JP2010149781A - パワーステアリング装置 - Google Patents

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育生 久代
Hitoaki Ono
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Abstract

【課題】運転時間若しくは旋回時間の長さに応じて、付加摩擦トルクを適切に制御することが可能なパワーステアリング装置を提供する。
【解決手段】パワーステアリング装置は、実操舵角や目標操舵角などに基づいてステアリングに付与すべき付加摩擦トルクを設定し、当該付加摩擦トルクを付与する制御を行う。付加摩擦トルク変更手段は、車両の運転時間若しくは旋回時間の長さに基づいて、付加摩擦トルクを変更する。これにより、運転時間が長い場合、若しくは旋回時間が長い場合に、腕の疲れを考慮した付加摩擦トルクを、ステアリングに適切に付与することができる。よって、保舵時の安定性などを向上させることが可能となる。
【選択図】図5

Description

本発明は、ステアリングに付与する付加摩擦トルクを制御するパワーステアリング装置に関する。
この種の技術が、例えば特許文献1に提案されている。特許文献1には、低速走行時にはステアリングの戻り特性を良好にし、高速走行時にはステアリングの収斂性を良好にするために、操舵角や車速に応じた摩擦トルクをステアリングに付与する技術が提案されている。
特開2002−104210号公報
ところで、車を長時間運転していると、腕が疲れてくるため、同じ操舵トルクでもあっても操舵が重く感じる場合がある。また、旋回している時間が長いと、同様に、腕が疲れて保舵が不安定になる場合がある。上記した特許文献1には、このような運転時間若しくは旋回時間の長さなどを考慮して、ステアリングに付与する摩擦トルクを制御することについては記載されていない。
本発明は、上記のような課題を解決するためになされたものであり、運転時間若しくは旋回時間の長さに応じて、付加摩擦トルクを適切に制御することが可能なパワーステアリング装置を提供することを目的とする。
本発明の1つの観点では、実操舵角及び目標操舵角に基づいてステアリングに付与すべき付加摩擦トルクを設定し、前記付加摩擦トルクを付与する制御を行うパワーステアリング装置は、車両の運転時間若しくは旋回時間の長さに基づいて、前記付加摩擦トルクを変更する付加摩擦トルク変更手段を備える。
上記のパワーステアリング装置は、実操舵角や目標操舵角などに基づいてステアリングに付与すべき付加摩擦トルクを設定し、当該付加摩擦トルクを付与する制御を行うために好適に利用される。付加摩擦トルク変更手段は、車両の運転時間若しくは旋回時間の長さに基づいて、付加摩擦トルクを変更する。これにより、運転時間が長い場合、若しくは旋回時間が長い場合に、腕の疲れを考慮した付加摩擦トルクを、ステアリングに適切に付与することができる。よって、保舵時の安定性などを向上させることが可能となる。
上記のパワーステアリング装置の一態様では、前記付加摩擦トルク変更手段は、前記運転時間が長いほど、若しくは前記旋回時間が長いほど、前記付加摩擦トルクを大きな値に変更する。これにより、保舵時の操舵トルク(運転者が入力するトルク)を適切に低減することができ、保舵時の安定性を向上させることが可能となる。
上記のパワーステアリング装置の他の一態様では、前記ステアリングに付与すべきアシストトルクを設定するアシストトルク設定手段を更に備え、前記アシストトルク設定手段は、前記運転時間若しくは前記旋回時間の長さに基づいて、前記アシストトルクを変更することができる。
この態様では、上記のように付加摩擦トルク変更手段によって付加摩擦トルクが変更された場合、操舵していく過程(つまり旋回時)において操舵トルクが増大する傾向にあるため、アシストトルク設定手段は、運転時間若しくは旋回時間の長さに基づいてアシストトルクを変更する。これにより、旋回時の操舵トルク(運転者が入力するトルク)を適切に低減することができ、腕の負担を軽減することが可能となる。
上記のパワーステアリング装置において好適には、前記アシストトルク設定手段は、前記運転時間が長いほど、若しくは前記旋回時間が長いほど、前記アシストトルクを大きな値に変更する。
上記のパワーステアリング装置の他の一態様では、前記付加摩擦トルク変更手段は、更に、前記車両の総走行距離若しくは経過年数に基づいて、前記付加摩擦トルクを変更する。
この態様では、付加摩擦トルク変更手段は、操舵特性(摩擦特性など)の経時変化における程度を表している総走行距離若しくは経過年数に基づいて、付加摩擦トルクを変更する。つまり、経時変化を考慮した付加摩擦トルクを付与する。これにより、経時変化による影響を適切に抑制することが可能となる。
上記のパワーステアリング装置において好適には、前記付加摩擦トルク変更手段は、前記総走行距離が長いほど、若しくは前記経過年数が長いほど、前記付加摩擦トルクを大きな値に変更することができる。
以下、図面を参照して本発明の好適な実施の形態について説明する。
[装置構成]
まず、本実施形態に係るパワーステアリング装置が適用されたシステム(以下、「操舵制御システム」と呼ぶ。)50の全体構成について説明する。図1は、操舵制御システム50の構成を示す概略図である。
操舵制御システム50は、主に、ステアリングホイール1と、ステアリングシャフト2と、操舵角センサ3と、操舵トルクセンサ4と、ピニオン5と、ステアリングラック6と、モータ7と、モータ回転角センサ8と、タイロッド10R、10Lと、ナックルアーム11R、11Lと、車輪(前輪)12FR、12FLと、車速センサ15と、コントローラ30と、を備える。なお、以下では、タイロッド10R、10L、ナックルアーム11R、11L、及び車輪12FR、12FLの符号の末尾に付した「R」、「L」は、これらを区別しないで用いる場合には、省略するものとする。
操舵制御システム50は、電動パワーステアリング(EPS:Electric Power Steering)システムによって構成される。具体的には、操舵制御システム50は、車両に搭載され、ステアリングホイール1の操作などに応じて車輪12F(転舵輪)を転舵させる制御を行うシステムである。
ステアリングホイール1は、運転者により車両を旋回等させるために操作される。ステアリングホイール1は、ステアリングシャフト2を介して、ピニオン5に接続される。ステアリングシャフト2には、主に、操舵角センサ3及び操舵トルクセンサ4が設けられている。なお、以下では、ステアリングホイール1のことを単に「ステアリング」とも表記する。
ピニオン5は、ステアリングシャフト2の回転に応じて回転可能に構成され、ステアリングラック6は、ピニオン5の回転に応じて移動可能に構成されている。ステアリングラック6にはタイロッド10を介してナックルアーム11が連結されており、ナックルアーム11には車輪12Fが連結されている。この場合、ステアリングラック6によってタイロッド10及びナックルアーム11が動作されることにより、ナックルアーム11に連結された車輪12Fが転舵されることとなる。
モータ7は、例えば3相交流モータなどで構成され、ステアリングギヤボックス(不図示)内にステアリングラック6と同軸に設けられている。モータ7は、ステアリングラック6の移動をアシストするような力、若しくはステアリングラック6の移動を阻害するような力を付与することが可能に構成されている。具体的には、モータ7は、操舵感や操舵安定性などを向上させるために、運転者による操舵方向にアシストトルクを付与する。これに対して、モータ7は、保舵性能などを向上させるために、運転者による操舵方向と反対方向に付加摩擦トルクを付与する(つまり操舵反力を付与する)。モータ7は、コントローラ30から供給される制御信号S7によって制御される。
操舵制御システム50内に設けられた各種センサは、以下のように機能する。操舵角センサ3は、運転者によるステアリングホイール1の操作に対応する操舵角(実操舵角に対応する)を検出し、検出した操舵角に対応する検出信号S3をコントローラ30に供給する。操舵トルクセンサ4は、運転者によって入力された操舵トルクを検出し、検出した操舵トルクに対応する検出信号S4をコントローラ30に供給する。モータ回転角センサ8は、モータ7の回転角を検出し、検出した回転角に対応する検出信号S8をコントローラ30に供給する。車速センサ15は、車速を検出し(例えば車輪速度を検出する)、検出した車速に対応する検出信号S15をコントローラ30に供給する。
コントローラ30は、図示しないCPU、ROM、RAM、及びA/D変換器などを含んで構成される。コントローラ30は、上記した各種センサから供給される検出信号S3、S4、S8、S15などに基づいて、モータ7に制御信号S7を供給することで、モータ7に対する制御を行う。本実施形態では、コントローラ30は、モータ7からステアリングに対して付加摩擦トルクを付与させるための制御(以下、「摩擦付与制御」と呼ぶ。)を行う。また、コントローラ30は、モータ7からステアリングに対してアシストトルクを付与させるための制御(以下、「アシスト制御」と呼ぶ。)を行う。このように、コントローラ30は、本発明におけるパワーステアリング装置として機能する。詳しくは、コントローラ30は、付加摩擦トルク変更手段として動作する。なお、コントローラ30は、車両内の制御を行うECU(Electronic Control Unit)により実現されても良い。
[摩擦付与制御の例]
次に、コントローラ30が行う摩擦付与制御の一例について説明する。まず、コントローラ30は、操舵角(以下、「θ」と表記する。)及び車速(以下、「V」と表記する。)に基づいて、ステアリングに付与すべき摩擦トルク(以下、「Tt」と表記する。)を求める。次に、コントローラ30は、操舵角θ及び摩擦トルクTtに基づいて目標操舵角(以下、「θt」と表記する。)を求める。次に、コントローラ30は、目標操舵角θtと操舵角θとの偏差(以下、「Δθ」と表記する。)に基づいて、付加摩擦トルク(以下、「Tc」と表記する。)を求める。即ち、コントローラ30は、目標操舵角θtなどに基づいて摩擦トルクTtを補正し、補正後の摩擦トルクを付加摩擦トルクTcとする。そして、コントローラ30は、このように求められた付加摩擦トルクTcがステアリングに付与されるように、モータ7に対する制御を行う。
ここで、図2乃至図4を参照して、摩擦付与制御を具体的に説明する。
図2は、摩擦トルクTtを求める方法の一例を示した図である。図2は、横軸に操舵角θを示し、縦軸に摩擦トルクTtを示している。より具体的には、図2は、車速Vに応じて、操舵角θに対して設定すべき摩擦トルクTtが規定されたマップに相当する。ここでは、一例として、高速域V2、中速域V1、及び低速域V0のそれぞれに対応するマップを示している。コントローラ30は、このようなマップを参照することで、現在の操舵角θ及び車速Vに対応する摩擦トルクTtを求める。
図2に示すマップによれば、同一の操舵角θの場合、車速が大きいほど、大きな値を有する摩擦トルクTtが設定されることとなる。これは、高速域V2や中速域V1では、直進安定性向上や、操舵保持時の保舵力低減・安定性向上を図る観点から、ある程度の摩擦トルクを発生することが好ましい一方、低速域V0では、摩擦トルクが大きいと運転者に違和感を与え、操舵感が悪化する場合があるからである。また、図2に示すマップによれば、車速が同一である又は同一の車速域にある場合、操舵角θが大きいほど、大きな値を有する摩擦トルクTtが設定されることとなる。これは、操舵角θが大きい場合は車輪の転舵角が大きくなるため、大きな横力が発生し易く、操舵保舵時の保舵力低減・安定性向上を図る観点から、より大きな摩擦トルクが必要となるからである。
次に、上記のように求められた摩擦トルクTtから、目標操舵角θtを求める方法について説明する。コントローラ30は、目標操舵角θtと操舵角θとの偏差Δθ(=θt−θ)、及び、摩擦トルクTt及びゲインKによって規定された偏差上限値Δ(=Tt/K)に基づいて、目標操舵角θtを求める。詳しくは、コントローラ30は、まず目標操舵角θtをθに初期化した後に(初期化済みであれば初期化しない)、偏差Δθ(=θt−θ)を求め、「Δθ>Δ」である場合には目標操舵角θtを「θt=θ+Δ」に変更し、「Δθ<−Δ」である場合には目標操舵角θtを「θt=θ−Δ」に変更し、「−Δ≦Δθ≦Δ」である場合には目標操舵角θtを変更しない。なお、ゲインKは、例えばステアリング系の剛性などを考慮して決定される値である。
次に、上記のように求められた目標操舵角θtから付加摩擦トルクTcを求める方法について説明する。コントローラ30は、目標操舵角θtより得られる偏差Δθ(=θt−θ)、及びゲインK(=Tt/Δ)から、付加摩擦トルクTcを求める。具体的には、コントローラ30は、「Tc=K・Δθ」、即ち「Tc=K(θt−θ)」より、付加摩擦トルクTcを求める。
図3は、付加摩擦トルクTcの特性の一例を示す図である。図3は、横軸に操舵角θを示し、縦軸に付加摩擦トルクTcを示している(左回りのトルクの方向を正とし、右回りのトルクの方向を負としている)。ここでは、摩擦トルクTtが「Tt」の場合と「Tt」の場合(Tt<Tt)とを一例として示している。例えば、車速が高速域V2若しくは中速域V1である場合における摩擦トルクTtと、車速が低速域V0である場合における摩擦トルクTtとを示している(図2参照)。また、図3では、「Tt」及び「Tt」のいずれの場合も、理解の容易化のため、便宜上、目標操舵角θtが同一で、操舵角θの変化に応じて変化しないものとする。なお、目標操舵角θtが変化した場合には、それに応じてグラフが新たな目標操舵角θtを中心として横軸方向に平行移動するだけである。
図3に示すように、偏差上限値Δは、「Δ=Tt/K」であることから、摩擦トルクTtが大きいほど大きくなる(例えば、「Tt」の場合の偏差上限値Δは「Tt」の場合の偏差上限値Δよりも大きい)。また、「−Δ≦Δθ≦Δ」の範囲では、目標操舵角θtが変更されずに維持され、「Tc=K・Δθ」、即ち「Tc=K(θt−θ)」より、付加摩擦トルクTcの大きさはΔθに比例して増加する。そして、「Δθ>Δ」及び「Δθ<−Δ」の範囲では、目標操舵角θtが上述したように変更されてΔθの大きさが一定となるので、「Tc=K・Δθ」、即ち「Tc=K(θt−θ)」より、付加摩擦トルクTcの大きさは摩擦トルクTtに応じた一定値となる。この場合、「−Δ≦Δθ≦Δ」の範囲では、ステアリングホイール1に付与されるべき摩擦トルクTtは、実際にはステアリングホイール1には付与されず、Δθの絶対値が偏差上限値Δ以上となって初めて、付加摩擦トルクTcの大きさが、ステアリングホイール1に付与されるべき摩擦トルクTtの大きさに設定されることとなる。「−Δ≦Δθ≦Δ」の範囲で摩擦トルクTtを付与しないのは、摩擦トルクが過敏に振動し易くなり、操舵感が悪化してしまうことを抑制するためである。
図4は、付加摩擦トルクTcの特性を可視的なモデルで表すイメージ図である。図4(A)は、「−Δ≦Δθ≦Δ」の範囲に相当するイメージ図である。この場合には、目標操舵角θtは変化せず、力T(例えば車輪への入力に起因して発生する外力)に対して釣り合うような力、即ちバネ定数K(=ゲインK)のバネが変位量(θt−θ)で変位したときの弾性力(=K・Δθ)が生成される。図4(B)は、「Δθ>Δ」及び「Δθ<−Δ」の範囲に相当するイメージ図である。この場合には、目標操舵角θtは力Tを受ける方向に変化し、力Tに対向する方向に一定の摩擦力Tt’(<力T)が生成される。なお、摩擦力Tt’は、摩擦力Ttを力に変換した値に相当する。
[本実施形態における制御方法]
次に、本実施形態において、コントローラ30が行う制御方法について説明する。本実施形態では、コントローラ30は、車両の運転時間や旋回時間などに基づいて、前述した方法によって決定された付加摩擦トルクを変更する。例えば、コントローラ30は、運転時間が長いほど、若しくは旋回時間が長いほど、付加摩擦トルクを大きな値に変更して摩擦付与制御を実行する。こうするのは、保舵時の安定性を確保するためである。
以下で、第1乃至第4実施形態における制御方法について具体的に説明する。
(第1実施形態)
まず、第1実施形態における制御方法について説明する。第1実施形態では、コントローラ30は、車両の運転時間(以下、「走行時間」とも表記する。)に基づいて付加摩擦トルクを変更する。具体的には、第1実施形態では、コントローラ30は、運転時間が長いほど、前述した方法によって決定された付加摩擦トルクを大きな値に変更して摩擦付与制御を実行する。こうするのは、運転時間が長いと腕が疲れて保舵が不安定になるので、付加摩擦トルクを大きくすることで、保舵時の安定性を確保するためである。つまり、操舵トルク−操舵角や操舵トルク−ヨーなどの車両運動量のヒステリシス幅を増加させ、保舵時の安定性を確保する。
更に、コントローラ30は、上記のように付加摩擦トルクを大きくした場合に、ステアリングに付与するアシストトルクの変更も行う。具体的には、コントローラ30は、運転時間が長いほど、アシストトルクを大きな値に変更してアシスト制御を行う。こうするのは、上記のように付加摩擦トルクを大きくした場合、操舵していく過程(つまり旋回時)において操舵トルクの増大を招くので、アシストトルクを大きくして腕の負担を軽減するためである。
このような第1実施形態における制御方法によれば、運転時間が長い場合に、付加摩擦トルクを大きくすることで、保舵時の操舵トルク(運転者が入力するトルク)を適切に低減することができ、保舵時の安定性を向上させることが可能となる。加えて、この際にアシストトルクも大きくすることで、旋回時の操舵トルク(運転者が入力するトルク)を適切に低減することができ、腕の負担を軽減することが可能となる。
図5は、第1実施形態における制御処理を示すフローチャートである。当該処理では、車両の運転時間(走行時間)に応じて、付加摩擦トルク及びアシストトルクの補正が行われる。詳しくは、前回の走行時間、及び前回の走行から今回の走行までの休憩時間、並びに今回の走行時間に基づいて求められた走行時間(以下、「仮想走行時間」と呼ぶ。)に応じて、このような補正が行われる。なお、当該処理は、コントローラ30によって繰り返し実行され、エンジンのスタート後に開始される。
まず、ステップS101では、コントローラ30は、現時刻を読み込む。そして、処理はステップS102に進む。ステップS102では、コントローラ30は、ステップS101で取得された現時刻に基づいて、仮想休み時間を算出する。仮想休み時間は、走行が行われていない休憩時間に相当し、現時刻と、前回エンジンをオフにした時刻(以下、「オフ時刻」と呼ぶ。)とから求められる。具体的には、「仮想休み時間=現時刻−オフ時刻」より求められる。そして、処理はステップS103に進む。
ステップS103では、コントローラ30は、ステップS102で求められた仮想休み時間に基づいて、仮想走行時間を求める。ここでいう仮想走行時間は、休憩時間を考慮した前回の走行時間に相当し、前回の仮想走行時間と仮想休み時間とから求められる。具体的には、「仮想走行時間=前回の仮想走行時間−G×仮想休み時間」より求められる。式中の「G」は重み付けを行うための係数に相当する。以上の処理が終了すると、処理はステップS104に進む。
ステップS104では、コントローラ30は、ステップS103で求められ仮想走行時間について設定を行う。具体的には、コントローラ30は、求められた仮想走行時間が「0」よりも大きい場合には、当該時間を仮想走行時間に設定する。こうしているのは、前回の走行時間が休憩時間に対して比較的長いと言えるため、前回の走行時間を考慮して、以降の補正値の算出が行われるようにするためである。これに対して、コントローラ30は、求められた仮想走行時間が「0」以下である場合には、仮想走行時間を「0」に設定する。こうしているのは、休憩時間が前回の走行時間に対して比較的長いと言えるため、前回の走行時間を考慮せずに、以降の補正値の算出が行われるようにするためである。そして、処理はステップS105に進む。
ステップS105では、コントローラ30は、走行タイマーをリセットする。そして、処理はステップS106に進む。ステップS106では、コントローラ30は、走行タイマーから、走行時間の読み込みを行う。そして、処理はステップS107に進む。
ステップS107では、コントローラ30は、ステップS104で求められた仮想走行時間の更新を行う。具体的には、コントローラ30は、ステップS106で得られた走行時間(今回の走行時間に相当する時間である)に対して、ステップS104で求められた仮想走行時間(前回の走行時間に相当する時間である)を加算した時間を、新たな仮想走行時間とする。これにより、前回の走行時間が考慮されて、後述の補正値の算出が行われることとなる。そして、処理はステップS108に進む。
ステップS108では、コントローラ30は、ステップS108で求められた仮想走行時間に基づいて、付加摩擦トルクを補正する量(以下、「摩擦付与制御補正値」と呼ぶ。)、及びアシストトルクを補正する量(以下、「アシスト制御補正値」と呼ぶ。)を求める。そして、処理はステップS109に進む。
図6は、第1実施形態において、摩擦付与制御補正値及びアシスト制御補正値を求める方法の一例を示した図である。図6(A)は、仮想走行時間(横軸)に対して設定すべき摩擦付与制御補正値(縦軸)を示したマップの一例である。図6(B)は、仮想走行時間(横軸)に対して設定すべきアシスト制御補正値(縦軸)を示したマップの一例である。図示のように、仮想走行時間が長くなるほど、設定すべき摩擦付与制御補正値及びアシスト制御補正値が大きくなることがわかる。コントローラ30は、このようなマップを参照することで、上記のステップS107で得られた仮想走行時間に対応する摩擦付与制御補正値及びアシスト制御補正値を得る。
なお、マップに基づいて摩擦付与制御補正値及びアシスト制御補正値を求めることに限定されず、演算式を用いた演算を行って、摩擦付与制御補正値及びアシスト制御補正値を求めても良い。
図5に戻って説明を再開する。ステップS109では、コントローラ30は、ステップS108で求められた摩擦付与制御補正値及びアシスト制御補正値に基づいて、摩擦付与制御及びアシスト制御(以下、これらをまとめて「操舵制御」と呼ぶ。)を行う。具体的には、コントローラ30は、まず、求められた摩擦付与制御補正値で付加摩擦トルクを補正すると共に、求められたアシスト制御補正値でアシストトルクを補正する。例えば、前述した方法で求められた付加摩擦トルクに対して摩擦付与制御補正値を乗算すると共に、通常用いるアシストトルクに対してアシスト制御補正値を乗算する。そして、コントローラ30は、このように補正された付加摩擦トルク及びアシストトルクがステアリングに付与されるように、モータ7に対する制御を行う。例えば、旋回するための操舵時には当該補正後のアシストトルクが付与されるようにモータ7に対して制御を行い、保舵時には当該補正後の付加摩擦トルクが付与されるようにモータ7に対して制御を行う。以上の処理が終了すると、処理はステップS110に進む。
ステップS110では、コントローラ30は、エンジンがオフとなったか否かを判定する。エンジンがオフとなった場合(ステップS110;Yes)、処理はステップS111に進む。ステップS111では、コントローラ30は、ステップS107で求められた仮想走行時間、及びエンジンをオフにした際のオフ時刻を記憶する。そして、処理は終了する。これに対して、エンジンがオフとなっていない場合(ステップS110;No)、処理はステップS106に戻る。この場合には、上記したような操舵制御のための処理を繰り返し実行する。
以上説明した処理によれば、運転時間(仮想走行時間)が長い場合に、保舵時の操舵トルクを適切に低減することができると共に、旋回時の操舵トルクを適切に低減することができる。よって、保舵時の安定性を向上することが可能となると共に、腕の負担を軽減することが可能となる。
(第2実施形態)
次に、第2実施形態における制御方法について説明する。第2実施形態では、運転時間の代わりに旋回時間に基づいて付加摩擦トルクを変更する点で、第1実施形態と異なる。具体的には、第2実施形態では、コントローラ30は、旋回時間が長いほど、前述した方法によって決定された付加摩擦トルクを大きな値に変更して摩擦付与制御を実行する。例えば、コントローラ30は、走行時において、ステアリング操舵量(操舵角や操舵角速度やモータ7の回転角など)が所定の閾値を超える状態が、所定時間以上、継続的若しくは断続的に続いた場合に、付加摩擦トルクを大きな値に変更する。こうするのは、旋回時間が長いと腕が疲れて保舵が不安定になるので、付加摩擦トルクを大きくすることで、保舵時の安定性を確保するためである。つまり、操舵トルク−操舵角や操舵トルク−ヨーなどの車両運動量のヒステリシス幅を増加させ、保舵時の安定性を確保するためである。
更に、コントローラ30は、上記のように付加摩擦トルクを大きくした場合に、ステアリングに付与するアシストトルクの変更も行う。具体的には、コントローラ30は、旋回時間が長いほど、アシストトルクを大きな値に変更してアシスト制御を行う。こうするのは、上記のように付加摩擦トルクを大きくした場合、操舵していく過程(つまり旋回時)において操舵トルクの増大を招くので、アシストトルクを大きくして腕の負担を軽減するためである。
このような第2実施形態における制御方法によれば、旋回時間が長い場合に、付加摩擦トルクを大きくすることで、保舵時の操舵トルク(運転者が入力するトルク)を適切に低減することができ、保舵時の安定性を向上させることが可能となる。加えて、この際にアシストトルクも大きくすることで、旋回時の操舵トルク(運転者が入力するトルク)を適切に低減することができ、腕の負担を軽減することが可能となる。
図7は、第2実施形態における制御処理を示すフローチャートである。当該処理では、旋回時間に応じて、付加摩擦トルク及びアシストトルクの補正が行われる。詳しくは、所定の設定時間の間に操舵角が閾値を超えた回数をカウントし、そのカウント量が閾値を超えたか否かに応じて更新されるカウンタ(以下、「補正値用カウンタ」と呼ぶ。)にて旋回時間を定義する。なお、当該処理は、コントローラ30によって繰り返し実行され、エンジンのスタート後に開始される。
まず、ステップS201では、コントローラ30は、当該フローにおいて用いる変数(ΔT、Treal、Ttemp、n、nt)をリセットする。なお、これらの変数について詳細は後述する。そして、処理はステップS202に進む。ステップS202では、コントローラ30は、前回処理後から今回処理までの経過時間ΔTを求める。具体的には、前時刻Ttempと現時刻Trealとを用いて、「ΔT=Treal−Ttemp」から経過時間ΔTを求める。そして、処理はステップS203に進む。
ステップS203では、コントローラ30は、操舵角θが閾値θsを超えたか否かを判定する。ここは、旋回のための操舵がなされたか否かを判定している。操舵角θが閾値θsを超えた場合(ステップS203;Yes)、処理はステップS204に進む。ステップS204では、コントローラ30は、カウンタnをインクリメントする(n=n+1)。そして、処理はステップS205に進む。これに対して、操舵角θが閾値θsを超えていない場合(ステップS203;No)、ステップS204の処理を行わずに、処理はステップS205に進む。
ステップS205では、コントローラ30は、ステップS202で求められた経過時間ΔTが所定の設定時間TSmaxを越えたか否かを判定する。経過時間ΔTが設定時間TSmaxを越えた場合(ステップS205;Yes)、処理はステップS206に進む。これに対して、経過時間ΔTが設定時間TSmaxを越えていない場合(ステップS205;No)、処理はステップS202に戻る。この場合、コントローラ30は、経過時間ΔTが設定時間TSmaxを越えるまで、操舵角θが閾値θsを超えたか否かの判定や、カウンタnのインクリメントの処理などを繰り返し行う。
ステップS206では、コントローラ30は、現時刻Trealを前時刻Ttempとして記憶する。つまり、前時刻Ttempを現時刻Trealにて更新する。そして、処理はステップS207に進む。ステップS207では、コントローラ30は、上記したように設定されたカウンタnが閾値nsよりも大きいか否かを判定する。カウンタnが閾値nsよりも大きい場合(ステップS207;Yes)、処理はステップS208に進み、コントローラ30は、補正値用カウンタntをインクリメントする(nt=nt+1)。この場合には、旋回のための操舵が高頻度で行われたとして(つまり旋回時間が長いとして)、コントローラ30は、補正値用カウンタntをインクリメントする。そして、処理はステップS210に進む。
これに対して、カウンタnが閾値ns以下である場合(ステップS207;No)、処理はステップS209に進み、コントローラ30は、補正値用カウンタntをディクリメントする(nt=nt−1)。この場合には、旋回のための操舵がほとんど行われていないとして(つまり旋回時間が短いとして)、コントローラ30は、補正値用カウンタntをディクリメントする。なお、ディクリメントにより得られた補正値用カウンタntが「0」未満となる場合には、コントローラ30は、補正値用カウンタntを「0」に設定する。そして、処理はステップS210に進む。
ステップS210では、コントローラ30は、補正値用カウンタntを出力する。そして、処理はステップS211に進む。
ステップS211では、コントローラ30は、ステップS210で出力された補正値用カウンタntに基づいて、摩擦付与制御補正値及びアシスト制御補正値を求める。そして、処理はステップS212に進む。
図8は、第2実施形態において、摩擦付与制御補正値及びアシスト制御補正値を求める方法の一例を示した図である。図8(A)は、補正値用カウンタnt(横軸)に対して設定すべき摩擦付与制御補正値(縦軸)を示したマップの一例である。図8(B)は、補正値用カウンタnt(横軸)に対して設定すべきアシスト制御補正値(縦軸)を示したマップの一例である。図示のように、補正値用カウンタntが大きくなるほど、設定すべき摩擦付与制御補正値及びアシスト制御補正値が大きくなることがわかる。コントローラ30は、このようなマップを参照することで、上記のステップS210で得られた補正値用カウンタntに対応する摩擦付与制御補正値及びアシスト制御補正値を得る。
なお、マップに基づいて摩擦付与制御補正値及びアシスト制御補正値を求めることに限定されず、演算式を用いた演算を行って、摩擦付与制御補正値及びアシスト制御補正値を求めても良い。
図7に戻って説明を再開する。ステップS212では、コントローラ30は、ステップS211で求められた摩擦付与制御補正値及びアシスト制御補正値に基づいて、操舵制御を行う。具体的には、コントローラ30は、まず、求められた摩擦付与制御補正値で付加摩擦トルクを補正すると共に、求められたアシスト制御補正値でアシストトルクを補正する。例えば、前述した方法で求められた付加摩擦トルクに対して摩擦付与制御補正値を乗算すると共に、通常用いるアシストトルクに対してアシスト制御補正値を乗算する。そして、コントローラ30は、このように補正された付加摩擦トルク及びアシストトルクがステアリングに付与されるように、モータ7に対する制御を行う。例えば、旋回するための操舵時には当該補正後のアシストトルクが付与されるようにモータ7に対して制御を行い、保舵時には当該補正後の付加摩擦トルクが付与されるようにモータ7に対して制御を行う。以上の処理が終了すると、処理はステップS213に進む。
ステップS213では、コントローラ30は、エンジンがオフとなったか否かを判定する。エンジンがオフとなった場合(ステップS213;Yes)、処理は終了する。これに対して、エンジンがオフとなっていない場合(ステップS213;No)、処理はステップS214に進む。ステップS214では、コントローラ30は、カウンタnをリセットする。そして、処理はステップS202に戻る。この場合には、上記したような操舵制御のための処理を繰り返し実行する。
以上説明した処理によれば、旋回時間が長い場合に、保舵時の操舵トルクを適切に低減することができると共に、旋回時の操舵トルクを適切に低減することができる。よって、保舵時の安定性を向上することが可能となると共に、腕の負担を軽減することが可能となる。
なお、上記した第1実施形態及び第2実施形態では、運転時間及び旋回時間のうちの一方に基づいて操舵制御を行う例を示したが、運転時間及び旋回時間の両方に基づいて操舵制御を行うことも可能である。例えば、コントローラ30は、運転時間より得られた摩擦付与制御補正値と旋回時間より得られた摩擦付与制御補正値とを比較して大きな値を有するほうの値を用いて摩擦付与制御を行うと共に、運転時間より得られたアシスト制御補正値と旋回時間より得られたアシスト制御補正値とを比較して大きな値を有するほうの値を用いてアシスト制御を行うことができる。
また、上記した第1実施形態及び第2実施形態では、摩擦付与制御補正値及びアシスト制御補正値に基づいて摩擦付与制御及びアシスト制御の両方を行う例を示したが、この代わりに、摩擦付与制御補正値のみを求めて、摩擦付与制御のみを行うこととしても良い。つまり、アシスト制御を行わなくても良い。これによっても、運転時間が長い場合、若しくは旋回時間が長い場合に、保舵時の安定性を向上することが可能となると共に、腕の負担を軽減することが可能となる。
(第3実施形態)
次に、第3実施形態について説明する。第3実施形態では、運転時間及び旋回時間の代わりに、車両の総走行距離に基づいて付加摩擦トルクを変更する点で、第1及び第2実施形態と異なる。具体的には、第3実施形態では、コントローラ30は、総走行距離が長いほど、前述した方法によって決定された付加摩擦トルクを大きな値に変更して摩擦付与制御を実行する。
このような摩擦付与制御を行う理由は、以下の通りである。ステアリング系は摩擦要素を用いて構成されているが、走行により振動が加えられたり操舵したりすることによって、摩擦要素における摩擦係数が変化する(具体的には摩擦係数が下がる)ことで、操舵特性が経時変化する傾向にある。特に、総走行距離が長くなるほど、摩擦係数の変化の度合いが大きくなるものと考えられる。このように摩擦係数が変化すると、操舵感に悪影響を及ぼしてしまう場合がある。例えば、摩擦が減ると、操舵時の手応えが変化してしまう。
したがって、第3実施形態では、上記のような経時変化による影響を適切に抑制するため、車両の総走行距離に基づいて経時変化の程度を判断することとして、当該総走行距離に基づいて付加摩擦トルクを変更して摩擦付与制御を行う。つまり、総走行距離に応じた付加摩擦トルクにて摩擦付与制御を行うことで、操舵特性の経時変化を補償する。
図9は、第3実施形態における制御処理を示すフローチャートである。この処理は、コントローラ30によって繰り返し実行される。
まず、ステップS301では、コントローラ30は、オドメータなどから車両の総走行距離を取得する。そして、処理はステップS302に進む。ステップS302では、コントローラ30は、ステップS301で得られた総走行距離に基づいて、摩擦付与制御補正値を求める。具体的には、コントローラ30は、マップを参照したり、若しくは演算を行ったりすることによって、摩擦付与制御補正値を求める。そして、処理はステップS303に進む。
ステップS303では、コントローラ30は、ステップS302で求められた摩擦付与制御補正値に基づいて摩擦付与制御を行う。具体的には、コントローラ30は、求められた摩擦付与制御補正値で付加摩擦トルクを補正し(例えば、前述した方法で求められた付加摩擦トルクに対して摩擦付与制御補正値を乗算する)、補正された付加摩擦トルクがステアリングに付与されるようにモータ7に対する制御を行う。以上の処理が終了すると、処理は終了する。
図10は、第3実施形態において、摩擦付与制御補正値を求める方法の一例を示した図である。図10、総走行距離(横軸)に対して設定すべき摩擦付与制御補正値(縦軸)を示したマップの一例である。図示のように、総走行距離が大きくなるほど、設定すべき摩擦付与制御補正値が大きくなることがわかる。詳しくは、総走行距離が比較的短い領域R1では摩擦付与制御補正値の変化が大きく設定されており、総走行距離が中間である領域R2では摩擦付与制御補正値の変化が小さく設定されており、総走行距離が比較的長い領域R3では摩擦付与制御補正値の変化が大きく設定されている。これは、総走行距離に応じた摩擦特性の変化の傾向を反映したものとなっている。コントローラ30は、このようなマップを参照することで、上記のステップS301で得られた総走行距離に対応する摩擦付与制御補正値を得る。なお、マップに基づいて摩擦付与制御補正値を求めることに限定されず、演算を行って、摩擦付与制御補正値を求めても良い。
以上説明した第3実施形態によれば、総走行距離に応じた適切な付加摩擦トルクにて、摩擦付与制御を行うことができる。よって、操舵特性の経時変化を適切に補償することが可能となる。例えば、経時変化による操舵フィーリングの悪化などを適切に抑制することができる。
なお、上記では、車両の総走行距離に基づいて付加摩擦トルクを変更する実施形態を示したが、これに限定はされない。他の例では、総走行距離の代わりに経過年数(詳しくは、コントローラ30(ECU)の内部時計の作動開始から現在に至るまでの積算時間を意味する)に基づいて、付加摩擦トルクを変更することができる。このような経過年数も、総走行距離と同様に、経時変化の程度を表しているものと言えるからである。この場合も、コントローラ30は、経過年数が長いほど、前述した方法によって決定された付加摩擦トルクを大きな値に変更して摩擦付与制御を実行する。例えば、コントローラ30は、経過年数と摩擦付与制御補正値とが対応付けられたマップを参照したり、所定の演算を行ったりして摩擦付与制御補正値を求めて、当該摩擦付与制御補正値にて補正した付加摩擦トルクに基づいて摩擦付与制御を実行する。
(第4実施形態)
次に、第4実施形態について説明する。第4実施形態では、車両の総走行距離及び経過年数の両方に基づいて付加摩擦トルクを変更する点で、第3実施形態と異なる。具体的には、第4実施形態では、コントローラ30は、総走行距離が長い場合及び/又は経過年数が長い場合に、前述した方法によって決定された付加摩擦トルクを大きな値に変更して摩擦付与制御を実行する。こうするのは、総走行距離及び経過年数に応じた付加摩擦トルクにて摩擦付与制御を行うことにより、第3実施形態で説明したような操舵特性の経時変化を適切に補償するためである。
図11は、第4実施形態における制御処理を示すフローチャートである。この処理は、コントローラ30によって繰り返し実行される。
まず、ステップS401では、コントローラ30は、オドメータなどから車両の総走行距離を取得する。そして、処理はステップS402に進む。ステップS402では、内部時計などから、経過年数を取得する。この経過年数は、コントローラ30(ECU)の内部時計の作動開始(つまり車両出荷時)から現在に至るまでの積算時間に相当する。そして、処理はステップS403に進む。
ステップS403では、コントローラ30は、ステップS401で取得された総走行距離及びステップS402で取得された経過年数に基づいて、摩擦付与制御補正値を求める。具体的には、コントローラ30は、総走行距離と経過年数とによって規定されたマップを参照したり、若しくは所定の演算を行ったりすることによって、摩擦付与制御補正値を求める。1つの例では、コントローラ30は、総走行距離及び経過年数によって規定された関数に基づいて摩擦付与制御補正値を求める。総走行距離を「Ls」と表記し、経過年数を「Ts」と表記すると、コントローラ30は、例えば以下の式(1)を演算することにより、摩擦付与制御補正値を求める。
摩擦付与制御補正値=G1×Ls+G2×Ts+G3×Ls/Ts 式(1)
式(1)において、「G1」、「G2」、「G3」は、重み付けするための係数に相当する。また、式(1)中の「Ls/Ts」は経過年数に対してどれだけの距離を走行したかを示す値であり、車両を運転する頻度を表している。「Ls/Ts」が大きな値になった場合には、短い時間で走行距離が長くなった場合、つまり頻繁に運転された場合に相当するが、この場合には、摩擦係数が比較的大きく変化する傾向にあると言える。そのため、このような点を考慮して、摩擦付与制御補正値の算出式(1)に「Ls/Ts」の項を含めている。以上説明したステップS403の処理が終了すると、処理はステップS404に進む。
ステップS404では、コントローラ30は、ステップS403で求められた摩擦付与制御補正値に基づいて摩擦付与制御を行う。具体的には、コントローラ30は、求められた摩擦付与制御補正値で付加摩擦トルクを補正し(例えば、前述した方法で求められた付加摩擦トルクに対して摩擦付与制御補正値を乗算する)、補正された付加摩擦トルクがステアリングに付与されるようにモータ7に対する制御を行う。以上の処理が終了すると、処理は終了する。
以上説明した第4実施形態によれば、総走行距離及び経過年数に応じた適切な付加摩擦トルクにて、摩擦付与制御を行うことができる。よって、操舵特性の経時変化を適切に補償することが可能となる。例えば、経時変化による操舵フィーリングの悪化などを適切に抑制することができる。
なお、上記した第3実施形態及び第4実施形態では、総走行距離及び経過年数の少なくともいずれかを考慮に入れて摩擦付与制御を行う実施形態を示したが、これに限定はされない。他の例では、総走行距離及び経過年数だけでなく、運転時間及び旋回時間も考慮に入れて摩擦付与制御を行うことができる。つまり、第1実施形態及び第2実施形態の少なくともいずれかと、第3実施形態及び第4実施形態の少なくともいずれかとを組み合わせて摩擦付与制御を行うことができる。即ち、運転時間、旋回時間、及び総走行距離、並びに経過年数のうちの少なくともいずれか1つ以上に基づいて摩擦付与制御補正値を求めて、当該摩擦付与制御補正値によって補正した付加摩擦トルクにて摩擦付与制御を行うことができる。
また、上記した第3実施形態及び第4実施形態では、摩擦付与制御補正値を求めて、当該摩擦付与制御補正値に基づいて摩擦付与制御のみを行う例を示したが、上記した第1実施形態及び第2実施形態で示したように、摩擦付与制御及びアシスト制御の両方を行っても良い。この場合、車両の総走行距離及び経過年数の少なくともいずれかに基づいてアシスト制御補正値を求めて、当該アシスト制御補正値に基づいてアシスト制御を行うことができる。
[変形例]
次に、変形例に係る付加摩擦トルクの変更方法について説明する。
車両の製造時にステアリング系を構成する摩擦要素のばらつきにより、製造当初から個々の車両ごとの操舵特性が異なることがある。変形例は、このような製造当初からの特性のばらつきを抑制するために付加摩擦トルクを変更するものである。具体的には、変形例では、車両出荷時において、操舵制御で検査のための作動を行い、ステアリング系の特性を把握して、それに応じて、前述した方法によって決定された付加摩擦トルクを変更することができる。更に、修理などでコントローラ30(ECU)の配線を外した後の再接続時に、操舵制御で検査のための作動を行い、ステアリング系の特性を把握して、それに応じて、前述した方法によって決定された付加摩擦トルクを変更することができる。このような変形例によれば、製造当初からのばらつきや、コントローラ30(ECU)を外したことに起因するばらつきなどを適切に抑制することが可能となる。
本実施形態に係るパワーステアリング装置が適用された操舵制御システムの概略構成図を示す。 摩擦トルクを求める方法の一例を示す。 付加摩擦トルクの特性の一例を示す。 付加摩擦トルクの特性を可視的なモデルで表すイメージ図である。 第1実施形態における制御処理を示すフローチャートである。 第1実施形態における摩擦付与制御補正値及びアシスト制御補正値を求める方法を説明するための図である。 第2実施形態における制御処理を示すフローチャートである。 第2実施形態における摩擦付与制御補正値及びアシスト制御補正値を求める方法を説明するための図である。 第3実施形態における制御処理を示すフローチャートである。 第3実施形態における摩擦付与制御補正値を求める方法を説明するための図である。 第4実施形態における制御処理を示すフローチャートである。
符号の説明
1 ステアリングホイール
2 ステアリングシャフト
3 操舵角センサ
4 操舵トルクセンサ
5 ピニオン
6 ステアリングラック
7 モータ
8 モータ回転角センサ
12 車輪
15 車速センサ
30 コントローラ
50 操舵制御システム

Claims (6)

  1. 実操舵角及び目標操舵角に基づいてステアリングに付与すべき付加摩擦トルクを設定し、前記付加摩擦トルクを付与する制御を行うパワーステアリング装置であって、
    車両の運転時間若しくは旋回時間の長さに基づいて、前記付加摩擦トルクを変更する付加摩擦トルク変更手段を備えることを特徴とするパワーステアリング装置。
  2. 前記付加摩擦トルク変更手段は、前記運転時間が長いほど、若しくは前記旋回時間が長いほど、前記付加摩擦トルクを大きな値に変更する請求項1に記載のパワーステアリング装置。
  3. 前記ステアリングに付与すべきアシストトルクを設定するアシストトルク設定手段を更に備え、
    前記アシストトルク設定手段は、前記運転時間若しくは前記旋回時間の長さに基づいて、前記アシストトルクを変更する請求項1又は2に記載のパワーステアリング装置。
  4. 前記アシストトルク設定手段は、前記運転時間が長いほど、若しくは前記旋回時間が長いほど、前記アシストトルクを大きな値に変更する請求項3に記載のパワーステアリング装置。
  5. 前記付加摩擦トルク変更手段は、更に、前記車両の総走行距離若しくは経過年数に基づいて、前記付加摩擦トルクを変更する請求項1又は2に記載のパワーステアリング装置。
  6. 前記付加摩擦トルク変更手段は、前記総走行距離が長いほど、若しくは前記経過年数が長いほど、前記付加摩擦トルクを大きな値に変更する請求項5に記載のパワーステアリング装置。
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