JP2010150558A - 自己架橋型アルキルセルロース誘導体、及びそれらの製造方法 - Google Patents
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Abstract
【課題】 自己架橋型のアルキルセルロース誘導体の放射線照射による製造方法、及び該製造方法により得られた自己架橋型アルキルセルロース誘導体、及び更には生分解性の自己架橋型アルキルセルロース誘導体、更には吸水性に優れた自己架橋型アルキルセルロース誘導体を提供する。
【解決手段】 カルボキシメチルセルロースのナトリウム塩の20重量%水溶液にγ線を10kGy照射し、吸水性が高く、生分解性の自己架橋型カルボキシメチルセルロースが得られる。
【選択図】なし
【解決手段】 カルボキシメチルセルロースのナトリウム塩の20重量%水溶液にγ線を10kGy照射し、吸水性が高く、生分解性の自己架橋型カルボキシメチルセルロースが得られる。
【選択図】なし
Description
本発明は、アルキルセルロース誘導体と水の混合物に放射線を照射して自己架橋させた自己架橋型アルキルセルロース誘導体、又はさらに生分解性を有する自己架橋型アルキルセルロース誘導体の製造方法、及び該方法により得られた新規な自己架橋型アルキルセルロース誘導体に関するものである。
従来、カルボキシメチルセルロース(CMC)又はその塩類等は、塗料、接着剤、コーティング剤、パップ剤、ソフトクリームなどの水性組成物や、土木分野における地盤改質剤、農園芸分野における土壌改良剤、保水剤、コーティング剤等として使用されている。特開平10−324701号公報(特許文献1)には、ヒアルロン酸、アルギン酸、CMC等を化学的に分子内又は分子間で自己架橋(架橋剤を使用しない架橋をいう。)させたカルボキシ多糖類が開示されている。この方法では、カルボキシ多糖類の持つカルボキシル基とヒドロキシル基を、触媒の存在下に分子内又は分子間で脱水してエステル結合を生成させることにより、自己架橋を生じる。しかしながら、この方法は放射線による架橋ではなく、原料の複雑な調製が必要であったり、脱水触媒が必要である。特開平8−89796号公報(特許文献2)や特開平8−196901号公報(特許文献3)には、カルボキシアルキルセルロース、カルボキシアルキルでんぷん等をアミノ酸類により化学的に架橋させた吸水性樹脂が開示されている。しかしながら、この方法は放射線による架橋ではなく、原料の複雑な調製が必要であったり、高価な架橋剤が必要である。一般に、水溶性高分子は架橋剤や放射線などにより架橋し、高吸水性樹脂あるいはゲル化物(単にゲルという。)として使用されている。特にアクリル酸類は紙おむつ用等の吸収剤として使用されている。しかし、ポリアクリル酸は生分解性が殆ど無く廃棄した場合に問題を生じる。また、土木分野等、屋外で使用する場合には、使用後の吸水性樹脂やゲルの生分解性が要求されている。一方、水溶性高分子であるCMCはセルラーゼなどの酵素により生分解性を示すことが知られているが、CMC単独に放射線を照射しても、CMCの分解が優先して生じるので、有効な架橋がじないという問題があった。特公昭47−17965号公報(特許文献4)には、CMCをエピクロルヒドリンと反応させて、架橋体を得ることが示されているが、吸水性が低く、更に安全性の面で問題がある。
本発明の目的は、自己架橋型のアルキルセルロース誘導体の放射線照射による製造方法、及び該製造方法により得られた自己架橋型アルキルセルロース誘導体、及び更には生分解性の自己架橋型アルキルセルロース誘導体、更には吸水性に優れた自己架橋型アルキルセルロース誘導体を提供することである。
本発明者らは、前記目的を達成するため鋭意検討した結果、CMC等のアルキルセルロース誘導体の水溶液等に放射線を照射することにより、容易に自己架橋型のアルキルセルロース誘導体を製造することができることを見いだし、また原料、照射条件等により生分解性の物や高吸水性の物、更に生分解性で高吸水性の物も得られることを本発明を完成した。
すなわち、本発明の第1は、原料アルキルセルロース誘導体(アルキルの炭素数は1〜3であり、アルキルにはヒドロキシ基又はカルボキシル基が置換していてもよい。)100重量部及び水5〜2,000重量部からなる混合物に放射線を照射することを特徴とする自己架橋型アルキルセルロース誘導体の製造方法を提供する。本発明の第2は、原料アルキルセルロース誘導体がグルコース単位当たり少なくとも一つのヒドロキシ基又はカルボキシル基を有する、カルボキシアルキルセルロース、ヒドロキシアルキルセルロース、アルキルセルロース、又はこれらの混合物であることを特徴とする本発明の第1に記載の自己架橋型アルキルセルロース誘導体の製造方法を提供する。本発明の第3は、原料アルキルセルロース誘導体のヒドロキシル基及びカルボキシル基の合計の20%以上がアルカリ金属塩、アンモニウム塩又はアミン塩であることを特徴とする本発明の第1に記載の自己架橋型アルキルセルロース誘導体の製造方法を提供する。本発明の第4は、原料アルキルセルロース誘導体の平均重合度が10〜2,000であり、平均エーテル化度が0.5以上であることを特徴とする本発明の第1に記載の自己架橋型アルキルセルロース誘導体の製造方法を提供する。本発明の第5は、ゲル分率が0.1%以上であることを特徴とする本発明の第1に記載の自己架橋型アルキルセルロース誘導体の製造方法を提供する。本発明の第6は、放射線の照射量がγ線換算0.1kGy以上であることを特徴とする本発明の第1に記載の自己架橋型アルキルセルロース誘導体の製造方法を提供する。本発明の第7は、生成物をさらに乾燥することを特徴とする本発明の第1〜6のいずれかに記載の自己架橋型アルキルセルロース誘導体の製造方法を提供する。本発明の第8は、本発明の第1〜7のいずれかに記載の製造方法により得られた自己架橋型アルキルセルロース誘導体を提供する。本発明の第9は、自己架橋型アルキルセルロース誘導体の乾燥品0.2gを、セルラーゼ0.5重量%を含有する酢酸水溶液(pH4.5の緩衝液)10mlに加えて8時間静置後の生分解率が50%以上であることを特徴とする本発明の第8に記載の自己架橋型アルキルセルロース誘導体を提供する。本発明の第10は、蒸留水使用時の吸水率が自重に対して30重量倍以上であることを特徴とする本発明の第8に記載の自己架橋型アルキルセルロース誘導体を提供する。本発明の第11は、得られた状態のゲルの圧壊強度が100g/cm2以上であることを特徴とする本発明の第8に記載の自己架橋型アルキルセルロース誘導体を提供する。
本発明により、自己架橋型のアルキルセルロース誘導体が得られる。原料アルキルセルロース誘導体の種類、照射時の水分比率、照射線量により、吸水性樹脂ないし高強度のゲル化物であり、さらに条件により生分解性のものが得られる。
本発明において、原料として使用するアルキルセルロース誘導体は、カルボキシアルキルセルロース(A)、ヒドロキシアルキルセルロース(B)、アルキルセルロース(C)、又はこれらの混合物であり、これらはグルコース単位当たり少なくとも一つのヒドロキシ基又はカルボキシル基を有する。
カルボキシアルキルセルロース(A)
本発明において、原料として使用するカルボキシアルキルセルロース(A)は、セルロースのヒドロキシル基の水素が、カルボキシメチル基、カルボキシエチル基、カルボキシプロピル基により置換されたものであり、好ましいカルボキシアルキルセルロース(A)は、カルボキシメチルセルロース、カルボキシエチルセルロースである。上記カルボキシアルキルセルロースは、カルボキシル基の20%以上、好ましくは40%以上がアルカリ金属塩、アンモニウム塩又はアミン塩である。アルカリ金属塩としては、ナトリウム塩、カリウム塩、リチウム塩等が挙げられ、好ましくはナトリウム塩である。塩を形成する比率が上記範囲未満であると水と均一な混合物ないし水溶液が形成されにくくなる。塩を形成する比率の上限は特になく、100%塩を形成してもよい。
本発明において、原料として使用するカルボキシアルキルセルロース(A)は、セルロースのヒドロキシル基の水素が、カルボキシメチル基、カルボキシエチル基、カルボキシプロピル基により置換されたものであり、好ましいカルボキシアルキルセルロース(A)は、カルボキシメチルセルロース、カルボキシエチルセルロースである。上記カルボキシアルキルセルロースは、カルボキシル基の20%以上、好ましくは40%以上がアルカリ金属塩、アンモニウム塩又はアミン塩である。アルカリ金属塩としては、ナトリウム塩、カリウム塩、リチウム塩等が挙げられ、好ましくはナトリウム塩である。塩を形成する比率が上記範囲未満であると水と均一な混合物ないし水溶液が形成されにくくなる。塩を形成する比率の上限は特になく、100%塩を形成してもよい。
ヒドロキシアルキルセルロース(B)
本発明において、原料として使用するヒドロキシアルキルセルロース(B)は、セルロースのヒドロキシル基の水素に、例えばエチレンオキシド、プロピレンオキシド等を反応させて得られるものであり、従って水素に置換する基がヒドロキシエチル(−C2H4OH)基、ヒドロキシイソプロピル基(−C3H6OH)、ヒドロキシ−n−プロピル基(−C3H6OH)であり、さらにはそのヒドロキシ末端にさらにエチレンオキシド、プロピレンオキシド等を1〜10分子反応させて得られるポリオキシアルキレンエーテル置換基である。ヒドロキシアルキルセルロース(B)は、好ましくは、ヒドロキシエチルセルロース、ヒドロキシプロピルセルロースである。上記ヒドロキシアルキルセルロース(B)は、ヒドロキシル基の20%以上、好ましくは40%以上、さらに好ましくは50%以上がアルカリ金属塩である。アルカリ金属塩としては、ナトリウム塩、カリウム塩、リチウム塩等が挙げられ、好ましくはナトリウム塩である。塩を形成する比率が上記範囲未満であると水と均一な混合物ないし水溶液が形成されにくくなる。塩を形成する比率の上限は特になく、100%塩を形成してもよい。
本発明において、原料として使用するヒドロキシアルキルセルロース(B)は、セルロースのヒドロキシル基の水素に、例えばエチレンオキシド、プロピレンオキシド等を反応させて得られるものであり、従って水素に置換する基がヒドロキシエチル(−C2H4OH)基、ヒドロキシイソプロピル基(−C3H6OH)、ヒドロキシ−n−プロピル基(−C3H6OH)であり、さらにはそのヒドロキシ末端にさらにエチレンオキシド、プロピレンオキシド等を1〜10分子反応させて得られるポリオキシアルキレンエーテル置換基である。ヒドロキシアルキルセルロース(B)は、好ましくは、ヒドロキシエチルセルロース、ヒドロキシプロピルセルロースである。上記ヒドロキシアルキルセルロース(B)は、ヒドロキシル基の20%以上、好ましくは40%以上、さらに好ましくは50%以上がアルカリ金属塩である。アルカリ金属塩としては、ナトリウム塩、カリウム塩、リチウム塩等が挙げられ、好ましくはナトリウム塩である。塩を形成する比率が上記範囲未満であると水と均一な混合物ないし水溶液が形成されにくくなる。塩を形成する比率の上限は特になく、100%塩を形成してもよい。
アルキルセルロース(C)
本発明において、原料として使用するアルキルセルロース(C)は、セルロースのヒドロキシル基の水素が、メチル基、エチル基、プロピル基により一部置換されたものであり、好ましいアルキルセルロース(C)はメチルセルロースである。上記アルキルセルロースは、アルキルエーテル化度が66%以下であり、好ましくは50%以下、さらに好ましくは33%以下である。原料として使用するアルキルセルロース(C)は、残存するヒドロキシル基の40%以上、好ましくは50%以上がアルカリ金属塩である。アルカリ金属塩としては、ナトリウム塩、カリウム塩、リチウム塩等が挙げられ、好ましくはナトリウム塩である。塩を形成する比率が上記範囲未満であると水と均一な混合物ないし水溶液が形成されにくくなる。塩を形成する比率の上限は特になく、100%塩を形成してもよい。
本発明において、原料として使用するアルキルセルロース(C)は、セルロースのヒドロキシル基の水素が、メチル基、エチル基、プロピル基により一部置換されたものであり、好ましいアルキルセルロース(C)はメチルセルロースである。上記アルキルセルロースは、アルキルエーテル化度が66%以下であり、好ましくは50%以下、さらに好ましくは33%以下である。原料として使用するアルキルセルロース(C)は、残存するヒドロキシル基の40%以上、好ましくは50%以上がアルカリ金属塩である。アルカリ金属塩としては、ナトリウム塩、カリウム塩、リチウム塩等が挙げられ、好ましくはナトリウム塩である。塩を形成する比率が上記範囲未満であると水と均一な混合物ないし水溶液が形成されにくくなる。塩を形成する比率の上限は特になく、100%塩を形成してもよい。
上記アルキルセルロース誘導体は、平均重合度には特に制限はないが、実用上例えば、10〜2,000、好ましくは50〜1,000、さらに好ましくは200〜800程度である。
また、アルキルセルロース誘導体の平均エーテル化度(セルロースのヒドロキシル基の水素を前記カルボキシアルキル基、ヒドロキシアルキル基、又はアルキル基で置換する置換度のことをいう。)は、例えば、0.5以上、好ましくは0.8以上、さらに好ましくは1.1以上であり、最大3である。平均エーテル化度が0.5未満では、十分な架橋が起こらない。
本発明において原料として使用されるアルキルセルロース誘導体は、公知の方法で製造したもの、特に市販品が使用できる。
例えば、カルボキシアルキルセルロースは、慣用のスラリー法(高液倍率法)やニーダー法(低液倍率法)などの種々の方法、例えば、セルロースとアルカリとを反応させてアルカリセルロースを生成させる工程(マーセル化工程又はアルセル化工程)及び、アルカリセルロースとモノクロロ酢酸との反応によりカルボキシメチルセルロース、またはアクリル酸エステルとの反応後エステルの加水分解によりカルボキシエチルセルロースを生成させる工程(カルボキシアルキル化工程)とで構成された方法により製造できる。
例えば、ヒドロキシアルキルセルロースは、セルロースのヒドロキシル基にアルキレンオキシドを反応させて得られ、ヒドロキシエチルセルロースはエチレンオキシドを、ヒドロキシプロピルセルロースはプロピレンオキシドを反応させて得られる。これらにさらにアルキレンオキシドを反応させたものを、使用することもできる。例えばエチルヒドロキシエチルセルロースはヒドロキシエチルセルロースにさらにエチレンオキシドを反応させたものである。
例えば、アルキルセルロースは、前記アルカリセルロースとアルキルクロライド又はジアルキル硫酸との反応により製造できる。例えば、メチルセルロースはアルカリセルロースとメチルクロライド又はジメチル硫酸との反応により、エチルセルロースはアルカリセルロースとエチルクロライド又はジエチル硫酸との反応により製造される。
セルロースとしては、種々の原料、例えば、木材パルプ,リンターパルプなどが使用できる。アルカリとしては、前記アルカリ金属(リチウム,カリウム,ナトリウムなど)、アンモニア、アミンなどが利用でき、通常、ナトリウムが使用され、通常、水酸化物又は水溶液として使用される。マーセル化工程において、アルカリ(水酸化ナトリウムなど)の使用量は、通常、セルロース100重量部に対して30〜80重量部、好ましくは40〜75重量部程度の範囲から選択できる。なお、スラリー法において、アルカリ(水酸化ナトリウムなど)の使用量は、通常、セルロース100重量部に対して35〜70重量部、好ましくは45〜65重量部程度である。スラリー法では、セルロース濃度1〜7重量%程度、ニーダー法では、セルロース濃度10〜25重量%程度でマーセル化を行う場合が多い。また、マーセル化工程でのアルカリ濃度は、スラリー法,ニーダー法などにより異なるが、スラリー法では、通常、1〜10重量%程度の水性媒体中で行うことができ、ニーダー法では、通常、濃度2〜15重量%程度の水性媒体中で行うことができる。マーセル化工程は、適当な溶媒の存在下で行ってもよい。溶媒としては、例えば、水,アルコール類(エタノール,イソプロパノールなど),ケトン類(アセトン),セロソルブ類(メチルセロソルブ,エチルセロソルブなど)などが例示できる。このようにして生成したカルボキシアルキルセルロースは、脱液、洗浄して乾燥することにより精製できる。なお、必要であれば、反応終了後、粘度調整のため、過酸化水素,過酢酸などの過酸化物で処理してもよい。
本発明において、放射線を照射する際の原料アルキルセルロース誘導体と水と混合比率は、アルキルセルロース誘導体100重量部に対して水5〜2,000重量部である。前記の如く、CMCのような原料アルキルセルロース誘導体は放射線により分解が優先するが、水の存在下では水から生じたヒドロキシラジカルが生成し、このラジカルを介して自己架橋が進行すると考えられる。アルキルセルロース誘導体と水との混合状態は、アルキルセルロース誘導体が水分として含有する状態でも、ペースト状であっても、水溶液であってもよいが、できる限り均一な状態が好ましい。水が上記範囲未満であると原料アルキルセルロース誘導体の分解が多くなり、上記範囲超であると架橋が起こりにくくなる。
本発明で使用する水としては、市水、工業用水、脱気水、脱イオン水、ゲルろ過水、蒸留水等が挙げられ、好ましくは、酸素やイオンなどが含まれていないものである。
本発明に係る放射線照射処理に使用される放射線源としては、α線、β線、γ線、X線、電子線、紫外線等を使用することができるが、コバルト60からのγ線、電子線、X線がより好ましく、中でも該γ線とか電子加速器の使用による電子線照射処理が橋かけ構造導入には便利である。
本発明において、照射する放射線の量は、吸水性樹脂を目的とする場合と、高強度のゲル化物を得る場合で異なり、さらに原料アルキルセルロース誘導体と水との混合比率によっても異なる。吸水性樹脂を目的とする場合には、放射線の照射量がγ線換算0.1〜50kGyであり、好ましくは0.3〜20kGyであり、さらに好ましくは0.5〜10kGyである。放射線の照射量が上記範囲未満では架橋せず、吸水性が不充分となり、上記範囲超では架橋が進みすぎ、吸水性が不充分となる。高強度のゲル化物を目的とする場合には、放射線の照射量がγ線換算20〜300kGyであり、好ましくは30〜200kGyであり、さらに好ましくは50〜100kGyである。放射線の照射量が上記範囲未満ではゲルの強度、特に圧壊強度が弱くなり、上記範囲超では不経済となる。
放射線照射は、酸素の非存在下に放射線を照射すると、効率よく(即ち、低放射線量で)架橋させることができる。酸素の存在下に放射線を照射すると、アルキルセルロース誘導体が酸化分解する比率が多くなるためである。
上記のようにして得られた自己架橋型アルキルセルロース誘導体のゲル分率は、吸水性樹脂を目的とする場合には、0.1〜50%、好ましくは0.5〜40%、さらに好ましくは1〜30%である。得られた自己架橋型アルキルセルロース誘導体のゲル分率が上記範囲未満では架橋が不充分となり、上記範囲超では架橋が進みすぎ、吸水性が不充分となる。高強度のゲル化物を目的とする場合には、自己架橋型アルキルセルロース誘導体のゲル分率は、30%以上、好ましくは50%以上、さらに好ましくは60%以上であり、最大100%である。自己架橋型アルキルセルロース誘導体のゲル分率が上記範囲未満ではゲル強度が不充分となる。
なお、ゲル分率は、生成物を多量(例えば生成物の10〜100倍)の蒸留水中に48時間浸漬した後、20メッシュのステンレス金網でろ過した時の不溶分の割合であり、次式により求められる。
ゲル分率(%)=(W2/W1)×100(ここで、W1は使用した原料アルキルセルロース誘導体の乾燥重量を表し、W2は架橋生成物を上記ろ過後の不溶分の乾燥重量を表す。)
ゲル分率(%)=(W2/W1)×100(ここで、W1は使用した原料アルキルセルロース誘導体の乾燥重量を表し、W2は架橋生成物を上記ろ過後の不溶分の乾燥重量を表す。)
上記のようにして得られた自己架橋型アルキルセルロース誘導体の生分解性は、次のようにして測定される。放射線照射処理後の生成物を乾燥させたもの0.2gを、生分解性に使用する酵素セルラーゼ0.5重量%を含有する10mlの酢酸水溶液(pH4.5の緩衝液)に加え、40℃、静置下に0〜8時間生分解を行い、経過時間と残存する自己架橋型アルキルセルロース誘導体の残存率を測定した。生分解率は100%−残存率%である。吸水性樹脂を目的とする場合には、上記時間における生分解率は50%以上、好ましくは70%以上、さらに好ましくは80%以上である。100%分解までの時間数はエーテル化度、架橋度などを選択して調製される。高強度のゲル化物を目的とする場合には、上記時間における生分解率は、40%以上、好ましくは50%以上、さらに好ましくは60%以上である。100%分解までの時間数はエーテル化度、架橋度などを選択して調製される。
本発明において、放射線照射処理後の自己架橋型アルキルセルロース誘導体は、乾燥して固体ないし粉体として使用することができる。乾燥条件としては、特に限定されず、加熱、減圧等を使用する公知の方法により、所望の水分のものが得られる。
以下、実施例により本発明を具体的に説明するが、本発明はこれらに限定されるものではない。使用した原料カルボキシアルキルセルロース(ダイセル化学工業(株)製)は次のものである。
A:CMC、10重量%水溶液の20℃の粘度73(mPa・s)、平均エーテル化度1.27
B:CMC、10重量%水溶液の20℃の粘度161(mPa・s)、平均エーテル化度2.21
C:CMC、10重量%水溶液の20℃の粘度168(mPa・s)、平均エーテル化度0.86
D:CMC、10重量%水溶液の20℃の粘度250(mPa・s)、平均エーテル化度1.29
E:CMC、10重量%水溶液の20℃の粘度3670(mPa・s)、平均エーテル化度1.22
F:CMC、10重量%水溶液の20℃の粘度244(mPa・s)、平均エーテル化度1.32
G:カルボキシエチルセルロース、10重量%水溶液の20℃の粘度200(mPa・s)、平均エーテル化度1.32
HPC1:ヒドロキシプロピルセルロース、2重量%水溶液の20℃の粘度150〜400(mPa・s)
HPC2:ヒドロキシプロピルセルロース、2重量%水溶液の20℃の粘度1,000〜4,000(mPa・s)
MC5:メチルセルロース、2重量%水溶液の20℃の粘度20〜30(mPa・s)
MC6:メチルセルロース、2重量%水溶液の20℃の粘度6,000〜9,000(mPa・s)
A:CMC、10重量%水溶液の20℃の粘度73(mPa・s)、平均エーテル化度1.27
B:CMC、10重量%水溶液の20℃の粘度161(mPa・s)、平均エーテル化度2.21
C:CMC、10重量%水溶液の20℃の粘度168(mPa・s)、平均エーテル化度0.86
D:CMC、10重量%水溶液の20℃の粘度250(mPa・s)、平均エーテル化度1.29
E:CMC、10重量%水溶液の20℃の粘度3670(mPa・s)、平均エーテル化度1.22
F:CMC、10重量%水溶液の20℃の粘度244(mPa・s)、平均エーテル化度1.32
G:カルボキシエチルセルロース、10重量%水溶液の20℃の粘度200(mPa・s)、平均エーテル化度1.32
HPC1:ヒドロキシプロピルセルロース、2重量%水溶液の20℃の粘度150〜400(mPa・s)
HPC2:ヒドロキシプロピルセルロース、2重量%水溶液の20℃の粘度1,000〜4,000(mPa・s)
MC5:メチルセルロース、2重量%水溶液の20℃の粘度20〜30(mPa・s)
MC6:メチルセルロース、2重量%水溶液の20℃の粘度6,000〜9,000(mPa・s)
[実施例1]上記原料Fの各種濃度の水溶液にγ線を照射した。濃度はそれぞれ、5、10、20、30重量%である。結果を図1に示す。図1の横軸は、線量(Dose:単位kGy)を示し、縦軸は照射後のCMCのゲル分率(重量%)を示す。
[実施例2]上記原料A〜Eの20重量%水溶液にγ線を照射した。結果を図2に示す。図2の横軸は、線量(Dose:単位kGy)を示し、縦軸は照射後のCMCのゲル分率(重量%)を示す。
[実施例3]上記原料Fの各種濃度の水溶液にγ線を照射した。濃度はそれぞれ、5、10、20、30重量%である。照射後のCMCを乾燥した。乾燥品の吸水率を測定した。結果を図3に示す。図3の横軸は、線量(Dose:単位kGy)を示し、縦軸は照射後のCMCの乾燥ゲル1g当たりの吸収した水分(g)を示す。
[実施例4]上記原料Fの濃度20又は30重量%の水溶液にγ線を20kGy照射した。照射後のCMCのセルラーゼによる生分解率を図4に示す。図4の横軸は、生分解性時間(時間)を示し、縦軸はCMCの残存率(%)を示す。生分解率は100%−残存率%である。
[実施例5]上記原料Gの20重量%濃度の水溶液にγ線を照射した。実施例1と同様に、線量が増加するにつれてゲル分率が増加した。
[実施例6]上記原料HPC1、HPC2、MC5、又はMC6の濃度30重量%水溶液にγ線を各線量で照射した。結果を図5に示す。図5の横軸は、線量(Dose:単位kGy)を示し、縦軸は照射後のゲル分率(重量%)を示す。HPC1及びHPC2では線量10〜40kGyにピークがあり、有効に架橋が行われている。一方、MC6を使用した場合には高線量側で架橋が生じ、低重合度のMC5ではより高線量側で架橋が生じる。
[実施例7]上記原料HPC1、HPC2の濃度40重量%水溶液にγ線を各線量で照射した。結果を図6に示す。図6の横軸は、線量(Dose:単位kGy)を示し、縦軸は照射後のゲル分率(重量%)を示す。この例では、濃度40重量%の水溶液の方が30重量%の水溶液よりも架橋度が高い。
本発明の自己架橋型アルキルセルロース誘導体は、原料としてのアルキルセルロース誘導体の特徴に加えて、吸水性、高ゲル強度、及び/又は生分解性等の特性を有するので、これらの特性を利用して、一般文献や従来の技術に記載された文献に挙げられている従来の用途の他に、それらの用途のさらに高性能が要求される分野、及び生理用品紙おむつ等に代表される吸水性樹脂に使用可能である。
Claims (6)
- 原料アルキルセルロース誘導体(アルキルの炭素数は1〜3であり、アルキルにはヒドロキシ基又はカルボキシル基が置換していてもよい。)100重量部及び水5〜2,000重量部からなる混合物に放射線を照射することを特徴とする自己架橋型アルキルセルロース誘導体の製造方法であって、原料アルキルセルロース誘導体がヒドロキシアルキルセルロース、アルキルセルロース、又はこれらの混合物であり、かつ前記放射線の照射量がγ線換算0.1〜50kGyである自己架橋型アルキルセルロース誘導体の製造方法。
- 原料アルキルセルロース誘導体の平均重合度が10〜2,000であり、平均エーテル化度が0.5以上であることを特徴とする請求項1記載の自己架橋型アルキルセルロース誘導体の製造方法。
- 原料アルキルセルロース誘導体の平均エーテル化度が0.8以上である請求項1又は2記載の自己架橋型アルキルセルロース誘導体の製造方法。
- ゲル分率が0.1%以上であることを特徴とする請求項1〜3のいずれかに記載の自己架橋型アルキルセルロース誘導体の製造方法。
- 放射線の照射量がγ線換算0.3〜20kGyであることを特徴とする請求項1〜4のいずれかに記載の自己架橋型アルキルセルロース誘導体の製造方法。
- 生成物をさらに乾燥することを特徴とする請求項1〜5のいずれかに記載の自己架橋型アルキルセルロース誘導体の製造方法。
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