JP2010153739A - 光半導体素子及び集積素子 - Google Patents
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Abstract
【解決手段】光半導体素子を、InAs量子ドット5と、InAs量子ドット5の上下に接する一対のInGaAsバリア層4,6と、一対のInGaAsバリア層4,6のInAs量子ドット5に接する側の反対側に接し、InGaAsバリア層4,6よりも直接遷移バンドギャップが狭いSiGe層3,7とを備えるものとし、SiGe層3,7が接するInGaAsバリア層4,6の厚さを、InAs量子ドット5と一対のInGaAsバリア層4,6とによって決まる量子準位のバンドギャップよりも量子準位のバンドギャップが狭くなるように設定する。
【選択図】図1
Description
特に、Si細線導波路を用いた場合に導波路内での吸収損失が小さくなる波長1.3μmよりも長波長側の波長帯で発光するデバイス(光半導体素子)が求められている。
一方、III−V族化合物半導体からなる量子ドットは、3次元の量子閉じ込め効果が得られるため、高性能のレーザや増幅器を実現できる構造として期待されている。
このようなGaAs基板上に形成されたInAs量子ドットと同様の特性を有する量子ドットをSi基板上に実現する手段として、図13に示すように、Si基板上に、傾斜組成SiGe層、緩和Ge層、厚さの厚い(例えば膜厚500nm)GaAsバッファ層を成長させた後、InAs量子ドットを形成し、その後、InGaAsバリア層、GaAs層を成長させることが考えられる。
H. Tanoto et al., "Structural and optical properties of stacked self-assembled InAs/InGaAs quantum dots on graded Si1-xGex/Si substrate", APPLIED PHYSICS LETTERS 92, 213115 (May 30, 2008)
この場合、InGaAsバリア層のバンドギャップエネルギーが大きいこと、InGaAsバリア層のIn組成やInAs量子ドットのサイズが歪みによって制限されてしまうことなどによって、量子ドットの量子閉じ込めエネルギーが大きくなりすぎてしまうため、発光波長は最長で1.3μmとなる。
そこで、1.3μmよりも長波長側の波長帯で発光する光半導体素子及び集積素子を実現したい。
[第1実施形態]
まず、第1実施形態にかかる光半導体素子について、図1〜図4を参照しながら説明する。
ここで、下部SiGe層3は、図1に示すように、Si基板1上に傾斜組成SiGe層2を介して形成されている。ここでは、傾斜組成SiGe層2は、Si基板1との界面でGe組成が0のSi層になっており、下部SiGe層3との界面で下部SiGe層3と同じ組成になっている。
具体的には、下部SiGe層3及び上部SiGe層7は、Si1−yGey(0.79<y≦1)層とし、これらのSiGe層3,7のそれぞれが接する下部InGaAsバリア層4及び上部InGaAsバリア層6は、InxGa1−xAs(0≦x<0.4)バリア層としている。つまり、下部SiGe層3及び上部SiGe層7には、Ge層も含まれる。また、下部InGaAsバリア層4及び上部InGaAsバリア層6には、GaAsバリア層も含まれる。
同様に、上部InGaAsバリア層6の厚さ(InAs量子ドット5の上部と上部SiGe層7との間の厚さ)は、InAs量子ドット5と下部InGaAsバリア層4及び上部InGaAsバリア層6とによって決まる量子準位のバンドギャップよりも量子準位のバンドギャップが狭くなるように設定されている。
このように、本光半導体素子では、量子力学的に薄いInGaAsバリア層4,6と、それよりも直接遷移バンドギャップエネルギーの小さいSiGe層3,7(IV族半導体SiGe混晶層)を用いることにより、従来の良好な発光特性を有するGaAs基板上に形成されたInAs量子ドット構造と同様の結晶性を有する量子ドット構造を得つつ、従来のものよりも長波長側の波長帯で高効率に発光する量子ドット構造を得られるようにしている。
量子ドットの発光波長λQD(μm)と遷移エネルギーEQD(eV)は、次式(1)によって表せる。
λQD=1.24/EQD・・・(1)
量子ドットの遷移エネルギーEQD(eV)は、量子ドット材料のバンドギャップエネルギーEg(eV)と量子閉じ込めエネルギーEqc(eV)との和で、次式(2)によって表せる。
EQD=Eg+Eqc・・・(2)
量子閉じ込めエネルギーEqcを決める要素として、バリア層の障壁高さがある。
つまり、Si1−yGeyの直接遷移バンドギャップエネルギーは、次式(3)によって表せる。
図3に示すように、GaAsバリア層4,6の膜厚が10nm以下(好ましくは5nm以下)に薄くなるとエネルギーシフト量ΔEが大きくなっており、長波長の帯域で発光する量子ドット構造が得られることがわかる。
ところで、Si1−yGey層3,7のGe組成yを1にした場合(y=1)、即ち、Ge層の場合、上記式(6)より、InxGa1−xAsバリア層4,6のIn組成xが0.4よりも小さければ(x<0.4)、上記の関係を満たす。つまり、Si1−yGey層3,7の中でバンドギャップが最小となるGe層を用いる場合、InxGa1−xAsバリア層4,6のIn組成が40%よりも小さければ、Si1−yGey層3,7の直接遷移バンドギャップエネルギー(eV)が、InxGa1−xAsバリア層4,6のバンドギャップエネルギー(eV)よりも小さくなり、発光波長の長波長化の効果が得られる。
特に、InxGa1−xAsバリア層4,6の膜厚が0.3nmで、In組成xが0.4付近の場合、エネルギーシフト量ΔEは0.146eVである。これにより、GaAsバリア層4,6が十分に厚い場合のInAs量子ドットの発光波長(1.3μm)よりも230nm程度長波長化できることになる。
なお、上述の実施形態では、光半導体素子を、下部SiGe層3及び上部SiGe層7を備えるものとして構成しているが、これに限られるものではなく、いずれか一方のみを備えるものとして構成しても良い。つまり、光半導体素子を、InAs量子ドットの上部及び下部のそれぞれに接する一対のInGaAsバリア層の少なくとも一方のInGaAsバリア層のInAs量子ドットに接する側の反対側に接し、そのInGaAsバリア層よりも直接遷移バンドギャップが狭いSiGe層を備えるものとし、SiGe層が接するInGaAsバリア層の厚さが、InAs量子ドットとInGaAsバリア層とによって決まる量子準位のバンドギャップよりも量子準位のバンドギャップが狭くなるように設定されていれば良い。
[第2実施形態]
次に、第2実施形態にかかる光半導体素子について、図7、図8を参照しながら説明する。
本面発光レーザは、Si基板上に形成可能なSi系面発光レーザ(Si系垂直共振器型発光素子)であり、図7に示すように、上述の第1実施形態において説明した半導体量子ドット構造8を活性層14として用いた面発光レーザである。なお、図7では、上述の第1実施形態のもの(図1参照)と同一のものには同一の符号を付している。
ここで、最も単純な完全周期構造のDBRミラーの場合、DBRミラーの最大反射率は、各層の膜厚を光学距離に換算したものの4倍に対応する波長において得られる。つまり、各層の膜厚は、所望の発光波長を各層の屈折率で割ったものの1/4に対応する厚さとして得られる。また、反射率の最大値は、ミラーの周期数を増大させることによって高めることができる。
なお、DBRミラーの構成(各層の材料、膜厚、周期数など)は、上述のものに制限されるものではなく、他の公知の材料の組み合わせによって構成された多層膜DBRミラーを用いることもできる。例えば、SiGe/Si多層膜DBRミラーなどの導電性多層膜DBRミラーを用いることもできる。この場合、p側電極17は基板裏面側に設けても良い。
次に、本実施形態にかかる光半導体素子(面発光レーザ)の製造方法について、図8を参照しながら説明する。
まず、図8(A)に示すように、Si基板10上に、例えば化学気相堆積(CVD)法によって、Si膜とSiO2膜を交互に積層させて、下部Si/SiO2多層膜DBRミラー11を形成する。
その後、図8(D)に示すように、Si層12上に、p型SiGe層(コンタクト層)13、SiGe/InGaAs/InAs量子ドット構造8を含む活性層14、n型SiGe層(コンタクト層)15を順に形成する。
具体的には、まず、図8(D)に示すように、不純物として例えばB(ホウ素)を濃度1×1018cm−3ドーピングしたp型SiGe層13を、例えば500〜600℃の成長温度で成長させる。
まず、p型SiGe層13上に、アンドープの下部SiGe層3[図7参照]を、例えば500〜600℃の成長温度で、厚さ30〜50nm成長させる。
次いで、下部SiGe層3上に、厚さ10nm以下の下部InGaAsバリア層4[図7参照]を、例えば400〜500℃の成長温度で成長させる。
そして、10nm以下の上部InGaAsバリア層6[図7参照]を成長させ、さらに、上部SiGe層7[図7参照]を、例えば500〜600℃の成長温度で、厚さ30〜50nm成長させる。
その後、図8(E)に示すように、不純物として例えばAs(砒素)を濃度1×1018cm−3ドーピングしたn型SiGe層15を、例えば500〜600℃で成長させる。
次に、図8(E)に示すように、n型SiGe層15上に、例えばCVD法によって、Si膜とSiO2膜を交互に積層させて、上部Si/SiO2DBRミラー16を形成する。
そして、図8(F)に示すように、n型SiGe層15の表面に、例えば真空蒸着法によってn側電極(金属電極)18を形成する。また、p型SiGe層13の表面に、例えば真空蒸着法によってp側電極(金属電極)17を形成する。
なお、その他のSiGe/InGaAs/InAs量子ドット構造8の詳細は、上述の第1実施形態及びその変形例のものと同じであるため、ここではその説明を省略する。
なお、上述の実施形態では、基板側にp型SiGe層13及びp側電極17を設けているが、これに限られるものではなく、基板側にn型SiGe層及びn側電極を設けるようにしても良い。
また、本実施形態では、本発明を面発光レーザに適用した場合を例に挙げて説明しているが、これに限られるものではなく、例えば発光ダイオード(LED;Light Emitting Diode)やLD(レーザダイオード)などの他の光半導体素子(発光素子)に本発明を適用することもできる。
[第3実施形態]
次に、第3実施形態にかかる光半導体素子について、図9を参照しながら説明する。
本リッジ型量子ドットレーザは、Si基板上に形成可能なSi系リッジ型量子ドットレーザ(Si系発光素子)であり、図9に示すように、上述の第1実施形態において説明した半導体量子ドット構造8を活性層20として用いたリッジ型量子ドットレーザである。なお、図9では、上述の第1実施形態のもの(図1参照)と同一のものには同一の符号を付している。
次に、本実施形態にかかる光半導体素子(リッジ型量子ドットレーザ)の製造方法について、図9を参照しながら説明する。
まず、p型Si(100)基板1Aを例えば650〜750℃に加熱する。
次いで、上述の第2実施形態と同様に、SiGe/InGaAs/InAs量子ドット構造8を形成する。ここでは、2層のSiGe/InGaAs/InAs量子ドット構造8を形成する。これにより、活性層20が形成される。
このようにして半導体積層構造を形成した後、例えばリソグラフィー及びエッチングによって、n型SiGe層22を含むリッジ構造25を形成する。
その後、p型Si基板1Aの裏面側にp側電極24を形成し、n型SiGe層22の表面上にn側電極23を形成する。そして、へき開によって光の出射する軸方向の端面が形成され、キャビティ(共振器構造)が形成される。このようにしてリッジ型量子ドットレーザが製造される。
したがって、本実施形態にかかる光半導体素子によれば、上述の第1実施形態の場合と同様に、1.3μmよりも長波長側の波長帯で高効率に発光する光半導体素子を実現することができるという利点がある。
[その他]
なお、上述の各実施形態では、本発明をSi基板(半導体基板)上に形成した光半導体素子に適用した場合を例に挙げて説明しているが、これに限られるものではなく、Ge基板(半導体基板)上に形成した光半導体素子にも本発明を適用することができる。
ここで、受光素子42は、例えばSi層とSiGeC層とを積層させたものとして構成される(Si/SiGe受光素子)。
また、例えば図12に示すように、集積素子を、上述の第2実施形態の面発光レーザ(発光素子)が形成されている同一Si基板10上に、面発光レーザを駆動するための駆動素子(電子素子;機能素子;例えばMOSFET;変調駆動回路,電子回路)30を集積したものとして構成することもできる。なお、図12では、上述の第2実施形態のもの(図7参照)と同一のものには同一の符号を付している。
このような集積素子は、例えば、以下のようにして作製することができる。
Si層(単結晶Si層)12上に、n型Si層31を成長させた後、イオン注入によってp+領域(p+−Si層)32を形成する。その後、SiO2膜33を積層し、その上にゲート電極34を形成するとともに、p+−Si層32に接するようにソース電極35及びドレイン電極36を形成する。この際、ドレイン電極36は、面発光レーザの一方のp側電極との共通電極として構成すれば良い。これにより、面発光レーザの変調駆動回路を構成するp型MOSFET30が形成される。
また、本発明は、上述した各実施形態に記載した構成に限定されるものではなく、本発明の趣旨を逸脱しない範囲で種々変形することが可能である。
1A p型Si基板
2 傾斜組成SiGe層
2A 傾斜組成p型SiGe層
3 下部SiGe層
4,4A 下部InGaAsバリア層
5 InAs量子ドット
6 上部InGaAsバリア層
7 上部SiGe層
8 半導体量子ドット構造(SiGe/InGaAs/InAs量子ドット構造)
9 量子ドット層
10 Si基板
10A GaAs基板
10B p型Ge基板
11 下部Si/SiO2多層膜DBRミラー
12 Si層
12A Si基板
13 p型SiGe層(コンタクト層)
14 活性層
15 n型SiGe層(コンタクト層)
16 上部Si/SiO2多層膜DBRミラー
17 p側電極
18 n側電極
20 活性層
21 p型SiGe層
22 n型SiGe層
23 n側電極
24 p側電極
25 リッジ構造
30 駆動素子(電子素子;p型MOSFET;変調駆動回路,電子回路)
31 n型Si層
32 p+−Si層
33 SiO2膜
34 ゲート電極
35 ソース電極
36 ドレイン電極
40 Si基板
41 発光素子
42 受光素子
43 電子回路(電子素子)
Claims (6)
- InAsを含む量子ドットと、
前記量子ドットの上部及び下部のそれぞれに接する一対のInGaAsバリア層と、
前記一対のInGaAsバリア層の少なくとも一方のInGaAsバリア層の前記量子ドットに接する側の反対側に接し、前記InGaAsバリア層よりも直接遷移バンドギャップが狭いSiGe層とを備え、
前記SiGe層が接する前記InGaAsバリア層の厚さは、前記量子ドットと前記一対のInGaAsバリア層とによって決まる量子準位のバンドギャップよりも量子準位のバンドギャップが狭くなるように設定されていることを特徴とする光半導体素子。 - 前記SiGe層は、Si1−yGey(0.79<y≦1)層であり、
前記SiGe層が接する前記InGaAsバリア層は、InxGa1−xAs(0≦x<0.4)バリア層であることを特徴とする、請求項1記載の光半導体素子。 - 前記SiGe層が接する前記InGaAsバリア層の厚さは、10nm以下であることを特徴とする、請求項1又は2記載の光半導体素子。
- Si基板又はGe基板と、
傾斜組成SiGe層とを備え、
前記量子ドット、前記一対のInGaAsバリア層及び前記SiGe層は、前記Si基板又は前記Ge基板上に、前記傾斜組成SiGe層を介して形成されていることを特徴とする、請求項1〜3のいずれか1項に記載の光半導体素子。 - 前記SiGe層が、前記一対のInGaAsバリア層の一方のInGaAsバリア層の前記量子ドットに接する側の反対側に接するように設け、
さらに、前記一対のInGaAsバリア層の他方のInGaAsバリア層の前記量子ドットに接する側の反対側に接するように、前記他方のInGaAsバリア層のバンドギャップと同じ又はそれよりも小さいバンドギャップを有する半導体層を備えることを特徴とする、請求項1〜4のいずれか1項に記載の光半導体素子。 - 光半導体素子と、
機能素子とを備え、
前記光半導体素子と前記機能素子とが同一基板上に集積されており、
前記光半導体素子は、
InAsを含む量子ドットと、
前記量子ドットの上部及び下部のそれぞれに接する一対のInGaAsバリア層と、
前記一対のInGaAsバリア層の少なくとも一方のInGaAsバリア層の前記量子ドットに接する側の反対側に接し、前記InGaAsバリア層よりも直接遷移バンドギャップが狭いSiGe層とを備え、
前記SiGe層が接する前記InGaAsバリア層の厚さは、前記量子ドットと前記一対のInGaAsバリア層とによって決まる量子準位のバンドギャップよりも量子準位のバンドギャップが狭くなるように設定されていることを特徴とする集積素子。
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