JP2010164104A - 電磁開閉弁 - Google Patents

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Abstract

【課題】開弁状態でのノイズ音の発生を確実に抑制すると共に、緩衝部材の摩耗を防止することのできる電磁開閉弁を提供する。
【解決手段】プランジャ5の後部に取り付けた緩衝部材7にテーパ凸面71を形成すると共に固定磁極6にテーパ凹面61を形成し、緩衝部材7および固定磁極6を介してプランジャ5がガイドパイプ4に対して同心に位置決めされ、プランジャ5が振動してもプランジャ5がガイドパイプ4に接触しないようにした。
【選択図】図1

Description

本発明は、バネなどの付勢手段によって閉弁状態が保持されると共に、ソレノイドコイルの電磁力によって開弁状態が保持される電磁開閉弁に関する。
従来のこの種の電磁開閉弁は、例えばバネで閉弁状態に保持されている弁体を、ソレノイドコイルに通電することにより生じる電磁力で引き上げて開弁させ、さらにソレノイドコイルへ通電し続けることにより開弁状態を保持している。
このソレノイドコイルへは直流電流を通電するが、交流を例えば全波整流して直流電流に変換する場合、直流電流が100Hzもしくは120Hzで脈動する。すると、その脈動周波数に同期して、弁体が取り付けられているプランジャが振動する。プランジャはガイドパイプ内を進退するように構成されているため、プランジャが引き上げ方向に後退した際に偏心してガイドパイプとの距離が短くなると、振動しているプランジャがガイドパイプに接触し、プランジャがガイドパイプを叩くことにより大きなノイズ音が発生することになる。
このようなノイズ音の発生を防止するため、プランジャが後退した状態でプランジャを積極的に偏心させ、プランジャをガイドパイプに押し付けることにより、たとえプランジャが振動しても大きなノイズ音が発生しないようにしたものが知られている(例えば、特許文献1参照)。
特開2000−130630号公報(図2)
上記従来のものでは、開弁状態でプランジャの後端をガイドパイプと固定磁極との間に挟み込ませてガイドパイプに押し付けるものであるため、ガイドパイプおよび固定磁極とプランジャとの間に摩擦力が生じる。閉弁する際にはソレノイドコイルへの通電を停止することにより電磁力を消失させ、バネの付勢力のみによってプランジャを前進させて閉弁する構成であるが、ガイドパイプおよび固定磁極とプランジャとの間に摩擦力が生じていると、付勢力だけでは確実にプランジャを閉弁方向に移動させることができない場合が生じる。
なお、このような閉弁不良を回避するためにはバネの付勢力を大きくすればよいが、開弁する際に大きな電磁力が必要になり、そのため、プランジャの振動が強くなるという弊害が生じる。また、プランジャをガイドパイプに押し付ける力を小さくすることも考えられるが、それではプランジャの振動によるノイズ音の発生を充分に抑制できないという不具合が生じる。
また、固定磁極の先端の当接面の直径が緩衝部材の先端の当接面の直径より小さいため、固定磁極の当接面の周縁が緩衝部材の当接面に接触する。固定磁極の当接面の周縁は鋭いエッジ状に形成されているので、この周縁で緩衝部材をえぐるように緩衝部材が摩耗するおそれがある。すると、長時間使用すると緩衝部材の当接面の形状が変形し、さらには固定磁極の当接面と接触しないようになり、緩衝部材としての機能を発揮できなくなるおそれがある。
そこで本発明は、上記の問題点に鑑み、開弁状態でのノイズ音の発生を確実に抑制すると共に、緩衝部材の摩耗を防止することのできる電磁開閉弁を提供することを課題とする。
上記課題を解決するために本発明による電磁開閉弁は、ソレノイドコイルの中心に筒状のガイドパイプを設け、このガイドパイプ内を進退自在のプランジャと、ガイドパイプ内の後部に固定され、プランジャの後方への移動を所定の位置で規制する固定磁極とを備え、プランジャの前端に弁体を設けて、プランジャを前進方向に付勢する付勢手段により弁体を弁口に押接させて弁口を閉弁すると共に、ソレノイドコイルに通電することにより生じる電磁力でプランジャを付勢手段の付勢力に抗して上記所定位置まで後退させて弁口を開弁する電磁開閉弁において、プランジャ側と固定磁極側とのいずれか一方に緩衝部材を取り付け、互いに係合し得るテーパ凸面とテーパ凹面とのうちのいずれか一方を緩衝部材の先端に形成し、プランジャ側と固定磁極側とのうちの他方の先端であって緩衝部材に当接する部分にテーパ凸面とテーパ凹面とのうちの他方を形成し、プランジャが上記所定位置まで後退し保持されている状態で両テーパ面が互いに係合することによってプランジャを位置決めして、ソレノイドコイルへの通電電流が脈動することによりプランジャが振動した場合であっても、プランジャがガイドパイプに接触することを防止する芯出し手段を設け、さらに、緩衝部材のテーパ面の大径部の直径を係合相手のテーパ面の大径部の直径より小さくし、かつ、緩衝部材のテーパ面の小径部の直径を係合相手のテーパ面の小径部の直径より大きくして、緩衝部材のテーパ面に対して、係合相手のテーパ面の端部が接触しないようにして、端部による緩衝部材の摩耗を防止するようにしたことを特徴とする。
上記芯出し手段によりプランジャが後退して所定位置で保持される際に、プランジャがガイドパイプに接触しない中心軸線上の位置で位置決めされるので、プランジャが振動しても大きな音量のノイズ音が発生しない。また、緩衝部材に対して係合する側のテーパ面の端部はエッジ状になり、このエッジ状の周縁が緩衝部材に接触すると緩衝部材が摩耗する。すなわち、緩衝部材は弾性変形するので、エッジ状の周縁が緩衝部材に接触した時点からプランジャが停止するまで、緩衝部材が変形し、その間エッジ状の周縁は緩衝部材に接触したまま緩衝部材の表面を削りながら移動する。そのため、緩衝部材は開弁毎に削られて変形する。
そこで、緩衝部材のテーパ面の大径部の直径を係合相手のテーパ面の大径部の直径より小さくし、かつ、緩衝部材のテーパ面の小径部の直径を係合相手のテーパ面の小径部の直径より大きくして緩衝部材にこのような端部が接触しないようにした。
なお、緩衝部材のテーパ面に対して係合する側のテーパ面に無電解ニッケルメッキを被着させて摩擦係数を低下させ、上記緩衝部材の摩擦による摩耗を防止することが望ましい。
また、緩衝部材のテーパ面に対して係合する側のテーパ面にフッ素を複合させた無電解ニッケルメッキを被着させて摩擦係数を低下させ、上記緩衝部材の摩擦による摩耗を防止することが望ましい。
以上の説明から明らかなように、本発明は、開弁状態において従来のもののようにプランジャをガイドパイプに押し付けるのではなく、ガイドパイプに接触しない中心軸線上の位置に位置決めするので、プランジャに対して閉弁方向への移動を阻害する摩擦力が生じず、そのため、ソレノイドコイルへの通電を停止し付勢力によりプランジャを閉弁方向に移動させる際に、小さな付勢力でプランジャを閉弁方向に移動させることができる。また、緩衝部材に対して当接するテーパ面の端部で緩衝部材を摩耗させることがないので、長期間使用し続けても緩衝部材が変形せず、緩衝機能が損なわれない。
本発明の一実施の形態の構成を示す図 第1の実施の形態における開弁状態を示す図 第2の実施の形態における開弁状態を示す図 第3の実施の形態における開弁状態を示す図 第4の実施の形態における開弁状態を示す図
図1を参照して、1は本発明による電磁開閉弁の一例である。この電磁開閉弁1は流路を形成するマニホールド2に取り付けられており、マニホールド2に形成された弁口21を開閉するものである。
電磁開閉弁1には中空のボビンに巻回されたソレノイドコイル3が設けられており、その中空部分には真ちゅう製のガイドパイプ4が装着されている。このガイドパイプ4内には磁性体材料からなるプランジャ5が進退自在に保持されており、プランジャ5の前端には上記弁口21を開閉するゴム製の弁体51が取り付けられている。また、このプランジャ5を閉弁方向に付勢するバネ52が設けられており、このバネ52の付勢力により弁体51は弁口21に押接され、弁口21を閉弁した状態で保持されるように構成されている。
ソレノイドコイル3に通電すると、ソレノイドコイル3が発生させる電磁力によりプランジャ5は図において上方に引き上げられる。ガイドパイプ4内の後端である上端には固定磁極6が固定されており、ソレノイドコイル3の電磁力により引き上げられたプランジャ5はこの固定磁極6によって上昇端位置が規制される。すなわち、ソレノイドコイル3に通電し続けることによりプランジャ5を上昇端位置、すなわち開弁位置に保持し続けることができ、通電を停止すると、バネ52の付勢力によりプランジャ5は降下し、弁体51が弁口21を閉弁する閉弁位置に移動し、プランジャ5はそのまま閉弁位置で保持される。
プランジャ5の後部にはエラストマー製の緩衝部材7を取り付けた。なお、この緩衝部材7は樹脂製やゴム製であってもよい。プランジャ5が電磁力により上昇する際の速度は速いため、プランジャ5が直接固定磁極6に衝突して停止するように構成すると、開弁の際に大きな衝突音が生じる。また、プランジャ5が固定磁極6に密着すると、プランジャ5や固定磁極6が使用中に帯磁した場合に、ソレノイドコイル3への通電を停止しても残留磁力によってプランジャ5が固定磁極6に吸着され、閉弁しない場合が生じる。
そのため緩衝部材7は上記の衝撃音を防止すると共に、開弁状態においてプランジャ5と固定磁極6との間に隙間が確保され密着しないように設けている。そして、本実施の形態では、緩衝部材7にテーパ凸面71を設けると共に、このテーパ凸面71に対応するテーパ凹面61を固定磁極6に設けた。
図1は閉弁状態を示しており、プランジャ5は下降しているが、ソレノイドコイル3に通電し、プランジャ5を引き上げると、図2に示すように、テーパ凸面71がテーパ凹面61に当接する。これにより、固定磁極6に対して緩衝部材7が同心に位置決めされる。緩衝部材7はプランジャ5に対して同心に保持されており、また固定磁極6はガイドパイプ4に同心に位置決めされているので、プランジャ5がガイドパイプ4に対して同心に位置決めされることになる。
ところで、緩衝部材7のテーパ凸面71の大径部71aの直径を固定磁極6のテーパ凹面61の大径部61aの直径より小さくし、かつ、テーパ凸面71の小径部71bの直径をテーパ凸面61の小径部61bの直径より大きくして、緩衝部材7が摩耗されることを防止するようにした。
ソレノイドコイル3には直流電流が通電されるが、ダイオード等の整流素子で半端整流もしくは全波整流された脈動する直流が通電されると、脈動周期に同期してプランジャ5が前後方向や直径方向に振動するが、プランジャ5はガイドパイプ4に対して同心に位置決めされており、全周方向に対して同じ幅の隙間が確保されているので、プランジャ5が振動してもプランジャ5がガイドパイプ4に接触することがない。
なお、図1および図2に示した実施の形態では、緩衝部材7にテーパ凸面71を形成し、固定磁極6側にテーパ凹面61を形成したが、図3に示すように、固定磁極6側にテーパ凸面62を形成すると共に、緩衝部材7にテーパ凹面72を形成してもよい。
そして、この場合であっても、緩衝部材7のテーパ凸面72の大径部72aの直径を固定磁極6のテーパ凹面62の大径部62aの直径より小さくし、かつ、テーパ凸面72の小径部72bの直径をテーパ凸面62の小径部62bの直径より大きくして、緩衝部材7が摩耗されることを防止するようにした。
また、上記各実施の形態では緩衝部材をプランジャ5の後部に保持したが、図4に示すように、固定磁極6側にテーパ凸面73を形成した環状の緩衝部材7を取り付け、プランジャ5の後端部分にテーパ凹面53を形成して、このテーパ凹面53を緩衝部材7のテーパ凸面73に当接させることにより、プランジャ5をガイドパイプ4に対して同心に位置決めしてもよい。
そして、この場合も、緩衝部材7のテーパ凸面73の大径部73aの直径をプランジャ5のテーパ凹面53の大径部53aの直径より小さくし、かつ、テーパ凸面73の小径部73bの直径をテーパ凹面53の小径部53bの直径より大きくして、緩衝部材7が摩耗されることを防止するようにした。
さらに、上記各実施の形態では、プランジャ5とガイドパイプ4との間に緩衝部材7および固定磁極6を介在させて同心に位置決めしたが、図5に示すように、緩衝部材7をガイドパイプ4に対して直接同心に位置決めさせ、この緩衝部材7のテーパ凹面74に対してプランジャ5の後端のテーパ凸面54を当接させることにより、プランジャ5とガイドパイプ4との間に緩衝部材7のみが介在するようにして同心に位置決めするように構成することも可能である。
そして、この場合も、緩衝部材7のテーパ凹面74の大径部74aの直径をプランジャ5のテーパ凸面54の大径部54aの直径より小さくし、かつ、テーパ凹面74の小径部74bの直径をテーパ凸面54の小径部54bの直径より大きくして、緩衝部材7が摩耗されることを防止するようにした。
そして、上記各実施の形態において、緩衝部材7のテーパ面に当接する側のテーパ面61,62,53,54にはいずれも摩擦係数を低下させるため、無電解ニッケルメッキを被着させた。なお、この無電解ニッケルメッキにはフッ素を複合させても良い。なお、本発明では、電気メッキよりも均一な厚みのメッキ層を被着させるために無電解メッキによりメッキ層を被着させることとした。また、フッ素を複合させることにより潤滑性が増す。ここで言うフッ素はフッ化黒鉛などのフッ化炭素樹脂を含むものである。
なお、本発明は上記した形態に限定されるものではなく、本発明の要旨を逸脱しない範囲内において種々の変更を加えてもかまわない。
1 電磁開閉弁
2 マニホールド
3 ソレノイドコイル
4 ガイドパイプ
5 プランジャ
6 固定磁極
7 緩衝部材
51 弁体
52 バネ

Claims (3)

  1. ソレノイドコイルの中心に筒状のガイドパイプを設け、このガイドパイプ内を進退自在のプランジャと、ガイドパイプ内の後部に固定され、プランジャの後方への移動を所定の位置で規制する固定磁極とを備え、プランジャの前端に弁体を設けて、プランジャを前進方向に付勢する付勢手段により弁体を弁口に押接させて弁口を閉弁すると共に、ソレノイドコイルに通電することにより生じる電磁力でプランジャを付勢手段の付勢力に抗して上記所定位置まで後退させて弁口を開弁する電磁開閉弁において、プランジャ側と固定磁極側とのいずれか一方に緩衝部材を取り付け、互いに係合し得るテーパ凸面とテーパ凹面とのうちのいずれか一方を緩衝部材の先端に形成し、プランジャ側と固定磁極側とのうちの他方の先端であって緩衝部材に当接する部分にテーパ凸面とテーパ凹面とのうちの他方を形成し、プランジャが上記所定位置まで後退し保持されている状態で両テーパ面が互いに係合することによってプランジャを位置決めして、ソレノイドコイルへの通電電流が脈動することによりプランジャが振動した場合であっても、プランジャがガイドパイプに接触することを防止する芯出し手段を設け、さらに、緩衝部材のテーパ面の大径部の直径を係合相手のテーパ面の大径部の直径より小さくし、かつ、緩衝部材のテーパ面の小径部の直径を係合相手のテーパ面の小径部の直径より大きくして、緩衝部材のテーパ面に対して、係合相手のテーパ面の端部が接触しないようにして、端部による緩衝部材の摩耗を防止するようにしたことを特徴とする電磁開閉弁。
  2. 緩衝部材のテーパ面に対して係合する側のテーパ面に無電解ニッケルメッキを被着させて摩擦係数を低下させ、上記緩衝部材の摩擦による摩耗を防止することを特徴とする請求項1に記載の電磁開閉弁。
  3. 緩衝部材のテーパ面に対して係合する側のテーパ面にフッ素を複合させた無電解ニッケルメッキを被着させて摩擦係数を低下させ、上記緩衝部材の摩擦による摩耗を防止することを特徴とする請求項1に記載の電磁開閉弁。
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