JP2010150091A - リチウム複合金属酸化物の製造方法 - Google Patents

リチウム複合金属酸化物の製造方法 Download PDF

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Abstract

【課題】リチウム複合金属酸化物を製造する際の水熱処理工程で使用する耐食性装置を提供する。
【解決手段】Liおよび少なくとも1種の遷移金属元素を含有し、以下の(1)、(2)、(3)および(4)の工程をこの順で含むリチウム複合金属酸化物の製造方法において、(2)の水熱処理工程で、13〜25重量%のCrおよび7〜25重量%のMoを含有するニッケル合金からなる装置を用いて水熱処理することを特徴とするリチウム複合金属酸化物の製造方法。
(1)少なくとも1種の遷移金属元素を含有する水溶液とアルカリ(A)とを混合することにより、沈殿を生成させる生成工程
(2)該沈殿と酸化剤と、LiOHを含むアルカリ(B)とを含有する液状混合物を150℃〜350℃の温度範囲で水熱処理し、水熱処理品を得る水熱処理工程
(3)該水熱処理品を洗浄し、洗浄品を得る洗浄工程
(4)該洗浄品を乾燥し、乾燥品を得る乾燥工程
【選択図】なし

Description

本発明は、リチウム複合金属酸化物の製造方法に関する。詳しくは、リチウム複合金属酸化物を製造する際の水熱処理工程で使用する耐食性装置に関する。
リチウム複合金属酸化物は、リチウム二次電池などの非水電解質二次電池の正極に用いられている。リチウム二次電池は、既に携帯電話やノートパソコン等の電源として実用化されており、更に自動車用途や電力貯蔵用途などの中・大型用途においても、適用が試みられている。
リチウム二次電池に用いられているリチウム複合金属酸化物を製造する方法として、少なくとも1種の遷移金属元素を含有する水溶液とアルカリとを混合して沈殿を生成させ、この沈殿と酸化剤と、LiOHを含むアルカリとを含有する液状混合物を150℃〜350℃の温度範囲で水熱処理し、得られる水熱処理品を洗浄し、得られる洗浄品を乾燥してリチウム複合金属酸化物を製造する方法が知られている(特許文献1、特許文献2参照。)。
水熱処理は、高温、高圧でアルカリおよび酸化剤の存在下で行うため、ポリテトラフルオロエチレン製ビーカーに入れ、オートクレーブ中に静置して行われている(実施例)が、工業的に長期に実施するには、処理液の出し入れに手間がかかり、またオートクレーブの腐食が避けられず、生産性で十分とは言えない。
ポリテトラフルオロエチレンをライニングした装置は、耐食性であるものの、複雑な構造のものは作製し難いなどの問題を有している。
また、耐アルカリ材として使用されるNiは耐食性が十分でなく、複雑な構造の装置でも作製し易い耐食性材料からなる装置が望まれている。
特開2008−13419号公報 特開2008−98154号公報
本発明の目的は、リチウム複合金属酸化物を製造する際の水熱処理工程で使用する耐食性装置を提供することにある。
すなわち本発明は、下記の発明から構成される。
<1>Liおよび少なくとも1種の遷移金属元素を含有し、以下の(1)、(2)、(3)および(4)の工程をこの順で含むリチウム複合金属酸化物の製造方法において、(2)の水熱処理工程で、13〜25重量%のCrおよび7〜25重量%のMoを含有するニッケル合金からなる装置を用いて水熱処理することを特徴とするリチウム複合金属酸化物の製造方法。
(1)少なくとも1種の遷移金属元素を含有する水溶液とアルカリ(A)とを混合することにより、沈殿を生成させる生成工程
(2)該沈殿と酸化剤と、LiOHを含むアルカリ(B)とを含有する液状混合物を150℃〜350℃の温度範囲で水熱処理し、水熱処理品を得る水熱処理工程
(3)該水熱処理品を洗浄し、洗浄品を得る洗浄工程
(4)該洗浄品を乾燥し、乾燥品を得る乾燥工程
<2>以下の(5)の工程を含む前記のリチウム複合金属酸化物の製造方法。
(5)上記乾燥品を焼成し、焼成品を得る焼成工程
<3>以下の(6)の工程を含む前記のリチウム複合金属酸化物の製造方法。
(6)上記乾燥品とリチウム塩とを混合して得られる混合物を焼成し、焼成品を得る焼成工程
<4>Liおよび少なくとも1種の遷移金属元素を含有し、以下の(1)、(2)、(3)および(7)の工程をこの順で含むリチウム複合金属酸化物の製造方法において、(2)の水熱処理工程で、13〜25重量%のCrおよび7〜25重量%のMoを含有するニッケル合金からなる装置を用いて水熱処理することを特徴とするリチウム複合金属酸化物の製造方法。
(1)少なくとも1種の遷移金属元素を含有する水溶液とアルカリ(A)とを混合することにより、沈殿を生成させる生成工程
(2)該沈殿と酸化剤とLiOHを含むアルカリ(B)とを含有する液状混合物を150℃〜350℃の温度範囲で水熱処理し、水熱処理品を得る水熱処理工程
(3)該水熱処理品を洗浄し、洗浄品を得る洗浄工程
(7)該洗浄品とリチウム塩とを混合して得られる混合物を焼成し、焼成品を得る焼成工程
本発明によって、リチウム複合金属酸化物を製造する際の水熱処理工程で使用する装置材料として、複雑な構造のものでも作製し易い耐食性材料を、従ってこの耐食性材料からなる耐食性装置を提供でき、腐食や損傷を起こすことなく、工業的に安定してリチウム二次電池に用いられているリチウム複合金属酸化物を製造することができる。
本発明におけるリチウム複合金属酸化物は、Liおよび少なくとも1種の遷移金属元素を含有し、少なくとも1種の遷移金属元素としては、Ti、V、Cr、Mn、Fe、Co、NiおよびCuから選ばれる1種以上の元素が挙げられる。得られる非水電解質二次電池の放電容量の観点からは、Liと、Ni、Co、MnおよびFeから選ばれる少なくとも1種の元素を含有するリチウム複合金属酸化物が好ましく、Liと、Ni、CoおよびMnから選ばれる少なくとも1種の元素を含有するリチウム複合金属酸化物がより好ましい。
リチウム複合金属酸化物の組成において、Liおよび遷移金属元素の組成としては、遷移金属元素の合計量(モル)に対し、Liの量(モル)は、通常、1.0を超え2.0未満であり、容量維持率をより高める意味で、1.4以上、1.8以下であることが好ましく、より好ましくは1.5以上、1.7以下である。
遷移金属元素がMn、Ni及びCoの場合、放電容量の観点から、遷移金属元素の合計量(モル)に対し、Mnの量(モル)が0.4以上、1以下であることが好ましく、より好ましくは0.4以上、0.9以下であり、更に好ましくは0.4以上、0.8以下である。
CoおよびNiの合計量(モル)に対し、Coの量(モル)が0以上、0.4以下である場合が、容量維持率をより大きくすることができる意味で好ましく、より好ましくは0以上、0.35以下、更に好ましくは0以上、0.25以下である。また、CoおよびMnの合計量(モル)に対し、Coの量(モル)が0以上、0.4以下である場合が、容量維持率をより大きくすることができる意味で好ましく、より好ましくは0以上、0.35以下、更に好ましくは0以上、0.25以下である。
また、本発明の効果を損なわない範囲で、Li、Ti、V、Cr、Mn、Fe、Co、Niの一部をB、Al、Ga、In、Si、Ge、Sn、Mg、Sc、Y、Zr、Hf、V、Nb、Ta、Mo、W、Tc、Ru、Rh、Ir、Pd、Ag、Zn等の元素で置換してもよい。
本発明の製造方法は、以下の(1)、(2)、(3)および(4)の工程をこの順で含み、その際、(2)の水熱処理工程において、13〜25重量%のCrおよび7〜25重量%のMoを含有するニッケル合金からなる装置を用いて水熱処理する。
(1)少なくとも1種の遷移金属元素を含有する水溶液とアルカリ(A)とを混合することにより、沈殿を生成させる生成工程
(2)該沈殿と酸化剤と、LiOHを含むアルカリ(B)とを含有する液状混合物を150℃〜350℃の温度範囲で水熱処理し、水熱処理品を得る水熱処理工程
(3)該水熱処理品を洗浄し、洗浄品を得る洗浄工程
(4)該洗浄品を乾燥し、乾燥品を得る乾燥工程
生成工程(1)における少なくとも1種の遷移金属元素を含有する水溶液は、原料として、遷移金属元素を含有する化合物で、塩化物、硝酸塩、硫酸塩、シュウ酸塩、酢酸塩などの水溶性化合物を用いる場合には、該化合物を水に溶解させて製造すればよい。これらの水溶性化合物は、無水物および水和物のいずれであってもよい。また、水酸化物、酸水酸化物、酸化物などの水への溶解が困難な場合には、塩酸などの酸に溶解させて製造すればよい。
例えば、Mnを含有する化合物としてはMnCl2・4H2O、Niを含有する化合物としてはNi(NO3)2・6H2O、Coを含有する化合物としてはCo(NO3)2・6H2Oなどが挙げられる。
生成工程(1)におけるアルカリ(A)としては、LiOH(水酸化リチウム)、NaOH(水酸化ナトリウム)、KOH(水酸化カリウム)、NH3(アンモニア)、Na2CO3(炭酸ナトリウム)、K2CO3(炭酸カリウム)および(NH42CO3(炭酸アンモニウム)からなる群より選ばれる1種以上の無水物および/または該1種以上の水和物を用いることができ、通常、これらを水に溶解させて、水溶液として用いる。該水溶液におけるアルカリ(A)の濃度は、通常0.1〜20M程度、好ましくは0.5〜10M程度である。また、リチウム複合金属酸化物における不純物を減らす観点から、アルカリ(A)として、LiOHの無水物および/または水和物を用いることが好ましい。また、取扱い易さからは、アルカリ(A)としてKOHもしくはNaOHが好ましく用いられる。また、これらのアルカリ(A)を2つ以上併用してもよい。
生成工程(1)において、上記の遷移金属元素を含有する水溶液とアルカリ(A)とを混合することにより、沈殿を生成させるときには、例えば、Mを含有する水溶液にアルカリ(A)を添加する。このとき、遷移金属元素を含有する水溶液を攪拌しておくことが好ましい。粒径が均一な沈殿を得るために、遷移金属元素を含有する水溶液を攪拌しながら、アルカリ(A)の水溶液を滴下することがより好ましい。この場合、遷移金属元素を含有する水溶液を攪拌しながら、該水溶液のpHの計測を開始し、アルカリ(A)の水溶液を滴下するに従い、計測pHが上昇していく傾向にあるが、計測pHが11以上となるまで、アルカリ(A)の水溶液を滴下するのがよい。また添加するアルカリ(A)の量を把握しているときには、アルカリ(A)の水溶液に、Mを含有する水溶液を添加することにより、沈殿を生成させてもよい。
また、沈殿生成を均一に行う意味で、遷移金属元素を含有する水溶液および/またはアルカリ(A)の水溶液を冷却して用いてもよい。この冷却のときの温度としては、10℃以下が好ましく、より好ましくは−15℃以上5℃以下程度である。冷却の温度を0℃以下とする場合には、不凍液としてメタノール、エタノール、エチレングリコールなど、水100重量部に対し、不凍液1〜50重量部の割合でMを含有する水溶液および/またはアルカリ(A)の水溶液に添加してもよい。
本発明の効果をより上げる意味で、上記の遷移金属元素を含有する水溶液中に、空気等の酸素含有ガスを導入する操作をしながら、アルカリ(A)を添加してもよい。アルカリ(A)の水溶液中に、遷移金属元素を含有する水溶液を添加する場合には、アルカリ(A)の水溶液中に、ガスを導入する操作を行うのがよい。また、混合後に、該操作を行ってもよい。該操作の時間としては、1時間〜5日程度、温度としては、0〜100℃程度である。
生成工程(1)における混合により、生成された沈殿を有する混合液について、ろ過等の固液分離を行う場合には、混合液を固液分離し得られる沈殿を再度水に分散させて得られる分散液を、水熱処理工程(2)で用いる。固液分離し得られる沈殿について、洗浄を行ってもよい。また、生成された沈殿を有する混合液を、固液分離を行うことなしに、そのまま水熱処理工程(2)で用いてもよい。
水熱処理工程(2)において、液状混合物は、生成工程(1)で得られた沈殿と酸化剤とLiOHを含むアルカリ(B)とを含有するものである。酸化剤は、液状混合物中の金属元素を酸化するのに用いる。酸化剤としては、NaClO(次亜塩素酸ナトリウム)、HNO3(硝酸)、KClO3(塩素酸カリウム)およびH22(過酸化水素)からなる群より選ばれる1種以上を挙げることができ、製造コスト、酸化反応性の面では、H22および/またはKClO3が好ましく、酸化反応制御をし易くする意味でより好ましいのはKClO3である。また、LiOHを含むアルカリ(B)としては、LiOHの無水物および/または水和物のみか、さらにNaOHの無水物および/または水和物、KOHの無水物および/または水和物、好ましくはKOHの無水物および/または水和物を含有してもよい。これらの酸化剤およびアルカリ(B)を、上記の混合液または分散液に添加して、液状混合物を製造することができる。液状混合物中の酸化剤の濃度は、通常0.1〜10M程度、好ましくは0.3〜5M程度であり、液状混合物中のアルカリ(B)は、通常0.1〜30モル程度、好ましくは、1〜20モル程度であり、液状混合物中の沈殿の含有量は通常1〜200g/(液体混合物1L)程度である。また、液状混合物におけるLiの濃度は、0.1〜10Mとしておくことが好ましく、0.5〜5Mとしておくことがより好ましい。液状混合物は、必要に応じて、塩化リチウム、硝酸リチウム、炭酸リチウムを含有してもよい。また、液状混合物のpHは、水熱処理における反応を促進させる意味で、11以上であることが好ましく、13以上であることがより好ましい。
水熱処理工程(2)において上記の液状混合物を用いて、150℃〜350℃の温度範囲で水熱処理し、水熱処理品を得る。この温度範囲における圧力は、通常、0.4MPa〜17MPa程度である。水熱処理の好ましい温度範囲としては、180℃〜250℃である。水熱処理の時間としては、通常0.1〜150時間程度であり、好ましくは0.5〜50時間である。
水熱処理工程(2)では、13〜25重量%のCrおよび7〜25重量%のMoを含有するニッケル合金からなる装置を用いる。このニッケル合金の市販品としては、ハステロイ(登録商標)C−22(Ni:残部、Co:<2.5、Cr:20.0-22.5、Mo:12.5-14.5、W:2.5-3.5、Fe:2.0-6.0)、ハステロイC−276(Ni:残部、Co:<2.5、Cr:14.5-16.5、Mo:15.0-17.0、W:3.0-4.5、Fe:4.0-7.0)、MAT21(登録商標)(Ni:残部、Co:<1.0、Cr:18.0-20.0、Mo:18.0-20.0、Fe:<1.0、Nb+Ta:1.5-2.2)、Alloy59(Ni:残部、Co:<0.3、Cr:22.0-24.0、Mo:22.0-24.0、Fe:<1.5、Al:0.1-0.4)、インコネル(登録商標)625(Ni:残部、Co:<1.0、Cr:20.0-23.0、Mo:8.0-10.0、Fe:<5.0、Nb+Ta:3.15-4.15、Al:<0.40)などが挙げられる。なお、組成の数値は重量%である。本発明において装置とは、高温の処理液と接する容器、配管、弁栓などである。
洗浄工程(3)において、水熱処理品を洗浄する。この洗浄により、水熱処理品中の例えば水酸化リチウム、塩化リチウム、硝酸リチウム、炭酸リチウム、酸化剤等の不純物を除去することができる。洗浄は、通常、水熱処理品をろ過等により固液分離後に得られる固形分を、水、水−アルコール、アセトンなどにより洗浄し、再度、固液分離する。固液分離後の固形分が、洗浄品である。
乾燥工程(4)において、洗浄品を乾燥し、乾燥品を得る。この乾燥は、通常、熱処理によって行うが、送風乾燥、真空乾燥等によってもよい。熱処理によって行う場合には、通常50〜300℃未満で行い、好ましくは100℃〜200℃程度である。乾燥工程(4)において得られる乾燥品は、本発明におけるリチウム複合金属化合物である。
また、本発明の製造方法においては、さらに、以下の(5)または(6)の工程を付加することが好ましい。
(5)上記の乾燥品を焼成し、焼成品を得る焼成工程
(6)上記の乾燥品とリチウム化合物とを混合して得られる混合物を焼成し、焼成品を得る焼成工程
また、以下の(1)、(2)、(3)および(7)の工程を含み、(2)の水熱処理工程で、13〜25重量%のCrおよび7〜25重量%のMoを含有するニッケル合金からなる装置を用いて水熱処理する製法によって、リチウム複合金属酸化物を製造してもよい。ここで、以下の(1)、(2)および(3)の工程は、上記と同じ意味を有する。
(1)少なくとも1種の遷移金属元素を含有する水溶液とアルカリ(A)とを混合することにより、沈殿を生成させる生成工程
(2)該沈殿と酸化剤とLiOHを含むアルカリ(B)とを含有する液状混合物を150℃〜350℃の温度範囲で水熱処理し、水熱処理品を得る水熱処理工程
(3)該水熱処理品を洗浄し、洗浄品を得る洗浄工程
(7)該洗浄品とリチウム塩とを混合して得られる混合物を焼成し、焼成品を得る焼成工程
焼成品を得る工程がある場合には、焼成品は、本発明におけるリチウム複合金属化合物である。焼成を行うことにより、リチウム複合金属化合物の結晶性が向上し、初期放電容量が大きくなる場合がある。
焼成工程(5)、(6)または(7)において、焼成の温度は、300℃以上1000℃以下であることが好ましく、より好ましくは500℃以上900℃以下である。前記焼成温度で保持する時間は、通常0.1〜20時間であり、好ましくは0.5〜8時間である。前記焼成温度までの昇温速度は、通常50℃〜400℃/時間であり、前記焼成温度から室温までの降温速度は、通常10℃〜400℃/時間である。また、焼成の雰囲気としては、空気、酸素、窒素、アルゴンまたはそれらの混合ガスを用いることができるが、酸素が含まれている雰囲気が好ましい。
焼成工程(6)または(7)におけるリチウム塩としては、水酸化リチウム、塩化リチウム、硝酸リチウムおよび炭酸リチウムからなる群より選ばれる1種以上の無水物および/または該1種以上の水和物を挙げることができる。乾燥品または洗浄品とリチウム塩との混合方法には、乾式混合法、湿式混合法のいずれを用いることができる。湿式混合法は、乾燥品または洗浄品とリチウム塩を含有する水溶液とを混合する場合も含む。混合装置としては、攪拌混合、V型混合機、W型混合機、リボン混合機、ドラムミキサー、ボールミル等を挙げることができる。また、焼成工程(6)または(7)における混合物を焼成前に乾燥してもよい。
以上の方法により得られたリチウム複合金属化合物を、ボールミルやジェットミルなどを用いて粉砕してもよいし、粉砕と焼成を2回以上繰り返してもよい。得られたリチウム複合金属化合物は必要に応じて洗浄あるいは分級することもできる。
以下、本発明を実施例で詳細に説明する。なお、腐食度は試験片の重量減少と表面積から求め、腐食状況は外観観察、断面ミクロ組織観察の結果である。
実験例1
(1)遷移金属元素を含有する沈澱の調製
ガラス製フラスコに、蒸留水1000mlおよび水酸化リチウム一水和物100gを加え、攪拌し、水酸化リチウム一水和物を完全に溶解させ、水酸化リチウム水溶液を調製した。ポリビーカーに、蒸留水100ml、塩化ニッケル(II)六水和物46.34g、塩化マンガン(II)四水和物46.50gおよび硝酸コバルト(II)六水和物14.56gを加え、攪拌し、上記の金属塩を完全に溶解させ、Ni−Mn−Co水溶液を得た。水酸化リチウム水溶液入りフラスコを恒温槽内に静置して、水酸化リチウム水溶液を約25℃に保持しながら、Ni−Mn−Co水溶液を約3時間かけて滴下し、沈殿を生成させた。次いで、生成した沈殿を含む混合液を、室温で空気を吹き込む操作(バブリング)を約16時間行った。バブリング後に得られた混合液について、ろ過・蒸留水洗浄し、沈殿(含水率:約70重量%)を得た。
(2)水熱処理液の調製
ポリビーカーに蒸留水850mlを加え、攪拌しながら順に少しずつ水酸化カリウム618g、水酸化リチウム一水和物100gおよび上記(1)で得られた沈澱264gを加えた。次に塩素酸カリウム100gを添加して、沈殿が分散した液状混合液を得た。
(3)水熱処理及び腐食試験
上記と同様にして調製した液状混合液(約2000g)をポリテトラフルオロエチレン製ビーカー(3.1L)に入れ、このビーカーをオートクレーブ(4L)中に静置した。表1に示す材料のUベント(長さ75mm×幅15mm×厚さ2mmの板材をU字形に曲げたもの)の試験片を上記ビーカー内の液相および気相に配置した。攪拌下に、常温から約2時間で220℃に昇温し、220℃で約5時間保持して水熱処理し、次に常温まで約16時間で冷却した。この処理を8回繰り返した。合計処理時間は184時間であった。なお、オートクレーブ内は大気雰囲気で行った。試験片を取り出し、洗浄、乾燥後、腐食度を求め、腐食状況を観察した。結果を表1に示す。ハステロイC−22、ハステロイC−276は耐食性を有するが、Niは耐食性がない。
なお、使用した試験片の組成は次のとおりである。
Ni(中炭素材)(Ni:残部、Fe:0.01、C:0.04)
Ni(低炭素材)(Ni:残部、Fe:0.07、C:0.01)
ハステロイC−22(Ni:残部、Co:0.8、Cr:21.4、Mo:13.3、W:3、Fe:3.6、C:0.002)
ハステロイC−276(Ni:残部、Co:1.8、Cr:15.4、Mo:16、W:3.5、Fe:6)
Figure 2010150091
実験例2
(1)遷移金属元素を含有する溶液および水熱処理液の調製
ポリビーカーに、蒸留水200mlおよび塩化ニッケル(II)六水和物49.9gを加え、攪拌し、塩化ニッケル(II)六水和物を完全に溶解させ、塩化ニッケル水溶液を調製した。ポリビーカーに、35%塩酸198.9gを入れ、攪拌しながら順に金属コバルト0.88g、金属マンガン13.99g、炭酸リチウム35.23gを少しずつ添加し、完全に溶解させ、次いで上記の塩化ニッケル水溶液をゆっくり添加し、Li−Ni−Mn−Co水溶液を得た。ポリ容器に蒸留水1392mlを入れ、これに除熱しながらKOH161.1gと、NaClOを160.9g添加して溶解させた。次にこの溶液を約25℃に保持し、上記のLi−Ni−Mn−Co水溶液を添加し、沈澱を生成させた。次いで、生成した沈殿を含む混合液を、室温で空気を吹き込む操作(バブリング)を約16時間行った。
(2)水熱処理及び腐食試験
上記(1)と同様にして調製した液状混合液(約2000g)を用い、実験例1と同様にして水熱処理及び腐食試験を行った。なお、合計処理時間は185.4時間であった。試験片を取り出し、洗浄、乾燥後、腐食度を求め、腐食状況を観察した。結果を表2に示す。
実験例1と同様に、ハステロイC−22、ハステロイC−276は耐食性を有するが、Niは耐食性がない。
Figure 2010150091
実験例3
(1)遷移金属元素を含有する溶液および水熱処理液の調製
ポリビーカーに、蒸留水300mlおよび塩化ニッケル(II)六水和物74.96gを加え、攪拌し、塩化ニッケル(II)六水和物を完全に溶解させ、塩化ニッケル水溶液を調製した。ポリビーカーに、35%塩酸298.5gを入れ、攪拌しながら順に金属コバルト1.32g、金属マンガン20.98g、炭酸リチウム52.92gを少しずつ添加し、完全に溶解させ、次いで上記の塩化ニッケル水溶液をゆっくり添加し、Li−Ni−Mn−Co水溶液を得た。ポリ容器に蒸留水1565mlを入れ、これに除熱しながらKOH966.2gと、Hを40.95g添加して溶解させた。次にこの溶液を約25℃に保持し、上記のLi−Ni−Mn−Co水溶液を添加し、沈澱を生成させた。次いで、生成した沈殿を含む混合液を、室温で空気を吹き込む操作(バブリング)を約16時間行った。
(2)水熱処理及び腐食試験
上記(1)と同様にして調製した液状混合液(約2000g)を用い、試験片として表3に示す材料の平板(長さ25mm×幅20mm×厚さ2mm)を用い、実験例1と同様にして水熱処理及び腐食試験を行った。なお、処理の繰り返しは4回とし、その合計処理時間は92.8時間であった。試験片を取り出し、洗浄、乾燥後、腐食度を求め、腐食状況を観察した。結果を表3に示す。
実験例1と同様に、ハステロイC−22は耐食性を有するが、ステライト6B、インコネル600、DP−3は耐食性がない。
なお、使用した試験片、ステライト(登録商標)6B、インコネル600、ハステロイC−22およびDP−3の組成(重量%)は次のとおりである。
ステライト6B(Ni:2.46、Co:残部、Cr:29.56、W:3.85、Fe:2.65、C:1.03)
インコネル600(Ni:74.7、Co:0.18、Cr:15.4、Fe:8.44、C:0.02)
ハステロイC−22(Ni:残部、Co:0.6、Cr:21.2、Mo:13.3、W:2.9、Fe:4.2、C:0.003)
DP−3(Ni:7.25、Cr:24.92、Mo:3.08、W:0.26、Fe:残部、C:0.015)
Figure 2010150091

Claims (6)

  1. Liおよび少なくとも1種の遷移金属元素を含有し、以下の(1)、(2)、(3)および(4)の工程をこの順で含むリチウム複合金属酸化物の製造方法において、(2)の水熱処理工程で、13〜25重量%のCrおよび7〜25重量%のMoを含有するニッケル合金からなる装置を用いて水熱処理することを特徴とするリチウム複合金属酸化物の製造方法。
    (1)少なくとも1種の遷移金属元素を含有する水溶液とアルカリ(A)とを混合することにより、沈殿を生成させる生成工程
    (2)該沈殿と酸化剤と、LiOHを含むアルカリ(B)とを含有する液状混合物を150℃〜350℃の温度範囲で水熱処理し、水熱処理品を得る水熱処理工程
    (3)該水熱処理品を洗浄し、洗浄品を得る洗浄工程
    (4)該洗浄品を乾燥し、乾燥品を得る乾燥工程
  2. 少なくとも1種の遷移金属元素が、Ti、V、Cr、Mn、Fe、Co、NiおよびCuから選ばれる1種以上の元素である請求項1記載のリチウム複合金属酸化物の製造方法。
  3. 以下の(5)の工程を含む請求項1記載のリチウム複合金属酸化物の製造方法。
    (5)上記乾燥品を焼成し、焼成品を得る焼成工程
  4. 以下の(6)の工程を含む請求項1記載のリチウム複合金属酸化物の製造方法。
    (6)上記乾燥品とリチウム塩とを混合して得られる混合物を焼成し、焼成品を得る焼成工程
  5. Liおよび少なくとも1種の遷移金属元素を含有し、以下の(1)、(2)、(3)および(7)の工程をこの順で含むリチウム複合金属酸化物の製造方法において、(2)の水熱処理工程で、13〜25重量%のCrおよび7〜25重量%のMoを含有するニッケル合金からなる装置を用いて水熱処理することを特徴とするリチウム複合金属酸化物の製造方法。
    (1)少なくとも1種の遷移金属元素を含有する水溶液とアルカリ(A)とを混合することにより、沈殿を生成させる生成工程
    (2)該沈殿と酸化剤とLiOHを含むアルカリ(B)とを含有する液状混合物を150℃〜350℃の温度範囲で水熱処理し、水熱処理品を得る水熱処理工程
    (3)該水熱処理品を洗浄し、洗浄品を得る洗浄工程
    (7)該洗浄品とリチウム塩とを混合して得られる混合物を焼成し、焼成品を得る焼成工程
  6. 少なくとも1種の遷移金属元素が、Ti、V、Cr、Mn、Fe、Co、NiおよびCuから選ばれる1種以上の元素である請求項5記載のリチウム複合金属酸化物の製造方法。
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* Cited by examiner, † Cited by third party
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CN105958018A (zh) * 2016-05-10 2016-09-21 内蒙古科技大学 一种掺杂钒的钛酸锂负极材料的制备方法

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