JP2010150839A - コンクリート製の貯水槽の補強構造 - Google Patents

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Abstract

【課題】簡単な構成によりコンクリート壁を補強することができるとともに、耐震強度を向上し、貯水量の低減を抑制することができるコンクリート製の貯水槽の補強構造を提供する。
【解決手段】貯水槽11を構成する底壁12及び側壁13〜16をコンクリート17と鉄筋網18とにより構成する。前記底壁12の上面及び側壁13〜16の内面に対し、エポキシ樹脂系の接着剤25によりステンレススチール製の補強パネル26を接着する。各補強パネル26の突合せ部を溶接する。
【選択図】図1

Description

本発明は、コンクリート製の貯水槽の補強構造に関する。
従来の鉄筋を埋設したコンクリート壁により構築された貯水槽は、地震発生時に破壊されないように設計されている。ところが、施工されてから長年月が経過すると、コンクリート壁の強度が低下し、耐振性が低下するという問題があった。又、コンクリートにクラックが生じると、貯水槽内の水がクラックを通して地下に漏出するという問題もあった。このため、図8に示すように、コンクリート31の内部に鉄筋網32を埋設したコンクリート壁33の内面33aに複数の挿入孔33bを形成し、各挿入孔33bにアンカーピン34を挿入固定する。一方、ステンレススチール製の補強パネル35の裏面35aに複数のアンカーピン36を溶接し、コンクリート壁33の内面33aと、補強パネル35の裏面35aとの間に生コンクリート37を充填して、コンクリート壁33と補強パネル35とを連結する補強構造が採用されていた。
又、図示しないが、コンクリート壁に埋設された鉄筋網に対しアングル材を連結し、該アングル材の一部をコンクリート壁の表面に露出させ、この露出面に補強パネルを溶接するようにした補強構造も提案されている。
ところが、上記従来の貯水槽のコンクリート壁33の補強構造は、コンクリート壁33にアンカーピン34を連結するとともに、補強パネル35にアンカーピン36を連結する必要があるので、補強作業が非常に面倒であるばかりでなく、部品点数が多くなり、材料コストを低減することができないという問題があった。又、コンクリート壁33の内面33aと補強パネル35の裏面35aとの間にコンクリート37を充填するため、コンクリート壁33と補強パネル35との間隔が大きくなり、補強後のコンクリート壁33全体の厚さTが増大して、結果的に貯水槽の貯水能力が低下するという問題もあった。
前記コンクリート壁33のコンクリート31と補強パネル35は、前記アンカーピン34,36及び生コンクリート37によって連結されているが、その結合強度は高くはない。このため地震発生時において、図8の矢印で示すように外部衝撃がコンクリート壁33に作用した場合に、前記生コンクリート37による結合力が破壊されて、コンクリート壁33の実質的な強度は前記コンクリート31及び鉄筋網32によってのみ分担される。このため、前記補強パネル35による地震発生時のコンクリート壁33を補強する機能は、殆ど期待できず、耐震強度を向上することができないという問題があった。
又、アングル材を用いるコンクリート壁の補強構造は、鉄筋網にアングル材を溶接により連結しなければならないので、部品点数が増えて施工作業が面倒であるという問題があった。
本発明は、上記従来の技術に存する問題点を解消して、構造を簡素化することができるとともに、耐震強度を向上することができ、さらに貯水量の低減を抑制することができるコンクリート製の貯水槽の補強構造を提供することにある。
上記問題点を解決するために、請求項1に記載の発明は、鉄筋網を埋設したコンクリート壁により構築された貯水槽のコンクリート壁の内面に接着剤によりステンレススチール製の補強パネルを接着したことを要旨とする。
請求項2に記載の発明は、請求項1において、前記接着剤はエポキシ樹脂系接着剤であることを要旨とする。
請求項3に記載の発明は、請求項1又は2において、前記補強パネルの裏面には、接着剤の接着面積を増大させるために粗面加工されていることを要旨とする。
請求項4に記載の発明は、請求項1〜3のいずれか一項において、前記補強パネルの材質はJIS規格のマルテンサイト系ステンレス鋼、フェライト系ステンレス鋼、オーステナイト系ステンレス鋼、オーステナイト・フェライト系ステンレス鋼、析出硬化系ステンレス鋼のなかからいずれか一種を選択したものであることを要旨とする。
請求項5に記載の発明は、請求項1〜4のいずれか一項において、前記補強パネルの端縁にはフランジ部が設けられ、互いに接合される補強パネルは、そのフランジ部の先端縁を溶接部によって連結することにより連結されていることを要旨とする。
本発明によれば、コンクリート壁の外面に接着剤により補強パネルを接着する構成のため、補強構造を簡素化することができるとともに、耐震強度を向上することができ、さらにコンクリート壁の厚さ寸法の増加を抑制して、貯水量の低減を防止することができる。
以下、本発明を具体化した貯水槽の一実施形態を図1〜図3にしたがって説明する。
この実施形態の貯水槽11は、コンクリート製の底壁12と、コンクリート製の4つの側壁13〜16によって、有底四角筒状に構築されている。前記底壁12は、コンクリート17と鉄筋網18とにより構成されている。前記鉄筋網18は多数本の縦鉄筋19と多数本の横鉄筋20を碁盤目状に溶接によって連結することにより製造されている。前記底壁12には上下二箇所に鉄筋網18が所定の間隔をおいて埋設され、両鉄筋網18は多数本の連結鉄筋21の両端部を縦鉄筋19又は横鉄筋20に溶接することによって連結されている。
前記側壁13〜16もコンクリート17と、内外二箇所に埋設された鉄筋網18と、両鉄筋網18を連結する連結鉄筋21とによって構成されている。
前記底壁12の上面には接着剤25によってステンレススチール製の複数枚の補強パネル26が接着されている。同様に前記側壁13〜16の内面には、接着剤25によってステンレススチール製の複数枚の補強パネル26が接着されている。前記補強パネル26は図1及び図2に示すように四角形状に形成され、補強パネル26の突き合わせされた端縁は、図示しないが溶接部によって連結されている。コンクリート17の表面に接着剤25を塗布した後、該接着剤25に補強パネル26が接着されている。前記側壁13〜16側の補強パネル26は、側壁13〜16の表面から補強パネル26を所定の隙間をおいて配設した後、前記隙間に接着剤25を流し込んでコンクリート17と補強パネル26を接着剤25により接着するようにしてもよい。
この実施形態において、前記コンクリート17は、セメント、骨材(砂や砂利等)、水、混和材及び(化学)混和剤により成型された普通のコンクリートである。又、前記接着剤25として、コンクリート17と補強パネル26のそれぞれの材料に対して、共に接着力に優れたものが用いられている。この一例として、エポキシ樹脂を主成分とするエポキシ樹脂系接着剤(Epoxy resin adhesives) を用いている。さらに、補強パネル26として、JIS規格のマルテンサイト系ステンレス鋼、フェライト系ステンレス鋼、オーステナイト系ステンレス鋼、オーステナイト・フェライト系ステンレス鋼、析出硬化系ステンレス鋼のうちのいずれか一種を用いている。
前記のより構成された貯水槽11の上部には、図示しないが鉄筋コンクリート製の蓋壁が構築され、該蓋壁には水の供給と排出を行うポンプが配設されている。
上記実施形態の貯水槽11によれば、以下のような効果を得ることができる。
(1)上記実施形態では、前記側壁13〜16の内面に接着剤25を介して補強パネル26を接着するのみの補強構造であるため、図3に示すように側壁13〜16のそれぞれの厚さT寸法はそれほど増加することがなく、貯水槽11の貯水容量の低減を防止することができる。
(2)上記実施形態では、前記側壁13〜16のコンクリート17の内部に二箇所に鉄筋網18を埋設し、それらの内面に新たに開発された接着剤25によって補強パネル26を接着したので、コンクリート17と補強パネル26を強固に連結することができる。このため、前記補強パネル26があたかも2つの前記鉄筋網18に加えて第3の鉄筋網と同様の機能を発揮することになり、全体の鉄筋網18の埋設領域Lが広くなって、図3に矢印で示すように地震発生時に水平方向から側壁13〜16の内側に向かって作用する外力に対抗することができる。この結果、貯水槽11の耐震強度を向上することができる。
(3)上記実施形態では、貯水槽11の内面全域にわたってステンレススチール製の補強パネル26を装着したので、コンクリート17に亀裂が生じても、貯水槽11内の水が外部に漏出するのを防止することができる。
なお、上記実施形態は以下のように変更してもよい。
・図4に示すように、互いに接合される補強パネル26の端縁を互いに重ね合わせて溶接部27により連結するようにしてもよい。
・図5及び図6に示すように、互いに接合される補強パネル26の上下両端縁にフランジ部26aを直角に折り曲げ形成し、フランジ部26aを上下に重ね合わせてその先端縁を溶接部27により連結するようにしてもよい。又、図7に示すように補強パネル26の左右両側端縁にもフランジ部26bを直角に折り曲げ形成し、互いに接触されたフランジ部26bの先端縁を溶接部27により連結するようにしてもよい。
上記実施形態では、前記フランジ部26a,26bによって溶接部27が接着剤25から離隔されるので、溶接作業時に発生する熱が接着剤25に伝わり難くなり、接着剤25の熱劣化を防止することができる。又、接合されたフランジ部26aによって補強パネル26の剛性が向上し、耐震強度を高めることができる。
・前記補強パネル26の内面に対し接着面積を増大させるための例えば細かい凹凸、溝、突条等を形成して、全体として粗面に形成してもよい。
・前記接着剤25として、特開2005−255712号公報に開示されたものを用いてもよい。この接着剤は、少なくとも、ポリエ−テル系ポリオ−ル及びポリエステル系ポリオ−ルを必須成分とする活性水素含有基を有する化合物(x)とイソシアネ−ト基含有化合物(y)とを反応させて得られる分子末端にイソシアネ−ト基を有するウレタンプレポリマ−(A)と、イソシアネ−ト基と室温では反応しない、沸点が240℃を越える、室温で液状の化合物(B)を必須成分とすることを特徴とする無溶剤型1液湿気硬化性ポリウレタン樹脂組成物により組成されている。
・前記貯水槽11を有底円筒状、楕円筒状、三角筒状、五角筒状、六角筒状等に形成してもよい。
・前記コンクリート17として、高強度コンクリートを用いてもよい。
・前記鉄筋網18をコンクリート17の一箇所に埋設したり、三箇所以上に埋設したりしてもよい。
コンクリート製の貯水槽の補強構造の縦断面図。 貯水槽の平面図。 側壁の部分拡大縦断面図。 この発明の貯水槽の別の実施形態を示す部分拡大縦断面図。 この発明の貯水槽の別の実施形態を示す部分拡大縦断面図。 図5に示す貯水槽に用いられる補強パネルの斜視図。 図5に示す貯水槽に用いられる別の補強パネルの斜視図。 従来の貯水槽の補強構造を示すコンクリート側壁の部分縦断面図。
符号の説明
11…貯水槽、25…接着剤、26…補強パネル、26a,26b…フランジ部、27…溶接部。

Claims (5)

  1. 鉄筋網を埋設したコンクリート壁により構築された貯水槽のコンクリート壁の内面に接着剤によりステンレススチール製の補強パネルを接着したことを特徴とするコンクリート製の貯水槽の補強構造。
  2. 請求項1において、前記接着剤はエポキシ樹脂系接着剤であることを特徴とするコンクリート製の貯水槽の補強構造。
  3. 請求項1又は2において、前記補強パネルの裏面には、接着剤の接着面積を増大させるために粗面加工されていることを特徴とするコンクリート製の貯水槽の補強構造。
  4. 請求項1〜3のいずれか一項において、前記補強パネルの材質はJIS規格のマルテンサイト系ステンレス鋼、フェライト系ステンレス鋼、オーステナイト系ステンレス鋼、オーステナイト・フェライト系ステンレス鋼、析出硬化系ステンレス鋼のなかからいずれか一種を選択したものであることを特徴とするコンクリート製の貯水槽の補強構造。
  5. 請求項1〜4のいずれか一項において、前記補強パネルの端縁にはフランジ部が設けられ、互いに接合される補強パネルは、そのフランジ部の先端縁を溶接部によって連結することにより連結されていることを特徴とするコンクリート製の貯水槽の補強構造。
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