JP2010155840A - B型肝炎を治療するための医薬組成物およびb型肝炎ウイルス抑制効果を有する健康食品 - Google Patents
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Abstract
【解決手段】B型肝炎を治療するための医薬組成物は、有効量のプロアントシアニジンオリゴマーと薬学的に許容される担体または塩とを含有する。B型肝炎ウイルス抑制効果を有する健康食品は、有効量のプロアントシアニジンオリゴマーを含有する。前記プロアントシアニジンオリゴマーのモノマーは、下記式で示される。
【選択図】図4b
Description
プロアントシアニジンオリゴマーのモノマーの構造決定
ガスクロマトグラフ質量分析計を用いて、プロアントシアニジンオリゴマーのモノマーの構造を決定した。固体の精製プロアントシアニジンオリゴマーをガスクロマトグラフ質量分析計に投入し、段階的に昇温(50〜500℃)するか、あるいは、単一の温度まで急速に昇温した。加熱分解した試料を、ガスクロマトグラフ質量分析計の特定の金属カラムにより単離した後、質量分析検出器で検出して質量スペクトルを得た。その質量スペクトルから、プロアントシアニジンオリゴマーのモノマーの構造を決定した。プロアントシアニジンオリゴマーの質量スペクトルおよび構造解析をそれぞれ図2aおよび図2b〜図2eに示す。図2b〜図2eの左側の部分は、図2aにおけるピークのm/z値を示し、図2b〜図2eの右側の部分は、左側の部分におけるピークのモノマー解析結果を示している。決定されたプロアントシアニジンオリゴマーのモノマーの化学式は、下記のとおりである。
プロアントシアニジンオリゴマーを含有するカラムシ抽出物の調製
手法1
カラムシの根と茎を洗浄し、自然環境中で乾燥した。乾燥したカラムシを厚さ5mmの切片に切断し、4℃で保管した。次いで、その保管しておいたカラムシを粉砕機で粉砕した後、篩にかけた。篩を通過した20メッシュより小さい粉末を取り、95%エタノール(粉末:95%エタノール=1:10、w/w)に加え、2時間加熱還流した(2回行った)後、室温まで冷却した。この抽出液を遠心バッグに入れ、遠心分離により濾過した。濾過した溶液を40℃よりも低い温度にて真空エバポレーターで濃縮した後、凍結乾燥機で凍結乾燥した。この凍結乾燥した抽出物が有効成分のプロアントシアニジンオリゴマーを含有する医薬組成物であり、B型肝炎ウイルス抑制活性を有するものである。なお、この医薬組成物には、薬学的に許容される天然植物由来の微量の担体または塩が含有されている。
手法1において、4℃で保管したカラムシを研磨機で粉砕してから、篩にかけた。篩を通過した20メッシュよりも小さい粉末を取り、逆浸透膜を用いて精製したRO水(粉末:RO水=1:10、w/w)に加え、2時間加熱還流した(2回行った)後、室温まで冷却した。この抽出液をエタノール水溶液(95〜50%)に加えて混合した。抽出液を冷却して沈殿させた後、この上層液を遠心バッグに入れ、遠心分離により濾過した。濾過した溶液を40℃よりも低い温度にて真空エバポレーターで濃縮した後、凍結乾燥機で凍結乾燥した。この凍結乾燥した抽出物が有効成分のプロアントシアニジンオリゴマーを含有する医薬組成物であり、B型肝炎ウイルス抑制活性を有するものである。
カラムシ抽出物の部分精製
手法1
溶媒抽出−1
プロアントシアニジンオリゴマーを含有するカラムシ抽出物をヘキサン(抽出物:ヘキサン=1:10、w/v)に加え、6時間加熱還流して抽出物中の脂質を除去した。この固体抽出物を70%メタノール水溶液および/または0.3%ビタミンC水溶液に溶解し、40℃よりも低い温度にて真空エバポレーターで濃縮して溶媒を除去した。次いで、この抽出物をクロロホルム(抽出物:クロロホルム=1:1、v/v)に加え、30分間ボルテックス攪拌した(抽出を複数回行った)。この水層を酢酸エチル(抽出物:酢酸エチル=1:1、v/v)に加え、30分間ボルテックス攪拌した(抽出を複数回行った)。この水層を40℃よりも低い温度にて真空エバポレーターで濃縮した後、凍結乾燥機で凍結乾燥した。
溶媒抽出−2
プロアントシアニジンオリゴマーを含有するカラムシ抽出物を水/エタノール溶液(抽出物:水/エタノール溶液=1:10、w/v)に溶解させてからヘキサン(溶液:ヘキサン=1:10、v/v)に加えた後、30分間ボルテックス攪拌し(抽出を複数回行った)、抽出物中の脂質を除去した。この水層を酢酸エチル(水層:酢酸エチル=1:1、v/v)に加え、30分間ボルテックス攪拌した(抽出を複数回行った)。この水層を1−ブタノール(水層:1−ブタノール=1:1、v/v)に加え、30分間ボルテックス攪拌した(抽出を複数回行った)。この水層を40℃よりも低い温度にて真空エバポレーターで濃縮した後、凍結乾燥機で凍結乾燥した。
ゲル浸透クロマトグラフィー
手法1において、部分精製されたプロアントシアニジンオリゴマーを含有するカラムシ抽出物を、ゲル浸透クロマトグラフィー(直径4cm×長さ45cmのSephadex(登録商標)LH−20)により、極性比率の異なる溶液を用いて、単離して溶出し、その中の不純物を除去した。この部分精製された物質2.5gを95%エタノール0.5mLに溶解し、ゲル浸透クロマトグラフィーカラムに投入した後、一連の溶媒で連続して溶出し、それぞれ異なる溶媒で溶出した溶出液を収集した。溶媒は、それぞれ、95%エタノール300mL、95%エタノール/メタノール(1/1、v/v)300mL、メタノール300mL、50%メタノール水溶液300mLおよび50%アセトン水溶液300mLとした。95%エタノール300mLで溶出した溶出液を除き、その他すべての溶出液を40℃よりも低い温度にて真空エバポレーターで濃縮した後、凍結乾燥機で凍結乾燥した。凍結乾燥した物質を−20℃で保管し、後の使用に備えた。部分精製および/または精製プロアントシアニジンオリゴマーを含有する凍結乾燥したカラムシ抽出物の物理的および化学的な特性を分析した。この凍結乾燥した溶出物質が、部分精製および/または精製プロアントシアニジンオリゴマー成分を含有し、かつB型肝炎ウイルス抑制効果を有する薬剤である。
赤外線分光分析
精製プロアントシアニジンオリゴマー試料を塩化カリウムと混合し、プレスしてフィルムにしてから、透過型赤外分光光度計により検出を行った。その結果を図3に示す。このうち、より強い吸収ピークは、3412.38cm−1、1610.57cm−1、1521.40cm−1、1441.14cm−1、1284.86cm−1および1110.88cm−1である。
高速液体クロマトグラフィー質量分析
精製されたプロアントシアニジンオリゴマー試料を高速液体クロマトグラフィー質量分析計(HPLC/ESI+、HPLC/ESI−)(Micromass Quattro/Waters 2690)で分析した。重合度1〜6のプロアントシアニジンのモノマーおよびオリゴマー、ならびに、分子量164のグルコシドを含むプロアントシアニジンモノマーが検出された。精製されたプロアントシアニジンオリゴマーの高速液体クロマトグラフィー−ESI+質量スペクトルおよび高速液体クロマトグラフィー−ESI−質量スペクトルを図4aおよび図4bに示す。
13 Cおよび 1 H−核磁気共鳴分光分析
精製されたプロアントシアニジンオリゴマー試料を13C−核磁気共鳴分光分析装置および1H−核磁気共鳴分光分析装置により測定した。13C−核磁気共鳴分光分析の結果を図5a〜図5cに示す。145.2〜145.7ppmに、二重項−二重項のピークが現れているのみで、他のピークは存在しない。それゆえ、このモノマーは、シアニジンを有するが、デルフィニジンは有さず、つまりB環が3つのOH基を有するものであった。これはEGA/MS分析の結果と一致していた。図5bにおいて、R1=HまたはOHであり、かつR2=H、OHまたはOCHである。
マトリクス支援レーザー脱離イオン化飛行時間型(MALDI−TOF)分析
部分精製されたプロアントシアニジンオリゴマーの分子量分布をマトリクス支援レーザー脱離イオン化飛行時間型(MALDI−TOF)質量分析装置により測定した。その結果を図7a〜図7cに示す。この結果より、部分精製されたプロアントシアニジンオリゴマーの分子量分布は、500〜5,000であることがわかった。この分子量分布の結果から、プロアントシアニジンオリゴマーの重合度は2〜18の範囲内であると推測される。
各種の科に属する植物より抽出した各プロアントシアニジンオリゴマー抽出物のB型肝炎ウイルス抑制活性試験
各種の科に属する植物に対して粗抽出を行った。凍結乾燥後、これらの抽出物のB型肝炎ウイルス抑制効果を分析した。B型肝炎ウイルスを含むプラスミドを細胞に導入することにより、B型肝炎ウイルスを産生するヒト肝細胞癌細胞株HepG 2.2.15または1.3ES8を調製した。これら細胞を1×105個の細胞/100μL/ウェルの密度で96ウェル細胞培養プレートに入れ、細胞培養器中に置いて一晩培養した。翌日、抽出試料を10%DMSOおよび90%滅菌水で濃度10mg/mLになるように調製した後、細胞培養液で試験に適した濃度に希釈した。96ウェル細胞培養プレート中の元の培養液を取り除き、この際、細胞は取り除かないようにし、次いで、希釈した試料を含んだ培養液を100μL/ウェルの量で96ウェル細胞培養プレートに加えた。B型肝炎ウイルス表面抗原(HBs)およびB型肝炎ウイルスe抗原(HBe)抑制試験を行い、4日後に、細胞毒性を有しなかった(細胞生存率>85%)希釈試料を含む共培養液を選択して分析を行った。B型肝炎ウイルス表面抗原は、SURASE B−96(TMB)(GENERAL BIOLOGICALS)キットで検出し、B型肝炎ウイルスe抗原は、EASE BN−96(TMB)(GENERAL BIOLOGICALS)キットで検出した。希釈試料を含む培養液を、抗B型肝炎ウイルス表面抗原抗体および抗B型肝炎ウイルスe抗原抗体でそれぞれコートした2枚の96ウェル細胞培養プレートに、それぞれ50μL/ウェルおよび1000μL/ウェルの量で加えた後、40℃下に置いた。抗B型肝炎ウイルス表面抗原抗体でコートした96ウェル細胞培養プレート中の希釈試料を含む共培養液は2時間放置した後に除去し、一方、抗B型肝炎ウイルスe抗原抗体でコートした96ウェル細胞培養プレート中の希釈試料を含む共培養液は一晩置いた後で除去した。次いで、2枚の96ウェル細胞培養プレートを洗浄バッファーで6回洗浄してから、ペルオキシダーゼと共役させた抗B型肝炎ウイルス表面抗原二次抗体およびペルオキシダーゼと共役させた抗B型肝炎ウイルスe抗原二次抗体にそれぞれ加え、40℃下で1時間放置した後、96ウェル細胞培養プレート中の溶液を除去した。そして、96ウェル細胞培養プレートを洗浄バッファーで6回洗浄した。室温下、暗所でTBSを96ウェル細胞培養プレートに100μL/ウェルの量で加えて30分呈色反応を行った後、2M硫酸を96ウェル細胞培養プレートに100μL/ウェルの量で加えて呈色反応を停止させた。次いで、2枚の96ウェル細胞培養プレートをそれぞれELISAリーダーにて450nmの吸光度を測定した。希釈試料を含む共培養液を添加していない対照群の吸光度を分母とし、対照群の吸光度と実験群の吸光度との差を分子として、抽出試料のB型肝炎ウイルス抑制率を算出した。
プロアントシアニジンオリゴマーのB型肝炎ウイルス抑制活性分析
95%エタノールで抽出したカラムシ試料7.0110gを粉砕し、ヘキサン300mLに加えた後、6時間加熱還流した。次いで、固体部分を取り(液体部分を除去し)、アセトン/水(70/30、v/v)に加えて抽出を行った。この水層を取り、アセトンを除去した。この水層をクロロホルムに加えて、その中の残留物を抽出した後、乾燥して試料1を得た。その後、2.3116gの試料1をゲル浸透クロマトグラフィーカラムに投入し、異なる溶媒で連続して溶出を行った。溶媒は、それぞれ、95%エタノール300mL、95%エタノール/メタノール(1/1、v/v)300mL、メタノール300mL、50%メタノール水溶液300mL、50%アセトン水溶液300mLおよびアセトン300mLとした。これにより、試料2〜6を得た(50%メタノール水溶液300mL、50%アセトン水溶液300mLおよびアセトン300mLで溶出した溶出溶液を合わせて試料6とした)。そして、試料1〜6について、実験例8と同様のB型肝炎ウイルス抑制活性試験を行った。CPB50μg/mLを含む培養液を陽性対照とし、いずれの抽出物も含まない培養液を陰性対照群とした。各抽出物を各濃度で二重に試験した。
異なるR 1 を有する異なるモノマーを含むプロアントシアニジンオリゴマーのB型肝炎ウイルス抑制活性分析
異なる試料AおよびBについて、実験例1〜7の分析により、試料AおよびBのプロアントシアニジンオリゴマーのモノマーのR1構造を特定し、これらが異なるものであることを確認した。ここで、試料AおよびBは、ぞれぞれ実験例9の試料4および6であり、図1(c)〜(f)で示される。これら2種類のプロアントシアニジンオリゴマーに対して、50%阻害濃度(IC50)試験を行った。B型肝炎ウイルスを産生する細胞を2種の試料と、異なる濃度で共培養した。次いで、2種類の試料のB型肝炎ウイルス表面抗原およびB型肝炎ウイルスe抗原に対する抑制率を測定した。これら試料を連続希釈した後、各濃度における抑制率を測定し、その50%阻害濃度(IC50)をグラフィット(GraFit)5ソフトウェア(Erithacus Software Limitedから入手)を用いて計算した。その結果を表1に示す。
Claims (22)
- B型肝炎を治療するための医薬組成物であって、有効量のプロアントシアニジンオリゴマーと薬学的に許容される担体または塩とを含有し、前記プロアントシアニジンオリゴマーのモノマーが下記式で示されることを特徴とする医薬組成物。
[式中、R1はOCH3、R2はOH、かつR3はHであるか、あるいは、R1はOH、かつR2およびR3は共にHであるか、あるいは、R1およびR2は共にOH、かつR3はHであるか、あるいは、R1、R2およびR3はすべてOHであり、R4は3−(α)−OH、3−(β)−OH、3−(α)−O−糖または3−(β)−O−糖である。] - 前記プロアントシアニジンオリゴマーの隣接するモノマー間の結合が、C4−C8間の炭素−炭素結合、C4−C6間の炭素−炭素結合またはC2−C7間の酸素結合で起こる請求項1に記載の医薬組成物。
- 前記プロアントシアニジンオリゴマーの重合数が2〜30である請求項1または2に記載の医薬組成物。
- 前記モノマーが、C4、C6またはC8の位置における(R)または(S)光学異性体を含む請求項1〜3のいずれか1項に記載の医薬組成物。
- 前記プロアントシアニジンオリゴマーのモノマーがフラボノイドを含む請求項1〜4のいずれか1項に記載の医薬組成物。
- 前記フラボノイドが、カテキン、エピカテキン、エピアフゼレキン、ガロカテキン、ガロエピカテキン、エピガロカテキン、ガレート、フラボノール、フラバンジオール、ロイコシアニジンまたはプロシアニジンを含む請求項5に記載の医薬組成物。
- 前記プロアントシアニジンオリゴマーのモノマーがフラバン−3−オールを含む請求項1〜6のいずれか1項に記載の医薬組成物。
- 前記プロアントシアニジンオリゴマーが植物からの抽出物である請求項1〜7のいずれか1項に記載の医薬組成物。
- 前記植物が、ツヅジ科、バラ科、マツ科、ブドウ科またはイラクサ科に属する植物を含む請求項8に記載の医薬組成物。
- 前記イラクサ科に属する植物がカラムシを含む請求項9に記載の医薬組成物。
- 前記植物がカラムシを含む請求項8に記載の医薬組成物。
- B型肝炎ウイルス抑制効果を有する健康食品であって、有効量のプロアントシアニジンオリゴマーを含有し、前記プロアントシアニジンオリゴマーのモノマーが下記式で示されることを特徴とする健康食品。
[式中、R1はOCH3、R2はOH、かつR3はHであるか、あるいは、R1はOH、かつR2およびR3は共にHであるか、あるいは、R1およびR2は共にOH、かつR3はHであるか、あるいは、R1、R2およびR3はすべてOHであり、R4は3−(α)−OH、3−(β)−OH、3−(α)−O−糖または3−(β)−O−糖である。] - 前記プロアントシアニジンオリゴマーの隣接するモノマー間の結合が、C4−C8間の炭素−炭素結合、C4−C6間の炭素−炭素結合またはC5−C7間の酸素結合で起こる請求項12に記載の健康食品。
- 前記プロアントシアニジンオリゴマーの重合数が2〜30である請求項12または13に記載の健康食品。
- 前記モノマーが、C4、C6またはC8の位置における(R)または(S)光学異性体を含む請求項12〜14のいずれか1項に記載の健康食品。
- 前記プロアントシアニジンオリゴマーのモノマーがフラボノイドを含む請求項12〜15のいずれか1項に記載の健康食品。
- 前記フラボノイドが、カテキン、エピカテキン、エピアフゼレキン、ガロカテキン、ガロエピカテキン、エピガロカテキン、ガレート、フラボノール、フラバンジオール、ロイコシアニジンまたはプロシアニジンを含む請求項16に記載の健康食品。
- 前記プロアントシアニジンオリゴマーのモノマーがフラバン−3−オールを含む請求項12〜17のいずれか1項に記載のB型肝炎ウイルス抑制効果を有する健康食品。
- 前記プロアントシアニジンオリゴマーが植物からの抽出物である請求項12〜18のいずれか1項に記載の健康食品。
- 前記植物が、ツヅジ科、バラ科、マツ科、ブドウ科またはイラクサ科に属する植物を含む請求項19に記載の健康食品。
- 前記イラクサ科に属する植物がカラムシを含む請求項20に記載の健康食品。
- 前記植物がカラムシを含む請求項19に記載の健康食品。
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