JP2010150407A - 樹脂組成物ワニスの製造方法 - Google Patents

樹脂組成物ワニスの製造方法 Download PDF

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Abstract

【課題】分散性に優れた樹脂組成物ワニスの製造方法を提供すること。
【解決手段】無機充填材スラリー中に樹脂成分を溶解させた懸濁液を高圧ホモジナイザーで分散処理することを特徴とする樹脂組成物ワニスの製造方法。
【選択図】なし

Description

本発明は多層プリント配線板等の回路基板の絶縁層用に有用な樹脂組成物ワニスの製造方法に関する。
多層プリント配線板等の回路基板の絶縁層に用いる樹脂組成物には、一般に熱膨張率を低下させる等の目的で無機充填材が配合される。近年の電子機器の小型化、高性能化により、回路基板においても微細配線化や熱膨張率の更なる低下などが求められ、絶縁層を形成する樹脂組成物においては、微細粒子化した無機充填材を高濃度で配合する必要性が高まっている。
樹脂組成物中に微細な無機充填材を高濃度で分散させる方法としては、樹脂ワニス中で攪拌してスラリーを調製し、該スラリーを三本ロールミルで混練する方法(特許文献1)、有機溶剤中で攪拌してスラリーを調製し、該スラリーを樹脂ワニス中に添加した後攪拌する方法(特許文献2)などが知られている。
特開平10−287834公報 特開平10−287832公報
一方、樹脂組成物に無機充填材を高濃度で配合すると、絶縁層表面を粗化した後、めっきにより導体層を形成する場合に、絶縁層の表面粗さが低粗度であるため、ピール強度が低下するという問題が生じる。またピール強度を向上させるために絶縁層表面の粗度を大きくした場合には、微細配線化が困難となる。従って、本発明の目的は、無機充填材を高濃度で配合した樹脂組成物により形成された絶縁層において、絶縁層表面が低粗度であっても高いピール強度を有する導体層を形成可能とする方法を提供することにある。
上記課題に鑑み、本発明者らが鋭意検討した結果、無機充填材を有機溶剤に分散させた無機充填材スラリーと樹脂成分を混合して調製された懸濁液を、高圧ホモジナイザーにより分散処理して調製される樹脂組成物ワニスを使用して形成される絶縁層においては、絶縁層表面が低粗度であっても、高いピール強度を有する導体層の形成がメッキにより可能となることを見出し、本発明を完成させた。
すなわち本発明は以下の内容を含むものである。
[1]無機充填材を有機溶剤に分散させた無機充填材スラリーと樹脂成分を混合して調製された懸濁液を、高圧ホモジナイザーにより分散処理することを特徴とする樹脂組成物ワニスの製造方法。
[2]有機溶剤が極性有機溶剤である上記[1]記載の方法。
[3]樹脂成分がエポキシ樹脂を含有する上記[1]記載の方法。
[4]高圧ホモジナイザーによる分散処理の後、さらに硬化剤を含む溶液を混合する上記[1]記載の方法。
[5]高圧ホモジナイザーの分散圧力が10〜300MPaである上記[1]記載の方法。
[6]高圧ホモジナイザーの分散圧力が15〜100MPaである上記[1]記載の方法。
[7]高圧ホモジナイザーの分散圧力が20〜60MPaである上記[1]記載の方法。
[8]懸濁液の粘度が10〜1000mPa・sである上記[1]記載の方法。
[9]懸濁液の粘度が100〜500mPa・sである上記[1]記載の方法。
[10]懸濁液中の無機充填材の含有量が懸濁液100重量%に対し30〜60重量%である上記[1]記載の方法。
[11]無機充填材の平均粒径が0.02〜2μmである上記[1]記載の方法。
[12]無機充填材がシラン系カップリング剤で表面処理されている上記[1]記載の方法。
[13]無機充填材が球状シリカである上記[1]記載の方法。
[14]上記[1]〜[13]のいずれかに記載の方法で製造された樹脂組成物ワニスにより支持体上に形成された樹脂組成物層を有する接着フィルム。
[15]上記[1]〜[13]のいずれかに記載の方法で製造された樹脂組成物ワニスを繊維状シート基材に含浸して得られたプリプレグ。
[16]上記[14]記載の接着フィルム又は上記[15]記載のプリプレグを用いて形成された絶縁層を有する回路基板。
本発明の方法により得られる樹脂組成物ワニスを使用して絶縁層を形成した場合、絶縁層に無機充填材が高濃度で含まれ、かつ絶縁層表面が低粗度であっても、高いピール強度を有する導体層がメッキにより可能となり、回路基板の微細配線化や低熱膨張率化に有利となる。
本発明は、無機充填材が有機溶剤に分散された無機充填材スラリーを、樹脂成分と混合して懸濁液を調製し、さらに、高圧ホモジナイザーを用いてその懸濁液を分散処理することで樹脂組成物ワニスを製造する方法に関する。以下、本発明を実施の形態により具体的に説明する。
<無機充填材>
本発明において、用いる無機充填材としては、熱膨張率を低下させるものが好ましい。例えば、シリカ、アルミナ、硫酸バリウム、タルク、クレー、雲母粉、水酸化アルミニウム、水酸化マグネシウム、炭酸カルシウム、炭酸マグネシウム、酸化マグネシウム、窒化ホウ素、ホウ酸アルミニウム、チタン酸バリウム、チタン酸ストロンチウム、チタン酸カルシウム、チタン酸マグネシウム、チタン酸ビスマス、酸化チタン、ジルコン酸バリウム、ジルコン酸カルシウム、等が挙げられ、これらの中でも無定形シリカ、溶融シリカ、結晶シリカ、合成シリカ等のシリカが特に好適である。無機充填材は2種以上を組み合わせて使用してもよい。また、シリカは樹脂組成物ワニスが均一な分散性を得る上で有利な形状である球状シリカであることが好ましく、その平均粒径は0.02μm〜2μmの範囲が好ましい。平均粒径が0.02μm未満であると粒子の比表面積が増加し、凝集性が高まり、均一な分散性を得ることが困難になり、平均粒径が2μmを超えると微細配線を形成する上で不利となる。
無機充填材の平均粒径はミー(Mie)散乱理論に基づくレーザー回折・散乱法により測定することができる。具体的にはレーザー回折式粒度分布測定装置により、無機充填材の粒度分布を体積基準で作成し、そのメディアン径を平均粒径とすることで測定することができる。測定サンプルは、無機充填材を超音波により水中に分散させたものを好ましく使用することができる。レーザー回折式粒度分布測定装置としては、株式会社堀場製作所製LA−500等を使用することができる。
無機充填材は、耐湿性、分散性等の向上のため、γ−アミノプロピルメトキシシラン、γ−アミノプロピルトリエトキシシラン、γ−ウレイドプロピルトリエトキシシラン、N−フェニルアミノプロピルトリメトキシシラン、N−2(アミノエチル)アミノプロピルトリメトキシシラン等のアミノシラン系カップリング剤;γ−グリシドキシプロピルトリメトキシシラン、γ−グリシドキシプロピルトリエトキシシラン、γ−グリシドキシプロピルメチルジエトキシシラン、4−グリシジルブチルトリメトキシシラン、(3,4−エポキシシクロヘキシル)エチルトリメトキシシラン等のエポキシシラン系カップリング剤;γ−メルカプトプロピルトリメトキシシラン、γ−メルカプトプロピルトリエトキシシラン等のメルカプトシラン系カップリング剤;メチルトリメトキシシラン、オクタデシルトリメトキシシラン、フェニルトリメトキシシラン、メタクリロキシプロピルトリメトキシシラン、イミダゾールシラン、イミダゾリンシラン、トリアジンシラン等のシラン系カップリング剤;ヘキサメチルジシラザン、ヘキサフェニルジシラザン、トリシラザン、シクロトリシラザン、1,1,3,3,5,5−ヘキサメチルシクロトリシラザン等のオルガノシラザン化合物;ブチルチタネートダイマー、チタンオクチレングリコレート、ジイソプロポキシチタンビス(トリエタノールアミネート)、ジヒドロキシチタンビスラクテート、ジヒドロキシビス(アンモニウムラクテート)チタニウム、ビス(ジオクチルパイロホスフェート)エチレンチタネート、ビス(ジオクチルパイロホスフェート)オキシアセテートチタネート、トリ−n−ブトキシチタンモノステアレート、テトラ−n−ブチルチタネート、テトラ(2−エチルヘキシル)チタネート、テトライソプロピルビス(ジオクチルホスファイト)チタネート、テトラオクチルビス(ジトリデシルホスファイト)チタネート、テトラ(2,2−ジアリルオキシメチル−1−ブチル)ビス(ジトリデシル)ホスファイトチタネート、イソプロピルトリオクタノイルチタネート、イソプロピルトリクミルフェニルチタネート、イソプロピルトリイソステアロイルチタネート、イソプロピルイソステアロイルジアクリルチタネート、イソプロピルジメタクリルイソステアロイルチタネート、イソプロピルトリ(ジオクチルホスフェート)チタネート、イソプロピルトリドデシルベンゼンスルホニルチタネート、イソプロピルトリス(ジオクチルパイロホスフェート)チタネート、イソプロピルトリ(N−アミドエチル・アミノエチル)チタネート等のチタネート系カップリング剤などの1種以上の表面処理剤で処理されていてもよい。特にアミノシラン系カップリング剤、エポキシシラン系カップリング剤、メルカプトシラン系カップリング剤等が好ましい。
樹脂組成物ワニス中の無機充填材の含有量は、樹脂組成物の不揮発成分を100重量%とした時、好ましくは20〜70重量%であり、より好ましくは20〜50重量%である。無機充填剤の含有量が20重量%未満の場合、熱膨張率の低下効果が十分に発揮されない傾向にあり、無機充填剤の含有量が70重量%を超えると、硬化物の機械強度が低下するなどの傾向となる。
<溶媒>
本発明において、無機充填材スラリーに使用する溶媒としては、分散状態を維持するために、極性有機溶剤を用いることが好ましい。例えば、ジオキサン、テトラヒドロフラン、ブチルエーテル、ブチルエチルエーテル、ジグライム、トリグライムなどのエーテル系溶剤;アセトン、メチルエチルケトン、メチルイソブチルケトン、シクロヘキサノン、2−ヘプタノン、2−オクタノン、イソホロンなどのケトン系溶剤;酢酸エチル、酢酸ブチル、エチレングリコールモノエチルエーテルアセテート、プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート、2−メトキシプロピルアセテート、セロソルブアセテート、カルビトールアセテート、γ−ブチロラクトン、2−ヒドロキシプロパン酸メチルなどのエステル溶剤;メチルアルコール、エチルアルコール、n−プロピルアルコール、イソプロパノール、ブタノールなどのアルコール系溶剤;エチレングリコールモノメチルエーテル、プロピレングリコールモノメチルエーテルなどのアルキレングリコールなどのモノエーテル系溶剤;ジメチルアセトアミド、ジメチルホルムアミドなどのアミド系溶剤、などを挙げることができる。これらのうちで、ケトン系溶剤が好ましく、その中でもメチルエチルケトン(以下、必要に応じてMEKと称する)が特に好適である。
<無機充填材スラリーの調製>
無機充填材スラリーの調製方法は特に限定されず、例えば、溶媒中に乾燥状態の無機充填材を添加した後に、種々の攪拌装置、分散装置、乳化装置で溶媒中に無機充填材を分散させることにより得られる。具体的には、例えば後掲記載の各種装置を使用することができる。貯蔵中の無機充填材のケーキング等を回避するため溶媒中の無機充填材の含有量は80重量%以下が好ましい。ここで、スラリーとは、粉末流体を意味しており、本実施形態における無機充填材スラリーとは、上記無機充填材を上記有機溶剤に分散して略泥状にしたものである。なお、ケーキングとは、溶媒中の無機充填材が固まって凝集物になり、溶媒中に無機充填材の塊が生じることをいう。
<懸濁液の調製に使用する樹脂組成物>
樹脂組成物は回路基板の絶縁層に用い得る樹脂組成物であれば特に限定されない。例えば、ポリイミド樹脂、エポキシ樹脂、ビスマレイミド樹脂、マレイミド樹脂、シアネート樹脂、ポリフェニレンエーテル樹脂、ポリフェニレンオキサイド樹脂、オレフィン樹脂、フッ素含有樹脂、液晶ポリマー、ポリエーテルイミド樹脂およびポリエーテルエーテルケトン樹脂などが挙げられる。中でも、好ましくは、エポキシ樹脂、エポキシ硬化剤、熱可塑性樹脂等を含む樹脂組成物が挙げられ、また必要により、さらに硬化促進剤、難燃剤、ゴム粒子等を含有するものが挙げられる。
高圧ホモジナイザーによる分散処理中に組成物の温度が上昇するため、エポキシ硬化剤等の温度の影響を受けやすい成分は高圧ホモジナイザー処理の後に添加するのが好ましい。また、必ずしも樹脂組成物を全て高圧ホモジナイザー処理する必要はなく、処理時間短縮のため、一部の樹脂組成物について高圧ホモジナイザー処理を行い、その後で残りの樹脂組成物を別途、混合、攪拌して樹脂組成物ワニスを調製してもよい。エポキシ樹脂は常温(例えば20℃等)において、固体状のエポキシ樹脂及び液状のエポキシ樹脂の双方を配合するのが好ましい。この場合、懸濁液の調製において、固体状エポキシ樹脂は、無機充填材スラリー中に予め溶解しておくのが好ましい。
<エポキシ樹脂>
エポキシ樹脂の種類は特に限定はされない。例えば、ビスフェノールA型エポキシ樹脂、ビスフェノールF型エポキシ樹脂、フェノールノボラック型エポキシ樹脂、tert-ブチル-カテコール型エポキシ樹脂、ナフタレン型エポキシ樹脂、グリシジルアミン型エポキシ樹脂、クレゾールノボラック型エポキシ樹脂、ビフェニル型エポキシ樹脂、線状脂肪族エポキシ樹脂、脂環式エポキシ樹脂、複素環式エポキシ樹脂、スピロ環含有エポキシ樹脂、シクロヘキサンジメタノール型エポキシ樹脂、トリメチロール型エポキシ樹脂などが挙げられる。
エポキシ樹脂は1種を単独で用いても、2種以上を併用してもよいが、通常、1分子中に2個以上のエポキシ基を有するエポキシ樹脂が用いられる。樹脂組成物の不揮発成分を100重量%とした場合に、少なくとも50重量%以上は1分子中に2個以上のエポキシ基を有するエポキシ樹脂であるのが好ましい。またさらに、1分子中に2個以上のエポキシ基を有し、温度20℃で液状の芳香族系エポキシ樹脂であるエポキシ樹脂、および1分子中に3個以上のエポキシ基を有し、温度20℃で固体状の芳香族系エポキシ樹脂を含有する態様が好ましい。なお、本発明でいう芳香族系エポキシ樹脂とは、その分子内に芳香環骨格を有するエポキシ樹脂を意味する。またエポキシ当量(g/eq)は、エポキシ基1個当たりの分子量のことである。エポキシ樹脂として、液状エポキシ樹脂と固体状エポキシ樹脂を使用することで、樹脂組成物を接着フィルムの形態で使用する場合に、十分な可撓性を示し、取扱い性に優れた接着フィルムを形成できると同時に、樹脂組成物の硬化物の破断強度が向上し、回路基板の耐久性が向上する。
液状エポキシ樹脂の具体例としては、DIC(株)製のHP4032(ナフタレン型エポキシ樹脂)、HP4032D(ナフタレン型エポキシ樹脂)、ジャパンエポキシレジン(株)製のjER828EL(ビスフェノールA型エポキシ樹脂)、jER807(ビスフェノールF型エポキシ樹脂)、jER152(フェノールノボラック型エポキシ樹脂)、等が挙げられる。
固体状エポキシ樹脂の具体例としては、DIC(株)製のHP−4700(4官能ナフタレン型エポキシ樹脂)、N−690(クレゾールノボラック型エポキシ樹脂)、N−695(クレゾールノボラック型エポキシ樹脂)、HP−7200(ジシクロペンタジエン型エポキシ樹脂)、日本化薬(株)製のEPPN−502H(トリスフェノールエポキシ樹脂)、NC7000L(ナフトールノボラックエポキシ樹脂)、NC3000H(ビフェニル型エポキシ樹脂)、NC3000(ビフェニル型エポキシ樹脂)、NC3000L(ビフェニル型エポキシ樹脂)、NC3100(ビフェニル型エポキシ樹脂)、東都化成(株)製のESN475(ナフトールノボラック型エポキシ樹脂)、ESN485(ナフトールノボラック型エポキシ樹脂)、ジャパンエポキシレジン(株)製のYX4000H(ビフェニル型エポキシ樹脂)、等が挙げられる。
エポキシ樹脂として、液状エポキシ樹脂と固体状エポキシ樹脂を併用する場合、固体状樹脂に対する液状樹脂の比率(液状樹脂量:固体状樹脂量)は重量比で1:0.1〜1:2の範囲が好ましい。かかる範囲を超えて液状エポキシ樹脂の割合が多すぎると、樹脂組成物ワニスを接着フィルムの形態で使用する場合に粘着性が高くなり、真空ラミネート時の脱気性が低下しボイドが発生しやすくなる傾向にある。また真空ラミネート時に保護フィルムや支持フィルムの剥離性の低下や、硬化後の耐熱性が低下する傾向にある。また、樹脂組成物の硬化物において十分な破断強度が得られにくい傾向にある。一方、かかる範囲を超えて固体状エポキシ樹脂の割合が多すぎると、接着フィルムの形態で使用する場合に、十分な可撓性が得られず、取り扱い性の低下、ラミネートの際の十分な流動性が得られにくいなどの傾向がある。
本発明の樹脂組成物において、樹脂組成物の不揮発成分を100重量%とした場合、エポキシ樹脂の含有量は10〜50重量%であるのが好ましく、より好ましくは20〜40重量%であり、とりわけ好ましくは20〜35重量%である。エポキシ樹脂(A)の含有量が10〜50重量%の範囲から外れると、樹脂組成物の硬化性が低下する傾向にある。
<熱可塑性樹脂>
熱可塑性樹脂は、硬化後の組成物に適度な可撓性を付与する等の目的で配合されるものであり、例えば、フェノキシ樹脂、ポリビニルアセタール樹脂、ポリイミド、ポリアミドイミド、ポリエーテルスルホン、ポリスルホン等が挙げられる。これらはいずれか1種を単独で使用してもよいし、2種以上を併用してもよい。熱可塑性樹脂は、樹脂組成物の不揮発成分を100重量%としたとき、0.5〜60重量%の割合で配合するのが好ましく、より好ましくは3〜50重量%である。熱可塑性樹脂の配合割合が0.5重量%未満の場合、樹脂組成物粘度が低いために、均一な硬化性樹脂組成物層を形成することが難しくなる傾向となり、60重量%を超える場合、樹脂組成物の粘度が高くなり過ぎて、基板上の配線パターンへの埋め込みが困難になる傾向となる。熱可塑性樹脂の重量平均分子量は8,000〜70,000の範囲であるのが好ましく、さらに好ましくは10,000〜60,000、さらに好ましくは20,000〜60,000である。重量平均分子量は、ゲルパーミエーションクロマトグラフィー(GPC)法(ポリスチレンン換算)で測定される。GPC法による重量平均分子量は、具体的には、測定装置として(株)島津製作所製LC−9A/RID−6Aを、カラムとして昭和電工(株)製Shodex K−800P/K−804L/K−804Lを、移動相としてクロロホルム等を用いて、カラム温度40℃にて測定し、標準ポリスチレンの検量線を用いて算出することができる。
フェノキシ樹脂としては、ビスフェノールA骨格、ビスフェノールF骨格、ビスフェノールS骨格、ビスフェノールアセトフェノン骨格、ノボラック骨格、ビフェニル骨格、フルオレン骨格、ジシクロペンタジエン骨格、ノルボルネン骨格、ナフタレン骨格、アントラセン骨格、アダマンタン骨格、テルペン骨格、トリメチルシクロヘキサン骨格から選択される1種以上の骨格を有するものが挙げられる。フェノキシ樹脂は2種以上を混合して用いてもよい。フェノキシ樹脂の末端はフェノール性水酸基、エポキシ基等のいずれの官能基でもよい。市販品としては、例えば、ジャパンエポキシレジン(株)製1256、4250(ビスフェノールA骨格含有フェノキシ樹脂)、ジャパンエポキシレジン(株)製YX8100(ビスフェノールS骨格含有フェノキシ樹脂)、ジャパンエポキシレジン(株)製YX6954(ビスフェノールアセトフェノン骨格含有フェノキシ樹脂)や、その他、東都化成(株)製FX280、FX293、ジャパンエポキシレジン(株)製YL7553、YL6794、YL7213、YL7290、YL7482等が挙げられる。
ポリビニルアセタール樹脂の具体例としては、電気化学工業(株)製、電化ブチラール4000−2、5000−A、6000−C、6000−EP、積水化学工業(株)製エスレックBHシリーズ、BXシリーズ、KSシリーズ、BLシリーズ、BMシリーズ等が挙げられる。
ポリイミド樹脂の具体例としては、新日本理化(株)製のポリイミド「リカコートSN20」および「リカコートPN20」が挙げられる。また、2官能性ヒドロキシル基末端ポリブタジエン、ジイソシアネート化合物及び四塩基酸無水物を反応させて得られる線状ポリイミド(特開2006−37083号公報記載のもの)、ポリシロキサン骨格含有ポリイミド(特開2002−12667号公報、特開2000−319386号公報等に記載のもの)等の変性ポリイミドが挙げられる。
ポリアミドイミド樹脂の具体例としては、東洋紡績(株)製のポリアミドイミド「バイロマックスHR11NN」および「バイロマックスHR16NN」が挙げられる。また、日立化成工業(株)製のポリシロキサン骨格含有ポリアミドイミド「KS9100」、「KS9300」等の変性ポリアミドイミドが挙げられる。
ポリエーテルスルホン樹脂の具体例としては、住友化学(株)製のポリエーテルスルホン「PES5003P」等が挙げられる。
ポリスルホン樹脂の具体例としては、ソルベイアドバンストポリマーズ(株)製のポリスルホン「P1700」、「P3500」等が挙げられる。
これら各種熱可塑性樹脂は単独で用いてもよいし、2種以上を混合して用いてもよい。
<エポキシ硬化剤>
硬化剤としては、エポキシ樹脂を硬化する機能を有するものであれば特に限定されず、好ましいものとしては、例えばフェノール系硬化剤、ナフトール系硬化剤、活性エステル系硬化剤、ベンゾオキサジン系硬化剤、シアネートエステル樹脂等のエポキシ硬化剤が挙げられる。エポキシ硬化剤は2種以上を混合して用いてもよい。
フェノール系硬化剤、ナフトール系硬化剤としては、耐熱性、耐水性の観点から、ノボラック構造を有するフェノール系硬化剤やノボラック構造を有するナフトール系硬化剤が好ましい。市販品としては、例えば、MEH−7700、MEH−7810、MEH−7851(明和化成(株)製)、NHN、CBN、GPH(日本化薬(株)製)、SN170、SN180、SN190、SN475、SN485、SN495、SN375、SN395(東都化成(株)製)、LA7052、LA7054(DIC(株)製)等が挙げられる。
活性エステル系硬化剤としては、EXB−9460(DIC(株)製)、DC808、YLH1030(ジャパンエポキシレジン(株)製)が挙げられる。
ベンゾオキサジン系硬化剤としては、HFB2006M(昭和高分子(株)製)、P−d、F−a(四国化成工業(株)製)などが挙げられる。
シアネートエステル樹脂の具体例としては、例えば、ビスフェノールAジシアネート、ポリフェノールシアネート(オリゴ(3−メチレン−1,5−フェニレンシアネート)、4,4’−メチレンビス(2,6−ジメチルフェニルシアネート)、4,4’−エチリデンジフェニルジシアネート、ヘキサフルオロビスフェノールAジシアネート、2,2−ビス(4−シアネート)フェニルプロパン、1,1−ビス(4−シアネートフェニルメタン)、ビス(4−シアネート−3,5−ジメチルフェニル)メタン、1,3−ビス(4−シアネートフェニル−1−(メチルエチリデン))ベンゼン、ビス(4−シアネートフェニル)チオエーテル、ビス(4−シアネートフェニル)エーテル等の2官能シアネート樹脂、フェノールノボラック、クレゾールノボラック等から誘導される多官能シアネート樹脂、これらシアネート樹脂が一部トリアジン化したプレポリマーなどが挙げられる。市販されているシアネートエステル樹脂としては、フェノールノボラック型多官能シアネートエステル樹脂(ロンザジャパン(株)製「PT30」、シアネート当量124)やビスフェノールAジシアネートの一部または全部がトリアジン化され三量体となったプレポリマー(ロンザジャパン(株)製「BA230」、シアネート当量232)等が挙げられる。
樹脂組成物中の硬化剤の含有量は、通常、樹脂組成物中に存在するエポキシ樹脂のエポキシ基の合計数と硬化剤の反応基の合計数の比率が、エポキシ基の合計数を1とすると、1:0.4〜1:2.0となる量にするのが好ましく、さらには1:0.5〜1:1.5となる量にするのがより好ましい。なお樹脂組成物中に存在するエポキシ樹脂のエポキシ基の合計数とは、各エポキシ樹脂の固形分質量をエポキシ当量で除した値をすべてのエポキシ樹脂について合計した値であり、エポキシ硬化剤の反応基(活性水酸基、活性エステル基等)の合計数とは、各硬化剤の固形分質量を反応基当量で除した値をすべての硬化剤について合計した値である。硬化剤の含有量がかかる好ましい範囲を外れると、樹脂組成物を硬化して得られる硬化物の耐熱性が不十分となるなどの傾向がある。
<硬化促進剤>
本発明の樹脂組成物には、硬化剤に加え、硬化促進剤をさらに配合することができる。硬化促進剤としては、例えば、有機ホスフィン化合物、イミダゾール化合物、アミンアダクト化合物、3級アミン化合物などが挙げられる。有機ホスフィン化合物の具体例としては、TPP、TPP-K、TPP-S、TPTP-S(北興化学工業(株) 商品名)などが挙げられる。イミダゾール化合物の具体例としては、キュアゾール2MZ、2E4MZ、C11Z、C11Z-CN、C11Z-CNS、C11Z-A、2MZ-OK、2MA-OK、2PHZ(四国化成工業(株) 商品名)などが挙げられる。アミンアダクト化合物の具体例としては、ノバキュア(旭化成工業(株) 商品名)、フジキュア(富士化成工業(株) 商品名)などが挙げられる。3級アミン化合物の具体例としては、1,8−ジアザビシクロ(5,4,0)ウンデセン−7(DBU)などが挙げられる。
本発明のエポキシ樹脂組成物において、硬化促進剤の含有量は、樹脂組成物中に含まれるエポキシ樹脂とエポキシ硬化剤の総量を100重量%(不揮発分)とした場合、通常0.1〜5重量%の範囲で使用される。硬化促進剤は2種以上を混合して用いてもよい。
なお、硬化剤としてシアネートエステル樹脂を使用する場合は、硬化時間を短縮する目的で、従来からエポキシ樹脂とシアネート化合物とを併用した系で硬化触媒として用いられている有機金属化合物を添加してもよい。有機金属化合物としては、銅(II)アセチルアセトナート等の有機銅化合物、亜鉛(II)アセチルアセトナート等の有機亜鉛化合物、コバルト(II)アセチルアセトナート、コバルト(III)アセチルアセトナート等の有機コバルト化合物などが挙げられる。
有機金属化合物の添加量は、シアネートエステル樹脂に対し、金属換算で通常10〜500ppm、好ましくは25〜200ppmの範囲である。有機金属触媒は2種以上を混合して用いてもよい。また本発明の組成物では有機金属化合物と上記任意の硬化促進剤1種以上とを併用してもよい。
<ゴム粒子>
本発明のエポキシ樹脂組成物は、硬化物の機械強度を高める、応力緩和効果等の目的で固体状のゴム粒子を含有してもよい。本発明におけるゴム粒子は、エポキシ樹脂組成物を調製する際の有機溶媒にも溶解せず、エポキシ樹脂等の樹脂組成物中の成分とも相溶しないものである。従って、本発明におけるゴム粒子はエポキシ樹脂組成物のワニス中では分散状態で存在する。このようなゴム粒子は、一般には、ゴム成分の分子量を有機溶剤や樹脂に溶解しないサイズまで大きくし、粒子状とすることで調製される。ゴム粒子としては、例えば、コアシェル型ゴム粒子、架橋アクリルニトリルブタジエンゴム粒子、架橋スチレンブタジエンゴム粒子、アクリルゴム粒子などが挙げられる。
コアシェル型ゴム粒子は、粒子がコア層とシェル層を有するゴム粒子であり、例えば、外層のシェル層がガラス状ポリマー、内層のコア層がゴム状ポリマーで構成される2層構造、または外層のシェル層がガラス状ポリマー、中間層がゴム状ポリマー、コア層がガラス状ポリマーで構成される3層構造のものなどが挙げられる。ガラス層は例えば、メタクリル酸メチルの重合物などで構成され、ゴム状ポリマー層は例えば、ブチルアクリレート重合物(ブチルゴム)などで構成される。コアシェル型ゴム粒子の具体例としては、スタフィロイドAC3832、AC3816N、(ガンツ化成(株)商品名)、メタブレンW-5500(三菱レイヨン(株)商品名)が挙げられる。
アクリロニトリルブタジエンゴム(NBR)粒子の具体例としては、XER-91(平均粒径0.5μm、JSR(株)製)などが挙げられる。
スチレンブタジエンゴム(SBR)粒子の具体例としては、XSK-500(平均粒径0.5μm、JSR(株)製)などが挙げられる。
アクリルゴム粒子の具体例としては、メタブレンW300A(平均粒径0.1μm)、メタブレンW450A(平均粒径0.5μm)(三菱レイヨン(株)製)を挙げることができる。
配合するゴム粒子の平均粒径は0.005〜1μmの範囲が好ましく、0.2〜0.6μmの範囲がより好ましい。本発明におけるゴム粒子の平均粒径は、動的光散乱法を用いて測定することができる。例えば、適当な有機溶剤にゴム粒子を超音波などにより均一に分散させ、FPRA-1000(大塚電子(株)製)を用いて、ゴム粒子の粒度分布を質量基準で作成し、そのメディアン径を平均粒径とすることで測定することができる。
当該ゴム粒子を配合する場合の、エポキシ樹脂組成物(不揮発分100重量%)中の含有量は、0.5〜10重量%であるのが好ましく、1〜4重量%がより好ましい。
<熱硬化性樹脂>
樹脂組成物には、必要に応じてマレイミド化合物、ビスアリルナジイミド化合物、ビニルベンジル樹脂、ビニルベンジルエーテル樹脂などのエポキシ樹脂以外の熱硬化性樹脂を配合することもできる。このような熱硬化性樹脂は2種以上を混合して用いてもよい。マレイミド樹脂としてはBMI1000、BMI2000、BMI3000、BMI4000、BMI5100(大和化成工業(株)製)、BMI、BMI−70、BMI−80(ケイ・アイ化成(株)製)、ANILIX−MI(三井化学ファイン(株)製)、ビスアリルナジイミド化合物としてはBANI−M、BANI−X(丸善石油化学工業(株)製)ビニルベンジル樹脂としてはV5000(昭和高分子(株)製)、ビニルベンジルエーテル樹脂としてはV1000X、V1100X(昭和高分子(株)製)が挙げられる。
<難燃剤>
樹脂組成物には、必要に応じて難燃剤を含有しても良い。難燃剤は2種以上を混合して用いてもよい。難燃剤としては、例えば、有機リン系難燃剤、有機系窒素含有リン化合物、窒素化合物、シリコーン系難燃剤、金属水酸化物等が挙げられる。
有機リン系難燃剤としては、三光(株)製のHCA、HCA−HQ、HCA−NQ等のホスフィン化合物、昭和高分子(株)製のHFB−2006M等のリン含有ベンゾオキサジン化合物、味の素ファインテクノ(株)製のレオフォス30、50、65、90、110、TPP、RPD、BAPP、CPD、TCP、TXP、TBP、TOP、KP140、TIBP、北興化学工業(株)製のPPQ、クラリアント(株)製のOP930、大八化学(株)製のPX200等のリン酸エステル化合物、東都化成(株)製のFX289、FX310等のリン含有エポキシ樹脂、東都化成(株)製のERF001等のリン含有フェノキシ樹脂等が挙げられる。
有機系窒素含有リン化合物としては、四国化成工業(株)製のSP670、SP703等のリン酸エステルミド化合物、大塚化学(株)社製のSPB100、SPE100等のホスファゼン化合物等が挙げられる。
金属水酸化物としては、宇部マテリアルズ(株)製のUD65、UD650、UD653等の水酸化マグネシウム、巴工業(株)製のB−30、B−325、B−315、B−308、B−303、UFH−20等の水酸化アルミニウム等が挙げられる。
<その他の配合物>
樹脂組成物には、必要に応じて、上述した以外の他の各種樹脂添加剤を任意で含有しても良い。樹脂添加剤としては、例えばシリコンパウダー、ナイロンパウダー、フッ素パウダー等の有機充填剤、オルベン、ベントン等の増粘剤、シリコーン系、フッ素系、高分子系の消泡剤又はレベリング剤、シラン系カップリング剤、トリアゾール化合物、チアゾール化合物、トリアジン化合物、ポルフィリン化合物等の密着性付与剤、フタロシアニン・ブルー、フタロシアニン・グリーン、アイオジン・グリーン、ジスアゾイエロー、カーボンブラック等の着色剤等を挙げることができる。
懸濁液及び樹脂組成物ワニスの調製においては、必要により適宜有機溶剤を添加してもよい。有機溶剤としては、例えば、アセトン、メチルエチルケトン、シクロヘキサノン等のケトン系溶剤;酢酸エチル、酢酸ブチル、セロソルブアセテート、プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート、カルビトールアセテート等の酢酸エステル系溶剤;セロソルブ、ブチルカルビトール等のカルビトール系溶剤;トルエン、キシレン等の芳香族炭化水素系溶剤;ジメチルホルムアミド、ジメチルアセトアミド、N-メチルピロリドン等のアミド系溶剤;等を挙げることができる。有機溶剤は1種を使用しても2種以上を組み合わせて用いてもよい。
<懸濁液の調製>
本発明において、懸濁液を調整する際には公知の攪拌加熱溶解装置を使用できるが、より早く均一溶解させるためにホモジナイザーやディスパー翼等の高速回転翼を装備した攪拌加熱溶解装置が好ましい。攪拌加熱溶解装置の具体例としては、T.Kホモミクサー、T.K.ホモディスパー、T.K.コンビミックス、T.K.ハイビスディスパーミックス、(以上、プライミクス(株)製 商品名)、クレアミックス(エム・テクニック(株)製 商品名)、真空乳化攪拌装置(みずほ工業(株)製 商品名)、真空混合装置「ネリマゼDX」(みずほ工業(株)製 商品名)、BDM2軸ミキサー、CDM同芯2軸ミキサー、PDミキサー(以上、(株)井上製作所製 商品名)が挙げられる。攪拌温度は使用する溶媒によっても異なるが、例えば、30℃〜80℃の範囲で行うことができる。懸濁液の粘度は10〜1000mPa・sが好ましく、より好ましくは、100〜500mPa・sである。粘度が高いとその液粘度により、衝突部位での粒子の拡散が抑制され、全体として不均一な分散となるという問題が生じる。なお、粘度はE型粘度計等の回転粘度計で測定することができる。
懸濁液中の無機充填材の含有量が懸濁液100重量%に対し30〜60重量%であるのが好ましく、40〜60重量%であるのがより好ましい。30重量%未満だと無機充填材の粒子同士の衝突の機会が減少し、十分なせん断力が得られず、高圧ホモジナイザーによる分散処理が不十分となるという問題が生じる。60重量%を超えると衝突部位の単位面積当たりに衝突する無機充填材の量が多くなり、高圧ホモジナイザーによる分散処理が不十分となると同時に、高圧ホモジナイザーの衝突部位の磨耗が激しくなるという問題が生じる。
<高圧ホモジナイザーによる分散処理>
上記のようにして調整された懸濁液は高圧ホモジナイザーによって分散処理される。高圧ホモジナイザーとは、原料を高圧に加圧し、スリット(隙間)を抜ける際のせん断力を利用して粉砕・分散・乳化を行う装置のことを指す。高圧ホモジナイザーとしては、無機充填材が高圧で衝突する部分の材質がタングステンカーバイド製、又はダイヤモンド製であることが衝突磨耗による異物混入を防ぐ上で好ましい。なお、高圧ホモジナイザーによる処理は、バッチ式分散方式でなく、連続分散方式であるため、生産性の向上とともに、有機溶剤蒸気が放散するリスクが低減でき、コスト面、環境面への負荷を低減することもできる。高圧ホモジナイザーの具体例としては、三和エンジニアリング(株)製高圧ホモゲナイザー、(株)イズミフードマシナリ製高圧ホモゲナイザー、ニロ・ソアビ社(イタリア)製高圧ホモジナイザー等が挙げられる。高圧ホモジナイザーの分散圧力は通常10〜300MPaであり、好ましく15〜100MPaであり、より好ましくは20〜60MPaの範囲である。分散圧力が低すぎると、分散処理が不十分となる傾向にあり、高すぎると懸濁液の液温が上昇し、懸濁液中の成分が反応したり、無機充填材の形状が変化する傾向にある。懸濁液中の成分の反応を抑制するためには、分散処理後の液温が60℃以下であることが好ましい。また、分散処理後は冷却装置を用いて、速やかに液温を40℃以下にさせることが好ましい。
<硬化剤成分混合液の作製と分散処理後の懸濁液との混合>
高圧ホモジナイザーによる分散処理の際には、分散されている組成物の温度が上昇する。そのため、エポキシ硬化剤などの硬化剤を含む溶液は、別途調整しておき、主剤等を含む組成物の高圧ホモジナイザーによる分散処理後に、該組成物に混合することが好ましい。分散処理された主剤等を含む組成物と硬化剤を含む溶液とを混合する装置としては、例えば、ディスパー翼、タービン翼、パドル翼、プロペラ翼、アンカー翼などを備えた公知の攪拌混合装置が使用できる。攪拌混合装置の具体例としては、プラネタリーミキサー、トリミックス、バタフライミキサー(以上(株)井上製作所製 商品名)、VMIX攪拌槽、マックスブレンド、SWIXERミキシングシステム(以上、(株)イズミフードマシナリ製 商品名)、Hi−Fミキサー(綜研テクニックス(株)製 商品名)、ジェットアジター((株)島崎製作所製 商品名)、などが挙げられる。また、上記<懸濁液の調製>の項で説明した攪拌加熱溶解装置を使用することもできる。分散処理された主剤等を含む組成物と硬化剤を含む溶液との混合は各々の成分を攪拌混合装置に投入し、通常の攪拌操作で行うことができる。
<樹脂組成物ワニスのろ過処理>
樹脂組成物ワニス中の異物、及び無機充填材の2次凝集体(凝集塊)等の除去のため、高圧ホモジナイザーによる分散処理後は樹脂組成物ワニスをろ過処理するのが好ましい。濾過方法は公知の方法が使用できる。例えば、樹脂組成物ワニスを定量ポンプで送液し、カートリッジフィルター、カプセルフィルター等を単独または連続して通過させる事により濾過する。その際のろ過圧力(差圧)はフィルターメッシュが目開きしないように0.4MPa以下が好ましい。また、定量ポンプは公知のものを使用できるが、ろ過圧力を一定に保つために脈動の少ないものが好ましい。ろ過のメッシュサイズは10μm〜30μmが好ましい。
<絶縁層の形成>
本発明の樹脂組成物は、支持体上に塗布し樹脂組成物層を形成させて接着フィルムとするか、または繊維からなるシート状繊維基材中に該樹脂組成物を含浸させてプリプレグとすることができる。本発明の樹脂組成物は回路基板に塗布して絶縁層を形成することもできるが、工業的には、一般に、接着フィルムまたはプリプレグの形態として絶縁層形成に用いられる。
本発明の接着フィルムは、当業者に公知の方法、例えば、支持体上に、上記樹脂組成物ワニスを塗布し、更に加熱、あるいは熱風吹きつけ等により有機溶剤などを乾燥、除去させて樹脂組成物層を形成させることにより製造することができる。
乾燥条件は特に限定されないが、樹脂組成物層への有機溶剤の含有割合が通常10重量%以下、好ましくは5重量%以下となるように乾燥させる。乾燥条件は、簡単な実験により適宜、好適な乾燥条件を設定することができる。ワニス中の有機溶媒量によっても異なるが、例えば30〜60重量%の有機溶剤を含むワニスを50〜150℃で3〜10分程度乾燥させることができる。
接着フィルムにおいて形成される樹脂組成物層の厚さは、通常、導体層の厚さ以上とする。回路基板が有する導体層の厚さは通常5〜70μmの範囲であるので、樹脂組成物層の厚さは10〜100μmの厚みを有するのが好ましい。樹脂組成物層は、後述する保護フィルムで保護されていてもよい。保護フィルムで保護することにより、樹脂組成物層表面へのゴミ等の付着やキズを防止することができる。
本発明における支持体としては、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリ塩化ビニル等のポリオレフィン;ポリエチレンテレフタレート(以下「PET」と略称することがある。)、ポリブチレンテレフタレート、ポリエチレンナフタレート等のポリエステル;ポリカーボネート;ポリイミドなどのプラスチックフィルムが挙げられる。プラスチックフィルムの中で、とくにPETが好ましい。支持体として銅箔、アルミニウム箔等の金属箔を使用し、金属箔付接着フィルムとすることもできる。保護フィルムは、同様のプラスチックフィルムを用いるのが好ましい。また支持体及び保護フィルムはマット処理、コロナ処理の他、離型処理を施してあってもよい。例えば、シリコーン樹脂系離型剤、アルキッド樹脂系離型剤、フッ素樹脂系離型剤等の離型剤を用いた離型処理が施してあってもよい。
支持体の厚さは特に限定されないが、通常10〜150μmであり、好ましくは25〜50μmの範囲で用いられる。また保護フィルムの厚さも特に制限されないが、通常1〜40μm、好ましくは10〜30μmの範囲で用いられる。
本発明における支持体は、内層回路基板等にラミネートした後に、或いは、加熱硬化することにより絶縁層を形成した後に、剥離される。接着フィルムを加熱硬化した後に支持体を剥離すれば、硬化工程でのゴミ等の付着を防ぐことができ、また硬化後の絶縁層の表面平滑性を向上させることができる。硬化後に剥離する場合、通常、支持体には予め離型処理が施される。なお、支持体上に形成される樹脂組成物層は、該層の面積が支持体の面積より小さくなるように形成するのが好ましい。また接着フィルムは、ロール状に巻き取って、保存、貯蔵することができる。
次に、本発明の接着フィルムを用いて本発明の多層プリント配線板等の回路基板を製造する方法について説明する。樹脂組成物層が保護フィルムで保護されている場合はこれらを剥離した後、樹脂組成物層を内層回路基板に直接接するように、内層回路基板の片面又は両面にラミネートする。本発明の接着フィルムにおいては真空ラミネート法により減圧下で内層回路基板にラミネートする方法が好適に用いられる。ラミネートの方法はバッチ式であってもロールでの連続式であってもよい。またラミネートを行う前に接着フィルム及び内層回路基板を必要により加熱(プレヒート)しておいてもよい。
本発明における内層回路基板とは、主として、ガラスエポキシ、金属基板、ポリエステル基板、ポリイミド基板、BTレジン基板、熱硬化型ポリフェニレンエーテル基板等の基板の片面又は両面にパターン加工された導体層(回路)が形成されたものをいう。また導体層と絶縁層が交互に層形成され、片面又は両面がパターン加工された導体層(回路)となっている、多層プリント配線板を製造する際に、さらに絶縁層および導体層が形成されるべき中間製造物も本発明における内層回路基板に含まれる。内層回路基板において、導体回路層表面は黒化処理等により予め粗化処理が施されていた方が絶縁層の内層回路基板への密着性の観点から好ましい。
ラミネートの条件は、圧着温度(ラミネート温度)を好ましくは70〜140℃、圧着圧力を好ましくは1〜11kgf/cm(9.8×10〜107.9×10N/m)とし、空気圧が20mmHg(26.7hPa)以下の減圧下でラミネートするのが好ましい。
真空ラミネートは市販の真空ラミネーターを使用して行うことができる。市販の真空ラミネーターとしては、例えば、ニチゴー・モートン(株)製 バキュームアップリケーター、(株)名機製作所製 真空加圧式ラミネーター、(株)日立インダストリイズ製 ロール式ドライコータ、日立エーアイーシー(株)製 真空ラミネーター等を挙げることができる。
このように接着フィルムを内層回路基板にラミネートした後、支持体を剥離する場合は剥離し、熱硬化することにより内層回路基板に絶縁層を形成することができる。加熱硬化の条件は150℃〜220℃で20分〜180分の範囲で選択され、より好ましくは160℃〜200℃で30〜120分である。
絶縁層を形成した後、硬化前に支持体を剥離していなかった場合は、この段階で剥離する。次に内層回路基板上に形成された絶縁層に穴開けを行いビアホール、スルーホールを形成する。穴あけは、例えば、ドリル、レーザー、プラズマ等の公知の方法により、また必要によりこれらの方法を組み合わせて行うことができるが、炭酸ガスレーザー、YAGレーザー等のレーザーによる穴あけがもっとも一般的な方法である。
次いで、絶縁層表面に粗化処理を行う。本発明における粗化処理は通常、酸化剤を使用した湿式粗化方法で行うのが好ましい。酸化剤としては、過マンガン酸塩(過マンガン酸カリウム、過マンガン酸ナトリウム等)、重クロム酸塩、オゾン、過酸化水素/硫酸、硝酸等が挙げられる。好ましくはビルトアップ工法による多層プリント配線板の製造における絶縁層の粗化に汎用されている酸化剤である、アルカリ性過マンガン酸溶液(例えば過マンガン酸カリウム、過マンガン酸ナトリウムの水酸化ナトリウム水溶液)を用いて粗化を行うのが好ましい。
絶縁層表面を粗化処理した粗化面の粗さは、微細配線を形成する上で、Ra値が50〜500nmであるのが好ましく、より好ましくは、50〜400nmであり、よりさらに好ましくは50〜350nmである。
なお、Ra値とは、表面粗さを表す数値の一種であり、算術平均粗さと呼ばれるものである。具体的には測定領域内で変化する高さの絶対値を平均ラインである表面から測定して算術平均したものである。例えば、ビーコインスツルメンツ社製 WYKO NT3300を用いて、VSIコンタクトモード、50倍レンズにより測定範囲を121μm×92μmとして得られる数値により求めることができる。
次に、粗化処理により凸凹のアンカーが形成された樹脂組成物層表面に、無電解メッキと電解メッキを組み合わせた方法で導体層を形成する。また導体層とは逆パターンのメッキレジストを形成し、無電解メッキのみで導体層を形成することもできる。なお導体層形成後、150〜200℃で20〜90分アニール(anneal)処理することにより、導体層のピール強度をさらに向上、安定化させることができる。導体層のピール強度は、好ましくは0.5kgf/cm以上であり、より好ましくは0.55kgf/cm以上である。
また、導体層をパターン加工し回路形成する方法としては、例えば当業者に公知のサブトラクティブ法、セミアディディブ法などを用いることができる。
本発明のプリプレグは、本発明の樹脂組成物ワニスを繊維からなるシート状繊維基材にホットメルト法又はソルベント法により含浸させ、加熱により半硬化させることにより製造することができる。すなわち、本発明の樹脂組成物ワニスが繊維からなるシート状繊維基材に含浸した状態となるプリプレグとすることができる。
繊維からなるシート状繊維基材としては、例えばガラスクロスやアラミド繊維等、プリプレグ用繊維として常用されているものを用いることができる。
ホットメルト法は、樹脂を有機溶剤に溶解することなく、一旦、樹脂との剥離性の良い塗工紙上に溶融した樹脂をコーティングし、それをシート状繊維基材にラミネートする、あるいはダイコーターにより直接塗工するなどして、プリプレグを製造する方法である。またソルベント法は、接着フィルムと同様、樹脂を有機溶剤に溶解した樹脂組成物ワニスにシート状繊維基材を浸漬し、樹脂組成物ワニスをシート状繊維基材に含浸させ、その後乾燥させる方法である。
次に本発明のプリプレグを用いて本発明の多層プリント配線板等の回路基板を製造する方法について説明する。
まず、内層回路基板に本発明のプリプレグを1枚あるいは必要により数枚重ね、離型フィルムを介して金属プレートを挟み加圧・加熱条件下でプレス積層する。圧力は好ましくは5〜40kgf/cm(49×10〜392×10N/m)、温度は好ましくは120〜200℃で20〜100分の範囲で成型するのが好ましい。また接着フィルムと同様に真空ラミネート法により内層回路基板にラミネートした後、加熱硬化することによっても製造可能である。
その後、前述の方法と同様、硬化したプリプレグ表面を、酸化剤を用いて粗化した後、導体層をメッキにより形成することで、多層プリント配線板等の回路基板を製造することができる。
以下の実施例及び比較例を用いて本発明をより詳細に説明するが、これらは本発明をいかなる意味においても制限するものではない。尚、以下の記載において、「部」は「質量部」を意味する。
シリカ((株)アドマテックス製、平均粒径0.5μmの球状シリカ)を用いたシリカスラリー(組成比、シリカ/MEK/シラン系カップリング剤(N−フェニル−γ−アミノプロピルトリメトキシシラン(信越化学工業(株)製))=70部/30部/0.5部)38部中にフェノキシ樹脂(ジャパンエポキシレジン(株)製YX6954BH30)8部、固体状エポキシ樹脂(日本化薬(株)製NC3000)12部を加え、T.K.ハイビスディスパーミックス(プライミクス(株)製3D−50型)にて、60℃で1時間攪拌加熱下に溶解させた後、冷却した。
上記混合物に、さらに液状エポキシ樹脂(ジャパンエポキシレジン(株)製jER828EL)8部、ゴム粒子(三菱レイヨン(株)製メタブレンW450A)2部、コールタールナフサ4部、難燃剤(三光(株)製HCA−HQ)2部を添加し、各成分が十分に混合されるように室温で30分間攪拌させ、粘度約300mPa・sの懸濁液S1を得た。
得られた懸濁液S1を高圧ホモジナイザー(ニロ・ソアビ(株)製NS3006H型)にポンプで送液し、30MPaの処理圧力で連続的に分散処理し、分散処理液D1を得た。
別に、硬化剤A(DIC(株)製LA7054)6部、硬化剤B(東都化成(株)製SN485)5部、MEK5部をプラネタリーミキサー((株)井上製作所製:PLM−50型)で1時間攪拌溶解させ、硬化剤成分混合液H1を作製した。
更に、ポリビニルアセタール樹脂(積水化学(株)製エスレックKS−1)1.5部をトルエン4.25部、エタノール4.25部に溶解し、有機高分子樹脂組成物P1を作製した。
分散処理液D1、硬化剤成分混合液H1、有機高分子樹脂組成物P1、をプラネタリーミキサー((株)井上製作所製:PLM−100型)で1時間攪拌混合後、10μmフィルターでろ過して、樹脂組成物ワニスE1を得た。
実施例1と同様に調整した懸濁液を高圧ホモジナイザー(ニロ・ソアビ(株)製NS3015H型)にポンプで送液し、50MPaの処理圧力で連続的に分散処理し、その後の操作も実施例1と同様の方法により、樹脂組成物ワニスE2を得た。
実施例1と同様に調整した懸濁液を高圧ホモジナイザー(ニロ・ソアビ(株)製NS3015H型)にポンプで送液し、70MPaの処理圧力で連続的に分散処理し、その後の操作も実施例1と同様の方法により、樹脂組成物ワニスE3を得た。
シリカ((株)アドマテックス製、平均粒径0.5μmの球状シリカ)を用いたシリカスラリー(組成比、シリカ/MEK/シラン系カップリング剤(N−フェニル−γ−アミノプロピルトリメトキシシラン(信越化学工業(株)製))=70部/30部/0.5部)38部中に固体状エポキシ樹脂(日本化薬(株)製NC3000)12部を加え、T.K.ハイビスディスパーミックス(プライミクス(株)製3D−50型)にて、60℃で1時間攪拌加熱溶解させた後、冷却した。
上記混合物に、さらに液状エポキシ樹脂(ジャパンエポキシレジン(株)製jER828EL)8部、ゴム粒子(三菱レイヨン(株)製メタブレンW450A)2部、コールタールナフサ4部、難燃剤(三光(株)製HCA−HQ)2部を添加し、各成分が十分に混合されるように室温で30分間攪拌させ、粘度約200mPa・sの懸濁液S4を得た。
得られた懸濁液S4を高圧ホモジナイザー(ニロ・ソアビ(株)製NS3006H型)にポンプで送液し、50MPaの処理圧力で連続的に分散処理し、分散処理液D4を得た。
別に、硬化剤A(DIC(株)製LA7054)6部、硬化剤B(東都化成(株)製SN485)5部、フェノキシ樹脂(ジャパンエポキシレジン(株)製YX6954BH30)8部、MEK5部をプラネタリーミキサー((株)井上製作所製:PLM−50型)で1時間攪拌溶解させ、硬化剤成分混合液H4を作製した。
更に、ポリビニルアセタール樹脂(積水化学(株)製エスレックKS−1)1.5部をトルエン4.25部、エタノール4.25部に溶解し、有機高分子樹脂組成物P4を作製した。
分散処理液D4、硬化剤成分混合液H4、有機高分子樹脂組成物P4、をプラネタリーミキサー((株)井上製作所製:PLM−100型)で1時間攪拌混合後、10μmフィルターでろ過して、樹脂組成物ワニスE4を得た。
比較例1
シラン系カップリング剤(N−フェニル−γ−アミノプロピルトリメトキシシラン、信越化学工業(株)製)でシラン系カップリング剤処理を施したシリカ((株)アドマテックス製、平均粒径0.5μmの球状シリカ)27部、液状エポキシ樹脂(ジャパンエポキシレジン(株)製jER828EL)8部、ゴム粒子(三菱レイヨン(株)製メタブレンW450A)2部、コールタールナフサ4部、難燃剤(三光(株)製HCA−HQ)2部を混合し、3本ロールミル((株)井上製作所製HHC306×610型)で2回混練分散して充填材混練物m1を得た。
別に、フェノキシ樹脂(ジャパンエポキシレジン(株)製YX6954BH30)8部、固体状エポキシ樹脂(日本化薬(株)製NC3000)12部、MEK11部をプラネタリーミキサー((株)井上製作所製:PLM−50型)で1時間攪拌溶解させ、フェノキシ樹脂とエポキシ樹脂の混合液r1を作製した。
更に、硬化剤A(DIC(株)製LA7054)6部、硬化剤B(東都化成(株)製SN485)5部、MEK5部をプラネタリーミキサー((株)井上製作所製:PLM−50型)で1時間攪拌溶解させ、硬化剤成分混合液h1を作製した。
更に、ポリビニルアセタール樹脂(積水化学(株)製エスレックKS−1)1.5部をトルエン4.25部、エタノール4.25部に溶解し、有機高分子樹脂組成物p1を作製した。
上記の充填材混練物m1、フェノキシ樹脂とエポキシ樹脂の混合液r1、硬化剤成分混合液h1、有機高分子樹脂組成物p1、をプラネタリーミキサー((株)井上製作所製:PLM−100型)で1時間攪拌混合後、10μmフィルターでろ過して、樹脂組成物ワニスC1を得た。
比較例2
シラン系カップリング剤(N−フェニル−γ−アミノプロピルトリメトキシシラン(信越化学工業(株)製)でシラン系カップリング剤処理を施したシリカ((株)アドマテックス製、平均粒径0.5μm球状シリカ)27部にMEK11部、フェノキシ樹脂(ジャパンエポキシレジン(株)製YX6954BH30)8部、固体状エポキシ樹脂(日本化薬(株)製NC3000)12部、を加え、ハイビスミクサー(プライミクス(株)製3D−50型)にて60℃で1時間攪拌加熱溶解させた後、冷却した。
上記混合物に、さらに液状エポキシ樹脂(ジャパンエポキシレジン(株)製jER828EL)8部、ゴム粒子(三菱レイヨン(株)製メタブレンW450A)2部、コールタールナフサ4部、難燃剤(三光(株)製HCA−HQ)2部を添加し、各成分が十分に混合されるように室温で30分攪拌させ、粘度約300mPa・sの懸濁液s2を得た。
得られた懸濁液s2を高圧ホモジナイザー(ニロ・ソアビ(株)製NS3006H型)にポンプで送液し、50MPaの処理圧力で連続的に分散処理し、分散処理液d2を得た。
別に、硬化剤A(DIC(株)製LA7054)6部、硬化剤B(東都化成(株)製SN485)5部、MEK5部をプラネタリーミキサー((株)井上製作所製:PLM−50型)で1時間攪拌溶解させ、硬化剤成分混合液h2を作製した。
更に、ポリビニルアセタール樹脂(積水化学(株)製エスレックKS−1)1.5部をトルエン4.25部、エタノール4.25部に溶解し、有機高分子樹脂組成物p2を作製した。
分散処理液d2、作製した硬化剤成分混合液h2、有機高分子樹脂組成物p2、をプラネタリーミキサー((株)井上製作所製:PLM−100型)で1時間攪拌混合後、10μmフィルターでろ過して、樹脂組成物ワニスC2を得た。
比較例3
シリカ((株)アドマテックス製、平均粒径0.5μm球状シリカ)を用いたシリカスラリー(組成比、シリカ/MEK/シラン系カップリング剤(N−フェニル−γ−アミノプロピルトリメトキシシラン(信越化学工業(株)製))=70部/30部/0.5部)38部中にフェノキシ樹脂(ジャパンエポキシレジン(株)製YX6954BH30)8部、固体状エポキシ樹脂(日本化薬(株)製NC3000)12部、を加え、T.K.ハイビスディスパーミックス(プライミクス(株)製3D−50型)にて60℃×1時間攪拌加熱溶解させた後、冷却した。
上記混合物に、さらに液状エポキシ樹脂(ジャパンエポキシレジン(株)製jER828EL)8部、ゴム粒子(三菱レイヨン(株)製メタブレンW450A)2部、コールタールナフサ4部、難燃剤(三光(株)製HCA−HQ)2部を添加し、各成分が十分に混合されるように室温で30分攪拌させ、粘度約300mPa・sの懸濁液s3を得た。
別に、硬化剤A(DIC(株)製LA7054)6部、硬化剤B(東都化成(株)製SN485)5部、MEK5部をプラネタリーミキサー((株)井上製作所製:PLM−50型)で1時間攪拌溶解させ、硬化剤成分混合液h3を作製した。
更に、ポリビニルアセタール樹脂(積水化学(株)製エスレックKS−1)1.5部をトルエン4.25部、エタノール4.25部に溶解し、有機高分子樹脂組成物p3を作製した。
上記の懸濁液s3、作製した硬化剤成分混合液h3、有機高分子樹脂組成物p3、を混合し、高速分散機であるT.K.ハイビスディスパーミックス(プライミクス(株)製3D−50型)にて50℃以下で1時間高速分散し、分散処理液d3を得た。得られた分散処理液d3を10μmフィルターでろ過したところ、フィルターの目詰まりが発生し、分散性の良い樹脂組成物ワニスを得ることはできなかった。そのため、d3を用いたフィルムは作製しなかった。
[樹脂フィルムの作製]
実施例1〜4で得られた樹脂組成物ワニス(E1,E2,E3,E4)、及び、比較例1〜2で得られた樹脂組成物ワニス(C1,C2)をポリエチレンテレフタレート(厚さ38μm、以下必要に応じてPETと称する)フィルム上に、乾燥後の樹脂厚みが40μmとなるようにダイコーターにて塗布し、80〜120℃(平均110℃)で10分間乾燥させ、シート状の樹脂フィルムを得た。
[ピール強度、及び、表面粗さ(Ra値)測定用サンプルの調整]
(1)積層板の下地処理
ガラス布基材エポキシ樹脂両面銅張積層板[銅箔の厚さ18μm、基板厚み0.8mm、パナソニック電工(株)製R5715ES]の両面をメック(株)製CZ8100(銅のマイクロエッチング剤)に浸漬して銅表面の粗化処理を行った。
(2)樹脂フィルムのラミネート
実施例、及び、比較例で得られた樹脂組成物ワニスより作製した樹脂フィルムを、バッチ式真空加圧ラミネーター(名機(株)製MVLP−500)を用いて、上記両面銅張積層板の両面にラミネートした。ラミネートは、30秒間減圧して気圧を13hPa(ヘクトパスカル)以下とし、その後、30秒間、圧力0.74MPa(メガパスカル)でプレスすることにより行った。
(3)樹脂の硬化
ラミネートされた樹脂フィルムからPETフィルムを剥離し、180℃で30分間の硬化条件で、樹脂を硬化した。これにより、両面銅張積層板の両面に硬化された絶縁材料からなる絶縁層が形成された。
(4)絶縁層表面の粗化処理および表面粗さの測定
積層板を、膨潤液である、アトテックジャパン(株)のスエリングディップ・セキュリガントP(Swelling Dip Securiganth P)に60℃で5〜10分間浸漬し、次に粗化液としてアトテックジャパン(株)のコンセントレート・コンパクトP(KMnO:60g/L、NaOH:40g/Lの水溶液)に80℃で20分間浸漬、最後に中和液として、アトテックジャパン(株)のリダクションソリューシン・セキュリガントPに40℃で5分間浸漬した。上記一連の工程により、積層板の両面に形成された絶縁層表面の粗化処理を行った。
この粗化処理後の積層板について、表面粗さ(Ra値)の測定を行った。
粗化された絶縁層の表面粗さ(Ra値)を、非接触型表面粗さ計(ビーコインスツルメンツ社製WYKO NT3300)を用いて測定した。
(5)セミアディティブ工法によるメッキおよびピール強度の測定
積層板を、PdClを含む無電解メッキ用溶液に浸漬し、次に無電解銅メッキ液に浸漬した。150℃にて30分間加熱してアニール処理を行った。これにより、約30μm厚のメッキ銅層を形成した。
メッキ終了後の積層板について下記の方法でメッキ銅のピール強度の測定を行った。
<メッキ銅層の引き剥がし強さ(ピール強度)の測定方法>
積層板の銅層に、幅10mm、長さ100mmの部分の切れ込みを入れ、メッキ銅層の一端を剥がしてつかみ具で掴み、JIS C6481に準拠して測定した。すなわち、室温中にて、50mm/分の速度で垂直方向に35mm引き剥がした時の荷重を測定した。なお、測定サンプルの導体メッキ厚は約30μmとした。
実施例1〜4、及び、比較例1、2で得られた樹脂組成物ワニスより作製した樹脂フィルムのサンプルについて、上述の方法にて粗化後の表面粗さ(Ra値)、メッキ銅層の引き剥がし強さ(ピール強度)を繰り返して測定した結果を表1、及び図1に示す。また、実施例1〜4、及び、比較例1〜3の樹脂ワニスの配合組成及び分散処理条件を表2で対比して示した。
Figure 2010150407
Figure 2010150407
以下、図1の結果について説明する。なお、図1の横軸はメッキ前の粗化された絶縁層の表面粗さ(Ra値)であり、縦軸はメッキ銅層のピール強度である。
比較例1の樹脂組成物ワニス(C1)では、実施例1〜4のワニス(E1,E2,E3,E4)とは異なり、シリカスラリーを用いておらず、かつ、高圧ホモジナイザーによる分散処理がされていない。そのためピール強度を上げるためには実施例よりも高いRa値が必要となっている。
また、比較例2の樹脂組成物ワニス(C2)では、高圧ホモジナイザーによる分散処理がされているものの、シリカスラリーが用いられていないため、やはりピール強度を上げるために実施例よりも高いRa値が必要となっている。
以上説明したように、本発明の実施例1〜4で得られたワニス(E1,E2,E3,E4)より作製した樹脂フィルムサンプルは、比較例で得られたワニス(C1,C2)より作製した樹脂フィルムサンプルに比べて、低粗度における導体層の高ピール強度化に優れるものであることが分かる。
この結果は、本発明の製法により得られた樹脂組成物ワニスを多層プリント配線基板の絶縁層を構成する樹脂として使用することにより、低粗度における導体層の高ピール強度化に優れた効果を発揮する事を意味する。
本発明の製造方法は、配線の更なる微細化及び高密度化に有益である、低粗度、且つ高ピール強度が要求される多層プリント配線基板の絶縁層を構成する樹脂用の樹脂組成物ワニスの製造方法として好適である。
図1は、実施例、及び、比較例で得られた樹脂組成物ワニスより作製した樹脂フィルムのサンプルについて、粗化後の表面粗さ(Ra値)の測定値と、メッキ銅層の引き剥がし強さ(ピール強度)の測定値との相関を表した図である。

Claims (16)

  1. 無機充填材を有機溶剤に分散させた無機充填材スラリーと樹脂成分を混合して調製された懸濁液を、高圧ホモジナイザーにより分散処理することを特徴とする樹脂組成物ワニスの製造方法。
  2. 有機溶剤が極性有機溶剤である請求項1記載の方法。
  3. 樹脂成分がエポキシ樹脂を含有する請求項1記載の方法。
  4. 高圧ホモジナイザーによる分散処理の後、さらに硬化剤を含む溶液を混合する請求項1記載の方法。
  5. 高圧ホモジナイザーの分散圧力が10〜300MPaである請求項1記載の方法。
  6. 高圧ホモジナイザーの分散圧力が15〜100MPaである請求項1記載の方法。
  7. 高圧ホモジナイザーの分散圧力が20〜60MPaである請求項1記載の方法。
  8. 懸濁液の粘度が10〜1000mPa・sである請求項1記載の方法。
  9. 懸濁液の粘度が100〜500mPa・sである請求項1記載の方法。
  10. 懸濁液中の無機充填材の含有量が懸濁液100重量%に対し30〜60重量%である請求項1記載の方法。
  11. 無機充填材の平均粒径が0.02〜2μmである請求項1記載の方法。
  12. 無機充填材がシラン系カップリング剤で表面処理されている請求項1記載の方法。
  13. 無機充填材が球状シリカである請求項1記載の方法。
  14. 請求項1〜13のいずれか1項記載の方法で製造された樹脂組成物ワニスにより支持体上に形成された樹脂組成物層を有する接着フィルム。
  15. 請求項1〜13のいずれか1項記載の方法で製造された樹脂組成物ワニスを繊維状シート基材に含浸して得られたプリプレグ。
  16. 請求項14記載の接着フィルム又は請求項15記載のプリプレグを用いて形成された絶縁層を有する回路基板。
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