JP2010155553A - 空気入りラジアルタイヤ - Google Patents
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Abstract
【課題】周方向ベルトの耐久性の向上を図ることで、特に今後の入力の増大時に懸念されるスチールコードの疲労破断を防止することができる技術を提供する。
【解決手段】カーカス1のタイヤ半径方向外側に、2〜4層のベルト層2とトレッド層5とが順次積層配置されてなる空気入りラジアルタイヤである。ベルト層2のうち1層以上が周方向ベルト層3からなり、周方向ベルト層3がタイヤ幅方向の両外側に位置する一対の外側周方向ベルト層とその間に位置する中側周方向ベルト層とに3分割されている。中側周方向ベルト層のスチールコードが、層撚りスチールコードを波型形状またはジグザグ形状に型付け処理されたものであり、かつ、中側周方向ベルト層のスチールコードを取り出した場合の取り出したスチールコードの型付けの曲率半径Rが、18mm以上125mm以下の範囲内である。
【選択図】図1
【解決手段】カーカス1のタイヤ半径方向外側に、2〜4層のベルト層2とトレッド層5とが順次積層配置されてなる空気入りラジアルタイヤである。ベルト層2のうち1層以上が周方向ベルト層3からなり、周方向ベルト層3がタイヤ幅方向の両外側に位置する一対の外側周方向ベルト層とその間に位置する中側周方向ベルト層とに3分割されている。中側周方向ベルト層のスチールコードが、層撚りスチールコードを波型形状またはジグザグ形状に型付け処理されたものであり、かつ、中側周方向ベルト層のスチールコードを取り出した場合の取り出したスチールコードの型付けの曲率半径Rが、18mm以上125mm以下の範囲内である。
【選択図】図1
Description
本発明は空気入りラジアルタイヤ(以下、単に「タイヤ」とも称する)に関し、詳しくは、タイヤ周方向に沿う向きに延びる複数本の波型形状またはジグザグ形状の型付けスチールコードからなる周方向ベルト層を備え、耐久性の向上した空気入りラジアルタイヤに関する。
従来、空気入りラジアルタイヤのベルト層として、タイヤ周方向に沿う周方向ベルトを設けることが行われており、かかる周方向ベルトに、ベルト剛性を高めるため波型形状またはジグザク形状に型付けしたコードを適用することも知られている。
例えば、特許文献1には、トラックおよびバス用並びにオフザロード用など高内圧で使用される重荷重用ラジアルタイヤ、特に扁平のタイヤにおいて、波形またはジグザグ形をなしてタイヤの赤道面に沿って延びる多数本のコードまたはフィラメントを補強素子として、これら補強素子をゴムで被覆したプライの複数層を、傾斜配置したコードによるベルトに代えて、または該ベルトに追加して用いることが開示されている。
特開平11−245617号公報
しかしながら、波型形状またはジグザグ形状の型付けスチールコードからなる周方向ベルトを有するタイヤでは、その構造から型付け部において大きな負担がかかることは避けられなかった。かかる周方向ベルトは、タイヤ転動時の歪を直接受けるため、タイヤ転動時には型付け部において繰り返しの歪変形を受けることになる。したがって、今後のタイヤサイズの大型化や扁平化による負担増大に伴う入力の増大に起因して、波型形状またはジグザグ形状の型付けスチールコードの疲労破断等の耐久性低下が懸念される。特にベルト端部においては、コードへの入力が大きくなるため、耐久性への懸念は大である。
そこで本発明の目的は、周方向ベルトに波型形状またはジグザグ形状の型付けスチールコードを適用した空気入りラジアルタイヤにおいて、かかる周方向ベルトの耐久性の向上を図ることで、特に今後の入力の増大時に懸念されるスチールコードの疲労破断を防止することができる技術を提供することにある。
本発明者は上記課題を解決するために鋭意検討した結果、周方向ベルトをタイヤ幅方向に3分割し、その中側周方向ベルト層に、所定の波型形状またはジグザグ形状の型付けスチールコードを適用することにより、周方向ベルト層全体の耐久性を大幅に向上させることができ、特に今後の入力の増大時に懸念されるスチールコードの疲労破断防止に対し効果的であることを見出し、本発明を完成するにいたった。
すなわち、本発明の空気入りラジアルタイヤは、左右一対のビード部間にわたりトロイド状に延在するカーカスを骨格とし、該カーカスのタイヤ半径方向外側に、2〜4層のベルト層とトレッド層とが順次積層配置されてなる空気入りラジアルタイヤにおいて、
前記ベルト層のうち1層以上が周方向ベルト層からなり、該周方向ベルト層がタイヤ幅方向の両外側に位置する一対の外側周方向ベルト層とその間に位置する中側周方向ベルト層とに3分割され、
前記中側周方向ベルト層のスチールコードが、複数本のスチールフィラメントを2層または3層に撚り合わせた層撚りスチールコードを波型形状またはジグザグ形状に型付け処理されたものであり、かつ、該中側周方向ベルト層のスチールコードを取り出した場合の取り出したスチールコードの型付けの曲率半径Rが、18mm以上125mm以下の範囲内であることを特徴とするものである。
以下に、本発明の空気入りラジアルタイヤにおける好適実施態様を挙げる。
前記ベルト層のうち1層以上が周方向ベルト層からなり、該周方向ベルト層がタイヤ幅方向の両外側に位置する一対の外側周方向ベルト層とその間に位置する中側周方向ベルト層とに3分割され、
前記中側周方向ベルト層のスチールコードが、複数本のスチールフィラメントを2層または3層に撚り合わせた層撚りスチールコードを波型形状またはジグザグ形状に型付け処理されたものであり、かつ、該中側周方向ベルト層のスチールコードを取り出した場合の取り出したスチールコードの型付けの曲率半径Rが、18mm以上125mm以下の範囲内であることを特徴とするものである。
以下に、本発明の空気入りラジアルタイヤにおける好適実施態様を挙げる。
前記外側周方向ベルト層のスチールコードの破断伸度(Eo)と前記中側周方向ベルト層のスチールコードの破断伸度(Ei)とが次式、
Eo>Ei、かつ、2.5≧Eo/Ei≧1.05
で表される関係を満たし、かつ前記外側周方向ベルト層のスチールコードが真直である。
Eo>Ei、かつ、2.5≧Eo/Ei≧1.05
で表される関係を満たし、かつ前記外側周方向ベルト層のスチールコードが真直である。
前記中側周方向ベルト層の幅(Wi)が前記周方向ベルト層の全幅(Wt)に対し、次式、
0.95×Wt≧Wi≧0.5×Wt
で表される関係を満たす。
0.95×Wt≧Wi≧0.5×Wt
で表される関係を満たす。
前記外側周方向ベルト層のスチールコード径(Do)と前記中側周方向ベルト層のスチールコード径(Di)とが次式、
1.15 ≧Do/Di≧0.85
で表される関係を満たす。
1.15 ≧Do/Di≧0.85
で表される関係を満たす。
前記中側周方向ベルト層のスチールコードが、0.12mm以上0.45mm以下のフィラメント径(Df)を有するフィラメントからなる撚りコードであり、1.20mm以上3.00mm以下のコード径(Di)を有する。
前記中側周方向ベルト層のスチールコードの型付け内側部と外側部とにおいて、少なくともシース部のフィラメントの残留応力比が次式、
−0.5≦L1/L2<0.5、L2≦0
(式中、L1は内側部フィラメント残留応力、L2は外側部フィラメント残留応力を表し、残留応力の+は引張側、−は圧縮側である)で表される関係を満たす。
−0.5≦L1/L2<0.5、L2≦0
(式中、L1は内側部フィラメント残留応力、L2は外側部フィラメント残留応力を表し、残留応力の+は引張側、−は圧縮側である)で表される関係を満たす。
前記周方向ベルト層が、ゴム−スチールコード複合体ストリップをタイヤ周方向に沿って螺旋状に巻回して配列させてなる。
前記ベルト層が、タイヤ周方向に対し傾斜した向きに延びるコードからなる交錯ベルトを1層ないし3層含む。
本発明によれば、上記構成としたことにより、周方向ベルトにおける波型形状またはジグザク形状の型付けスチールコードの耐久性を向上して、スチールコードの疲労破断を効果的に防止することができる空気入りラジアルタイヤを実現することが可能となった。
以下、本発明の好適実施形態について、図面を参照しつつ詳細に説明する。
図1は、本発明の一例の空気入りラジアルタイヤのトレッド部を拡大して示す断面図をである。図示する本発明の空気入りラジアルタイヤ10は、左右一対のビード部(図示せず)間にわたりトロイド状に延在するカーカス1を骨格とし、そのタイヤ半径方向外側に、ベルト層2およびトレッド層5が順次積層配置されてなるものである。
図1は、本発明の一例の空気入りラジアルタイヤのトレッド部を拡大して示す断面図をである。図示する本発明の空気入りラジアルタイヤ10は、左右一対のビード部(図示せず)間にわたりトロイド状に延在するカーカス1を骨格とし、そのタイヤ半径方向外側に、ベルト層2およびトレッド層5が順次積層配置されてなるものである。
本発明においては、ベルト層2の1層以上(図示例では2層)が、周方向ベルト層3からなり、この周方向ベルト層3がタイヤ幅方向の両外側に位置する一対の外側周方向ベルト層3bとその間に位置する中側周方向ベルト層3aとに3分割されている。かかる周方向ベルト層3は、複数本のコードをゴムで被覆してなるゴム−スチールコード複合体ストリップをタイヤ周方向に沿って螺旋状に巻回することにより好適に形成することができる。
中側周方向ベルト層3aのスチールコードは、複数本のスチールフィラメントを2層または3層に撚り合わせた層撚りスチールコードを波型形状またはジグザグ形状に型付け処理されたものであり(図2参照)、かつ、中側周方向ベルト層3aのスチールコードを取り出した場合の取り出したスチールコードの型付けの曲率半径Rが、18mm以上125mm以下、好ましくは20mm以上75mm以下の範囲内であることが肝要である。
前述したように、波型形状またはジグザグ形状の型付けスチールコードでは型付け部に曲げ歪の集中が起こり、今後のタイヤサイズの大型化等に伴う入力の増大によっては、そこを起点としてスチールコードの疲労破断が発生してしまう懸念がある。それを防ぐためには、中側周方向ベルト層3aにおけるスチールコードの型付け部の曲率半径Rを大きくして、曲げ歪の集中を緩和させることが有効である。本発明においては、かかる型付け部の曲率半径Rを上記範囲内と規定することで、曲げ歪の集中を効果的に緩和させて、疲労破断の発生を防止することを可能にしたものである。
ここで、本発明において型付け部の曲率半径Rとは、図3に示すように、波型形状またはジグザグ形状に加工されたスチールコード20(振幅a,波長λ)の型付け部を、円弧で近似して測定した曲率半径として定義される。具体的には、理想的な曲率半径Rは、振幅aおよび波長λより、R=1/a(λ/2π)2とする。この曲率半径Rが18mm未満であると、曲げ歪の緩和が不十分となり、一方、125mmを超えると、タイヤに必要なスチール量が確保できなくなるため、他性能面での懸念が生ずる。
本発明においては、外側周方向ベルト層3bのスチールコードの破断伸度(Eo)と中側周方向ベルト層3aのスチールコードの破断伸度(Ei)とが次式、
Eo>Ei、かつ、2.5≧Eo/Ei≧1.05
で表される関係を満たし、かつ外側周方向ベルト層3bのスチールコードが真直であることが好ましい。すなわち、本発明においては、外側周方向ベルト層3bのコード自身が伸長し、かつ真直で中側周方向ベルト層3aのスチールコードよりも破断伸度が大きいスチールコードを適用することが好ましい。波型形状またはジグザグ形状に型付けしたスチールコードにおいて十分な伸度を出すためには、型付け量を大きくする必要があるが、タイヤの外観上に影響を及ぼしてしまうことになる。また、型付け部において応力集中がおきやすくなるため、大入力に対しては、疲労破断が懸念される。かかる観点から、外側周方向ベルト層3bのスチールコードは応力分散可能な真直コードを適用することが好ましい。なお、ベルト層の全幅にわたり、破断伸度の大きい当該スチールコードを配置すると、周方向ベルト層の本来の目的である十分なタガ効果を発揮することができないため、外側周方向ベルト層3bのみに真直コードを適用することが好ましい。
Eo>Ei、かつ、2.5≧Eo/Ei≧1.05
で表される関係を満たし、かつ外側周方向ベルト層3bのスチールコードが真直であることが好ましい。すなわち、本発明においては、外側周方向ベルト層3bのコード自身が伸長し、かつ真直で中側周方向ベルト層3aのスチールコードよりも破断伸度が大きいスチールコードを適用することが好ましい。波型形状またはジグザグ形状に型付けしたスチールコードにおいて十分な伸度を出すためには、型付け量を大きくする必要があるが、タイヤの外観上に影響を及ぼしてしまうことになる。また、型付け部において応力集中がおきやすくなるため、大入力に対しては、疲労破断が懸念される。かかる観点から、外側周方向ベルト層3bのスチールコードは応力分散可能な真直コードを適用することが好ましい。なお、ベルト層の全幅にわたり、破断伸度の大きい当該スチールコードを配置すると、周方向ベルト層の本来の目的である十分なタガ効果を発揮することができないため、外側周方向ベルト層3bのみに真直コードを適用することが好ましい。
かかる外側周方向ベルト層3bのスチールコードとして、3〜6本のスチールフィラメントを撚り合わせてなる1×n構造の単撚り構造を有し、コード軸方向に対し撚り角が69度以下で、かつ破断伸度が1.8%以上であるスチールコード、および、3〜9本のスチールフィラメントを撚り合わせてなるストランドを2〜5本撚り合わせてなるn×mの複撚り構造を有し、コード軸方向に対し撚り角が69度以下で、かつ破断伸度が1.8%以上であるスチールコードを好適に挙げることができる。
本発明においては、所望の効果と十分なタガ効果を得る上で、中側周方向ベルト層3aの幅(Wi)が周方向ベルト層の全幅(Wt)に対し、次式、
0.95×Wt≧Wi≧0.5×Wt
で表される関係を満たすことが好ましい。
0.95×Wt≧Wi≧0.5×Wt
で表される関係を満たすことが好ましい。
また、本発明においては、外側周方向ベルト層3b単位幅あたりの破断強力(To)と中側周方向ベルト層3aの単位幅あたりの破断強力(Ti)とが次式、
To/Ti≧0.92
で表される関係を満たすことが望ましい。この値が0.92未満であると、全幅に波型形状もしくはジグザグ形状に型付けられたスチールコードを適用したタイヤと比べ、全体のケース剛性が低下してしまうことになる。
To/Ti≧0.92
で表される関係を満たすことが望ましい。この値が0.92未満であると、全幅に波型形状もしくはジグザグ形状に型付けられたスチールコードを適用したタイヤと比べ、全体のケース剛性が低下してしまうことになる。
さらに、外側周方向ベルト層3bのスチールコード径(Do)と中側周方向ベルト層3aのスチールコード径(Di)とが次式、
1.15 ≧Do/Di≧0.85
で表される関係を満足することが望ましい。この値が0.85未満であるか、または1.15を超えてしまうと外側ストリップと内側ストリップとの間で段差が生じ、耐久性が低下してしまう。
1.15 ≧Do/Di≧0.85
で表される関係を満足することが望ましい。この値が0.85未満であるか、または1.15を超えてしまうと外側ストリップと内側ストリップとの間で段差が生じ、耐久性が低下してしまう。
さらにまた、外側周方向ベルト層3bと中側周方向ベルト層3aのコード打込み本数は、所望の効果と十分なタガ効果を得る上で、好ましくは12〜60本/50mm、より好ましくは20〜30本/50mmである。
本発明においては、中側周方向ベルト層3aのスチールコードが、所望の効果を得る上で、0.12mm以上0.45mm以下のフィラメント径(Df)を有するフィラメントからなる撚りコードであり、1.20mm以上3.00mm以下のコード径(Di)を有することが好ましい。また、中側周方向ベルト層3aのスチールコードの型付け部の曲率半径Rを大きくするとともに、タイヤ入力以上の入力をコードにかけることにより、型付け内側部の残留応力L1が−側へシフトすることが好ましい。即ち、本発明においては、タイヤ周方向に沿う向きに延びる複数本の波型形状またはジグザグ形状の型付けスチールコードを、形状を変化させることなくタイヤ中の周方向ベルトから取り出したときの、当該スチールコードの型付け内側部と外側部において、少なくともシース部のフィラメントの残留応力比が次式、
−0.5≦L1/L2<0.5、L2≦0
(式中、L1は内側部フィラメント残留応力、L2は外側部フィラメント残留応力を表し、残留応力の+は引張側、−は圧縮側である)で表される関係を満たすことが好ましい(図3参照)
−0.5≦L1/L2<0.5、L2≦0
(式中、L1は内側部フィラメント残留応力、L2は外側部フィラメント残留応力を表し、残留応力の+は引張側、−は圧縮側である)で表される関係を満たすことが好ましい(図3参照)
前述したように、波型形状またはジグザグ形状の型付けスチールコードでは型付け部に曲げ歪の集中が起こり、今後のサイズ大型化等に伴う入力の増大によっては、そこを起点としてスチールコードの疲労破断が発生してしまう懸念がある。それを防ぐためには、Rを大きくして曲げ歪を分散化させるほかに、+側になっている型付け内側部のフィラメントの残留応力を−側に出来る限りシフトさせることが有効である。本発明は、残留応力に関して規定することで、より一層疲労破断の発生を効果的に防止することを可能にしたものである。
L2≦0において、L1/L2の比が−0.5を下回ると、型付け谷部のフィラメントの表面歪が+方向へ大きくシフトしてしまうため、疲労性低下の要因となってしまう。また、L1/L2の比が0.5を上回ると、スチールコードの波型形状もしくはジグザグ形状は殆ど形状をなさなくなるため、必要な初期歪量0.3%以上3.0%以内を確保することが困難となる。タイヤ使用時に必要な歪量を確保できないと、内圧時および径成長時にコードが伸びきってしまい、タイヤがバックリングして正常な形状とならず、偏摩耗性悪化の原因となる。ここで、スチールコード初期歪量とは、図4にて示される量である。
かかる残留応力は、XRD装置を用いてσ22成分を規定することにより求めることができる。σ22とは、フィラメント直径方向σ12およびσ11に対して垂直方向に働く応力である(図5参照)。測定に際しては、タイヤ中から取り出したコードに対して、溶剤でゴムとメッキを溶かし、スポットサイズ50μmの照射条件でX線を照射して、残留応力を求めることができる。
本発明においては、周方向ベルト層が5枚以上になると、全体のゲージが厚くなりすぎ、重量増、発熱耐久性の悪化を招くので、周方向ベルト層3は1〜4層とすることが望ましい。
また、ベルト層2は、好適には、上記周方向ベルト3に加えて、タイヤ周方向に対し傾斜した向きに延びるコードからなる交錯ベルト4を、1層ないし3層含む。図示する例では、層間で互いに交錯する交錯ベルト4を、2層にて配置している。交錯ベルト4を配置しない場合、タイヤ幅方向の変形を抑えられずに、偏摩耗性の悪化を生ずる場合がある。一方、交錯ベルト4を4層以上配置すると、全体のゲージが厚くなりすぎて、重量増や発熱耐久性の悪化をもたらすおそれがある。
本発明の空気入りラジアルタイヤ10において、カーカス1のクラウン部のタイヤ半径方向外側に配置されるトレッド層5の表面には適宜トレッドパターンが形成され、タイヤの最内層にはインナーライナー(図示せず)が配置される。さらに、本発明のタイヤにおいて、タイヤ内に充填する気体としては、通常のあるいは酸素分圧を変えた空気、または窒素等の不活性ガスを用いることが可能である。
以下、本発明を、実施例を用いてより詳細に説明する。
図1に示す構造を有するタイヤサイズ495/45R22.5の空気入りラジアルタイヤを、外側および中側の周方向ベルト層に適用するスチールコードの条件を下記表1および2に示すようにそれぞれ変えて製造した。
図1に示す構造を有するタイヤサイズ495/45R22.5の空気入りラジアルタイヤを、外側および中側の周方向ベルト層に適用するスチールコードの条件を下記表1および2に示すようにそれぞれ変えて製造した。
各供試タイヤにおいて、ベルト層2は、タイヤ周方向に沿う向きに延びる周方向ベルト3の2層と、タイヤ周方向に対し傾斜した向きに延びるコードからなる交錯ベルト4の2層とからなるものとした。
<疲労特性の評価>
各供試タイヤ中のスチールコードの疲労特性を、正規内圧、正規荷重の110%の負荷条件下で60km/hにて7.0万km走行させる室内試験を行った後に、X線検査を実施することにより評価した。X線検査でコード切れなく疲労耐久性に優れている場合を◎、コード切れは若干見られるが実用上問題ない場合を○、ややコード切れが確認できる場合を○、コード切れありの場合を×とした。その結果を、下記の表1、2中に併せて示す。
なお、表中の残留応力L1およびL2は、XRD装置を用いて、タイヤ中から取り出したコードに対して溶剤でゴムとメッキを溶かし、スポットサイズ50μmの照射条件でX線を照射して求めた。
各供試タイヤ中のスチールコードの疲労特性を、正規内圧、正規荷重の110%の負荷条件下で60km/hにて7.0万km走行させる室内試験を行った後に、X線検査を実施することにより評価した。X線検査でコード切れなく疲労耐久性に優れている場合を◎、コード切れは若干見られるが実用上問題ない場合を○、ややコード切れが確認できる場合を○、コード切れありの場合を×とした。その結果を、下記の表1、2中に併せて示す。
なお、表中の残留応力L1およびL2は、XRD装置を用いて、タイヤ中から取り出したコードに対して溶剤でゴムとメッキを溶かし、スポットサイズ50μmの照射条件でX線を照射して求めた。
上記表1、2に示すように、本発明の条件を満足する周方向ベルト層を用いた実施例の空気入りラジアルタイヤでは、スチールコードの疲労耐久性を向上できることが確かめられた。
1 カーカス
2 ベルト層
3 周方向ベルト
4 交錯ベルト
5 トレッド層
10 空気入りラジアルタイヤ
20 スチールコード
2 ベルト層
3 周方向ベルト
4 交錯ベルト
5 トレッド層
10 空気入りラジアルタイヤ
20 スチールコード
Claims (8)
- 左右一対のビード部間にわたりトロイド状に延在するカーカスを骨格とし、該カーカスのタイヤ半径方向外側に、2〜4層のベルト層とトレッド層とが順次積層配置されてなる空気入りラジアルタイヤにおいて、
前記ベルト層のうち1層以上が周方向ベルト層からなり、該周方向ベルト層がタイヤ幅方向の両外側に位置する一対の外側周方向ベルト層とその間に位置する中側周方向ベルト層とに3分割され、
前記中側周方向ベルト層のスチールコードが、複数本のスチールフィラメントを2層または3層に撚り合わせた層撚りスチールコードを波型形状またはジグザグ形状に型付け処理されたものであり、かつ、該中側周方向ベルト層のスチールコードを取り出した場合の取り出したスチールコードの型付けの曲率半径Rが、18mm以上125mm以下の範囲内であることを特徴とする空気入りラジアルタイヤ。 - 前記外側周方向ベルト層のスチールコードの破断伸度(Eo)と前記中側周方向ベルト層のスチールコードの破断伸度(Ei)とが次式、
Eo>Ei、かつ、2.5≧Eo/Ei≧1.05
で表される関係を満たし、かつ前記外側周方向ベルト層のスチールコードが真直である請求項1記載の空気入りラジアルタイヤ。 - 前記中側周方向ベルト層の幅(Wi)が前記周方向ベルト層の全幅(Wt)に対し、次式、
0.95×Wt≧Wi≧0.5×Wt
で表される関係を満たす請求項1または2記載の空気入りラジアルタイヤ。 - 前記外側周方向ベルト層のスチールコード径(Do)と前記中側周方向ベルト層のスチールコード径(Di)とが次式、
1.15 ≧Do/Di≧0.85
で表される関係を満たす請求項1〜3のうちいずれか一項記載の空気入りラジアルタイヤ。 - 前記中側周方向ベルト層のスチールコードが、0.12mm以上0.45mm以下のフィラメント径(Df)を有するフィラメントからなる撚りコードであり、1.20mm以上3.00mm以下のコード径(Di)を有する請求項1〜4のうちいずれか一項記載の空気入りラジアルタイヤ。
- 前記中側周方向ベルト層のスチールコードの型付け内側部と外側部とにおいて、少なくともシース部のフィラメントの残留応力比が次式、
−0.5≦L1/L2<0.5、L2≦0
(式中、L1は内側部フィラメント残留応力、L2は外側部フィラメント残留応力を表し、残留応力の+は引張側、−は圧縮側である)で表される関係を満たす請求項1〜5のうちいずれか一項記載の空気入りラジアルタイヤ。 - 前記周方向ベルト層が、ゴム−スチールコード複合体ストリップをタイヤ周方向に沿って螺旋状に巻回して配列させてなる請求項1〜6のうちいずれか一項記載の空気入りラジアルタイヤ。
- 前記ベルト層が、タイヤ周方向に対し傾斜した向きに延びるコードからなる交錯ベルトを1層ないし3層含む請求項1〜7のうちいずれか一項記載の空気入りラジアルタイヤ。
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2008
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