JP2010163362A - 軸性近視抑制剤及び遠視抑制剤 - Google Patents

軸性近視抑制剤及び遠視抑制剤 Download PDF

Info

Publication number
JP2010163362A
JP2010163362A JP2009004247A JP2009004247A JP2010163362A JP 2010163362 A JP2010163362 A JP 2010163362A JP 2009004247 A JP2009004247 A JP 2009004247A JP 2009004247 A JP2009004247 A JP 2009004247A JP 2010163362 A JP2010163362 A JP 2010163362A
Authority
JP
Japan
Prior art keywords
inhibitor
anthocyanin
bca
axial
anthocyanins
Prior art date
Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
Pending
Application number
JP2009004247A
Other languages
English (en)
Other versions
JP2010163362A5 (ja
Inventor
Hiroyuki Iida
博之 飯田
Hitoshi Matsumoto
均 松本
Kumiko Yonekura
久美子 米倉
Current Assignee (The listed assignees may be inaccurate. Google has not performed a legal analysis and makes no representation or warranty as to the accuracy of the list.)
Meiji Seika Kaisha Ltd
Original Assignee
Meiji Seika Kaisha Ltd
Priority date (The priority date is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the date listed.)
Filing date
Publication date
Application filed by Meiji Seika Kaisha Ltd filed Critical Meiji Seika Kaisha Ltd
Priority to JP2009004247A priority Critical patent/JP2010163362A/ja
Publication of JP2010163362A publication Critical patent/JP2010163362A/ja
Publication of JP2010163362A5 publication Critical patent/JP2010163362A5/ja
Pending legal-status Critical Current

Links

Images

Landscapes

  • Coloring Foods And Improving Nutritive Qualities (AREA)
  • Non-Alcoholic Beverages (AREA)
  • Saccharide Compounds (AREA)
  • Pharmaceuticals Containing Other Organic And Inorganic Compounds (AREA)

Abstract

【課題】
優れた軸性近視抑制剤あるいは遠視抑制剤を提供することを課題とする。さらに軸性近視抑制効果と遠視抑制効果の両方の機能を併せ持つ薬剤を提供することを課題とする。
【解決手段】
アントシアニン、特にカシスアントシアニンを有効成分として含有することを特徴とする軸性近視抑制剤、遠視抑制剤さらには軸性近視抑制剤兼遠視抑制剤を提供する。
【選択図】図1

Description

本発明は、軸性近視抑制剤及び遠視抑制剤に関する。さらに詳細には軸性近視抑制及び遠視抑制の両方の機能を有する新規な抑制剤に関する。
近年、パソコン、コンピュータゲーム等の普及により、視覚機能の低下、眼精疲労さらには近視者の増加が問題となっている。特に学童期の児童などにおいては目の酷使により急激な視力低下が特に問題となっている。
近視の進行のメカニズムは複雑であり、いまだに明らかとなっていない。近年、学童期の近視者によるいくつかの臨床試験で、累進多焦点レンズを装着することにより、単焦点レンズに比べ近視の進行および眼軸長の延長が抑えられたとの報告がある。眼で物を見るときの環境、すなわち近視用レンズあるいは近業による焦点の網膜後方へのずれと近視の進行との関係が注目されている。特に、学童期の眼は生理学的にも眼軸長の延長能力が高く、眼軸長の延長を生じやすい。一般の近視は屈折性近視であり、眼軸の長さは正常であるが、光の屈折を調整している角膜と水晶体の屈折力が強すぎて、角膜の手前で焦点を結んでしまう状態をいう。これに対して軸性近視とは、角膜や水晶体の屈折力は正常であるが、眼軸が伸びてしまい網膜の手前で焦点が合ってしまう状態をいう。すなわち上記の学童期で問題となっているのが軸性近視である。眼軸が伸びてしまう原因の一つとして、手元の近いところばかりを見ている生活習慣があげられている。
一方、社会の高齢化にともない、高齢者の視力の衰えの問題は増してきており、特に日常生活において遠視の進行は大きな障害となってくる。
遠視は、近視とは反対に網膜の後ろで光の焦点が結ばれてしまい、ピントが合わず、近くのものがぼんやり見えてしまう屈折異常のことである。遠視は軸性遠視と屈折性遠視の2種類に分けられる。軸性遠視は眼軸が短いため網膜上で焦点が結べず、網膜の後ろで焦点が結ばれるという状態である。屈折性遠視は角膜や水晶体の屈折力が弱すぎるため、網膜上で焦点を合わせることができず、網膜よりさらに奥でピントが合ってしまう状態である。
強度の遠視の場合には近くだけでなく、遠くもよく見えなくなるため、かなりの注意が必要とされている。

一方、アントシアニン類は、果実類(カシス、ブルーベリー、モモ、オリーブなど)、穀類(オオムギ、コメなど)、豆類(インゲンマメ、エンドウなど)、イモ類(サツマイモなど)、野菜類(アスパラガス、ダイコンなど)などの多くの植物に存在することが知られている。そして、アントシアニンが抗酸化作用、脂質改善作用、抗変異原・抗腫瘍作用、抗潰瘍、血小板凝集抑制及び視覚機能改善作用を有することが報告されている(非特許文献1)。例えば、ブルーベリー由来アントシアニンの視覚改善効果が広く知られているが、その詳細な解析はなされていなかった。また他の報告によれば、カシス由来のアントシアニン(以下、カシスアントシアニンともいう)のロドプシン再生促進効果(非特許文献3)、エンドセリンBレセプターを介した毛様体筋弛緩効果が見出されている(非特許文献4)。

さらに、アントシアニンは、その構造・起源が異なれば、含まれる成分の種類及び割合が異なり、当然その機能性が異なってくることが当技術分野では知られている(非特許文献2)。例えば、同じインゲンマメ由来のアントシアニンの抗酸化性であっても、種皮の色や部位によりその活性に大きな差がある(非特許文献1)。また、アントシアニンの作用は、in vitroとin vivoで異なることも多く、容易に予測することができない(非特許文献1)。従って、由来などによってアントシアニンの薬理効果には差異があり、多種多様なアントシアニンのヒトに対する効果は容易に推測することができるものではない。
ところで受験期の児童を対象とした仮性近視者に対するブルーベリーエキスの摂取が、軸性近視への進行および視力の悪化防止に対して有用であることが示唆された、との報告がある(非特許文献5)。しかし、この文献では実際に眼軸長等を測定したものではなく、軸性近視の抑制効果を確認したものとはいえなかった。
WO02/022847号 WO01/001798号
「アントシアニン−食品の色と健康−」,大庭理一郎ら編著,建帛社,平成12(2000)年,第14〜17頁,第103〜105頁,第130〜131頁,第136〜139頁など カシスアントシアニンと視覚改善機能,第一部 アントシアニン類の特性と視覚機能2,平山匡男及び松本均,食品工業,2001-8.30,第53〜61頁 Matsumoto, H. et al., J. Agric. Food Chem. 第51巻, 第3560-3563頁, 2003年 Matsumoto, H. et al., Exp. Eye Res. 第80巻, 第313-322頁, 2005年 梶本修身 他、 新薬と臨床 Vol.49 :72-79 (2000)
このような実状に鑑み本発明は、これまで報告されたものよりも優れた軸性近視抑制剤あるいは遠視抑制剤を提供することを課題とする。さらに軸性近視抑制効果と遠視抑制効果の両方の機能を併せ持つ薬剤を提供することを課題とする。
本発明者らは上記課題を解決するため鋭意検討した結果、アントシアニン、特にカシスアントシアニンが、優れた軸性近視抑制効果並びに遠視抑制効果を有することを見出し、本発明を完成するに至った。すなわち本発明は、アントシアニンを有効成分として含有することを特徴とする軸性近視抑制剤に関し、特に学童期の児童のための軸性近視抑制剤に関する。あるいはアントシアニンを有効成分として含有することを特徴とする遠視抑制剤に関する。さらに軸性近視抑制剤兼遠視抑制剤に関する。
上記の各種抑制剤において、アントシアニンは、好ましくはカシスアントシアニンである。また上記の各種抑制剤は、例えば経口投与製剤の形態である。あるいは上記の各種抑制剤は、飲食品に用いることができる。
本発明により、軸性近視抑制剤が提供される。特に学童期の児童の軸性近視の予防のために有効である。あるいは本発明により、遠視抑制剤が提供される。特に中高年の遠視の進行の防止に有効である。
眼軸長延長及び眼球長延長に対するカシスアントシアニンの作用に関する図 眼軸長延長及び眼球長延長に対するカシスアントシアニンとビルベリーアントシアニンの比較に関する図 遠視抑制に対するカシスアントシアニンとビルベリーアントシアニンの比較に関する図
以下、本発明の実施の形態について詳細に説明する。
本発明は、アントシアニンの用途に係るものであり、アントシアニン、特にカシスアントシアニンが優れた軸性近視抑制効果と遠視抑制効果の両方の機能を有することを利用するものである。
アントシアニンとは、主に下記の構造式(I)に示されるような骨格を含む化合物の総称をいう。一般にアグリコン(配糖体のうちの非糖質部分)のみのものをアントシアニジン、配糖体として糖が結合したものをアントシアニンと呼ぶが、本明細書において、アントシアニンとは、アントシアニジンとアントシアニンの両者を含むものとする。
Figure 2010163362
〔式中、R及びRは同一又は異なって水素原子、水酸基又はメトキシ基を表し、Glyは、グルコース、ルチノース、ソフォロース、アラビノース、ガラクトースなどの糖類基を表す〕。

アントシアニンは、種々の生物に含まれるが、その起源や部位が異なれば、含まれる成分の種類及び割合(組成)が異なる。例えば、本発明において好ましく用いられるカシスアントシアニンは、シアニジン−3−O−グルコシド(以下、C3Gと略記する)、シアニジン−3−O−ルチノシド(以下C3Rと略記する)、デルフィニジン−3−O−グルコシド(以下、D3Gと略記する)及びデルフィニジン−3−O−ルチノシド(以下D3Rと略記する)の4成分がアントシアニン類として含まれている。
アントシアニンは、当技術分野で公知の方法を用いて製造することができる。例えば、アントシアニンは、紫サツマイモ、赤キャベツ、赤ゴメ、エルダーベリー、ブドウ果汁、ブドウ果皮、紫トウモロコシ、赤ダイコン、シソ、カシス、カウベリー、グースベリー、クランベリー、サーモンベリー、スィムブルーベリー、ストロベリー、ダークスィートチェリー、チェリー、ハイビスカス、ハクルベリー、ブラックベリー、ブルーベリー、プラム、ホワートルベリー、ボイセンベリー、マルベリー、紫イモ、紫ヤマイモ、ラズベリー、レッドカーラント、ローガンベリーなどのアントシアニンを多く含む植物の生果実、乾燥果実、果実破砕物、ピューレ、生果汁、濃縮果汁などから、膜分離、各種クロマトグラフィー分離、溶媒抽出などによりアントシアニンを抽出することによって製造することができる。抽出方法及び抽出条件は個々の植物に応じて異なるが、これらも全て当技術分野で公知である。例えば、国際公開WO02/022847号(特許文献1)に記載の方法を用いて、デルフィニジン−3−グルコシド、デルフィニジン−3−ルチノシド及びシアニジン−3−グルコシドのような結晶化したアントシアニンを製造することができる。
またカシスアントシアニンに多く含まれるデルフィニジン−3−ルチノシド(D3R)、シアニジン−3−ルチノシド(C3R)は体内での滞留時間が長いため、本発明において有効成分として使用することが特に望ましい。そのため本発明においては、国際公開WO01/001798号(特許文献2)に開示されている、カシスアントシアニン含有組成物を用いることが好適である。すなわち、固形分当たり1重量%以上25重量%以下のアントシアニンを含む組成物を本発明において用いることが望ましい。さらにアントシアニンは、単離・精製されたものに限定されず、例えば、植物の果実破砕物、ピューレ、濃縮果汁などを使用してもよい。
本発明者らは、アントシアニン、特にカシスアントシアニンが、優れた軸性近視抑制効果並びに遠視抑制効果を有することを見出した。すなわち本発明のこれら抑制剤は、有効成分としてシアニジン−3−O−グルコシド(C3G)、シアニジン−3−O−ルチノシド(C3R)、デルフィニジン−3−O−グルコシド(D3G)及びデルフィニジン−3−O−ルチノシド(D3R)の4成分のうち1種又は2種以上を含有するものである。特に実施例で示すように、これらの4成分のすべてを含有することが好ましい。
以下の実施例に示すように、ヒヨコ軸性近視(眼軸長延長)モデルにおけるカシスアントシアニンの有効性を評価したところ(実施例1)、優れた眼軸長延長および眼球長延長の抑制効果が認められた。すなわち、軸性近視抑制効果が確認された。
またカシスとビルベリーとの比較試験をおこなったところ(実施例2)、明らかにカシスのアントシアニンの方が眼軸長延長及び眼球長延長の抑制効果が勝っていた。このことはすなわち、カシスアントシアニンが優れた軸性近視抑制剤であることを示すものである。
同じく以下の実施例に示すように、エンドセリン-1(ET-1)をヒヨコの硝子体内に注射することで生じる球面屈折値の増加(遠視化)に対するカシスアントシアニンとビルベリーアントシアニンとの比較試験をおこなったところ(実施例3)、カシスアントシアニンは球面屈折値の変化は認められなかった。このことはすなわち、カシスアントシアニンが優れた遠視抑制剤であることを示すものである。

遠視と同じく、老眼(老視)は凸レンズの眼鏡を使用して矯正を行う。遠視は遠いところを見るときの屈折異常であるのに対し、老眼は水晶体の老化による調節異常で、近いところを見る時に問題が生じる。一般的に、近視の人は老眼になるのが遅く、遠視の人は老眼になるのが早いといわれている。アントシアニンが遠視抑制効果を示すことは、すなわち、老眼の発現の抑制につながることが期待される。

本発明の抑制剤は、有効成分であるアントシアニンの他、薬学的に許容される担体又は添加物を共に含むものであってもよい。このような担体及び添加物の例として、水、薬学的に許容される有機溶剤、コラーゲン、ポリビニルアルコール、ポリビニルピロリドン、カルボキシビニルポリマー、アルギン酸ナトリウム、水溶性デキストラン、カルボキシメチルスターチナトリウム、ペクチン、キサンタンガム、アラビアゴム、カゼイン、ゼラチン、寒天、グリセリン、プロピレングリコール、ポリエチレングリコール、ワセリン、パラフィン、ステアリルアルコール、ステアリン酸、ヒト血清アルブミン、マンニトール、ソルビトール、ラクトースなどが挙げられる。使用される添加物は、剤形に応じて上記の中から適宜又は組み合わせて選択される。
本発明の抑制剤を経口投与する場合は、錠剤、カプセル剤(硬カプセル剤、軟カプセル剤、マイクロカプセルなど)、顆粒剤、散剤、丸剤、トローチ剤、内用水剤、液剤、懸濁剤、乳剤、シロップ剤などのいずれのものであってもよく、使用する際に再溶解させる乾燥生成物にしてもよい。特にアントシアニン抽出液をカプセル剤として単位投与剤形とすることが好ましい。また、本組成物を非経口投与する場合は、例えば静脈内注射(点滴を含む)、筋肉内注射、腹腔内注射及び皮下注射用の注射剤(例えば溶液、乳剤、懸濁剤)、軟膏剤(特に眼軟膏剤)、クリーム剤、座剤、パップ剤、点眼剤、点鼻剤、吸入剤、リニメント剤、エアゾル剤などの外用剤などの製剤形態を選択することができ、注射剤の場合は単位投与量アンプル又は多投与量容器の状態で提供される。
本発明の抑制剤は、医薬において通常用いられる賦形剤、増量剤、結合剤、湿潤剤、崩壊剤、滑沢剤、界面活性剤、分散剤、緩衝剤、pH調整剤、保存剤、溶解補助剤、防腐剤、矯味矯臭剤、吸収促進剤、無痛化剤、安定化剤、等張化剤などを適宜選択し、常法により製造することができる。本発明の抑制剤は、吸収性及び眼組織への移行性を勘案すると経口投与形態が望ましい。
本発明の抑制剤に配合するアントシアニンは、その用途、剤形、投与経路などにより異なるが、例えば総重量を基準として1〜80重量%、好ましくは5〜50重量%である。また、本発明の抑制剤の有効量(投与量又は摂取量)は、該抑制剤に含まれるアントシアニンの種類、被験体の年齢及び体重、投与経路、投与回数により異なり、広範囲に変更することができる。例えば、通常成人1日当たりアントシアニン1〜1000mg、好ましくは10〜200mgを、1日1回又は数回に分けて、約1週間〜約1年間、好ましくは約1ヶ月〜約10ヶ月にわたり投与することができる。
本発明の抑制剤は医薬品としての用途に限定されず、例えば飲食品又は飼料などに配合されてもよい。「飲食品」及び「飼料」とは、栄養素を1種以上含む天然物及びその加工品をいい、あらゆる飲食物を含む。本発明の抑制剤(アントシアニン)が配合された飲食品又は飼料は、軸性近視あるいは遠視の進行を抑制するための健康補助製品として有用である。
本発明の抑制剤を飲食品に添加する場合、添加量としては、飲食品全体に対してアントシアニンの含有量が0.01〜10重量%となるように配合することができる。効果が期待できる摂取量は年齢、体重、性別、症状の程度などを考慮して、個々の場合に応じて適宜決定されるが、通常成人1日当りアントシアンが1〜1000mg、好ましくは10〜200mgであり、これを1日1回又は数回に分けて摂取する。アントシアニンを多く含む果実又は濃縮果汁よりアントシアニン類を抽出又は濃縮したエキス、あるいはエキスを乾燥させた粉末、ペースト状、ゲル状などの形態とすることも可能である。摂取量としては一回で効能を発揮させたい場合は、少なくともアントシアニンとして10mg以上が望ましいが、特に限定されるものではなく、多めに摂取することがより望ましい。摂取回数は一日に何回かに分けて摂取できるが、その場合は、回数に応じて量を分割することも可能である。また、長期にわたり連続して摂取することが可能である。
以下、実施例を用いて本方法をより詳細に説明するが、本発明の技術的範囲はこれら実施例に限定されるものではない。
「ヒヨコ軸性近視(眼軸長延長)モデルにおけるカシスアントシアニン(以下BCAと略記する場合あり)の有効性評価」

[方法]
1. 試験動物

雄性白色レグホンのヒヨコ(株式会社 I・ひよこ)を孵化の翌日(1日齢)に入手し、1週間の予備飼育後、8日齢で実験に用いた。実験期間中は個別ケージにて飼育した。

2. 飼育環境

動物は、温度25℃、湿度60%RH、照明12時間周期(明期:7〜19時)の飼育条件下で飼育し、水道水および餌は自由摂取とした。

3. BCAの調製
カランテックス20(BCA24.7%、組成比:delphinidin-3-O-glucoside 12.3%、delphinidin-3-O-rutinoside 38.0%、cyanidin-3-O-glucoside 7.3%、cyanidin-3-O-
rutinoside 42.4%含有 Lot No. J22107138、Just The Berry社)を用い、BCA量で投与量を設定した。BCAは注射用蒸留水に50mg/5mLあるいは100mg/5mLの濃度に懸濁した。なお、BCAの調製は用時調製とした。
4. 近視用レンズ(-8D)付きゴーグルの作製
直径17 mm 、高さ5 mmのプラスチックのガイドの片側に直径16 mmの-8Dの近視用レンズをアロンアルファA「三共」(第一三共株式会社)で接着し、重さ約0.7gの近視用レンズ(-8D)付ゴーグル(以下 -8Dゴーグル)を作製した。
5. 眼軸長および眼球長の測定
眼軸長(角膜から網膜まで)はソムノペンチル(ペントバルビタールナトリウム、共立製薬)65 mg/kgの腹腔内投与によりヒヨコを麻酔し、超音波眼軸長測定装置 オフサスキャンB(中央産業貿易株式会社)によるA-scan測定(測定精度 0.1mm)を行った。眼球長(角膜から眼球後方まで)はヒヨコに追加麻酔をかけ、安楽死させた後、眼球を取り出し、ノギス(測定精度 0.01mm)により計測した。

6.実験方法

8日齢のヒヨコにBCA を50 mg/kgあるいは100 mg/kgの用量で経口投与(Day 1)し、投与30分後に-8DゴーグルをShaeffel ら、および Fujikado ら の方法に準じて、片眼(右眼)に装着した。左眼は裸眼対照とした。さらに、-8Dゴーグル装着の1日後(Day 2)および2日後(Day 3)の午前中に同様にBCAを1日1回、経口投与した。 溶媒対照として、蒸留水を5 mL/kgの容量でBCAと同様に経口投与した。最終投与の翌日(Day4)に眼軸長および眼球長を測定した。眼軸長延長および眼球長延長は以下の式にて算出した。



眼軸長延長(mm)=右眼軸長(mm)-左眼軸長(mm)
眼球長延長(mm)=右眼球長(mm)-左眼球長(mm)



7.データ処理および統計解析

データは平均値±標準誤差で示した。各群の眼軸長延長および眼球長延長の比較は、Dunnett’s multiple comparison testにより解析した。なお、有意水準は5%以下とした。

[結果]
図1に-8Dゴーグル4日間装着によるDay4の眼軸長延長および眼球長延長を示した。蒸留水、BCA 50mg/kgおよびBCA 100mg/kg 投与群の眼軸長延長はそれぞれ、OLE_LINK20.41±0.042、0.32±0.033、0.22±0.033OLE_LINK2であり、BCA 100mg/kg群で眼軸長延長の有意な抑制が認められた。一方、蒸留水、BCA 50mg/kgおよびBCA 100mg/kg 投与群の眼球長延長は0.47±0.039、0.29±0.031、0.19±0.038であり、BCA 50mg/kgから有意な抑制が認められた。
「ヒヨコ軸性近視(眼軸長延長)モデルにおけるカシスアントシアニン(BCA)とビルベリーアントシアニン(以下BBAと略記する場合あり)の比較試験」

[目的]

アントシアニン中成分の軸性近視抑制に対する効果の違いを確認するために、BCAとBBAの経口投与量を100 mg/kgのアントシアニン等量として-8Dレンズ装着による眼軸長および眼球長延長に対する有効性の比較をおこなった。

[方法]
1. 試験動物

雄性白色レグホンのヒヨコ(株式会社 I・ひよこ)を孵化の翌日(1日齢)に入手し、1週間の予備飼育後、8日齢で実験に用いた。実験期間中は個別ケージにて飼育した。

2. 飼育環境

動物は、温度25℃、湿度60%RH、照明12時間周期(明期:7〜19時)の飼育条件下で飼育し、水道水および餌は自由摂取とした。

3. BCAおよびBBAの調製
カランテックス20(BCA 24.7%、Lot No. J22107138、Just The Berry社)およびビルベロン25(BBA 28.2%、Lot No. 80860102、常磐植物化学研究所)を実験に用いた。BCAおよびBBAは注射用蒸留水で100 mg/5mLの濃度に懸濁した。なお、BCAおよびBBAは用時調製とした。カランテックス20のアントシアニン成分組成を表1に示し、ビルベロン25のアントシアニン成分組成を表2に示す。
Figure 2010163362
Figure 2010163362
4. 眼軸長および眼球長の測定
眼軸長(角膜から網膜まで)はペントバルビタールナトリウム(ソムノペンチル、共立製薬)65 mg/kgの腹腔内投与によりヒヨコを麻酔し、超音波眼軸長測定装置 オフサスキャンB(中央産業貿易株式会社)によるA-scan測定(測定精度 0.1mm)を行った。眼球長(角膜から眼球後方まで)はヒヨコに追加麻酔をかけ、安楽死させた後、眼球を取り出し、ノギス(測定精度 0.01mm)により計測した。

5. 実験方法

8日齢のヒヨコにBCAあるいはBBAを100 mg/kgのアントシアニン等量で経口投与し、投与30分後に-8DゴーグルをShaeffel ら、および Fujikado ら の方法に準じて、片眼(右眼)に装着した。左眼は裸眼対照とした。さらに、-8Dゴーグル装着の1(Day2)および2日後(Day3)の午前中に、同様にBCAあるいはBBAを1日1回、経口投与した。対照として蒸留水を5mL/kgの容量 でBCAおよびBBAと同様に投与した。最終投与の翌日(Day4)に眼軸長および眼球長を測定した。眼軸長延長および眼球長延長は以下の式にて算出した。



眼軸長延長(mm)=右眼軸長(mm)-左眼軸長(mm)
眼球長延長(mm)=右眼球長(mm)-左眼球長(mm)


6. データ処理および統計解析
データは平均値±標準誤差で示した。各群の眼軸長延長および眼球長延長の比較は、Dunnett’s multiple comparison testにより解析した。なお、有意水準は5%以下とした。

[結果]
図2に-8Dゴーグル4日間装着によるDay4の眼軸長延長および眼球長延長を示した。蒸留水、BCA 100 mg/kgおよびBBA 100mg/kgの投与群の眼軸長延長はそれぞれ、0.43±0.030、0.20±0.029および0.32±0.057であり、BCA 100mg/kgの投与群で蒸留水投与群に比べ眼軸長延長の有意(P=0.0005)な抑制が認められた。一方、BBA 100mg/kg投与群では蒸留水投与群に比べ有意な作用は認められなかった。蒸留水、BCA 100 mg/kgおよびBBA 100 mg/kgの投与群の眼球長の延長はそれぞれ、0.44±0.032、0.20±0.027および0.32±0.59であり、BCA 100 mg/kg投与群で蒸留水投与群に比べ眼球長延長の有意(P=0.0003)な抑制が認められた。一方、BBA 100mg/kg投与群では蒸留水投与群に比べ有意な作用は認められなかった。
以上のことから、ヒヨコ軸性近視モデルにおいて、BCAが眼軸長および眼球長の延長を抑制することが再度確認された。また、その作用はBBAよりも強く、ヒトの軸性近視に対して、BCAはBBAよりも有用であることが確認された。
「エンドセリン-1(ET-1) 硝子体内注射によるヒヨコ球面屈折値に対するカシスアントシアニン(BCA)とビルベリーアントシアニン(BBA)の比較試験」

[目的]

遠視抑制効果を確認するための一般的な方法として、ある一定濃度のET-1 を硝子体内に注射することにより生じるヒヨコの球面屈折値の増加(遠視化)を指標として、薬剤などの効果を評価できる。そこでアントシアニンの遠視抑制効果並びにアントシアニン中成分の遠視抑制に対する効果の違いを確認するために、ヒヨコの硝子体内にET-1を注射することにより生ずる球面屈折値の遠方化に対するBCAとBBAの効果の比較を行った。
[方法]

5週齢のヒヨコにBCAあるいはBBAを、50mg/kg のアントシアニン等量(蒸留水で50 mg/10mL の濃度に溶解)を経口投与し、30mim 後にET-1(10-4M) 10μL を硝子体内に注射し、球面屈折値の変化をオートレフラクトメーター で測定した。なおBCAはカシスポリフェノール20(BCA 21.9%、Just The Berry社)を使用した。またBBAは実施例2と同様にビルベロン25を使用した。カシスポリフェノール20のアントシアニン成分組成を表3に示す。

溶媒対照群には蒸留水を10mL/kgの容量で投与した。球面屈折値は経口投与前、注射前、注射 10, 30, 60 および120 分後に測定した。
Figure 2010163362
[結果]
結果を図3に示す。図3にはET-1注射後の球面屈折値の変化(注射後−注射前)を示した。蒸留水投与群はET-1注射後に球面屈折値の有意な増加(10, 30 min)が見られた。 BCA投与群はET-1注射による球面屈折値の変化は認められなかった。さらに、BCA投与群はET-1注射30min後の時点で 蒸留水群に比べ、有意な球面屈折値の増加の抑制が認められた。このことから、BCAの遠視抑制効果が確認された。
一方、BBA投与群では、蒸留水投与群と同様にET-1注射後に球面屈折値の増加(有意ではないが、60min の時点で注射前との間で P=0.053)が認められた。また、蒸留水投与群と比較して球面屈折値の有意な抑制は認められなかった。
以上のことから、BCAには遠視の抑制効果があることが確認された。しかしながらBBAには遠視の抑制効果はないことが確認された。

Claims (6)

  1. アントシアニンを有効成分として含有することを特徴とする軸性近視抑制剤。
  2. アントシアニンを有効成分として含有することを特徴とする遠視抑制剤。
  3. アントシアニンを有効成分として含有することを特徴とする軸性近視抑制剤兼遠視抑制剤。
  4. アントシアニンが、シアニジン−3−O−グルコシド、シアニジン−3−O−ルチノシド、デルフィニジン−3−O−グルコシド及びデルフィニジン−3−O−ルチノシドの4成分のうち1種又は2種以上を含有するものである、請求項1〜3のいずれか1項に記載の抑制剤。
  5. アントシアニンがカシスアントシアニンである、請求項1〜4のいずれか1項に記載の抑制剤。
  6. 飲食品に用いられる、請求項1〜5のいずれか1項に記載の抑制剤。
JP2009004247A 2009-01-13 2009-01-13 軸性近視抑制剤及び遠視抑制剤 Pending JP2010163362A (ja)

Priority Applications (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP2009004247A JP2010163362A (ja) 2009-01-13 2009-01-13 軸性近視抑制剤及び遠視抑制剤

Applications Claiming Priority (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP2009004247A JP2010163362A (ja) 2009-01-13 2009-01-13 軸性近視抑制剤及び遠視抑制剤

Publications (2)

Publication Number Publication Date
JP2010163362A true JP2010163362A (ja) 2010-07-29
JP2010163362A5 JP2010163362A5 (ja) 2012-02-16

Family

ID=42579838

Family Applications (1)

Application Number Title Priority Date Filing Date
JP2009004247A Pending JP2010163362A (ja) 2009-01-13 2009-01-13 軸性近視抑制剤及び遠視抑制剤

Country Status (1)

Country Link
JP (1) JP2010163362A (ja)

Cited By (1)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
WO2018212152A1 (ja) * 2017-05-15 2018-11-22 株式会社坪田ラボ 近視予防用組成物及び機能性食品

Citations (1)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
WO2001001798A1 (fr) * 1999-07-02 2001-01-11 Meiji Seika Kaisha, Ltd. Composition pour aliments, procede de production de cette composition et aliments et boissons fonctionnels contenant cette composition

Patent Citations (1)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
WO2001001798A1 (fr) * 1999-07-02 2001-01-11 Meiji Seika Kaisha, Ltd. Composition pour aliments, procede de production de cette composition et aliments et boissons fonctionnels contenant cette composition

Non-Patent Citations (3)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Title
JPN6013030876; 食の科学,2000,No.272,p.52-58 *
JPN6013030880; 食品と開発,2001,Vol.36,,No.6,p.65-67 *
JPN6013030881; 薬理と治療,2007,Vol.35,No.5,p.447-455 *

Cited By (3)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
WO2018212152A1 (ja) * 2017-05-15 2018-11-22 株式会社坪田ラボ 近視予防用組成物及び機能性食品
TWI787268B (zh) * 2017-05-15 2022-12-21 日商坪田實驗室股份有限公司 預防近視用組成物及機能性食品
US11813299B2 (en) 2017-05-15 2023-11-14 Tsubota Laboratory, Inc. Composition and functional food for preventing myopia

Similar Documents

Publication Publication Date Title
KR100547497B1 (ko) 식품 조성물, 그의 제조법 및 그것을 함유하는 기능성음식품
WO2014098092A1 (ja) ドライアイ予防・治療剤
JP7324263B2 (ja) キサントフィルとヒシ属植物の加工物を含有する組成物
JP7287631B2 (ja) 食品用組成物
CN103079550A (zh) N-乙酰-dl-亮氨酸,神经保护性和视网膜保护性药物
JP4873904B2 (ja) 眼血管血流障害改善剤
JP6148780B1 (ja) キサントフィルとヒシ属植物の加工物を含有する組成物
JP7392219B2 (ja) フラボノイド組成物
KR20050078663A (ko) 혈류 개선 식품
JP2010163362A (ja) 軸性近視抑制剤及び遠視抑制剤
WO2018030389A1 (ja) Nad関連代謝産物の利用
JPWO2006030907A1 (ja) 網膜保護剤
JPWO2018221650A1 (ja) ルテイン類またはその塩およびヒシ属植物の加工物を含有する脳機能障害の予防および/または改善用組成物
JP2013173720A (ja) 網膜症の予防又は改善剤
EP2709643B1 (en) Compositions comprising extracts or materials derived from palm oil vegetation liguor for inhibition of vision loss due to macular degeneration
JP2009107945A (ja) 視神経障害抑制剤及びそれを含有する飲食品
KR20160090662A (ko) 쥐눈이콩 추출물을 포함하는 망막질환의 예방 또는 치료용 조성물
JP2018193357A (ja) 近視予防用組成物及び機能性食品
JP2020025503A (ja) 眼の老化予防剤および眼の老化予防用サプリメント
KR101401854B1 (ko) 광천수를 함유한 안구 세척용 조성물
KR20110078524A (ko) 인삼 열매 추출물을 함유하는 퇴행성 신경장애 치료용 조성물
KR20170023055A (ko) 쥐눈이콩 추출물을 포함하는 망막질환의 예방 또는 치료용 조성물
CN113966222A (zh) 山蚂蝗和三价铬组合物及眼用
JP2022028067A (ja) 網膜保護組成物
KR20240055549A (ko) 골담초 추출물을 포함하는 안질환의 예방 또는 치료용 조성물

Legal Events

Date Code Title Description
A711 Notification of change in applicant

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A712

Effective date: 20110418

A621 Written request for application examination

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A621

Effective date: 20111219

A521 Written amendment

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A523

Effective date: 20111221

A131 Notification of reasons for refusal

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A131

Effective date: 20130626

A521 Written amendment

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A523

Effective date: 20130826

A521 Written amendment

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A523

Effective date: 20130911

A02 Decision of refusal

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A02

Effective date: 20131030