JP2010165845A - 高周波回路用プリント基板 - Google Patents

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貴広 柴田
Yoshiaki Satake
芳彰 佐竹
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Abstract

【課題】高周波回路用プリント基板に形成された高周波伝送路の信号線のパターンが障害範囲を回避しやすくし、また、一般の高周波伝送路に対し、接地導体間距離、線路インピーダンス、基板材質の条件を変更することなく、低損失で伝送効率のよい高周波伝送路を形成することのできる高周波回路用プリント基板を提供する。
【解決手段】高周波回路用プリント基板10で、誘電体層1の内部または表面に形成された信号線路4のパターンを、誘電体層1に設けられているパターン不可侵範囲6a、6bに対してパターンを分岐した分岐部7a、7bによりパターン不可侵範囲6a、6bに侵入しないように形成する。
【選択図】図1

Description

本発明は、高周波伝送路が形成された高周波回路用プリント基板に関する。
携帯電話機や無線LAN(Local Area Network)システムには800MHz帯や1.9(GHz)帯、2.4(GHz)帯などの周波数が利用されている。このような高周波回路や高速回路をプリント配線板上で設計する場合に、高周波伝送路における信号の反射が問題となる。信号の反射が発生すると、波形が崩れ、信号の伝送がうまく行かなくなり、回路が正常に機能しなくなるほか、余分な放射EMI(Electro Magnetic Interference)が発生する。
そこで、高周波伝送路での信号の反射を防止するために、高周波伝送路に同軸ケーブルと同種の機能を持たせるようにしている。そのような高周波伝送路として、一般に、ストリップ線路(あるいはマイクロストリップ線路)やトリプレート線路が知られている。
図7はマイクロストリップ線路の一例で、信号線路の方向に垂直な断面から見た場合の断面図を示している。すなわち、誘電体21と、その誘電体21の下面(即ち下層)に形成されたグランド導体(グランド層)22と、その誘電体21の上面(即ち上層)に形成された信号線路(信号導体線、ストリップ導体)23とによって構成される。この例に示したマイクロストリップ線路では、各導体の寸法等は、例えば、誘電体21の厚さが320μm、信号線路23の線幅が500μm、特性インピーダンス50オームに設定されている。
また、図8はトリプレート線路の一例で、信号線路の方向に垂直な断面から見た場合の断面図を示している。すなわち、誘電体21と、その誘電体21の上面及び下面(即ち上層及び下層)に形成されたグランド導体22と、その上下のグランド導体22によって挟まれるように誘電体21の内層に埋設された信号線路23(信号導体線、ストリップ導体)とによって構成される。この例に示したトリプレート線路では、各導体の寸法等は、例えば、誘電体21の厚さが320μm、信号線路23の線幅が115μm、特性インピーダンス50オームに設定されている。
これらのマイクロストリップ線路、あるいはトリプレート線路は、信号線路23とグランド導体22との電磁的な結合によって、あるいは、周波数20〜30GHzの高周波信号を信号線路23の方向に沿って伝送する(例えば、特許文献1を参照)。
高周波伝送路は、伝送路の特性インピーダンスと負荷のインピーダンスが等しい場合は反射が発生しないので、従来から、プリント配線板上にストリップ線路やトリプレート線路を形成し、所望の特性インピーダンス(例えば、50Ω)を得るインピーダンス管理が行われている。
回路基板構造におけるグランド層は、信号伝送路の特性インピーダンスを規定する電気的な基準面となる。そして、一般に特性インピーダンスはシングルエンドで50Ω前後に、差動で100Ω前後に選択される場合が多い。
一方、回路基板における特性インピーダンスは、信号伝送路の単位長さあたりのリアクタンスLと、信号伝送路とグランド層との間における単位面積あたりの容量Cの比(リアクタンスL/容量C)の平方根で近似される値となる(例えば、特許文献2を参照)。
また、一般に、高周波伝送路では、伝送路の配線幅が小さくなるにつれて信号の減衰量が大きくなり、長距離伝送を行うことが困難になる。
また、GHzを超えるような高速伝送では、高周波伝送路の配線パターンの誘電体損失、導体損失等の原因で信号が減衰するという問題が一般的に知られている。誘電体損失は、プリント基板を低損失基板にすることで改善することが可能となり、導体損失は、高周波伝送路を構成する配線パターンの配線幅を広げることで改善することが可能となる。従って、長距離伝送を行うためには、信号の減衰量を抑制するために、高周波伝送路を構成する配線パターンの配線幅をできるだけ広く設計することになる(例えば、特許文献3を参照)。
また、高周波回路用プリント基板を多層にした場合の内層回路板の表面処理方法についての技術も開示されている(例えば、特許文献4を参照)。
特開2004−320109号公報 特開2007−141990号公報 特開2006−245291号公報 特開平5−308191号公報
しかしながら、プリント積層基板の高密度化や高積層化に伴い、高周波回路を形成する積層基板内にはビアホールやスルーホール等が存在し、高速伝送路の障害となりうる構造が頻繁に発生する場合が多い。高周波伝送路はより高密度化が要請されているが、障害により高周波伝送路を直線で最短距離に結ぶように配置させることが不可能な場合が生ずる。
従来では、高周波伝送路の障害を回避する場合、障害の個所を移動させるか、高周波伝送路を、障害の範囲だけ迂回させる等の手段を講じてきた。しかし、迂回させる場合は、高周波伝送路を迂回させる分について、プリント基板に必要スペースを存在させなければならないことになり、プリント基板の面積を広くしなければならない。
しかも、高速伝送路が形成されている積層基板の薄型化や高積層化により、プリント基板内の高周波伝送路の占める厚さは薄くせざるをえない傾向にある。高周波伝送路の薄型化は伝送線路損失の増大を招き、これの低減のためには、高周波伝送路の占める厚さ、線路インピーダンス、基板材質等の設計条件を変更する必要が生じている。
本発明は、これらの事情にもとづいてなされたもので、高周波回路用プリント基板に形成された高周波伝送路の信号線路のパターンが障害範囲であるパターン不可侵範囲を回避しやすくする。さらに、一般の高周波伝送路に対し、接地導体間距離、線路インピーダンス、基板材質の条件を変更することなく、低損失で伝送効率のよい高周波伝送路を形成することのできる高周波回路用プリント基板を提供することを目的としている。
本発明の一態様によれば、基板を形成する誘電体層と、この誘電体層の少なくとも一面に形成された接地導体と、前記誘電体層に設けられたパターン不可侵範囲と、前記誘電体層の内部または他面の表面に形成され、前記パターン不可侵範囲に対してパターンを分岐した分岐部により該パターン不可侵範囲に侵入しないように形成されたパターンを形成した信号線路とを有する高周波回路用プリント基板が提供される。
本発明の一態様に係る高周波回路用プリント基板は、前記信号路線の前記パターンは、前記分岐部が前記不可侵範囲の前後で少なくとも一方が合流していることを特徴とする。
また、本発明の一態様に係る高周波回路用プリント基板は、前記パターン不可侵範囲は、ビアホールあるいはスルーホールに対して設けられていることを特徴とする。
本発明によれば、高周波回路用プリント基板に形成された高周波伝送路の信号線路のパターンが、障害範囲であるパターン不可侵範囲を回避しやすくなる。また、一般の高周波伝送路に対し、接地導体間距離、線路インピーダンス、基板材質の条件を変更することなく、低損失で伝送効率のよい高周波伝送路を形成することのできる高周波回路用プリント基板を提供できる。
本発明の高周波伝送路が形成された高周波回路用プリント基板の一例を示す、部分切り出し透視斜視図である。 図1においてA1及びA2を通る仮想平面で高周波回路用プリント基板をスライスしたものを、矢印B方向に見た平面図である。 図1において、矢印C方向から見た側面断面図である。 本発明の高周波伝送路としてのストリップ線路の側面断面図である。 本発明の高周波伝送路の具体例の信号線路のパターンの平面図である。 本発明の高周波伝送路が形成された高周波回路用プリント基板の部分切り出し透視斜視図である。 マイクロストリップ線路の側面断面図である。 トリプレート線路の側面断面図である。
以下、本発明の高周波回路用プリント基板についての実施をするための形態について、図面を参照して説明する。
図1は、本発明の高周波伝送路が形成された高周波回路用プリント基板の一例を示す、部分切り出し透視斜視図である。また、図2は、図1においてA1及びA2を通る仮想平面で高周波回路用プリント基板をスライスしたものを、矢印B方向に見た平面図である。また、図3は、図1において、矢印C方向から見た側面断面図である。
高周波回路用プリント基板10は高周波伝送路として、背景技術の項で説明したトリプレート線路が形成されている。すなわち基本構成は、ベース基材である誘電体層1と、その誘電体層1の上面及び下面(即ち上層及び下層)に形成された接地導体2、3と、その上下の接地導体2、3によって挟まれるように誘電体層1の内層に埋設された信号線路(信号導体線、ストリップ導体)4とによって構成されている。また、上下の接地導体2、3には任意の位置にビアホール(あるいはスルーホール)5が形成されている。
また、誘電体層1の内層に埋設された信号線路4のパターンに対してはパターン不可侵範囲6a、6bが存在する。不可侵範囲は、ビアホール5(あるいはスルーホール)等と接触あるいは近接してはならないパターン不可侵範囲6aや、スルーホールを形成するためのパターン不可侵範囲6bとして設けている。
信号線路4は、線状の銅、アルミニウム、金等の金属配線材を用いたパターンで形成された配線層である。信号線路4は、直線的にパターンを形成することによってビアホール5によるパターン不可侵範囲6aに侵入してしまう場合、ビアホール5の前後でビアホール5を非接触に取り囲むようにパターンを分岐した分岐部7a、7bを形成している。また、分岐部7a、7bの最外側は、直線状のパターン不可侵範囲6bに侵入しない範囲になるように設けられている。
しかも、両分岐部7a、7bの線幅の和と、非分岐部7a、7bの線幅とは近似している。したがって、高周波伝送路としての特性インピーダンスの大きな変動を抑制することができ、高周波伝送路として発生する障害を防ぐことができる。
図1に示したように、パターン不可侵範囲6bの個所では並走している両分岐部7a、7bは、パターン不可侵範囲6aを通過後の位置で合流して一本のパターンの信号線路4になる。ただし、パターン不可侵範囲6a、6bの形状や大きさや配置によっては、パターンは合流しないままの場合もある。
誘電体層1は、ガラスエポキシ、ポリイミド、液晶ポリマー、テフロン(登録商標)等の絶縁性樹脂(誘電体)などの有機膜を絶縁層とし機能すると共に、高周波回路用プリント基板10の基板のコアとなる機能も有している。
なお、上述の場合、高周波伝送路としてトリプレート線路について説明したが、図4に側面断面図を示したように、多層基板の一部の2点鎖線の領域Dに注目すれば、ストリップ線路が形成されていると見做すこともできる。なお、図4において、図3と同一部位には同一符号を付して、その個々の説明を省略する。図4の場合では、誘電体層1の一方の表面に接地導体3が形成され、他方の面に信号線路4が形成されている構成である。
したがって、本発明に用いられる高周波伝送路は、トリプレート線路であってもストリップ線路であってもよい。
次に、上述の高周波伝送路の具体例について説明する。
(具体例)
図5は、高周波伝送路の信号線路のパターンの平面図で、図6は、高周波伝送路が形成された高周波回路用プリント基板の部分切り出し透視斜視図である。なお、図5および図6において、図1と同一部位には同一符号を付して、その個々の説明を省略する。
すなわち、図5で示したように、テフロン(登録商標)(比誘電率;2.1)で形成された誘電体層1のX軸方向には、外径がφ0.2mmの3つのスルーホール5(あるいはビアホール5)が2列に、外径間ピッチ0.23mmで形成されている。
Z軸方向から中央のスルーホールの中心と中心線を一致させて、厚さが0.013mmで、線幅0.23mmの信号線路4のパターンが形成されている。このパターンの形状は、スルーホール5の位置まで直進状に形成すると、スルーホール5と接触してしまうため、パターンは中央のスルーホール5の手前で、左右に2つに分岐して並走した分岐部7a、7bを形成している。分岐部7a、7bのパターンの線幅は、双方共には0.09mmである。なお、パターンの抵抗値は、分岐以前の一本の個所は20Ω、2本が並走している分岐部7a、7bは40Ωである。分岐部7a、7bのパターンは2つのスルーホール5の間を非接触で通過するように形成され、2列のスルーホール5を通過後に分岐部7a、7bは合流して、分岐前と同じ線幅0.23mmの一本のパターンになる。
なお、2列のスルーホール5を分岐部7a、7bのパターンが通過する部位でのパターンの幅方向の端部とスルーホール5の最外径との間隔はそれぞれ、0.07mmが確保されている。
したがって、高周波伝送路に対し、信号伝送の際の悪影響は回避され、かつ、パターンの線幅も確保されているので信号の減衰量も抑制することができ、良好な信号伝送をおこなうことができる。
なお、誘電体層1の上下面に設けられている銅製の接地導体2、3は、いずれも厚さが0.013mmで、接地導体2、3の相互の間隔(誘電体層1の厚さと同じ)は0.1mmであり、相互の間隔の中央部に信号線路4が配置されている。
なお、上述の具体例では、3つのスルーホール5で、隣接するスルーホール5同士の間隔が等しい場合のため、分岐した分岐部7a、7bの線幅は等しくしたが、隣接したスルーホール5の間隔同士が等しくない場合は、分岐した分岐部7a、7bの線幅に差異が生じる場合もある。その場合でも、分岐部7a、7bのパターンの幅方向の端部とスルーホール5の最外径との間隔については、所定間隔を確保している必要がある。その際の所定間隔は誘電体層1を形成する誘電体の材質による比誘電率や、信号線路4の断面積や外の様々な要因により異なる。したがって、誘電体の材質や信号線路4の断面積等の様々な要因を勘案して設定する必要があり、一律に数値では示せない。
つまり、スルーホール5等の障害要因が密集する領域に形成する信号線路4は、分岐部7a、7bを形成して分岐し、各分岐部7a、7bはパターンの線幅を細く設計することになる。その際、パターン全体の特性インピーダンスが所望のインピーダンスとなるように設計する。
また、スルーホール5等が無い領域に形成する信号線路4は、信号の減衰量が小さくなるようにパターンの線幅を広く設計することになる。パターンの線幅を広く設計することで、信号の減衰量を小さくすることが可能になる。ただし、パターンの線幅を広く設計した場合、信号線路4の特性インピーダンスが低下することになり、50Ω線路と線路をつなげる場合は、中間にインピーダンス整合回路を挟むなど、インピーダンスを制御する設計を変える必要がある。
以上に説明したように、高周波回路用プリント基板10に信号伝送の障害となるスルーホール5等によるパターン不可侵範囲6a、6bが存在した場合、信号線路4のパターンをパターン不可侵範囲6a、6bに接触しないように分岐する。
それにより、信号線路4を、高周波回路用プリント基板10に設けられて信号伝送の障害となるスルーホール5等によるパターン不可侵範囲6a、6bに対し、大きく迂回させたりする必要がなくなる。したがって、高周波回路用プリント基板10の面積を拡大する必要がなく、かつ、パターン設計も容易になる。
なお、本発明は上記の実施形態のそのままに限定されるものではなく、実施段階ではその要旨を逸脱しない範囲で構成要素を変形して具体化できる。また、上記の実施形態に開示されている複数の構成要素の適宜な組み合わせにより、種々の発明を形成できる。例えば、実施形態に示される全構成要素から幾つかの構成要素を削除してもよい。さらに、異なる実施形態にわたる構成要素を適宜組み合わせてもよい。
1…誘電体層、2…接地導体、3…接地導体、4…信号線路、5…ビアホール、スルーホール、6a、6b…パターン不可侵範囲、7a、7b…分岐部、10…高周波回路用プリント基板。

Claims (3)

  1. 基板を形成する誘電体層と、この誘電体層の少なくとも一面に形成された接地導体と、前記誘電体層に設けられたパターン不可侵範囲と、前記誘電体層の内部または他面の表面に形成され、前記パターン不可侵範囲に対してパターンを分岐した分岐部により該パターン不可侵範囲に侵入しないように形成されたパターンを形成した信号線路とを有する高周波回路用プリント基板。
  2. 前記信号路線の前記パターンは、前記分岐部が前記不可侵範囲の前後で少なくとも一方が合流していることを特徴とする請求項1記載の高周波回路用プリント基板。
  3. 前記パターン不可侵範囲は、ビアホールあるいはスルーホールに対して設けられていることを特徴とする請求項1または2記載の高周波回路用プリント基板。
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