特許文献1の2波長回折素子は、2波長光源から出射された2つの波長の光のうち一方の波長の光を回折せず透過し他方の波長の光のうち少なくとも一部の偏光面を有する光を回折してトラッキングビーム化する第1の回折格子と、一方の波長の光のうち少なくとも一部の偏光面を有する光を回折してトラッキングビーム化し他方の波長の光を回折せず透過する第2の回折格子と、2つの波長の光のうち少なくともいずれか一方の波長の光を検出可能な量だけ回折する回折格子と記載されている。そして、CD系光ディスクおよびDVD系光ディスクにおいて安定した信号検出が可能となると記載されている。
しかしながら、特許文献1に記載の2波長回折格子は、高価という課題がある。すなわち、凹凸状の格子を形成する格子材と格子材の凹凸部を充填する充填材とから構成する必要がある。格子材と充填材との屈折率は等しくする必要があるので、このような特殊な材料を選定して使用する必要がある。このような複屈折材料を用いた偏光回折格子や屈折率波長分散の異なる材料の組み合わせからなる波長選択回折格子は、1波長半導体レーザで使用しているガラスやプラスチック製の普通の回折格子に比較して材料構成や製造プロセスが複雑なので非常に高価であるという課題があった。
高価という課題の他に、±1次回折光の受光素子における混入という課題もある。すなわち、2波長選択回折格子は、透光性基板上に直線状の格子を形成し0次回折光と±1次回折光とを発生させる第1および第2の回折格子からなっている。実際に製造する際において、格子材と充填材の屈折率の違いにより、第1の回折格子で発生した±1次回折光と第2の回折格子で発生した±1次回折光とが受光素子で混入する。さらに第1の回折格子で発生した±3次回折光と第2の回折格子で発生した±3次回折光とが受光素子で混入する。
この混入を回避するために、CD用回折格子の±1次回折光と、DVD用回折格子の±1次回折光の受光素子上での間隔を調整変更するといった混入回避対策が必要である。例えば、DVDの±1次回折光の間隔をより広くし、CDの±1次回折光の間隔をより狭くするといった混入回避対策設計をする。
ここで、CDの±1次回折光の間隔を狭くすると、半導体レーザへの戻り光の±1次回折光の内の一方が半導体レーザ端面で反射するという課題が発生する。半導体レーザ端面反射という課題は、トラッキング用サブビームの光量が半導体レーザ端面と光ディスク記録面間の干渉現象により変動し、安定したトラッキング信号が得られなくなるという重大な課題である。
そこで、半導体レーザ端面反射を回避するためにCDの±1次回折光の間隔を変更しないとすると、今度はDVDの±1次回折光の間隔をさらに広げなくてはならなくなる。例えば、受光素子上での混入を回避するためには、CDの±1次回折光の間隔に対してDVDの±1次回折光の間隔を2倍にすれば良い。しかし、この場合、DVDの±1次回折光の間隔が広くなりすぎてしまい、対物レンズの像高特性により光ディスク上のサブビームが収差劣化するという課題がある。また対物レンズの像面湾曲により光ディスク上のサブビームのフォーカス位置とメインビームのフォーカス位置がずれてしまい、フォーカスオフセットが発生するという課題もある。
なお、トラッキング用サブビームの半導体レーザ端面反射の課題は、1波長半導体レーザにも従来からある共通の課題である。2波長半導体レーザに対応した従来の2波長選択回折格子では、上記説明したように混入課題があるためCD用サブビーム間隔設計とDVD用サブビーム間隔設計の自由度が少ない。このため、トラッキング用サブビームの半導体レーザ端面反射の課題が重要な課題である。
以下、図面を用いて従来のトラッキング用サブビームの半導体レーザ端面反射の課題について詳細に説明する。
図8は従来のCD用光ピックアップ光学系の説明図である。CD用半導体レーザ100の発光点101からの光ビーム102は断面形状が凹凸階段状のステップ回折格子103により、0次光であるメインビーム104と、+1次光である第1のサブビーム105と、−1次光である第2のサブビーム106との3ビームに分離される。図8において、+1次光は図面上方向に回折し、−1次光は図面下方向に回折すると定義した。本明細書では図8以外の全ての図面において同じ回折次数の符号の定義を用いる。0次光の回折効率に対する±1次光の回折効率の比率である分光比は略10%である。例えば、0次光の回折効率は略80%、±1次光の回折効率は略8%である。ステップ回折格子103により分離された各ビームは、ミラー107で反射され、対物レンズ108によりCD光ディスク109に集光される。ミラー107の反射率は略50%である。対物レンズ108の透過率は略90%である。
光ディスク109に集光される各ビームは、メインビーム104に対応するメインビーム110と、第1のサブビーム105に対応する第1のサブビーム111と、第2のサブビーム106に対応する第2のサブビーム112との3ビームである。
光ディスク109で反射される各ビームは、メインビーム110に対応するメインビーム113と、第1のサブビーム111に対応する第1のサブビーム114と、第2のサブビーム112に対応する第2のサブビーム115との3ビームである。光ディスク109の反射率は略40%である。
光ディスク109からの戻り光である各ビーム113,114,115は対物レンズ108を介して、ミラー107で一部が透過されて受光素子116で受光される。ミラー107の透過率は略50%である。
受光素子116で受光される戻り光は、メインビーム113に対応するメインビーム117と、第1のサブビーム114に対応する第1のサブビーム118と、第2のサブビーム115に対応する第2のサブビーム119との3ビームである。
受光素子116は、メインビーム117を受光する4分割受光素子120と、第1のサブビーム118を受光する4分割受光素子121と、第2のサブビーム119を受光する4分割受光素子122との3つの4分割受光素子を有する。
一方、光ディスク109からの戻り光は対物レンズ108を介して、ミラー107で一部が反射されてステップ回折格子103に再び入射する。
ステップ回折格子103に入射する各ビームは、メインビーム113に対応するメインビーム123と、第1のサブビーム114に対応する第1のサブビーム124と、第2のサブビーム115に対応する第2のサブビーム125との3ビームである。
ステップ回折格子103により、メインビーム123の0次光であるビーム126と、第1のサブビーム124の0次光であるビーム127と、第2のサブビーム125の0次光であるビーム128との3ビームが出射する。さらに、ステップ回折格子103により、メインビーム123の+1次光であるビーム129と、第1のサブビーム124の+1次光であるビーム130と、第2のサブビーム125の+1次光であるビーム131との3ビームが追加で出射する。さらに、ステップ回折格子103により、メインビーム123の−1次光であるビーム132と、第1のサブビーム124の−1次光であるビーム133と、第2のサブビーム125の−1次光であるビーム134との3ビームが追加で出射する。
ステップ回折格子103を出射した各ビームの内で、実線で示したビーム126,130,134は半導体レーザ100の発光点101に戻り、レーザ端面135で反射される。同じく実線で示したビーム128,129も発光点101の上方向に位置するレーザ端面135で反射される。レーザ端面135はミラーのような鏡面反射面であり、反射率は略40%である。
一方、破線で示したビーム131は発光点101のさらに上方向のレーザ端面135の外に位置するためレーザ端面135で反射されない。同じく破線で示したビーム127,132も発光点101の下方向のレーザ端面135の外に位置するためレーザ端面135で反射されない。同じく破線で示したビーム133も発光点101のさらに下のレーザ端面135の外に位置するためレーザ端面135で反射されない。
次に図9により半導体レーザ100のレーザ端面135で反射される戻り光について説明する。なお、図9は図8と同じ光ピックアップ光学系の説明図である。
ビーム126,130,134は、レーザ端面135で反射され、ビーム136,137,138となる。ビーム128,129は、レーザ端面135で反射され、ビーム139,140となる。
ビーム136,137,138は、ステップ回折格子103により、0次光であるビーム141,142,143と、+1次光であるビーム144,145,146と、−1次光であるビーム147,148,149とに分離される。ビーム139,140は、ステップ回折格子103により、0次光であるビーム150,151と、+1次光であるビーム152,153と、−1次光であるビーム154,155とに分離される。
ステップ回折格子103で分離された各ビームは、ミラー107、対物レンズ108で光ディスク109に集光される。光ディスク109で反射された各ビームは、対物レンズ108,ミラー107を介して受光素子116で受光される。各ビームの途中の経路の説明は省略し、受光素子116で受光される各ビームについてのみ詳細に説明する。
メインビーム117を受光する4分割受光素子120は、ビーム141,142,143,152,153に対応するビーム156,157,158,159,160も受光する。
第1のサブビーム118を受光する4分割受光素子121は、ビーム144,145,146に対応するビーム161,162,163も受光する。
第2のサブビーム119を受光する4分割受光素子122は、ビーム147,148,149,150,151に対応するビーム164,165,166,167,168も受光する。
なお、ビーム154,155に対応するビーム169,170は受光素子116では受光されない。
光ディスク109が傾いた場合について、各ビームの振幅と位相を説明する。
ステップ回折格子103の0次光の回折効率をE[ 0]、+1次光の回折効率をE[+1]、−1次光の回折効率をE[−1]とする。計算の簡単のために、ミラー107の透過率と反射率は同じとし、ミラー107と対物レンズ108と光ディスク109を往復した場合の光利用効率をまとめてDとする。半導体レーザ100のレーザ端面135の反射率をLとする。光ディスク109が傾いたことにより、メインビーム110に比べ、第1のサブビーム111の位相はδ進み、第2のサブビーム112の位相はδ遅れる。戻り光は、往復なので、メインビーム113に比べ、第1のサブビーム114の位相は2δ進み、第2のサブビーム115の位相は2δ遅れる。以下、位相が2δ進む場合の位相を+2δ、位相が2δ遅れる場合の位相を−2δと表す。
表1に従来のCD用光ピックアップの各ビームの振幅計算式と位相を示す。
例えば、表1の2行目を見ると、受光素子116の4分割受光素子120で受光するメインビーム117の振幅は、E[0]×Dで、位相は0であることがわかる。表1の3行目を見ると、ビーム156の振幅は、E[ 0]×D×E[ 0]×L×E[ 0]×Dで、位相は0であることがわかる。表1の4行目を見ると、ビーム157の振幅は、E[+1]×D×E[+1]×L×E[ 0]×Dで、位相は−2δであることがわかる。表1の5行目以降も見方は同様であるので説明は省略する。
表2に従来のCD用光ピックアップの各ビームの振幅計算値と位相差を示す。
振幅計算条件は、E[0]=0.80,E[+1]=0.08,E[−1]=0.08,D=0.08,L=0.40と設定した。例えば、表2の2行目を見ると、受光素子116の4分割受光素子120で受光するメインビーム117の振幅計算値は0.064であることがわかる。振幅計算相対値を括弧内に単位%で表すことにした。メインビーム117の振幅計算相対値は基準の100%とした。位相差はメインビーム117を基準の0とした。表2の3行目を見ると、ビーム156の振幅計算値は0.00131072、振幅計算相対値は2.048%、位相差は0であることがわかる。表2の4行目を見ると、ビーム157の振幅計算値は0.0000131072、振幅計算相対値は0.02048%、位相差は−2δであることがわかる。表2の5行目以降も見方は同様であるので説明は省略する。
表2を用いて、第1のサブビーム118の干渉による信号変動の度合と、第2のサブビーム119の干渉による信号変動の度合いについて詳細に説明する。
まず、受光素子116の4分割受光素子121で受光する第1のサブビーム118の振幅計算値は0.0064、振幅計算相対値は基準の100%、位相差は基準の0である。第1のサブビーム118と同じ4分割受光素子121には、ビーム161,162,163が加えて受光される。ビーム161の振幅計算値は0.000131072、振幅計算相対値は2.048%と大きい値であるが、位相差は0なのでビーム118とは干渉しない。ビーム162の位相差は−2δなので干渉するが、振幅計算値は0.00000131072、振幅計算相対値0.02048%と小さい値であるので干渉による信号変動は問題とならない。ビーム163の位相差は+2δなので干渉するが、振幅計算値はビーム162と同様に0.00000131072、振幅計算相対値0.02048%と小さい値であるので干渉による信号変動は問題とならない。
次に、受光素子116の4分割受光素子122で受光する第2のサブビーム119の振幅計算値は0.0064,振幅計算相対値は基準の100%、位相差は基準の0である。第2のサブビーム119と同じ4分割受光素子122には、ビーム164,165,166,167,168が加えて受光される。ビーム164の振幅計算値は0.000131072、振幅計算相対値は2.048%と大きい値であるが、位相差は0なのでビーム119とは干渉しない。ビーム165の位相差は−2δなので干渉するが、振幅計算値は0.00000131072、振幅計算相対値0.02048%と小さい値であるので干渉による信号変動は問題とならない。ビーム166の位相差は+2δなので干渉するが、振幅計算値はビーム165と同様に0.00000131072、振幅計算相対値0.02048%と小さい値であるので干渉による信号変動は問題とならない。ビーム167の振幅計算値は0.000131072、振幅計算相対値は2.048%と大きい値であり、位相差は+2δなのでビーム119とは干渉し、干渉による信号変動が問題となる。ビーム168の振幅計算値は0.000131072、振幅計算相対値は2.048%と大きい値であるが、位相差は0なのでビーム119とは干渉しない。
以上、表2を用いて詳細説明したとおり、第1のサブビーム118に対しては干渉による信号変動が問題となるビームは全く存在しないが、第2のサブビーム119に対しては干渉による信号変動が問題となるビーム167が1個だけ存在することがわかる。表2の振幅計算条件の場合、干渉による信号変動は最大略±2%である。光ディスク109が傾くことで、第2のサブビーム119を受光する4分割受光素子122の信号が変動するため、トラッキング用サブビームの光量が変動し、安定したトラッキング信号が得られないという問題点が有る。
本発明は、上記の従来技術の問題点に鑑みてなされたものであり、半導体レーザ端面反射によるサーボ信号検出用サブビームの光量変動の課題を解消する光ピックアップを提供することを目的とする。
また本発明は、モノリシック型2波長半導体レーザにおいても、半導体レーザ端面反射によるサーボ信号検出用サブビームの光量変動の課題を解消するとともに、波長選択回折格子より低価格な回折格子を備える光ピックアップを提供することを目的とする。
上記課題を解決するために、本発明では、半導体レーザと、半導体レーザからの光ビームを0次光であるメインビームと±1次光である第1のサブビームと第2のサブビームとの3ビームに分離する回折格子と、回折格子により分離された各ビームを光ディスクに集光させるための対物レンズと、光ディスクからの戻り光を受光する受光素子を備え、半導体レーザは発光点が半導体レーザ端面の中央ではなく片側の辺近傍に偏って位置し、半導体レーザ端面は光を鏡面反射する半導体レーザである光ピックアップにおいて、光ディスクから半導体レーザ端面近傍へ戻るサブビームの内で、第1のサブビームを半導体レーザ端面外に配置し、第2のサブビームを半導体レーザ端面内に配置し、受光素子で受光する第1のサブビームをフォーカス誤差信号、またはトラッキング誤差信号、または対物レンズ位置信号のサーボ信号検出用に使用し、第2のサブビームはサーボ信号検出用に使用しないことにした。
さらに、回折格子は、第1のサブビームの回折効率が第2のサブビームの回折効率よりも大きいブレーズ回折格子とした。
さらに、半導体レーザは波長が異なるモノリシック型2波長半導体レーザであり、回折格子は0次光であるメインビームと±1次光である第1のサブビームと第2のサブビームに加え±2次光である第3のサブビームと第4のサブビームに分離する回折格子であり、光ディスクはトラックピッチが異なる少なくとも2種類の光ディスクであり、光ディスクから半導体レーザ端面近傍へ戻るサブビームの内で、第3のサブビームを半導体レーザ端面外に配置し、受光素子で受光する第3のサブビームをフォーカス誤差信号、またはトラッキング誤差信号、または対物レンズ位置信号のサーボ信号検出用に使用することにした。
さらに、回折格子は、第3のサブビームの回折効率が第4のサブビームの回折効率よりも大きいブレーズ回折格子とした。
さらに、半導体レーザはCD用とDVD用のモノリシック型2波長半導体レーザであり、光ディスクはトラックピッチが異なるCD−R/RW,DVD±R/RW,DVD−RAMであり、ブレーズ回折格子を2個近接して配置するとともに、一方は右回りに、他方は左回りに回転して配置し、1個のメインビームと、2個の第1のサブビームと、2個の第3のサブビームとの合計5個のビームを発生させ、CD用半導体レーザ発光時の光ディスクにおけるメインビームの位置をCDのトラックのグルーブ中心に合わせた時に、2個の第3のサブビームの位置をCDのトラックのグルーブに隣接するランド中心に概略合わせた。
本発明によれば、半導体レーザ端面反射によるトラッキング用サブビームの光量変動の課題を解消する光ピックアップを提供することができる。
また、本発明によれば、2波長半導体レーザにおいても、半導体レーザ端面反射によるトラッキング用サブビームの光量変動の課題を解消するとともに、波長選択回折格子より低価格な回折格子を備える光ピックアップを提供することができる。
以下、本発明にかかる光ピックアップの実施形態について図面を用いて詳細に説明する。しかし、本発明の以下の実施形態に限定されるものではなく、本発明の趣旨を逸脱しない範囲で種々の変形例、改良例を含むものである。
図1は、本発明の実施例の光ピックアップ光学系の説明図である。CD用とDVD用のモノリシック型2波長半導体レーザ1のCD用発光点2からのビーム3は断面形状が鋸歯状の第1のブレーズ回折格子4と第2のブレーズ回折格子5により、0次光であるメインビーム6と、+1次光である第1の2個のサブビーム7,8と、+2次光である2個の第3のサブビーム9,10との5ビームに分離される。第1のブレーズ回折格子4と第2のブレーズ回折格子5は同一の形状であり、互いに近接して配置するとともに、小さい相対角度で回転調整して固定する。
なお、第1のブレーズ回折格子4と第2のブレーズ回折格子5により、図示しない−1次光である第2の2個のサブビームと、−2次光である第4の2個のサブビームも分離されるが、これらの回折効率は+1次光である第1の2個のサブビーム7,8と、+2次光である2個の第3のサブビーム9,10の回折効率に比べて小さくした。受光素子については後で詳細に説明するが、受光素子で受光する第1のサブビームと第3のサブビームをサーボ信号検出用に使用し、第2のサブビームと第4のサブビームはサーボ信号検出用に使用しない。これにより、サーボ信号検出用に使用するビームの光利用効率を向上した。
0次光の回折効率に対する2個の+1次光の回折効率の比率である分光比は各々略5%であり、0次光の回折効率に対する2個の+2次光の回折効率の比率である分光比も各々略5%である。2個の+1次光の分光比を合計すると略10%であり、2個の+2次光の分光比も合計すると略10%である。例えば、0次光の回折効率は略80%、+1次光の回折効率は略4%(2個の+1次光の回折効率の合計は略8%)、+2次光の回折効率は略4%(2個の+2次光の回折効率の合計は略8%)である。ブレーズ回折格子4,5により分離された各ビームは、ミラー11で反射され、対物レンズ12によりCDである光ディスク13に集光される。ミラー11の反射率は略50%である。対物レンズ12の透過率は略90%である。
光ディスク13に集光される各ビームは、メインビーム6に対応するメインビーム14と、第1のサブビーム7,8に対応する第1のサブビーム15,16と、第3のサブビーム9,10に対応する第3のサブビーム17,18との5ビームである。
光ディスク13で反射される各ビームは、メインビーム14に対応するメインビーム19と、第1のサブビーム15,16に対応する第1のサブビーム20,21と、第3のサブビーム17,18に対応する第3のサブビーム22,23との5ビームである。光ディスク13の反射率は略40%である。
光ディスク13からの戻り光である各ビーム19,20,21,22,23は対物レンズ12を介して、ミラー11で一部が透過されて受光素子24で受光される。ミラー11の透過率は略50%である。
受光素子24で受光される戻り光は、メインビーム19に対応するメインビーム25と、第1のサブビーム20,21に対応する第1のサブビーム26,27と、第3のサブビーム22,23に対応する第3のサブビーム28,29との5ビームである。
受光素子24は、メインビーム25を受光する4分割受光素子30と、第1のサブビーム26,27を受光する4分割受光素子31と、第3のサブビーム28,29を受光する4分割受光素子32との3つの4分割受光素子を有する。2個の第1のサブビーム26,27は、受光素子24の4分割受光素子31上で重なり合い1つのビームとなる。2個の第3のサブビーム28,29も、受光素子24の4分割受光素子32上で重なり合い1つのビームとなる。
一方、光ディスク13からの戻り光は対物レンズ12を介して、ミラー11で一部が反射されてブレーズ回折格子4,5に再び入射する。
ブレーズ回折格子4,5に入射する各ビームは、メインビーム19に対応するメインビーム33と、第1のサブビーム20,21に対応する第1のサブビーム34,35と、第3のサブビーム22,23に対応する第3のサブビーム36,37との5ビームである。
ブレーズ回折格子4,5から出射されるビーム数は非常に多く説明が煩雑になるので、2波長半導体レーザ1のレーザ端面38で反射するビームについてのみ符号を付けて説明する。2波長半導体レーザ1のレーザ端面38で反射しないビームについては符号なしの破線で示した。
ブレーズ回折格子4,5により、メインビーム33の0次光であるビーム39と、第1のサブビーム34,35の0次光であるビームと、第3のサブビーム36,37の0次光であるビームとの5ビームが出射する。さらに、ブレーズ回折格子4,5により、メインビーム33の+1次光であるビーム40,41と、第1のサブビーム34,35の+1次光であるビーム42,43,44,45と、第3のサブビーム36,37の+1次光であるビームとが追加で出射する。さらに、ブレーズ回折格子4,5により、メインビーム33の+2次光であるビームと、第1のサブビーム34,35の+2次光であるビーム46,47,48,49と、第3のサブビーム36,37の+2次光であるビーム50,51,52,53とが追加で出射する。
ブレーズ回折格子4,5を出射した各ビームの内で、ビーム39,42,43,44,45,50,51,52,53はモノリシック型2波長半導体レーザ1のCD用発光点2近傍に戻り、レーザ端面38で反射される。ビーム40,41,46,47,48,49もCD用発光点2の上方に位置するレーザ端面38で反射される。レーザ端面38の反射率は略40%である。
次に図2によりモノリシック型2波長半導体レーザ1のレーザ端面38で反射される戻り光について説明する。なお、図2は図1と同じ光ピックアップ光学系の説明図である。
ビーム39,42,43,44,45,50,51,52,53は、レーザ端面38で反射され、ビーム54,55,56,57,58,59,60,61,62となる。ビーム40,41,46,47,48,49は、レーザ端面38で反射され、ビーム63,64,65,66,67,68となる。
ビーム54,55,56,57,58,59,60,61,62は、ブレーズ回折格子4,5により、0次光であるビーム54a,55a,56a,57a,58a,59a,60a,61a,62aと、+1次光であるビーム54b,55b,56b,57b,58b,59b,60b,61b,62b,54c,55c,56c,57c,58c,59c,60c,61c,62cと、+2次光であるビーム54d,55d,56d,57d,58d,59d,60d,61d,62d,54e,55e,56e,57e,58e,59e,60e,61e,62eに分離される。
ビーム63,64,65,66,67,68は、ブレーズ回折格子4,5により、0次光であるビーム63a,64a,65a,66a,67a,68aと、+1次光であるビーム63b,64b,65b,66b,67b,68b,63c,64c,65c,66c,67c,68cと、+2次光であるビーム63d,64d,65d,66d,67d,68d,63e,64e,65e,66e,67e,68eとに分離される。
ブレーズ回折格子4,5で分離された各ビームは、ミラー11、対物レンズ12で光ディスク13に集光される。光ディスク13で反射された各ビームは、対物レンズ12,ミラー11を介して受光素子24で受光される。各ビームの途中の経路の説明は省略し、受光素子24で受光される各ビームについてのみ詳細に説明する。
メインビーム25を受光する4分割受光素子30は、ビーム54a,55a,56a,57a,58a,59a,60a,61a,62a,63b,64b,65b,66b,67b,68b,63c,64c,65c,66c,67c,68cに対応するビーム54f,55f,56f,57f,58f,59f,60f,61f,62f,63g,64g,65g,66g,67g,68g,63h,64h,65h,66h,67h,68hも受光する。
第1のサブビーム26,27を受光する4分割受光素子31は、ビーム54b,55b,56b,57b,58b,59b,60b,61b,62b,54c,55c,56c,57c,58c,59c,60c,61c,62c,63d,64d,65d,66d,67d,68d,63e,64e,65e,66e,67e,68eに対応するビーム54g,55g,56g,57g,58g,59g,60g,61g,62g,54h,55h,56h,57h,58h,59h,60h,61h,62h,63i,64i,65i,66i,67i,68i,63j,64j,65j,66j,67j,68jも受光する。
第3のサブビーム28,29を受光する4分割受光素子32は、ビーム54d,55d,56d,57d,58d,59d,60d,61d,62d,54e,55e,56e,57e,58e,59e,60e,61e,62eに対応するビーム54i,55i,56i,57i,58i,59i,60i,61i,62i,54j,55j,56j,57j,58j,59j,60j,61j,62jも受光する。
なお、ビーム63a,64a,65a,66a,67a,68aに対応するビーム63f,64f,65f,66f,67f,68fは受光素子24では受光されない。
光ディスク13が傾いた場合について、各ビームの振幅と位相を説明する。
ブレーズ回折格子4,5の0次光の回折効率をE[ 0]、+1次光の回折効率をE[+1]、+2次光の回折効率をE[+2]とする。計算の簡単のために、ミラー11の透過率と反射率は同じとし、ミラー11と対物レンズ12と光ディスク13を往復した場合の光利用効率をDとする。半導体レーザ1のレーザ端面38の反射率をLとする。光ディスク13が傾いたことにより、メインビーム14に比べ、第1のサブビーム15,16の位相はδ進み、第3のサブビーム17,18の位相は2δ進む。戻り光は、往復なので、メインビーム19に比べ、第1のサブビーム20,21の位相は2δ進み、第3のサブビーム22,23の位相は4δ進む。以下、位相が2δ進む場合の位相を+2δ、位相が4δ進む場合の位相を+4δと表す。
表3、表4、表5に本発明の実施例の光ピックアップのCDにおける各ビームの振幅と位相を示す。表3にはメインビーム25を受光する4分割受光素子30で受光する各ビームを示した。表4には第1のサブビーム26,27を受光する4分割受光素子31で受光する各ビームを示した。表5には第3のサブビーム28,29を受光する4分割受光素子32で受光する各ビームを示した。
例えば、表3の2行目を見ると、受光素子24の4分割受光素子30で受光するメインビーム25の振幅は、E[0]×Dで、位相は0であることがわかる。表3の3行目を見ると、ビーム54fの振幅は、E[ 0]×D×E[ 0]×L×E[ 0]×Dで、位相は0であることがわかる。表3の4行目を見ると、ビーム55fの振幅は、E[+1]×D×E[+1]×L×E[ 0]×Dで、位相は+2δであることがわかる。表3の5行目以降、表4、表5も見方は同様であるので説明は省略する。
表6、表7、表8に本発明の実施例のCD用光ピックアップの各ビームの振幅計算値と位相差を示す。表6にはメインビーム25を受光する4分割受光素子30で受光する各ビームを示した。表7には第1のサブビーム26,27を受光する4分割受光素子で受光する各ビームを示した。表8には第3のサブビーム28,29を受光する4分割受光素子32で受光する各ビームを示した。
振幅計算条件は、E[0]=0.80,E[+1]=0.04,E[+2]=0.04,D=0.08,L=0.40と設定した。例えば、表6の2行目を見ると、受光素子24の4分割受光素子30で受光するメインビーム25の振幅計算値は0.064であることがわかる。振幅計算相対値を括弧内に単位%で表すことにした。メインビーム67の振幅計算相対値は基準の100%とした。位相差はメインビーム25を基準の0とした。表6の3行目を見ると、ビーム54fの振幅計算値は0.00131072、振幅計算相対値は2.048%、位相差は0であることがわかる。表6の4行目を見ると、ビーム55fの振幅計算値は0.0000032768、振幅計算相対値は0.00512%、位相差は+2δであることがわかる。表6の5行目以降、表7、表8も見方は同様であるので説明は省略する。
表6を用いて、メインビーム25の干渉による信号変動の度合いについて詳細に説明する。ビーム25と干渉するのは位相差が0でないビーム55f、56f、57f、58f、59f、60f、61f、62f、67g、68g、65h、66h、67h、68hであり、信号変動は最大略0.005%と小さい。これら干渉するビームを合計しても最大略0.04%と小さい。従来例の信号変動最大略0.06%に比べ、本実施例の方がより小さい。
表7を用いて、第1のサブビーム26,27の干渉による信号変動の度合いについて詳細に説明する。受光素子24の4分割受光素子31で受光する第1のサブビーム26,27の振幅計算値は0.0032、振幅計算相対値は基準の100%、位相差は基準の0である。第1のサブビーム26,27を受光する4分割受光素子31には、ビーム54g、55g、56g、57g、58g、59g、60g、61g、62g、54h、55h、56h、57h、58h、59h、60h、61h、62h、63i,64i,65i,66i,67i,68i,63j,64j,65j,66j,67j,68jが加えて受光される。振幅計算値が0.00065536、振幅計算相対値が2.048%と大きい値の2個のビーム54g,54hがあるが、位相差は0なのでビーム26,27とは干渉しない。ビーム26,27と干渉するのは位相差が0でないビーム55g,56g,57g,58g,59g,60g,61g,62g,55h,56h,57h,58h,59h,60h,61h,62h,65i,66i,67i,68i,65j,66j,67j,68jであるが、振幅計算相対値が0.00512%と小さい値である。干渉するこれらのビームを合計しても最大略0.12%と小さい値であるので干渉による信号変動は問題とならない。
表8を用いて、第3のサブビーム28,29の干渉による信号変動の度合いについて詳細に説明する。受光素子24の4分割受光素子32で受光する第3のサブビーム28,29の振幅計算値は0.0032、振幅計算相対値は基準の100%、位相差は基準の0である。第3のサブビーム28,29を受光する4分割受光素子32には、ビーム54i,55i,56i,57i,58i,59i,60i,61i,62i,54j,55j,56j,57j,58j,59j,60j,61j,62jが加えて受光される。振幅計算値が0.00065536、振幅計算相対値が2.048%と大きい値の2個のビーム54i,54jがあるが、位相差は0なのでビーム28,29とは干渉しない。ビーム28,29と干渉するのは位相差が0でないビーム55i,56i,57i,58i,59i,60i,61i,62i,55j,56j,57j,58j,59j,60j,61j,62jであるが、振幅計算相対値が0.00512%と小さい値である。干渉するこれらのビームを合計しても最大略0.08%と小さい値であるので干渉による信号変動は問題とならない。
表6、表7、表8を用いて詳細説明したとおり、第1のサブビーム26,27や第3のサブビーム28,29に対して干渉による信号変動が問題となるビームは全く存在しない。第1のサブビーム26,27を受光する4分割受光素子31の信号変動は小さく、第3のサブビーム28,29を受光する4分割受光素子32の信号変動も小さい。信号変動が小さいので、トラッキング用サブビームの光量が変動し、安定したトラッキング信号が得られるという効果がある。
以上、CDについて本発明の効果を説明したが、DVDについても本発明の効果がある。特に2波長半導体レーザ1がモノリシック型の場合に好適である。
図3は、本発明の実施例のモノリシック型半導体レーザ1と回折格子4,5の斜視図である。CD用発光点2から水平方向に110μm間隔の位置にDVD用発光点69がある。レーザ端面38の高さ方向についてはCD用発光点2とDVD用発光点69と同じである。すなわち、2個の発光点2,69が半導体レーザ端面38の下方の辺に偏って位置する。
CDとDVDとで異なるのは、ブレーズ回折格子4,5で出射される+1次光の回折角度と+2次光の回折角度である。回折角度は波長に比例する。CDの波長785nm,DVDの波長660nmの場合、DVDの回折角度=CDの回折角度×660/785≒CDの回折角度×0.84である。レーザ端面38への戻り光がCDよりもDVDの方がやや間隔が狭くなる程度の違いだけなので、DVDについてもCDと同様に本発明の効果がある。また、波長の違いにより回折効率もやや違いが有るが、分光比がCDよりもDVDの方がやや大きくなる程度の違いだけなので、DVDについてもCDと同様に本発明の効果がある。
図4は、本発明の実施例のCD−R光ディスク13上のビーム説明図である。メインビーム14の位置をCD−Rのトラックのグルーブ70中心に合わせた時に、第3の2個のサブビーム17,18の位置をCD−Rのトラックのグルーブ70に隣接するランド71,72中心に概略合わせた。すなわち、メインビーム14と第3のサブビーム17,18とのトラック横断方向の距離は、CD−Rのトラックピッチ1.6μmの半分の0.8μmに合わせた。
一方、第1の2個のサブビーム15,16の位置は第3の2個のサブビーム17,18の位置に従属する。すなわち、メインビーム14と第1のサブビーム15,16とのトラック横断方向の距離は、CD−Rのトラックピッチ1.6μmの4分の1の0.4μmになる。
図5は、本発明の実施例のCD−Rにおける受光素子24の説明図である。メインビーム25を受光する4分割受光素子30は信号A,B,C,Dを出力する。第1のサブビーム26,27を受光する4分割受光素子31は信号E1,E2,E3,E4を出力する。第3のサブビーム28,29を受光する4分割受光素子32は信号F1,F2,F3,F4を出力する。
フォーカス誤差信号は非点収差検出方式とした。メインビーム25のメインフォーカス誤差信号は(A−B+C−D)である。第3のサブビーム28,29のサブフォーカス誤差信号は(F1−F2+F3−F4)である。メインフォーカス誤差信号とサブフォーカス誤差信号を加算した差動非点収差検出方式によるフォーカス誤差信号は(A−B+C−D)+K×(F1−F2+F3−F4)である。ここでKはメインフォーカス誤差信号レベルとサブフォーカス誤差信号レベルを合わせるための利得係数である。非点収差検出方式においては、トラック横断時のプッシュプル方式によるトラッキング誤差信号がフォーカス誤差信号に混入するが、差動非点収差検出方式を採用することができるので、このトラッキング誤差信号の混入を打ち消すことにより安定したフォーカス誤差信号が得られる。
トラッキング誤差信号はプッシュプル検出方式とした。メインビーム25のメイントラッキング誤差信号は(A−B−C+D)である。第3のサブビーム28,29のサブトラッキング誤差信号は(F1−F2−F3+F4)である。メイントラッキング誤差信号とサブトラッキング誤差信号を減算した差動プッシュプル検出方式によるトラッキング誤差信号は(A−B−C+D)−K×(F1−F2−F3+F4)である。プッシュプル検出方式においては、フォーカス誤差信号がトラッキング誤差信号に混入するが、差動プッシュプル検出方式を採用することができるので、このフォーカス誤差信号の混入を打ち消すことにより安定したトラッキング誤差信号が得られる。
対物レンズ位置信号は、第1のサブビーム26,27のサブトラッキング誤差信号の(E1−E2−E3+E4)を採用することができる。光ディスク13上の第1のサブビーム15,16はグルーブ70の中心に対して左右に4分の1トラックの距離に配置したので、プッシュプル検出方式によるトラッキング誤差信号は打ち消される。このため、トラッキング誤差信号の混入を打ち消すことにより安定した対物レンズ位置信号が得られる。
なお、対物レンズ位置信号は、メインビーム25のトラッキング誤差信号と第3のサブビーム28,29のトラッキング誤差信号を加算することにより求めることもできる。すなわち、メイントラッキング誤差信号とサブトラッキング誤差信号を加算した対物レンズ位置信号は(A−B−C+D)+K×(F1−F2−F3+F4)である。
なお、トラッキング誤差信号はプッシュプル検出方式として、メインビーム25のトラッキング誤差信号と第1のサブビーム28,29の対物レンズ位置信号であるトラッキング誤差信号を減算することにより求めることもできる。メイントラッキング誤差信号とサブトラッキング誤差信号を減算した差動プッシュプル検出方式によるトラッキング誤差信号は(A−B−C+D)−K×(E1−E2−E3+E4)である。プッシュプル検出方式においては、対物レンズ位置信号がトラッキング誤差信号に混入するが、差動プッシュプル検出方式を採用することができるので、この対物レンズ位置信号の混入を打ち消すことにより安定したトラッキング誤差信号が得られる。
以上説明したように、CD−Rにおいて、差動非点収差方式によるフォーカス誤差信号、差動プッシュプル方式によるトラッキング誤差信号、対物レンズ位置信号といった安定性に優れた3つのサーボ信号を検出することができる。
なお、CD−Rについて説明したが、同じトラックピッチのCD,CD−R/RWにおいても同様の効果がある。
図6は、本発明の実施例のDVD−Rである光ディスク73上のビーム位置の説明図である。メインビーム74の位置をDVD―Rのトラックのグルーブ75中心に合わせる。回折格子4,5の回折角度は波長に比例する。CDの波長は略785nm、DVDの波長は略660nmである。したがって、メインビーム74と第1のサブビーム76,77とのトラック横断方向の距離は、CD−Rでは0.4μmだったが、DVD−Rでは0.4μm×660nm/785nm≒0.336μmとなる。この0.336μmは、DVD−Rのトラックピッチ0.74μmの半分の0.37μmに近い値になる。このため、2個の第1のサブビーム76,77の位置をDVD−Rのトラックのグルーブ75に隣接するランド78,79中心に概略合わせることができる。
一方、2個の第3のサブビーム80,81の位置は第1の2個のサブビーム76,77の位置に従属する。すなわち、メインビーム74と第3のサブビーム80,81とのトラック横断方向の距離は、0.673μmとなり、DVD−Rのトラックピッチ0.74μmに近い値になる。
図5を用いて本発明の実施例のDVD−Rにおける受光素子24を説明する。メインビーム82を受光する4分割受光素子83は信号a,b,c,dを出力する。第1のサブビーム84,85を受光する4分割受光素子86は信号e1,e2,e3,e4を出力する。第3のサブビーム87,88を受光する4分割受光素子89は信号f1,f2,f3,f4を出力する。
フォーカス誤差信号は非点収差検出方式とした。メインビーム82のメインフォーカス誤差信号は(a−b+c−d)である。第1のサブビーム84,85のサブフォーカス誤差信号は(e1−e2+e3−e4)である。メインフォーカス誤差信号とサブフォーカス誤差信号を加算した差動非点収差検出方式によるフォーカス誤差信号は(a−b+c−d)+k×(e1−e2+e3−e4)である。ここでkはメインフォーカス誤差信号レベルとサブフォーカス誤差信号レベルを合わせるための利得係数である。非点収差検出方式においては、トラック横断時のプッシュプル方式によるトラッキング誤差信号がフォーカス誤差信号に混入するが、差動非点収差検出方式を採用することができるので、このトラッキング誤差信号の混入を打ち消すことにより安定したフォーカス誤差信号が得られる。
トラッキング誤差信号はプッシュプル検出方式とした。メインビーム82のメイントラッキング誤差信号は(a−b−c+d)である。第1のサブビーム84,85のサブトラッキング誤差信号は(e1−e2−e3+e4)である。メイントラッキング誤差信号とサブトラッキング誤差信号を減算した差動プッシュプル検出方式によるトラッキング誤差信号は(a−b−c+d)−k×(e1−e2−e3+e4)である。プッシュプル検出方式においては、フォーカス誤差信号がトラッキング誤差信号に混入するが、差動プッシュプル検出方式を採用することができるので、このフォーカス誤差信号の混入を打ち消すことにより安定したトラッキング誤差信号が得られる。
対物レンズ位置信号は、メインビーム82のメイントラッキング誤差信号と第1のサブビーム84,85のサブトラッキング誤差信号を加算することにより求めることができる。すなわち、メイントラッキング誤差信号とサブトラッキング誤差信号を加算した対物レンズ位置信号は(a−b−c+d)+k×(e1−e2−e3+e4)である。
以上説明したように、DVD−Rにおいても、差動非点収差方式によるフォーカス誤差信号、差動プッシュプル方式によるトラッキング誤差信号、対物レンズ位置信号といった安定性に優れた3つのサーボ信号を検出することができる。
なお、DVD−Rについて説明したが、同じトラックピッチのDVD,DVD±R/RWにおいても同様である。
図7は、本発明の実施例のDVD−RAMである光ディスク90上のビーム位置の説明図である。なお、DVD−RAMはランド・グルーブ記録方式なので、トラックピッチはランドとグルーブの間隔である。メインビーム74の位置をDVD―RAMのトラックのグルーブ91中心に合わせる。メインビーム74と第1のサブビーム76,77とのトラック横断方向の距離は、DVD−RAMでもDVD−Rと同じ0.36μmとなる。DVD−RAMのトラックピッチは、DVD−RAM1が0.74μm、DVD−RAM2が0.615μmである。DVD−RAMのトラックピッチの半分は、DVD−RAM1が0.37μm、DVD−RAM2が0.3075μmなので、距離0.36μmはトラックピッチの半分に近い値となる。
一方、2個の第3のサブビーム80,81の位置は2個の第1のサブビーム76,77の位置に従属する。すなわち、メインビーム74と第3のサブビーム80,81とのトラック横断方向の距離は、0.673μmとなり、DVD−RAMのDVD−RAM1のトラックピッチ0.74μm,DVD−RAM2のトラックピッチ0.615μmに近い値になる。このため、2個の第3のサブビーム80,81の位置をDVD−RAMのトラックのグルーブ91に隣接するランド92,93中心に概略合わせることができる。
図5を用いて本発明の実施例のDVD−RAMにおける受光素子24を説明する。メインビーム82を受光する4分割受光素子83は信号a,b,c,dを出力する。第1のサブビーム84,85を受光する4分割受光素子86は信号e1,e2,e3,e4を出力する。第3のサブビーム87,88を受光する4分割受光素子89は信号f1,f2,f3,f4を出力する。
フォーカス誤差信号は非点収差検出方式とした。メインビーム82のメインフォーカス誤差信号は(a−b+c−d)である。第3のサブビーム87,88のサブフォーカス誤差信号は(f1−f2+f3−f4)である。メインフォーカス誤差信号とサブフォーカス誤差信号を加算した差動非点収差検出方式によるフォーカス誤差信号は(a−b+c−d)+k×(f1−f2+f3−f4)である。ここでkはメインフォーカス誤差信号レベルとサブフォーカス誤差信号レベルを合わせるための利得係数である。非点収差検出方式においては、トラック横断時のプッシュプル方式によるトラッキング誤差信号がフォーカス誤差信号に混入するが、差動非点収差検出方式を採用することができるので、このトラッキング誤差信号の混入を打ち消すことにより安定したフォーカス誤差信号が得られる。
トラッキング誤差信号はプッシュプル検出方式とした。メインビーム82のメイントラッキング誤差信号は(a−b−c+d)である。第3のサブビーム87,88のサブトラッキング誤差信号は(f1−f2−f3+f4)である。メイントラッキング誤差信号とサブトラッキング誤差信号を減算した差動プッシュプル検出方式によるトラッキング誤差信号は(a−b−c+d)−k×(f1−f2−f3+f4)である。プッシュプル検出方式においては、フォーカス誤差信号がトラッキング誤差信号に混入するが、差動プッシュプル検出方式を採用することができるので、このフォーカス誤差信号の混入を打ち消すことにより安定したトラッキング誤差信号が得られる。
対物レンズ位置信号は、メインビーム82のメイントラッキング誤差信号と第3のサブビーム87,88のサブトラッキング誤差信号を加算することにより求めることができる。すなわち、メイントラッキング誤差信号とサブトラッキング誤差信号を加算した対物レンズ位置信号は(a−b−c+d)+k×(f1−f2−f3+f4)である。
以上説明したように、DVD−RAMにおいても、差動非点収差方式によるフォーカス誤差信号、差動プッシュプル方式によるトラッキング誤差信号、対物レンズ位置信号といった安定性に優れた3つのサーボ信号を検出することができる。
本発明の実施例によれば、半導体レーザ端面反射によるトラッキング用サブビームの光量変動の課題を解消する光ピックアップを提供することができる。
また、本発明の実施例によれば、2波長半導体レーザにおいても、半導体レーザ端面反射によるトラッキング用サブビームの光量変動の課題を解消するとともに、波長選択回折格子より低価格な回折格子を備える光ピックアップを提供することができる。
なお、本発明の実施例ではモノリシック型2波長半導体レーザがCD用とDVD用について説明したが、DVD用とBD用等あらゆるモノリシック型2波長半導体レーザに適用可能である。
以上、本発明に従う光ピックアップの実施形態について、図面により詳細に説明したが、本発明は、上記実施形態に限定されるものではなく、本発明の主旨を逸脱しない範囲において、種々の改良や変更を行うことができる。
1…モノリシック型2波長半導体レーザ、2…CD用発光点、3…光ビーム、4…ブレーズ回折格子、5…ブレーズ回折格子、6…メインビーム、7…第1のサブビーム、8…第1のサブビーム、9…第3のサブビーム、10…第3のサブビーム、11…ミラー、12…対物レンズ、13…CD−R光ディスク、14…メインビーム、15…第1のサブビーム、16…第1のサブビーム、17…第3のサブビーム、18…第3のサブビーム、19…メインビーム、20…第1のサブビーム、21…第1のサブビーム、22…第3のサブビーム、23…第3のサブビーム、24…受光素子、25…メインビーム、26…第1のサブビーム、27…第1のサブビーム、28…第3のサブビーム、29…第3のサブビーム、30…4分割受光素子、31…4分割受光素子、32…4分割受光素子、33…メインビーム、34…第1のサブビーム、35…第1のサブビーム、36…第3のサブビーム、37…第3のサブビーム、38…レーザ端面、39〜68…ビーム、69…DVD用発光点、70…グルーブ、71…ランド、72…ランド、73…DVD−R光ディスク、74…メインビーム、75…グルーブ、76…第1のサブビーム、77…第1のサブビーム、78…ランド、79…ランド、80…第3のサブビーム、81…第3のサブビーム、82…メインビーム、83…4分割受光素子、84…第1のサブビーム、85…第1のサブビーム、86…4分割受光素子、87…第3のサブビーム、88…第3のサブビーム、89…4分割受光素子、90…DVD−RAM光ディスク、91…グルーブ、92…ランド、93…ランド、100…CD用半導体レーザ、101…発光点、102…光ビーム、103…ステップ回折格子、104…メインビーム、105…第1のサブビーム、106…第2のサブビーム、107…ミラー、108…対物レンズ、109…CD光ディスク、110…メインビーム、111…第1のサブビーム、112…第2のサブビーム、113…メインビーム、114…第1のサブビーム、115…第2のサブビーム、116…受光素子、117…メインビーム、118…第1のサブビーム、119…第2のサブビーム、120…4分割受光素子、121…4分割受光素子、122…4分割受光素子、123…メインビーム、124…第1のサブビーム、125…第2のサブビーム、126〜170…ビーム。