JP2010148473A - チーズの製造方法並びにその装置 - Google Patents
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Abstract
【解決手段】 チーズ製造の各工程において設定される原料乳及び中間製品の温度は、予め蓄積されたデータの中から、加工対象となる原料乳の性状や最終製品の形態に適したものが選択されるものであり、また冷却工程においては、0.020〜0.014℃/秒の温度低下率で殺菌乳を33.5〜35℃まで冷却することを特徴として成るものであり、原料乳の性状、最終製品の形態に応じて、好適な乳酸醗酵条件及び凝固条件を容易に実現することができるため、チーズ原製品の品質を所望のものとすることができる。また、加熱殺菌された殺菌乳を急速に乳酸醗酵に適した温度とすることができ、製造に要する時間を短縮することができるとともに、殺菌乳の劣化を抑えることができる。
【選択図】図1
Description
次いで第二の段階として、最終製品の種類(ゴーダ、カマンベール、クリーム、チェダー、ブルー、カテージ等)に応じた加工が行われるものであり、チーズ原製品に対し、加塩、混練、カビ付け、熟成等を行うことにより、所望の最終製品が得られることとなる(例えば非特許文献1参照。)。
また近時、消費者の牛乳離れが進んでおり、この対策として小、 中規模の牧場等によるチーズの生産が試みられているが、そのための製造装置は国内ではほとんど開発されていないため、欧州等から輸入された装置に頼らざるを得なかった。
しかしながら欧州等と比べて湿度が高い日本国内においては、空気中に存在する雑菌の種類が多い等の問題により、独自の醗酵時間、温度等の条件設定が必要であり、このため製造者は試行錯誤を繰り返し、各種条件を見出して何とか装置を使いこなしているというのが実情である。そしてこのような作業には多大な時間を要するものであり、元より輸入される装置は非常に高価なものであり、且つ大型機、大型装置であるため、製造工場を立ち上げる際の大きな障害となっていた。
この発明によれば、原料乳の性状、最終製品の形態に応じて、好適な乳酸醗酵条件及び凝固条件を容易に実現することができるため、チーズ原製品の品質を所望のものとすることができる。
また、加熱殺菌された殺菌乳を急速に乳酸醗酵に適した温度とすることができ、製造に要する時間を短縮することができるとともに、殺菌乳の劣化を抑えることができる。
この発明によれば、スタータ等による乳酸醗酵の状態や、レンネットによる凝固の状態が最適となったことを遅滞なく認知することができ、チーズ原製品の品質を確実に所望のものとすることができる。
この発明によれば、原料乳の性状、最終製品の形態に応じて、好適な乳酸醗酵条件及び凝固条件を確実に実現することができるため、チーズ原製品の品質を所望のものとすることができる。
この発明によれば、加熱殺菌された殺菌乳を急速に乳酸醗酵に適した温度とすることができ、製造に要する時間を短縮することができるとともに、殺菌乳の劣化を抑えることができる。
この発明によれば、原料乳の性状、最終製品の形態に応じて、好適な乳酸醗酵条件及び凝固条件を容易に実現することができるため、チーズ原製品の品質を所望のものとすることができる。
この発明によれば、スタータ等による乳酸醗酵の状態や、レンネットによる凝固の状態が最適となったことを遅滞なく認知することができ、チーズ原製品の品質を確実に所望のものとすることができる。
この発明によれば、適切な殺菌処理が行われたことを証明するデータを得ることができるとともに、記録したデータを、次回以降、スタータ等による乳酸醗酵の状態や、レンネットによる凝固の状態が最適となったことを認知する際のデータとして活用することができる。
この発明によれば、センサの検出部を常時、原料乳及び中間製品に触れた状態とすることができる。
この発明によれば、架台の不用意な移動を防止してミキサ及びバット本体の破損を回避することができるとともに、オペレータの安全を確保することができる。
そしてこれら各請求項記載の発明の構成を手段として前記課題の解決が図られる。
なお以下の実施例に対して、本発明の技術的思想の範囲内において適宜変更を加えることも可能である。
まず前記バット本体1は、ステンレス等により構成された容量50〜600リットル程の槽状部材であり、その底部に排水バルブ11aを具えた液抜口11が形成されている。
また後述する温度センサ52及びpHセンサ53を保持するためのセンサホルダ12がバット本体1の上部に設けられている。
なおバット本体1の上部開口部は、蓋15によって塞がれるものであり、この蓋15は一例として、バット本体1に被せた状態で一部を開放できるような例えば二分割または三分割されたものが採用される。
具体的には温度調節機構2は図3に示すように、前記保温ジャケット20における一方の側面に入水口21が形成され、逆側の側面に出水口22が形成され、それぞれに給水管23、集水管24が接続されるとともに、給水管23が循環水タンク25における出水口25aに接続され、集水管24が入水口25bに接続されて成る。このため熱媒体(温水W1、冷水W2)は、循環水タンク25と保温ジャケット20との間で循環することとなる。
なお前記給水管23と出水口25aとの間の管路には循環ポンプ26が具えられている。
また前記集水管24と入水口25bとの間の管路には三方弁V1が具えられており、熱媒体を循環水タンク25に戻すか、あるいは外部に排出するかの選択が可能となっている。
まず前記注水管27Aは、循環水タンク25の上部に形成された注水口25cに対して接続されている。そしてこの注水口25cには、フロート弁25fが具えられており、循環水タンク25に所定量以上の水が供給されてしまうのを防ぐように構成されている。
一方、前記注水管27Bは、前記出水口25aにその排出部が臨むように設置されており、ここから排出された水は、いったん循環水タンク25内に位置するものの、即座に出水口25aから排出されるように構成されている。
なお循環水タンク25の上部にはオーバーフロー口25dが形成され、水の溢出を防止できるように構成されている。更に循環水タンク25の底部には排出口25eが形成されている。また前記循環水タンク25の外周部分には適宜断熱材が貼設される。
具体的には、前記循環水タンク25の底部にはノズル28及び蒸気通過管29が配されるものであり、これらノズル28及び蒸気通過管29に対してそれぞれ蒸気供給管28a、蒸気供給管29aを通じて、蒸気発生装置2Sから蒸気が供給される。
そして前記ノズル28から循環水タンク25内の水中に噴出された蒸気は、直接、 水に作用してその温度を上昇させ、温水W1が得られるものであり、流量調整弁V4によって蒸気の供給量が調整され、温水W1の温度が所望の値とされるものである。
一方、前記蒸気通過管29に供給された蒸気は、蒸気通過管29の側周面を通じて循環水タンク25内の水に作用して温水W1の温度を所望の値に維持するものであり、流量調整弁V5によって蒸気の供給量が調整される。
なお前記蒸気発生装置2Sは、ボイラによって蒸気を発生させるとともに、この蒸気を更に加熱することにより、飽和蒸気よりも高温の過熱蒸気を得ることができる装置である。また蒸気発生装置2Sとしては、ボイラによって発生した蒸気をそのまま用いるものとしてもよい。
更に前記仕切板20aによって仕切られた区画毎に、熱媒体の流れ方向が交互に異なるようにしてもよい。この場合には、バット本体1内に位置する原料乳M0または中間製品の温度をよりいっそう均一なものとすることができる。
そして図4に示すように、前記シャフト31の先端にホルダ31aが具えられ、このホルダ31aの受入溝31bに対して撹拌羽根30のロッド30cに具えられた係止ピン30dが係合することにより、ホルダ31aに対して撹拌羽根30が着脱自在に具えられる。なおこの実施例では、撹拌羽根30として図4に示すように一部曲げ加工を施した金属板に丸穴を複数設けたタイプの撹拌羽根30aと、対向する一対の金属板間に複数の金属棒を平行に配したタイプの撹拌羽根30bとの二種類を併用するようにした。
また前記ホルダ31aにおける受入溝31bには、撹拌羽根30を外した状態で安全ピン31cが装着されるものであり、この状態で安全ピン31cに繋がれたワイヤ31dが牽引状態となり、安全スイッチ55がオンの状態とされる。そして安全スイッチ55がオンの状態でなければ、図2中仮想線で示すような架台34の循環水タンク25上への移動が行われないように制御される。このため撹拌羽根30がホルダ31aに装着されたまま移動して、撹拌羽根30やバット本体1を損傷してしまうような事態を回避することができる。因みに前記安全ピン31cがホルダ31aにおける受入溝31bに装着された状態では、撹拌羽根30をホルダ31aに装着することはできない。
また前記シャフト31は外筒38に挿通状態となっており、この外筒38は架台34に対して支持杆39によって支持された状態で固定されている。
そしてこのような制御を行うために、前記循環水タンク25内に温度センサ51が設置され、また前記バット本体1の上部には温度センサ52及びpHセンサ53が設置され、更に前記レール35の所定の個所にリミットスイッチ54が設けられている。
なお前記温度センサ52及びpHセンサ53は、バット本体1の上部に設けられたセンサホルダ12により保持される。
この実施例では一例としてエンドレスハウザージャパン社製「半導体pH電極CPS471D」を採用した。因みにこのCPS471Dは、欧米食品規格EHDEGのテスト証明を取得済みのものであり、日本国内においては法制上、食品工場においてその使用が認められているものである。
因みにこのような記録は、例えば殺菌の際の温度、時間が適切に行われたことを証明する資料として供される他、原料乳M0の性状、中間製品及び最終製品の形態、更には気温・湿度等の周辺環境を併せて記録しておくことにより、加工対象となる原料乳M0の成分や製造するチーズの種類に適したものを選択して呼び出し、同様の条件下での加工を容易に行うことが可能となるものである。
また制御盤5には、原料乳M0の性状、最終製品の形態、更には気温・湿度等の周辺環境に応じた、好適な乳酸醗酵条件及び凝固条件を実現するための設定温度及び工程所要時間がプリセットされる。
またカッター7は図5(b)に示すように取手70及びブレード71を具えて成るものである。
まず前記カードミキサD2は図6に示すように、ジャケット構造を有する収容部200内に撹拌羽根201を具え、入水口202から温水W1を供給して収容部200の保温を図り、収容部200に対して約80℃の温水W1とともにチーズ原製品M4を投入して混練するための装置である。
なお前記入水口202から供給された温水W1は出水口203から外部に排出される。 また処理後のチーズ原製品M4は高温状態となるため、その取り出しがし易いように、前記収容部200はハンドル204の操作によって90°傾倒するように構成されている。
なお前記入水口302から供給された温水W1は出水口303から外部に排出される。
また前記成型部304は、長さや穴径が異なるものが複数用意されており、最終製品M5の形態に応じて適宜取り替えられるようになっている。
なお原料乳M0は、チーズバットD1による処理の段階に応じて、その性状が変化するものであるため、ここで各段階毎の呼称について定義しておく。
まず、搾乳後、異物を除去するための濾過処理が行われた状態のものを原料乳M0と呼ぶ。
次いで原料乳M0に対して、醗酵や熟成を順調に進めるために殺菌処理を施したものを殺菌乳M1と呼ぶ。
次いで殺菌乳M1に対して、スタータSあるいはクエン酸を注入して乳酸醗酵させたものを醗酵乳M2と呼ぶ。
次いで醗酵乳M2に対して、レンネットRを注入して凝固させたものを凝固乳M3と呼ぶ。
次いで凝固乳M3を、カードナイフ6で裁断することにより得られる小片状の固体物をカードCと呼び、このとき滲出する液体成分をホエイHと呼ぶ。
そしてカードCから更にホエイHを滲出させて塊状としたものをチーズ原製品M4と呼ぶ。
なお前記殺菌乳M1、醗酵乳M2、凝固乳M3並びにカードC及びホエイHが混在したものを中間製品として総称することもある。
始めに装置の運転に先立ち、原料乳M0や中間製品に対して直接触れる部材を殺菌するものであり、バット本体1内に、撹拌羽根30、カードナイフ6及びカッター7を位置させるとともに蓋15により上部開放部を塞ぐ。
次いで排水バルブ11aを開放した状態の液抜口11に対して、蒸気発生装置2Sに繋がれたチューブTを接続し、ここからバット本体1内に蒸気を供給することにより、前記バット本体1、撹拌羽根30、カードナイフ6、カッター7及び蓋15の殺菌を行う。
次いで制御盤5を操作して、原料乳M0の性状(乳牛種、脂肪含有量等)、最終製品の形態(ゴーダ、カマンベール、クリーム、チェダー、ブルー、カテージ等)に応じた、好適な乳酸醗酵条件及び凝固条件を実現するための設定温度及び工程所要時間の呼び出しを行う。
これらは具体的には、一例として図10の表に示すようなデータシート形式で制御盤5内に記憶されているものであり、原料乳M0の乳脂肪率及び無脂肪固形分、最終製品形態が主たる情報として記憶される。
そして例えば「ゴーダチーズ」を作る場合に、「乳脂肪率及び無脂肪固形分」を入力すると、蓄積されたデータの中から最も類似したデータが呼び出されて、このデータに従った運転制御が行われるものである。
なおこれらのデータは、過去の実績に基づいて記憶されるものであり、随時更新されてゆくことにより、最終製品の品質向上を図ることができるものである。
また参考データとして、気温及び湿度並びに乳牛種、採取牧場、搾乳日時及び加工日時等を記憶しておくようにしてもよい。
この実施例では一例として図10の表中、データナンバー1を呼び出すようにした。
また上述したバット本体1等の殺菌と並行して温水W1を準備しておくものであり、循環水タンク25の排出口25eに栓をしてスタートボタンを押すと、三方弁V2が注水管27A側に設定され、循環水タンク25内に水が注入される。
そして適宜流量計や水位センサ等によりノズル28及び蒸気通過管29が水没したことが認識された時点で、流量調整弁V4及び流量調整弁V5の開度が調整され、循環水タンク25内の水に蒸気が噴出されるとともに、蒸気通過管29に蒸気が供給されて水の温度が上昇する。
やがて循環水タンク25内の水位が所定の位置まで上昇すると、フロート弁25fが作動して注水口25cからの水の注入が停止される。
その後、温度センサ51の検出値に応じて流量調整弁V4及び流量調整弁V5の開度が調整され、循環水タンク25内の水は所望の温度の温水W1となる。
その後、撹拌羽根30をホルダ31aに装着し、液抜口11の排水バルブ11aを閉めて原料乳M0を投入するものであり、温度センサ52及びpHセンサ53の検出部が原料乳M0と接した状態とする。なおこの実施例では搾乳後、異物を除去するための濾過処理が行われた状態のものを原料乳M0とした。
また同時に、制御盤5による温度センサ52及びpHセンサ53の検出値の記録が開始される。
次いで原料乳M0は65℃の温度で約30分間加熱されることにより、低温殺菌が行われるものであり、循環水タンク25内の温水W1が循環ポンプ26によって保温ジャケット20に送り込まれることにより、バット本体1内の原料乳M0の温度が63〜65℃まで上昇する。
この際、原料乳M0はミキサ3によって撹拌されるものであり、撹拌羽根30が回転しながら、架台34が左右に往復移動することにより、バット本体1内の原料乳M0全域に亘って撹拌羽根30が作用する。因みに架台34の移動範囲はレール35に設けられたリミットスイッチ54によって設定されている。
次いで殺菌乳M1は乳酸醗酵に適した温度である33.5℃まで冷却されるものであり、三方弁V1が排水側に設定されるとともに、三方弁V2が注水管27B側に設定される。すると注水管27Bから出水口25aの近傍に供給される冷水W2は循環ポンプ26の作用によって即座に給水管23に送られ、入水口21を経由して保温ジャケット20内に至り、やがて出水口22、集水管24及び三方弁V1を経由して外部に排出される。この際、給水管23、保温ジャケット20及び集水管24内に位置していた温水W1は速やかに外部に排出されて冷水W2と入れ替わるため、バット本体1内の殺菌乳M1の冷却が急速に行われることとなる。
そして冷水W2によって殺菌乳M1の冷却を行いながら、ミキサ3によって殺菌乳M1を撹拌するものであり、温度センサ52による検出値が所望の値となるまで継続される。なおこのときの殺菌乳M1の温度低下率は、平均して0.020〜0.014℃/秒程(30℃低下するのに25〜35分)となり、殺菌乳M1を急速に乳酸醗酵に適した温度とすることができるため、製造に要する時間が短縮されるとともに、殺菌乳M1の劣化が抑えられる。
次いで33.5℃に冷却された殺菌乳M1に対して、2〜4種類の乳酸菌が混合されて成るスタータSを混入する。
この際、スタータSを殺菌乳M1中に十分に分散させることが重要でるため、ミキサ3により、約10分間、殺菌乳M1の撹拌が行われる。
また殺菌乳M1を33.5℃に保つため、保温ジャケット20に対して適温の温水W1を循環させるものであり、温度センサ51及び温度センサ52の検出値に応じて流量調整弁V4、V5の開度が適宜調整される。
次いで撹拌羽根30をホルダ31aから外すとともに、安全ピン31cを受入溝31bに係止させ、架台34を循環水タンク25の上方に退却させてバット本体1の上方に自由空間を確保する。
そしてバット本体1に蓋15を被せて遮光を図り、60分間に亘って静止状態を維持する。この際、温度センサ52及びpHセンサ53による検出が継続的に行われており、殺菌乳M1を33.5℃に保つように保温ジャケット20に対して適温・適量の温水W1が循環させられる。そしてpH値が6.7となった時点で所望の醗酵状態に至ったことが認識され、次工程に移行する。
次いで醗酵乳M2を豆腐状に凝固させ、水分を除去しやすい状態にする目的で、牛の第4胃から抽出された凝乳成分であるレンネットR添加するものであり、このレンネットRを醗酵乳M2中に十分に分散させるため、ホルダ31aに再び撹拌羽根30を装着し、ミキサ3によって醗酵乳M2を約5分間、撹拌する。
また醗酵乳M2を33.5℃に保つため、保温ジャケット20に対して適温・適量の温水W1が循環させられる。
次いで撹拌羽根30をホルダ31aから外すとともに、架台34を循環水タンク25の上方に退去させてバット本体1の上方に自由空間を確保する。
そしてバット本体1に蓋15を被せて遮光を図り、30分間に亘って静止状態を維持する。この際、温度センサ52及びpHセンサ53による検出が継続的に行われており、醗酵乳M2を33.5℃に保つように保温ジャケット20に対して適温・適量の温水W1が循環させられる。そしてpH値が6. 5となった時点で所望の凝固状態に至ったことが認識され、次工程に移行する。
次いで図5(a)に示すようにカードナイフ6を用いて凝固乳M3の分断を行うものであり、10mm角程度の小片となったカードCからは、濁りの少ない透明な黄緑色の液体成分であるホエイHが滲出してくる。
次いでホルダ31aに撹拌羽根30を装着し、カードCとホエイHとが混在した状態のものを33.5℃に保ちながら30分間、撹拌する。
更にその後、ホエイH中にカードCが浮遊した状態となったものを38℃まで昇温し、この温度に保ちながらミキサ3によって30分間、撹拌する。
このようなミキシングを行うことにより、はじめは、ややくっついているカードC同士がほぐれるとともに、カードCとホエイHとの分離が促進される。
次いで 次いで撹拌羽根30をホルダ31aから外すとともに、架台34を循環水タンク25の上方に退去させてバット本体1の上方に自由空間を確保する。
そして液抜口11の排水バルブ11aを開放してホエイHを排出するものであり、この際、バット本体1内にカードCを集めて一つの塊状にし、更にバット本体1に蓋15を被せて遮光を図り、約20分間静置し、更なるホエイHの滲出を図る。
なおホエイHはそのまま食材とすることができ、更にたんぱく質が豊富なため各種健康食品の材料や飼料とされるものであるため、適宜回収してして有効利用することが好ましい。
次いで塊状のカードCを、バット本体1内においてカッター7を用いて20cm角ほどの小ブロックに分断する。更にバット本体1に蓋15を被せて遮光を図り、約20分間静置し、ホエイHの更なる滲出を図るとともに、カードCの凝固を進行させる。
このようにして得られた塊状物はチーズ原製品M4(いわゆるフレッシュチーズ)と成るものであり、その後、加塩、混練、カビ付け、熟成等を行うことにより、所望の最終製品(ゴーダ、カマンベール、クリーム、チェダー、ブルー、カテージ等)と成る。
以下、一例としてフレッシュチーズとしてそのまま供するものを最終製品M5とするための工程を説明する。
次いで図6に示すように前記チーズ原製品M4をカードミキサD2における収容部200に約80℃の温水W1とともに投入し、更に撹拌羽根201により混練するものであり、このような処理を施すことにより成分を均等に分散させる。
次いで図7に示すように前記チーズ原製品M4をモルダD3における収容部300に約80℃の温水W1とともに投入し、更にスクリュー301により成型部304に送り込んで成型を行う。その後、長尺状態となったチーズ原製品M4を適当な長さにカットして最終製品M5が得られることとなる。
D1 チーズバット
D2 カードミキサ
D3 モルダ
F 機枠
1 バット本体
11 液抜口
11a 排水バルブ
12 センサホルダ
15 蓋
2 温度調節機構
2S 蒸気発生装置
20 保温ジャケット
20a 仕切板
21 入水口
22 出水口
23 給水管
24 集水管
25 循環水タンク
25a 出水口
25b 入水口
25c 注水口
25d オーバーフロー口
25e 排出口
25f フロート弁
27 注水管
27A 注水管
27B 注水管
26 循環ポンプ
28 ノズル
28a 蒸気供給管
29 蒸気通過管
29a 蒸気供給管
V1 三方弁
V2 三方弁
V3 流量調整弁
V4 流量調整弁
V5 流量調整弁
3 ミキサ
30 撹拌羽根
30a 撹拌羽根
30b 撹拌羽根
30c ロッド
30d 係止ピン
31 シャフト
31a ホルダ
31b 受入溝
31c 安全ピン
31d ワイヤ
32 減速機
33 モータ
34 架台
35 レール
36 減速機
38 外筒
37 モータ
39 支持杆
5 制御盤
51 温度センサ
52 温度センサ
53 pHセンサ
54 リミットスイッチ
55 安全スイッチ
6 カードナイフ
60 フレーム
61 線材
7 カッター
70 取手
71 ブレード
200 収容部
201 撹拌羽根
202 入水口
203 出水口
204 ハンドル
300 収容部
301 スクリュー
302 入水口
303 出水口
304 成型部
C カード
H ホエイ
M0 原料乳
M1 殺菌乳
M2 醗酵乳
M3 凝固乳
M4 チーズ原製品
M5 最終製品
P0 装置殺菌工程
P1 殺菌工程
P2 冷却工程
P3 醗酵工程
P4 凝固工程
P5 分離工程
P6 整形工程
P7 ミキシング工程
P8 成型工程
R レンネット
S スタータ
T チューブ
W1 温水
W2 冷水
Claims (9)
- 加温調整可能なバットを用い、原料乳を加熱殺菌して殺菌乳とする殺菌工程と、前記殺菌乳を冷却する冷却工程と、前記冷却工程において冷却された殺菌乳にスタータあるいはクエン酸を投入し、乳酸醗酵を進行させて醗酵乳とする醗酵工程と、前記醗酵乳にレンネットを投入して凝固乳とする凝固工程と、前記凝固乳をカッティングし、ミキシングした後、液体成分であるホエイを除去して固形成分であるチーズ原製品を得る分離工程とを順次行い、得られたチーズ原製品に対し、供給形態に合わせた加工を施すことにより最終製品を得るチーズの製造方法において、前記各工程において設定される原料乳及び中間製品の温度は、予め蓄積されたデータの中から、加工対象となる原料乳の性状や最終製品の形態に適したものが選択されるものであり、また前記冷却工程においては、0.020〜0.014℃/秒の温度低下率で殺菌乳を33.5〜35℃まで冷却することを特徴とするチーズの製造方法。
- 前記バットに投入された原料乳及び中間製品は、工程途中において継続してpH計測が行われることを特徴とする請求項1記載のチーズの製造方法。
- バット本体と、ミキサとを具え、前記バット本体に投入された原料乳を乳酸醗酵させて醗酵乳とし、更に乳凝固剤を用いて凝固乳とし、この凝固乳からホエイを除去することにより、チーズ原製品を得る一連の処理を行う装置において、この装置は、前記バット本体を囲繞する保温ジャケットを有する温度調節機構を具えて成るものであり、この保温ジャケット内に供給する熱媒体として温水を用いるとともに、この温水の温度を調節することにより原料乳及び中間製品の温度を所望の値に設定する機能を具えたものであることを特徴とするチーズの製造装置。
- 前記温度調節機構は、バット本体内の収容物を、0.020〜0.014℃/秒の温度低下率33.5〜35℃まで冷却する機構を具えていることを特徴とする請求項3記載のチーズの製造装置。
- 前記熱媒体によって設定される原料乳及び中間製品の温度は、予め蓄積されたデータの中から、加工対象となる原料乳の性状や最終製品の形態に適したものを選択できるように構成されていることを特徴とする請求項3または4記載のチーズの製造装置。
- 前記バット本体には、原料乳及び中間製品の温度及びpHを継続して測定することのできるセンサが具えられていることを特徴とする請求項3、4または5記載のチーズの製造装置。
- 前記原料乳及び中間製品の温度及びpHを一定時間毎に記録する手段を具えたことを特徴とする請求項3、4、5または6記載のチーズの製造装置。
- 前記pHを測定するためのセンサは、ISFET型のものであることを特徴とする請求項6または7記載のチーズの製造装置。
- 前記ミキサは、バット本体の上方に設けられたレールに沿って移動可能に構成された架台に具えられ、且つシャフトに対して撹拌羽根が着脱自在に具えられ、撹拌羽根が取り外された状態でのみ前記架台が原料バットの上方から水平方向に退去することができるように構成されていることを特徴とする請求項3、4、5、6、7または8記載のチーズの製造装置。
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2008
- 2008-12-26 JP JP2008331995A patent/JP2010148473A/ja active Pending
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