JP2010149776A - コラムホールカバー - Google Patents

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Yukio Yoshida
吉田  幸生
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Abstract

【課題】ステアリングシャフトに組付け易く、またステアリングシャフトとの間から異物や騒音の侵入を抑制することができるコラムホールカバーを提供する。
【解決手段】コラムホールカバー1は、ダッシュパネル7の挿通穴70の周縁に取り付けられる筒状の車体側シールブーツ2と、ステアリングシャフトの外周面に取り付けられステアリングシャフトとともに回転する筒状で周面に蛇腹形状をもつシャフト側シールブーツ3と、を持つ。車体側シールブーツの内周面には、シャフト側シールブーツの一端部を摺動自在に当接させるリング状の摺接部材5が固定されている。摺接部材の内径は、車体側シールブーツに組み付ける前のシャフト側シールブーツの摺接部材に対して摺動する摺動部32の外径よりも小さい。
【選択図】図1

Description

本発明は、車体のダッシュパネルに取り付けられるコラムホールカバーに関する。
車両のステアリング機構では、ステアリングシャフトを介してステアリングホイールの回転力をステアリングギヤに伝達し、この回転力をタイロッドの左右方向運動に変換することで車輪の方向制御を行っている。ここで、ステアリングホイールは車室内に配置されている。一方、ステアリングギヤは車室の外のエンジンルーム側に配置されている。ステアリングシャフトは、車室の内側から外側に延びて、ステアリングホイールの回転力をステアリングギヤに伝達している。ステアリングシャフトは、運転席の足元近くのダッシュパネルに設けられた挿通穴に挿通されている。ステアリングシャフトは、回転されるだけでなく、軸方向に移動したり、チルト操作によりダッシュパネルに対する傾きが変更されたりすることがある。このため、ダッシュパネルに設けた挿通穴とステアリングシャフトとの間には、隙間が設けられている。そして、この隙間から泥、水等の異物やエンジン音などの騒音が車室内に進入するおそれがある。そこで、挿通穴とステアリングシャフトとの間の隙間をコラムホールカバーで被覆することで、車室内への異物や騒音の侵入を防止している。
このようなコラムホールカバーとして、例えば、特許文献1に示されているものがある。特許文献1に記載されたコラムホールカバーは、図4に示すように、ダッシュパネル90に設けられた挿通穴91を塞ぐダストシール本体部92と、ステアリングシャフト93を軸支する筒状の摺動部94と、ステアリングシャフト93の外周面と摺動部94との間の隙間をシールするゴム製のシール部95とをもつ。シール部95の、ステアリングシャフト93の外周面に密接する部分は、シリコン樹脂により形成しており、ダストシール本体部92の摩擦係数よりも小さな摩擦係数をもつ。このため、ステアリングシャフトの回転に伴ってシール部93は、ステアリングシャフト93を摺動させながらステアリングシャフト93の外周面に密接する。このため、ステアリングシャフト93の回転に伴うシール部95との摺接音が生じにくくなり、異音発生を抑制する。
上記特許文献1のコラムホールカバー9をダッシュパネル90及びステアリングシャフト93に組付けるに当たっては、ダストシール本体部92の内周部に設けられた嵌合部96に、筒状の摺動部94及びシール部95を嵌合する。次に、ダストシール本体部92の外周部を、ダッシュパネル90の挿通穴91周縁部に固定する。次に、ダストシール本体部92の嵌合部96に嵌合された摺動部94及びシール部95の内部に、ステアリングシャフト93を挿通する。
特開2000−52360号公報
しかしながら、上記特許文献1では、摺動部94は、ステアリングシャフト92を軸支するために、ステアリングシャフト93の外周面から受ける力に対して充分な強度と低い摩擦係数を有する必要がある。このため、摺動部94にステアリングシャフト93を挿通させるに当たり、シール部95はステアリングシャフト93の外周面に面状に密接するため、ステアリングシャフト93の挿入が摺動部94によって妨げられる。ゆえに、ステアリングシャフト93の挿入作業性は良好ではなかった。
そこで、摺動部94の内径を大きくして、ステアリングシャフト93との間に十分な隙間を確保することが考えられる。しかし、この場合には、シール部95とステアリングシャフト93との間に隙間が生じて、水、泥、騒音などが車室内に侵入しやすくなる。
本発明はかかる事情にかんがみてなされたものであり、ステアリングシャフトに組付け易く、またステアリングシャフトとの間から異物や騒音の侵入を抑制することができるコラムホールカバーを提供することを課題とする。
本発明は、車両の車室内と車室外とを区画するダッシュパネルに形成された挿通穴と、該挿通穴に挿通されたステアリングシャフトとの間の隙間を覆うコラムホールカバーにおいて、前記ダッシュパネルの前記挿通穴の周縁に取り付けられる筒状の車体側シールブーツと、前記ステアリングシャフトの外周面に取り付けられ前記ステアリングシャフトとともに回転する筒状で周面に蛇腹形状をもつシャフト側シールブーツと、を持ち、前記車体側シールブーツの内周面には、前記シャフト側シールブーツの一端部を摺動自在に当接させるリング状の摺接部材が固定されているとともに、該摺接部材の内径は、前記車体側シールブーツに組み付ける前の前記シャフト側シールブーツの前記摺接部材に対して摺動する摺動部の外径よりも小さいことを特徴とする(請求項1)。
上記構成によれば、ステアリングシャフトにシャフト側シールブーツが取付られており、シャフト側シールブーツはステアリングシャフトとともに回転する。そして、車体側シールブーツの内周面に摺接部材を固定している。この摺接部材の内周面で、ステアリングシャフトと共回転するシャフト側シールブーツの一端部が摺動する。このため、本発明のコラムホールカバーによれば、ステアリングシャフトを回転可能にしつつ、ステアリングシャフトとダッシュパネルの挿通穴との間をシールすることができる。
また、ステアリングシャフトにコラムホールカバーを組み付けるに当たっては、ステアリングシャフトにシャフト側シールブーツを取付ける。その後、シャフト側シールブーツを取り付けたステアリングシャフトを、筒状の車体側シールブーツに挿入する。摺接部材は、車体側シールブーツに固定されており、摺接部材とステアリングシャフトとの間には十分な隙間が確保されている。このため、摺接部材は、ステアリングシャフトの車体側シールブーツへの組み付けの妨げとはならない。また、ステアリングシャフトと車体側シールブーツとの間には、蛇腹状の変形可能なシャフト側シールブーツが介在している。このため、ステアリングシャフトを車体側シールブーツに挿入するときに、シャフト側シールブーツが車体側シールブーツの内周面に押接して変形する。このため、ステアリングシャフトはシャフト側シールブーツとともに、車体側シールブーツに容易に挿入することができる。従って、本発明のコラムホールカバーは、ステアリングシャフトへ容易に組付けることができる。
また、リング状の摺接部材の内径は、組み付け前のシャフト側シールブーツにおける摺接部材に摺動する摺動部の外径よりも小さい。このため、シャフト側シールブーツは、摺接部材によって若干縮径されて摺接部材の内周面に押接しながら摺接部材の内周面に対して摺動する。ゆえに、シャフト側シールブーツと、摺接部材を嵌合した車体側シールブーツとの間が確実にシールされる。また、シャフト側シールブーツはステアリングシャフトに固定されているため、シャフト側シールブーツとステアリングシャフトとの間も確実にシールされる。従って、本発明のコラムホールカバーによれば、ダッシュパネルとステアリングシャフトとの間を確実にシールすることができ、泥、水などの異物や騒音の侵入を確実に防止することができる。
また、ステアリングシャフトと車体側シールブーツとの間には、蛇腹形状をもつシャフト側シールブーツによりシールされている。このため、ステアリングシャフトがダッシュパネルに対して偏心したときには、シャフト側シールブーツの蛇腹部が変形してステアリングシャフトの偏心に追従することができる。ゆえに、シャフト側シールブーツの摺動部は、摺接部材に対して隙間が生じることなく、スムーズに摺動することができる。
前記摺接部材は、前記車体側シールブーツよりも摺動抵抗が小さい低摺動材料から構成されていることが好ましい(請求項2)。この場合には、摺接部材のシャフト側シールブーツとの摺動摩擦を低くすることができる。したがって、車体側シールブーツのねじれを抑制し、摺動音を抑制することができる。この場合、摺接部材を構成する材料としては、POM(ポリアセタール)、PP(ポリプロピレン)などを用い、車体側シールブーツを構成する材料としては、ゴム、エラストマー、軟質樹脂などを用いるとよい。
前記シャフト側シールブーツは、前記車体側シールブーツよりも摺動抵抗が小さい低摺動材料から構成されていることが好ましい(請求項3)。この場合には、シャフト側シールブーツの摺動部材との摺動摩擦を低くすることができる。したがって、車体側シールブーツのねじれを抑制し、摺動音を抑制することができる。この場合、シャフト側シールブーツを構成する材料としては、オレイン酸アミド等の滑剤を配合したゴム又は熱可塑性エラストマなどの低摺動弾性体を用い、車体側シールブーツを構成する材料としては、ゴム、エラストマー、軟質樹脂などを用いることができる。
前記シャフト側シールブーツは、車室内側から車室外側に向けて拡径する第1拡径部と、該第1拡径部よりも径方向外側で車室外側から車室内側に向けて拡径する第2拡径部と、前記第1拡径部と前記第2拡径部との間に形成され前記第1拡径部の拡径方向を前記第2拡径部の拡径方向に変えるように屈曲する屈曲部とをもち、前記摺接部材に対して摺動する前記摺動部は前記第2拡径部に位置していることが好ましい(請求項4)。
前記シャフト側シールブーツの屈曲部は、車室内側より車室外側に向けて拡径する第1拡径部から、車室外側より車室内側に向けて拡径する第2拡径部に拡径方向を変えるように屈曲する。このため、ステアリングシャフトに固定したシャフト側シールブーツを、車室内側から車体側シールブーツの内部に挿入するときに、シャフト側シールブーツは、屈曲部の径方向の弾性変形によって、車体側シールブーツの内周面に押接して、柔軟に径方向内側に縮径することができる。ゆえに、シャフト側シールブーツの車体側シールブーツの内部への挿入を容易に行うことができる。
また、シャフト側シールブーツを車体側シールブーツに挿入するときには、シャフト側シールブーツの車室外側から車室内側に向かって拡径する第2拡径部を、車体側シールブーツの内周面に対して車室内側から車室外側に向けて摺動させる。このため、第2拡径部が車体側シールブーツの内周面でつっかえることなく、シャフト側シールブーツを車体側シールブーツの内部にスムーズに挿入することができる。
また、シャフト側シールブーツの摺接部材に対して摺動する摺動部は、屈曲部より径方向外側の車外側から車室側に向けて拡径する第2拡径部に位置している。このため、シャフト側シールブーツを車体側シールブーツに組み付けた後に、屈曲部の径方向外側に向かう弾性復元力によって、シャフト側シールブーツが摺接部材に押接する。ゆえに、シャフト側シールブーツは、摺接部材との間を確実にシールすることができる。
前記車体側シールブーツの内周面には、前記摺接部材の固定位置よりも車室外側に、前記ステアリングシャフトの外周面に近接するシール部が突出していることが好ましい(請求項5)。このシール部によって、車外からの泥、水、騒音などの殆どを遮断することができる。そして、泥、水、騒音などの一部がシール部を通過したとしても、シール部よりも車室側に位置するシャフト側シールブーツによって確実に遮断することができる。このように、車体側シールブーツとステアリングシャフトとの間に、シール部とシャフト側シールブーツとからなる2段階の遮断構造が形成されることになる。ゆえに、コラムホールカバーのシール性が確実に向上する。
本発明のコラムホールカバーによれば、車体側シールブーツの内周面には、シャフト側シールブーツの一端部を摺動させる摺接部材が嵌合されている。このため、ステアリングシャフトに組付け易く、またステアリングシャフトとの間から異物や騒音の侵入を抑制することができる。
本発明の実施形態について図面を参照にして説明する。図1は本実施形態のコラムホールカバー1の取付状態を示す断面図であり、図2はコラムホールカバーの取付方法を示す断面図である。
本実施形態のコラムホールカバー1は、図1に示すように、車両の車室内とエンジンルーム側の車室外とを区画するダッシュパネル7に取り付けられる。コラムホールカバー1は、ダッシュパネル7に形成されステアリングシャフト8を挿通する挿通穴70の周縁に取り付けられて、挿通穴70とステアリングシャフト8との間の隙間を覆う。コラムホールカバー1は、車体側シールブーツ2と、シャフト側シールブーツ3と、摺接部材5とをもつ。
車体側シールブーツ2は、ゴム、エラストマー、軟質樹脂などの弾性材料から構成されている。車体側シールブーツ2は、円筒形状をなし、軸方向の両端が開口している。車体側シールブーツ2は、円筒形状の筒部21と、筒部21の軸方向の一端側に設けられた嵌合部22と、筒状部21の内周面から突出するシール部23とをもつ。
筒部21の内部には、ステアリングシャフト8が挿入されている。筒部21は、ステアリングシャフト8と同一軸中心をもち、ステアリングシャフト8の軸方向に平行に配置されている。筒部21の内周面とステアリングシャフト8の外周面との間には、空間部80が形成されている。
嵌合部22は、筒部21の軸方向の一端部からフランジ状に拡径している。嵌合部22には、外周端から径方向内側に向かってリング状のスリット22aが形成されている。スリット22aには、ダッシュパネル7の挿通穴70の周縁が嵌合されて、車体側シールブーツ2をダッシュパネル7に固定している。スリット22aを挟んでダッシュパネル7よりも車室内側及び車室外側は、筒部21よりも若干肉厚の把持部22b、22cが形成されている。把持部22b、22cの厚みによって、スリット22aの変形が抑制されて、ダッシュパネル7のスリット22aからの脱落を防止している。
シール部23は、車体側シールブーツ2の内周面から、車体側シールブーツ2の内周面とステアリングシャフト8の外周面との間に形成された空間部80に向かって突出している。シール部23は、空間部80において車室内側から車室外側に向かって漸次縮径している。シール部23の基端部は、筒部21の内周面から延設され、先端部は樹脂リング6が嵌合されている。
樹脂リング6の内周面は、ステアリングシャフト8の外周面と対向している。樹脂リング6は、ステアリングシャフト8とのスティックスリップ現象による異音発生を抑制するため、車体側シールブーツ2よりも小さい摩擦係数をもつ低摺動材料から構成されている。かかる低摺動材料としては、例えば、POMを用いる。樹脂リング6の内周面とステアリングシャフト8の外周面との間には、ステアリングシャフト8を車体側シールブーツ2に挿入するときの妨げとならない程度の幅2mm以下の隙間Aが確保されている。
シャフト側シールブーツ3は、オレイン酸アミドを0.1〜1質量%配合したEPDM(エチレンプロピレンジエンゴム)などの弾性を有する低摺動ゴムから構成されている。シャフト側シールブーツ3は、筒状で、蛇腹形状をもつ円錐台形をなす。シャフト側シールブーツ3は、蛇腹形状をなす蛇腹部31と、蛇腹部31の軸方向の一端部に設けられた摺動部32と、蛇腹部31の軸方向の他端部に設けられた嵌合部33と、蛇腹部31と摺動部32との間に設けられた屈曲部34とをもつ。
蛇腹部31は、車室外側から車室内側に向けて突き出るように断面V字状に屈曲している。なお、この蛇腹部31の断面形状はこのV字形状に限定されず、例えば、波状、複数の部位で屈曲する鋸歯状でもよい。
嵌合部33は、ステアリングシャフト8の外周面に沿ったリング形状をもち、ステアリングシャフト8の外周面に形成されたリング状の溝部81に嵌合されている。これにより、シャフト側シールブーツ3は、ステアリングシャフト8と一体に固定され、ステアリングシャフト8の回転に伴って回転する。
摺動部32は、シャフト側シールブーツ3がステアリングシャフト8と共回転するときに、車体側シールブーツ2の筒部21の内周面に嵌合された摺接部材5に対して摺動する部分である。屈曲部34は、車室内側から車室外側に向かって拡径する方向から、車室外側から車室内側に向かって拡径する方向に屈曲している。即ち、屈曲部34よりも径方向内側は、車室内側から車室外側に向かって拡径する第1拡径部34aであり、屈曲部34よりも径方向外側は、車室外側から車室内側に向かって拡径する第2拡径部34bである。第2拡径部34bの先端には摺動部32が設けられている。摺動部32は、摺接部材5の内周面に対して鋭角度α(<90°)で接している。
図2に示すように、シャフト側シールブーツ3の摺動部32の、車体側シールブーツ2に組付ける前の外径φ1は70mmである。車体側シールブーツ2に嵌合されている摺接部材5の内径φ2は63mmである。車体側シールブーツ2の筒部21の内径φ3は65mmである。シャフト側シールブーツ3の摺動部32の組付け前の外径φ1は摺接部材5の内径φ2よりも大きい。このため,シャフト側シールブーツ3を車体側シールブーツ2に組付けると、シャフト側シールブーツ3の摺動部32が、摺接部材5の内周面を押接して、摺接部材5との間に隙間が生じないように確実にシールする。
締め代=(φ1―φ2)/φ1×100とすると、2〜15%とすることが好ましい。特に、5〜10%が好ましい。締め代が小さすぎるとシール性が低下するおそれがあり、大きすぎると耐久性が低下しやすく、挿入作業性も悪化するおそれがある。
また、3mm>φ3―φ2>0であることが好ましい。0以下の場合にはシャフト側シールブーツ3の摺動部32が車体側シールブーツ2の内周面に触れる可能性があり、3mm以上の場合には組付け時に摺動部32が摺接部材5の端部に引っかかりやすくなり、正規位置に組付けすにくくなるおそれがある。
本実施形態のコラムホールカバー1をステアリングシャフト8に組付けるに当たっては、まず、図2に示すように、車体側シールブーツ2の筒部21の内周面に摺接部材5を嵌合する。次に、車体側シールブーツ2を車室内側からダッシュパネル7の挿通穴70上に配置する。車体側シールブーツ2の嵌合部22に設けられたスリット22aに、ダッシュパネル7の挿通穴70の周縁を嵌合させる。
また、ステアリングシャフト8の外周面に形成されたリング状の嵌合溝81に、シャフト側シールブーツ3の嵌合部33を嵌入させて、ステアリングシャフト8にシャフト側シールブーツ3を固定する。
次に、車体側シールブーツ2の内部空間80にステアリングシャフト8を車室内側から挿入する。シャフト側シールブーツ3の摺動部32の組み付け前の外径φ1は、摺接部材5の内径φ2及び車体側シールブーツ2の筒部21の内径φ3よりも大きいため、シャフト側シールブーツ3の摺動部32は、車体側シールブーツ2の筒部21の内周面及び摺接部材5の内周面によって径方向内側に押されて、縮径する。そして、シャフト側シールブーツ3は、縮径された状態で摺接部材5の内周面に押接する。
本実施形態によれば、図1に示すように、ステアリングシャフト8にシャフト側シールブーツ3が固定されており、シャフト側シールブーツ3はステアリングシャフト8とともに回転する。そして、車体側シールブーツ2の筒部21の内周面に摺接部材5を嵌合している。この摺接部材5の内周面で、ステアリングシャフト8と共回転するシャフト側シールブーツ3の摺動部32が摺動する。このため、本実施形態のコラムホールカバー1によれば、ステアリングシャフト8を回転可能にしつつ、ステアリングシャフト8とダッシュパネル7の挿通穴70との間をシールすることができる。
また、ステアリングシャフト8にコラムホールカバー1を組み付けるときには、ステアリングシャフト8にシャフト側シールブーツ3を固定した後、筒状の車体側シールブーツ2に、シャフト側シールブーツ3を固定したステアリングシャフト8を挿入する。このとき、摺接部材5は、車体側シールブーツ2の筒部21の内周面に嵌合されて、摺接部材5とステアリングシャフト8との間には十分な空間80があいている。このため、摺接部材5は、ステアリングシャフト8の車体側シールブーツ3への組み付けの妨げとはならない。また、ステアリングシャフト8と車体側シールブーツ2との間には、変形可能なシャフト側シールブーツ3が介在しているため、ステアリングシャフト8を車体側シールブーツ2に挿入するときに、シャフト側シールブーツ3が車体側シールブーツ2の筒部21の内周面に押接して変形する。このため、ステアリングシャフト8はシャフト側シールブーツ3とともに、車体側シールブーツ2に容易に挿入することができる。従って、本実施形態のコラムホールカバー1は、ステアリングシャフト8へ容易に組付けることができる。
また、リング状の摺接部材5の内径φ2は、組み付けのシャフト側シールブーツ3における摺接部材5に摺動する摺動部32の外径φ1よりも小さい。このため、シャフト側シールブーツ3は、摺接部材5によって若干縮径されて摺接部材5の内周面に押接しながら摺接部材5の内周面に対して摺動する。ゆえに、シャフト側シールブーツ3と、摺接部材5を嵌合した車体側シールブーツ2との間が確実にシールされる。また、シャフト側シールブーツ3はステアリングシャフト8に固定されているため、シャフト側シールブーツ3とステアリングシャフト8との間も確実にシールされる。従って、本実施形態のコラムホールカバー1によれば、ダッシュパネル7とステアリングシャフト8との間を確実にシールすることができ、泥、水などの異物や騒音の侵入を確実に防止することができる。
また、ステアリングシャフト8と車体側シールブーツ2との間には、蛇腹形状をもつシャフト側シールブーツ3によりシールされている。このため、ステアリングシャフト8がダッシュパネル7に対して偏心したときには、シャフト側シールブーツ3の蛇腹部31が変形するため、ステアリングシャフト8の偏心に追従することができる。ゆえに、シャフト側シールブーツ3の摺動部32は、摺接部材5との間に隙間が生じることなく、摺動部材5に対してスムーズに摺動することができる。
摺接部材5及びシャフト側シールブーツ3は、車体側シールブーツ2よりも低い摺動抵抗をもつ材料により構成されている。このため、摺接部材5のシャフト側シールブーツとの摺動摩擦を低くすることができる。従って、車体側シールブーツ2の筒部21のねじれを抑制でき、また、摺動音を抑制することができる。また、車体側シールブーツ2を構成しているゴム材料特有のスティックスリップ現象を回避することができる。したがって、スティックスリップ現象による異音も生じない。
また、シール部23の先端部に固定した樹脂リング6は、低摺動材料により構成されている。このため、摺動部材5と同様に、摺動音を抑制でき、スティックスリップ現象による異音発生を回避することができる。
シャフト側シールブーツ3の屈曲部34は、第1拡径部34aから第2拡径部34bに拡径方向を変えるように屈曲している。このため、ステアリングシャフト8に固定したシャフト側シールブーツ3を、車室内側から車体側シールブーツ2の筒部21の内部に挿入するときに、シャフト側シールブーツ3が、車体側シールブーツ2の筒部21の内周面に押接して、柔軟に径方向内側に縮径することができる。ゆえに、シャフト側シールブーツ3の車体側シールブーツ2の内部への挿入を容易に行うことができる。
また、シャフト側シールブーツ3を車体側シールブーツ2に挿入するときには、シャフト側シールブーツ3の車室外側から車室内側に向かって拡径する第2拡径部34bを、車体側シールブーツ2の筒部21の内周面に対して、車室内側から車室外側に向けて摺動させる。このため、第2拡径部34bが筒部21の内周面でつっかえることなく、シャフト側シールブーツ3を筒部21の内部にスムーズに挿入することができる。
また、摺接部材5に対して摺動する摺動部32は、屈曲部34より径方向外側の車室外側から車室内側に向けて拡径する第2拡径部34bに位置している。このため、シャフト側シールブーツ3を車体側シールブーツ2に組み付けた後に、屈曲部34の径方向外側に向かう弾性復元力によって、シャフト側シールブーツ3が摺接部材5に押接する。ゆえに、シャフト側シールブーツ3は、摺接部材5との間を確実にシールすることができる。
また、車体側シールブーツ2の筒部21の内周面には、摺接部材5の嵌合位置よりも車室外側に、ステアリングシャフト8の外周面に近接するシール部23が突出している。このため、まず、シール部23によって、車外からの泥、水、騒音などの殆どを遮断することができる。そして、泥、水、騒音などの一部がシール部23を通過したとしても、シール部23よりも車室内側に位置するシャフト側シールブーツ3によって確実に遮断することができる。このように、車体側シールブーツ2とステアリングシャフト8との間に、シール部23とシャフト側シールブーツ3とからなる2段階の遮断構造が形成されることになる。ゆえに、コラムホールカバー1のシール性及び遮音性が確実に向上する。
本実施形態においては、車体側シールブーツ2の筒部21の内周面からシール部23が突出してシャフト側シールブーツ3とともに2段シール構造を形成している。しかし、シャフト側シールブーツ3は摺接部材5との間で十分なシール性を確保しつつ摺動するため、シール部がなくシャフト側シールブーツ3のみによる1段シール構造でも十分にシール性を発揮することができる。
また、シャフト側シールブーツ3の摺動部32は摺接部材5への押接のみによって車体側シールブーツ2に保持されている。摺動部32は、摺接部材5への押接しているため、軸方向の位置ズレは殆ど生じない。しかし、図3に示すように、摺接部材5の車室外側に径方向内側に突出するストッパー55を配設してもよい。この場合、摺動部32の軸方向の位置ズレを確実に防止することができる。ストッパー55は摺接部材5に一体成形してもよい。
また、シャフト側シールブーツ3の屈曲部34は、他の部位とほぼ同等の厚みをもつ。しかし、例えば、図3に示すように、屈曲部34の弾性反発力を高めるために、屈曲部34の谷側凹状部の肉厚を厚くしてもよい。この場合、谷側凹状部の厚肉部34cは、屈曲部34の周方向の複数箇所に等間隔に設けるとよい。
本実施形態においては、車体側シールブーツ2の嵌合部22をダッシュパネル7の挿通穴70の周縁に嵌合させることにより、車体側シールブーツ2をダッシュパネル7に固定している。しかし、車体側シールブーツ2のダッシュパネル7への固定方向はこれに限らず、例えば、ボルト締結、クランプ締めなどによって固定してもよい。
本発明の実施形態に係るコラムホールカバーの組み付け状態を示す断面図である。 実施形態に係るコラムホールカバーの組み付け方法を示す断面図である。 他の実施形態に係る、車体側シールブーツの摺動部材周辺の要部拡大断面図である。 従来例に係るコラムホールカバーの組み付け状態を示す断面図である。
符号の説明
1:コラムホールカバー、2:車体側シールブーツ、3:シャフト側シールブーツ、5:摺接部材、6:樹脂リング、7:ダッシュパネル、8:ステアリングシャフト、21:筒部、22:嵌合部、22a:スリット、22b、22c:把持部、23:シール部、31:蛇腹部、32:摺動部、33:嵌合部、34:屈曲部、34a:第1拡径部、34b:第2拡径部、70:挿通穴、80:空間、81:溝部。

Claims (5)

  1. 車両の車室内と車室外とを区画するダッシュパネルに形成された挿通穴と、該挿通穴に挿通されたステアリングシャフトとの間の隙間を覆うコラムホールカバーにおいて、
    前記ダッシュパネルの前記挿通穴の周縁に取り付けられる筒状の車体側シールブーツと、
    前記ステアリングシャフトの外周面に取り付けられ前記ステアリングシャフトとともに回転する筒状で周面に蛇腹形状をもつシャフト側シールブーツと、を持ち、
    前記車体側シールブーツの内周面には、前記シャフト側シールブーツの一端部を摺動自在に当接させるリング状の摺接部材が固定されているとともに、
    該摺接部材の内径は、前記車体側シールブーツに組み付ける前の前記シャフト側シールブーツの前記摺接部材に対して摺動する摺動部の外径よりも小さいことを特徴とするコラムホールカバー。
  2. 前記摺接部材は、前記車体側シールブーツよりも摺動抵抗が小さい低摺動材料から構成されている請求項1記載のコラムホールカバー。
  3. 前記シャフト側シールブーツは、前記車体側シールブーツよりも摺動抵抗が小さい低摺動材料から構成されている請求項1又は請求項2に記載のコラムホールカバー。
  4. 前記シャフト側シールブーツは、車室内側から車室外側に向けて拡径する第1拡径部と、該第1拡径部よりも径方向外側で車室外側から車室内側に向けて拡径する第2拡径部と、前記第1拡径部と前記第2拡径部との間に形成され前記第1拡径部の拡径方向を前記第2拡径部の拡径方向に変えるように屈曲する屈曲部とをもち、
    前記摺接部材に対して摺動する前記摺動部は前記第2拡径部に位置している請求項1乃至請求項3のいずれか1項に記載のコラムホールカバー。
  5. 前記車体側シールブーツの内周面には、前記摺接部材の固定位置よりも車室外側に、前記ステアリングシャフトの外周面に近接するシール部が突出している請求項1乃至請求項4のいずれか1項に記載のコラムホールカバー。
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