JP2010164527A - クロマトグラフデータ処理装置 - Google Patents

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Abstract

【課題】分析実行中にクロマトグラムを確認しつつ制御のためのタイムプログラムの実行状況を把握できるようにする。
【解決手段】分析開始とともにデータの取得を開始し、新たなクロマトグラムデータが得られるとリアルタイムでクロマトグラムを更新する(S4、S5)。装置状態や装置パラメータの変更指示のためのタイムプログラムに制御コマンドが設定された時間に達したか否かを監視し(S6)、その設定時間が来ると制御コマンドに対応した標識(記号)を、クロマトグラム上のその時間位置に重畳表示するように表示処理を行う(S7)。最終的に、タイムプログラム中の各種の制御コマンドにそれぞれ対応した標識がクロマトグラム上に表示されるので、制御コマンドの実行タイミングとクロマトグラムピークとの時間的な関係を一目で把握することが可能となる。
【選択図】図3

Description

本発明は 液体クロマトグラフ(LC)やガスクロマトグラフ(GC)などのクロマトグラフ装置におけるデータ処理装置に関する。ここで言うクロマトグラフ装置には、検出器が質量分析計である液体クロマトグラフ質量分析装置やガスクロマトグラフ質量分析装置を含む。
液体クロマトグラフ質量分析装置(LC/MS)などのクロマトグラフ装置においては、分析の実行に先立って分析担当者が、時間の経過に伴って実行すべき様々な制御コマンドを与える図2に示すようなタイムプログラムを作成しておき、分析実行時にコンピュータがそのタイムプログラムに従って所定のタイミングで装置各部に制御信号を送ることにより分析を遂行するような制御が行われている(例えば特許文献1〜3など参照)。LC/MSの場合、タイムプログラムに設定される制御コマンドの内容としては、例えば、カラムに供給される移動相中への液体試料の注入指示、移動相の流量変更の指示、大気圧イオン化を行うためのネブライズガスやドライガスの流量変更指示、質量分析計の各部(例えばイオン光学系やイオン検出器など)に印加する電圧値の変更指示、質量分析計への標準試料の導入のオン/オフ指示、などがある。
ところで、クロマトグラフ装置では一般に、分析遂行中にも、収集されるクロマトグラムデータに従ってリアルタイムに更新されるクロマトグラムが表示画面上に表示されるようになっている。このように時間経過に伴って更新されるクロマトグラムを確認することによって、分析担当者は、所望の物質や不所望の物質が試料中に含まれているか否かを分析途中でも知ることができる、試料の誤りなどの分析の不具合やミスを迅速に把握することができる、或いは、必要な情報が得られた段階で分析を中止することにより時間を節約できる、などといった様々な利点がある。
通常、クロマトグラムには試料由来のピークが出現するが、そうしたピークが出現する時間位置と上述したようなタイムプログラムに設定されている制御コマンドとの時間的な関係を知りたいような場合がよくある。例えばLC/MSにおいて、ネブライズガス流量やイオン光学系への印加電圧などの制御パラメータを変化させながら標準試料を繰り返し質量分析計に導入し、最も感度が良好になるような制御パラメータを探索したいような場合には、タイムプログラムにおける制御パラメータ変更指示のタイミングとクロマトグラムに現れる標準試料のピークとの時間的な対応を把握することが必要である。
しかしながら、従来のクロマトグラフ装置において分析実行中或いは分析終了後にタイムプログラムの内容を確認したい場合には、例えば所定の操作を行うことにより、タイムプログラムが格納されているメソッドファイルを扱う画面をクロマトグラム表示画面とは別のウインドウとして開き、そのウインドウ内でタイムプログラムを確認する必要がある。そのため、分析担当者にとっては操作がたいへん面倒で手間が掛かる。また、タイムプログラムは図2に示すように表形式で表示されるが、そうした表示を見ても、タイムプログラム中の各コマンドとクロマトグラムに出現するピークとの時間的な対応関係を容易には把握できないという問題がある。
また分析担当者がタイムプログラムの内容を誤って設定してしまった場合でも、上述したようにクロマトグラム表示画面とは別のウインドウでタイムプログラムを開いてみない限り、分析担当者はその誤りに気付くことがない。そのため、分析担当者が意図しない分析を実行してしまったり、適切でない条件の下で分析を実行してしまったりして、無駄な時間を費やしてしまう場合がある。
特開平9−43202号公報(図2及び[0018]) 特開平6−308086号公報([0005]−[0006]) 特開平10−132825号公報
本発明は上記課題を解決するために成されたものであり、その目的とするところは、分析実行中や分析終了後に、クロマトグラムとタイムプログラムとの時間的な関係を分析担当者が簡便な操作でもって容易に把握することができるクロマトグラフデータ処理装置を提供することにある。
上記課題を解決するために成された本発明は、タイムプログラムに予め設定された制御コマンドを時間経過に伴って実行することにより分析を遂行するクロマトグラフから得られるデータを処理するクロマトグラフデータ処理装置において、
a)前記データを用いてクロマトグラムを作成するクロマトグラム作成手段と、
b)前記クロマトグラム作成手段により作成されるクロマトグラム上に、前記タイムプログラム中の各制御コマンドに対応した標識をその制御コマンドが設定された時間位置に重畳し表示画面上に表示させる表示処理手段と、
を備えることを特徴としている。
タイムプログラムに設定される制御コマンドは、例えば装置状態変更指示や制御パラメータ変更指示であり、一般に、制御用のコンピュータがタイムプログラムに設定された制御コマンドを指定された時間に実行することにより、クロマトグラフによる分析が遂行される。
本発明に係るクロマトグラフデータ処理装置において、上記クロマトグラム作成手段は、分析実行中にはクロマトグラフから順次得られるデータを用いて、ほぼリアルタイムでクロマトグラムを作成する。また分析終了後には、解析対象のデータファイルが選択されると、そのファイルに格納されているデータを用いてクロマトグラムを作成する。いずれの場合でも表示処理手段は、そのクロマトグラムの元となるデータを取得した分析の遂行に使用される又は使用されたタイムプログラム中の各制御コマンドに対応した標識を、クロマトグラム上のその制御コマンドの時間位置に重畳して表示させる。この標識は、タイムプログラム中の様々な種類の制御コマンドにそれぞれ予め対応付けられた記号とすることができる。例えば、所定ガスの流量の変更指示に対する記号を▽、標準試料導入のオン/オフの制御コマンドを◆、というように定めておけばよい。これにより、タイムプログラム中の各制御コマンドの実行タイミングが、クロマトグラム上に明確に示される。
また本発明に係るクロマトグラフデータ処理装置では、表示画面上に表示されたクロマトグラフ上の前記標識をユーザが選択指示するための指示手段をさらに備え、前記表示処理手段は、前記指示手段により選択指示された標識に対応した前記タイムプログラム中の制御コマンドを呼び出してその内容を表示する構成とすることが好ましい。
上記指示手段としてはマウスなどのポインティングデバイスを用いるとよく、ポインティングデバイスによるカーソルの移動操作やクリック操作を上記選択指示とすることができる。こうした指示に対し表示処理手段は、例えばタイムプログラム中の制御コマンドの指示内容や制御パラメータの値などをツールチップを用いてクロマトグラム上に重畳して表示するとよい。これにより、記号などの標識の種類だけでは表現できない制御パラメータの値などを簡潔に分析担当者に提示することができる。
さらにまた本発明に係るクロマトグラフデータ処理装置において、前記表示処理手段は、前記タイムプログラム中の各制御コマンドに対応した複数種の標識の中で、1種乃至複数種の特定の標識を選択的に表示し他の標識を非表示とする構成とすることが好ましい。
表示/非表示の標識をユーザ(分析担当者)が任意に設定できるようにしておくことで、分析担当者が着目する制御コマンドの実行タイミングのみをクロマトグラム上で知ることができる。それにより、例えば、クロマトグラムのピーク波形に最も影響を与える制御コマンドが何であるのかを迅速に特定したり、或いは、分析担当者が着目する制御コマンドとクロマトグラム波形との関係を把握したりすることが容易になる。また、タイムプログラムにおいてかなり短い時間間隔で各種の制御コマンドが設定されている場合でも、クロマトグラム上で制御コマンドに対応した標識の表示が煩雑になりにくく、分析担当者が誤った判断をすることを防止できる。
本発明に係るクロマトグラフデータ処理装置によれば、従来のようにメソッドファイル参照画面を開く等の手間の掛かる操作を行うことなく、分析実行中にクロマトグラムを見ながら同時にタイムプログラム中の制御コマンドの実行状況をリアルタイムに把握することができる。これにより、タイムプログラムの設定ミスなどを容易に且つ迅速に把握することができ、不適切なタイムプログラムの下での無駄な分析を早期に中止することができる。
また、分析終了後にデータ解析を行う際にも、クロマトグラムを表示画面上に表示させるだけで、クロマトグラムに出現している各ピークとタイムプログラム中の制御指示や制御パラメータ変更指示との時間的な関係を容易に把握できるようになる。それにより、分析担当者の負担が軽減され、例えばピーク強度の変化の要因を調べるといったデータ解析の効率アップを図ることができる。
本発明の一実施例によるLC/MSの要部の構成図。 タイムプログラム設定画面の一例を示す図。 本実施例のLC/MSにおける分析実行時の特徴的な処理動作を示すフローチャート。 分析遂行に伴うイベントプログラムとタイムプログラムの実行例を示す模式図。 本実施例のLC/MSにおけるクロマトグラム表示画面の一例を示す図。 本実施例のLC/MSにおけるクロマトグラム表示画面で特定の制御コマンド(標識)を選択指示した際の表示画面の一例を示す図。
以下、本発明の一実施例であるクロマトグラフデータ処理装置を用いたLC/MSについて、添付図面を参照しつつ詳細に説明する。図1は本実施例によるLC/MSの要部の構成図である。
このLC/MSにおいて、LC部1は、移動相容器11に貯留されている移動相を吸引して略一定流量で送給する送液ポンプ12と、その移動相中に所定のタイミングで液体試料を注入するインジェクタ13と、移動相の流れに従って液体試料中の各成分を時間的に分離するカラム14と、を備える。
MS部2は、LC部1のカラム14から送られてくる試料液と標準試料とを切り替える切替バルブ21と、切替バルブ21で選択された試料液を大気雰囲気中に噴霧しつつ該試料液に含まれる試料成分をイオン化するためのスプレイノズル22と、スプレイノズル22に供給するネブライズガスの流量を調整する流量制御バルブ23と、スプレイノズル22からの噴霧により生成された試料由来のイオンを真空室に導入する加熱パイプ24と、多段に設けられた真空室中に配設されたイオン光学系25、26と、イオンを質量電荷比(m/z)に応じて分離する四重極質量フィルタ27と、分離されたイオンを検出するイオン検出器28と、を備える。
MS部2のイオン検出器28による検出信号は、図示しないアナログ/デジタル変換器でデジタルデータに変換された後にデータ処理部30に入力される。データ処理部30は分析の遂行に伴って順次入力されるデータをデータ保存部35に格納するとともに、後述するようなデータ処理を行うことによりクロマトグラムを作成したり、クロマトグラム中のピーク波形処理を行って定性処理や定量処理を実行したりする。特に本発明に特徴的な処理を実行するために、データ処理部30は機能ブロックとして、クロマトグラム作成部31とタイムプログラム情報表示処理部32と、を含む。
分析制御部40は分析実行に先立って予め記憶されたメソッドファイル41の内容に従ってLC部1及びMS部2を制御することにより、後述するようなLC/MS分析を遂行する。メソッドファイルは分析毎に分析遂行に必要な分析条件などを格納したファイルであり、イベントプログラムとタイムプログラムとを含む。ここでいうイベントプログラムとは、通常1秒程度以内の短い分析実行の条件と手順とを定めたプログラムである。他方、タイムプログラムは、分析開始時点を起点とし分析終了時点までの時間の経過に伴って、装置状態を変更したり装置パラメータ値を変更したりするための制御コマンドを設定するものである。
この実施例の場合、例えば、MS部2での所定の質量電荷比m/zに対するイオン強度測定や所定の質量範囲を所定の走査速度で質量走査してイオン強度測定を行うことを1つのイベントプログラムとすることができる。図4に示すように、設定された1乃至複数のイベントプログラムは分析開始時点から分析終了時点まで繰り返し実行される。図4中にはn個のイベントプログラムを1サイクルとして記載しているが、1サイクルは1個のイベントプログラムのみからなるものでもよい。
入出力制御部42は、キーボードやマウスなどのポインティングデバイスである操作部4による入力操作を受け付けるとともに、表示部5に対して表示データを出力する。
なお、データ処理部30、分析制御部40、及び入出力制御部42の実体はパーソナルコンピュータ3であり、該コンピュータ3に予めインストールされた専用の制御/処理用ソフトウエアを実行することにより、上述した各種機能を実現するものとすることができる。即ち、クロマトグラム作成部31やタイムプログラム情報表示処理部は、制御/処理用ソフトウエアをコンピュータで実行することにより具現化される機能ブロックであると言える。
次に、図3〜図6を参照しつつ、本実施例のLC/MSにおける特徴的なデータ処理について説明する。図3は本実施例のLC/MSにおける分析実行時の特徴的な処理動作を示すフローチャートである。
分析担当者は分析実行に先立って、操作部4によりイベントプログラムやタイムプログラムを設定する(ステップS1)。図2はタイムプログラム設定画面の一例である。この例では表形式でタイムプログラムを設定するようになっており、「時間」の欄には、分析開始時点をゼロとしてコマンドを実行する時間を分の単位で記入し、「コマンド」の欄には制御コマンドの内容や制御対象を記入し、「パラメータ値」の欄には数値パラメータを変更する場合にその変更後の数値を記入する。
タイムプログラムに設定されるコマンドの例を挙げると、インジェクタ13における移動相中への液体試料の注入指示、送液ポンプ12の送液量変更指示、流量制御バルブ23を介してスプレイノズル22に供給されるネブライズガスの供給オン/オフ指示やオン時の流量変更指示、スプレイノズル22から噴霧される液滴の乾燥を促進するために供給される図示しないドライガスの供給オン/オフ指示やオン時の流量変更指示、切替バルブ21の切替えによる標準試料の導入オン/オフ指示、加熱パイプ24やイオン光学系25、26、イオン検出器28への印加電圧の変更指示、などがある。当然のことながら、制御コマンドの内容はクロマトグラフ装置(LC、GC、LC/MS、GC/MS)の構成により異なる。ステップS1で設定されたイベントプログラムやタイムプログラムは、1つのメソッドファイル41中に格納される。
イベントプログラムやタイムプログラムが設定された状態で分析担当者が操作部4により分析開始を指示すると(ステップS2)、分析制御部40はメソッドファイル41を用いて分析を開始する(ステップS3)。即ち、図4に示すように、メソッドファイル41に含まれる1乃至複数のイベントプログラムを繰り返し実行するとともに、タイムプログラムに従ってLC部1、MS部2の各部に対する制御を行う。これにより、例えばMS部2では切替バルブ21により選択された試料をイオン化し、生成されたイオンを質量分離して検出することにより検出信号を得る。
データ処理部30は分析開始時点からクロマトグラムデータを取得する(ステップS4)。MS部2では質量電荷比毎にイオン強度に対応したデータが得られるから、クロマトグラムデータは、1サイクル中に実行される全てのm/z範囲のイオン強度の和の時間変化を示すトータルイオンクロマトグラムデータ、又は、特定のm/z値に対するイオン強度の時間変化を示すマスクロマトグラムデータのいずれかである。
データ処理部30においてクロマトグラム作成部31は、新しいクロマトグラムデータが得られる毎にクロマトグラムへデータ点をプロットし、入出力制御部42を通してそのクロマトグラムを表示部5の画面上に表示する(ステップS5)。したがって、分析遂行の進行に伴い、表示部5の画面上に描出される図5に示すようなクロマトグラム表示画面50中のクロマトグラムカーブは順次更新されてゆく。
タイムプログラム情報表示処理部32は分析開始時点からの経過時間がタイムプログラムに設定されている時間に達したか否かを監視する(ステップS6)。そして、制御コマンドが設定されている時間でなければステップS7を経ずにステップS8へと進み、分析終了時間であるか否かを判定する。ステップS8で未だ分析終了時間でないと判断されればステップS4へと戻る。
ステップS6で制御コマンドが設定されている時間に達したと判定されると、タイムプログラム情報表示処理部32はその制御コマンドに予め対応付けられた標識が、クロマトグラム表示画面50上でその制御コマンドが設定されている時間位置に重畳して表示されるように合成処理する(ステップS7)。分析制御部40はタイムプログラムに従って実際にLC部1やMS部2に制御信号を送るから、例えばネブライズガス流量を変更する制御コマンドが設定されている時間では、分析制御部40から流量制御バルブ23に送出される制御信号によって、流量制御バルブ23の開度が変更されてガス流量がパラメータ値になるように調整される。
図5のクロマトグラム表示画面50の例では、標準試料導入オン/オフの制御コマンドを記号「◆」で示し、ネブライズガス流量変更の制御コマンドを記号「▽」で示している。なお、制御コマンドと記号(標識)との関係は予めデフォルトで決められているが、操作部4からの操作により分析担当者が適宜に変更することもできる。
分析終了時間が経過するまでステップS4〜S8の処理が繰り返される。それにより、図5に示すように、タイムプログラム中の制御コマンドに対応した記号51a、51bがその実行時間の位置に重畳表示されたクロマトグラム表示画面50が、表示部5の画面上に表示される。分析終了時間が到来すると(或いは途中で分析中止の指示がなされると)、タイムプログラム情報表示処理部32は、クロマトグラムを構成するクロマトグラムデータとともに、各時間位置に重畳した記号や各記号に対応した制御コマンドの内容やそれに伴うパラメータ値を示すタイムプログラム情報をデータ保存部35に記憶し(ステップS9)、分析を終了する。ここで、タイムプログラム情報はクロマトグラムデータと同じデータファイル内に格納してもよいし、対応関係さえ明確であれば別のファイルでもよい。
なお、上述したように分析実行中でクロマトグラムがリアルタイムで更新されているときに、分析担当者が操作部4のポインティングデバイスにより目的の記号の上に矢印カーソルを移動させてその記号を選択指示すると、タイムプログラム情報表示処理部32は選択指示された記号に対応付けられているタイムプログラム情報を呼び出し、それを例えばバルーン型のツールチップとしてクロマトグラムに重畳表示させる。図6はこの表示画面を示す一例である。記号51a上に矢印カーソル52を移動させると、この記号51aに対応付けられた「ネブライズガス流量変更 5.0→10.0」との文字が表示されたツールチップ53がクロマトグラム表示画面50上に現れる。記号だけでは、ネブライズガス流量変更があることは認識できてもその変更前後の値は不明であるが、上記のようなツールチップ53を表示させることで、分析担当者はその内容を容易に知ることができる。
上述したように既にデータ保存部35に格納されているクロマトグラムデータを用いてデータ解析処理を実行したい場合には次のようにする。
まず分析担当者はデータ保存部35に格納されている多数のデータファイルの中から目的とするデータファイルを特定し、そのデータファイルを開くように操作部4により指示する。すると、データ処理部30においてクロマトグラム作成部31はデータ保存部35から指示されたデータファイルを読み出し、そのファイル中のクロマトグラムデータを用いてクロマトグラムを作成する。一方、同じデータファイル中にはタイムプログラム情報も格納されているから、タイムプログラム情報表示処理部32はこの情報を読み出し、制御コマンドに対応した記号を指定された時間位置に重畳表示するように合成処理を行う。これにより、図5に示すようなクロマトグラム表示画面50が表示部5の画面上に描出される。
分析担当者は、表示されている記号により制御コマンドが与えられている時間を一目で知ることができ、制御コマンドの実行タイミングとクロマトグラムピークとの時間的な関係を一目で知ることができる。例えば図5の例では、20分の時間経過の前後でネブライズガス流量が変更されているが、その前後で標準試料に対するピークの高さが異なることが分かる。これにより、ネブライズガス流量の変更が感度に大きく影響を与えていることが一目で分かる。
また、図5では20分の時間位置でネブライズガス流量が変更されていることは分かるが、その値は分からない。そこで、図6に示すように記号51a上に矢印カーソル52を移動させると、上述したように、この記号51aに対応付けられた「ネブライズガス流量変更 5.0→10.0」との文字が表示されたツールチップ53が現れる。これにより、変更前後の値を知ることができ、ネブライズガス流量が「5.0」であるときよりも「10.0」であるときに感度に高くなることが容易に分かる。
なお、図5の例では複数種の制御コマンドに対応した記号をクロマトグラム上に重畳表示しているが、例えば、標準試料導入オン/オフ指示の制御コマンドに対応した記号のみを表示させる等、任意の制御コマンドに対応した記号のみを選択的に表示させ、他の記号は非表示にするような切り替えを行うこともできる。それによって、着目する制御コマンドの実行タイミングをより一層容易に知ることができる。
なお、上記実施例は本発明の一例にすぎず、本発明の趣旨の範囲で適宜変形や修正、追加を行っても本願特許請求の範囲に包含されることは当然である。例えば上記実施例は本発明をLC/MSに適用した例であるが、本発明はクロマトグラムを画面上に表示する全ての装置、つまりは全てのクロマトグラフ装置に適用することができることは明らかである。
1…液体クロマトグラフ(LC)部
11…移動相容器
12…送液ポンプ
13…インジェクタ
14…カラム
2…質量分析(MS)部
21…切替バルブ
22…スプレイノズル
23…流量制御バルブ
24…加熱パイプ
25、26…イオン光学系
27…四重極質量フィルタ
28…イオン検出器
30…データ処理部
31…クロマトグラム作成部
32…タイムプログラム情報表示処理部
35…データ保存部
40…分析制御部
41…メソッドファイル
42…入出力制御部
4…操作部
5…表示部

Claims (3)

  1. タイムプログラムに予め設定された制御コマンドを時間経過に伴って実行することにより分析を遂行するクロマトグラフから得られるデータを処理するクロマトグラフデータ処理装置において、
    a)前記データを用いてクロマトグラムを作成するクロマトグラム作成手段と、
    b)前記クロマトグラム作成手段により作成されるクロマトグラム上に、前記タイムプログラム中の各制御コマンドに対応した標識をその制御コマンドが設定された時間位置に重畳し表示画面上に表示させる表示処理手段と、
    を備えることを特徴とするクロマトグラフデータ処理装置。
  2. 請求項1に記載のクロマトグラフデータ処理装置であって、
    表示画面上に表示されたクロマトグラフ上の前記標識をユーザが選択指示するための指示手段をさらに備え、
    前記表示処理手段は、前記指示手段により選択指示された標識に対応した前記タイムプログラム中の制御コマンドを呼び出してその内容を表示することを特徴とするクロマトグラフデータ処理装置。
  3. 請求項1に記載のクロマトグラフデータ処理装置であって、
    前記表示処理手段は、前記タイムプログラム中の各制御コマンドに対応した複数種の標識の中で、1種乃至複数種の特定の標識を選択的に表示し他の標識を非表示とすることを特徴とするクロマトグラフデータ処理装置。
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