JP2010156182A - 水平部材、水平部材を有する建物、及び水平部材設置方法 - Google Patents

水平部材、水平部材を有する建物、及び水平部材設置方法 Download PDF

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純一 岡田
Takahiro Mochinaga
崇宏 待永
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直幹 鈴木
Yoshihiro Ota
義弘 太田
Mitsuru Takeuchi
満 竹内
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Abstract

【課題】改造、改築時に床の配置を変更可能にすることを目的とする。
【解決手段】支持手段22が壁部材14を加圧し、壁部材14との間に発生する摩擦力を大きくする。この摩擦力によって床部材本体16のせん断力を壁部材14に伝達することにより、床部材10を壁部材14に支持させる。このため、壁部材14と床部材10との接合部にコンクリートやモルタルが不要となり、床部材10を移動したり、撤去したりする場合に、コンクリート等の解体が不要となる。従って、接合部にコンクリート等を打設する場合と比較して、床部材10の配置の変更や撤去が容易となり、建物12の階数を増減したり、建物12に吹き抜けを設けたりするなど、利用者の要望に応じた改造・改築が可能となる。
【選択図】図1

Description

本発明は、壁部材の間に配置される水平部材に関する。
集合住宅、オフィスビル、学校建築、又は商業施設等の建築構造として、耐久性の高いスケルトン(柱、梁、床等の構造躯体)と、インフィル(間仕切り壁、仕上げ材等の内装・設備)と、を分離して考え、居住者のライフスタイル等に応じてインフィル部分の変更を容易化し、建物の寿命を長期化させたスケルトン・インフィル(SI)建築が知られている(例えば、特許文献1)。この集合住宅等の構造は、建物の構造耐力を負担する主構造体(スケルトン)と、建物の構造耐力を負担しない副構造体(インフィル)と、を備えて構成されている。主構造体は、対向配置された壁及びこれらの壁の間に配置された床を一体化したプレキャストコンクリート部材とされ、その内部空間に仕切り壁等の副構造体を自由に配置可能となっている。
しかしながら、特許文献1では、床が主構造体の一部とされているため、床を追加・変更したり又は床を撤去したりすることができず、改造、改築時に集合住宅等の階数を増減したり、集合住宅等に吹き抜けを設けたりする際には、構造部材の撤去・補強などが必要となり、大規模な工事を行うことになる。従って、経済情勢の変化に伴う住宅の高級化、若しくは低価格化、少子高齢化に伴う各住戸のサイズ変更などの要望に対して柔軟に対応することが困難である。
特開平8−218488号公報 特開2005−171643号公報
本発明は、上記の事実を考慮し、改造、改築時に床の配置を変更可能にすることを目的とする。
請求項1に記載の水平部材は、壁又は柱となる鉛直部材の間に配置され、床又は床を支持する梁となる水平部材本体と、前記水平部材本体に設けられ、前記鉛直部材を加圧し、前記鉛直部材との摩擦力を大きくして該鉛直部材に前記水平部材本体を支持させる支持手段と、を備えている。
上記の構成によれば、水平部材は、床又は床を支持する梁となる水平部材本体と支持手段とを備えている。水平部材本体は、壁又は柱となる鉛直部材の間に配置される。支持手段は水平部材本体に設けられており、この支持手段が鉛直部材を加圧し、鉛直部材との摩擦力を大きくすることにより、鉛直部材の間に配置された水平部材が鉛直部材に支持される。
ここで、支持手段が鉛直部材を加圧し、鉛直部材との間に発生する摩擦力によって水平部材本体のせん断力を鉛直部材に伝達することにより、水平部材を鉛直部材に支持させるため、鉛直部材と水平部材との接合部にコンクリートやモルタルが不要となり、水平部材を移動したり、撤去したりする場合に、コンクリート等の解体が不要となる。従って、接合部にコンクリート等を打設する場合と比較して、水平部材の配置の変更や撤去が容易となり、建物の階数を増減したり、建物に吹き抜けを設けたりするなど、利用者の要望に応じた改造・改築が可能となる。
請求項2に記載の水平部材は、請求項1に記載の水平部材において、前記支持手段が、前記水平部材本体の端部から前記鉛直部材に向って伸張する伸張手段である。
上記の構成によれば、支持手段が伸張手段とされている。伸張手段は水平部材本体の端部から鉛直部材に向って伸張する。これにより、鉛直部材が加圧され、鉛直部材との間に発生する摩擦力が大きくなる。この摩擦力によって水平部材本体が鉛直部材に支持される。従って、水平部材の配置の変更や撤去が可能となり、利用者の要望に応じた改造・改築が可能となる。
請求項3に記載の水平部材は、請求項1に記載の水平部材において、前記支持手段が、前記水平部材本体の端部と前記鉛直部材との隙間に打ち込まれる楔部材である。
上記の構成によれば、支持手段が楔部材とされている。この楔部材は、水平部材本体の端部と鉛直部材との間に打ち込まれる。
ここで、水平部材本体の端部と鉛直部材との間に楔部材が打ち込まれると、水平部材本体の端部及び鉛直部材が加圧され、鉛直部材との間に発生する摩擦力が大きくなる。この摩擦力によって水平部材が鉛直部材に支持される。従って、水平部材の配置の変更や撤去が可能となり、利用者の要望に応じた改造・改築が可能となる。
また、対向する鉛直部材間の距離に応じて楔部材のサイズを変えることにより、鉛直部材に水平部材を支持させることができる。従って、水平部材本体の汎用性が向上し、コスト削減を図ることができる。
請求項4に記載の水平部材は、請求項2に記載に水平部材において、前記伸張手段が、前記水平部材本体の端部に設けられた弾性体と、前記弾性体の端部に取り付けられた圧着体と、前記弾性体を伸縮させる伸縮手段と、を備えている。
上記の構成によれば、伸張手段が、水平部材本体の端部に設けられた弾性体と、弾性体の端部に取り付けられた圧着体と、弾性体を伸縮させる伸縮手段とを備えている。
伸縮手段によって弾性体が圧縮されると、弾性体の端部に取り付けられた圧着体が水平部材本体に向って移動する。このように伸縮手段で弾性体を圧縮させた状態で、水平部材が鉛直部材の間に配置される。ここで、伸縮手段による弾性体の圧縮が解除され、弾性体がその復元力により鉛直部材に向かって伸張すると、弾性体の端部に取り付けられた圧着体が鉛直部材に圧着される。これにより、圧着体と鉛直部材との間に発生する摩擦力が大きくなり、水平部材が鉛直部材に支持される。従って、水平部材の配置の変更や撤去が可能となり、利用者の要望に応じた改造・改築が可能となる。
また、弾性体を伸縮させる伸縮手段を備えたことで、弾性体を圧縮した状態で水平部材を鉛直部材の間に配置することが可能となり、水平部材の設置、及び配置変更が更に容易となる。
請求項5に記載の水平部材は、請求項2に記載の水平部材において、前記伸張手段が、前記水平部材本体の端部から突出するネジ部材と、前記ネジ部材が捻じ込まれるネジ孔を有する押圧部材と、を備えている。
上記の構成によれば、伸張手段が、ネジ部材と押圧部材とを備えている。ネジ部材は水平部材本体の端部から突出しており、押圧部材は、ネジ部材が捻じ込まれるネジ孔を有している。
ここで、押圧部材が回転されると、押圧部材が鉛直部材に向って移動する。移動された押圧部材によって鉛直部材が加圧され、鉛直部材との間に発生する摩擦力が大きくなる。この摩擦力によって水平部材が鉛直部材に支持される。従って、水平部材の配置の変更や撤去が可能となり、利用者の要望に応じた改造・改築が可能となる。
請求項6に記載の水平部材は、請求項4に記載の水平部材において、前記弾性体が、皿バネである。
上記の構成によれば、弾性体が皿バネとされている。コイルバネ等と比較して皿バネは、小さいたわみ量で大きな復元力を発生するため、水平部材と鉛直部材との接合強度を確保し易く、設計が容易となる。
請求項7に記載の水平部材は、壁又は柱となる鉛直部材の間に配置され、床又は床を支持する梁となる複数のブロックと、前記ブロックを屏風状に連結し、前記ブロックを展開したときに該ブロックが前記鉛直部材を加圧し、前記鉛直部材との摩擦力を大きくして前記鉛直部材に前記ブロックを支持させる連結手段と、を備えている。
上記の構成によれば、水平部材は、床又は床を支持する梁となる複数のブロックと、連結手段とを備えている。これらのブロックは連結手段によって屏風状に連結され、壁又は柱となる鉛直部材の間に配置される。これらのブロックが展開されることによって、ブロックが鉛直部材を加圧し、鉛直部材との摩擦力を大きくして鉛直部材にブロックを支持させる。
ここで、展開されたブロックが鉛直部材を加圧し、鉛直部材との間に発生する摩擦力によってブロックのせん断力を鉛直部材に伝達することにより、鉛直部材に水平部材を支持させるため、鉛直部材と水平部材との接合部にコンクリートやモルタルが不要となり、水平部材を移動したり、撤去したりする場合にコンクリート等の解体が不要となる。従って、接合部にコンクリート等を打設する場合と比較して、水平部材の配置の変更や撤去が容易となり、建物の階数を増減したり、建物に吹き抜けを設けたりするなど、利用者の要望に応じた改造・改築が可能となる。
また、ブロックを屏風状に連結したことにより、水平部材を折り畳むことができ、揚重や運搬が容易となる。
請求項8に記載の建物は、請求項1〜7の何れか1項に記載の水平部材を有している。
上記の構成によれば、請求項1〜7の何れか1項に記載の水平部材を有することで、水平部材の配置を変更することができる建物を構築することができる。
請求項9に記載の水平部材設置方法は、床又は床を支持する梁となる水平部材本体と、前記水平部材本体の端部に設けられた弾性体と、前記弾性体の端部に取り付けられた圧着体と、前記弾性体を伸縮させる伸縮手段と、を備える水平部材を、前記伸縮手段が前記弾性体を圧縮させた状態で壁又は柱となる鉛直部材の間に配置する配置工程と、前記伸縮手段により前記弾性体を前記鉛直部材に向かって伸張させ、前記圧着体を前記鉛直部材に圧着し、前記鉛直部材との摩擦力を大きくして該鉛直部材に前記水平部材を支持させる支持工程と、を備えている。
上記の方法によれば、配置工程、及び支持工程を備えている。先ず、配置工程において、伸縮手段が弾性体を圧縮させた状態で、壁又は柱となる鉛直部材の間に水平部材を配置する。次に、支持工程において、伸縮手段により弾性体を鉛直部材に向かって伸張させ、圧着体を鉛直部材に圧着し、鉛直部材との摩擦力を大きくして鉛直部材に水平部材を支持させる。
ここで、圧着体が鉛直部材を加圧し、鉛直部材との間に発生する摩擦力によって水平部材のせん断力を鉛直部材に伝達することにより、水平部材を鉛直部材に支持させるため、鉛直部材と水平部材との接合部にコンクリートやモルタルが不要となり、水平部材を移動したり、撤去したりする場合に、コンクリート等の解体が不要となる。従って、接合部にコンクリート等を打設する場合と比較して、水平部材の配置の変更や撤去が容易となり、建物の階数を増減したり、建物に吹き抜けを設けたりするなど、利用者の要望に応じた改造・改築が可能となる。
本発明は、上記の構成としたので、改造、改築時に床の配置を変更することができる。
本発明の第1の実施形態に係る水平部材を示す側面図である。 本発明の第1の実施形態に係る水平部材の端部を示す平面図である。 (A)、(B)は、本発明の第1の実施形態に係る水平部材の端部を示す、図2の1−1線断面図である。 (A)は本発明の第1の実施形態に係る伸縮手段の変形例が適用された水平部材の端部を示す平面図であり、(B)は斜視図である。 (A)、(B)は、本発明の第1の実施形態に係る水平部材の変形例を示す側面図である。 (A)、(B)は、本発明の第1の実施形態に係る伸張手段の変形例が適用された水平部材の端部を示す側面図である。 本発明の第2の実施形態に係る水平部材の端部を示す側面図である。 鉛直部材の傾斜角と、鉛直力N/水平圧縮力Qとの関係を示すグラフである。 (A)、(B)は、本発明の第1の実施形態に係る伸張手段の変形例が適用された水平部材を示す側面図である。 (A)、(B)は、本発明の第3の実施形態に係る水平部材を示す側面図である。 (A)、(B)は、本発明の第4の実施形態に係る水平部材を示す側面図である。 本発明の第4の実施形態に係る水平部材の連結部を示す斜視図である。 (A)は、本発明の第4の実施形態に係る水平部材の変形例を示す側断面図であり、(B)は水平部材を下方から見た図である。 (A)、(B)は、本発明の第4の実施形態に係る水平部材の変形例を示す側面図である。 本発明の第1〜第4の実施形態に係る水平部材の変形例を示す平面図である。 本発明の第1〜第4の実施形態に係る水平部材の変形例を示す斜視図である。 参考例に係る水平部材を示す側断面図である。
以下、図面を参照しながら本発明の第1の実施形態に係る床部材10について説明する。
図1には、建物12に設置された水平部材としての床部材10が示されている。床部材10は、対向する壁部材14(鉛直部材)の間で支持され、建物12の床を構成している。壁部材14は、高強度コンクリートや防錆鉄筋、防錆鉄骨等を用いた鉄筋コンクリート造又は鉄骨鉄筋コンクリート造等の耐久性が高められた耐力壁であることが望ましいが、これらに限定されるものではない。
床部材10は、床部材本体16(水平部材本体)と支持手段22を備えている。図2及び図3に示すように、床部材本体16はプレキャストコンクリート製で、長手方向の長さが対向する壁部材14の壁面間の距離よりも小さくされている。なお、本実施形態では、壁部材14の対向方向と床部材本体16の長手方向とが一致するが、壁部材14の対向方向と床部材本体16の短手方向とが一致する場合は、長手方向を短手方向に適宜読み替えて実施される。
床部材本体16の長手方向端部には収納部28が設けられている。収納部28は床部材本体16の上面を開口する矩形の穴とされており、後述する油圧ジャッキ30が配置される。
床部材本体16の長手方向端面には板材32が取り付けられ、皿バネ18(伸張手段、弾性体)を固定するための固定部とされている。板材32は矩形の鋼板で、図示を省略するが、ボルトやエポキシ樹脂等の接着剤により床部材本体16の端面に固定されている。この板材32には貫通孔36が形成されている。また、床部材本体16の端面には収納部28に通じる貫通孔34が形成されている。これらの貫通孔36、34には後述する鋼棒24が貫通される。
板材32には、積層された複数の皿バネ18が取り付けられている。皿バネ18は、内部に貫通された鋼棒24に沿って伸縮自在とされており、壁部材14(床部材本体16の外側)に向って伸張可能に取り付けられている。
皿バネ18の端部には、圧着体20(伸張手段)が取り付けられている。これらの皿バネ18、圧着体20によって支持手段22が構成されている。圧着体20は矩形の鋼板で、板材32と同じ大きさ、形状とされており、板材32に対向されている。圧着体20の板材32との対向面には溝穴38が形成されている。この溝穴38には皿バネ18、板材32の貫通孔36、床部材本体16の貫通孔34に貫通された鋼棒24(伸張手段)の一端が圧入され、溶接等によって固定されている。
鋼棒24の他端は収納部28へ突出しており、収納部28に設置される油圧ジャッキ30に接続可能とされている。この油圧ジャッキ30で鋼棒24を引っ張って(矢印A方向)緊張させることにより、鋼棒24と接合された圧着体20が床部材本体16側へ移動し、対向する圧着体20と板材32との間で皿バネ18が圧縮される。また、鋼棒24の他端にはネジ部が設けられており、ナット26(伸張手段)が取り付けられている。皿バネ18が圧縮された状態でこのナット26を締め付け、収納部28の内壁に係止させることにより、皿バネ18が圧縮した状態で保持される(図3(A)参照)。
圧縮された皿バネ18によって、圧着体20が壁部材14に向かって付勢される。従って、ナット26を緩めて収納部28の内壁との係止を解除すると、皿バネ18がその復元力によって壁部材14に向かって伸張し、圧着体20が壁部材14の壁面に圧着される。更に、圧着体20の壁部材14との接触面には、シート状の摩擦材(不図示)が貼付されている。これにより、皿バネ18の復元力(圧縮力)によって圧着体20が壁部材14の壁面に圧着されたときに、壁部材14の壁面と圧着体20との間に発生する摩擦力が大きくされている。この摩擦力によって、床部材10のせん断力が壁部材14に伝達され、壁部材14の間で床部材10が支持される。即ち、支持手段22が、対向する壁部材14をそれぞれ突っ張ることにより、壁部材14の間で床部材10が支持される。なお、摩擦材を貼付するのではなく、圧着体20の表面に、リン酸等の薬品により粗面化処理を施して、摩擦係数を大きくしても良い。壁部材14の表面に凹凸をつけて、摩擦係数を向上させる工夫を行ってもよい。
次に、第1の実施形態に係る床部材10の作用及び効果について説明する。
先ず、床部材10の設置方法の例について説明する。
図3(A)に示すように、伸縮手段によって皿バネ18を圧縮し、床部材10の長さ(壁部材14の対向方向の長さ)が対向する壁部材14の壁面間の距離よりも小さくされた床部材10を、壁部材14の間に配置する(配置工程)。即ち、床部材本体16の収納部28に設置された油圧ジャッキ30により鋼棒24を引っ張り、圧着体20を床部材本体16側へ移動させ、皿バネ18を圧縮させた状態でナット26を締め付け、収納部28の内壁に係止する。これにより、壁部材14の壁面と圧着体20との間に隙間Dが形成された状態で、床部材10が壁部材14の間に設置された支保工40の上に載置される。なお、皿バネ18は、事前に圧縮しておいても良いし、現場で圧縮しても良い。
次に、ナット26を緩めて、皿バネ18をその復元力により壁部材14に向かって伸張させ、圧着体20を壁部材14の壁面に圧着させる。これにより、壁部材14が皿バネ18の復元力で加圧され、壁部材14の壁面と圧着体20との間に発生する摩擦力が大きくなる。この摩擦力によって、床部材10のせん断力が壁部材14に伝達され、壁部材14の間に配置された床部材10が壁部材14に支持される(図1参照)。その後、支保工40を撤去する。なお、油圧ジャッキ30は、撤去しても良いし、そのまま床部材本体16の収納部28に設備しても良い。
床部材10を撤去、又は配置変更する場合は、先ず、床部材10を支保工40等で支持し、上記の手順により、油圧ジャッキ30により皿バネ18を圧縮させ、壁部材14の壁面と圧着体20との間に隙間Dを形成する。これにより、床部材10の撤去、配置変更が可能となる。
このように、皿バネ18の復元力により、圧着体20を圧着させて壁部材14を加圧し、壁部材14との間に発生する摩擦力によって床部材10のせん断力を壁部材14に伝達することにより、壁部材14に床部材10を支持させるため、壁部材14と床部材10との接合部に、コンクリートやモルタルが不要となり、即ち、床部材10を移動したり、撤去したりする場合に、コンクリート等の解体が不要となる。従って、床部材10の配置の変更や撤去が容易となり、建物12の階数を増減したり、建物12に吹き抜けを設けたりするなど、利用者の要望に応じた改造・改築が可能となる。また、PC鋼材等を用いて壁部材14と床部材10とを圧着接合する場合と比較して、壁部材14にPC鋼材を貫通させるための貫通孔を形成する必要がないため施工性が向上する。
また、伸縮手段としての鋼棒24及びナット26を設けたことにより、皿バネ18を圧縮した状態で保持することが可能となり、圧着体20と壁部材14との間に隙間Dを形成した状態で、床部材10を壁部材14の間に配置することができる。従って、床部材10の設置、撤去、又は配置変更が容易となる。
更に、弾性体として皿バネ18を用いたことで、壁部材14と床部材10との接合強度の確保が容易となる。皿バネ18は、コイルバネ等と比較して小さいたわみ量で大きな復元力を発生するためである。
次に、第1の実施形態に係る伸縮手段の変形例について説明する。
第1の実施形態では、床部材本体16に設けられた収納部28に油圧ジャッキ30を設置し、鋼棒24を引っ張って皿バネ18を圧縮させたが、本変形例では、油圧ジャッキ30を床部材本体16の側面に取り付ける。なお、本変形例では、油圧ジャッキ30を床部材本体16の側面に取り付ける場合を例に説明するが、当然ながら油圧ジャッキ30は床部材本体16の上面又は下面に取り付けることも可能である。
図4(A)及び図4(B)に示すように、本変形例の伸縮手段は、固定台42、鋼棒46、及びスライド部材48を備えている。床部材本体16の両側側面には、対となる固定台42及びスライド部材48が取り付けられている。固定台42は、床部材本体16の側面にボルト44で着脱自在に固定される鋼製の固定板42Aと、鋼棒46がスライド可能に貫通される貫通孔を有する鋼製の支持板42Bと、をL型に接合して形成されている。なお、床部材本体16の両側側面には、ボルト44がねじ込まれるネジ穴43が形成されている。
支持板42Bと対向する位置には、スライド部材48が配置される。スライド部材48は、圧着体20の端面にボルト50で着脱自在に固定される固定板48Aと、鋼棒46の一端が貫通される貫通孔を有するコ字型の支持板48Bと、から構成されている。固定板48Aは、圧着体20の端面と床部材本体16の側面にまたがって配置され、床部材本体16の側面上をスライド可能(矢印B方向)に配置される。なお、圧着体20の両端面には、ボルト50がねじ込まれるネジ穴49が形成されている。
スライド部材48の支持板48Bに貫通された鋼棒46の一端にはネジ部が設けられており、ナット52が取り付けられる。このナット52を支持板48Bに係止することにより、油圧ジャッキ30によって引っ張られた鋼棒46が支持板48Bから抜けないように保持される。他方、固定台42の支持板42Bに貫通された鋼棒46の一端には油圧ジャッキ30が接続可能とされている。この油圧ジャッキ30で鋼棒46を引っ張って(矢印A方向)緊張させることにより、スライド部材48が固定台42に接近する方向へスライドする。この結果、スライド部材48が固定された圧着体20が、床部材本体16側へ移動され、圧着体20と板材32との間で皿バネ18が圧縮される。
また、支持板42Bに貫通された鋼棒46の一端にはネジ部が設けられており、ナット54が取り付けられる。皿バネ18が圧縮された状態でこのナット54を締め付け、支持板42Bに係止させることにより、皿バネ18が圧縮した状態で保持される。ナット54を緩めて支持板42Bとの係止を解除すると、皿バネ18がその復元力によって壁部材14に向かって伸張し、圧着体20が壁部材14の壁面に圧着される。なお、皿バネ18は板材32及び圧着体20に溶接等によって固定されている。
次に、第1の実施形態に係る伸縮手段の変形例の作用及び効果について説明する。
先ず、床部材10の設置方法の例について説明する。
鋼棒46が貫通された固定台42及びスライド部材48を床部材本体16の両側側面に取り付ける。次に、伸縮手段によって皿バネ18を圧縮し、長手方向の長さ(壁部材14の対向方向の長さ)が対向する壁部材14の壁面間の距離よりも小さくされた床部材10を、壁部材14の間に配置する(配置工程)。即ち、鋼棒46の固定台42側の一端に接続された油圧ジャッキ30により鋼棒46を引っ張り、圧着体20の両側側面に取り付けられたスライド部材48を固定台42側へ移動させる。これにより、スライド部材48が固定された圧着体20が床部材本体16側へ移動され、圧着体20と板材32との間で皿バネ18が圧縮される。この状態でナット26を締め付け、支持板42Bに係止する。これにより、壁部材14の壁面と圧着体20との間に隙間Dが形成された状態で、床部材10が壁部材14の間に設置された支保工40の上に載置される。なお、皿バネ18は、事前に圧縮しておいても良いし、現場で圧縮しても良い。
次に、ナット54を緩めて、皿バネ18をその復元力により壁部材14に向かって伸張させ、圧着体20を壁部材14の壁面に圧着させる。これにより、壁部材14が皿バネ18の復元力で加圧され、壁部材14の壁面と圧着体20との間に発生する摩擦力が大きくなる。この摩擦力によって、床部材10のせん断力が壁部材14に伝達され、壁部材14の間に配置された床部材10が壁部材14に支持される(図1参照)。最後に、固定台42、鋼棒46、スライド部材48、油圧ジャッキ30を撤去する。
床部材10を撤去、又は配置変更する場合は、先ず、床部材10を支保工40等で支持し、上記の手順により、油圧ジャッキ30により皿バネ18を圧縮させ、壁部材14の壁面と圧着体20との間に隙間Dを形成する。これにより、床部材10の撤去、配置変更が可能となる。
このように、固定台42、鋼棒46、スライド部材48等の伸縮手段を、床部材本体16の側面に着脱自在に取り付けたことで、床部材本体16に収納部28(図2参照)を設ける必要がなく、床部材本体16の構造が単純化され、製造コストの削減を図ることができる。また、固定台42、鋼棒46、スライド部材48等の伸縮手段を着脱自在としたことで、伸縮手段を使い回すことができ、経済性が向上する。
ここで、皿バネ18の復元力によって壁部材14に発生する圧力(圧縮力)が過大となる場合は、PC鋼線、PC鋼棒又は鉄筋等の補強鋼材76により、対向する壁部材14を連結しても良い。具体的には、図5(A)及び図5(B)に示すように、対向する壁部材14には貫通孔が形成されており、また床部材10には、当該床部材10の長手方向に沿って貫通孔が形成されている。これらの貫通孔に貫通される補強鋼材76、及び当該補強鋼材76の軸方向両端部に取り付けられるナット78によって、対向する壁部材14が連結されている。この補強鋼材76によって、壁部材14が圧着体20で加圧されたとき、壁部材14が外側(対向する壁部材14同士が離れる方向)へ広がる撓み変形が抑制される。更に、壁部材14からの反力が大きくなり、壁部材14と床部材10との接合強度が大きくなる。
この場合、床部材10は以下のように設置される。即ち、鋼棒46等の伸張手段(図4参照)によって皿バネ18を圧縮し、床部材10の長手方向の長さが壁部材14の壁面間の距離よりも小さくされた床部材10を、壁部材14の間に配置する。この際、圧着体20と壁部材14の壁面との間に隙間が形成されている。次に、床部材10及び壁部材14に補強鋼材76を貫通させ、補強鋼材76の軸方向両端部にナット78を取り付ける。次に、皿バネ18の復元力によって圧着体20を壁部材14の壁面に圧着させ、発生する摩擦力を大きくして壁部材14に床部材10を支持させる。
なお、
次に、第1の実施形態に係る伸張手段の変形例について説明する。
図6に示すように、伸張手段は、床部材本体16の長手方向端部から突出されたネジ部材84と、ネジ部材84に取り付けられる押圧部材86を備えている。ネジ部材84は、鋼製で円柱形に形成されており、軸方向一端が床部材本体16の端部に埋め込まれている。また、ネジ部材84の側周面にはネジ部が設けられている。
押圧部材86は、鋼製で円盤状に形成されており、中央部にネジ部材84の先端がねじ込まれるネジ孔86Aが形成されている。ネジ部材84がねじ込まれた押圧部材86は、周方向へ回転されることにより、ネジ部材84の軸方向に沿って壁部材14に向って移動する。また、押圧部材86の側周面には、当該押圧部材86の軸方向に沿って複数の溝が形成されており、押圧部材86を手や工具等で把持して回転し易くなっている。
押圧部材86と壁部材14との間には、圧着体88が配置されている。これらのネジ部材84、押圧部材86、及び圧着体88によって支持手段が構成されている。圧着体88は鋼板からなり、壁部材14に向って移動された押圧部材86によって押圧されることにより、壁部材14の壁面に圧着される。これにより、壁部材14の壁面と圧着体88との間に発生する摩擦力が大きくなり、床部材10が壁部材14の間で支持される。支持手段が、対向する壁部材14をそれぞれ突っ張ることにより、床部材10が壁部材14に支持される。
なお、壁部材14の壁面には、ブラケット90が仮設されており、このブラケット90の上に床部材10が載置されている。また、ブラケット90に替えて支保工等で床部材10を支持しても良い。
次に、第1の実施形態に係る伸張手段の変形例の作用及び効果について説明する。
先ず、床部材10の設置方法の例について説明する。
先ず、図6(A)に示すように、壁部材14の壁面に仮設されたブラケット90の上に、床部材本体16の長手方向端部を載置し、押圧部材86と壁部材14との間に圧着体88を配置する。この際、押圧部材86の端面からネジ部材84の先端が突出しており、ネジ部材84の先端と圧着体88との間に隙間が形成される。次に、押圧部材86を周方向へ回転させ、当該押圧部材86を壁部材14に向って移動(伸張)させる。これにより、図6(B)に示すように、押圧部材86によって押圧された圧着体88が、壁部材14の壁面に圧着され、壁部材14との間に発生する摩擦力が大きくなる。この摩擦力によって、床部材10のせん断力が壁部材14に伝達され、壁部材14に床部材10が支持される。最後に、ブラケット90を解体し、撤去する。
床部材10を撤去、又は配置変更する場合は、先ず、床部材10を支保工40(図3参照)等で支持し、押圧部材86を周方向へ逆回転させ、床部材本体16側へ移動させる。これにより、圧着体88とネジ部材84の先端との間に隙間が形成され、床部材10の撤去、配置変更が可能となる。
このように、床部材本体16の長手方向端部にネジ部材84及び押圧部材86を設けたことで、単純な構造で壁部材14の壁面を加圧することができ、壁部材14に床部材10を支持させることができる。また、押圧部材86は、壁部材14からの反力によっては回転しないため、壁部材14の壁面と圧着体88との間に安定した摩擦力を発生させることができる。更に、圧着体88は、床部材本体16と別部材とされている。従って、壁部材14の壁面間の距離に応じて圧着体88の厚さを変更することにより、施工誤差を吸収できると共に、床部材本体16の汎用性が向上する。
なお、本変形例では、ネジ部材84の軸方向に沿って押圧部材86を壁部材14に向って移動させたがこれに限らない。床部材本体16の長手方向端部にネジ穴を設け、このネジ穴に、先端に押圧部材86が固定されたネジ部材84をねじ込んでも良い。この場合、押圧部材86を周方向へ回転させると、ネジ部材84が回転し、当該ネジ部材84の突出量を大きくなる。これにより、押圧部材86が壁部材14に向って移動され、圧着体88が壁部材14に圧着される。
また、地震等の振動により、ネジ部材84と押圧部材86との緩みが懸念される場合は、圧着体88を壁部材14に圧着させた後に、ネジ部材84にネジ留め部材等を設ければ良い。更に、圧着体88と押圧部材86の間にシート状の摩擦材を挟んでも良いし、圧着体88又は押圧部材86の表面に凹凸をつけて摩擦係数を大きくしても良い。
次に、本発明の第2の実施形態に係る床部材60について説明する。なお、第1の実施形態と同じ構成のものは同符号を付すると共に適宜省略して説明する。
図7に示すように、床部材60は、傾斜された壁部材62の間に配置される。壁部材62の壁面には傾斜が付けられており、図示を省略するが、対向して配置された壁部材62の壁面間の距離は、上方に向って広くなっている。
床部材60は、床部材本体16と、床部材本体16の長手方向端部に設けられた圧着体64(支持手段、伸張手段)を備えている。プレキャストコンクリート製の圧着体64は、床部材本体16と同じ幅、高さとされている。また、圧着体64には、壁部材62の壁面との接触面に傾斜部64Bが設けられている。傾斜部64Bは、壁部材62と同じ傾斜角度に形成され、後述する皿バネ18A、18Bの復元力により、壁部材62の壁面に圧着されている。
圧着体64の下部には、床部材本体16側へ突出された突出部64Aが設けられている。突出部64Aの上には、床部材本体16の長手方向端部に設けられた突出部16Aが載置される。この突出部64Aに突出部16Aを載置することにより、圧着体64と床部材本体16とが位置合わせされる。なお、突出部64Aの端面及び突出部64Aから一段下がった圧着体64の端面には、後述する板材74、70がそれぞれ圧着されている。
突出部16Aは床部材本体16の端面上部から突出されており、内部に収納部28に通じる貫通孔(不図示)が形成されている。また、突出部16Aの端面には、鋼棒24が貫通される貫通孔を有する鋼製の板材68が取り付けられている。この板材68には、積層された複数の皿バネ18Aが設けられている。皿バネ18は、内部に貫通された鋼棒24Aに沿って伸縮自在とされており、壁部材62(床部材本体16の外側)に向って伸張可能に取り付けられている。
皿バネ18Aの端部には、板材70が取り付けられている。板材70は矩形の鋼板で、板材68と同じ大きさ、形状とされており、板材68に対向されている。板材70の板材68との対向面には溝穴(不図示)が形成されている。この溝穴には突出部16A、板材68、及び皿バネ18Aに貫通された鋼棒24Aの一端が圧入され、溶接等によって固定されている。鋼棒24Aの他端は収納部28へ突出しており、収納部28に設置される油圧ジャッキ(不図示)が接続可能とされている。
突出部16Aから一段下がった床部材本体16の端面には、収納部28に通じる貫通孔(不図示)が形成されると共に、鋼製の板材72が取り付けられている。板材72には、鋼棒24Bが貫通孔される貫通孔(不図示)が形成されている。また、板材72には、積層された複数の皿バネ18Bが設けられている。皿バネ18Bは、内部に貫通された鋼棒24Bに沿って伸縮自在とされており、壁部材62(床部材本体16の外側)に向って伸張可能に取り付けられている。なお、板材68、72は、図示を省略するが、ボルトやエポキシ樹脂等の接着剤により突出部16A及び床部材本体16の端面に固定されている。
皿バネ18Bの端部には、板材74が取り付けられている。板材74は矩形の鋼板で、板材72と同じ大きさ、形状とされており、板材72に対向されている。板材74の板材72との対向面には溝穴(不図示)が形成されている。この溝穴には床部材本体16、板材72、及び皿バネ18Bに貫通された鋼棒24Bの一端が圧入され、溶接等によって固定されている。鋼棒24Bの他端は収納部28へ突出しており、収納部28に設置される油圧ジャッキ(不図示)が接続可能とされている。
板材70、74は、皿バネ18A、18Bの復元力によって、それぞれ圧着体64の端面、及び突出部64Aの端面に圧着されており、これによって圧着体64の傾斜部64Bが壁部材62の壁面に圧着されている。傾斜部64Bには、シート状の摩擦材(不図示)が貼付されている。これにより、皿バネ18A、18Bの復元力(圧縮力)によって圧着体64が壁部材62の壁面に圧着されたときに、壁部材62の壁面と傾斜部64Bとの間に発生する摩擦力が大きくされている。この摩擦力によって、床部材60のせん断力が壁部材62に伝達され、壁部材62の間で床部材60が支持される。なお、板材70、74にもシート状の摩擦材を貼付し、板材70、74と圧着体64との間に発生する摩擦力を大きくしても良い。
ここで、図示を省略するが、収納部28に突出された鋼棒24A、24Bを、油圧ジャッキで引っ張って緊張させることにより、鋼棒24A、24Bと接合された板材70、74が床部材本体16側へそれぞれ移動する。これにより、板材68と板材70との間、及び板材72と板材74との間で、皿バネ18A、18Bがそれぞれ圧縮される。これにより、板材70、74と圧着体64との間にそれぞれ隙間が形成される。また、鋼棒24A、24Bの他端にはネジ部が設けられており、ナット26A、26Bが取り付けられる。皿バネ18A、18Bが圧縮された状態でこのナット26A、26Bを締め付け、収納部28の内壁に係止させることにより、皿バネ18A、18Bが圧縮した状態で保持される。圧縮された皿バネ18A、18Bによって、板材70、74が壁部材14に向かって付勢される。従って、ナット26A、26Bを緩めて収納部28の内壁との係止を解除すると、皿バネ18A、18Bがその復元力によって壁部材62に向かって伸張し、板材70、74が圧着体64に圧着される。これにより、壁部材62と圧着体62との間に発生する摩擦力が大きくなる。この摩擦力によって壁部材62に床部材60が支持される。
次に、第2の実施形態に係る床部材60の作用及び効果について説明する。
先ず、床部材60の設置方法の例について説明する。
図7に示すように、対向する壁部材62の壁面に圧着体64の傾斜部64Bをそれぞれ接触させた状態で配置する。この際、圧着体64を、図示せぬ支保工等によって支持する。次に、伸縮手段によって皿バネ18A、18Bが圧縮された状態の床部材本体16を、圧着体64の間に配置し、圧着体64の突出部64Aの上に突出部16Aを載置する(配置工程)。即ち、床部材本体16の収納部28に載置された油圧ジャッキ(不図示)により鋼棒24A、24Bを引っ張り、板材70、74を床部材本体16側へ移動させ、皿バネ18A、18Bを圧縮した状態でナット26A、26Bを締め付け、収納部28の内壁に係止する。この結果、圧着体64と板材70、74との間に隙間(不図示)が形成され、この状態で圧着体64の間に床部材本体16を配置する。なお、皿バネ18A、18Bは、事前に圧縮しておいても良いし、現場で圧縮しても良い。また、必要に応じて床部材本体16を支保工等によって支持する。
次に、ナット26A、26Bを緩めて、皿バネ18A、18Bをその復元力によって壁部材62に向かって伸張させ、板材70、74を圧着体64に圧着させると共に、圧着体64の傾斜部62Bを壁部材62の壁面に圧着させる。これにより、壁部材62が皿バネ18A、18Bの復元力で加圧され、壁部材62の壁面と圧着体64の傾斜部64Bとの間に発生する摩擦力が大きくなる。この摩擦力によって、床部材60のせん断力が壁部材62に伝達され、床部材60が壁部材62に支持される。
床部材60を撤去、又は配置変更する場合は、先ず、圧着体64を支保工等で支持し、上記の手順により、油圧ジャッキ(不図示)により皿バネ18A、18Bを圧縮させ、圧着体64と板材70、74との間に隙間を形成する。これにより、床部材本体16の撤去、配置変更が可能となる。その後、圧着体64を撤去、配置変更する。
ここで、壁部材62の壁面に、皿バネ18A、18Bの復元力によって水平方向に作用する水平力(水平圧縮力)をQとし、圧着体64、床部材本体16等の自重によって鉛直方向に作用する鉛直力をNとすると、式(1)、又は式(2)を満たす場合に、床部材60が壁部材62に支持される。なお、式(2)は、式(1)を整理したものである。また、図8は、摩擦係数μ=0.5のときのN/Qと傾斜角度θとの関係を示している。なお、図8では、傾斜角度θに応じて、壁部材62の壁面に圧着体64が密着するように傾斜部64Bの傾斜角度を変化させている。
Figure 2010156182





ただし、θ:耐力壁の傾斜角度、μ:圧着体の傾斜部の摩擦係数、μQcosθ:摩擦力、μNsinθ:摩擦力、Ncosθ:押上力、である。
図8に示されるように、鉛直力Nを一定とした場合、傾斜角度θが小さくなるに従って(壁部材62の傾きが大きくなるに従って)、床部材60を支持するために必要となる圧力Qが小さくなる。これは、傾斜角度θに応じて、傾斜部64Bに沿って上向きに発生する押上力Ncosθが大きくなるためである。従って、壁部材62に傾斜を付けることで、水平圧縮力Qを小さく抑えることができ、即ち、皿バネ18A、18Bの負担を軽減することができ、皿バネ18A、18Bの耐久性を向上させることができる。なお、傾斜角度θ=90度(耐力壁の壁面が垂直)の場合が、図3に示す構成に相当する。
また、本実施形態では、圧着体64に突出部64Aを設け、この突出部64Aの上に床部材本体16の端部に設けた突出部16Aを載置したことで、圧着体64と床部材本体16との位置合わせが容易になると共に、床部材本体16と圧着体64とのせん断力の伝達が良好となる。なお、突出部64A、突出部16Aは適時省略可能であるが、施工性の観点から設けることが望ましい。また、突出部64A及び突出部16Aは一つに限らず、2つ以上設けて、階段状に形成しても良い。
更に、本実施形態では、圧着体64と床部材本体16とが別部材とされている。このため、壁部材62の傾斜角度θに応じた傾斜部64Bを圧着体64に設けることで、床部材本体16を壁部材62に支持させることができる。即ち、壁部材62の傾斜角度θに応じた圧着体64を製造することで、床部材本体16を壁部材62に支持させることができ、床部材本体16の汎用性が向上し、製造コストを削減できる。また、本実施形態では、突出部16Aを床部材本体16と一体として形成しているが、突出部16Aを部品化し、床部材本体16と別部材とすることで、更に、床部材本体16の汎用性を向上させることができる。突出部16Aを部品化する場合は、コンクリート製に限らず、角型鋼管等の鋼材を用いて形成しても良い。
なお、上記第1、第2の実施形態では、弾性体としての皿バネ18を用いたがこれに限らず、コイルバネやゴムマット等を用いても良い。また、伸張手段を油圧ジャッキ92で構成しても良い。具体的には、図9(A)及び図9(B)に示すように、床部材94は、床部材本体96と、床部材本体96の長手方向両側に配置された2つの床ブロック98と、を備えている。床部材本体96と床ブロック98と間には、それぞれ油圧ジャッキ92が設けられている。油圧ジャッキ92は、床部材本体96の端部及び床ブロック98の端部にそれぞれ接合されている。また、油圧ジャッキ92を構成するロット92Aは、床部材本体96の長手方向の端部から壁部材14に向かって伸張可能とされている。
上記のように構成された床部材94は、図9(A)に示すように、ロット92Aを縮めた状態で壁部材14に設けられたブラケット90の上に載置される。この際、壁部材14の壁面と床ブロック98の端面との間に隙間が形成される。次に、図9(B)に示すように、ロット92Aを壁部材14に向かって伸張させ、床ブロック98の端面を壁部材14の壁面に圧着させる。この結果、壁部材14が油圧ジャッキ92により加圧され、壁部材14の壁面と床ブロック98の端面との間に発生する摩擦力が大きくなる。この摩擦力によって、壁部材14に床部材94が支持される。なお、ブラケット90は、ロット92Aを伸張させた後に、解体、撤去される。また、床部材94を撤去したり、配置変更したりする場合には、ロット92Aを縮めて、壁部材14の壁面と床ブロック98の端面との間に隙間を形成する。これにより、床部材94の撤去等が可能となる。
ここで、床部材本体96と床ブロック98とは油圧ジャッキ92によって接合されるところ、この油圧ジャッキ92は、地震時に床部材94に発生する曲げモーメントの反曲点、又は反曲点付近に設けることが好ましい。反曲点では、曲げモーメントが発生しないためである。従って、油圧ジャッキ92による接合部がピン接合となり、床部材94の曲げ剛性、耐力が小さくなる場合に特に有効な措置である。
次に、本発明の第3の実施形態に係る床部材100について説明する。なお、第1、第2の実施形態と同じ構成のものは同符号を付すると共に適宜省略して説明する。
図10(A)及び図10(B)に示すように、床部材100は、床部材本体102と、床部材本体102と壁部材14との間に打ち込まれる楔部材104(支持手段)を備えている。床部材本体102はプレキャストコンクリート製で、長手方向の長さが対向する壁部材14の壁面間の距離よりも小さくされており、壁部材14に設けられたブラケット90の上に載置される。床部材本体102の長手方向の両端面は、床部材本体102の下面102Cから上面102Bに向かって床部材本体102側に傾斜された傾斜面102Aとされており、床部材本体102の上方から楔部材104を打ち込み易くなっている。なお、ブラケット90に替えて、支保工等によって床部材本体102を支持しても良い。
楔部材104は、プレキャストコンクリート製で、床部材本体102と同じ高さ、幅のブロック状に形成されている。楔部材104には、床部材本体102の傾斜面102Aに合わせられる傾斜面104Aが形成されており、側面視にて台形形状に形成されている。この傾斜面104Aは、楔部材104が床部材本体102と壁部材14との間に打ち込まれたときに、床部材本体102の傾斜面102Aに圧着される。傾斜面14Aと反対側の面には、天然ゴム、合成ゴム等からなるシート状の弾性体106が貼付されている。この弾性体106は、楔部材104が床部材本体102と壁部材14との間に打ち込まれたときに圧縮されて、壁部材14の壁面に圧着される。
楔部材104の長さは、壁部材14の壁面と床部材本体102の傾斜面102Aの上端との間に形成される隙間L以下とされているが、弾性体106の厚みを含めた楔部材104の長さLは、壁部材14の壁面と床部材本体102の傾斜面102Aの上端との間に形成される隙間Lよりも所定量だけ大きくされている(L<L)。これにより、床部材本体102と壁部材14との間に楔部材104が打ち込まれたときに、弾性体106が圧縮されて壁部材14の壁面に圧着されると共に、楔部材104の傾斜面104Aが床部材本体102の傾斜面102Aに圧着され、壁部材14が楔部材104によって加圧される。即ち、楔部材104が、対向する壁部材14をそれぞれ突っ張ることにより、壁部材14に楔部材104が支持される。
なお、床部材本体102の傾斜面102A及び楔部材104の傾斜面104Aの少なくとも一方に弾性体を貼付して密着性を高めても良いし、シート状の摩擦材を貼付し、傾斜面102Aと傾斜面104Aとの間に発生する摩擦力を大きくしても良い。同様に、弾性体106にも摩擦材を貼付しても良い。
次に、本発明の第3の実施形態に係る床部材100の作用及び効果について説明する。
先ず、床部材100の設置方法の例について説明する。
図10(A)に示すように、ブラケット90の上に床部材本体102を載置し、対向する壁部材14の間に床部材本体102を配置する。これにより、床部材本体102の傾斜面102Aの上端と壁部材14の壁面との間に隙間Lが形成される。次に、壁部材14と床部材本体102の長手方向端部との間に、床部材本体102の上方から楔部材104を打ち込む。なお、楔部材104は、タンパー等の建設機械によって打ち込まれる。なお、楔部材104の挿入側と反対側から油圧ジャッキ等で楔部材104を引っ張り、楔部材104を壁部材14と床部材本体102との間に引っ張り入れても良い。
楔部材104が打ち込まれると、弾性体106が圧縮されて壁部材14の壁面に圧着されると共に、楔部材104の傾斜面104Aが床部材本体102の傾斜面102Aに圧着される。この結果、壁部材14が楔部材104によって加圧され、壁部材14の壁面と弾性体106との間に発生する摩擦力が大きくなると共に、傾斜面104Aと傾斜面102Aとの間に発生する摩擦力が大きくなる。これらの摩擦力によって、床部材100のせん断力が壁部材14に伝達され、床部材100が壁部材14に支持される。最後に、ブラケット90を解体し、撤去する。
床部材100を撤去、又は配置変更する場合は、先ず、床部材100を支保工40等で支持する。次に、床部材本体102の下面102C側から揚重機等の建設機械を用いて楔部材104を押し出し、壁部材14と床部材本体102の端部から撤去する。これにより、壁部材14の壁面と床部材本体102の傾斜面102Aとの間に隙間Lが形成され、床部材10の撤去、配置変更が可能となる。
このように、壁部材14と床部材本体102の端部との間に楔部材104を打ち込むことにより、壁部材14及び床部材本体102の傾斜面102Aが加圧され、壁部材14との間に発生する摩擦力を大きくして、床部材100を壁部材14に支持させる。このため、壁部材14と床部材100との接合部に、コンクリートやモルタルが不要となり、即ち、床部材100を移動したり、撤去したりする場合に、コンクリート等の解体が不要となる。従って、床部材100の配置の変更や撤去が容易となり、利用者の要望に応じた改造・改築が可能となる。
また、本実施形態では、楔部材104に弾性体106を設けたことで、施工誤差を吸収することができる。また、楔部材104が打ち込まれたときに、弾性体106が圧縮されて壁部材14の壁面に圧着されるため、壁部材14と弾性体106との間、及び楔部材104と床部材本体102の端部との間に発生する摩擦力が大きくなる。従って、壁部材14と床部材100との接合強度を大きくすることができる。
なお、弾性体106は適宜省略可能であるが、上記の施工誤差等の観点から設けることが望ましい。また、楔部材104と床部材本体102の端部との間にシート状の弾性体を設けることで、弾性体106と同様の効果を得ることができる。
また、本実施形態では、床部材本体102及び楔部材104に、傾斜面102A、104Aをそれぞれ設け、楔部材104を打ち込み易くしたが、傾斜面102A、104Aは適宜省略可能である。また、本実施形態では、床部材本体102の上方から楔部材104を打ち込む場合の例を示したが、床部材本体102の下方から楔部材104を打ち込んでも良い。この場合、ブラケット90を床部材本体102の上方に設け、床部材本体102を支保工等で支持する。これにより、床部材本体102の上方に設けられたブラケット90によって、床部材本体102の上方への移動が制限されるため、床部材本体102の下方から楔部材104を打ち込み易くなる。なお、傾斜面102A、104Aの傾斜方向は、楔部材104を打ち込む方向によって、適宜変更すれば良い。
更に、楔部材104に替えて、常温で隙間Lよりも大きい鋼製ブロックを冷却収縮させて隙間Lよりも小さくした状態で壁部材14と床部材本体102との間に配置し、この鋼製ブロックを加熱するなどして膨張させることにより壁部材14を加圧し、壁部材14との間に発生する摩擦力を大きくして、床部材100を壁部材14に支持させても良い。また、形状記憶合金等で形成されたブロックを壁部材14と床部材本体102との間に配置した後に所定温度以上に加熱し、形状記憶効果によりこれを膨張させて壁部材14を加圧し、壁部材14との間に発生する摩擦力を大きくして、床部材100を壁部材14に支持させても良い。更に、床部材100の撤去時に解体が必要となるが、壁部材14と床部材本体102と間に、膨張材混入グラウト等の膨張性の高い硬化材を打設し、硬化した後の膨張力によって壁部材14を加圧し、壁部材14との間に発生する摩擦力を大きくして、壁部材14に床部材100を支持させても良い。
次に、本発明の第4の実施形態に係る床部材110について説明する。なお、第1〜3の実施形態と同じ構成のものは同符号を付すると共に適宜省略して説明する。
図11(A)及び図11(B)に示すように、床部材110は、複数(図11に示す構成では、4つ)のブロック112を備えている。ブロック112はプレキャストコンクリート製で、立方体又は直方体に形成されている。これらのブロック112は、図12に示すように、下面112B同士又は上面112A同士にまたがって取り付けられた蝶番114(連結手段)によって屏風状に連結され、折り畳み可能とされている。蝶番114は、アンカー116等によってブロック112に固定される。
床部材110の長手方向両端に連結されたブロック112の端部には、天然ゴム、合成ゴム等からなる弾性体118が設けられている。弾性体118は、シート状に形成されており、ブロック112の端面に貼付されている。ここで、連結された複数のブロック112を展開したときの床部材110の長手方向の長さは、対向する壁部材14の壁面間の距離以下とされているが、弾性体118を含めた床部材110の長手方向の長さは、対向する壁部材14の壁面間の距離よりも僅かに大きくされている。従って、ブロック112を展開した状態で壁部材14の間に床部材110を配置すると、弾性体118が圧縮されて壁部材14の壁面に圧着され、壁部材14とブロック112との間に発生する摩擦力が大きくなる。この摩擦力によって壁部材14に床部材110が支持される。即ち、ブロック112が対向する壁部材14をそれぞれ突っ張ることにより、壁部材14に床部材110が支持される。
次に、第4の実施形態に係る床部材110の作用及び効果について説明する。
先ず、床部材110の設置方法の例について説明する。
先ず、図11(A)に示すように、壁部材14の壁面に仮設されたブラケット90の上に、床部材110を屈曲させた状態で載置する。次に、山形に屈曲したブロック112の連結部を図示せぬタンパーや油圧ジャッキ等の建設機械で上方から押し込み、若しくは、連結部にPC鋼線等のワイヤーを引っ掛け、下方から油圧ジャッキ等で引っ張り下げて、ブロック112を展開させる。これにより、床部材110の長手方向両端に連結されたブロック112の端面に設けられた弾性体118が圧縮され、壁部材14の壁面に圧着されると共に、隣接するブロック112の端面同士が圧着され、壁部材14がブロック112によって加圧される。これにより、壁部材14と弾性体118との間に発生する摩擦力が大きくなり、この摩擦力によって床部材110のせん断力が壁部材14に伝達され、床部材110が壁部材14に支持される。最後に、ブラケット90を解体し、撤去する。
床部材110を撤去、又は配置変更する場合は、先ず、床部材110を支保工40等で支持し、隣接するブロック112の下面112Bに固定された蝶番114を図示せぬ油圧ジャッキ等の建設機械で押し上げ、若しくはチェーンブロック等により上方からで引っ張り上げて、床部材110を屈曲させる。これにより床部材110の撤去、配置変更が可能となる。
このように、展開されたブロック112によって壁部材14を加圧し、発生する摩擦力を大きくして壁部材14に床部材110を支持させるため、壁部材14と床部材110との接合部にコンクリートやモルタルが不要となり、即ち、床部材110を移動したり、撤去したりする場合に、コンクリート等の解体が不要となる。従って、床部材10の配置の変更や撤去が容易となり、建物の階数を増減したり、建物に吹き抜けを設けたりするなど、利用者の要望に応じた改造・改築が可能となる。また、ブロック112を屏風状に連結したことにより、床部材110を折り畳むことができ、揚重や運搬が容易となる。
更に、本実施形態では、ブロック112の端部に弾性体118を設けたことで、施工誤差を吸収することができる。また、弾性体118が圧縮されて壁部材14の壁面に圧着されるため、壁部材14と弾性体118との間、及び隣接するブロック112の端面同士の密着性が増し、せん断力の伝達が良好となる。また、壁部材14と床部材110との接合強度を大きくすることができる。
なお、図12に示すように、隣接するブロック112の端面同士の間に天然ゴム、合成ゴム等からなるシート状の弾性体120を配置し、これらの端面同士に密着させても良い。これにより、施工誤差が吸収されると共に、せん断力によるブロック112の上下方向の位置ずれが抑制される。また、弾性体120に替えてシート状の摩擦材をブロック112の端面に貼付し、摩擦係数を大きくしても良い。これにより、隣接するブロック112の端面同士の間に発生する摩擦力が大きくなり、接合強度を確保することができる。更に、弾性体118にシート状の摩擦材を貼付するなどして設け、弾性体118と壁部材14の壁面との間に発生する摩擦力を大きくしても良い。
また、隣接するブロック112をPC鋼線、PC鋼棒等の補強鋼材124により圧着させ、接合強度を確保しても良い。例えば、図13(A)及び図13(B)に示すように、隣接するブロック112の下面112Bに固定部122を設ける。なお、蝶番114の図示は省略している。
この固定部122には貫通孔が形成されており、これらの貫通孔に補強鋼材124が貫通される。そして、補強鋼材124を図示せぬ油圧ジャッキ等で緊張させた状態で、補強鋼材124の軸方向両端部に取り付けられるナット126を締め付け、固定部122に係止させる。これにより、隣接するブロック112の端面同士が圧着され、接合強度が確保される。なお、図13に示す構成では、隣接するブロック112の間にシート状の摩擦材128を配置しており、接合部に発生する摩擦力を大きくしている。また、図13(B)に示すように、補強鋼材124は千鳥状に配置することが望ましい。
更に、図14(A)及び図14(B)に示すように、ブロック112の側面に固定された補強鋼材124によって、隣接するブロック112を圧着させても良い。隣接するブロック112の側面には、固定部130A、130Bが設けられている。なお、蝶番114の図示は省略している。
固定部130A、130Bは板状に形成されており、ブロック112の側面に打ち込まれたアンカーの端部に回転可能(矢印S方向)に取り付けらている。これらの固定部130A、130Bには、補強鋼材124が貫通される貫通孔(不図示)が形成されている。補強鋼材124は、ブロック112が屈曲された状態で、対向する固定部130A、130Bに貫通され、補強鋼材124の軸方向両端部に取り付けられるナット(不図示)によって、固定部130A、130Bから抜けないように固定される。なお、隣接するブロック112が後述する回転軸Pを中心に展開されたときに、固定部130A、130BがS方向に回転することにより、補強鋼材124が湾曲しないように構成されている。
ここで、図14(A)に示すように、連結されたブロック112の端面112Cの下端を回転軸Pとし、この回転軸Pと固定部130Aとを結ぶ直線と、回転軸Pと固定部130Bとを結ぶ直線がなす角度をθとすると、隣接するブロック112が屈曲されたときの角度θが、展開されたときの角度θ(図14(B)参照)よりも小さくなるように(θ<θ)、固定部130A、130Bが設けられる。即ち、隣接するブロック112が屈曲されたときの固定部130A、130B間の距離Mが、展開されたときの固定部130A、130B間の距離Mよりも小さくなるように(M<M)、固定部130A、130Bが設けられる。これにより、隣接するブロック112が展開されたときに、固定部130A、130B間の距離が広がり、補強鋼材124が引っ張られる。この結果、隣接するブロック112の端面112C同士が圧着され、隣接するブロック112の接合強度を大きくすることができる。なお、固定部130A、130Bを設ける位置は、補強鋼材124の剛性、靭性等を考慮して決定される。補強鋼材124の剛性、靭性等によっては、上記の条件(θ<θ)を満たしても、補強鋼材124が破断したり、回転軸P周辺のブロック112が破損したりするためである。
なお、上記第1〜第4の実施形態では、対向する壁部材14又は壁部材62の間に床部材10、60等を配置する例について説明したが、柱となる柱部材132(鉛直部材)の間に床部材10、60等を配置しても良い。例えば、図15に示すように、対向する2組の柱部材132の間に床部材10が配置されている。床部材本体16の長手方向両端部には、各柱部材132に対応する4つの皿バネ18が設けられている。これらの皿バネ18が各柱部材132に向かって伸張することにより、皿バネ18の端部に取り付けられた圧着体20が柱部材132の側面に圧着されている。これにより、柱部材132が各皿バネ18によって加圧され、柱部材132と圧着体20との間に発生する摩擦力が大きくなり、床部材10が柱部材132に支持されている。このように、本発明の鉛直部材には、柱部材132も含まれる。
更に、上記第1〜第4の実施形態では、床となる床部材10、60等を例に説明したが、本発明は、床を支持する梁となる梁部材にも適用可能である。例えば、図16に示すように、柱となる柱部材132の間に、水平部材としての梁部材134が配置されている。梁部材134は、梁部材本体136と、梁部材本体136に設けられた支持手段22を備えている。梁部材本体136はプレキャストコンクリート製とされている。支持手段22は、梁部材本体136の長手方向両端部に設けられた皿バネ18と、皿バネ18の端部に取り付けられた圧着体20を備えている。皿バネ18は、図示せぬ伸縮手段によって伸縮自在とされており、柱部材132に向かって伸張することにより、圧着体20を柱部材132の側面に圧着させている。これにより、柱部材132が皿バネ18の復元力によって加圧され、柱部材132の側面と圧着体20との間に発生する摩擦力が大きくなる。この摩擦力によって、梁部材134のせん断力が柱部材132に伝達され、対向する柱部材132の間で梁部材134が支持されている。この梁部材134の上には、床となる床パネル138が載置されている。床パネル138は、プレキャストコンクリート製とされており、梁部材134によって支持されている。このように本発明の水平部材には、床パネル138を支持する梁部材134も含まれるし、偏平梁やフラットスラブも含まれる。
次に、本発明が適用されない参考例について説明する。
図17(A)及び図17(B)に示すように、壁部材14と床部材140とが隣接配置されている。床部材140は、床部材本体142、及び支持手段22を備えている。床部材本体142はプレキャストコンクリート製とされており、その内部にPC鋼線、PC鋼棒等のPC鋼材144が貫通される貫通孔146が形成されている。また、床部材本体142の上面及び下面には、固定台42(図4参照)を取り付けるためのネジ穴43が形成されている。
床部材本体142の長手方向の端面には、板材32が固定されている。板材32には、PC鋼材144が貫通される貫通孔148が形成されている。この板材32には、積層された複数の皿バネ18が設けられている。皿バネ18の端部には圧着体20が取り付けられている。圧着体20にはPC鋼材144が貫通される貫通孔150が形成されている。また、圧着体20の上面及び下面には、スライド部材48(図4参照)を取り付けるためのネジ穴49が形成されている。
壁部材14には、PC鋼材144が貫通される貫通孔152が形成されている。そして、各部材に設けられた貫通孔146、148、150、152、及び皿バネ18にPC鋼材144が貫通されている。PC鋼材144の軸方向両端部にはナット154が取り付けられている。これらのナット154を床部材本体142の端面及び壁部材14の壁面に係止することにより、壁部材14と床部材140とが所定値以上離れないように連結される。
次に、参考例の作用及び効果について説明する。
先ず、床部材140の設置方法の例について説明する。
図17(A)に示すように、伸縮手段によって、皿バネ18を圧縮させた状態の床部材140を壁部材14の側方に配置する。なお、床部材140は図示せぬ支保工等によって支持される。
次に、床部材本体142の貫通孔146、板材32の貫通孔148、皿バネ18、圧着体20の貫通孔150、及び壁部材14の貫通孔152に、PC鋼材144を貫通させ、PC鋼材144の軸方向両端部にナット154を取り付ける。次に、壁部材14の壁面と、圧着体20との間に隙間Eが形成されるように、ナット154を締め付け、壁部材14と床部材本体142とが所定値以上離れないように連結する。
次に、伸縮手段により、皿バネ18を壁部材14に向って伸張させ、圧着体20を壁部材14の壁面に圧着させる。これにより、壁部材14が支持手段22の復元力によって加圧され、壁部材14の壁面と圧着体20との間に発生する摩擦力が大きくなる。この摩擦力によって、床部材140のせん断力が壁部材14に伝達され、壁部材14に床部材140が片持ちで支持される。
床部材140を撤去、又は配置変更する場合は、先ず、床部材140を支保工40等で支持し、伸縮手段により皿バネ18を圧縮させ、壁部材14の壁面と圧着体20との間に隙間Eを形成する。次に、PC鋼材144を壁部材14及び床部材140から抜き出す。これにより、床部材140の撤去、配置変更が可能となる。
このように単にPC鋼材144を緊張させて壁部材14に床部材140を圧着接合するのではなく、支持手段22により壁部材14を加圧することで、壁部材14に床部材140を圧着接合することができる。
なお、壁部材14の壁面に圧着体20を圧着させた後にナット154を締め付けることで、壁部材14の壁面と圧着体20との間に発生する摩擦力を調整しても良い。
更に、第1〜第4の実施形態に係る床部材本体16、96、102、梁部材本体136、壁部材14、62、及び柱部材132等は、鉄筋コンクリート造、鉄骨鉄筋コンクリート造、プレストレスコンクリート造、であっても良い。また、説明の都合上、各部材に配筋されるせん断補強筋等を省略して説明したが、せん断補強筋等は、各部材に求められる強度に応じて適宜設ければよい。また、床部材10、60、80、110、及び梁部材134は、建物の一部に用いても、全てに用いても良い。
以上、本発明の第1〜第4の実施形態について説明したが、本発明はこうした実施形態に限定されるものでなく、第1〜第4の実施形態を組み合わせて用いてもよいし、本発明の要旨を逸脱しない範囲において、種々なる態様で実施し得ることは勿論である。
10 床部材(水平部材)
12 建物
14 壁部材(鉛直部材)
16 床部材本体(水平部材本体)
18 皿バネ(支持手段、伸張手段、弾性体)
20 圧着体(支持手段、伸張手段)
22 支持手段
24 鋼棒(伸縮手段)
42 固定台(伸縮手段)
46 鋼棒(伸縮手段)
48 スライド部材(伸縮手段)
60 床部材(水平部材)
62 壁部材(鉛直部材)
64 圧着体(支持手段)
84 ネジ部材(支持手段、伸張手段)
86 押圧部材(支持手段、伸張手段)
86A ネジ孔
88 圧着体(支持手段)
92 油圧ジャッキ(支持手段、伸張手段)
94 床部材(水平部材)
96 床部材本体(水平部材本体)
98 床ブロック(支持手段、伸張手段)
100 床部材(水平部材)
102 床部材本体(水平部材本体)
104 楔部材(支持手段)
110 床部材(水平部材)
112 ブロック
114 蝶番(連結手段)
132 柱部材(鉛直部材)
134 梁部材(水平部材)
136 梁部材本体(水平部材本体)

Claims (9)

  1. 壁又は柱となる鉛直部材の間に配置され、床又は床を支持する梁となる水平部材本体と、
    前記水平部材本体に設けられ、前記鉛直部材を加圧し、前記鉛直部材との摩擦力を大きくして該鉛直部材に前記水平部材本体を支持させる支持手段と、
    を備える水平部材。
  2. 前記支持手段が、前記水平部材本体の端部から前記鉛直部材に向って伸張する伸張手段である請求項1に記載の水平部材。
  3. 前記支持手段が、前記水平部材本体の端部と前記鉛直部材との隙間に打ち込まれる楔部材である請求項1に記載の水平部材。
  4. 前記伸張手段が、前記水平部材本体の端部に設けられた弾性体と、前記弾性体の端部に取り付けられた圧着体と、前記弾性体を伸縮させる伸縮手段と、を備える請求項2に記載に水平部材。
  5. 前記伸張手段が、前記水平部材本体の端部から突出するネジ部材と、
    前記ネジ部材が捻じ込まれるネジ孔を有する押圧部材と、
    を備える請求項2に記載の水平部材。
  6. 前記弾性体が、皿バネである請求項4に記載の水平部材。
  7. 壁又は柱となる鉛直部材の間に配置され、床又は床を支持する梁となる複数のブロックと、
    前記ブロックを屏風状に連結し、前記ブロックを展開したときに該ブロックが前記鉛直部材を加圧し、前記鉛直部材との摩擦力を大きくして前記鉛直部材に前記ブロックを支持させる連結手段と、
    を備える水平部材。
  8. 請求項1〜7の何れか1項に記載の水平部材を有する建物。
  9. 床又は床を支持する梁となる水平部材本体と、前記水平部材本体の端部に設けられた弾性体と、前記弾性体の端部に取り付けられた圧着体と、前記弾性体を伸縮させる伸縮手段と、を備える水平部材を、前記伸縮手段が前記弾性体を圧縮させた状態で壁又は柱となる鉛直部材の間に配置する配置工程と、
    前記伸縮手段により前記弾性体を前記鉛直部材に向かって伸張させ、前記圧着体を前記鉛直部材に圧着し、前記鉛直部材との摩擦力を大きくして該鉛直部材に前記水平部材を支持させる支持工程と、
    を備える水平部材設置方法。
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