JP2010165704A - 半導体レーザ及びその製造方法 - Google Patents

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Mitsuki Matsudate
みつき 松舘
Koichi Nanbae
宏一 難波江
Masateru Oya
昌輝 大矢
Ichiro Masumoto
一郎 増本
Shunsuke Nozu
俊介 野津
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Abstract

【課題】スペックル低減のために、他の外部部品を用いることなく発振波長幅を拡大させ、小型・低コストで高性能なディスプレイ用の光源として有効な半導体レーザ素子を提供すること。
【解決手段】本発明に係る半導体レーザは、活性層を含む共振器構造と、前記共振器構造の端面に形成され、発振波長幅を拡大する反射膜と、を備え、前記反射膜の反射率スペクトルが、前記活性層の利得ピーク波長の近傍において極小値を有することを特徴とするものである。
【選択図】図2

Description

本発明は、半導体レーザ及びその製造方法、特に、ディスプレイ光源用の半導体レーザ及びその製造方法に関する。
半導体レーザを光源に用いたプロジェクション型のレーザディスプレイが期待されている。レーザ光源は、ランプ光源に比べ単色性が高く、色再現性に優れたディスプレイを実現できる。また、レーザ光は指向性に優れるため、光の利用効率も高い。更に、小型で高効率な半導体レーザを光源として用いれば、更なる低消費電力化や装置の小型化が可能になる。そのため、ディスプレイ用可視半導体レーザ光源の実用化が期待されている。
しかしながら、レーザ光は位相が揃っており高コヒーレンス性を有するため、スクリーンに投射された光がランダムに干渉することにより、スペックルと呼ばれるちらつきが生じることが知られている。これが、レーザディスプレイを実現する上で大きな問題となっている。
このようなスペックルを抑制するためには、光の時間的コヒーレンス性の低減が必要である。時間的コヒーレンスを低減する手法として、位相をランダムにするための空間位相変調器を光源の外に設ける方法や、複数の光源からの光を集光する方法などがある。このような方法は、大型のディスプレイ応用としては有効である。しかしながら、半導体レーザの特性を活かした小型のディスプレイ応用には、コスト低減の観点からも、より簡素な構成が望ましい。即ち、光源である半導体レーザ単体でスペックルを低減できる方法が求められている。
半導体レーザ単体でスペックルを抑制するためには、発振波長幅を広げることが有効である。一般的な端面発光型半導体レーザでは、各モードの波長幅は0.1nm以下である。一方、スペックル低減に有効で、かつレーザとしての単色性を損なわない波長幅としては、使用条件によって異なるが一般に数nm〜10nm程度の範囲にあることが望ましい。よって、半導体レーザ単体でスペックルを抑制するためには、同時に複数のモードで発振する多モード動作をさせ、発振モード全体としての波長幅を広くすることが必要である。
多モード動作により発振波長幅を拡大するためには、波長の異なる多数のモードでの発振動作が、同時に、或いは人の目が追随できないほど高速にスイッチングしながら起こる状況を実現する必要がある。原理的には、半導体レーザでは、あるモードにおける損失に利得が釣り合った段階でキャリア密度がクランプされ、他のモードでは発振しないはずである。ところが、現実には様々な要因によりキャリアは厳密にはクランプされず、動的な効果も含めて利得と損失のバランスが微妙に変化する。そのため、複数のモードが発振し得る。但し、このような変化は微小であるため、通常、発振に寄与するのは利得スペクトルのピーク付近のモードに限定される。
上記のような多モード動作により発振波長幅を拡大するために、活性層の面内や積層方向に発光波長の異なる複数の領域を設け、活性層全体としての利得スペクトルを平坦化させようとする手法がある。
なお、特許文献1には、反射面の反射率の波長依存性を制御することにより、発振波長帯域を狭めた半導体レーザが開示されている。特許文献2には、レーザの発振波長近傍で反射率が極小になる反射膜を出射端面に備えた半導体レーザが開示されている。特許文献3には、準位が異なる複数の量子井戸層を有する光増幅器が開示されている。
特開平10−190124号公報 特開2006−128475号公報 特開平02−304993号公報
一般に、注入キャリアは低エネルギー側から順に詰まっていくため、活性層の面内や積層方向に発光波長の異なる領域を設けるのみでは、十分なスペクトルの平坦性を得ることができない。よって、更に利得スペクトルを平坦化するために、波長の異なる各活性層領域を設けた上、各領域にキャリアを注入する方法を調整したり、或いは利得が飽和して平坦化効果が顕れるまでキャリア注入レベルを高くしたりしなければならない。即ち、適正な通常のキャリア注入レベルで平坦な利得スペクトルを得ることは困難な場合がある。
本発明は、上記を鑑みなされたものであり、素子単体でスペックルが低減された半導体レーザを提供することを目的としている。
本発明に係る半導体レーザは、
活性層を含む共振器構造と、
前記共振器構造の端面に形成され、発振波長幅を拡大する反射膜と、を備え、
前記反射膜の反射率スペクトルが、前記活性層の利得ピーク波長の近傍において極小値を有することを特徴とするものである。
本発明に係る半導体レーザは、
活性層を含む共振器構造と、
前記共振器構造の端面に形成され、高屈折率層と当該高屈折率層よりも低い屈折率を有する低屈折率層とが交互に積層された反射膜と、を備え、
前記反射膜が、
前記高屈折率層及び低屈折率層の1波長分の光路長をH及びLとすると、
膜厚{(2n+1)/4+x}Hの高屈折率層と膜厚{(2n+1)/4+x}Lの低屈折率層とがm回繰り返された第1の繰り返し構造と、
膜厚{(2n+1)/2−x/2}Hの高屈折率層からなるスペーサ層と、を備えることを特徴とするものである(但し、nは0又は自然数、mは自然数、xは|x|≦0.25を満たす実数であって、各高屈折率層及び低屈折率層におけるnの値は互いに異なっていてもよい。)。
本発明に係る半導体レーザの製造方法は、
活性層を含む共振器構造を形成する工程と、
前記共振器構造の端面に、発振波長幅を拡大する反射膜を形成する工程と、を備え、
前記反射膜の反射率スペクトルが、前記活性層の利得ピーク波長の近傍において極小値を有することを特徴とするものである。
本発明に係る半導体レーザの製造方法は、
活性層を含む共振器構造を形成する工程と、
前記共振器構造の端面に、高屈折率層と当該高屈折率層よりも低い屈折率を有する低屈折率層とが交互に積層された反射膜を形成する工程と、を備え、
前記反射膜が、
前記高屈折率層及び低屈折率層の1波長分の光路長をH及びLとすると、
膜厚{(2n+1)/4+x}Hの高屈折率層と、膜厚{(2n+1)/4+x}Lの低屈折率層とがm回繰り返された第1の繰り返し構造と、
膜厚{(2n+1)/2−x/2}Hの高屈折率層からなるスペーサ層と、を備えることを特徴とするものである(但し、nは0又は自然数、m'は自然数、xは|x|≦0.25を満たす実数であって、各高屈折率層及び低屈折率層におけるnの値は互いに異なっていてもよい。)。
本発明によれば、スペックルが低減された半導体レーザを提供することができる。
第1の実施の形態に係る半導体レーザ素子のストライプに垂直な面の断面図である。 第1の実施の形態に係る半導体レーザ素子のストライプに平行な面の断面図である。 第1の実施の形態に係る半導体レーザ素子の製造工程を示す模式図である。 第1の実施の形態に係る半導体レーザ素子の製造工程を示す模式図である。 第1の実施の形態に係る半導体レーザ素子の製造工程を示す模式図である。 第1の実施の形態に係る半導体レーザ素子の製造工程を示す模式図である。 比較例に係る半導体レーザ素子のストライプに平行な面の断面図である。 比較例に係る端面反射率スペクトルを示す図である。 比較例に係るモード利得、共振器損失、及びこれらの和のスペクトルを示す図である。 第1の実施の形態に係る端面反射率スペクトルを示す図である。 第1の実施の形態に係るモード利得、共振器損失、及びこれらの和のスペクトルを示す図である。 第1の実施の形態の他の例に係るモード利得、共振器損失、及びこれらの和のスペクトルを示す図である。 第2の実施の形態に係る端面反射率スペクトルを示す図である。 第2の実施の形態に係るモード利得、共振器損失、及びこれらの和のスペクトルを示す図である。 第3の実施の形態に係る量子井戸活性層構造を示す図である。 第3の実施の形態に係るモード利得、共振器損失、及びこれらの和のスペクトルを示す図である。
以下、本発明を適用した具体的な実施の形態について、図面を参照しながら詳細に説明する。但し、本発明が以下の実施の形態に限定される訳ではない。また、説明を明確にするため、以下の記載及び図面は、適宜、簡略化されている。
(実施の形態1)
図1に、本発明の第1の実施の形態に係る半導体レーザ素子構造を示す。本実施の形態に係る半導体レーザ素子は、波長450nm付近の青色で発光する窒化ガリウム(GaN)系のリッジストライプ型素子である。図1は、リッジストライプに垂直な面の断面図である。
この半導体レーザ素子では、GaNからなるn型基板101上に、AlGaNからなるn型クラッド層(第1クラッド層)102、InGaNからなる下側光導波路層103、InGaN/InGaNからなる多重量子井戸活性層104、InGaNからなる上側光導波路層105、電流狭窄部を構成するAlGaNからなるp型クラッド層(第2クラッド層)106が順に形成されている。
AlGaNからなるp型クラッド層106とその上に設けられたp型GaNからなるコンタクト層107とはリッジストライプ形状に加工されており、このリッジストライプが電流狭窄部として機能する。また、このリッジストライプは、水平方向の屈折率導波機構としても機能する。リッジストライプの幅は、例えば2.0μmである。また、コンタクト層107上にp側電極108が、n型基板101の下部にn側電極109が設けられている。また、図1の半導体レーザ素子の表面は、リッジストライプ又はp側電極108が設けられた部分を除いて絶縁膜110で覆われている。
また、多重量子井戸活性層104は2周期の量子井戸を含み、2層のInGaN量子井戸層とこれを挟む3層のInGaNバリア層から構成されている。ここで、量子井戸層の平均層厚は3.0nmであり、平均インジウム組成は17%である。また、バリア層の平均層厚は10nmであり、平均インジウム組成は5%である。ここでは、利得の発生する活性領域に、空間的な波長分布を形成するため、インジウムの組成揺らぎが大きくなるような条件を用いて量子井戸層を作製してある。この多重量子井戸活性層104の利得ピーク波長λgは凡そ450nmとなっている。
図2に、図1の半導体レーザ素子のストライプ内部における、ストライプに平行な面の断面図を示す。図1の素子の出射端面及び後端面には、端面の保護及び端面反射率の制御を目的として、それぞれ出射端面反射膜111及び後端面反射膜112が設けられている。各反射膜は、酸化チタン(TiO)層及び酸化アルミ(Al)層からなる誘電体多層膜である。
出射端面反射膜111は、半導体に近い方から順に、TiO層113、Al層114、TiO層115、Al層116の4層膜からなる。利得ピーク波長をλgとすると、各層の膜厚は順に、0.31λg/n1、0.31λg/n2、0.47λg/n1、0.5λg/n2である。ここで、n1はTiO層の屈折率、n2はAl層の屈折率である。一方、後端面反射膜は、Al層117及びTiO層118を一組としてこれを5周期繰り返した構成である。Al層117及びTiO層118の膜厚は、0.25λg/n2、0.25λg/n1となっており、λg付近に中心波長を持つ高反射膜である。
本構造においては、活性層のモード利得と共振器損失との和のスペクトルが、ピーク付近で平坦となり、広帯域化即ち発振波長幅を拡大するように、出射端面反射膜111が設計されている。
図1に示した窒化物系半導体レーザ素子の製造方法につき、図3を用いて説明する。まず、n型基板101上に、有機金属気相成長法(MOVPE法)等を用いて、n型クラッド層102、下側光導波路層103、多重量子井戸活性層104、上側光導波路層105、p型クラッド層106、コンタクト層107を順次積層する(工程1、図3(a))。
次に、通常のフォトリソグラフィー工程を用いて幅2μm程度のストライプ状のエッチングマスクを形成し、塩素系ガスを用いたドライエッチングにより、コンタクト層107及びp型クラッド層106の途中までエッチングを行う。これにより、幅2μm程度のリッジストライプが形成される。リッジ幅の値、及びp型クラッド層106のエッチング深さは、半導体レーザ素子の水平横モード特性を始め、電流−光出力特性、電流−電圧特性に影響する。そのため、要求されるデバイス特性等を考慮して、最適な値を選択する。(工程2、図3(b))。
次に、素子全体にCVD法などを用いて、酸化シリコン膜等の絶縁膜110を形成する。そして、通常のフォトリソグラフィー工程を用いて、p側電極108形成部の絶縁膜110を除去する。その後、チタン及び金を蒸着し、適当な条件で加熱してアロイ処理を行うことにより、p側電極108を形成する。また、n型基板101の裏面にもチタン及び金を蒸着し、適当な条件で加熱してアロイ処理を行うことにより、n側電極109を形成する。(工程3、図3(c))。
次に、劈開によりレーザ端面を露出させる。最後に、スパッタリング法などを用いて、酸化チタン膜及び酸化アルミ膜からなる出射端面反射膜111及び、後端面反射膜112を、順次各端面に形成する。レーザの共振器長は、所望の特性によって定めるものであるが、本実施形態では1.3mmとした。(工程4、図3(d))。
ここで、本発明によって得られる発振波長幅拡大の作用について、比較例との対比により図を用いて説明する。まず、比較例の構造による半導体レーザ素子構造における、発振スペクトル特性について説明する。比較例は、一般的な窒化物半導体レーザ素子であり、本発明とは出射側端面の反射膜の構成のみが異なっている。
図4に、比較例における半導体レーザ素子の、ストライプに平行な面の断面図を示す。一般に、半導体レーザ素子の出射側端面には、光の取り出し効率を高める目的で、発振波長、即ち利得ピーク波長λg付近で反射率が比較的小さくなるような反射膜を設ける。ここでは、出射端面反射膜211として、TiO層213とAl層214からなる2層膜を用いている。各層の膜厚は、それぞれ0.25λg/n1、0.32λg/n2であり、波長450nmにおける反射率が凡そ5%となるように設計されている。出射端面反射膜211の反射率スペクトルを図5の実線に示す。
一方、後端面には、図2と同様な、5周期のAl/TiOからなる後端面反射膜112が設けられている。波長450nmにおける反射率は凡そ98%である。後端面反射膜112の反射率スペクトルを図5の破線に示す。
ここで、半導体レーザの発振波長及び波長幅の決定要因について述べる。一般に、半導体レーザの発振条件は、次式によって決まっている。
Γ×g−αi−αm=0・・・(1)
ここで、Γは光閉じ込め係数、gは活性層の材料利得を表し、左辺第1項は活性層のモード利得である。第2、第3項は光損失であり、αiは導波路内部での吸収・散乱等の損失、αmは端面からの出射損失(共振器損失)を表している。共振器損失(>0)は次式のように表される。
αm=1/(2L)×ln{1/(Rb×Rf)}・・・(2)
ここで、Lは共振器長、Rf及びRbは各々出射端面及び後端面の反射率を示している。
(1)式は、半導体レーザに電流を注入していくとキャリア密度の増加と共に活性層のモード利得が増加し、共振器内部の光損失と釣り合ったところで発振が起こることを示している。(1)式の各項は波長依存性を有しており、最も低いキャリア密度で(1)式を満たす縦モード波長が発振波長となる。原理的には、この波長において一旦発振条件が満たされると、更に電流注入量を増加してもキャリア密度は一定値にクランプされ、他のモードでは発振しないこととなる。しかし、現実的には種々の要因によってキャリア密度は厳密にはクランプされず、利得と損失のバランスが微妙に変化することによって、複数のモードが発振することとなる(多モード発振)。但し、変化は微小であるから、(1)式左辺の利得と損失との差が、最初の発振モードと近いモードのみが、多モード発振に寄与できる。よって、多モード発振時のトータルでの波長幅は、(1)式左辺の波長依存性におけるピーク付近の平坦性によって定まることとなる。
図4の比較例における(1)式左辺のスペクトル形状について検討する。ここでは、吸収・散乱等に起因する内部損失αiは、発振波長付近で殆ど波長依存性を持たないと考えられるので、モード利得と共振器損失との差Γ×g−αmの波長依存性について検討する。
図6に、発振閾値付近のキャリア注入量における活性層のモード利得スペクトルΓ×g、共振器損失スペクトル−αm(αm>0)、及びこれらの和であるΓ×g−αmのスペクトルを、それぞれ破線、点線、実線で示す。共振器損失は、図5の反射率スペクトルを(2)式に代入して求めた。図6を見ると、共振器損失スペクトルは波長に対して比較的平坦な特性を有しているため、Γ×g−αmのスペクトル形状は概ね利得スペクトル形状を反映している。本例における活性層は、インジウム組成揺らぎを大きくするような条件を用いて成長している。そのため、利得スペクトルのピーク形状は一般的な半導体レーザよりもやや鈍っており、ピークから1cm−1低い波長で定義した利得波長幅は約8nmであった。この比較例の素子では、波長約450nmを中心とする多モード発振が得られ、全モードを含めたトータルの発振波長幅は約1.5nmであった。これは、一般的な半導体レーザよりは広い値であるが、スペックルの抑制には不十分であった。
次に、図1の本実施形態における(1)式左辺のスペクトル形状について検討する。図2に示した構成の端面反射膜の反射率スペクトルを図7に示す。ここで、後端面の反射膜は比較例と同じものである。一方、出射端面の反射膜は、(1)式左辺Γ×g−αmのピーク形状を平坦化させるように、即ち利得スペクトルのピーク形状を打ち消すような共振器損失を与える反射率スペクトルとなるよう設計されている。図7を見ると、出射端面の反射率スペクトルは、利得ピーク波長である450nm付近で極小値を取るような形状となっている。
図8に、発振閾値付近のキャリア注入量における活性層のモード利得スペクトルΓ×g、共振器損失スペクトル−αm(αmは正の値)、両者の和Γ×g−αmをそれぞれ破線、点線、実線で示す。図8を見ると、図7の出射端面の反射率スペクトルを反映して、共振器損失スペクトルには利得ピーク付近で反射率極小値を持つディップ構造が見られる。その結果、Γ×g−αmのスペクトルでは、利得ピークが双峰形状となり、ピーク値に近い値が得られる波長範囲が広がっている。利得波長幅は、ピーク毎に約10nmであり、トータルでの幅は約25nmに広がった。本実施形態の素子の発振スペクトルは、波長が444nm、460nm付近に2つのピークを持つ形状であった。ピークごとに約2nmの波長幅を有し、トータルでは約15nmとなった。この素子では、スペックルコントラストは比較例の約65%に抑制された。
ここで、出射端面反射膜111の設計指針について説明する。出射端面反射膜は、活性層の利得スペクトルのピーク形状を平坦化させるような、共振器損失を持つように設計する必要がある。即ち、利得ピーク波長λg付近で反射率の極小値を持つような反射膜とすることが望ましい。
利得ピーク付近にディップを持つ反射率スペクトルを有する反射膜として、例えば光学膜厚がいずれもλg/4のTiO層/Al層の2層膜によるAR(anti-reflection)コートがある。この方法では、理想的にはλgにおいて極めて低い反射率を実現できる。しかし、λg近傍の広い範囲に渡って反射率が低いスペクトル形状となってしまう。その結果、全体の共振器損失が高くなり過ぎ、レーザの発振閾値が悪化する。よって、反射率スペクトルとしては、λg付近で極小値を持つが、そのディップ幅は広過ぎず、λgの周辺の波長域では十分高い反射率が得られる構成が望ましい。
また、反射スペクトルにおけるディップの深さ(反射率差)も設計上重要なパラメータである。利得ピーク形状に影響を与えるためには、例えば本実施形態では共振器損失として少なくとも5cm−1以上の差が必要であり、10cm−1以上であることが望ましい。(2)式によると、共振器損失は端面反射率の対数に比例するため、5又は10cm−1の損失差を生じるためには比較的大きい反射率差が必要となる。例えば本実施形態の場合、反射率差として各々約4倍、又は13倍の反射率差が必要となる。より具体的には、反射膜の反射率極小値が、極小値波長から5nm離れた波長における反射率値の1/13以下であることが好ましい。
λg付近で極小値を持ち、その周辺波長域で高い反射率を持つような反射率スペクトルを実現できる反射膜として、ファブリ・ペロ型の干渉フィルタがある。一般に、干渉フィルタは、光学膜厚(2n+1)λg/4(nは0又は自然数)の高屈折率層及び低屈折率層を交互に繰り返した反射鏡中に、光学膜厚(2n+1)λg/2のスペーサ層を設ける構成とすることにより、λgで狭帯域のディップ構造を持ち、ディップ両側では高い反射率を有するスペクトルを得ることができる。最も単純な構造は、光学膜厚λg/4波長の高屈折率層及び低屈折率層と、光学膜厚λg/2の高屈折率層からなるスペーサ層の3層構造である。
この考え方により、出射端面反射膜をTiO層、Al層、TiO層の3層膜で構成し、膜厚を0.25λg/n1、0.25λg/n2、0.5λg/n1とした。この場合の、活性層モード利得Γ×g、共振器損失−αm、Γ×g−αmのスペクトルを、図6、8と同様に図9に示す。図9では、共振器損失スペクトルに非常に深いディップ構造が見られる。このため、Γ×g−αmのスペクトルにも深いディップが生じ、平坦化というよりはピークが完全に分離した形となってしまうことが分かる。ここで、このディップ形状を緩和するために、高反射領域に寄与する多層構造での基準波長と、ディップ波長に影響するスペーサ層の基準波長をλgからそれぞれずらすこととした。即ち、この場合の膜構造では、各層の膜厚が(0.25+x)λg/n1、(0.25+x)λg/n2、(0.5−x/2)λg/n1の3層構造に変形される。図9はx=0の場合に相当する。
この3層構造では、始めの2層が高反射率を与える波長帯域に影響し、3層目がディップ波長に寄与する。xの値を0より大きくすると、各々の基準波長が逆向きにずれるため、ディップ形状が緩和されることになる。この波長ずれを考慮して、上記のように設定することで、概ねディップ波長はλgに保たれることが分かった。即ち、始めの2層構造の膜厚を変更すると、高反射率域の中心波長がλgの約4x倍ずれ、ディップ波長もこれに影響されλgの約2x倍ずれる。これをもとに、3層目のスペーサ層厚を補正すると上記のようになる。図8に示す本実施形態のスペクトルでは、x=0.03としている。
また、反応性の高いTiO層が最表面層となるのを避けるため、この3層構造に膜厚が0.5λg/n2のAl層を加えた構造としている。この層構造の採用により、図9よりもディップ形状が緩和されることが分かった。
即ち、xの値が0から離れるほど、ディップ形状が緩和される。よって、xの値を調整することにより、所望の反射率特性を得ることができる。ここではxの値が正の場合について説明したが、負の値でも構わず、同様の効果が得られる。但し、xの絶対値を大きくすると、高反射率域の帯域端に近づくため、ディップ両側の反射率が非対称になったり、十分な高反射率が得られなくなったりする場合がある。
本実施形態において、上記の3層又は表面のAl層を加えた4層構造について検討したところ、xについては0.03≦|x|≦0.1を満たすことが望ましいことが分かった。
また、ここでは上記の3層又は4層構造について説明したが、これに限定されるものではなく、干渉フィルタの例を参考にして周期数を変更しても良い。例えば、高反射領域を設定する膜厚(0.25+x)λg/n1、(0.25+x)λg/n2の2層構造を1周期でなく2周期以上にしてもよい。また、3層目のスペーサ層上にも1周期以上の膜を設けても構わない。これらはいずれも、(0.25+x)4λg付近に最大値を持つ高反射率スペクトルに寄与する膜構成となる。この部分の周期数を増やすことで、スペクトル全体の反射率を高めることが可能になり、閾値の低減に有効な場合がある。但し、ディップ波長の反射率についても影響を与えるので、前述の所要反射率差を考慮して周期数を決定することが望ましい。
本実施形態の利得スペクトル特性において、このような周期数について検討したところ、(0.25+x)λg/n1、(0.25+x)λg/n2、(0.5−x/2)λg/n1、0.5λg/n2の4層構造(xの絶対値が0.03〜0.1)が最も効果的であることが分かった。
以上のような検討から、本実施形態では、出射面の反射膜は、半導体に近い界面から順に、TiO/Al/TiO/Alの4層より構成される。また、利得ピーク波長をλgとすると、それぞれ(0.25+x)λg/n1、(0.25+x)λg/n2、(0.5−x/2)λg/n1、0.5λg/n2の膜厚となるよう設計した。本実施形態ではx=0.03とした。ここでn1,n2はそれぞれTiO及びAlの屈折率を示しており、n1>n2である。その結果、図7のような反射率スペクトルが得られ、図8のようにΓ×g−αmのスペクトル形状を平坦化することができた。このような形状は、発振波長幅の拡大に効果があり、即ちスペックルの抑制効果が得られる。
反射膜の構成を一般化すると、以下の通りである。
高屈折率層及び低屈折率層の1波長分の光路長をH及びLとすると、当該反射膜は、
膜厚{(2n+1)/4+x}Hの高屈折率層と、膜厚{(2n+1)/4+x}Lの低屈折率層と、がm回繰り返された第1の繰り返し構造と、
膜厚{(2n+1)/2−x/2}Hの高屈折率層からなるスペーサ層と、を備える(但し、nは0又は自然数、mは自然数、xは|x|≦0.25を満たす実数であって、各高屈折率層及び低屈折率層におけるnの値は互いに異なっていてもよい。)。
また、上記具体例で示したように、各高屈折率層及び低屈折率層におけるnの値は小さい程、また、繰り返し数mも小さい程、反射膜のトータル膜厚が小さくなる。そのため、膜歪を抑制することができ、信頼性向上の観点からは好ましい。
また、この反射膜が、スペーサ層を介して第1の繰り返し構造と対向して形成され、膜厚{(2n+1)/4+x}Lの低屈折率層と、膜厚{(2n+1)/4+x}Hの高屈折率層とがm'回繰り返された第2の繰り返し構造をさらに備えていてもよい(但し、nは0又は自然数、m'は自然数、xは|x|≦0.25を満たす実数であって、各高屈折率層及び低屈折率層におけるnの値は互いに異なっていてもよい。)。
以上の説明では、端面反射膜を構成する各誘電体層の膜厚を、利得ピーク波長の光路長の倍数で示している。ここで、利得ピーク波長の値を正確に見積もったり、各誘電体層の膜厚や屈折率を設計通りに実現することは、現実的には困難である。しかしながら、正確な値が実現できない場合でも、予想される発振波長を利得ピーク波長と考え、本発明の趣旨に基づいて膜設計を行い、波長幅拡大の効果は十分得られる。但し、反射率の極小値を与えるディップの波長については、できるだけ利得ピーク波長に近いことが望ましい。ディップ波長については、膜の反射率を測定することにより実験的に確認することが可能であるから、実験値に基づいて設計することが望ましい。
また、以上の説明では、出射端面反射膜としてファブリ・ペロ型干渉フィルタに変更を加えた膜構成を用いる場合について説明したが、これらに限定されるものではない。反射率スペクトルが、活性層のモード利得及び前記反射膜に影響される共振器損失との和Γ×g−αmのスペクトルが、そのピーク値付近で平坦化されるように制御されたものであれば、どのような構成の反射膜でも構わない。
また、以上の説明では、TiOとAlの誘電体膜を用いる組合せを採用したが、膜材料に関してもこれに限定されることなく、他の誘電体膜や半導体膜・金属膜等を用いても構わない。金属等の吸収性の膜を用いると、吸収スペクトル特性も含めて反射膜の設計を行うことが可能となる。
また、以上の説明では、出射端面に設けた反射膜のみで共振器損失スペクトルを制御する方法について説明した。但し、(2)式のように共振器損失スペクトルは、後端面の反射率にも依存する。そのため、後端面の反射率を調整して損失スペクトルを制御したり、出射端面及び後端面の反射膜の組合せにより損失スペクトルを制御してもよい。
以上、反射膜の反射率の制御方法について説明した。この時、Γ×g−αmの特性に影響を与える他のパラメータとして、光閉じ込め係数Γと共振器長Lがある。これらは、その他の所要特性も考慮の上決める必要があるが、本発明の効果を有効にするためには、Γを小さくし、Lは長くすることが望ましい。その理由は以下の通りである。
上述の通り、共振器損失スペクトルを制御する場合、ある程度の損失差を得るためには反射率比を高く取る必要がある。但し、反射率は最大100%であるから、反射膜の反射率が低い方が反射率比を高くすることができる。膜設計の自由度等も考慮すると、反射膜は全体として、低反射率となり共振器損失が高くなってしまい、閾値が上昇してしまう。これを緩和するために、モード利得のピーク形状Γ×gが緩和されるようΓを小さくすることが有効である。また、同じ反射率における共振器損失を下げるためLを長くすることが有効である。本実施形態の反射膜構成において検討した結果、Γは約1.5%以下、Lは1mm以上の値が望ましいことが分かった。
以上の説明においては、InGaN量子井戸を活性層とする窒化物系青色半導体レーザの例を採用したが、これに限定されることなく、AlInGaP系の赤色半導体レーザや窒化物系緑色半導体レーザ等、ディスプレイ用の他の光源にも適用が可能である。但し、窒化物系の半導体レーザに本発明を適用する場合には特に効果が大きい。その理由は以下の通りである。
本実施形態では、活性層利得と共振器損失の和スペクトルを平坦化することで、多モード発振の促進を図っている。多モード化は、共振器内部での微妙なキャリア・光分布の変化によって発生すると考えられる。このような微妙な変化が起きた場合に、キャリア緩和が十分速いと、発振モードが変化する前に元の定常状態に戻りやすくなり、多モード発振が抑制されてしまう。これを防ぐための一つの方法として、Γ×g−αmのスペクトルが平坦な領域において、各波長に寄与するキャリアが空間的にある程度分離されていることが望ましい。例えば、空間的に発光波長(利得波長)の異なる領域が分布している場合である。一般的には、バンド内でのキャリア緩和は極めて速いことが知られており、このような活性層と組み合わせることが有効である。
このように、異なる発光波長領域が空間的に分布している状況で、キャリアの拡散がある程度抑制されていれば、キャリア緩和が起こる前に多数のモードで発振する可能性が高くなると考えられる。本実施形態で示したような窒化物系のAlInGaN材料では、キャリアの拡散長は他の材料系と比較して、短いことが知られている。また、AlInGaN系活性層において、この材料系に特有なインジウムの面内組成揺らぎが促進されると、空間的なポテンシャル分布が形成され、利得スペクトルが広がることが知られている。よって、利得波長に寄与するキャリアを空間的に分離することができ、またキャリア拡散も抑制することができる。よって、AlInGaN活性層を用いた窒化物系の半導体レーザにおいては、本発明による効果が特に有効に得られる。
以上、示したように、図1の本発明による半導体レーザ素子においては、他の外部部品を用いることなく発振波長幅を拡大することが可能になる。これにより、半導体レーザ単体でスペックルを低減できる、プロジェクション型ディスプレイ等の光源として有効な半導体レーザ素子を提供することができる。
(実施の形態2)
次に、本発明による半導体レーザ素子の第2の実施の形態を説明する。本発明の第2の実施形態において、第1の実施形態と異なる部分は、出射端面反射膜の構造であり、その他の構造は全て同じである。
本実施形態の出射端面反射膜は、半導体に近い方から順に、TiO層、Al層、TiO層、Al層の4層膜で構成している。各膜厚は、利得ピーク波長λg(450nm)を基準として各々、(0.25+x)λg/n1、(0.25+x)λg/n2、(0.5−x/2)λg/n1、0.5λg/n2としている。ここでx=0.09である。この場合の反射率スペクトルを図10に示す。図7の実施形態1と比較すると反射率極小値のディップ形状が更に緩和されている。
この場合の活性層モード利得Γ×g、共振器損失−αm、Γ×g−αmのスペクトルを、図8と同様に図11に示す。xの値以外は、本実施形態の構成と同様である。この構成では、Γ×g−αmのスペクトルは、平坦化されほぼ単一のピーク形状となった。このときの利得幅は約16nmと、図8の実施形態1に比べて小さいものの、ピーク先端部の領域での平坦性が高くなっている。本実施形態の素子の発振スペクトルは、波長が448nmにピークを持つ多モード形状であった。トータルでの波長幅は約3.5nmであった。この素子では、スペックルコントラストは比較例の約60%に低減された。
実施形態1では、波長の大きく異なる2つのピークでの発振が得られ、波長幅としては広がっているが、各ピークの発振に寄与するモード数はそれほど増加しなかった。これに対し、本実施形態では、ピークが単峰となり、比較的連続的なスペクトルが得られたことによりスペックルの低減に効果があったものと考えられる。また、本実施形態では、実施形態1に比べ、全体として共振器損失を低くすることができ、発振閾値が約80%に低減する効果が得られた。
(実施の形態3)
次に、本発明による半導体レーザ素子の第3の実施の形態を説明する。本実施形態3において、第2の実施形態と異なる部分は、InGaNからなる多重量子井戸活性層104のみであり、その他の構造は全て同じである。
本実施形態における、InGaN量子井戸活性層構造の詳細を図12に示す。この、多重量子井戸活性層104は2周期の量子井戸を含み、2層のInGaN量子井戸層301、302とこれを挟む3層のInGaNバリア層303から構成されている。ここで、各量子井戸層301、302の平均層厚は3.0nmであり、平均インジウム組成は量子井戸層301において18%、量子井戸層302において13%となっている。また、3層のInGaNバリア層303の平均膜厚は10nmであり、平均インジウム組成は2%である。
ここでは、各量子井戸層のインジウム組成を互いに異なる値にすることにより、異なる発光波長領域を空間的に分布させ、発振スペクトルの拡大効果を促進させている。また、量子井戸層間のバリア層のインジウム組成を低めにして、量子井戸層間のキャリア移動を若干抑制するようにしている。
この場合の活性層モード利得Γ×g、共振器損失−αm、Γ×g−αmのスペクトルを、図8と同様に図13に示す。ここでは、活性層モード利得Γ×gは、量子井戸層301及び302の寄与(細い破線で示してある)を合計したものである。ここでは、バリア層厚のインジウム組成が低くホールの注入が若干阻害されているために、p型クラッド層側に位置するインジウム組成の低い量子井戸層302にもある程度キャリアが注入され、活性層全体のモード利得Γ×gもやや広がっている。更に、実施形態2と同様の出射端面反射膜を設けたので、Γ×g−αmのスペクトルピークは平坦化され、2つの低いピークを持つ形状となった。この時の利得幅は、短波側のピークで10nm、長波側のピークで14nmとなり、トータルの幅では35nmとなった。本実施形態の素子の発振スペクトルは、442nm及び465nm付近にピークを持ち、各ピークに約2nmの波長幅を有する形状となった。トータルでの波長幅は、25nmであった。この素子では、スペックルコントラストは比較例の約55%に抑制された。
本実施形態においては、波長幅の拡大効果は実施形態1と同程度であった。しかし、実施形態1では、各ピークの強度比が長波側のピークがより強く偏っていたのに対し、本実施形態においては、双方のピーク強度比の差が小さくなった。これは、異なる発光波長を持つ活性領域を空間的に分布させたことにより、キャリア緩和効果が抑制されたためと考えられる。このように本実施形態では、各モードの強度比がより平均的な多モード発振特性が得られたことにより、スペックルの低減に効果があったものと考えられる
以上、の実施の形態1〜3の説明を行った。しかし、本発明は、これら実施形態に具体的に示した構成、方法に限定されるものではなく、発明の趣旨に沿うものであれば種々のバリエーションが考えられる。例えば、上記実施形態では、InGaN量子井戸を活性層とする窒化物系青色半導体レーザの例を採用したが、AlInGaP系の赤色半導体レーザや窒化物系緑色半導体レーザ等の半導体レーザでも良い。また、ディスプレイ用光源に限らず、レーザのコヒーレンス性に起因するスペックル雑音等が問題になる通信用光源にも適用することで、スペックルの抑制が可能になる。また、スペックル低減効果に限らず、発振モード数を増やし波長幅を拡大する用途にも適用することもできる。端面反射膜を有するレーザ装置ならば、どのような構造に適用してもその効果は得られる。
101 n型基板
102 n型クラッド層
103 下側光導波路層
104 多重量子井戸活性層
105 上側光導波路層
106 p型クラッド層
107 コンタクト層
108 p側電極
109 n側電極
110 絶縁膜
111、211 出射端面反射膜
112 後端面反射膜
113、115、118、213 TiO
114、116、117、214 Al
301、302 量子井戸層
303 バリア層

Claims (12)

  1. 活性層を含む共振器構造と、
    前記共振器構造の端面に形成され、発振波長幅を拡大する反射膜と、を備え、
    前記反射膜の反射率スペクトルが、前記活性層の利得ピーク波長の近傍において極小値を有することを特徴とする半導体レーザ。
  2. 前記反射膜の反射率の極小値が、極小値を示す波長から5nm離れた波長における反射率値の1/13以下であることを特徴とする請求項1に記載の半導体レーザ。
  3. 活性層を含む共振器構造と、
    前記共振器構造の端面に形成され、高屈折率層と当該高屈折率層よりも低い屈折率を有する低屈折率層とが交互に積層された反射膜と、を備え、
    前記反射膜が、
    前記高屈折率層及び低屈折率層の1波長分の光路長をH及びLとすると、
    膜厚{(2n+1)/4+x}Hの高屈折率層と膜厚{(2n+1)/4+x}Lの低屈折率層とがm回繰り返された第1の繰り返し構造と、
    膜厚{(2n+1)/2−x/2}Hの高屈折率層からなるスペーサ層と、を備えることを特徴とする半導体レーザ(但し、nは0又は自然数、mは自然数、xは|x|≦0.25を満たす実数であって、各高屈折率層及び低屈折率層におけるnの値は互いに異なっていてもよい。)。
  4. 前記反射膜が、
    前記スペーサ層を介して前記第1の繰り返し構造と対向して形成され、膜厚{(2n+1)/4+x}Lの低屈折率層と膜厚{(2n+1)/4+x}Hの高屈折率層とがm'回繰り返された第2の繰り返し構造をさらに備えていることを特徴とする請求項3に記載の半導体レーザ(但し、nは0又は自然数、m'は自然数、xは|x|≦0.25を満たす実数であって、各高屈折率層及び低屈折率層におけるnの値は互いに異なっていてもよい。)。
  5. 前記反射膜が、
    膜厚(1/4+x)Hの高屈折率層と膜厚(1/4+x)Lの低屈折率層とからなる前記第1の繰り返し構造と、
    膜厚(1/2−x/2)Hの高屈折率層からなる前記スペーサ層と、
    前記スペーサ層を介して前記第1の繰り返し構造と対向して形成された膜厚0.5Lの低屈折率層と、からなることを特徴とする請求項3に記載の半導体レーザ。
  6. xは、0.03≦|x|≦0.1を満たす実数であることを特徴とする請求項5に記載の半導体レーザ。
  7. 前記反射膜が、ファブリ・ペロ干渉効果を用いた誘電体フィルタであることを特徴とする請求項1〜6のいずれか1項に記載の半導体レーザ。
  8. 前記活性層が、AlInGaNを含むことを特徴とする請求項1〜7のいずれか1項に記載の半導体レーザ。
  9. 前記活性層が、互いに異なる波長の利得を発生させることを特徴とする請求項1〜8のいずれか1項に記載の半導体レーザ。
  10. 前記活性層が、発光波長が互いに異なる複数の量子井戸層を備えることを特徴とする請求項9に記載の半導体レーザ。
  11. 活性層を含む共振器構造を形成する工程と、
    前記共振器構造の端面に、発振波長幅を拡大する反射膜を形成する工程と、を備え、
    前記反射膜の反射率スペクトルが、前記活性層の利得ピーク波長の近傍において極小値を有することを特徴とする半導体レーザの製造方法。
  12. 活性層を含む共振器構造を形成する工程と、
    前記共振器構造の端面に、高屈折率層と当該高屈折率層よりも低い屈折率を有する低屈折率層とが交互に積層された反射膜を形成する工程と、を備え、
    前記反射膜が、
    前記高屈折率層及び低屈折率層の1波長分の光路長をH及びLとすると、
    膜厚{(2n+1)/4+x}Hの高屈折率層と、膜厚{(2n+1)/4+x}Lの低屈折率層とがm回繰り返された第1の繰り返し構造と、
    膜厚{(2n+1)/2−x/2}Hの高屈折率層からなるスペーサ層と、を備えることを特徴とする半導体レーザの製造方法(但し、nは0又は自然数、m'は自然数、xは|x|≦0.25を満たす実数であって、各高屈折率層及び低屈折率層におけるnの値は互いに異なっていてもよい。)。
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* Cited by examiner, † Cited by third party
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