JP2010152803A - 設備のリスク評価システムおよびリスク評価方法 - Google Patents
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Abstract
【解決手段】 設備に設置されている対象機器の状態を表すデータを記憶する記憶装置20と、単体リスク評価処理により対象機器の取り替え時期を算出するリスク評価装置10とを備えている。リスク評価装置10は、記憶装置20のデータを基にして、対象機器の取り替え要因毎に、時間経過に応じたリスクの値を算出し、設定値である限界リスクの値を、時間経過に応じたリスクの値の総和が超過する第1の取り替え時期を算出し、リスクの値の総和と対象機器の取り替え費用とを基にして、単位リスク当たりの取り替え費用を単位コストとして算出し、設定値である限界単位コストを、単位コストが下回る第2の取り替え時期を算出し、これらの取り替え時期の遅い方を対象機器の取り替え時期として、単体リスク評価処理を行う。
【選択図】 図1
Description
劣化による取り替え
新規需要家への電気供給による増強のための取り替え
需要家からの設備移転申込による取り替え
がある。配電設備の機器には各種のものがあり、取り替え要因は多様である。したがって、設備の取り替えの発生時期などを把握する方法がなく、担当者による巡視結果や、担当者の経験、他所から収集した情報のように、人的手段を基にして、機器の取り替えを行っているのが現状である。このために、次のような問題が生じることがある。例えば、劣化により機器を取り替えた後、電気供給による増強のために、短期間の内に、この機器を取り替える場合がある。このような事態は非効率であり、かつコスト高になってしまう。
この実施の形態による設備のリスク評価システムを図1に示す。図1の設備のリスク評価システムは、リスク評価装置10と、リスク評価装置10によるアクセスが可能な記憶装置20とを備えている。
電柱の異常…亀裂、損傷、腐食
開閉器の異常…錆発生、損傷、腐食
変圧器の異常…錆発生、損傷、過負荷
電線の異常…被覆損傷、素線切れ、過負荷
こうした異常を記録している稼動状態データベース21Cには、巡視が行われる毎に巡視結果が蓄積されて記録されていく。
電柱の故障 …折損、倒壊、傾斜
開閉器の故障…破損、焼損、動作不能
変圧器の故障…破損、焼損、漏油
電線の故障 …断線、接触不良
記憶装置20が記憶するデータベースには、土地利用区分データベース21Eがある。土地利用区分データベース21Eには、各機器が設置されている場所の土地利用区分が記録されている。土地利用区分データベース21Eの一例を図6に示す。この土地利用区分データベース21Eには、例えば電柱、開閉器、変圧器および電線の土地利用区分、例えば宅地、田、畑、山林、道路等の区分が記録されている。
(あ)故障による取り替え(故障)
(い)新規需要家への電気供給による増強(供給)
(う)需要家からの設備移転申込による移転(移転)
の3種類とする。また、この実施の形態では、上記(あ)〜(う)のリスクを、
故障によるリスク=故障の発生確率×故障影響度
供給によるリスク=供給工事の発生確率×供給影響度
移転によるリスク=移転工事の発生確率×移転影響度
で算出する。単体リスク評価処理は、1つの電柱に設置されている機器、例えば電柱、開閉器、変圧器、電線等の機器単体でのリスクの評価(以下、「単体リスク評価」という)を行う処理であり、この単体リスク評価処理を図14〜図18に示す。単体リスク評価処理では、リスクの経年の発生確率と、発生したリスクの影響度とを基にして、1年後、2年後のような経年のリスクを算出する。
経年の故障発生確率
経年の供給発生確率
経年の移転発生確率
の算出を行う。
20年以上のコンクリート柱の電柱が故障する事象をA
20年以上のコンクリート柱の電柱で、巡視により異常が発見される事象をB
とする。処理部13は、更新処理を開始すると、設備の事前確率を算出する(ステップSA21)。具体例の場合には、処理部13は、図22の過去の故障実績データから、コンクリート柱の故障率(事前確率)を、次の式から算出する。
土地利用区分が宅地で、需要増加率が100[kW/km2]以上の変圧器を、供給工事で取り替える事象をA
土地利用区分が宅地で、需要増加率が100[kW/km2]以上の変圧器が設置されている場所で、その付近の開発計画情報(宅地造成計画、再開発計画等)が得られる事象をB
とする。処理部13は、更新処理を開始すると、機器の事前確率を算出する(ステップSB21)。具体例の場合には、処理部13は、図40の供給工事データから、変圧器の取り替えが発生する確率(事前確率)を、次の式から算出する。
土地利用区分が宅地で、周辺環境が私有地上空通過の電線を、移転で取り替える事象をA
土地利用区分が宅地で、周辺環境が私有地上空通過の電線が設置されている場所で、その付近の開発計画情報(土地造成計画、道路工事計画、建築計画等)が得られる事象をB
とする。処理部13は、更新処理を開始すると、機器の事前確率を算出する(ステップSC21)。具体例の場合には、処理部13は、図56の移転工事データから、電線の取り替えが発生する確率(事前確率)を、次の式から算出する。
経年の故障発生確率
経年の供給発生確率
経年の移転発生確率
の算出を終了する。この後、処理部13は、ステップS3〜S6の一連の処理で得たデータを基にリスクデータを作成する(ステップS7)。このリスクデータの一例を図69に示す。このリスクデータには、電柱、電線および変圧器の各リスクの1年後、2年後、5年後の値と、回帰直線とが示されている。
故障影響度
供給影響度
移転影響度
の算出を終了すると、算出結果をリスクデータに反映する(ステップS13)。具体的には、図70の故障影響度データ、図72の供給影響度データおよび図73の移転影響度データをリスクデータに反映する。これにより、リスクデータは図74に示すようになる。
実施の形態1では、配電設備の1つの機器について、取り替え時期を算出したが、この実施の形態では、1つの機器つまり対象機器を取り替える際に、この機器とは別の機器(以下、「別機器」という)も取り替える同調取り替えによるリスク評価を行う。なお、この実施の形態では、先に説明した実施の形態1と同一もしくは同一と見なされる構成要素および処理には、それと同じ参照符号を付けて、その説明を省略する。
(さ)「○○幹1号変圧器」の取り替え時期2.8年後が、「○○幹1号電柱」の取り替え時期3.2年後より早い
(し)同調取り替えによる費用の低減率8.3[%]が限界費用低減率5.0[%]を超過する
(す)単位コスト低減率61[%]が限界単位コスト低減率超過50[%]を超過する
という条件がすべて満たされる場合、処理部13は、「○○幹1号変圧器」は「○○幹1号電柱」と3.2年後に同調取り替えをする、と判定する。
11 表示部
12 操作部
13 処理部
14 記憶部
15 インターフェース
20 記憶装置(記憶手段)
Claims (6)
- 設備に設置されていると共に取り替えの対象機器の状態を表すデータを記憶する記憶手段と、
単体リスク評価処理により前記対象機器の取り替え時期を算出する処理手段とを備え、
前記処理手段は、
前記記憶手段に記憶されている前記対象機器の状態を表すデータを基にして、該対象機器を取り替える取り替え要因毎に、時間経過に応じたリスクの値を算出し、
あらかじめ設定された限界リスクの値を、時間経過に応じたリスクの値の総和が超過する時期を第1の取り替え時期として算出し、
リスクの値の総和と該対象機器の取り替え費用とを基にして、単位リスク当たりの取り替え費用を単位コストとして算出し、
あらかじめ設定されている限界単位コストを、単位コストが下回る時期を第2の取り替え時期として算出し、
これらの取り替え時期の中で遅い方を対象機器の取り替え時期として、
前記単体リスク評価処理を行うことを特徴とする設備のリスク評価システム。 - 前記処理手段は、取り替え要因毎のリスクを、取り替え要因の発生確率と、取り替え要因が発生したときの影響度との積算で得る、
ことを特徴とする請求項1に記載の設備のリスク評価システム。 - 前記処理手段は、リスクの値が離散値である場合に、各離散値を基に最小2乗法を用いて、時間経過に応じたリスクの値を算出する、
ことを特徴とする請求項1または2に記載の設備のリスク評価システム。 - 前記処理手段は、前記記憶手段に記憶されている前記対象機器の状態の中の最新のデータを基に、ベイズの定理を用いて発生確率を更新する、
ことを特徴とする請求項3に記載の設備のリスク評価システム。 - 前記処理部は、
前記対象機器とは別の別機器に対し前記単体リスク評価処理を行って、取り替え時期を算出し、
対象機器および別機器を単独で取り替える場合の取り替え費用と、対象機器と別機器の両方を取り替える場合の取り替え費用とを基にして、2つの機器を取り替えることによる費用の低減率を算出し、
2つの機器を取り替えることによる単位コストの低減率を算出し、
前記別機器の取り替え時期が対象機器の取り替え時期に比べて早くなる条件と、あらかじめ設定されている限界費用低減率を、費用の低減率が超過する条件と、あらかじめ設定されている限界単位コスト低減率を、単位コストの低減率が超過する条件の少なくとも1つが成立する場合に、対象機器と別機器の両方を取り替える同調取り替えと判定する、
ことを特徴とする請求項1〜4のいずれか1項に記載の設備のリスク評価システム。 - 設備に設置されていると共に取り替えの対象機器の状態を表すデータをあらかじめ記憶し、
単体リスク評価処理により前記対象機器の取り替え時期を算出する処理手段とを備え、
あらかじめ記憶している前記対象機器の状態を表すデータを基にして、該対象機器を取り替える取り替え要因毎に、時間経過に応じたリスクの値を算出し、
あらかじめ設定された限界リスクの値を、時間経過に応じたリスクの値の総和が超過する時期を第1の取り替え時期として算出し、
リスクの値の総和と該対象機器の取り替え費用とを基にして、単位リスク当たりの取り替え費用を単位コストとして算出し、
あらかじめ設定されている限界単位コストを、単位コストが下回る時期を第2の取り替え時期として算出し、
これらの取り替え時期の中で遅い方を対象機器の取り替え時期とする、
ことを特徴とする設備のリスク評価方法。
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