JP2010164738A - 光学素子 - Google Patents
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Abstract
【課題】赤外線透過性の無機粒子を有機ポリマー樹脂中へ高密度に充填したナノコンポジット材料を用いて、高い赤外線透過性能を有する光学素子を提供する。
【解決手段】赤外線透過性の無機粒子と、有機ポリマー樹脂4とからなる赤外線透過用の光学素子であって、無機粒子としての混合粒子5を平均粒子径が大きい粒子径分布を持つ粗粒子2と、平均粒子径が粗粒子2よりも小さい微粒子3とで構成し、それぞれの粒子の平均粒子径の比が、3:1以上100:1以下である構成を備える。
【選択図】図1
【解決手段】赤外線透過性の無機粒子と、有機ポリマー樹脂4とからなる赤外線透過用の光学素子であって、無機粒子としての混合粒子5を平均粒子径が大きい粒子径分布を持つ粗粒子2と、平均粒子径が粗粒子2よりも小さい微粒子3とで構成し、それぞれの粒子の平均粒子径の比が、3:1以上100:1以下である構成を備える。
【選択図】図1
Description
本発明は、有機材料中に無機化合物粒子を含有させた複合化材料を用いた光学素子に関し、さらに詳しくは赤外線透過用のレンズ、窓材などの光学素子に関するものである。
近年、母材となる有機ポリマー樹脂中に、ナノメートルまたはサブミクロンサイズに微粒子化した無機粒子を混合させることにより、粗粒子や固体結晶では得られなかった特異な物性を示す微粒子複合化材料、いわゆるナノコンポジット材料が注目を集めている。
光学材料の分野では、無機粒子の粒子径を光の波長よりも小さくすることにより、通常は光を透過しない物質が、光透過性を有するようになり、レンズや窓材としての利用が期待できる。また、これらのナノコンポジット材料は、従来の材料に比べて成形加工が容易で、低価格であるという利点も有している。
従来、赤外線透過用レンズには、ゲルマニウムやカルコゲン化合物などが用いられているが、材料コスト、成形加工コストが高く、可視光用ガラスレンズより高価であるため、赤外線を撮像するカメラが高価であることの最大の原因となっている。
一方、このようなナノコンポジット材料を赤外線透過用レンズや窓材などの光学材料として用いるためには、赤外線透過性の無機粒子を高密度で充填し、赤外線の透過性能を高めることが必要である。
無機粒子を高密度充填する方法として、ファインセラミックスの複数の系からなる混合物の充填において、それぞれの系の粒子径分布が重複しない粗粒子と微粒子を混合し、高密度充填混合物を得る方法が開示されている(例えば、特許文献1参照)。
特開平7−69737号公報
ナノコンポジット材料を赤外線透過用のレンズや窓材などの光学素子として用いる場合には、有機ポリマー樹脂の赤外線吸収が大きいために、赤外線透過性の無機粒子を高密度に充填しなければ充分な赤外線透過性能は得られない。
例えば、レンズとして使用するためには、赤外線の透過率が50%以上必要である。そのため、赤外線透過性の無機粒子として塩化ナトリウム粒子を用いる場合、有機ポリマー樹脂に混合させる塩化ナトリウムの濃度を50体積%以上にしなければならない。
赤外線透過性の無機粒子は、粉粒体としての嵩密度が低いため有機ポリマー樹脂中に高密度で充填することが難しくなる。すなわち、無機粒子の充填率を増やすために、無機粒子の濃度を高くして有機ポリマー樹脂と混合しようとしても、無機粒子の濃度がある値を超えると、均一に混じり合わずにナノコンポジット材料の表面に無機粒子が析出することが多い。この場合、析出した無機粒子は有機ポリマー樹脂中へ充填されずに剥がれ落ち、結果として無機粒子の充填率が低下することになる。
通常のこれらの無機粒子では、その粒子径分布が正規分布を有しており、このようなナノコンポジット材料中に充填しうる最大濃度は46体積%程度である。そのため、赤外線透過用のレンズなどの光学素子として必要とされる50体積%には到達しないという問題があった。
本発明は上記課題を解決して、ナノメートルまたはサブミクロンサイズの赤外線透過性の無機粒子を有機ポリマー樹脂中へ高密度に充填し、高い光透過性能を有する光学素子を提供することを目的とする。
この目的を達成するために、本発明の光学素子は、赤外線透過性の無機粒子と、有機ポリマー樹脂とからなる赤外線透過用の光学素子であって、無機粒子を粒子径分布の異なる粒子からなる混合粒子としている。
このような構成により、平均粒子径の大きな粒子間に平均粒子径の小さな粒子を充填させて無機粒子の充填密度を向上させ、赤外線透過性能を向上させた低コストで成形が容易な光学素子を実現することができる。
さらに、混合粒子は、所定の平均粒子径を有する第1粒子と、第1粒子よりも平均粒子径の小さい第2粒子とを混合させ、かつ、第1粒子の平均粒子径と第2粒子の平均粒子径との比が3:1以上100:1以下であることが望ましい。このような構成によれば、有機ポリマー樹脂中の無機粒子の充填率を50体積%以上確保して、赤外線透過率を50%以上とすることができる。
さらに、混合粒子の全粒子の体積に対して、第2粒子の体積が20体積%以上60体積%以下であることが望ましい。このような構成によれば、確実に無機材料の充填率を50%以上とすることができる。
さらに、無機粒子が、塩化ナトリウム、塩化カリウム、臭化カリウム、フッ化バリウム、フッ化マグネシウム、フッ化カルシウムのうちの少なくとも1種類であることが望ましい。このような構成によれば、赤外線透過率の高い光学素子を実現することができる。
本発明によれば、有機ポリマー樹脂中への赤外線透過性の無機材料を高密度で充填することが可能となり、赤外線の透過性能を向上させたレンズや窓材などの光学素子を実現できる。
以下、本発明の実施の形態について、図面を用いて説明する。
(実施の形態1)
本発明の実施の形態1では、赤外線透過性の無機材料として、塩化ナトリウムを用いた場合について説明する。図1は本発明の実施の形態1における光学素子としての赤外線透過レンズの構成を示す概略図であり、図1(a)は赤外線透過レンズの概観形状を示す図、図1(b)は図1(a)のA部の内部構造の詳細を示す図である。図2は同赤外線透過レンズの製造方法を示すフローチャート、図3(a)、図3(b)は同赤外線透過レンズに用いる赤外線透過性の無機粒子である塩化ナトリウム粒子の粒子径分布を示す図である。また、図4は、同赤外線透過レンズに用いる塩化ナトリウム粒子を、平均粒子径の大きな第1粒子である粗粒子と、第1粒子よりも平均粒子径の小さな第2粒子である微粒子との混合粒子とした際の、混合粒子中の微粒子の混合率と有機ポリマー樹脂中への無機粒子の充填率との関係を示す図であり、微粒子に対する粗粒子の粒子径比をパラメータとしている。図5は同赤外線透過レンズに用いる塩化ナトリウム粒子の粗粒子と微粒子の粒子径比と最大充填率との関係を示す図であり、図4におけるそれぞれの粒子径比における最大充填率より求めている。図6は赤外線透過レンズの波長8〜12μmにおける赤外線の透過率特性を示す図である。
本発明の実施の形態1では、赤外線透過性の無機材料として、塩化ナトリウムを用いた場合について説明する。図1は本発明の実施の形態1における光学素子としての赤外線透過レンズの構成を示す概略図であり、図1(a)は赤外線透過レンズの概観形状を示す図、図1(b)は図1(a)のA部の内部構造の詳細を示す図である。図2は同赤外線透過レンズの製造方法を示すフローチャート、図3(a)、図3(b)は同赤外線透過レンズに用いる赤外線透過性の無機粒子である塩化ナトリウム粒子の粒子径分布を示す図である。また、図4は、同赤外線透過レンズに用いる塩化ナトリウム粒子を、平均粒子径の大きな第1粒子である粗粒子と、第1粒子よりも平均粒子径の小さな第2粒子である微粒子との混合粒子とした際の、混合粒子中の微粒子の混合率と有機ポリマー樹脂中への無機粒子の充填率との関係を示す図であり、微粒子に対する粗粒子の粒子径比をパラメータとしている。図5は同赤外線透過レンズに用いる塩化ナトリウム粒子の粗粒子と微粒子の粒子径比と最大充填率との関係を示す図であり、図4におけるそれぞれの粒子径比における最大充填率より求めている。図6は赤外線透過レンズの波長8〜12μmにおける赤外線の透過率特性を示す図である。
図1(a)には示すように、本発明の実施の形態1における赤外線透過レンズ1は凸レンズを構成している。図1(b)に示すように、赤外線透過性を有する無機粒子として塩化ナトリウムを用い、第1粒子としての粗粒子2間の隙間に、第2粒子としての微粒子3が入り込むように有機ポリマー樹脂4の中に充填されて形成されている。
すなわち、無機粒子を平均粒子径の大きな粗粒子2と粗粒子2よりも平均粒子径の小さな微粒子3との混合粒子5により構成し、粗粒子2間の隙間に微粒子3が入り込むように充填している。このような構成により、塩化ナトリウムの混合粒子5を有機ポリマー樹脂4へ、高い充填率で充填させることができる。
その結果、赤外線透過レンズ1の中に占める塩化ナトリウムの体積割合を増加させ、有機ポリマー樹脂4による赤外線の吸収量を減少させて、レンズとしての赤外線透過性能を向上させることができる。
次に、このような赤外線透過レンズ1の製造方法を図2を用いて説明する。まず、図3(a)に示す粒子径分布を有する平均粒子径が0.3μmの塩化ナトリウムの粗粒子2を10重量%となるように溶媒のトルエンに分散含有させて、分散液240gを調合する(ステップS101)。
次に、図3(b)に示す粒子径分布を有する平均粒子径が0.03μmの塩化ナトリウムの微粒子3を10重量%となるように溶媒のトルエンに分散含有させて、分散液160gを調合する(ステップS102)。
次に、これらの分散液を混合し、粗粒子2と微粒子3の粒子全体に占める微粒子3の比率が40重量%となるように、混合粒子分散液400gを調合する(ステップS103)。次に、この混合粒子分散液に対し、軟化点90℃、比重0.92の有機ポリマー樹脂4を10g添加する。有機ポリマー樹脂4は溶媒のトルエンに溶解するので、撹拌して塩化ナトリウムの混合粒子5と有機ポリマー樹脂4とを均一に混合させる(ステップS104)。
次に、塩化ナトリウムの混合粒子5と有機ポリマー樹脂4との混合物を広口ガラス容器に入れ、溶媒留去法により、溶媒のトルエンを揮発飛散させて塩化ナトリウムの混合粒子5と有機ポリマー樹脂4との混合物を固化させる。混合物が固化した後、真空乾燥炉中で炉内を排気して真空状態に保ち、残留しているトルエンを完全に揮発させて混合物を乾燥する。
このようにして、平均粒子径0.3μmの塩化ナトリウムの粗粒子2と0.03μmの塩化ナトリウムの微粒子3との混合粒子5(40g)が、有機ポリマー樹脂4(10g)の内部に均一に分布したナノコンポジット材料を調製する(ステップS105)。
このようにして調製されたナノコンポジット材料は、塩化ナトリウムの混合粒子5の充填率が、重量百分率では80重量%となり、体積百分率に換算すると63体積%となっている。次に、調製されたナノコンポジット材料を成形プレス機に入れ、150℃に加熱して軟化させた後、加圧成形することにより所定形状のレンズなどの光学素子に加工する(ステップS106)。
以上の工程により、粒子径分布の異なる塩化ナトリウムの混合粒子5を有機ポリマー樹脂4に充填したナノコンポジット材料を、図1(a)に示すような構成の赤外線透過レンズ1として作製することができる。
図4は、塩化ナトリウム粒子を、平均粒子径の大きな第1粒子である粗粒子2と、第1粒子よりも平均粒子径の小さな第2粒子である微粒子3との混合粒子5とした際の、混合粒子5中の微粒子3の混合率と有機ポリマー樹脂4中への混合粒子5の充填率との関係を示す図であり、微粒子3に対する粗粒子2の粒子径比をパラメータとして示している。
図4から、例えば、粗粒子2の粒子径0.3μm、微粒子3の粒子径0.03μmで粒子径比が10の混合粒子5では、微粒子3の混合率を40体積%としたときに、最大充填率67体積%が得られている。
また、粒子径比が3の混合粒子5では、微粒子3の混合率を30体積%としたときに最大充填率52体積%が得られる。さらに、粒子径比が100の混合粒子5では、微粒子3の混合率を40体積%としたときに最大充填率76体積%が得られる。
図4より明らかなように、いずれの粒子径比においても、混合粒子5が最大の充填率となる微粒子3の混合率は、20体積%以上50体積%以下の範囲にあることがわかり、微粒子の混合率をこの範囲内で選択することで、充填率を高めることができる。
また、図5には、図4より求めた粗粒子2と微粒子3との粒子径比と最大充填率との関係を示す。図5より、粒子径比が3以上100以下において、最大充填率が増加し、100以上となっても充填率は飽和傾向となることがわかる。また、微粒子3と粗粒子2との粒子径比が10以上であれば、最大充填率が67体積%以上を確保することができ、30以上であれば最大充填率が74体積%以上を実現することができる。
次に、このようにして作製した赤外線透過レンズ1の赤外線透過性能について、図6を参照しながら説明する。図6には、上述した本発明の実施の形態1における製造方法に基づき製造した厚さ1mmの赤外線透過レンズと、比較例としての塩化ナトリウムの粗粒子のみで製造した厚さ1mmの赤外線透過レンズを用い、それぞれ波長8〜12μmの赤外線を透過させた場合の透過率の変化を示している。
図6において、Bは図2における製造方法で製作した平均粒子径が0.3μmの粗粒子2と平均粒子径が0.03μmの微粒子3とを、充填率63体積%となるように調合したナノコンポジット材料を用いた赤外線透過レンズ1の赤外線透過率の変化を示している。また、Cは、図3(a)に示した平均粒子径0.3μmの塩化ナトリウム粒子のみを用い、その場合に最大充填率となる40体積%のナノコンポジット材料を用いた比較例としての赤外線透過レンズの赤外線透過率の変化を示している。
図6から、本発明の実施の形態1における赤外線透過レンズ1は、平均粒子径0.3μmの塩化ナトリウム粒子のみを用いた赤外線透過レンズに比べて、透過率が20%ほど向上していることがわかる。
また、図6から明らかなように、赤外線波長に対する赤外線透過率の特性は、本発明の実施の形態1における赤外線透過レンズ1の特性Aと、比較例の特性Bとは、波長に対して同様の透過率特性を示し、特性Aが全体的に20%程度向上している。すなわち、本発明の実施の形態1における塩化ナトリウムの充填率が63体積%、比較例における塩化ナトリウムの充填率が40体積%であることから、その充填率の差が赤外線透過率の差となり、波長10μm程度における赤外線透過率が、それぞれの充填率とほぼ一致する。したがって、必要な赤外線透過率の値を確保するためには、コンポジット材料として赤外線透過材料の充填率をその値に近い充填率とすることで実現することができる。
(実施の形態2)
本発明の実施の形態2では、赤外線透過性の無機材料として、フッ化バリウムを用いた場合について説明する。
本発明の実施の形態2では、赤外線透過性の無機材料として、フッ化バリウムを用いた場合について説明する。
図7は本発明の実施の形態2における光学素子としての赤外線透過レンズの構成を示す概略図であり、図7(a)は赤外線透過レンズの概観形状を示す図、図7(b)は図7(a)のD部の内部構造の詳細を示す図である。図8(a)、図8(b)は同赤外線透過レンズに用いる赤外線透過性の無機粒子であるフッ化バリウム粒子の粒子径分布を示す図である。また、図9は、同赤外線透過レンズに用いるフッ化バリウム粒子を、平均粒子径の大きな第1粒子である粗粒子と、第1粒子よりも平均粒子径の小さな第2粒子である微粒子との混合粒子とした際の、混合粒子中の微粒子の混合率と有機ポリマー樹脂中への無機粒子の充填率との関係を示す図であり、微粒子に対する粗粒子の粒子径比をパラメータとしている。図10は同赤外線透過レンズに用いるフッ化バリウム粒子の粗粒子と微粒子の粒子径比と最大充填率との関係を示す図であり、図9におけるそれぞれの粒子径比における最大充填率より求めている。図11は同赤外線透過レンズの波長8〜12μmにおける赤外線の透過率特性を示す図である。
図7(a)に示すように、本発明の実施の形態2における赤外線透過レンズ10は一方が凸形状で他方が凹形状のレンズを構成している。図7(b)に示すように、赤外線透過性を有する無機粒子としてフッ化バリウムを用い、第1粒子としての粗粒子6間の隙間に、第2粒子としての微粒子7が入り込むように有機ポリマー樹脂8の中に充填されて形成されている。
すなわち、無機粒子を平均粒子径の大きな粗粒子6と粗粒子6よりも平均粒子径の小さな微粒子7との混合粒子9により構成し、粗粒子6間の隙間に微粒子7が入り込むように充填している。このような構成により、フッ化バリウムの混合粒子9を有機ポリマー樹脂8内へ、高い充填率で充填させることができる。
その結果、赤外線透過レンズ10の中に占めるフッ化バリウムの体積割合を増加させ、有機ポリマー樹脂8による赤外線の吸収量を減少させて、レンズとしての赤外線透過性能を向上させることができる。
次に、このような赤外線透過レンズ10の製造方法は、実施の形態1で述べたのと同様であり、同じく図2を用いて説明する。まず、図8(a)に示す粒子径分布を有する平均粒子径が0.3μmのフッ化バリウムの粗粒子6を10重量%となるように溶媒のエタノールに分散含有させて、分散液240gを調合する(ステップS101)。
次に、図8(b)に示す粒子径分布を有する平均粒子径が0.03μmのフッ化バリウムの微粒子7を10重量%となるように溶媒のエタノールに分散含有させて、分散液160gを調合する(ステップS102)。
次に、これらの分散液を混合し、粗粒子6と微粒子7の粒子全体に占める微粒子7の混合率が67体積%となるように、混合粒子分散液400gを調合する(ステップS103)。
次に、軟化点100℃、比重0.96の有機ポリマー樹脂8(6g)を200℃の温度で加熱溶融し、溶融有機ポリマー樹脂を準備する。溶融有機ポリマー樹脂に対し、混合粒子分散液400gを滴下して、有機ポリマー樹脂8とフッ化バリウムの混合粒子9を混合し、200℃の温度下で有機ポリマー樹脂8とフッ化バリウムの混合粒子9との混合物を30分間攪拌する。
この過程において、エタノールは完全に揮発するので、フッ化バリウムの混合粒子9と有機ポリマー樹脂8のみが均一に混合した複合化樹脂材料の溶融混合物が調製される(ステップS104)。
次に、上記溶融混合物を50℃以下の温度になるまで冷却し、固化させる。このようにして、平均粒子径が0.3μmのフッ化バリウムの粗粒子6と平均粒子径が0.03μmのフッ化バリウムの微粒子7との混合粒子9(40g)が、有機ポリマー樹脂8(6g)の内部に均一に分布した複合化されたナノコンポジット材料を調製できる(ステップS105)。
ここで調製されたナノコンポジット材料中に占めるフッ化バリウムの混合粒子9の充填率は、重量百分率では87重量%となり、体積百分率に換算すると57体積%となっている。
次に、調製されたナノコンポジット材料を成形プレス機に入れ、150℃に加熱して軟化させた後、加圧成形することにより所定形状のレンズなどの光学素子に加工する(ステップS106)。
以上の工程により、粒子径分布の異なるフッ化バリウムの混合粒子9を有機ポリマー樹脂8に充填したナノコンポジット材料を、図7(a)に示すような構成の赤外線透過レンズ10として作製することができる。
図9は、フッ化バリウム粒子を、平均粒子径の大きな第1粒子である粗粒子6と、第1粒子よりも平均粒子径の小さな第2粒子である微粒子7との混合粒子9とした際の、混合粒子9中の微粒子7の混合率と有機ポリマー樹脂8中への混合粒子9の充填率との関係を示す図であり、微粒子7に対する粗粒子6の粒子径比をパラメータとして示している。
図9から、例えば、粗粒子6の粒子径0.3μm、微粒子7の粒子径0.03μmで粒子径比が10の混合粒子9では、微粒子7の混合率を40体積%としたときに、最大充填率61体積%が得られている。
また、粒子径比が3の混合粒子9では、微粒子7の混合率を30体積%としたときに最大充填率45体積%が得られる。さらに、粒子径比が100の混合粒子9では、微粒子7の混合率を50体積%としたときに最大充填率65体積%が得られる。
図9より明らかなように、いずれの粒子径比においても、混合粒子9が最大の充填率となる微粒子7の混合率は、30体積%以上60体積%以下の範囲にあることがわかる。
また、図10には、図9より求めた粗粒子6と微粒子7との粒子径比と最大充填率との関係を示す。図10より、粒子径比が3以上100以下において、最大充填率が増加し、100以上となっても充填率は飽和傾向となることがわかる。また、微粒子7と粗粒子6との粒子径比が10以上であれば、最大充填率が54体積%以上を確保することができ、30以上であれば最大充填率が65体積%以上を実現することができる。
次に、このようにして作製した赤外線透過レンズ10の赤外線透過性能について、図11を参照しながら説明する。図11には、上述した本発明の実施の形態2における製造方法に基づき製造した厚さ1mmの赤外線透過レンズ10と、比較例としてのフッ化バリウムの平均粒子径が0.3μmの粗粒子のみで製造した厚さ1mmの赤外線透過レンズを用い、それぞれ波長8〜12μmの赤外線を透過させた場合の透過率の変化を示している。
図11において、Eは図2における製造方法で製作した平均粒子径が0.3μmの粗粒子6と平均粒子径が0.03μmの微粒子7とを、充填率57体積%となるように調合したナノコンポジット材料を用いた赤外線透過レンズ10の赤外線透過率の変化を示している。また、Fは、平均粒子径0.3μmのフッ化バリウムの粒子のみを用い、その場合に最大充填率が30体積%のナノコンポジット材料を用いた比較例としての赤外線透過レンズの赤外線透過率の変化を示している。
以上のように、本発明の実施の形態2における光学素子である赤外線透過レンズ10においても、実施の形態1における赤外線透過レンズと同様に、平均粒子径の大きな粗粒子6と平均粒子径の小さな微粒子7を混合した混合した混合粒子9として、コンポジット材料中のフッ化バリウムの混合粒子9の充填率を高めることによって、赤外線透過性能を向上させることができる。
なお、上述の実施の形態1では、図1に示すような両側凸形状のレンズを、実施の形態2では図7に示すように一方が凸形状で他方が凹形状のレンズを用いて説明しているが、本発明はこれに限ることはなく、両側凹形状、単純な矩形状の窓材、楔形をしたプリズムなどの赤外線透過用の光学素子にも適用できる。
また、上述した実施の形態1においては、溶媒液としてトルエンを、実施の形態2ではエタノールを例示して説明したが、これらに限定されることはない。例えば、キシレン、シクロヘキサンなどを溶媒液として利用でき、これらの溶媒液を単独または複数混合して用いてもよい。
また、上述した実施の形態1では、赤外線透過性の無機粒子として塩化ナトリウムを、実施の形態2ではフッ化バリウムを用いて説明したが、さらに、塩化カリウム、臭化カリウム、フッ化マグネシウム、フッ化カルシウムなどを用いても、同様に高い赤外線透過性能を有するレンズ、窓材などの光学素子を実現することができる。
また、上述した実施の形態1、2では、無機粒子の溶媒分散液を有機ポリマー樹脂に添加して、溶解、混合させてから溶媒を留去する方法でナノコンポジット材料を作製したが、本発明はこの方法に限定されることはない。例えば、乾式粉砕などで得た無機微粒子を、溶融した有機ポリマー樹脂に直接添加し、混練してナノコンポジット材料を作製する方法も利用できる。
以上説明したように、本発明によれば、赤外線透過性の微粒子と粗粒子とを混合することで粗粒子の隙間に微粒子を充填させて嵩密度を増加させ、これにより、ナノコンポジット材料内へ無機粒子の充填率を向上させて、レンズや窓材などの光学素子の赤外線透過性能を向上させることができる。
本発明は、赤外線を透過させる光学材料として、特に赤外線カメラ、赤外線光ピックアップ装置などの光学素子に有用である。
1,10 赤外線透過レンズ
2,6 粗粒子
3,7 微粒子
4,8 有機ポリマー樹脂
5,9 混合粒子
2,6 粗粒子
3,7 微粒子
4,8 有機ポリマー樹脂
5,9 混合粒子
Claims (4)
- 赤外線透過性の無機粒子と、有機ポリマー樹脂とからなる赤外線透過用の光学素子であって、前記無機粒子が粒子径分布の異なる粒子からなる混合粒子であることを特徴とする光学素子。
- 前記混合粒子は、所定の平均粒子径を有する第1粒子と、前記第1粒子よりも平均粒子径の小さい第2粒子とを混合させ、かつ、前記第1粒子の平均粒子径と前記第2粒子の平均粒子径との比が3:1以上100:1以下であることを特徴とする請求項1に記載の光学素子。
- 前記混合粒子の全粒子の体積に対して、前記第2粒子の体積が20体積%以上60体積%以下であることを特徴とする請求項1または請求項2に記載の光学素子。
- 前記無機粒子が、塩化ナトリウム、塩化カリウム、臭化カリウム、フッ化バリウム、フッ化マグネシウム、フッ化カルシウムのうちの少なくとも1種類を含むことを特徴とする請求項1から請求項3のいずれか一項に記載の光学素子。
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Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
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JP2017043758A (ja) * | 2015-07-23 | 2017-03-02 | ザ・ボーイング・カンパニーThe Boeing Company | 可視および赤外放射に対して透過性の複合材ならびに組成物ならびにその複合材を製造するための方法 |
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