JP2010149175A - ニッケル合金材のろう付け方法 - Google Patents
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Abstract
【課題】本発明は、ブラスト処理による前処理を行った場合であっても、ニッケルめっきを行った場合と同等のぬれ性を確保することができる、ニッケル合金材のろう付け技術の提供を課題とする。
【解決手段】2枚のニッケル合金材11、21をろう付けする際に、これらの2枚のニッケル合金材11、21のそれぞれのろう付け面に、予めニッケル粉末14を用いてブラスト処理を施すことを特徴とする。
【効果】ニッケルはろう材28に対して高いぬれ性を有する。これにより、ブラスト処理による前処理を行った場合であっても、ニッケルめっきを行った場合と同等のぬれ性を確保することができる。
【選択図】図1
【解決手段】2枚のニッケル合金材11、21をろう付けする際に、これらの2枚のニッケル合金材11、21のそれぞれのろう付け面に、予めニッケル粉末14を用いてブラスト処理を施すことを特徴とする。
【効果】ニッケルはろう材28に対して高いぬれ性を有する。これにより、ブラスト処理による前処理を行った場合であっても、ニッケルめっきを行った場合と同等のぬれ性を確保することができる。
【選択図】図1
Description
本発明は、複数のニッケル合金材をろう付けする、ニッケル合金材のろう付け方法に関する。
ニッケル合金材のうち、例えばニッケル基耐熱合金は、航空機のエンジン部品の素材として用いられる。エンジン部品を製造する場合に、ニッケル合金材のパーツ同士を接合することがあり、このような場合の接合方法の一つとして、ろう付けが行われる。
ろう付けを行う場合、ニッケル合金材のろう付け面に予めニッケルめっきを行い、めっきを行った上でろう付けを行うことが知られている(例えば特許文献1参照。)。
特開平10−5995号公報(第2頁)
即ち、特許文献1の段落番号[0008]第1行から第2行には、「接合部分に、予めめっきを行った後に、ろう付けすることも行われているが、」との記載がある。
しかし、めっき処理を行うとめっき廃液が生じる。この廃液を処理するには、高額の処理費用が発生するため、製造コストが嵩む。このため、めっきに代わる前処理技術が種々提案されている(例えば、特許文献2参照。)。
特開平5−31574号公報(請求項1)
特許文献2の[請求項1]によれば、「重量%で、Ti:1.5%以上、Al1.5%以上含む析出硬化型Ni基耐熱合金部材を、Niろう材又はCoろう材を用いてろう付する場合、ろう付面を粒径500μm以下の微細なガラス粉末又はセラミックス粉末によって乾式ブラストを行った後、Niろう材又はCoろう材を塗布し、その後950℃以上の温度で5分以上の時間、5×10−5mmHgより高真空中で加熱することを特徴とするNi基耐熱合金のろう付方法。」とある。
即ち、特許文献2によればろう付けを行う際の前処理として、ガラス粉末又はセラミックス粉末を用いてブラスト処理を行う。ブラスト処理によれば、めっきの場合のように廃液が生じないため、環境を汚染することなく前処理を行うことができる。
しかし、本発明者が調べたところ、ガラス粉末又はセラミックス粉末によるブラスト処理を行った場合のぬれ性が、ニッケルめっきを行った場合のぬれ性に比べて低いことが分かった。
ブラスト処理による前処理を行った場合であっても、ニッケルめっきを行った場合と同等のぬれ性を確保することができる、ニッケル合金材のろう付け技術の提供が望まれる。
本発明は、ブラスト処理による前処理を行った場合であっても、ニッケルめっきを行った場合と同等のぬれ性を確保することができる、ニッケル合金材のろう付け技術の提供を課題とする。
請求項1に係る発明は、複数のニッケル合金材をろう付けする際に、これらの複数のニッケル合金材のそれぞれのろう付け面に、予めニッケル粉末を用いてブラスト処理を施すことを特徴とする。
請求項2に係る発明は、ニッケル合金材は、チタン又はアルミニウムを含み、表面にチタンの酸化膜又はアルミニウムの酸化膜を有することを特徴とする。
請求項3に係る発明は、請求項1又は請求項2記載のニッケル合金のろう付け方法であって、ろう付けの際に用いられるろう材は、ペースト状であることを特徴とする。
請求項1に係る発明では、ニッケル合金材のろう付け面に、ニッケル粉末を用いてブラスト処理を施す。ブラスト処理は、母材としてのニッケル合金へブラスト材としてのニッケル粉末を高速で投射させて、母材の表面に微細な凹凸を形成するが、この際、母材とブラスト材とが同種であるため、母材表面のニッケル濃度が高くなる。これは母材表面にメカニカルアロイ状の層が形成されるためである。この高濃度ニッケル層によりろう材のぬれ性を高めることが期待される。この結果、ニッケルブラスト処理による前処理を行った場合であっても、ニッケルめっきを行った場合と同等のぬれ性を確保することができる。
請求項2に係る発明では、ニッケル合金材は、表面にチタンの酸化膜又はアルミニウムの酸化膜を有する。酸化膜を表面に有すると、ろう材のぬれ性が低下する。このような酸化膜を、ブラスト処理により除去することができる。酸化膜の除去を行うことにより、ろう付け面に直接ろうを配置することができ、ろう材のぬれ性が向上する。
請求項3に係る発明では、ペースト状のろう材を用いる。ペースト状のろう材であれば、使用するろう材の量を任意に調整することができる。ろう材の量を調整することにより、ニッケル合金材に挟まれるろう材の厚さも調整することができ、生産性を高めることができる。
本発明を実施するための最良の形態を添付図に基づいて以下に説明する。
図1は本発明に係るブラスト処理を説明する図であり、(a)に示すように、2枚のニッケル合金材11、21を準備する。ニッケル合金材11、21は、表面に酸化膜12、22を有する。この酸化膜12、22は、ニッケル合金材11、21に含まれるチタン又はアルミニウムに大気中の酸素が付着して形成される。即ち、酸化膜12、22は、TiOやAl2O3である。
図1は本発明に係るブラスト処理を説明する図であり、(a)に示すように、2枚のニッケル合金材11、21を準備する。ニッケル合金材11、21は、表面に酸化膜12、22を有する。この酸化膜12、22は、ニッケル合金材11、21に含まれるチタン又はアルミニウムに大気中の酸素が付着して形成される。即ち、酸化膜12、22は、TiOやAl2O3である。
次に(b)において、ニッケル粉末(純度99%)13、23を投射するブラストガン14、24を準備する。次に、ニッケル合金材11、21のろう付け面15、25に、ブラストガン14、24を用いてブラスト処理を行う。なお、酸化膜12、22は、ニッケル粉末を高速で投射させることにより、ニッケル合金材(母材)11、21から除去することができる。酸化膜12、22がなければ、後述のろう材を直接ニッケル合金材11、21に接触させることができ、ぬれ性の向上を図ることができる。
(c)は(b)のc部拡大図であり、母材としてのニッケル合金材11、21へブラスト材としてのニッケル粉末((b)符号13、23)を高速で投射させると、ニッケル合金材11、21の表面に微細な凹凸26が形成される。この際、ニッケル合金材11、21とブラスト材とが同種であるため、母材表面のニッケル濃度が高くなる。これは母材表面にメカニカルアロイ状の層が形成されるためである。この高濃度ニッケル層27によりろう材のぬれ性を高めることが期待される。この結果、ブラスト処理による前処理を行った場合であっても、ニッケルめっきを行った場合と同等のぬれ性を確保することができる。
また、微細な凹凸26を有することにより、ろうとの接着面積を広くすることができ、ぬれ性の向上が図られる。
次に、ろうを配置する。詳細は次図で説明する。
次に、ろうを配置する。詳細は次図で説明する。
図2は本発明に係るろう付け方法を説明する図であり、(a)に示すように、ニッケル粉末(図1(b)、符号14)が吹付けられたニッケル合金材11のろう付け面15、25に、ペースト状のろう材28をディスペンサ29を用いて塗布する。ろう材28を塗布した後、ニッケル合金材21のろう付け面25がろう材28の上面に配置されるよう、矢印で示すようにニッケル合金材21を移動させる。
ところで、ろう材28はペースト状の他、シート状、アモルファスシート状、ワイヤー状のろう材等任意のろう材を用いることができる。
シート状のろう材を用いた場合は厚さの管理が容易であり、作業効率が上がる。
一方、ペースト状のろう材28を用いた場合は、使用するろう材28の量を任意に調整することができる。ろう材28の量を調整することにより、ニッケル合金材11、21に挟まれるろう材28の厚さも調整することができ、生産性を高めることができる。
シート状のろう材を用いた場合は厚さの管理が容易であり、作業効率が上がる。
一方、ペースト状のろう材28を用いた場合は、使用するろう材28の量を任意に調整することができる。ろう材28の量を調整することにより、ニッケル合金材11、21に挟まれるろう材28の厚さも調整することができ、生産性を高めることができる。
次に、(b)に示すように、ニッケル合金材11とニッケル合金材21でろう材28をサンドイッチした形態で、真空加熱炉等の炉33の中に入れ、真空雰囲気中で加熱する。加熱が終了したら、炉33の中からニッケル合金合板34を取り出す。
(c)に示すように、このようにしてニッケル合金合板34は完成する。
(c)に示すように、このようにしてニッケル合金合板34は完成する。
このようにして完成したニッケル合金合板34の特性を調べるために、次に述べる実験を行った。
本発明に係る実験例を以下に述べる。なお、本発明は実験例に限定されるものではない。
本発明に係る実験例を以下に述べる。なお、本発明は実験例に限定されるものではない。
図3は実験の方法を説明する図であり、(a)に示すように、めっき又はブラスト処理を施してなる前処理部41を有するニッケル合金材の基材42と、同様の前処理部43を有するニッケル合金材の基材44とを準備する。そして、基材42を立て、前処理部41と43とがWだけ離れ且つLだけ重なるようにして、基材44を沿わせ、コーナー部分に図示するようにろう材45を載せる。
この状態で、真空加熱炉に入れ、7×10−2Pa以上で1060℃の条件で加熱し、1060℃に到達したら5分間保持する。これで、ろう材45が流動化し、隙間Wを埋める。
結果、(b)に示すサンプル40を得ることができる。
この状態で、真空加熱炉に入れ、7×10−2Pa以上で1060℃の条件で加熱し、1060℃に到達したら5分間保持する。これで、ろう材45が流動化し、隙間Wを埋める。
結果、(b)に示すサンプル40を得ることができる。
なお、基材42、44の厚さは1.0mm、縦寸法は55mm、横寸法は15mmであり、隙間Wは0.05mm、長さLは9mmとする。
以下、参考例1〜2、比較例1〜2及び実施例1について、詳しく説明する。
○参考例1:
・基材の材質:インコネル718
○参考例1:
・基材の材質:インコネル718
・前処理:基材の両面に電気Niめっき(膜厚保5μm)を施した。
・ろう材:BNi−2
・ろう材:BNi−2
以上の条件により、図3(b)に示すサンプル40を得ることができた。このサンプル40を対象に、充填率、ぬれ性、変形及び廃液環境を調べる。これらのうちで、充填率は次の要領で測定する。
図4は充填率の測定方法を説明する図であり、(a)に示すように、サンプル40のX線写真を撮影する。このとき、影48、49が写ることがある。これは、濡れが生じなかった場所であり、この影48、49の面積c1、c2を測定する。面積c1、c2を測定後、これらの面積の和cを求める。即ちc=c1+c2。
テストピースの表面積a×bのうち、影48、49の面積の和cを除いた場所は、ろうが充填された場所である。即ち、a×b−cがろうの充填されている面積である。これから、表面積a×bに対して、どの位ろうが充填されたか充填率を計算する。即ち、充填率=(a×b−c)/(a×b)×100(%)。充填率が90%を超える場合に、そのテストピースのぬれ性は、合格となる。
(b)は(a)のb−b線断面図であり、影49となっている部分は、ろうが充填されず、空洞化している。したがって、この部分の面積を計測することにより、充填率を計測することができる。
(c)は、(b)のc部拡大図であり、充填率の計測の他に、変形が生じているかについても観察を行う。ブラスト処理を行った際に、例えば、母材に反りが生ずる等、ニッケル合金材42、44に変形51、52が生ずることがある。この変形51、52が視認できない場合は、合格となる。
参考例1の評価を次表に示す。
参考例1では、両面ニッケルめっきを行ったところ、充填率は100%であり、基準となる90%を超えたため、ぬれ性は合格であり、変形も生じなかったため合格である。しかし、参考例1では、めっきの際に廃液が生じ、環境性が悪いため、不合格となり、全体の評価も不合格となる。
○参考例2:
参考例2は、表3に示す通りに、前処理条件を片面Niめっきに変更した。その他は参考例1と同一であるから、説明を省略する。
参考例2は、表3に示す通りに、前処理条件を片面Niめっきに変更した。その他は参考例1と同一であるから、説明を省略する。
参考例2では、片面ニッケルめっきを行ったところ、充填率は100%であり、基準となる90%を超えたため、ぬれ性は合格であり、母材の変形も生じなかったため合格である。しかし、参考例2では、めっきの際に廃液が生じ、環境性が悪いため、不合格となり、全体の評価も不合格となる。
○比較例1:
比較例1は、参考例1からめっき処理を省いた。すなわち、前処理なしとした。その内容と結果と評価を次表に示す。
比較例1は、参考例1からめっき処理を省いた。すなわち、前処理なしとした。その内容と結果と評価を次表に示す。
比較例1ではめっき処理を省いたために、充填率が65%となり、評価は不合格となった。
○比較例2:
比較例2は、前処理としてNi−Fe−Cr合金粉末を基材に施した点が、比較例1と異なる。Ni−Fe−Cr合金粉末の成分は次の通りである。
比較例2は、前処理としてNi−Fe−Cr合金粉末を基材に施した点が、比較例1と異なる。Ni−Fe−Cr合金粉末の成分は次の通りである。
このようなNi−Fe−Cr合金粉末を次の条件で基材へ投射(噴射)する。
噴射圧力:7kg/cm2
噴射距離:15cm
噴射角度:45°
被覆率:300%
噴射圧力:7kg/cm2
噴射距離:15cm
噴射角度:45°
被覆率:300%
比較例2では、Ni−Fe−Cr合金粉末ブラストを施したにも拘わらず充填率は65%に留まり、その上に、視認できるほど母材が変形したため不合格である。従って、比較例2の評価は不合格である。
○実施例1:
実施例1では、比較例2のNi−Fe−Cr合金粉末ブラストを純ニッケルブラストに変更した。ブラスト材としてのニッケル粉末の成分は次の通りである。
実施例1では、比較例2のNi−Fe−Cr合金粉末ブラストを純ニッケルブラストに変更した。ブラスト材としてのニッケル粉末の成分は次の通りである。
ブラスト処理の条件は次に示すように、比較例2と同一にした。
噴射圧力:7kg/cm2
噴射距離:15cm
噴射角度:45°
被覆率:300%
噴射圧力:7kg/cm2
噴射距離:15cm
噴射角度:45°
被覆率:300%
実施例1では、充填率が95%で合格であり、視認できるほどの母材の変形もなかったため合格である。従って、実施例1では、全体の評価が合格となる。
比較例2の前処理で用いたNi−Fe−Cr合金粉末は、複数の金属が結合したものであり、粒径が大きく、粉末が硬い。このようなNi−Fe−Cr合金粉末を高速で投射することにより、母材の表面に応力が残留し、母材が変形したものと考えられる。
一方、実施例1の前処理で用いたニッケル粉末は、粒径が小さく、粉末が柔らかい。粒径が小さく、粉末が柔らかいため、ニッケル粉末を高速で噴射しても、母材の表面は視認できるほどに変形しなかったものと考えられる。
一方、実施例1の前処理で用いたニッケル粉末は、粒径が小さく、粉末が柔らかい。粒径が小さく、粉末が柔らかいため、ニッケル粉末を高速で噴射しても、母材の表面は視認できるほどに変形しなかったものと考えられる。
比較例2では、視認することができる程度に母材が変形した。さらに母材表面のNi濃度が高くなったが為に、前処理を行わなかった比較例1とろう材の充填率が同じであったものと考えられる。実施例1では、このような変形がなく、母材と同種のニッケルがメカニカルアロイングすることにより、ぬれ性が高まったものと考えられる。即ち、以下のことがいえる。
ブラスト処理は、母材としてのニッケル合金へブラスト材としてのニッケル粉末を高速で投射させて、母材の表面に微細な凹凸を形成するが、この際、母材とブラスト材とが同種であるため、母材表面のニッケル濃度が高くなる。これは母材表面にメカニカルアロイ状の層が形成されるためである。この高濃度ニッケル層によりろう材のぬれ性を高めることが期待される。この結果、ニッケルブラスト処理による前処理を行った場合であっても、ニッケルめっきを行った場合と同等のぬれ性を確保することができたものと考えられる。
本発明者らは、更に実験を行った。この実験を第2実験とする。第2実験について以下説明する。
図5は第2実験について説明する図であり、(a)に示すように、横幅b(b=50mm)、縦幅e(e=50mm)、厚さf(f=2.0mm)のニッケル合金材の基材53を準備する。準備した基材53の上面に、0.1(g)のペースト状のBNi−2ろう材54を載せる。
図5は第2実験について説明する図であり、(a)に示すように、横幅b(b=50mm)、縦幅e(e=50mm)、厚さf(f=2.0mm)のニッケル合金材の基材53を準備する。準備した基材53の上面に、0.1(g)のペースト状のBNi−2ろう材54を載せる。
この状態で、真空加熱炉に入れ、7×10−2Paで1000℃の条件で加熱し、1000℃に到達したら10分間保持する。これでろう材54が流動化し、略円形状(放射状)に広がる。
次に(b)に示すように、このような条件で作成された略円形状のろう材54の大きさを任意の2点x、yで計測する。次に、これらのx、yの平均値、即ち(x+y)/2を計算し、ろう材54が直径(x+y)/2の正円であるものとして、ろう材54の面積Sを計算する。
以下参考例3、実施例2、実施例3、比較例3について詳しく説明する。
○参考例3
・基材の材質:インコネル718
・前処理:なし
・ろう材:BNi−2
○参考例3
・基材の材質:インコネル718
・前処理:なし
・ろう材:BNi−2
参考例3の評価を次表に示す。
参考例3では、前処理を行わずにろう付けを行ったところ、幅xが7.53mm、幅yが7.43mm、これらの平均(x+y)/2が7.48mm、ろう材の面積Sが43.94mm2であった。
実施例2、実施例3、比較例3では、参考例3のろう材の面積S(S=43.94mm2)を100%として、これに対し110%以上の値を得ることができた場合はぬれ性がいいものとして合格の評価を与える。
実施例2では、参考例3と同じ基材、ろう材を用いて、純Ni粉末ブラストによる前処理を行い、前処理を行った直後にろう材を載せ、ろう付けを行った。
ブラストの条件は以下の通り。
・噴射圧力:6kg/cm2
・噴射距離:15cm
・被覆率:400%
ブラストの条件は以下の通り。
・噴射圧力:6kg/cm2
・噴射距離:15cm
・被覆率:400%
実施例2では、ろう材の面積Sが55.15mm2であり、この値は対参考例3で125.5%であった。従って、評価は合格となる。
実施例3では、参考例3と同じ基材、ろう材を用いて、純Ni粉末ブラストによる前処理を行い、前処理後に48時間放置した後にろう材を載せ、ろう付けを行った。その他の条件は実施例2と同様。
実施例3では、ろう材の面積Sが55.95mm2であり、この値は対参考例3で127.3%であった。従って、評価は合格となる。
比較例3では、参考例3と同じ基材、ろう材を用いて、Al2O3(酸化アルミニウム)粉末ブラストによる前処理を行い、前処理を行った直後にろう材を載せ、ろう付けを行った。
ブラストの条件は以下の通り。
・噴射圧力:5kg/cm2
・噴射距離:15cm
・被覆率:400%
ブラストの条件は以下の通り。
・噴射圧力:5kg/cm2
・噴射距離:15cm
・被覆率:400%
比較例3では、ろう材の面積Sが44.77mm2であり、この値は対参考例3で101.9%であった。従って、評価は不合格となる。
図6は第2実験の結果を説明するグラフであり、縦軸に対参考例3の面積Sを示し、横軸にそれぞれの実験例を示す。
ニッケル粉末を用いて前処理を行った実施例2、3では、対参考例3で125.5%、127.3%と大幅に110%を超えた。
ニッケル粉末を用いて前処理を行った実施例2、3では、対参考例3で125.5%、127.3%と大幅に110%を超えた。
また、実施例2と実施例3とではほとんど値が変わらず、前処理後に一定時間(本実験では48時間)放置した場合であっても、本発明の効果を得ることができることが分かる。
比較例3では、対参考例3で101.9%と比較例3と大差ない結果となった。即ち、Al2O3粉末を用いてブラストを行っても、ろうのぬれ性が向上することはなかった。
比較例3では、対参考例3で101.9%と比較例3と大差ない結果となった。即ち、Al2O3粉末を用いてブラストを行っても、ろうのぬれ性が向上することはなかった。
ニッケル粉末ブラストによる前処理を行った場合は、母材とブラスト材とが同種であるため、母材表面のニッケル濃度が高くなる。これは母材表面にメカニカルアロイ状の層が形成されるためである。この高濃度ニッケル層が安定しているために、前処理から48時間経過後にろう付けを行った場合においても、表面のNi濃化層により活性化層と直接空気中の酸素と触れることがなかったものと考えられる。これにより、基材表面が酸化膜に汚染されることなく、ろう材と基材の化学反応(拡散)が行われ濡れが促進したものと考えられる。
尚、本発明に係るニッケル合金のろう付け方法は、表面にチタンの酸化膜又はアルミニウムの酸化膜を有するニッケル合金を例に説明したが、これらを有しないニッケル合金に対しても適用可能である。
本発明のニッケル合金のろう付け方法は、航空機のエンジン部品に用いられるニッケル基耐熱合金のろう付けに好適である。
11、21…ニッケル合金材、12、22…酸化膜、13、23…ニッケル粉末、15、25…ろう付け面、27…ニッケル高濃度層、28…(ペースト状の)ろう材、34…ニッケル合金合板。
Claims (3)
- 複数のニッケル合金材をろう付けする際に、これらの複数のニッケル合金材のそれぞれのろう付け面に、予めニッケル粉末を用いてブラスト処理を施すことを特徴とするニッケル合金材のろう付け方法。
- 前記ニッケル合金材は、チタン又はアルミニウムを含み、表面にチタンの酸化膜又はアルミニウムの酸化膜を有することを特徴とする請求項1記載のニッケル合金材のろう付け方法。
- 請求項1又は請求項2記載のニッケル合金のろう付け方法であって、
ろう付けの際に用いられるろう材は、ペースト状であることを特徴とするニッケル合金材のろう付け方法。
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