以下、本発明の電磁誘導加熱装置の一実施形態を図面を用いて説明する。この電磁誘導加熱装置10は、交流電源を直流電源に変換する直流電源回路部20と、共振コンデンサ32、33と誘導加熱コイル34とからなる直列共振回路31を含みIGBT(スイッチング素子)36,37のスイッチング作用により誘導加熱コイル34に対して直流電源回路部20から高周波電流を供給する高周波給電回路部30と、直流電源回路部20と高周波給電回路部30との動作を制御する制御回路部40とを備えている。この電磁誘導加熱装置10においては、直流電源回路部20と誘導加熱コイル34を除く高周波給電回路部30の大部分とを電源基板(第1基板)S1上に配置し、制御回路部40を直流電源回路部20と高周波給電回路部30と対向するように制御基板(第2基板)S2上に配置し、電源基板S1と制御基板S2との間には高周波給電回路部30から発生する電磁波を遮断するシールド板S3を設け、直流電源回路部20を構成する回路素子と制御回路部40を構成する回路素子とのうち電源基板S1及び制御基板S2からシールド板S3との間の距離より長い所定の高さ以上の回路素子を電源基板S1及び制御基板S2上の互いに対向しない位置に配置し、シールド板S3には所定の高さ以上の回路素子の先端部を通過させる貫通孔S3aを形成している。以下に、この電磁誘導加熱装置10について詳述する。
図1は本実施形態の電磁誘導加熱装置10の回路のブロック図である。図1において、直流電源回路部20は、ノイズフィルタ21と、整流平滑回路22と、カレントトランス23と、電圧トランス24とを備えている。ノイズフィルタ21は、3相200Vの交流電流のノイズを除去するものである、整流平滑回路22は、平滑コンデンサ22aを備えて、ノイズフィルタ21から出力された交流電流を直流電流に変換して出力するものである。カレントトランス23は、直流電源回路部20の交流電流を計測して出力するものである。電圧トランス24は、直流電源回路部20の交流電圧を計測して出力するものである。
高周波給電回路部30は、直列共振回路31とインバータ回路35とカレントトランス38とを備えている。直列共振回路31は、共振コンデンサ32、33と誘導加熱コイル34とからなる。インバータ回路35は、2つのIGBT36,37を備えてこれらIGBT36,37を交互にオンさせることで誘導加熱コイル34に高周波電流を供給するものである。カレントトランス38は、誘導加熱コイル34に流れる電流を計測して出力するものである。
制御回路部40は、直流電源回路部20と高周波給電回路部30との動作を制御するものである。制御回路部40は、制御回路41と、駆動回路42と、整流回路43〜45と、スイッチング電源回路46とを備えている。制御回路41は、主として駆動回路42にインバータ回路35を交互にオンさせる信号を出力する。駆動回路42は、制御回路41からの信号の入力により各IGBT36,37を交互にオンさせる駆動信号を出力する。各整流回路43は、カレントトランス23、電圧トランス24及びカレントトランス38から入力される電流を整流して制御回路41に入力するものである。スイッチング電源回路46は、ノイズフィルタ21から出力される交流電流の出力を一定にするものである。
図2に示すように、直流電源回路部20と誘導加熱コイル34を除く高周波給電回路部30の大部分は電源基板S1上に配置されており、制御回路部40は、直流電源回路部20と誘導加熱コイル34を除く高周波給電回路部30の大部分と対向するようにして電源基板制御基板S2上に配置されている。電源基板S1と制御基板S2との間には、高周波給電回路部30から発生する電磁波を制御回路部20に対して遮断するシールド板S3が設けられている。また、電源基板S1の下方には、直流電源回路部20と高周波給電回路部30とから発生する熱を放熱する放熱器Rが設けられており、この放熱器Rは電源基板S1と平行に設けられ、電源基板S1の一方側の側縁より長く延びている。高周波給電回路部30のインバータ回路35は、電源基板S1の側方でこの放熱器R上に配置されており、インバータ回路35の各IGBT36,37が作動するときに多く発熱するのをこの放熱器Rにより放熱されている。
電源基板S1とシールド板S3との間は40mmとなっており、制御基板S2とシールド板S3との間は10mmとなっている。直流電源回路部20を構成する回路素子のうち電源基板S1とシールド板S3との間の距離40mmより高い回路素子(例えば平滑コンデンサ22a)と、制御回路部40を構成する回路素子のうち制御基板S2とシールド板S3との間の距離10mmより高い回路素子(例えばコンデンサ、電源トランス、レギュレータ等)とは各基板S1,S2上の互いに対向しない位置に配置されている。シールド板S3には、電源基板S1上で40mmより高い回路素子と、制御基板S2上で10mmより高い回路素子の各先端部を通過させる貫通孔S3aが形成されている。直流電源回路部20を構成する回路素子のうち電源基板S1とシールド板S3との間の距離40mmより高い回路素子の先端部は、シールド板S3に形成された貫通孔S3aを通過して制御基板S2側に突出しており、制御回路部40を構成する回路素子のうち制御基板S2とシールド板S3との間の距離10mmより高い回路素子の先端部は、シールド板S3に形成された貫通孔S3aを通過して電源基板S1側に突出している。このとき、制御基板S1からシールド板S3を貫通して電源基板S1側に突出する回路素子は、そのほとんどがコンデンサ、電源トランス及びレギュレータ等であり、これらは高周波電源回路部20で発生する電磁波がノイズとして影響を受けにくいものである。
このような電磁誘導加熱装置10においては、直流電源回路部20と誘導加熱コイル34を除く高周波給電回路部30の大部分とを電源基板S1上に配置し、制御回路部40を直流電源回路部20と高周波給電回路部30と対向するように制御基板S2上に配置したので、各回路部20,30,40を配置した基板を小さくすることができるとともに、直流電源回路部20を構成する回路素子と制御回路部30を構成する回路素子とのうち電源基板S1及び制御基板S2からシールド板S3との間の距離より長い回路素子を電源基板S1及び制御基板S2上の互いに対向しない位置に配置し、シールド板S3には所定の高さ以上の回路素子の先端部を通過させる貫通孔S3aを形成したので、電源基板S1及び制御基板S2上にシールド板S3との距離より高くなる回路素子があっても、この回路素子をシールド板S3に形成された貫通孔S3aを通過させることで電源基板S1と制御基板S2との距離を最小限にして電源基板S1と制御基板S2とからなる基板の高さを低くすることができる。
また、電磁誘導加熱装置10を作動させると、直流電源回路20に入力された交流電流は直流電流となって高周波給電回路部30に出力され、高周波給電回路部30においては、インバータ回路35の各IGBT36,37が交互にオンされることで誘導加熱コイル34に高周波電流が供給される。このとき、高周波給電回路部30から、高周波域の電磁波が発生するが、誘導加熱コイル34を除く高周波給電回路部30の大部分を電源基板S1上に配置するとともに制御回路部40を制御基板S2上に配置し、電源基板S1と制御基板S2との間には高周波給電回路部30から発生する高周波域の電磁波を遮断するシールド板S3を設けたので、制御回路部40が高周波給電回路部20から発生する高周波域の電磁波がノイズとして作用して誤作動することはない。
10…電磁誘導加熱装置、20…直流電源回路部、30…高周波給電回路部、34…誘導加熱コイル、36,37…スイッチング素子(IGBT)、40…制御回路部、S1…第1基板(電源基板)、S2…第2基板(制御基板)、S3…シールド板、S3a…貫通孔。