JP2010148692A - 表面ガス検知法および検知装置 - Google Patents
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Abstract
【解決手段】 容器、ガスセンサー及び固定手段を有するガスの検知装置であって、
前記容器は通気用細管および開口部を有しており、前記固定手段は前記容器を皮膚に密着させるものであり、
前記開口部を皮膚に密着させ、前記細管を通して通気させ、前記容器内のガスを前記ガスセンサーで検知することにより連続的に測定することができる検知装置。
皮膚表面のガスを検知する方法であって、
通気用細管および開口部を有する容器、ならびにガスセンサーを準備し、
固定手段を用いて皮膚に容器を密着させ、皮膚と容器との間に閉鎖空間を設け、
閉鎖空間内のガスの濃度をガスセンサーによって測定する
ことを特徴とする検知方法。
【選択図】図1
Description
特開2002-195919号公報(津田孝雄他)は、皮膚透過ガス収集装置及び皮膚透過ガス測定装置を開示しており、特開2005-214855号公報(下内章人他)は、表面ガス採取装置および方法を開示しており、特開2006−214747号公報(関根嘉香他)は、皮膚ガス捕集装置を開示している。
そこで、内因性水素の日内変動または水素産生量と抗酸化ストレスとの関係を明らかにする簡便な計測記録可能な装置の開発のため、本発明を行った。
前記容器は通気用細管および開口部を有しており、前記固定手段は前記容器を皮膚に密着させるものであり、
前記開口部を皮膚に密着させ、前記細管を通して通気させ、前記容器内のガスを前記ガスセンサーで検知することにより連続的に測定することができる検知装置を提供する。
本発明の検知装置は、
半密閉型チャンバー(1)、ガスセンサー(2)、通気用細管(3)、信号処理デバイス(4)、固定手段(5)、バッテリー(6)を有する、皮膚表面の水素ガスを検知する装置であって、
チャンバー(1)は、皮膚に密着させることによって、チャンバー(1)と皮膚が閉鎖された空間を形成し、
ガスセンサー(2)は、チャンバー(1)の中に設置されており、閉鎖空間において皮膚から放出される水素ガスの濃度を測定し、
通気用細管(3)は、チャンバー(1)に接続されており、閉鎖空間と装置外部とを連通しており、
信号処理デバイス(4)は、ガスセンサー(2)によって連続的に測定され、ガスセンサー(2)から送られた測定データを処理するデバイスであり、
固定手段(例えば固定用バンド)(5)は、装置を装着する時にチャンバー(1)を皮膚に密着させるように働く手段であり、
バッテリー(6)は、ガスセンサー(2)および信号処理デバイス(4)に電力を供給することができる検知装置であることが好ましい。
通気用細管および開口部を有する容器、ならびにガスセンサーを準備し、
固定手段を用いて皮膚に容器を密着させ、皮膚と容器との間に閉鎖空間を設け、
閉鎖空間内のガスの濃度をガスセンサーによって測定する
ことを特徴とする検知方法をも提供する。
本発明のガス検知方法は、皮膚表面の水素ガスを検知する方法であって、
(a) ガスセンサー(2)および通気用細管(3)を有する半密閉型チャンバー(1)を準備する段階、
(b) 固定手段(5)を用いて皮膚にチャンバー(1)を密着させ、皮膚とチャンバー(1)との間に閉鎖空間を設ける段階、
(c) ガスセンサー(2)からの測定データを信号処理デバイス(4)で処理しながら、測定を連続的に行う段階、
を有する検知方法であることが好ましい。
本発明のシステムは、(1)半密閉型チャンバー、(2)ガスセンサー、(3)通気用細管、(4)固定手段、(5)信号処理デバイス,(6)バッテリーを有する。(1)〜(4)を組み合わせて、皮膚表面をチャンバーで閉鎖し、そのまま、あるいは予め高純度ガスで充填した注射筒でチャンバー内をパージした後、チャンバー内を皮膚ガスが自発的に発生する状態に保ったまま、皮膚表面から放出されるガスを自然な形で細管より逃し、目的とする化合物のガスセンサーを皮膚表面に近づけた状態で連続モニターできる。
本発明によれば、皮膚(特に臍の部分)から発生する、すなわち、体内で発生して皮膚を透過する、水素ガスを検出およびモニタリングすることができる。皮膚は、動物の皮膚であり、特にヒトの皮膚である。
(i)皮膚ガス測定を連続的にモニターできる。
(ii)消化器疾患の診断およびモニターができ、治療効果が判定できる。
(iii)生活習慣等と生体内水素との関連に関する知見を得ることができる。
(iv)抗酸化ストレス能を推定できる。
(v)検知装置に対する不純物の付着が抑制される。
(vi)検知装置は携帯性に優れる。
(vii)検知装置の保守が容易である。
(viii)検知装置は多目的な応用が可能である。
(ix)検知装置の操作に資格が不要である。
チャンバーは、開放容器(開口部を有する容器)の形態である。容器の開口部を皮膚によって閉鎖させる。チャンバーをヒトの皮膚に密着させることによって、チャンバーとヒトの皮膚が閉鎖された空間を形成できる。
チャンバーの大きさは、チャンバーとヒトの皮膚によって形成される閉鎖された空間の容積が、0.1〜50mL、特に1〜10mLになるようなものであることが好ましい。
ガスセンサーは、チャンバーの中に設置されており、閉鎖空間においてヒトの皮膚から放出される水素ガスの濃度を検出する。
低濃度の皮膚ガス成分を計測するのは高感度の水素ガスセンサーを用いる。また、結露や二酸化炭素などは、一般的なガス分析(例えば半導体センサー)の妨害因子となることが多いので、この妨害因子の影響を受けにくいものが望ましい。
ガスセンサーは、一般に、バッテリーからの電力によって作動する。
ガスセンサーの例としては、マイクロ熱電式水素センサー、接触燃焼式水素センサー、弾性表面波水素センサー(例えば、ボール弾性表面波水素センサー)、MEMS熱伝導式水素センサー、起電力変化方式水素センサー、薄膜型水素センサーまたは半導体水素センサー(例えば、薄膜型半導体水素センサー)、光ファイバ水素センサーが挙げられる。
通気用細管は、チャンバーに接続されており、閉鎖空間と装置外部(周囲雰囲気)とを連通している。通気用細管の存在により、チャンバー内の閉鎖空間が大気圧に保たれるようになる。細管は、一般に、排気を行うために存在するが、吸気を行ってもよい。吸気は、ポンプを用いることによって行える。
細管は、チャンバーに設けた穴に接続されている。チャンバーの穴は、ガスセンサーの感応部分の位置よりも高い位置にあっても低い位置にあってもよい。一般に、チャンバーの穴は、ガスセンサーの感応部分の位置よりも高い位置にあることが好ましい。これにより、ガスセンサーの感応部分の水素ガス濃度が、皮膚表面の水素ガス濃度にほぼ一致するという利点が得られる。チャンバーの穴は、ガスセンサーの感応部分の位置よりも少なくとも0.1mm、例えば1〜10mm高くてよい。
細管は、チャンバー容積と皮膚ガス排気、雰囲気の巻き込みを勘案した口径と長さを有する。細管は、実施例では直線状の細管を用い実験を行ったが、管の形状はチャンバーや装置内に丸め込む形にしてもよい。ただし、この場合は内空の形状変化により、粘性抵抗と拡散抵抗が変るため、形状に合わせた長さとしなければならない。材質は内面が平滑で吸着しにくいものが望ましいが、必要に応じて医療用で用いられている規格のものが医療現場では入手しやすい。例えば脇窩、陰部、肛門周囲などの解剖学的に本装置を留置しにくい場合には、接続器具を用いることが可能である。接続器具の例は、医療用エクステンションチューブ(例えば、JMSエキステンションチューブなど)などであり、三方コック部分を操作しやすい部位に持ってくることも可能である。超高感度分析を目的とする場合にはハイパー処理済みの光輝焼鈍管の素材を使用することがのぞましい。結露を防止するために、ガス流路・配管系にヒーターを巻いてもよい。
細管の内径は、一般に、0.2〜5mm、特に2〜5mmであってよい。細管の長さは、5cm以上、8cm以上、例えば8〜40cm、特に10〜30cmであってよい。
信号処理デバイスは、ガスセンサーによって連続的に測定され、ガスセンサーから送られた測定データを処理する装置である。信号処理デバイスは、システムを制御する。信号処理デバイスは、マイコンの形態であってよい。
信号処理デバイスは、ガスセンサーにより得られた水素濃度のアナログデータをAD変換によりデジタルデータに変換し、デジタルデータを保存する。
なお、ガスセンサーと信号処理デバイスとは一体型とし、ケースの腹側面は腹部にそったゆるやかな面を形成し、密着性が高くなるようにすることが好ましい。
信号処理デバイスは、例えば、外部のパーソナルコンピューターと接続することができ、種々の設定を行うことができる。また、ガス濃度などのデータを転送することもできる。
固定手段(例えばバンド)(5)は、装置を体に装着する時にチャンバー(1)を皮膚に密着させるように働く。
チャンバーの皮膚への密着を良くし、雰囲気の混入を予防するために、マジックバンド等で巻きつけ固定しても良い。またはさらに皮膚とチャンバーの気密性をもたせるために、素材を分析目的に応じて選択すれば、粘着性のジェルまたはゲル(例えば、合成樹脂製ゴムやシリコン)を使用しても構わない。また、結露防止などの目的により試料表面を加熱させる場合にはチャンバー内の温度調節機能を追加してもよい。
臍で水素ガスを測定する場合には、固定手段は、腹および背中に回すベルトの形態であることが望ましい。
また、チャンバー、信号処理デバイスなどの固定のために、バンド以外にも皮膚への刺激が少ない粘着性素材(例えば,両面テープなど)を用いてもよい。
バッテリーは、ガスセンサー(2)および信号処理デバイス(4)に電力を供給できる。バッテリーは、他の要素、例えば、表示パネルにも電力を供給できる。
バッテリーは、携帯性に優れる小型の乾電池(例えばボタン電池)や充電式バッテリー(例えばリチウム水素電池)を使用できる。移動を伴わずに特定の場所(例えば室内やベッドサイド)での使用が主な用途である場合には、家庭用電源などから直接電力を供給してもよい。
操作ボタンは、例えば測定を開始または終了するために用いる。
操作ボタンによって、作動要素、例えば、ガスセンサーおよび信号処理デバイスおよび表示パネルの操作が可能である。また、作動要素の設定(例えば、データの取り込み間隔の設定)を変更することもできる。ガスセンサーによっては測定の前にウォーミングアップを要することがあり、スイッチを入にしてから測定を開始するまでの待機時間(例えば、10秒〜1時間)があることがある。本発明の検知装置を表面に密着させることにより自動でスイッチを入にして測定を開始する場合には,操作ボタンはなくてもよい.
表示パネルは、種々の情報を表示できる。表示パネルは、例えば、水素ガス濃度および検知装置の作動状況を表示できる。
表示パネルは、あらかじめ校正済みの係数を積算することにより、皮膚表面から出てくる水素ガス濃度の表示を行う。場合によっては、操作ボタン(7)の操作により校正前のデータをそのまま表示することもできる。
ポンプ(9)は、チャンバー(1)から空気を排出し、またはチャンバー(1)に空気を送る。ポンプにより、チャンバーにおける閉鎖空間を減圧または加圧することが可能になる。
データロガーは、デジタルデータを保存することができる。データロガーは、連続的に測定された水素ガス測定データの入力、保存および出力を行える。
データロガーは、信号処理デバイスから分離しており、信号処理デバイスと一体になっていなくてもよい。さらに、データロガーは検知装置に含まれていなくてもよく、検知装置の外部にあってよい。
データロガーの外部入出力端子を介してパーソナルコンピュータなどに接続し、ガス濃度の取り込みやキャリブレーションガスによる校正が可能な設定をする。あるいは、特定の周波数帯の信号に応答する受信機を有する機械(例えば携帯電話機、パーソナルコンピューター)に対して、ガス濃度などのデータを無線で送信することができる発信機があってもよい。
水素ガスを検知する皮膚の部位の例は、臍、手掌、指間、臍部、頚部、手首、耳、外耳道、眼球、頚部、体幹部、足底部、脇である。検知部位が、臍であることが好ましい。
皮膚表面をチャンバーで閉鎖する。高純度ガス(例えば、窒素ガス、酸素ガス)でチャンバー内をパージする。高純度ガスのパージは、例えば、高純度ガスを充填した注射筒によって行える。あるいはパージを行わずにそのまま測定に入ってもよい。こうしてチャンバー内を皮膚ガスが自発的に発生する状態に保つ。次いで、皮膚表面から放出されるガスを自然な形で細管より逃し、ガスセンサーを皮膚表面に近づけた状態で連続モニターする。ガスセンサーの感応部分と皮膚との間の距離は、1〜100mm,例えば2〜10mmであってよい。
図3は、周囲ガスの巻き込みを示すグラフである。(通気用)細管の長さが、0cm、5cm、7.5cm、10cmおよび15cmである場合に、外部から進入した水素ガスの濃度を示す。細管の長さが10cm以上であれば、外部から水素ガスがあまり進入しないことが理解できる。
図4は、ヒトが高濃度の水素(0.6mM)を含んだ市販水素水を1分間で飲み、その後90分間、本発明による臍部からの皮膚水素をモニターしたグラフである。臍部での水素ガス濃度は、生体皮膚から放出される水素ガスをほぼ追随していることが分かる。
(i)皮膚ガス測定の連続モニター:
従来の方法では、酸素や二酸化炭素以外の連続測定以外での簡便な皮膚ガス計測の報告では、単回採取または不連続の測定が報告されているのみであったが、本発明により24時間以上の計測が可能となる。水素濃度に適当な係数値(濃度×時間×(全体表面積/チャンバー面積)を算出することにより、1日あたり生体内水素産生量が推定可能となる。実施例で示したように、半導体センサーまたは熱電水素センサーを用いることにより、データロガーの記録容量にもよるが毎秒数10回程度のデータサンプリングの取得が可能になる。皮膚水素ガス濃度は生体の準静的な変動に追随し、日内変動の詳細な変動を記録することが可能になる。
この装置を用いることにより、生体内水素濃度の上昇にかかわる診断(主に小腸通過時間、腸内異常発酵、小腸内細菌叢の存在、過敏性腸症候群などの消化器疾患)や開腹術後の消化管蠕動開始の判定、経口食開始の消化管運動の推定などが可能になる。データの無線送信システムを利用することにより、遠隔地からのモニタリングが可能でありさらにその有用性があるものと考えられる。
生体内水素は、食事(牛乳、乳製品、大豆食品、食物繊維など)や運動、心理的ストレス、薬剤(αグルコシダーゼ阻害剤)などで上昇することが知られている。早朝空腹時のベースライン値は年齢に依存して低下することが知られている。これらのことから生活習慣の推定や、日常生活活動、睡眠における生体内水素変動と健康との関連に関する知見が急増するものと考えられる。
生体内水素はその還元性から抗酸化ストレス能があることが実験的に証明され、外因性水素ガス吸入や水素水摂取により、酸化ストレスにより障害を引き起こす病態を改善することが報告されている。さらにこれに伴い生体内水素濃度は内因性活性酸素種(過酸化水素、スーパーオキシド、ヒドロキシラジカルなど)を消去する抗酸化ストレス作用があることを示す実験結果が報告されている。本発明では生体内で発生する内因性水素ガス計測を連続的に計測することにより、生体のもつ内因性水素濃度を経皮的にもっともガス濃度が高い状態で計測が可能な部位を選んで連続的に評価することも可能になる。
チャンバー構造が単純であるため、不純物の付着が少なく、また内面のクリーン化も容易である。付着してもチャンバーを熱脱離あるいは有機溶媒などにより不純物を遊離することができる。また、チャンバーの取替えを可能にすることもできる
(vi)携帯性:
チャンバーを含めた検知装置(電池込み)は重量が80g以下に押さえることができ、チャンバーと高純度ガス以外の各パーツはどの医療現場にも常備されている三方活栓、注射筒、延長チューブなどを用いることが出来る。集団検診や往診などのフィールドワークにも利用可能で、システム全体の携帯性に優れている。また,データロガーを内蔵した検知装置を使用すれば,使用済みの検知装置をそのまま郵送して別の場所でデータを解析することもできる.
皮脂や有機化合物などで汚染されたチャンバーは、使い捨て方式にしてもよい。再生して使用するには、通常の中性洗剤や純水で洗い流し、乾燥させるのみで保守が非常に簡便である。ガス流路は極力単純化し、内面平滑な素材を用いることにより、取替え可能なものにする。汚染に対する対策は、加熱脱離や流水等の物理的洗浄で済む。または有機溶媒(例えばアセトン)を浸したベンコット(小津産業株式会社)などで内面を拭い取った後、加熱脱離により溶媒を除去すればよい。高感度質量分析で観察する限り、以上の方法で不純物のほとんどは除去可能である。
手掌、足底、体幹部、四肢、顔面など全身いたるところの皮膚ガスを採取することが可能である。皮膚発汗量、加齢臭物質、腋臭成分など皮膚特有の情報も得られ、肌の美容、化粧物質の動態解析にも利用できる。また、食品の鮮度・腐敗などの試料もチャンバーを覆うように留置すれば、それらの表面からの微量揮発性化合物を非破壊的にすることが可能になる。さらには、実施例でも述べたように、排便・放屁による体周囲雰囲気中の水素濃度の上昇も検知できる。海水あるいは土壌などの液体や粒状物質においても,検知装置と接続可能な容器内に入れることにより,ヘッドスペースガスを連続的にモニタリングすることも可能である.
(ix)資格不要:
皮膚ガス採取は非侵襲的な方法であり、現行法では、医師、看護師、臨床検査技師などのような医療資格を要せず、資格をもたない一般人が在宅や職場でも簡単に気軽にガス分析可能である。さらに、採血の難しい新生児や乳幼児などの生体成分分析にもこうした皮膚ガス採取装置が有用となる可能性がある。
半球状のガラス容器(内径26.5mm)に細管(内径2.8mm,長さ15mm)及び円筒状の半導体ガスセンサーを接続可能な円筒状のガラス管(内径13mm,長さ32mm)を溶接したチャンバーに半導体水素ガスセンサーを埋め込み、手掌、前腕、臍部、頚部、指間、手首の皮膚から放出される皮膚水素ガス濃度をモニターした。結果を図2に示す。
その結果、臍部からの水素ガス濃度が最も高かった。その他、耳、外耳道、眼球、頚部、体幹部、足底部、脇などと比較しても臍部の水素濃度が最も高かった。
チャンバーを完全な密閉系にすると発汗による結露や応答が悪くなるため、細管を通して皮膚から放出される微量なガス成分を逃してやらなければならない。また、細管を具備させることにより、放屁や排便による高濃度の水素ガスも検知できるようになる。
図3は細管(テフロン(登録商標)製、内径2mm)の長さを変えて周囲に比較的高濃度の水素ガス中に置いたときの水素ガスセンサーの応答を示す。これにより長さ10cm以上が周囲水素濃度の影響を受けにくいことが分かった。なお、このときのチャンバーの皮膚接触内径は10.3mm、空間容積は3.2mL、センサー先端深さは4mmであった。チャンバーの穴(細管に接続するための穴)は、センサー先端(センサー感応部分)よりも1mm高い位置にあった。センサー先端は感度を稼ぐには極力皮膚表面の至近距離にあることが望ましいが、結露の付着や皮膚との接触を避けるため4mmと設定した。
安静坐位で30分間安静にした後、高濃度の水素(0.6mM)を含んだ市販水素水を1分間で飲み、その後90分間、本発明による臍部からの皮膚水素をモニターした結果を図4に示す。この間、終末呼気を5分間採取して、呼気水素の経時変化と対照させて観察した。高濃度水素を準備したため、臍周囲の雰囲気中水素濃度が一過性に増加したことによる変動がみられたものの、ほぼ生体皮膚から放出される水素をほぼ追随していることが分かる。現在、市販されている選択性の高い半導体水素ガスセンサーでもノイズが認められるが、水素センサーの感度上昇の技術開発により充分に日常生活における皮膚ガス水素放出量の変動が観察できるものと考えられる。さらに細管の通気管を用いたことにより、雰囲気の混入は避けられるものの、高濃度水素にセンサーが暴露される場合がある。それは放屁または排便による生体周囲の水素ガス濃度の上昇である。衣服内または布団・シーツ内での放屁は一過性の急峻な水素濃度の上昇により鑑別できるため、放屁回数や排便のモニターとしても使用可能となる。
2 ガスセンサー
3 通気用細管
4 信号処理デバイス
5 固定用バンド
6 バッテリー
7 操作ボタン
8 表示パネル
9 ポンプ
10 データロガー
11 通気口
Claims (12)
- 容器、ガスセンサー及び固定手段を有する水素ガスの検知装置であって、
前記容器は通気用細管および開口部を有しており、前記固定手段は前記容器を皮膚に密着させるものであり、
前記開口部を皮膚に密着させ、前記細管を通して通気させ、前記容器内の水素ガスを前記ガスセンサーで検知することにより連続的に測定することができる検知装置。 - 半密閉型チャンバー(1)、ガスセンサー(2)、通気用細管(3)、信号処理デバイス(4)、固定手段(5),バッテリー(6)を有する、皮膚表面の水素ガスを検知する装置であって、
チャンバー(1)は、皮膚に密着させることによって、チャンバーと皮膚が閉鎖された空間を形成し、
ガスセンサー(2)は、チャンバー(1)の中に設置されており、閉鎖空間において皮膚から放出される水素ガスの濃度を測定し、
通気用細管(3)は、チャンバー(1)に接続されており、閉鎖空間と装置外部とを連通しており、
信号処理デバイス(4)は、ガスセンサー(2)によって連続的に測定され、ガスセンサー(2)から送られた測定データを処理するデバイスであり、
固定手段(5)は、装置を装着する時にチャンバー(1)を皮膚に密着させるように働き、
バッテリー(6)は、ガスセンサー(2)および信号処理デバイス(4)に電力を供給できる検知装置。 - 検知装置が、操作ボタン(7)および表示パネル(8)を有しており、表示パネル(8)が水素ガス濃度および検知装置の作動状況を操作ボタン(7)により切り替えて表示できる請求項2に記載の検知装置。
- 検知装置が、ポンプ(9)を有しており、ポンプ(9)は、チャンバー(1)から空気を排出し、またはチャンバー(1)に空気を送る請求項2または3に記載の検知装置。
- 検知装置における信号処理デバイス(4)が、データロガー(10)を有しており、データロガー(10)は、連続的に測定された水素ガス測定データの入力、保存および出力を行う請求項2〜4のいずれかに記載の検知装置。
- 通気用細管(3)の長さが少なくとも5cmである請求項2〜5のいずれかに記載の検知装置。
- 検知する皮膚の部位が、臍、手掌、指間、臍部、頚部、手首、耳、外耳道、眼球、頚部、体幹部、足底部、脇である請求項1〜6のいずれかに記載の検知装置。
- 検知する皮膚の部位が、臍である請求項1〜6のいずれかに記載の検知装置。
- 皮膚表面の水素ガスを検知する方法であって、
通気用細管および開口部を有する容器、ならびにガスセンサーを準備し、
固定手段を用いて皮膚に容器を密着させ、皮膚と容器との間に閉鎖空間を設け、
閉鎖空間内の水素ガスの濃度をガスセンサーによって測定する
ことを特徴とする検知方法。 - 皮膚表面の水素ガスを検知する方法であって、
(a) ガスセンサー(2)および通気用細管(3)を有する半密閉型チャンバー(1)を準備する段階、
(b) 固定手段(5)を用いて皮膚にチャンバー(1)を密着させ、皮膚とチャンバー(1)との間に閉鎖空間を設ける段階、
(c) ガスセンサー(2)からの測定データを信号処理デバイス(4)で処理しながら測定を連続的に行う段階、
を有する検知方法。 - 段階(b)と段階(c)の間に、高純度ガスでチャンバー(1)内をパージする請求項9に記載の検知方法。
- 検知する皮膚の部位が、臍である請求項9〜11のいずれかに記載の検知方法。
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