構成及び効果について説明する。ここで、図10は、第2実施形態における3相電動機の歯部周辺の構造を示す模式的断面図である。ここでは、第1実施形態の電動機制御装置との相違部分である3相電動機の構成のみについて説明し、共通する部分につては説明を省略する。
図10に示すように、固定子巻線2211は、断面が角部に丸みを有する略長方形状の角線によって構成されている。固定子巻線2211は、短辺を周方向に揃えた状態で歯部2210aに集中巻きされている。ここで、鍔部2210bの周方向幅W2は、固定子巻線2211を構成する角線のうち、鍔部2210bと対向する短辺の長さLの0.75倍に設定されている。
この場合も、固定子巻線2211の短辺の長さLに対する鍔部2210bの周方向幅W2の比率を0.75倍以下にすると、トルクリプル率を、ステアリングホイールの操舵感に影響与えないレベルまで抑えることができる。そのため、第1実施形態と同様の効果を得ることができる。
(第3実施形態)
次に、第3実施形態の電動機制御装置について説明する。第3実施形態の電動機制御装置は、第1実施形態の電動機制御装置が、線径を基準として鍔部の周方向幅を設定していたのに対して、歯部の周方向幅を基準として鍔部を含む歯部の周方向幅を設定したものである。
図11及び図12を参照して3相電動機の構成及び効果について説明する。ここで、11図は、第3実施形態における3相電動機の歯部周辺の構造を示す模式的断面図である。図12は、歯部の周方向幅に対する鍔部を含む歯部の周方向幅の比率と、トルクリプル率の関係を示すグラフである。ここでは、第1実施形態の電動機制御装置との相違部分である3相電動機の構成のみについて説明し、共通する部分につては説明を省略する。
図11に示すように、回転子320と対向する端部側の鍔部3210bを含む歯部3210aの周方向幅W3は、回転子320と対向する端部側以外の歯部3210aの周方向幅W4の1.13倍に設定されている。図12に示すように、回転子320と対向する端部側以外の歯部3210aの周方向幅W4に対する鍔部3210bを含む歯部3210aの周方向幅W3の比率を、1.13倍以下にすると、トルクリプル率を、ステアリングホイールの操舵感に影響与えないレベルまで抑えることができる。
そのため、電動パワーステアリング装置を構成する駆動用の3相電動機に、各相電流として直流成分を含む交流電流を流す電動機制御装置において、トルクリプルを抑えることができる。従って、ステアリングホイールの操舵感を向上させることができる。
(第4実施形態)
次に、第4実施形態の電動機制御装置について説明する。第4実施形態の電動機制御装置は、第1実施形態の電動機制御装置が、線径を基準として鍔部の周方向幅を設定していたのに対して、空隙部の径方向寸法を基準として開口部の周方向幅を設定したものである。
図13及び図14を参照して3相電動機の構成及び効果について説明する。ここで、図13は、第4実施形態における3相電動機の歯部周辺の構造を示す模式的断面図である。図14は、空隙の径方向寸法に対する開口部の周方向幅の比率と、トルクリプル率の関係を示すグラフである。ここでは、第1実施形態の電動機制御装置との相違部分である3相電動機の構成のみについて説明し、共通する部分につては説明を省略する。
図13に示すように、周方向に隣接した鍔部4210bの間に形成される開口部4210dの周方向幅W5は、互いに対向する回転子マグネット4201の表面と歯部4210aの端面の間に形成される空隙部4210eの径方向寸法Gの3倍に設定されている。図14に示すように、空隙部4210eの径方向寸法Gに対する開口部4210dの周方向幅W5の比率を、3倍以上にすると、トルクリプル率を、ステアリングホイールの操舵感に影響与えないレベルまで抑えることができる。
そのため、電動パワーステアリング装置を構成する駆動用の3相電動機に、各相電流として直流成分を含む交流電流を流す電動機制御装置において、トルクリプルを抑えることができる。従って、ステアリングホイールの操舵感を向上させることができる。
なお、本実施形態では、バッテリの正極端が固定子巻線の中性点に、負極端が3相インバータの直流低電位端にそれぞれ接続され、負側にオフセットした直流成分を含む3相交流電流が固定子巻線に流れるように3相インバータが制御される例を挙げているが、これに限られるものではない。バッテリの正極端が3相インバータの直流高電位端に、負極端が固定子巻線の中性点にそれぞれ接続され、正側にオフセットした直流成分を含む3相交流電流が固定子巻線に流れるように3相インバータが制御されるようにしてもよい。この場合も同様に、バッテリ13の直流電圧を確実に昇圧して、コンデンサ10に供給することができる。
また、本実施形態では、回転子マグネットの磁極が軸方向にストレートに形成されている例を挙げているが、これに限られるものではない。例えば、磁極はスキューしていてもよい。これにより、誘起電圧の3次高調波成分を抑えることができる。そのため、各相電流として直流成分を含む交流電流を流す電動機制御装置において、トルクリプルをより確実に抑えることができる。
さらに、本実施形態では、回転子マグネットの周面に14極の磁極が形成されている例を挙げているが、これに限られるものではない。例えば、固定子側の構成はそのままに、回転子マグネットの磁極数を10極にしてもよい。この場合、歯部は、回転子の磁極ピッチが電気角で180度であるのに対して、電気角で150度のピッチで放射状に延びた状態で配置されることとなる。つまり、回転子の磁極ピッチに対して5/6倍のピッチで放射状に延びた状態で配置されることとなる。14極の場合と同様に、構成的にトルクリプルが発生しやすい。しかし、このようなトルクリプルの発生しやすい10極の3相電動機を用い、各相電流として直流成分を含む交流電流を流す電動機制御装置においても、トルクリプルを抑えることができる。
加えて、本実施形態では、電動機及びインバータが3相かなる例を挙げているが、これに限られるものではない。3相以外の多相であってもよい。
1・・・電動機制御装置、10・・・コンデンサ、11・・・3相インバータ(多相インバータ)、110〜115・・・MOSFET、12・・・3相電動機(多相電動機)、120、320・・・回転子、1200・・・回転子コア、1201、4201・・・回転子マグネット(永久磁石)、1202・・・保護カバー、121・・・固定子、1210・・・固定子コア、1210a、2210a、3210a、4210a・・・歯部、1210b、2210b、3210b、4210b・・・鍔部、1210c・・・円筒部、4210d・・・開口部、4210e・・・空隙部、1211、2211・・・固定子巻線、1211a・・・U相巻線、1211b・・・V相巻線、1211c・・・W相巻線、13・・・バッテリ(直流電源)、14・・・制御回路(制御手段)

Claims (12)

  1. コンデンサと、
    直流端と交流端とを有し、前記直流端が前記コンデンサに接続される多相インバータと、複数の磁極を有する回転子と、前記回転子と径方向に対向し、前記回転子の磁極ピッチに対して5/6倍又は7/6倍のピッチで放射状に延びた状態で配置される歯部と、前記回転子と対向する前記歯部の端部の周方向両側面から周方向に突出する鍔部と、前記歯部に集中巻きされ、星形結線される多相の相巻線からなる固定子巻線と、を有し、前記固定子巻線の各相端が前記多相インバータの前記交流端に接続される多相電動機と、
    前記多相インバータの前記直流端と前記固定子巻線の中性点の間に接続される直流電源と、
    直流成分を含む多相交流電流が前記固定子巻線に流れるように前記多相インバータを制御する制御手段と、
    を備えた電動機制御装置において、
    前記鍔部の周方向幅は、前記固定子巻線を構成する線材の断面寸法の0.75倍以下であることを特徴とする電動機制御装置。
  2. 前記線材は、丸線であり、
    前記鍔部の周方向幅は、前記丸線の線径の0.75倍以下であることを特徴とする請求項1に記載の電動機制御装置。
  3. 前記線材は、角線であり、
    前記鍔部の周方向幅は、前記鍔部と対向する前記角線の辺の長さの0.75倍以下であることを特徴とする請求項1に記載の電動機制御装置。
  4. 前記角線は、角部に丸みを有することを特徴とする請求項3に記載の電動機制御装置。
  5. コンデンサと、
    直流端と交流端とを有し、前記直流端が前記コンデンサに接続される多相インバータと、複数の磁極を有する回転子と、前記回転子と径方向に対向し、前記回転子の磁極ピッチに対して5/6倍又は7/6倍のピッチで放射状に延びた状態で配置される歯部と、前記回転子と対向する前記歯部の端部の周方向両側面から周方向に突出する鍔部と、前記歯部に集中巻きされ、星形結線される多相の相巻線からなる固定子巻線と、を有し、前記固定子巻線の各相端が前記多相インバータの前記交流端に接続される多相電動機と、
    前記多相インバータの前記直流端と前記固定子巻線の中性点の間に接続される直流電源と、
    直流成分を含む多相交流電流が前記固定子巻線に流れるように前記多相インバータを制御する制御手段と、
    を備えた電動機制御装置において、
    前記回転子と対向する端部側の前記鍔部を含む前記歯部の周方向幅は、前記回転子と対向する端部側以外の前記歯部の周方向幅の1.13倍以下であることを特徴とする電動機制御装置。
  6. コンデンサと、
    直流端と交流端とを有し、前記直流端が前記コンデンサに接続される多相インバータと、複数の磁極を有する回転子と、前記回転子と径方向に対向し、前記回転子の磁極ピッチに対して5/6倍又は7/6倍のピッチで放射状に延びた状態で配置される歯部と、前記回転子と対向する前記歯部の端部の周方向両側面から周方向に突出する鍔部と、前記歯部に集中巻きされ、星形結線される多相の相巻線からなる固定子巻線と、を有し、前記固定子巻線の各相端が前記多相インバータの前記交流端に接続される多相電動機と、
    前記多相インバータの前記直流端と前記固定子巻線の中性点の間に接続される直流電源と、
    直流成分を含む多相交流電流が前記固定子巻線に流れるように前記多相インバータを制御する制御手段と、
    を備えた電動機制御装置において、
    周方向に隣接した前記鍔部の間に形成される開口部の周方向幅は、互いに対向する前記回転子の表面と前記歯部の端面の間に形成される空隙部の径方向寸法の3倍以上であることを特徴とする電動機制御装置。
  7. 前記多相インバータの前記直流端は、直流高電位端と直流低電位端とからなり、
    前記直流電源は、正極端が前記固定子巻線の前記中性点に、負極端が前記多相インバータの前記直流低電位端に接続され、
    前記制御手段は、負側にオフセットした直流成分を含む多相交流電流が前記固定子巻線に流れるように前記多相インバータを制御することを特徴とする請求項1〜6のいずれか1項に記載の電動機制御装置。
  8. 前記多相インバータの前記直流端は、直流高電位端と直流低電位端とからなり、
    前記直流電源は、正極端が前記多相インバータの前記直流高電位端に、負極端が前記固定子巻線の前記中性点に接続され、
    制御手段は、正側にオフセットした直流成分を含む多相交流電流が前記固定子巻線に流れるように前記多相インバータを制御することを特徴とする請求項1〜6のいずれか1項に記載の電動機制御装置。
  9. 前記多相電動機は、前記回転子の外周に径方向に磁化され前記磁極を形成する永久磁石を有することを特徴とする請求項1〜8のいずれか1項に記載の電動機制御装置。
  10. 前記磁極は、スキューしていることを特徴とする請求項9に記載の電動機制御装置。
  11. 磁極数は、周方向に10極又は14極であることを特徴とする請求項9又は10のいずれか1項に記載の電動機制御装置。
  12. 前記多相電動機は、電動パワーステアリング装置を構成する駆動用の電動機であることを特徴とする請求項1〜11のいずれか1項に記載の電動機制御装置。
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