JP2010162765A - 熱硬化性樹脂発泡成形体の製造方法およびそれにより得られる発泡成形体 - Google Patents

熱硬化性樹脂発泡成形体の製造方法およびそれにより得られる発泡成形体 Download PDF

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Abstract

【課題】熱硬化性発泡成形体の製造方法を提供することであって、特に、発泡状態の優れた熱硬化性発泡成形体の製造方法を提供すること。
【解決手段】射出成形またはトランスファ成形によって熱硬化性樹脂発泡成形体を製造する方法であって、(i)金型内部を溶融化した熱硬化性樹脂原料で満たす工程、(ii)熱硬化性樹脂原料に含まれるガス成分を超臨界状態にする工程、(iii)金型の内部空間を増加させることによって、熱硬化性樹脂原料内にて発泡を生じさせる工程を含んで成る製造方法。
【選択図】図6

Description

本発明は、熱硬化性樹脂の製造方法に関し、より詳細には熱硬化性樹脂発泡成形体の製造方法に関する。また、本発明は、かかる製造方法から得られる熱硬化性樹脂の発泡成形体にも関する。
プラスチックは、フィルム、シート、パイプ、日用雑貨、建築資材または工業用部品などの種々の製品に利用されている。このようなプラスチック製品の成形方法としては、射出成形や押出成形などをはじめ種々の方法が用いられる。そのなかでも射出成形は広く用いられており、特に熱可塑性樹脂の成形で用いられている。かかる射出成形では、樹脂原料を溶融させて金型へと射出し、金型内部を溶融樹脂材料で充填した後、冷却に付して成形品を得ている(例えば、非特許文献1を参照)。
このような成形品の中でも発泡成形品は、その有する物理的性質から断熱材、緩衝材、吸音材、包装容器材、浮揚材などの種々の広範な用途に用いられている。特に近年においては、原油価格の高騰により、軽量化を目的とした発泡成形技術の開発が盛んになっている。しかしながら、このような発泡成形品は、熱可塑性樹脂から成るものが殆どであって、それを射出成形、押出成形などにより製造しているのが現状である。換言すれば、“射出成形やトランスファ成形による熱硬化性樹脂の発泡成形”については検討がほとんど為されておらず、発泡状態の優れた熱硬化性発泡成形体を製造するには至っていない。
小川伸著、「プラスチック工業辞典」第4版、株式会社工業調査会、1985年6月、p494
本発明は、上記事情に鑑みて為されたものである。つまり、本発明の課題は、熱硬化性発泡成形体の製造方法を提供することであって、特に、発泡状態の優れた熱硬化性発泡成形体の製造方法を提供することである。
本発明者は、上記課題を解決すべく鋭意検討した結果、比較的均一に多く発泡した熱硬化性発泡成形体の製造方法を完成させた。
上記課題を解決する本発明は、
射出成形またはトランスファ成形によって熱硬化性樹脂成形体を製造する方法であって、熱硬化性樹脂成形体が発泡成形体であり、金型内部(=金型キャビティ)で熱硬化性樹脂原料に含まれるガス成分を発泡させることを通じて発泡成形体を得る製造方法である。本発明の製造方法の特に好ましい態様では、金型内部で熱硬化性樹脂原料に含まれるガス成分を超臨界状態にした後、かかるガス成分を発泡状態に付す。ガス成分は、二酸化炭素ガスまたは窒素ガスであることが好ましい。
ある好適な態様では、本願発明の製造方法は以下の工程(i)〜(iii)を含んで成る:
(i)金型内部を「溶融化した熱硬化性樹脂原料」で満たす工程、
(ii)熱硬化性樹脂原料に含まれるガス成分を超臨界状態にする工程、
(iii)金型の内部空間を増加させることによって、熱硬化性樹脂原料において発泡を生じさせる工程。
このような本願発明は、「射出成形またはトランスファ成形を用いており、金型内部で発泡を生じさせて熱硬化性樹脂発泡成形体を得る」といったことを特徴としており、特に、金型内部で熱硬化性樹脂原料に含まれるガス成分を超臨界状態にした後、金型の内部空間を増加させてガス成分の発泡を行うことを特徴としている。
本明細書において「発泡成形体」とは、連続した固体物質中に複数の気泡・気孔が含まれた多孔材料のことを実質的に指している。従って、「熱硬化性樹脂発泡成形体」とは、熱硬化性樹脂中に複数の気泡・気孔が含まれた成形体であることを実質的に意味している。本発明における熱硬化性樹脂としては、一般的な熱硬化性樹脂の成形に使用されているものであれば特に制限はなく、例えば、不飽和ポリエステル樹脂、エポキシ樹脂、ジアリルフタレート樹脂、シリコーン樹脂、フェノール樹脂、ポリイミド樹脂、ポリウレタン樹脂、メラミン樹脂およびユリア樹脂などを挙げることができる。
ある好適な態様では、熱硬化性樹脂原料に予め化学発泡剤を仕込んでおき、工程(ii)において化学発泡剤に起因したガス成分を超臨界状態に付す。この場合、化学発泡剤に起因して発生するガス成分が臨界圧力以上(=超臨界圧力限界値以上)の条件に付されることになるように、金型内部に仕込まれた熱硬化性樹脂原料の圧力を調整することが好ましく、特に、金型の射出口または注入口から加える保圧でもって調整することが好ましい。
また、別のある好適な態様では、工程(i)と工程(ii)との間において、金型内部に仕込まれている熱硬化性樹脂原料にガス成分を注入してもよい。かかる場合、注入するガス成分の圧力が「金型に仕込まれた熱硬化性樹脂原料の圧力以上」かつ「ガス成分の臨界圧力以上(=超臨界圧力限界値以上)」であることが好ましく、それによって、実質的に超臨界状態のガス成分を金型内に注入できる。
更に別のある好適な態様では、金型に仕込まれている熱硬化性樹脂原料の硬化状態あるいは粘度を硬化度センサまたは粘度センサによって検出する。
本願発明では、熱硬化性樹脂発泡成形体の製造方法だけでなく、かかる製造方法によって得られる熱硬化性樹脂発泡成形体も提供される。
本願発明の製造方法では、「熱硬化性樹脂原料に含まれるガス成分を超臨界状態にした後、金型の内部空間を増加させてガス成分を発泡させる」といったことに起因して、熱硬化性樹脂原料中に気泡を比較的均一に多く発生させることができる。特定の理論に拘束されるわけではないが、これは、超臨界状態にすることによって樹脂原料中のガス溶解度が増加し、かつ樹脂原料中のガス成分の分散性が高まることが関係しているものと考えられる。
結果的に、本発明の製造方法で得られる熱硬化性樹脂発泡成形体では気孔が比較的均一に多く存在することになるので、断熱材、緩衝材、吸音材、包装容器材、浮揚材などの用途に好適に用いることができる。つまり、本発明の製造方法では、断熱効果、緩衝効果や吸音効果などの点で優れた熱硬化性樹脂成形体を得ることができる。
以下にて、本発明の製造方法を詳細に説明する。図1に本発明に係る製造フローを例示する。
まず、工程(i)として、溶融化した熱硬化性樹脂原料を供給して金型キャビティ内を熱硬化性樹脂原料で満たす。ここで用いる「金型」は、一般的な射出成形またはトランスファ成形によって常套的に使用される金型であってよく、特に新たな機能・構造は必要としない。また、「金型キャビティに熱硬化性樹脂原料を供給したり、金型の開閉を行う成形機」も、一般的な射出成形またはトランスファ成形によって常套的に使用されているものであってよい。
図2を用いて工程(i)を詳述すると次のようになる。まず、ペレット状の熱硬化性樹脂原料20をホッパー31を介してシリンダ32内に供給する。シリンダ32内に供給された熱硬化性樹脂原料20は、スクリュ33の回転によって前方へと送られることになる。尚、シリンダ32に備えられているヒータ34からの熱および/またはスクリュ33の回転による摩擦熱などに起因して、熱硬化性樹脂原料は溶融しながらシリンダ32の前部へと送られる。シリンダ32の先端部には、金型10の射出口11と流体連通状態となった開口部35が存在する。従って、前方へと送られた「溶融化した熱硬化性樹脂原料」は金型10の射出口11を介して金型キャビティ12内へと射出・流入させることができ、それによって、「溶融化した熱硬化性樹脂原料」で金型キャビティ12を満たすことができる(図2には「溶融化した熱硬化性樹脂原料」が充填される態様が模式的に示されている)。
シリンダ32内においては、上述したように、熱硬化性樹脂原料が加熱に付されて「溶融化した樹脂原料」を生じるが、その加熱温度は、ペレット状の熱硬化性樹脂原料が流動性を有することになる温度であればよい。但し、必要以上に高い加熱温度はシリンダ内で硬化反応を促進させてしまうので好ましくない(即ち、樹脂原料の粘度が必要以上に上がってしまうので好ましくない)。例えば、シリンダ内で熱硬化性樹脂原料が最終的に加熱される温度は、約50℃〜約150℃であってよい。
金型キャビティ内に充填された熱硬化性樹脂原料は、金型自体が加熱された状態(例えば、約180℃〜約220℃)にあるために、更に加熱に付される。これにより、熱硬化性樹脂原料において硬化反応が進行することになる。その結果、熱硬化性樹脂原料の粘度が上昇することになり、最終的には所望の熱硬化性樹脂が形成される。
尚、ホッパー31から供されるペレット状の熱硬化性樹脂原料20は、例えば、一般的な熱硬化性樹脂成形に用いられる「硬化剤(または硬化促進剤)」と「主剤」とから成るものであってよく、この場合、硬化剤と主剤とが反応することによって硬化反応が進行する。主剤は、所望の熱硬化性樹脂の種類に応じて適宜選択すればよく、例えば、不飽和ポリエステル樹脂、エポキシ樹脂、ジアリルフタレート樹脂、シリコーン樹脂、フェノール樹脂、ポリイミド樹脂、ポリウレタン樹脂、メラミン樹脂およびユリア樹脂から成る群から選択される少なくとも1種以上の主剤であってよい。また、硬化剤(または硬化促進剤)も、所望の熱硬化性樹脂の種類に応じて適宜選択すればよく、例えば、脂肪族アミン、芳香族アミン、脂肪族酸無水物、脂環式酸無水物、有機過酸化物および多塩基酸から成る群から選択される少なくとも1種以上の硬化剤(または硬化促進剤)であってよい。
工程(i)に引き続いて工程(ii)を実施する。即ち、金型キャビティ内に仕込まれた熱硬化性樹脂原料に含まれるガス成分(または気化可能物質)を超臨界状態にする。好適には熱硬化性樹脂原料に溶解しているガス成分(溶解ガス成分)を超臨界状態にする。超臨界状態にするためには、熱硬化性樹脂原料に含まれるガス成分をその臨界圧力以上および臨界温度以上にする必要がある。本発明の製造方法で用いられるガス成分としては、二酸化炭素ガスまたは窒素ガスを挙げることができるが、それらの臨界圧力Pcおよび臨界圧力Tcは以下の通りである:
・二酸化炭素ガス(COガス):Pc=7.2MPa、Tc=31℃
・窒素ガス(Nガス):Pc=3.4MPa、Tc=−147℃
従って、熱硬化性樹脂原料に含まれるガス成分がCOガスである場合では、かかるCOガスの温度条件および圧力条件を7.2MPa以上かつ31℃以上にすればよい。また、熱硬化性樹脂原料に含まれるガス成分がNガスである場合では、かかるNガスの温度条件および圧力条件を3.4MPa以上かつ−147℃以上にすればよい。尚、上述したように、金型温度は、好ましくは約180℃〜約220℃となっているので、通常は、熱硬化性樹脂原料に含まれるガス成分は臨界温度以上に付されていることになり、臨界圧力の方を調整することによって超臨界状態にすることができる。
ここで、“臨界圧力の調整”は、金型に仕込まれている熱硬化性樹脂原料の圧力を「金型の射出口から加えられる保圧」でもって調整することを通じて行うことが好ましい。即ち、金型キャビティ内の樹脂原料に対して射出口から加えられる圧力(例えば、金型のスプルー、ランナーおよび/またはゲートを介して加えられる圧力)を調整することによって、ガス成分の臨界圧力を調整することが好ましい。尚、本明細書で用いる「保圧」とは、金型キャビティ内に溶融樹脂を注入し続ける操作に起因して金型キャビティ内の樹脂に加えられる圧力のことを実質的に意味している。つまり、かかる保圧は、金型キャビティに充填される樹脂の体積を増していくことによって供されるものである。
尚、ガス成分は、化学発泡剤を熱硬化性樹脂原料(ペレット状の熱硬化性樹脂原料)に予め仕込んでおき、かかる化学発泡剤が熱で分解することによって供してよい。化学発泡剤としては、アゾジカルボンアミド(ADCA)、p,p−オキシビスベンゼンスルホニルヒドラジド(OBSH)、炭酸水素ナトリウム、炭酸水素アンモニウムおよびアゾビスイソブチロニトリルから成る群から選択される少なくとも1種以上の物質を用いることができる。また、“化学発泡剤”のように予め仕込んでおく態様に必ずしも限定されず、成形時にガス成分を金型内部へと直接的に供してもよい。より具体的には、注入インジェクタなどを用いることによって「工程(i)の樹脂原料の充填工程」と「工程(ii)の超臨界状態に付す工程」との間においてガス成分を金型キャビティに直接的に注入してよい。
工程(ii)に引き続いて工程(iii)を実施する。即ち、金型の内部空間を増加させることによって(=「金型内で樹脂原料が充填されている体積を増加させることによって」)、熱硬化性樹脂原料内で発泡を生じさせる。かかる工程では、図3に示すように、型締めされた金型10を少しだけ型開きをすることによって、金型の内部空間12を増加させることが好ましい。これにより、充填領域における樹脂原料20の圧力が減じられ、結果的に熱硬化性樹脂原料20において発泡22が生じることになる。
金型の内部空間(=「樹脂原料の充填空間」)を増加させる割合は、元の金型内部空間の体積をVとし、増加後の金型内部空間の体積Vとすると、V/Vの値が1.1〜10.0であることが好ましい。また、金型の内部空間の増加はできるだけ瞬時に行うことが好ましく、例えば、1〜100mm/s以内で行うことが好ましい。金型の内部空間の増加を瞬時に行うことによって、金型内の樹脂原料の圧力が急減し、樹脂内に溶解しているガス成分が気泡化して所望の発泡状態が得られることになる。
型締めした金型を少しだけ型開きして金型内部空間を増加させる際、金型のキャビティ側を固定した状態で金型のコア側を可動させてもよいし、あるいはその逆の態様で、金型のコア側を固定して金型のキャビティ側を可動させてもよい。とはいうものの、常套的に用いる金型および成形機では、金型のキャビティ側を固定した状態で金型のコア側を可動させて型開きを行うことが多いので、その点でいえば、金型のキャビティ側を固定した状態で金型のコア側を可動させることによって工程(iii)を実施することが好ましいといえる。
尚、金型の内部空間の増加、即ち、僅かな型開きを瞬時に行う操作は、金型内の熱硬化性樹脂原料における硬化反応がある程度進行した後で行うことが好ましい。換言すれば、金型内の樹脂原料(あるいはそれから得られる熱硬化性樹脂)の粘度・硬化度がある程度高くなってから「金型の内部空間の増加」を行うことが好ましい。これにより、発生した気泡が樹脂原料(あるいはそれから得られる熱硬化性樹脂)に効果的に閉じ込められることになり、望ましい発泡状態を最終的に得ることができる。具体的には、金型内の樹脂原料(あるいはそれから得られる熱硬化性樹脂)の硬化度が40〜80[%]となった時点で、金型の内部空間の増加を行うことが好ましい。尚、金型内の樹脂原料(あるいはそれから得られる熱硬化性樹脂)の硬化度(硬化状態)または粘度は、図4に示すように、金型10に設けた硬化度センサ15あるいは粘度センサ15を用いて検出することが好ましい。このような検出器を用いる場合、検出された情報に基づいて「僅かな型開き」を自動的に行うように制御してもよい。
工程(iii)で発生する気泡は、球状、楕円状または米粒状などの各種形状を有し得る。ここでいう「球状」とは、アスペクト比(種々の方向で測定した場合の最大長さと最小長さとの比)が1.0〜1.2の範囲にある形状を指し、「楕円状」とは、アスペクト比が1.2〜1.5の範囲(但し、1.2を含まない)にある形状を指している。気泡の平均サイズは、例えば、10〜2000μm程度である。ここで「気泡のサイズ」とは、気泡のあらゆる方向における長さのうち最大となる長さを実質的に意味しており、「気泡の平均サイズ」とは、最終的に得られる発泡体における気泡・気孔の透過型電子顕微鏡写真または光学顕微鏡写真に基づいて例えば50個の気泡サイズ・気孔サイズを測定し、その数平均として算出したものを実質的に意味している。
工程(iii)の後であって、金型内の樹脂原料における硬化反応が完了した後では、得られた成形品(即ち、発泡成形体)の取り出し操作を行うことになる。具体的には、“金型の型開き操作”と“成形品の突き出し操作”を行う。即ち、図5(a)に示すように、可動側の金型10aを動かして金型を完全に型開きした後、図5(b)に示すように、可動側10aに付いて出てきた成形品25を突き出しピン18(またはエジェクター・ピン)で突き出すことによって、金型10aから成形体25を離型させる。以上の操作により、所望の成形品、即ち、熱硬化性樹脂の発泡成形品を得ることができる。
次に、3つの実施態様に基づいて本発明の製造方法を経時的に説明する。
(第1実施態様)
かかる実施態様は「化学発泡剤を樹脂原料中に予め仕込むと共に、硬化度センサで金型内の樹脂硬化度を把握することを通じて射出成形により熱硬化性樹脂発泡体を製造する態様」である。まず、図6(a)に示すように、硬化度センサ15を備えた金型10を用意する。また、熱硬化樹脂原料(例えば、不飽和ポリエステル樹脂原料を含むと共に、化学発泡剤としてアゾジカルボンアミド[分解温度:200〜210℃]を含んで成るペレット状の熱硬化樹脂原料)を用意する。次いで、図6(b)に示すように、型締めされた金型の内部12に対して溶融化した熱硬化性樹脂原料20(例えば約130℃に加熱された熱硬化性樹脂原料)を射出し、金型内部空間を熱硬化性樹脂原料で満たす。かかる充填に際しては金型の温度が約200℃となっているため、溶融化した熱硬化性樹脂原料は更に加熱に付されることになり、硬化反応が進行する。また、かかる充填に際しては、化学発泡剤も加熱されるので、アゾジカルボンアミドの分解によってガス成分(例えばN2)が樹脂原料中に発生することになる。次いで、図6(c)に示すように、金型の射出口11から加える保圧を調整することによって、金型内の樹脂原料の圧力を10MPaとする。これにより、樹脂原料中の溶解ガス成分が超臨界状態となる。そして、金型内の樹脂硬化度がある程度以上(例えば、40%以上)となった時点で、図6(d)に示すようにコア側の金型10aを少しだけ移動させて型開きを実施し、金型の内部空間12(20)を増加させる(例えば、キャビティ側の金型10bを固定した状態で、コア型の金型10aを上記V/V値が2.0となるように外側へと約0.1秒の僅かな時間でもって動かすことによって、金型の内部空間を増加させる)。これにより、図示するように、金型内の樹脂に発泡現象22が生じることになる(図6(d)参照)。金型内における樹脂硬化度は金型に備えられた硬化度センサ15でもって検出できる。最終的には、硬化反応が完了した後、離型操作を行うと、最終成形品たる熱硬化性樹脂発泡体を得ることができる。
(第2実施態様)
かかる実施態様は、金型にガス成分を直接的に供給することを通じて射出成形により熱硬化性樹脂発泡体を製造する態様である。まず、図7(a)に示すように、ガス注入用インジェクタ19を備えた金型10を用意する。また、熱硬化樹脂原料(例えば、不飽和ポリエステル樹脂原料を含んで成るペレット状の熱硬化樹脂原料)を用意する。次いで、図7(b)に示すように、型締めされた金型の内部12に対して溶融化した熱硬化性樹脂原料20(例えば約130℃に加熱された熱硬化樹脂原料)を射出し、金型内部空間を熱硬化性樹脂原料で満たす。かかる充填に際しては金型の温度が約200℃となっているため、溶融化した熱硬化性樹脂原料は更に加熱に付されることになり、硬化反応が進行する。充填が終了すると、図7(c)に示すように、ガス注入用インジェクタ19からガス成分(例えばCOガス)を注入する。かかるガス成分は「金型に仕込まれた熱硬化性樹脂原料の圧力以上」かつ「ガス成分の臨界圧力以上」の条件(例えば10Mpaの圧力条件)で注入されるので、注入されたガス成分は金型内で超臨界状態となる。尚、ガス成分の注入後も超臨界状態を維持するために、金型の射出口11から加える保圧を調整することによって、金型内の樹脂原料の圧力(例えば10MPa)を維持することが好ましい。次いで、金型内の樹脂の硬化度がある程度の硬化度以上(例えば、40%以上)となった時点で、図7(d)に示すようにコア側の金型10aを少しだけ移動させて型開きを実施し、金型の内部空間を増加させる(例えば、キャビティ側の金型10bを固定した状態で、コア型の金型10aを上記V/V値が2.0となるように外側へと約0.1秒の僅かな時間でもって動かすことによって、金型の内部空間を増加させる)。これにより、図示するように、金型内の樹脂中で発泡現象22が生じることになる(図7(d)参照)。最終的には、硬化反応が完全に終了した後、離型操作を行うと、最終成形品たる熱硬化性樹脂発泡体が得られる。
(第3実施態様)
かかる実施態様は、予め化学発泡剤を仕込んだ樹脂原料を用いてトランスファ成形によって熱硬化性樹脂発泡体を製造する態様である。図8(a)に示すように、化学発泡剤を予め仕込んだトランスファ成形用の固形状樹脂原料20aを用意して、それを図8(b)に示すように金型内部空間へと供給する。かかる供給に際しては「周囲に存在する加熱されたシリンダや金型」および/または「樹脂原料が金型の注入口11を通過する際にもたらさる剪断力」などに起因して、固形状樹脂原料20aが溶融化する。そして、金型の温度が約200℃となっているため、溶融化した熱硬化性樹脂原料は更に加熱に付されることになり、硬化反応が進行する。また、樹脂原料20aの供給に際しては、化学発泡剤も加熱されるので、金型内において化学発泡剤が分解して、樹脂原料20a中にガス成分が発生することになる。次いで、図8(c)に示すように、金型10の注入口11から加える保圧を調整することによって、樹脂原料中に含まれているガス成分を超臨界状態にする。そして、金型内の樹脂硬化度がある値以上となった時点で、図8(d)に示すようにコア側の金型10aを少しだけ移動させて型開きを実施し、金型の内部空間を増加させる(例えば、キャビティ側の金型10bを固定した状態で、コア型の金型10aを上記V/V値が2.0となるように外側へと約0.1秒の僅かな時間でもって動かすことによって、金型の内部空間を増加させる)。これにより、図示するように、金型内の樹脂中で発泡現象22が生じる(図8(d)参照)。最終的には硬化反応が終了した後、離型操作を行うと、最終成形品たる熱硬化性樹脂発泡体を得ることができる。
次に、本発明の熱硬化性樹脂発泡体について説明を行う。かかる熱硬化性樹脂発泡体は、上述した製造方法によって得られるものである。用いられる樹脂原料によるが、本発明の熱硬化性樹脂発泡体は、例えば、不飽和ポリエステル樹脂、エポキシ樹脂、ジアリルフタレート樹脂、シリコーン樹脂、フェノール樹脂、ポリイミド樹脂、ポリウレタン樹脂、メラミン樹脂および/またはユリア樹脂などから成る発泡体である。
本発明の熱硬化性樹脂発泡体の気泡率(空隙率)は、好ましくは10〜90%程度であり、個々の気泡の平均サイズは、好ましくは10〜100μm程度である。更にいえば、本発明の熱硬化性樹脂発泡体は、全体にわたって略均一に気泡が分散している特徴を有している。
以上、本発明の実施形態について説明してきたが、あくまでも典型例を例示したに過ぎない。従って、本発明はこれに限定されず、種々の改変がなされ得ることを当業者は容易に理解されよう。
例えば、上述の説明では、ガス成分として「二酸化炭素ガス」および「窒素ガス」を例示したが、必ずしもかかる態様に限定されるわけではない。また、アゾジカルボンアミド(ADCA)、p,p−オキシビスベンゼンスルホニルヒドラジド(OBSH)または炭酸水素ナトリウムなどの化学発泡剤を例示したが、発泡剤の他にタルクなどの造核剤、発泡剤分解温度調整剤などを樹脂原料に含有させてもよい。
本発明の製造方法で得られる熱硬化性樹脂発泡成形体は、比較的均一に分散した気孔を数多く有するので、断熱材、緩衝材、吸音材、包装容器材、浮揚材などの種々の用途に好適に用いることができる。
本発明の製造方法の工程を示すフローチャート 本発明の製造方法で用いる金型および成形機を模式的に示した断面図 金型の内部空間を増加させる態様を模式的に示した断面図 硬化度センサまたは粘度センサの設置態様を模式的に示した断面図 金型の型開き操作と成形品の突き出し操作を模式的に示した断面図 本発明の製造方法の第1実施態様を模式的に示した断面図 本発明の製造方法の第2実施態様を模式的に示した断面図 本発明の製造方法の第3実施態様を模式的に示した断面図
10 金型
10a 可動側の金型
10b 固定側の金型
11 射出口または注入口
12 金型キャビティ(=金型内部)
15 硬化度センサ(または粘度センサ)
18 突き出しピン
19 ガス注入用インジェクタ
20 熱硬化性樹脂原料
20a トランスファ成形用の熱硬化性樹脂原料
22 気泡(発泡)/気孔
25 熱硬化性樹脂発泡体(=成形品)
30 射出機
31 ホッパー
32 シリンダ
33 スクリュ
34 ヒータ
35 シリンダの先端開口部
38 シリンダ駆動部

Claims (9)

  1. 射出成形またはトランスファ成形によって熱硬化性樹脂成形体を製造する方法であって、
    前記熱硬化性樹脂成形体が発泡成形体であり、金型内部で熱硬化性樹脂原料に含まれるガス成分を発泡させることを通じて前記発泡成形体を得る製造方法。
  2. 前記金型内部で前記熱硬化性樹脂原料に含まれる前記ガス成分を超臨界状態にした後、前記ガス成分を発泡させることを特徴とする、請求項1に記載の製造方法。
  3. (i)金型内部を溶融化した熱硬化性樹脂原料で満たす工程、
    (ii)前記熱硬化性樹脂原料に含まれるガス成分を超臨界状態にする工程、
    (iii)金型の内部空間を増加させることによって、前記熱硬化性樹脂原料にて発泡を生じさせる工程
    を含んで成ることを特徴とする、請求項1または2に記載の製造方法。
  4. 前記熱硬化性樹脂原料に予め化学発泡剤を仕込んでおき、前記工程(ii)では前記化学発泡剤に起因したガス成分を超臨界状態にすることを特徴とする、請求項3に記載の製造方法。
  5. 前記化学発泡剤に起因したガス成分が臨界圧力以上となるように、前記金型に仕込まれている前記熱硬化性樹脂原料の圧力を、前記金型の射出口から加える保圧により調整することを特徴とする、請求項4に記載の製造方法。
  6. 前記工程(i)と前記工程(ii)との間において前記金型内部にガス成分を注入することを特徴とする、請求項3に記載の製造方法。
  7. 前記注入するガス成分の圧力が、前記金型に仕込まれている前記熱硬化性樹脂原料の圧力以上、かつ、前記ガス成分の臨界圧力以上であることを特徴とする、請求項6に記載の製造方法。
  8. 前記ガス成分が二酸化炭素ガスまたは窒素ガスであることを特徴とする、請求項1〜7のいずれかに記載の製造方法。
  9. 請求項1〜8のいずれかに記載の製造方法で得られる熱硬化性樹脂発泡成形体。
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