JP2010145548A - 画像形成方法および画像形成装置 - Google Patents

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【課題】平均粒子径の小さなトナーを用いる画像形成において、モトル(トナー濃度ムラ)が少なく、高解像度の画像を形成可能な画像形成方法および画像形成装置を提供する。
【解決手段】記録媒体上に形成された未定着トナー像を少なくとも加圧して、該記録媒体に該未定着トナー像を定着させる画像形成方法において、前記記録媒体に、画像形成面の中心線平均粗さRaが0.2〜3.9μmの記録媒体を用い、前記トナーに、有機溶媒に可溶な結着樹脂を含むトナー粒子で構成され、形状係数SF−2が100〜130であり、体積平均粒子径が4〜7μmであり、変動係数CVが25%以下であるトナーを用い、前記加圧の際の定着圧力を、0.5〜3.0kgf/cmとする。
【選択図】図1

Description

本発明は、モトルの少ない画像を形成可能な画像形成方法および画像形成装置に関する。
電子写真方式を利用した画像形成方法は、画像品位の良好な画像を高速でかつ安価に形成できることから、複写機、プリンタ、ファクシミリ装置、および複合機などの画像形成装置に広く利用されている。電子写真方式を利用した画像形成方法では、一般に、帯電工程、露光工程、現像工程、転写工程、クリーニング工程および定着工程などを経ることによって画像が形成される。
帯電工程では、感光体の表面を暗所で均一に帯電する。露光工程では、帯電した感光体に原稿像を投射することによって、光の当たった部分の帯電を除去し、感光体の表面に静電潜像を形成する。現像工程では、感光体表面に形成された静電潜像にトナーを供給することによってトナー画像(可視像)を形成する。転写工程では、感光体表面に形成されたトナー画像に紙およびシートなどの記録媒体を接触させ、トナー画像と接触している記録媒体の面とは反対側からコロナ放電を行い、トナーとは逆の極性の電荷を記録媒体に与えることによって、トナー画像を記録媒体に転写する。定着工程では、加熱および加圧などの手段により記録媒体に転写されたトナー画像を定着する。クリーニング工程では、記録媒体に転写されずに感光体の表面に残ったトナーを回収する。電子写真方式を利用した画像形成方法は、以上の工程を経て記録媒体上に所望の画像を形成する。記録媒体へのトナー画像の転写は、中間転写媒体を介して行われることもある。
近年、より高解像度の画像を形成するために、平均粒子径の小さなトナーを用いる画像形成が注目されている。しかしながら、平均粒子径の小さなトナーを用いると記録媒体へのトナーの定着性が悪くなり、形成された画像にモトルが生じやすくなるという問題があり、小粒径のトナーを用いる画像形成において、記録媒体へのトナーの定着性を向上させることが課題となっている。
このような課題に対して、特許文献1には、体積平均粒子径が6〜8μmの乾式トナーを用いて、十点平均高さRzが13μm以下の普通紙に対して画像形成を行う方法が開示されている。また特許文献2には、十点平均高さRzとトナーの平均粒子径tとの間に、Rz<2tの関係が成り立つ被記録材を用いる画像形成方法が開示されている。
特開平3−161760号公報 特開平6−11880号公報
しかしながら、特許文献1、2に記載の記録媒体の中で、定着性の向上という結果が得られるのは、凹凸の間隔が大きな(たとえば、間隔が2mm以上の)記録媒体のみである。十点平均高さRzは、画像形成面の、測定範囲内の凹凸の高さのみによって表面粗さを表しているので、画像形成面の凹部および凸部の広がりが表されておらず、記録媒体の繊維およびコート層などにトナー粒子が定着する際の定着領域との相関性が弱いため、十点平均高さRzの値によって記録媒体を選択しても、必ずしも小粒径のトナーの定着性は向上しない。したがって、特許文献1、2に記載の方法では、平均粒子径の小さなトナーを用いる画像形成における定着性の向上という課題は解決されていない。
本発明は、上述した従来の課題を解消するためになされたものであって、平均粒子径の小さなトナーを用いる画像形成において、モトル(トナー濃度ムラ)が少なく、高解像度の画像を形成可能な画像形成方法および画像形成装置を提供することを目的とする。
本発明は、記録媒体上に形成された未定着トナー像を少なくとも加圧して、該記録媒体に該未定着トナー像を定着させることによって画像を形成する画像形成方法であって、
前記記録媒体の画像形成面の中心線平均粗さRaは0.2〜3.9μmであり、
前記トナーは有機溶媒に可溶な結着樹脂を含むトナー粒子で構成され、形状係数SF−2が100〜130であり、体積平均粒子径が4〜7μmであり、変動係数CVが25%以下であり、
前記記録媒体上に形成された未定着トナー像を加圧する際の定着圧力は、0.5〜3.0kgf/cmであることを特徴とする画像形成方法である。
また本発明は、前記トナー粒子は、2価以上の金属塩を含有していることを特徴とする。
また本発明は、前記トナー粒子は、結晶性ポリエステル樹脂を含むことを特徴とする。
また本発明は、前記トナー粒子に含まれる顔料は、前記トナー粒子の表層に少なく、内部に多く存在することを特徴とする。
また本発明は、前記画像形成方法を用いて画像形成が可能であることを特徴とする画像形成装置である。
本発明によれば、記録媒体上に形成された未定着トナー像を少なくとも加圧して、該記録媒体に該未定着トナー像を定着させることによって画像を形成する画像形成方法であって、前記記録媒体の画像形成面の中心線平均粗さRaは0.2〜3.9μmであり、前記トナーは有機溶媒に可溶な結着樹脂を含むトナー粒子で構成され、形状係数SF−2が100〜130であり、体積平均粒子径が4〜7μmであり、変動係数CVが25%以下であり、前記記録媒体上に形成された未定着トナー像を加圧する際の定着圧力は、0.5〜3.0kgf/cmである画像形成方法が提供される。
該方法によれば、前記トナーは、有機溶媒に可溶な結着樹脂を含むトナー粒子で構成されているので、該トナーは適度な弾性を有し、優れた定着性を有する。また、前記トナーの形状係数SF−2が100〜130であるので、前記トナー粒子表面の凹凸は少なく、前記トナー粒子表面は均一に帯電し、前記記録媒体へ転写する際にムラなく転写される。また、体積平均粒子径が4μm以上であるので、前記トナー粒子は適度に帯電させられ、カブリの発生が少なく、また、体積平均粒子径が7μm以下であるので、高解像度の画像を形成することができる。さらに、変動係数CVが25%以下であるので、体積平均粒子径が4μmより小さい粒子および7μmより大きい粒子の割合が小さい。また、前記記録媒体の画像形成面の中心線平均粗さRaが0.2〜3.9μmであるので、体積平均粒子径が7μm以下の小粒径のトナーであっても、良好に定着する。また、前記定着圧力は0.5kgf/cm以上であるので、前記トナーを前記記録媒体に充分にムラなく定着させることができる。また、前記定着圧力は3.0kgf/cm以下であるので、定着圧力が強すぎることによって前記記録媒体の構造が大きく変化するのを防ぐことができる。したがって、前記方法によれば、モトルの発生を抑えて、高解像度の画像を形成することができる。
また本発明によれば、前記トナー粒子は、2価以上の金属塩を含有している。前記方法によれば、前記トナー粒子は、2価以上の金属塩を含有しているので、前記トナーは適度な弾性を有し、前記記録媒体に良好に定着する。また、前記トナーは耐摩擦性に優れ、形成された画像が剥がれにくい。
また本発明によれば、前記トナー粒子は、結晶性ポリエステル樹脂を含む。前記方法によれば、前記トナー粒子は結晶性ポリエステル樹脂を含むので、前記トナーはより少ない定着圧力で前記記録媒体に定着する。
また本発明によれば、前記トナー粒子に含まれる顔料は、前記トナー粒子の表層に少なく、内部に多く存在する。前記方法によれば、前記トナー粒子に含まれる顔料は、前記トナー粒子の表層に少なく、内部に多く存在するので、顔料の分布が異なることによるトナー粒子間の帯電量の差が少なくなり、よりムラのない画像を形成することができる。
また本発明によれば、前記画像形成方法を用いて画像形成が可能である画像形成装置が提供される。該装置によれば、前記方法を用いて画像を形成することが可能であるので、モトルの発生を抑えて、高解像度の画像を形成することができる。
[画像形成装置]
はじめに、本発明の画像形成方法の実施形態を実現する画像形成装置100について説明する。図1は、画像形成装置100の構成を模式的に示す概略図であり、画像形成装置100は、本発明の画像形成装置の実施形態である。画像形成装置100は、複写機能、プリンタ機能およびファクシミリ機能を併せ持つ複合機であり、伝達される画像情報に応じて、記録媒体上にフルカラーまたはモノクロの画像を形成する。すなわち、画像形成装置100においては、コピアモード(複写モード)、プリンタモードおよびFAXモードという3種の印刷モードを有しており、図示しない操作部からの操作入力、パーソナルコンピュータ、携帯端末装置、情報記憶媒体、およびメモリ装置を用いた外部機器からの印刷ジョブの受信などに応じて、図示しない制御部によって、印刷モードが選択される。画像形成装置100は、トナー像形成部2と、転写部3と、定着部4と、記録媒体供給部5と、排出部6とを含む。
トナー像形成部2を構成する各部材および転写部3に含まれる一部の部材は、カラー画像情報に含まれるブラック(b)、シアン(c)、マゼンタ(m)およびイエロー(y)の各色の画像情報に対応するために、それぞれ4つずつ設けられる。ここでは、各色に応じて4つずつ設けられる各部材は、各色を表すアルファベットを参照符号の数字の末尾に付して区別し、総称する場合は数字のみで表す。
トナー像形成部2は、感光体ドラム11と、帯電部12と、露光ユニット13と、現像部14と、クリーニングユニット15とを含む。帯電部12、現像部14およびクリーニングユニット15は、感光体ドラム11まわりに、この順序で配置される。帯電部12は、クリーニングユニット15よりも鉛直方向下方の位置に、現像部14と鉛直方向において等しい位置に配置される。
感光体ドラム11は、図示しない駆動部により、軸線回りに回転駆動可能に支持され、図示しない、導電性基体と、導電性基体の表面に形成される感光層とを含む。導電性基体は種々の形状を採ることができ、たとえば、円筒状、円柱状、および薄膜シート状などが挙げられる。これらの中でも円筒状が好ましい。導電性基体は導電性材料によって形成される。導電性材料としては、この分野で常用されるものを使用でき、たとえば、アルミニウム、銅、真鍮、亜鉛、ニッケル、ステンレス鋼、クロム、モリブデン、バナジウム、インジウム、チタン、金、および白金などの金属、これらの2種以上の合金、合成樹脂フィルム、金属フィルム、および紙などのフィルム状基体にアルミニウム、アルミニウム合金、酸化錫、金、および酸化インジウムなどの1種または2種以上からなる導電性層を形成してなる導電性フィルム、ならびに導電性粒子および導電性ポリマーの少なくとも一方を含有する樹脂組成物などが挙げられる。なお、導電性フィルムに用いられるフィルム状基体としては、合成樹脂フィルムが好ましく、ポリエステルフィルムが特に好ましい。また、導電性フィルムにおける導電性層の形成方法としては、蒸着、および塗布などが好ましい。
感光層は、たとえば、電荷発生物質を含む電荷発生層と、電荷輸送物質を含む電荷輸送層とを積層することにより形成される。その際、導電性基体と電荷発生層または電荷輸送層との間には、下引き層を設けるのが好ましい。下引き層を設けることによって、導電性基体の表面に存在する傷および凹凸を被覆して、感光層表面を平滑化し、繰り返し使用時における感光層の帯電性の劣化を防止し、低温および低湿の少なくとも一方の環境下における感光層の帯電特性を向上させるといった利点が得られる。また最上層に感光体表面保護層を設けた耐久性の大きい三層構造の積層感光体であっても良い。
電荷発生層は、光照射により電荷を発生する電荷発生物質を主成分とし、必要に応じて公知の樹脂、可塑剤、および増感剤などを含有する。電荷発生物質としては、この分野で常用されるものを使用でき、たとえば、ペリレンイミドおよびペリレン酸無水物などのペリレン系顔料、キナクリドンおよびアントラキノンなどの多環キノン系顔料、金属または無金属フタロシアニン、およびハロゲン化無金属フタロシアニンなどのフタロシアニン系顔料、ならびにスクエアリウム色素、アズレニウム色素、チアピリリウム色素、カルバゾール骨格、スチリルスチルベン骨格、トリフェニルアミン骨格、ジベンゾチオフェン骨格、オキサジアゾール骨格、フルオレノン骨格、ビススチルベン骨格、ジスチリルオキサジアゾール骨格、およびジスチリルカルバゾール骨格などを有するアゾ顔料などが挙げられる。これらの中でも、無金属フタロシアニン顔料、オキソチタニルフタロシアニン顔料、フローレン環およびフルオレノン環の少なくとも一方を含有するビスアゾ顔料、芳香族アミンからなるビスアゾ顔料、ならびにトリスアゾ顔料などは高い電荷発生能を有し、高感度の感光層を得るのに適する。電荷発生物質は1種を単独で使用できまたは2種以上を併用できる。電荷発生物質の含有量は特に制限はないが、電荷発生層中の樹脂100重量部に対して好ましくは5〜500重量部、さらに好ましくは10〜200重量部である。
電荷発生層用の樹脂もこの分野で常用されるものを使用でき、たとえば、メラミン樹脂、エポキシ樹脂、シリコーン樹脂、ポリウレタン、アクリル樹脂、塩化ビニル−酢酸ビニル共重合樹脂、ポリカーボネート、フェノキシ樹脂、ポリビニルブチラール、ポリアリレート、ポリアミド、およびポリエステルなどが挙げられる。樹脂は1種を単独で使用できまたは必要に応じて2種以上を併用できる。
電荷発生層は、電荷発生物質および樹脂、ならびに必要に応じて可塑剤および増感剤などのそれぞれ適量を、これらの成分を溶解または分散し得る適切な有機溶媒に溶解または分散して電荷発生層塗液を調製し、この電荷発生層塗液を導電性基体表面に塗布し、乾燥することにより形成できる。このようにして得られる電荷発生層の膜厚は特に制限されないが、好ましくは0.05〜5μm、さらに好ましくは0.1〜2.5μmである。
電荷発生層の上に積層される電荷輸送層は、電荷発生物質から発生する電荷を受け入れて輸送する能力を有する電荷輸送物質および電荷輸送層用の樹脂を必須成分とし、必要に応じて公知の酸化防止剤、可塑剤、増感剤、および潤滑剤などを含有する。電荷輸送物質としてはこの分野で常用されるものを使用でき、たとえば、ポリ−N−ビニルカルバゾールおよびその誘導体、ポリ−γ−カルバゾリルエチルグルタメートおよびその誘導体、ピレン−ホルムアルデヒ縮合物およびその誘導体、ポリビニルピレン、ポリビニルフェナントレン、オキサゾール誘導体、オキサジアゾール誘導体、イミダゾール誘導体、9−(p−ジエチルアミノスチリル)アントラセン、1,1−ビス(4−ジベンジルアミノフェニル)プロパン、スチリルアントラセン、スチリルピラゾリン、ピラゾリン誘導体、フェニルヒドラゾン類、ヒドラゾン誘導体、トリフェニルアミン系化合物、テトラフェニルジアミン系化合物、トリフェニルメタン系化合物、スチルベン系化合物、3−メチル−2−ベンゾチアゾリン環を有するアジン化合物などの電子供与性物質、フルオレノン誘導体、ジベンゾチオフェン誘導体、インデノチオフェン誘導体、フェナンスレンキノン誘導体、インデノピリジン誘導体、チオキサントン誘導体、ベンゾ[c]シンノリン誘導体、フェナジンオキサイド誘導体、テトラシアノエチレン、テトラシアノキノジメタン、プロマニル、クロラニル、ならびにベンゾキノンなどの電子受容性物質などが挙げられる。電荷輸送物質は1種を単独で使用できまたは2種以上を併用できる。電荷輸送物質の含有量は特に制限されないが、好ましくは電荷輸送物質中の樹脂100重量部に対して10〜300重量部、さらに好ましくは30〜150重量部である。
電荷輸送層用の樹脂としては、この分野で常用され、かつ電荷輸送物質を均一に分散できるものを使用でき、たとえば、ポリカーボネート、ポリアリレート、ポリビニルブチラール、ポリアミド、ポリエステル、ポリケトン、エポキシ樹脂、ポリウレタン、ポリビニルケトン、ポリスチレン、ポリアクリルアミド、フェノール樹脂、フェノキシ樹脂、ポリスルホン樹脂、およびこれらの共重合樹脂などが挙げられる。これらの中でも、成膜性、得られる電荷輸送層の耐摩耗性、および電気特性などを考慮すると、ビスフェノールZをモノマー成分として含有するポリカーボネート(以後「ビスフェノールZ型ポリカーボネート」と称す)、およびビスフェノールZ型ポリカーボネートと他のポリカーボネートとの混合物などが好ましい。樹脂は1種を単独で使用できまたは2種以上を併用できる。
電荷輸送層には、電荷輸送物質および電荷輸送層用の樹脂と共に、酸化防止剤が含まれるのが好ましい。酸化防止剤としてもこの分野で常用されるものを使用でき、たとえば、ビタミンE、ハイドロキノン、ヒンダードアミン、ヒンダードフェノール、パラフェニレンジアミン、アリールアルカンおよびそれらの誘導体、有機硫黄化合物、ならびに有機燐化合物などが挙げられる。酸化防止剤は1種を単独で使用できまたは2種以上を併用できる。酸化防止剤の含有量は特に制限されないが、電荷輸送層を構成する成分の合計量の0.01〜10重量部、好ましくは0.05〜5重量部である。
電荷輸送層は、電荷輸送物質および樹脂、ならびに必要に応じて酸化防止剤、可塑剤および増感剤などをそれぞれ適量、これらの成分を溶解または分散し得る適切な有機溶媒に溶解または分散して電荷輸送層用塗液を調製し、この電荷輸送層用塗液を電荷発生層表面に塗布し、乾燥することにより形成できる。このようにして得られる電荷発生層の膜厚は特に制限されないが、好ましくは10〜50μm、さらに好ましくは15〜40μmである。なお、1つの層に、電荷発生物質と電荷輸送物質とが存在する感光層を形成することもできる。その場合、電荷発生物質および電荷輸送物質の種類、含有量、樹脂の種類、およびその他の添加剤などは、電荷発生層および電荷輸送層を別々に形成する場合と同様でよい。
本実施の形態では、前述のような、電荷発生物質および電荷輸送物質を用いる有機感光層を形成してなる感光体ドラムを用いるが、それに代えて、シリコーンなどを用いる無機感光層を形成してなる感光体ドラムを使用できる。
帯電部12は、感光体ドラム11を臨み、感光体ドラム11の長手方向に沿って感光体ドラム11表面から間隙を有して離隔するように配置され、感光体ドラム11表面を所定の極性および電位に帯電させる。帯電部12には、帯電ブラシ型帯電器、チャージャー型帯電器、鋸歯型帯電器、およびイオン発生装置などを使用できる。本実施の形態では、帯電部12は感光体ドラム11表面から離隔するように設けられるが、それに限定されない。たとえば、帯電部12として帯電ローラを用い、帯電ローラと感光体ドラムとが圧接するように帯電ローラを配置しても良く、帯電ブラシおよび磁気ブラシなどの接触帯電方式の帯電器を用いても良い。
露光ユニット13は、露光ユニット13から出射される各色情報の光が、帯電部12と現像部14との間を通過して感光体ドラム11の表面に照射されるように配置される。露光ユニット13は、画像情報を該ユニット内でb、c、m、yの各色情報の光に分岐し、帯電部12によって一様な電位に帯電された感光体ドラム11表面を各色情報の光で露光し、その表面に静電潜像を形成する。露光ユニット13には、たとえば、レーザ照射部および複数の反射ミラーを備えるレーザスキャニングユニットを使用できる。他にもLED(Light Emitting Diode)アレイ、および液晶シャッタと光源とを適宜組み合わせたユニットなどを用いてもよい。
現像部14(図2)は、現像槽20とトナーホッパ21とを含む。現像槽20は感光体ドラム11表面を臨むように配置され、感光体ドラム11の表面に形成された静電潜像にトナーを供給して現像し、可視像であるトナー像を形成する容器状部材である。現像槽20は、その内部空間にトナーを収容しかつ現像ローラ20a、供給ローラ20b、撹拌ローラ20cなどのローラ部材またはスクリュー部材を収容して回転自在に支持する。現像槽20の感光体ドラム11を臨む側面には開口部が形成され、この開口部を介して感光体ドラム11に対向する位置に現像ローラ20aが回転駆動可能に設けられる。
現像ローラ20aは、感光体ドラム11との圧接部または最近接部において感光体11表面の静電潜像にトナーを供給するローラ状部材である。トナーの供給に際しては、現像ローラ20a表面にトナーの帯電電位とは逆極性の電位が現像バイアス電圧(以下単に「現像バイアス」とする)として印加される。これによって、現像ローラ20a表面のトナーが静電潜像に円滑に供給される。さらに、現像バイアス値を変更することによって、静電潜像に供給されるトナー量(トナー付着量)を制御できる。
供給ローラ20bは現像ローラを臨んで回転駆動可能に設けられるローラ状部材であり、現像ローラ20a周辺にトナーを供給する。攪拌ローラ20cは供給ローラ20bを臨んで回転駆動可能に設けられるローラ状部材であり、トナーホッパ21から現像槽20内に新たに供給されるトナーを供給ローラ周辺に送給する。トナーホッパ21は、その鉛直方向下部に設けられるトナー補給口(図示せず)と、現像槽20の鉛直方向上部に設けられるトナー受入口(図示せず)とが連通するように設けられ、現像槽20のトナー消費状況に応じてトナーを補給する。またトナーホッパ21を用いず、各色トナーカートリッジから直接トナーを補給するよう構成しても構わない。
本発明では、現像部14に用いる現像剤中の、または二成分現像剤中のトナーは、体積平均粒子径が4〜7μmであり、このような体積平均粒子径が小さなトナーを用いて現像を行うので、感光体ドラム11上に高解像度のトナー像を形成することができる。本発明に用いるトナーについては、後に詳述する。
クリーニングユニット15は、記録媒体にトナー像を転写した後に、感光体ドラム11の表面に残留するトナーを除去し、感光体ドラム11の表面を清浄化する。クリーニングユニット15には、たとえば、クリーニングブレードなどの板状部材が用いられる。なお、本発明の画像形成装置100においては、感光体ドラム11として、主に有機感光体ドラムが用いられ、有機感光体ドラムの表面は樹脂成分を主体とするものであるので、帯電装置によるコロナ放電によって発生するオゾンの化学的作用によって表面の劣化が進行しやすい。ところが、劣化した表面部分はクリーニングユニット15よる擦過作用を受けて摩耗し、徐々にではあるが確実に除去される。したがって、オゾンなどによる表面の劣化の問題が実際上解消され、長期間にわたって、帯電動作による帯電電位を安定に維持することができる。本実施形態ではクリーニングユニット15を設けるが、それに限定されず、クリーニングユニット15を設けなくてもよい。
トナー像形成部2によれば、帯電部12によって均一な帯電状態にある感光体ドラム11の表面に、露光ユニット13から画像情報に応じた信号光を照射して静電潜像を形成し、これに現像部14からトナーを供給してトナー像を形成し、このトナー像を中間転写ベルト25に転写した後に、感光体ドラム11表面に残留するトナーをクリーニングユニット15で除去する。この一連のトナー像形成動作が繰り返し実行される。
転写部3は、感光体ドラム11の上方に配置され、中間転写ベルト25と、駆動ローラ26と、従動ローラ27と、中間転写ローラ28(b、c、m、y)と、転写ベルトクリーニングユニット29と、転写ローラ30とを含む。中間転写ベルト25は、駆動ローラ26と従動ローラ27とによって張架されてループ状の移動経路を形成する無端ベルト状部材であり、矢符Bの方向に回転駆動する。中間転写ベルト25が、感光体ドラム11に接しながら感光体ドラム11を通過する際、中間転写ベルト25を介して感光体ドラム11に対向配置される中間転写ローラ28から、感光体ドラム11表面のトナーの帯電極性とは逆極性の転写バイアスが印加され、感光体ドラム11の表面に形成されたトナー像が中間転写ベルト25上へ転写される。フルカラー画像の場合、各感光体ドラム11で形成される各色のトナー画像が、中間転写ベルト25上に順次重ねて転写されることによって、フルカラートナー像が形成される。
駆動ローラ26は図示しない駆動部によってその軸線回りに回転駆動可能に設けられ、その回転駆動によって、中間転写ベルト25を矢符B方向へ回転駆動させる。従動ローラ27は駆動ローラ26の回転駆動に従動回転可能に設けられ、中間転写ベルト25が弛まないように一定の張力を中間転写ベルト25に付与する。中間転写ローラ28は、中間転写ベルト25を介して感光体ドラム11に圧接し、かつ図示しない駆動部によってその軸線回りに回転駆動可能に設けられる。中間転写ローラ28は、前述のように転写バイアスを印加する図示しない電源が接続され、感光体ドラム11表面のトナー像を中間転写ベルト25に転写する機能を有する。
転写ベルトクリーニングユニット29は、中間転写ベルト25を介して従動ローラ27に対向し、中間転写ベルト25の外周面に接触するように設けられる。感光体ドラム11との接触によって中間転写ベルト25に付着するトナーが転写ローラ30に付着すると、記録媒体の裏面を汚染する原因となるので、転写ベルトクリーニングユニット29が中間転写ベルト25表面のトナーを除去し回収する。転写ローラ30は、中間転写ベルト25を介して駆動ローラ26に圧接し、図示しない駆動部によって軸線回りに回転駆動可能に設けられる。転写ローラ30と駆動ローラ26との圧接部(転写ニップ部)において、中間転写ベルト25に担持されて搬送されて来るトナー像が、後述する記録媒体供給部5から送給される記録媒体に転写される。トナー像を担持する記録媒体は、定着部4に送給される。
転写部3によれば、感光体ドラム11と中間転写ローラ28との圧接部において感光体ドラム11から中間転写ベルト25に転写されるトナー像が、中間転写ベルト25の矢符B方向への回転駆動によって転写ニップ部に搬送され、そこで記録媒体に転写される。記録媒体において、トナー像が転写される面が画像形成面である。
記録媒体供給部5は、自動給紙トレイ35と、ピックアップローラ36と、搬送ローラ37と、レジストローラ38、手差給紙トレイ39を含む。自動給紙トレイ35は画像形成装置の鉛直方向下部に設けられ、記録媒体を貯留する容器状部材である。記録媒体としては、前述した体積平均粒子径が4〜7μmの小粒径のトナーが良好に定着する記録媒体を用いる。
本発明では、そのような小粒径のトナーが良好に定着する記録媒体として、JIS B0601で規定される中心線平均粗さRaが0.2〜3.9μmである画像形成面を有する記録媒体を用いる。ここで中心線平均粗さRaとは、表面を表す粗さ曲線からその中心線の方向に測定長さLの部分を抜取り、この抜取り部分の中心線と粗さ曲線との偏差の絶対値を算術平均した値であり、以下の数式で定義される。また、中心線平均粗さRaは、公知の測定手段によって測定が可能であり、具体的には株式会社東京精密製surfcom575A−3D等の表面粗度計を用いて測定可能である。
Figure 2010145548
(Lは測定長さ、F(x)は粗さ曲線を表し、Ra、L、およびF(x)の単位はμmである)
中心線平均粗さRaが0.2μm未満である記録媒体であると、記録媒体表面の平滑性が高く、紙を折り曲げると記録画像が剥がれてしまう場合がある。また、中心線平均粗さRaが3.9μmを超える記録媒体であると、記録媒体表面が粗くなって、記録媒体の部分ごとに、小粒径のトナー粒子の一部が記録媒体内部に落込み、内部に落込んだトナー粒子は加熱されにくく、定着性が悪くなるので、モトルが生じてしまう。よって本発明では、中心線平均粗さRaが0.2〜3.9μmである記録媒体に対して、体積平均粒子径が4〜7μmのトナーを定着させることで解像度が高く、モトルの少ない画像形成を可能にする。
中心線平均粗さRaが0.2〜3.0μmの記録媒体は、たとえば、コート紙タイプの、ハガキ、封筒、カレンダー用紙、カタログ用紙、包装材料、フォーム印刷用紙、ラベル印刷用紙、およびエンボス紙等の印刷用紙である。また、中心線平均粗さRaが、2.5〜3.9μmの記録媒体は、たとえば、上質紙タイプの、ハガキ、封筒、カレンダー用紙、カタログ用紙、包装材料、ラベル印刷用紙、およびエンボス紙等の印刷用紙である。ここで上質紙とは通常の印刷用紙で紙の繊維が表面に露出しているものをいう。このような中心線平均粗さRaが0.2〜3.9μmの印刷用紙と前述した小粒径のトナーとを用いれば、平版または凸版印刷等の従来の印刷に近い印刷品質を有する簡易印刷が可能になる。
さらに本実施形態では、坪量が40〜200g/mの記録媒体を用いる。ここで坪量とは1平方メートル当たりの記録媒体の重量であって、記録媒体の厚さと密度によって決定される量である。坪量が40g/m未満では、紙表面が粗くなる場合が多いので、モトルが生じやすい。よりモトルの少ない画像を得るには坪量が70g/m以上、さらに好ましくは100g/m以上である。また、坪量が40g/m未満では、記録媒体が薄くコシがないので、搬送が難しく、坪量が200g/mを超えると、記録媒体が厚く、転写の際に記録媒体に印加される電界の影響が弱くなって転写ムラが生じる。
また、トナーの体積平均粒子径が6μm以下の場合には、記録媒体として古紙の配合率が40%以上の記録媒体を用いることによって、同様にモトルを抑えることができ、画像の均一性を高めることができるので、形成画像の発色性を向上させることができる。
上記の記録媒体は、ピックアップローラ36によって、1枚ずつ取り出され、用紙搬送路S1に送給される。搬送ローラ37は互いに圧接するように設けられる一対のローラ部材であり、記録媒体をレジストローラ38に向けて搬送する。レジストローラ38は互いに圧接するように設けられる一対のローラ部材であり、搬送ローラ37から送給される記録媒体を、中間転写ベルト25に担持されるトナー像が転写ニップ部に搬送されるのに同期して、転写ニップ部に送給する。
手差給紙トレイ39は、手動動作によって上記の記録媒体を画像形成装置内に取り込む装置であり、手差給紙トレイ39から取り込まれる記録媒体は、搬送ローラ37によって用紙搬送路S2内を通過し、レジストローラ38に送給される。記録媒体供給部5によれば、自動給紙トレイ35または手差給紙トレイ39から1枚ずつ供給される記録媒体を、中間転写ベルト25に担持されるトナー像が転写ニップ部に搬送されるのに同期して、転写ニップ部に送給する。
定着部4は、転写部3よりも記録媒体の搬送方向下流側に設けられ、定着ローラ31と加圧ローラ32とを含む。定着ローラ31は図示しない駆動部によって回転駆動可能に設けられ、記録媒体に担持される未定着トナー像を構成するトナーを加熱して溶融させ、記録媒体に定着させる。定着ローラ31の内部には図示しない加熱部が設けられる。加熱部は、定着ローラ31表面が所定の温度(加熱温度)になるように定着ローラ31を加熱する。加熱部には、たとえば、ヒータおよびハロゲンランプなどを使用できる。加熱部は、後述する定着条件制御手段によって制御される。定着条件制御手段による加熱温度の制御については、後に詳述する。
定着ローラ31表面近傍には温度検知センサが設けられ、定着ローラ31の表面温度を検知する。温度検知センサによる検知結果は、後記する制御部の記憶部に書き込まれる。加圧ローラ32は定着ローラ31に圧接するように設けられ、加圧ローラ32の回転駆動に従動回転可能に支持される。加圧ローラ32は、定着ローラ31によってトナーが溶融して記録媒体に定着する際に、トナーと記録媒体とを押圧することによって、トナー像の記録媒体への定着を補助する。定着ローラ31と加圧ローラ32との圧接部が定着ニップ部である。
本実施形態では、定着の際にこの定着ニップ部にかかる定着圧力は、0.5〜3.0kgf/cmである。定着圧力が0.5kgf/cm未満であると、定着圧力が弱く、一部のトナーが定着されないので、モトルが発生しやすい。定着圧力が3.0kgf/cmを超えると、圧力が高すぎることによって、記録用紙の繊維状態が変化し、たとえムラなく記録媒体表面にトナーが転写されていても、モトルが生じてしまう場合がある。
定着部4によれば、転写部3においてトナー像が転写された記録媒体が、定着ローラ31と加圧ローラ32とによって挟持され、定着ニップ部を通過する際に、トナー像が加熱下に記録媒体に押圧されることによって、トナー像が記録媒体に定着され、画像が形成される。
排出部6は、搬送ローラ37と、排出ローラ40と、排出トレイ41とを含む。搬送ローラ37は、用紙搬送方向において定着ニップ部よりも下流側に設けられ、定着部4によって画像が定着された記録媒体を排出ローラ40に向けて搬送する。排出ローラ40は、画像が定着された記録媒体を、画像形成装置の鉛直方向上面に設けられる排出トレイ41に排出する。排出トレイ41は、画像が定着された記録媒体を貯留する。
画像形成装置100は、図示しない制御ユニットを含む。制御ユニットは、たとえば、画像形成装置100の内部空間における上部に設けられ、記憶部と演算部と制御部とを含む。制御ユニット内の記憶部には、画像形成装置100の上面に配置される図示しない操作パネルを介する各種設定値、画像形成装置100内部の各所に配置される図示しないセンサなどからの検知結果、および外部機器からの画像情報などが入力される。また、各種手段を実行するプログラムが書き込まれる。各種手段とは、たとえば、記録媒体判定手段、付着量制御手段、および定着条件制御手段などである。記憶部には、この分野で常用されるものを使用でき、たとえば、リードオンリィメモリ(ROM)、ランダムアクセスメモリ(RAM)、およびハードディスクドライブ(HDD)などが挙げられる。外部機器には、画像情報の形成または取得が可能であり、かつ画像形成装置100に電気的に接続可能な電気・電子機器を使用でき、たとえば、コンピュータ、デジタルカメラ、テレビ、ビデオレコーダ、DVD(Digital Versatile Disc)レコーダ、HDDVD(High
Definition Digital Versatile Disc)、ブルーレイディスクレコーダ、ファクシミリ装置、および携帯端末装置などが挙げられる。演算部は、記憶部に書き込まれる各種データ(画像形成命令、検知結果、および画像情報など)および各種手段実行のプログラムを取り出し、各種判定を行う。制御部は、演算部の判定結果に応じて該当装置に制御信号を送付し、動作制御を行う。制御部および演算部は中央処理装置(CPU、Central
Processing Unit)を備えるマイクロコンピュータおよびマイクロプロセッサなどによって実現される処理回路を含む。制御ユニットは、前述の処理回路とともに主電源を含み、電源は制御ユニットだけでなく、画像形成装置100内部における各装置にも電力を供給する。
このような本実施形態の画像形成装置100を用いることによって、解像度が高く、濃度ムラの少ない画像を形成することができる。
[トナー]
本発明には、乾式法および湿式法のどちらで製造されたトナーでも用いることができる。まず、乾式法によるトナーの製造方法について説明する。
<トナー成分>
(結着樹脂)
結着樹脂としては、有機溶媒に可溶なものであれば特に限定されることはなく、黒トナーまたはカラートナー用の公知の結着樹脂を使用することができる。
たとえば、ポリエステル系樹脂、ポリスチレン、スチレン−アクリル酸エステル共重合樹脂などのスチレン系樹脂、ポリメチルメタクリレートなどのアクリル系樹脂、ポリエチレンなどのポリオレフィン系樹脂、ポリウレタン、およびエポキシ樹脂などが挙げられる。また、原料モノマー混合物に離型剤を混合し、重合反応を行って得られる樹脂を用いても良い。結着樹脂は1種を単独で使用でき、また、2種以上を併用することもできる。これらの有機溶媒に可溶な結着樹脂は、架橋しておらず、樹脂が硬くなりすぎることがないので、製造されるトナーは適度な弾性を有し、記録媒体への定着が容易になる。
(着色剤)
着色剤はこの分野で常用されるものを使用でき、たとえば、イエロートナー用着色剤、マゼンタトナー用着色剤、シアントナー用着色剤、およびブラックトナー用着色剤などが使用できる。
イエロートナー用着色剤としては、たとえば、カラーインデックスによって分類されるC.I.ピグメントイエロー1、C.I.ピグメントイエロー5、C.I.ピグメントイエロー12、C.I.ピグメントイエロー15、およびC.I.ピグメントイエロー17などのアゾ系顔料、黄色酸化鉄および黄土などの無機系顔料、C.I.アシッドイエロー1などのニトロ系染料、C.I.ソルベントイエロー2、C.I.ソルベントイエロー6、C.I.ソルベントイエロー14、C.I.ソルベントイエロー15、C.I.ソルベントイエロー19、ならびにC.I.ソルベントイエロー21などの油溶性染料などが使用できる。
マゼンタトナー用着色剤としては、たとえば、カラーインデックスによって分類されるC.I.ピグメントレッド49、C.I.ピグメントレッド57、C.I.ピグメントレッド81、C.I.ピグメントレッド122、C.I.ソルベントレッド19、C.I.ソルベントレッド49、C.I.ソルベントレッド52、C.I.ベーシックレッド10、およびC.I.ディスパーズレッド15などが使用できる。
シアントナー用着色剤としては、たとえば、カラーインデックスによって分類されるC.I.ピグメントブルー15、C.I.ピグメントブルー16、C.I.ソルベントブルー55、C.I.ソルベントブルー70、C.I.ダイレクトブルー 25、およびC.I.ダイレクトブルー86などが使用できる。
ブラックトナー用着色剤としては、たとえば、チャンネルブラック、ローラーブラック、ディスクブラック、ガスファーネスブラック、オイルファーネスブラック、サーマルブラック、およびアセチレンブラックなどのカーボンブラックが使用できる。これら各種カーボンブラックの中から、得ようとするトナーの設計特性に応じて、適切なカーボンブラックを適宜選択できる。
また、これらの顔料以外にも、紅色顔料および緑色顔料などを使用できる。着色剤は1種を単独で使用でき、また、2種以上を併用することもできる。また、同色系のものを2種以上用いることも、異色系のものをそれぞれ1種または2種以上用いることもできる。
これらの着色剤はマスターバッチの形態で使用される。着色剤のマスターバッチは、一般的なマスターバッチと同様にして製造できる。たとえば、合成樹脂の溶融物と着色剤とを混練して着色剤を合成樹脂中に均一に分散させた後、得られる溶融混練物を造粒することによって製造できる。合成樹脂には、上記結着樹脂と同種のものかまたは上記結着樹脂に対して高い相溶性を有するものが使用できる。このとき、合成樹脂と着色剤との使用割合は特に制限されないが、好ましくは合成樹脂100重量部に対して30〜100重量部である。また、マスターバッチは、粒径2〜3mm程度に造粒される。
また、着色剤の使用量は特に制限されないが、好ましくは結着樹脂100重量部に対して5〜20重量部である。これはマスターバッチ量ではなく、マスターバッチに含まれる着色剤そのものの量である。着色剤をこの範囲で用いることによって、トナーの各種物性を損なうことなく、高い画像濃度を有し、画質品位が非常に良好な画像を形成することができる。
(電荷制御剤)
電荷制御剤はこの分野で常用される正電荷制御用および負電荷制御用のものを使用できる。正電荷制御用の電荷制御剤としては、たとえば、ニグロシン染料、塩基性染料、四級アンモニウム塩、四級ホスホニウム塩、アミノピリン、ピリミジン化合物、多核ポリアミノ化合物、アミノシラン、ニグロシン染料およびその誘導体、トリフェニルメタン誘導体、グアニジン塩、ならびにアミジン塩などが挙げられる。負電荷制御用の電荷制御剤としては、オイルブラックおよびスピロンブラックなどの油溶性染料、含金属アゾ化合物、アゾ錯体染料、ナフテン酸金属塩、サリチル酸およびその誘導体の金属錯体および金属塩(金属はクロム、亜鉛、およびジルコニウムなど)、ホウ素化合物、脂肪酸石鹸、長鎖アルキルカルボン酸塩、ならびに樹脂酸石鹸などが挙げられる。電荷制御剤は1種を単独で使用でき、また、必要に応じて2種以上を併用することもできる。電荷制御剤の使用量は特に制限されず広い範囲から適宜選択できるが、好ましくは、結着樹脂100重量部に対して0.5〜3重量部である。
(離型剤)
離型剤はこの分野で常用されるものを使用でき、たとえば、パラフィンワックスおよびその誘導体、マイクロクリスタリンワックスおよびその誘導体などの石油系ワックス、フィッシャートロプシュワックスおよびその誘導体、ポリオレフィンワックスおよびその誘導体、低分子量ポリプロピリンワックスおよびその誘導体、ポリオレフィン系重合体ワックス(低分子量ポリエチレンワックスなど)およびその誘導体などの炭化水素系合成ワックス、カルナバワックスおよびその誘導体、ライスワックスおよびその誘導体、キャンデリラワックスおよびその誘導体、木蝋などの植物系ワックス、蜜蝋および鯨蝋などの動物系ワックス、脂肪酸アミド、フェノール脂肪酸エステルなどの油脂系合成ワックス、長鎖カルボン酸およびその誘導体、長鎖アルコールおよびその誘導体、シリコーン系重合体、ならびに高級脂肪酸などが挙げられる。なお、誘導体には、酸化物、ビニル系モノマーとワックスとのブロック共重合物、およびビニル系モノマーとワックスとのグラフト変性物などが含まれる。ワックスの使用量は特に制限されず広い範囲から適宜選択できるが、好ましくは、結着樹脂100重量部に対して0.2〜20重量部である。
(流動性改良剤)
流動性改良剤は外添剤として用いられ、たとえば、トナー粒子表面に付着させることによってその効果が発揮される。流動性改良剤はこの分野で常用されるものを使用でき、たとえば、酸化ケイ素、酸化チタン、炭化ケイ素、酸化アルミニウム、およびチタン酸バリウムなどが挙げられる。流動性改良剤は1種を単独で使用でき、また、2種以上を併用することもできる。流動性改良剤の使用量は特に制限されないが、好ましくは、トナー粒子100重量部に対して0.1〜3.0重量部である。
<製造方法>
上記のトナー成分を用いてトナーを製造する。上記のトナー成分のうち、外添剤を除いたものを、ヘンシェルミキサ、スーパーミキサ、メカノミル、およびQ型ミキサなどの混合機によって混合する。混合によって得られた原料混合物を、2軸混練機、1軸混練機、および連続式2本ロール型混練機などの混練機によって70〜180℃程度の温度にて溶融混練する。得られたトナー原料の溶融混練物を冷却固化する。その後、粉砕機を用いて粉砕し、分級機を用いて取出し、外添剤を付着させトナーとする。
本実施形態では、トナーの形状係数SF−2は100〜130であり、体積平均粒子径は4〜7μm、変動係数CVは25%以下である。トナーの形状係数SF−2が100〜130であるので、トナー粒子の帯電不良が生じにくく、記録媒体への転写の際に、帯電不良による濃度ムラが生じることが少なくなる。また、体積平均粒子径が4〜7μmである小粒径のトナーによって高解像度の画像形成が可能であり、変動係数が25%以下であるので、大粒径のトナーの割合も少ない。
ここで、トナーの形状係数SF−2とは、トナー粒子の形状係数の算術平均値である。トナー粒子の形状係数とは、トナー粒子のある面への投影像が真円に近いか否かを表す数値であり、以下の式で与えられる。形状係数が100に近づくほど投影像は真円に近づき、形状係数が100であれば真円である。
形状係数=<(PERI)2/AREA>×(100/4π)
(PERIは投影像の周囲長、AREAは投影像の面積、πは円周率である)
また、トナーの体積平均粒子径とは、トナー粒子の粒子径の、体積で重みを付けた平均値である。
また、変動係数CVとは、標準偏差(トナー粒子の粒子径とトナーの体積平均粒子径との差の2乗平均の正の平方根)と体積平均粒子径との比率であり、以下の式であたえられる。変動係数CVが0%に近づくほど、トナー粒子にばらつきが少ない。
変動係数CV(%)=(標準偏差/体積平均粒子径)×100
次に、湿式法によるトナーの製造方法について説明する。
<トナー成分>
(分散型結着樹脂粒子水分散体)
分散型結着樹脂は、有機溶媒に可溶であって、水中で分散状態になる樹脂(粒子化可能な樹脂)であれば特に限定されず、公知のものを使用できる。たとえばポリエステル樹脂、ビニル系共重合体樹脂、ポリウレタン樹脂、およびエポキシ樹脂などが使用できる。これらの樹脂を単独で使用でき、また、複数選択して使用することもできる。これらの有機溶媒に可溶な結着樹脂は、架橋しておらず樹脂が硬くなりすぎることがないので、製造されるトナーは適度な弾性を有し、記録媒体への定着が容易になる。
また、これらの樹脂の中でも、製造されるトナー粒子の粉体流動性、低温定着性および二次色再現性などを向上させることを考慮すると、ポリエステル樹脂およびビニル系共重合体樹脂が好ましく、特にポリエステル樹脂を主成分とすることが好ましく、分散型結着樹脂として用いる樹脂100重量部に対して、ポリエステル樹脂の割合は50重量部以上であることが好ましく、80重量部以上がさらに好ましく、90重量部以上が特に好ましい。以下では、ポリエステル樹脂およびビニル系共重合体樹脂について説明する。
分散型結着樹脂として用いるポリエステル樹脂は、酸とアルコールとを重縮合して得られ、酸に主として多価カルボン酸類を用い、アルコールに主として多価アルコ−ル類を用いて重縮合したポリエステル樹脂が好ましい。
上記多価カルボン酸類としては、たとえば、テレフタル酸、イソフタル酸、オルソフタル酸、1,5−ナフタレンジカルボン酸、2,6−ナフタレンジカルボン酸、アントラセンジプロピオン酸、アントラセンジカルボン酸、ジフェン酸、スルホテレフタル酸、5−スルホイソフタル酸、4−スルホフタル酸、4−スルホナフタレン−2,7ジカルボン酸、5(4−スルホフェノキシ)イソフタル酸などの芳香族ジカルボン酸、p−オキシ安息香酸およびp−(ヒドロキシエトキシ)安息香酸などの芳香族オキシカルボン酸、コハク酸、アジピン酸、アゼライン酸、セバシン酸およびドデカンジカルボン酸などの脂肪族ジカルボン酸、フマル酸、マレイン酸、イタコン酸、メサコン酸およびシトラコン酸などの脂肪族不飽和多価カルボン酸、フェニレンジアクリル酸などの芳香族不飽和多価カルボン酸、ヘキサヒドロフタル酸、テトラヒドロフタル酸などの脂環族ジカルボン酸、トリメリット酸、トリメシン酸、ならびにピロメリット酸などの三価以上の多価カルボン酸が挙げられ、これらを単独または複数選択的に用いることができる。
重縮合に用いる酸全体の中で、多価カルボン酸類の含有量は70mol%以上、好ましくは80mol%以上、特に好ましくは90mol%以上であり、多価カルボン酸類としては芳香族多価カルボン酸が好ましい。さらに、芳香族多価カルボン酸としては、テレフタル酸とイソフタル酸とが含まれていることが好ましい。テレフタル酸の含有量は、40〜95mol%であることが好ましく、より好ましくは60〜95mol%であり、特に好ましくは、70〜90mol%である。また、イソフタル酸の含有量は、5〜60mol%であることが好ましい。さらに、テレフタル酸およびイソフタル酸の含有量の総和が、80mol%以上が好ましく、90mol%以上がさらに好ましい。また、本発明において、多価カルボン酸類として、上記のトリメリット酸、トリメシン酸およびピロメリット酸などの三価以上の多価カルボン酸が単独または複数選択的に含まれていることが特に好ましく、その含有量は、0.5〜8mol%であることが好ましく、0.5〜6mol%が特に好ましい。
重縮合に用いる酸には、モノカルボン酸類を含有していてもよい。モノカルボン酸類としては、芳香族モノカルボン酸が好ましい。芳香族モノカルボン酸としては、たとえば安息香酸、クロロ安息香酸、ブロモ安息香酸、パラヒドロキシ安息香酸、ナフタレンカルボン酸、アントラセンカルボン酸、4−メチル安息香酸、3−メチル安息香酸、サリチル酸、チオサリチル酸、フェニル酢酸、これらの低級アルキルエステル、スルホ安息香酸モノアンモニウム塩、スルホ安息香酸モノナトリウム塩、シクロヘキシルアミノカルボニル安息香酸、n−ドデシルアミノカルボニル安息香酸、ターシャルブチル安息香酸およびターシャルブチルナフタレンカルボン酸などを挙げることができる。重縮合に用いる酸にモノカルボン酸類が含まれる場合、その含有量は、酸成中2〜25mol%が好ましく、より好ましくは5〜20mol%である。
上記多価アルコール類としては、たとえば、脂肪族多価アルコール、脂環族多価アルコールおよび芳香族多価アルコールなどを挙げることができる。脂肪族多価アルコ−ルとしては、たとえば、エチレングリコール、プロピレングリコール、1,3−プロパンジオール、2,3−ブタンジオール、1,4−ブタンジオール、1,5−ペンタンジオール、1,6−ヘキサンジオール、ネオペンチルグリコール、ジエチレングリコール、ジプロピレングリコール、2,2,4−トリメチル−1,3−ペンタンジオール、ポリエチレングリコール、ポリプロピレングリコールおよびポリテトラメチレングリコールなどの脂肪族ジオール、トリメチロールエタン、トリメチロールプロパン、グリセリンおよびペンタエルスリトールなどのトリオール、ならびにテトラオールなどを挙げることができる。脂環族多価アルコールとしては、たとえば、1,4−シクロヘキサンジオール、1,4−シクロヘキサンジメタノール、スピログリコール、水素化ビスフェノールA、水素化ビスフェノールAのエチレンオキサイド付加物およびプロピレンオキサイド付加物、トリシクロデカンジオール、ならびにトリシクロデカンジメタノールなどを挙げることができる。芳香族多価アルコールとしては、たとえば、パラキシレングリコール、メタキシレングリコール、オルトキシレングリコール、1,4−フェニレングリコール、1,4−フェニレングリコールのエチレンオキサイド付加物、ビスフェノールA、ならびにビスフェノールAのエチレンオキサイド付加物およびプロピレンオキサイド付加物などを挙げることができる。さらに、ポリエステルポリオールとしては、たとえば、ε−カプロラクトンなどのラクトンを開環重合して得られるラクトン系ポリエステルポリオールなどを挙げることができる。
重縮合に用いるアルコール全体の中で、多価アルコール類の含有量は50mol%以上、好ましくは70mol%以上、さらには好ましくは80mol%以上、特に好ましくは90mol%以上であり、多価アルコール類としては脂肪族ジオールおよび脂環族ジオールの少なくとも一方が含まれることが好ましい。脂肪族ジオールとしてはエチレングリコール、プロピレングリコール、および2,3−ブタンジオールなどが好ましい。それらの中でも、エチレングリコールおよびプロピレングリコールであることが好ましい。脂環族ジオール類としてはトリシクロデカンジメタノール、シクロヘキサンジオール、およびシクロヘキサンジメタノールなどが好ましい。特に、重縮合に用いるアルコール全体の中で、エチレングリコールおよびプロピレングリコールの少なくとも一方が50mol%以上、好ましくは60mol%以上、さらに好ましくは70mol%以上で含有することが好ましい。
また、重縮合に用いるアルコールには、モノアルコール酸類を含有していてもよい。モノアルコール類としては、脂肪族アルコール、芳香族アルコールおよび脂環族アルコールなどを挙げることができる。
分散型結着樹脂として用いるポリエステル樹脂のガラス転移点は、40℃以上であることが好ましく、50〜80℃がより好ましい。ガラス転移点が40℃より低い場合には、ポリエステル樹脂を用いて製造されたトナーは、ブロッキングする傾向がみられ、保存安定性に問題を生ずる。また、ガラス転移温度が80℃より高いと、オフセットしやすく、特にカラーのように色を重ねて印刷する場合はその問題はより顕著である。ポリエステル樹脂の軟化点は、80〜150℃であることが好ましい。ポリエステル樹脂の軟化点が80℃より低い場合には、ポリエステル樹脂を用いて製造されたトナーは、ブロッキングを起こし、特に長期間の保存安定性において問題が生じる。軟化点が150℃より高い場合には、ポリエステル樹脂を用いて製造されたトナーは、定着性に問題をきたすと共に、定着ローラ31を高温に加熱する必要が生じるために、定着ローラ31の材質および転写される記録媒体の材質が制限される。
分散型結着樹脂として用いるポリエステル樹脂は、上述したように原材料である2価以上の多価カルボン酸と2価以上の多価アルコールとを主に重縮合して得られるものであるが、その目的は、ポリエステル樹脂の分子量を大きくすることによって製造されるトナーの保存性を高めるためであり、樹脂をゲル化させることが目的ではない。樹脂のゲル化は、重合装置からの樹脂の取り出しを困難とし、生産性を著しく低下させる。分散型結着樹脂として用いるポリエステル樹脂は、実質的にはゲル化が無く、より具体的には、ポリエステル樹脂100重量部に対してクロロホルム不溶分が0.5重量部以下、好ましくは0.25重量部以下であり、かつ、ポリエステル樹脂の酸価が20mgKOH/g以下、好ましくは15mgKOH/g以下である。
分散型結着樹脂として用いるビニル系共重合体樹脂は、炭素二重結合を含有する重合性単量体を含む合成樹脂である。このような重合性単量体としては公知のものを使用でき、たとえばスチレン、ビニルトルエン、2−メチルスチレン、tert−ブチルスチレンおよびクロルスチレンなどのスチレン系単量体(芳香族ビニル単量体)、アクリル酸メチル、アクリル酸エチル、アクリル酸イソプロピル、アクリル酸n−ブチル、アクリル酸イソブチル、アクリル酸n−アミル、アクリル酸イソアミル、アクリル酸n−ヘキシル、アクリル酸2−エチルヘキシル、アクリル酸n−オクチル、アクリル酸デシルおよびアクリル酸ドデシルなどのアクリル酸エステル系単量体、メタクリル酸メチル、メタクリル酸プロピル、メタクリル酸n−ブチル、メタクリル酸イソブチル、メタクリル酸n−アミル、メタクリル酸n−ヘキシル、メタクリル酸2−エチルヘキシル、メタクリル酸n−オクチル、メタクリル酸デシルおよびメタクリル酸ドデシルなどのメタクリル酸エステル系単量体、アクリル酸ヒドロキシエチルおよびメタクリル酸ヒドロキシプロピルなどのヒドロキシル基(水酸基)含有(メタ)アクリル酸エステル系単量体、N−メチロール(メタ)アクリルアミドおよびN−ブトキシメチル(メタ)アクリルアミドなどのN−置換(メタ)アクリルアミド系単量体、(メタ)アクリロニトリルなどのアクリロニトリル系単量体、ならびに3官能ビニル系単量体などが挙げられる。重合性単量体は1種を単独で使用することもでき、また、2種以上を併用して使用することもできる。ビニル系共重合体樹脂は、たとえば、重合性単量体の1種または2種以上を、ラジカル開始剤の存在下で重合させることによって製造できる。このようなビニル系共重合体樹脂の中でも、2種以上の重合性単量体を含み、さらに3官能ビニル系単量体を含むものであることが好ましい。
上記ビニル系共重合体樹脂の軟化点は、70〜150℃であることが好ましく、より好ましくは70〜130℃であり、さらに好ましくは90〜120℃である。軟化点が70℃を下回ると、ガラス転移温度が50℃未満になり、製造されたトナー粒子がコピー機およびプリンタなどの内部で熱凝集を起こし、印刷不良および装置の故障などを誘発する可能性がある。さらに、記録媒体の定着ローラ31への巻き付き、およびオフセットなどが起こり易くなる。一方、軟化点が150℃を超えると、製造されたトナーは定着性に問題をきたすと共に、定着ローラ31を高温に加熱する必要が生じるために、定着ローラ31の材質および記録媒体の材質が制限される。
分散型結着樹脂は、上記ポリエステル樹脂およびビニル系共重合体樹脂の中から1種を単独で使用してもよし、2種以上を併用して使用してもよい。また、上記ポリエステル樹脂およびビニル系共重合体樹脂以外にも、ポリウレタン樹脂やエポキシ樹脂なども使用することができる。また、同一種の樹脂であっても、分子量および単量体組成の少なくとも一方が異なる樹脂を複数種併用して使用してもよい。さらに、分散型結着樹脂100重量部に対して、50重量部以上を、ポリエステル樹脂、ビニル系共重合体樹脂、ポリウレタン樹脂およびエポキシ樹脂の中から選んだ1種以上の樹脂とし、残りの50重量部未満を、上記樹脂以外の、加熱によって溶融可能な合成樹脂の1種以上の樹脂とし、混合させた樹脂混合物を使用してもよい。この場合、混合物に使用される各樹脂は相溶性を有し、加熱によって溶融可能な合成樹脂であることが好ましい。
このように、分散型結着樹脂には様々な樹脂を用いることができるが、軟化点が80℃以上150℃以下であるポリエステル樹脂および軟化点が70℃以上150℃以下であるビニル系共重合体樹脂から選ばれる1種または2種からなる樹脂が好ましい。また、ポリエステル樹脂およびビニル系共重合体樹脂の分子量は、広い範囲から選択できるが、製造されるトナーがカラートナーとして使用されること、OHP(オーバヘッドプロジェクタ)シートなどへの定着性を向上させること、およびオフセット領域が高温側にシフトすることによってトナーの記録媒体への定着不良が起こるのを防止することなどを考慮すると、2000〜200000であることが好ましく、5000〜20000であることがより好ましい。
本発明では、トナーの製造に用いる分散型結着樹脂は、主鎖に親水基を含むことが好ましく、親水基としてはイオン性基が好ましく、特にアニオン性基が好ましい。具体的に親水基としては、カルボキシル基、スルホン酸基、リン酸基、ホスホン酸基、ホスフィン酸基、ならびに上記各基のアンモニウム塩および金属塩等が挙げられるが、これらの中でもカルボン酸アルカリ金属塩、カルボン酸アンモニウム塩、スルホン酸アルカリ金属塩、およびスルホン酸アンモニウム塩等がより好ましい。たとえば、上記ポリエステル樹脂にカルボン酸アルカリ金属塩およびカルボン酸アンモニウム塩を導入する場合には、上記ポリエステル樹脂を形成する際の重合の終期に上述のトリメリット酸などの多価カルボン酸を系内に導入することによって、ポリマー末端にカルボキシル基を付加し、さらにこれをアンモニアおよび水酸化ナトリウムなどのカウンターカチオンによって中和することによりカルボン酸塩に交換する方法を用いて水に分散することができる。これらのカウンターカチオンは、一価のカチオンであることが好ましい。
次に、分散型結着樹脂から所定の平均粒子径および粒子径分布を有する粒子を含む分散型結着樹脂粒子水分散体を得る方法について説明する。たとえば、上記イオン性基を含有するポリエステル樹脂の水分散体は、公知の方法によって製造することができる。
公知の方法の1つは、イオン性基含有ポリエステル樹脂と水溶性有機化合物とを予めそれぞれ50〜200℃に調温し、それらを混合し、その混合物に水を加えることによって製造する方法である。上記水溶性有機化合物としてはエタノール、ブタノール、イソプロパノール、エチルセロソルブ、ブチルセロソルブ、ジオキサン、テトラヒドロフラン、アセトン、およびメチルエチルケトンなどの溶媒を使用することができる。
また、他の方法としては、イオン性基含有ポリエステル樹脂と上記水溶性有機化合物との混合物をアルカリ性の水に加え、さらに40〜120℃に加熱して撹拌することにより製造する方法がある。
さらに他の方法としては、水と上記水溶性有機化合物との混合溶液中にイオン性基含有ポリエステル樹脂を添加し、さらに40〜100℃に加熱して撹拌することにより製造する方法がある。
さらに他の方法としては、既知水溶性分散剤を用いて水中に分散させる方法がある。既知水溶性分散剤には、たとえば、アニオン性のアクリル系樹脂および界面活性剤等が挙げられる。より具体的には、分散型結着樹脂を上記分散剤で湿潤し、その後、所定量の固形分濃度まで調整し、ビーズミル等の分散機を用いて分散する方法である。
このような方法によって得られる分散型結着樹脂粒子水分散体中の分散型結着樹脂粒子の体積平均粒子径は、0.2μm以下、好ましくは0.01〜0.15μm、より好ましくは0.01〜0.1μmである。なお、分散型結着樹脂粒子の平均粒子径が0.3μmより大きいと、凝集粒子が粗大化し、所望とするトナー粒子径に粒子化できなくなる。
(結晶性ポリエステル樹脂粒子水分散体)
本発明に用いるトナーには、結晶性ポリエステル樹脂が含まれていることが好ましい。トナー中に結晶性ポリエステル樹脂が含まれると、加熱によってトナーが軟化しやすくなり、より少ない定着圧力での定着が可能になるからである。ここで、結晶性とは示差走査型熱量計(DSC)を用いて、−100℃〜300℃まで20℃/minで昇温し、次に−100℃まで50℃/minで降温し、続いて−100℃〜300℃まで20℃/minで昇温する二度の昇温過程においてどちらかに融解ピークを示すことを言う。トナー中には、このような結晶性ポリエステル樹脂が、分散型結着樹脂100重量部に対して20重量部以上80重量部以下含まれていることが好ましい。
結晶性ポリエステル樹脂としては、公知のものを用いることができるが、結晶融点が80℃以上であることが好ましい。より好ましくは90℃以上であり、更に好ましくは100℃以上である。結晶性ポリエステル樹脂の結晶融点が80℃以下になると、結晶性ポリエステル樹脂粒子水分散体は容易に調製可能になるが、製造されるトナーの保存性が低下する恐れがあり、好ましくない。
また、結晶性ポリエステル樹脂の水への分散性を高めるために、結晶性ポリエステル樹脂中に親水性のあるイオン性基を導入することが好ましい。イオン性基としてはスルホン酸塩基、カルボン酸塩基、およびリン酸塩基等が挙げられるが、スルホン酸塩基またはカルボン酸塩基がより好ましく、さらに乾燥および皮膜形成後の耐水性を考慮した場合、カルボン酸塩基が最も好ましい。また、必要に応じてこれらのイオン性基は単独または併用して使用しても良い。
結晶性ポリエステル樹脂にカルボキシル基を導入する方法は、結晶性ポリエステル樹脂を重縮合によって合成した後に、常圧および窒素雰囲気下で無水トリメリット酸、無水フタル酸、無水ピロメリット酸、無水コハク酸、無水マレイン酸、無水1,8−ナフタル酸、無水1,2−シクロヘキサンジカルボン酸、シクロヘキサン−1,2,3,4−テトラカルボン酸−3,4−無水物、エチレングリコールビスアンヒドロトリメリテート、5−(2,5−ジオキソテトラヒドロ−3−フラニル)−3−メチル−3−シクロヘキセン−1,2−ジカルボン酸無水物、およびナフタレン−1,8:4,5−テトラカルボン酸二無水物などから1種または2種以上を選択して添加し、付加反応させる方法、ならびに結晶性ポリエステルの重縮合前のオリゴマーにこれらの酸無水物を投入し、次いで減圧下の重縮合反応によって高分子量化することで、結晶性ポリエステル樹脂にカルボキシル基を導入する方法などがある。この場合、目標とする酸価が得られやすいとして前者の方法が好ましい。このように導入したカルボキシル基を後述するようにアミンおよびアルカリ化合物等で中和することによりカルボン酸塩にすることができる。
カルボン酸塩基以外の親水性基としてスルホン酸塩基が挙げられるが、その導入方法としては、5−スルホイソフタル酸、4−スルホナフタレン−2,7−ジカルボン酸、5〔4−スルホフェノキシ〕イソフタル酸等の金属塩、および2−スルホ−1,4−ブタンジオール、2,5−ジメチル−3−スルホ−2,5−ヘキサンジオール等の金属塩などのスルホン酸塩基を含有するジカルボン酸またはグリコールを共重合する方法が挙げられる。
結晶性ポリエステル樹脂は、水分散性および耐水性の双方を満たすためにイオン性基濃度が5〜30mgKOH/gであることが好ましい。さらに好ましくは6〜25mgKOH/gであり、特に好ましくは7〜20mgKOH/gである。イオン性基濃度が5mgKOH/gを下回ると、分散安定性が低くなり、また30mgKOH/gを超えると、トナーが吸湿性を帯びるので、環境変化によって帯電変動しやすくなる恐れがある。
また、結晶性ポリエステル樹脂は、イオン性基のうち、スルホン酸基由来のイオン性基濃度が6mgKOH/g以下であることが好ましい。さらに好ましくは2mgKOH/g以下であり、特に好ましくは1mgKOH/g以下ある。スルホン酸由来の官能基濃度が6mgKOH/g以上であると、高湿下の帯電量が低下する。
上記結晶性ポリエステル樹脂粒子を含有する結晶性ポリエステル樹脂粒子水分散体を調製する方法は特に限定されないが、有機溶媒に溶解させた後、水中に転相する転相乳化法、結晶性ポリエステル樹脂が十分に溶融する温度まで加温した後、アルカリ性の水に混合分散して乳化する方法、および分散剤等を用いて機械的に分散する方法などが挙げられる。
上記転相乳化法における、結晶性ポリエステル樹脂の溶解の際の温度は40〜250℃が好ましく、50〜220℃がより好ましく、60〜220℃がさらに好ましく、70〜200℃が最も好ましい。40℃未満では、結晶性ポリエステル樹脂の溶解または膨潤が不十分になることがあるため、分子鎖同士の絡み合いを解くことが十分にできず、また250℃を超えると、結晶性ポリエステル樹脂の分解を招く恐れが高まるためである。
40〜250℃の温度範囲で加熱することにより結晶性ポリエステル樹脂が溶解または膨潤しうる有機溶媒としては、メチルエチルケトン、ジメチルアセトアミド、ジメチルホルムアミド、N−メチルピロリドン、テトラヒドロフラン、1,4−ジオキサン、1,3−ジオキサン、1,3−ジオキソラン、1,2−ヘキサンジオール、メチルセロソルブ、ブチルセロソルブ、エチルカルビトールブチルカルビトール、プロピレングリコールモノプロピルエーテル、プロピレングリコールモノブチルエーテル、およびトリエチレングリコールモノブチルエーテルなどが挙げられる。このうち、メチルエチルケトン、ブチルセロソルブ、プロピレングリコールモノプロピルエーテル、およびプロピレングリコールモノブチルエーテルなどが好ましい。
特に、カルボキシル基を導入した結晶性ポリエステル樹脂粒子水分散体を調製する場合は、上記有機溶媒への溶解または膨潤を容易にするためにカルボキシル基などの極性基を部分的に、または全面的に塩基性物質で中和する。
中和に使用できる塩基性物質としては、アンモニアおよびトリエチルアミンなどに代表されるアミン類、ならびに水酸化ナトリウムおよび水酸化カリウムなどに代表される無機塩基類の使用が可能であるが、トナー中の残存および環境特性の低下といった懸念を無くすために、揮発性アミン化合物の使用が好ましい。また、これらの有機塩基性化合物から選ばれる2種以上の併用は決して妨げられるものではない。
このようにして調製された結晶性ポリエステル樹脂溶液に水を添加して撹拌することによって水系に転相する。水は一度に添加せず、溶液の温度を保ったまま少しずつ添加することが安定な水分散体を調製する上で好ましい。また、下記の貧溶媒を加えることで転相を促進することができる。
結晶性ポリエステル樹脂が溶解または膨潤しない貧溶媒となる有機溶媒としては、メタノール、エタノール、1−プロパノール、イソプロピルアルコール、およびヘキサンなどが挙げられる。このうちエタノールまたはイソプロピルアルコールが特に好ましい。ここで、貧溶媒となる有機溶剤は、ポリエステル樹脂が溶解または膨潤しうる有機溶媒に対して質量比で0〜70%の範囲で用いるのが好ましい。より好ましくは5〜50%である。70%を超える貧溶媒を用いると、結晶性ポリエステル樹脂が凝集し、沈降してしまう恐れがある。
結晶性ポリエステル樹脂粒子水分散体の調整に有機溶媒を用いた場合は、水分散体が得られた後、必要に応じて除去することができる。ただし、後の除去を行う場合、前述した有機溶媒には、沸点が100℃未満のものを選択することが好ましい。なお、水分散体には少量の有機溶媒を含有しても良い。
結晶性ポリエステル樹脂粒子水分散体中の結晶性ポリエステル樹脂粒子の粒子径は、トナー製造に大きく影響するので非常に重要であり、0.030〜0.250μmが好ましい。さらに好ましくは0.050〜0.200μmであり、特に好ましくは0.100〜0.150μmである。粒子径が0.250μmを超えると、分散安定性が大きく低下するだけでなく、製造されるトナーの粒子径が大きくなる。また逆に0.030μm未満では、分散粒子間での融合または凝集が起こりやすく、結果として扱いにくく好ましくない。
また上記水分散体において、1μm以上の粗大粒子は全結晶性ポリエステル樹脂粒子中の1%以下、好ましくは0.5%以下、より好ましくは、0.2%以下、さらに好ましくは0.01%以下である。1%を超えて存在すると、トナーの粒度分布に影響するため好ましくない。
上記水分散体には、必要によって複数のポリエステル樹脂およびその他の樹脂を含んでいてもよい。その他の樹脂は、特に限定されるものではないが、アクリル樹脂、アルキド樹脂、エポキシ樹脂、およびウレタン樹脂等がある。
(顔料水分散体)
顔料水分散体に用いる顔料には、公知のものを用いることができ、ブルー、ブラウン、シアン、グリーン、バイオレット、マゼンタ、レッドおよびイエローのいずれの顔料でもよく、それらの混合物であってもよい。具体的には、アントラキノン系顔料、フタロシアニンブルー系顔料、フタロシアニングリーン系顔料、ジアゾ系顔料、モノアゾ系顔料、ピラントロン系顔料、ペリレン系顔料、複素環式イエロー、キナクリドン、インジゴイド系顔料、およびチオインジゴイド系顔料などが挙げられる。アントラキノン系顔料としては、ピグメントレッド43、ピグメントレッド194(ペリノンレッド)、ピグメントレッド216(臭素化ピラントロンレッド)、およびピグメントレッド226(ピラントロンレッド)などが挙げられる。フタロシアニンブルー系顔料としては、銅フタロシアニンブルーおよびその誘導体であるピグメントブルー15などが挙げられる。ピレリン系顔料としては、ピグメントレッド123(ベルミリオン)、ピグメントレッド149(スカーレット)、ピグメントレッド179(マルーン)、ピグメントレッド190(レッド)、ピグメントバイオレット、ピグメントレッド189(イエローシェードレッド)、およびピグメントレッド224などが挙げられる。複素環式イエローとしては、ピグメントイエロー117およびピグメントイエロー138などが挙げられる。キナクリドン系顔料としては、ピグメントオレンジ48、ピグメントオレンジ49、ピグメントレッド122、ピグメントレッド192、ピグメントレッド202、ピグメントレッド206、ピグメントレッド207、ピグメントレッド209、ピグメントバイオレット19、およびピグメントバイオレット42などが挙げられる。チオインジゴイド系顔料としては、ピグメントレッド86、ピグメントレッド87、ピグメントレッド88、ピグメントレッド181、ピグメントレッド198、ピグメントバイオレット36、およびピグメントバイオレット38などが挙げられる。黒色顔料は種々の方法により製造されるカーボンブラックを用いることができる。さらには、顔料表面に親水基を化学的に導入し、分散化した顔料も使用できる。
顔料水分散体は、上記の顔料を界面活性剤等の分散剤を用いて分散させたものである。この場合、分散剤としてはアニオン系界面活性剤または非イオン性界面活性剤が好ましく、アニオン系界面活性剤が特に好ましい。このような分散剤は水に対して顔料を分散させやすく、トナー中の顔料の分散粒径を小さくでき、よりトナー特性の優れたトナーを製造できる。また、洗浄工程によって不要な分散剤を除去することが可能である。
顔料は、1種を単独で使用してもよいし、2種以上を併用してもよい。また、顔料を2種以上併用する場合、同系色の顔料を併用してもよいし、複数系統の色の顔料を併用してもよい。顔料の含有量は、要求されるトナー特性に応じて、広い範囲から選択することができるが、分散型結着樹脂100重量部に対して、0.1〜20重量部であることが好ましく、さらに好ましくは、0.1〜15重量部である。0.1重量部を下回ると、形成された画像の画像濃度が優れたものになり難く、20重量部を超えると、形成された画像中における顔料の分散性が確保しにくくなる。
また、上記顔料水分散体の代わりに染料水分散体を用いることも可能である。染料水分散体に用いられる染料に特に制限はないが、油性染料を用いることが好ましい。
(ワックス微粒子)
ワックス微粒子は、公知のワックスを用いることができ、たとえば、カルナウバワックスおよびライスワックスなどの天然ワックス、ポリプロピレンワックス、ポリエチレンワックスおよびフィッシャーとロプッシュワックスなどの合成ワックス、モンタンワックスなどの石炭系ワックス、アルコール系ワックス、ならびにエステル系ワックスなどが挙げられる。ワックスは、1種を単独で使用してもよいし、2種以上を併用して使用してもよい。ワックス微粒子は、後述する混合液調製工程S1において混合液に混合されるが、この際、予め水中にワックスを混合し乳化して調製したワックス微粒子水分散体を混合液に混合することが好ましい。トナー成分にワックスが含まれる場合、その含有量は、分散型結着樹脂100重量部に対して0.5〜20重量部が好ましく、1〜10重量部がさらに好ましい。
(その他の添加剤)
上記のトナー成分以外に、必要に応じて一般的にトナーに添加する添加剤、たとえば、帯電制御剤などを、凝集の工程および乾燥したトナーに適量添加してもよい。
また、洗浄工程後の乾燥したトナーに外添剤を添加してトナー粒子の表面改質を施してもよい。外添剤としては、公知の外添剤を用いることができ、たとえば、シリカおよび酸化チタンなどの水分散性を有する無機粒子が挙げられる。これらの無機粒子は、体積平均粒子径が1μm以下、好ましくは0.01〜0.8μmであり、1種または2種以上を併用することができる。さらに、外添剤にシリコーン樹脂などを添加して表面改質を施してもよい。外添剤の添加量は、トナー粒子100重量部に対して1〜10重量部が好ましい。
<製造方法>
上記のトナー成分を用いて本発明に用いるトナーを製造することができる。本発明に用いるトナーは、いかなる方法でも製造することが可能であるが、形状のコントロールのしやすさから、乳化凝集法による作成が好ましい方法として用いられる。特に、樹脂の透明性等の理由から分散型結着樹脂にはポリエステル樹脂を用いることが好ましい。
図3は、本発明に用いるトナーの製造方法を示す工程図である。本発明に用いるトナーの製造方法では、混合液調整工程S1と、凝集物形成工程S2と、粒子形成工程S3と、洗浄工程S4とがこの順に行われる。
混合液調製工程S1では、顔料水分散体、分散型結着樹脂粒子水分散体、結晶性ポリエステル樹脂粒子水分散体などのトナー成分を混合して混合液を調製する。凝集物形成工程S2では、凝集剤を含む水溶液を上記混合液に加えて、水媒体中で凝集物を形成させる。粒子形成工程S3では、凝集物を含む水媒体を加熱して、凝集物を粒子状にする。洗浄工程S4では、粒子状にした凝集物を洗浄して乾燥する。
以下、上記各工程についてさらに詳しく説明する。
混合液調製工程S1では、予め調製された顔料水分散体と分散型結着樹脂粒子水分散体と結晶性ポリエステル樹脂粒子水分散体とを混合、撹拌することによってトナー成分を含む混合液を得る。このとき、非晶性樹脂および結晶性ポリエステル樹脂を混合するか、または結晶性ポリエステル樹脂を先に凝集させ、その後、非晶性樹脂によってカプセル化することで、結晶性ポリエステル樹脂をトナー粒子中に含有させることができる。好ましくは、固形分濃度で80〜99重量部の結着樹脂、および0.1〜20重量部の顔料を含むように結着樹脂粒子水分散体と顔料水分散体とを混合し、撹拌機を用いて室温で1〜5時間撹拌することによって、調製した混合液を得る。さらには、混合液調製工程S1において、水に乳化させた天然および合成ワックスの少なくとも一方のワックス微粒子を含有するワックス微粒子水分散体を上記混合液に混合してもよく、その量は固形分濃度で0.1〜20重量部である。
凝集物形成工程S2では、顔料および結着樹脂粒子などのトナー成分を含む(場合によってはワックス微粒子も含む)混合液に、所定量の凝集剤を加え撹拌混合することによって、トナー成分を含む凝集物を形成する。したがって、トナー成分以外の不要な成分、たとえば顔料を分散させるための分散剤、有機溶媒および結着樹脂構成モノマー等がトナー中に含まれない。
この工程S2は、室温で行うことが好ましいが、分散型結着樹脂のガラス転移温度(Tg)付近まで加熱してもかまわない。さらに言えば、この工程S2では、撹拌機を用いて機械的な剪断力によって混合液を撹拌することが、粒径および形状の均一な粒子に凝集させることが容易となる点から好ましい。
さらには、この凝集物形成工程S2において、分散型結着樹脂粒子を含有する分散型結着樹脂粒子水分散体を所定量混合することも可能である。この場合、先の混合液調製工程S1で混合する分散型結着樹脂粒子水分散体の量を予め所定量減らしておく。また、凝集物同士の再凝集を防ぐために界面活性剤を添加したり、pHを8以上に調製すべく水酸化ナトリウム等を添加したりしてもよい。
凝集物形成工程S2にて用いられる凝集剤は、公知のものが使用でき、たとえば電解質であって、顔料と逆性のイオンを有する有機物等を用いることができる。上述したように結着樹脂および顔料は表面にイオン性基およびイオン化が可能な基の少なくとも一方を有していることが好ましいので、そのような結着樹脂と顔料とをイオン結合することができる多価金属塩が好ましい。さらに、純水によって洗浄しやすいように、水に対して溶解しやすいマグネシウム塩およびアルミニウム塩等がより好ましい。また、凝集剤としてはジメチルアミノエチル(2,2ジメチロール)プロピオネート等の有機物系凝集剤を用いることも可能である。
凝集物形成工程S2においては、混合物を撹拌する撹拌機の使用が好ましい。撹拌機としては、公知の乳化機または分散機を用いることができるが、トナー成分および水性媒体をバッチ式または連続式で受け入れることができ、加熱手段を有し、トナー成分および水性媒体を加熱下で混合することによって、顔料を含む結着樹脂粒子であるトナーを生成させ、トナーをバッチ式または連続式で放出することのできる装置が好ましい。また、乳化機および分散機は、トナーと水性媒体との混合物に剪断力を付与できるものであることが、形成された凝集物を粒径および形状の均一な粒子に形成することがより容易となる上で好ましい。さらに乳化機および分散機は、撹拌手段および回転手段の少なくとも一方を有し、トナーと水性媒体とを撹拌下または回転下で混合できるものであることが好ましい。乳化機および分散機は、トナーと水性媒体とを混合するための混合容器が保温手段を有するものであることが好ましい。
具体的には、たとえば、ウルトラタラックス(商品名:IKAジャパン株式会社製)、ポリトロンホモジナイザー(商品名:キネマティカ社製)、TKオートホモミクサー(商品名:特殊機化工業株式会社製)、およびマックスブレンド(商品名:住友重機株式会社製)などのバッチ式乳化機、エバラマイルダー(商品名:株式会社荏原製作所製)、TKパイプラインホモミクサー(商品名:特殊機化工業株式会社製)、TKホモミックラインフロー(商品名:特殊機化工業株式会社製)、フィルミックス(商品名:特殊機化工業株式会社製)、コロイドミル(商品名:神鋼パンテック株式会社製)、スラッシャー(商品名:三井三池化工機株式会社製)、トリゴナル湿式微粉砕機(商品名:三井三池化工機株式会社製)、キャビトロン(商品名:株式会社ユーロテック製)、およびファインフローミル(商品名:太平洋機工株式会社製)などの連続式乳化機、クレアミックス(商品名:エム・テクニック株式会社製)およびフィルミックス(商品名:特殊機化工業株式会社製)などが挙げられる。
粒子形成工程S3では、得られた凝集物を含む水媒体を加熱することによって、凝集物を粒径および形状がほぼ均一に整った粒子にする。この場合、分散型結着樹脂のガラス転移温度以上まで加熱し、粒子径が1〜20μmとなるように調節することが好ましく、このようにすることによって、粒径および形状がほぼ均一なトナー粒子を容易に得ることができる。
さらには、この粒子形成工程S3において、トナー粒子の形状をコントロールするために分散型結着樹脂を含有する分散型結着樹脂粒子水分散体を追加し、再び凝集物を形成することも可能である。この際、凝集物同士の再凝集を防ぐために界面活性剤を添加したり、pHを8以上に調整すべく水酸化ナトリウム等を添加したりしても構わない。なお、この場合も、先の混合液調製工程S1で混合する分散型結着樹脂粒子水分散体の量を予め所定量減らしておくことが望ましい。
洗浄工程S4では、トナー(凝集物)を含む混合液を室温まで冷却し、混合液を濾過して上澄み液を除去し、分離したトナーを水で洗浄する。洗浄には、導電率20μS/cm以下の純水を用いることが好ましく、トナーを洗浄した水の上澄み液が導電率50μS/cm以下となるまでトナーを洗浄することが好ましい。純水を用いたトナーの洗浄はバッチ式で行ってもよいし、連続式で行ってもよい。純水を用いたトナーの洗浄は、トナーの帯電性に影響を与えるような不純物および凝集に関与しなかった不要な凝集剤などのトナー成分以外の不要な成分を取り除くために行われ、それによって不要な成分を含まないトナーを容易に製造することができる。さらに、純水による洗浄工程中に、pH6以下の水で洗浄する工程を1回以上含めてもよく、これによって不純物の除去がより十分に行われる。その後、このようにして洗浄されたトナーを濾過によって洗浄水と分離し、たとえば真空乾燥機を用いて乾燥する。なお、乾燥して得られたトナーに、所望の添加剤(たとえば帯電制御剤、離型剤、および外添剤等)を添加してもよい。
上記製造方法によって得られるトナーは、トナーの形状係数SF−2が100〜130であり、体積平均粒子径が4〜7μm、変動係数CVが25%以下である。
[現像剤]
上記製造方法によって得られるトナーは、一成分系現像剤としても二成分系現像剤としても使用することができる。一成分現像剤として使用する場合、キャリアを用いず、トナーのみで使用し、ブレードまたはファーブラシを用い、現像スリーブで摩擦帯電させてスリーブ上にトナーを付着させることで搬送して画像形成を行う。
また、二成分系現像剤として使用する場合、キャリアとともにトナーを用いる。キャリアとしては、公知のものを使用でき、たとえば鉄、銅、亜鉛、ニッケル、コバルト、マンガン、およびクロムなどからなる単独または複合フェライトおよびキャリアコア粒子を被覆物質で表面被覆したものなどが挙げられる。被覆物質としては、公知のものを使用でき、たとえばポリテトラフルオロエチレン、モノクロロトリフルオロエチレン重合体、ポリフッ化ビニリデン、シリコーン樹脂、ポリエステル樹脂、ジターシャーリーブチルサリチル酸の金属化合物、スチレン系樹脂、アクリル系樹脂、ポリアシド、ポリビニルラール、ニグロシン、アミノアクリレート樹脂、塩基性染料、塩基性染料のレーキ物、シリカ微粉末、およびアルミナ微粉末などが挙げられ、トナー成分に応じて選択するのが好ましい。また、被覆物質は、1種を単独で使用してもよいし、2種以上を併用して用いてもよい。キャリアの体積平均粒子径は、10〜100μmが好ましく、より好ましくは20〜80μmである。
以下に本発明の実施例および比較例を具体的に説明するが、本発明はその要旨を超えない限り、本実施例に限定されるものではない。
<共重合ポリエステル樹脂の合成>
(共重合ポリエステル樹脂1)
温度計および撹拌機を備えたオートクレーブに、ジメチルテレフタレート137重量部、ジメチルイソフタレート55重量部、エチレングリコール68重量部、ビスフェノールAのエチレンオキサイド付加物(平均分子量350)175重量部、および触媒としてテトラブトキシチタネート0.1重量部を仕込み、150〜220℃で180分間加熱してエステル交換反応を行い、次いで、240℃に昇温した後、反応系の圧力を徐々に減じて30分後に10mmHgとし、70分間反応を続けた。その後、オートクレーブ中を窒素ガスで置換し、大気圧とした。温度を200℃に保ち無水トリメリット酸を2重量部加え、70分間反応を行い、共重合ポリエステル樹脂1を得た。得られた共重合ポリエステル樹脂1の酸価を測定したところ2.3KOHmgであった。また、この共重合ポリエステル樹脂1は結晶性ポリエステル樹脂ではない。
(共重合ポリエステル樹脂2)
温度計および撹拌機を備えたオートクレーブ中に、1,5‐ナフタレンジカルボン酸メチルエステル38重量部、ジメチルテレフタレート96重量部、ジメチルイソフタレート58重量部、エチレングリコール136重量部、および触媒としてテトラブトキシチタネート0.1重量部を仕込み、150〜220℃で180分間加熱してエステル交換反応を行った。次いで、240℃に昇温した後、反応系の圧力を徐々に減じて30分後に10mmHgとし、70分間反応を続けた。その後、オートクレ−ブ中を窒素ガスで置換し、大気圧とした。温度を200℃に保ち無水トリメリット酸を10重量部加え、70分間反応を行い、共重合ポリエステル樹脂2を得た。得られた共重合ポリエステル樹脂2の酸価を測定したところ14KOHmgであった。また、この共重合ポリエステル樹脂2は結晶性ポリエステル樹脂ではない。
(架橋性ポリエステル樹脂)
共重合ポリエステル樹脂2の製造において、無水トリメリット酸を合成の初期から添加すること以外は同様にして、架橋性ポリエステル樹脂を得た。得られた架橋性ポリエステル樹脂の酸価を測定したところ10KOHmgであった。また、この架橋性ポリエステル樹脂は結晶性ポリエステル樹脂ではなかった。なお、この架橋性ポリエステル樹脂は、有機溶媒に添加しても完全に溶解しなかったため、その分子量は、有機溶媒に溶解した分を用いて測定した。
得られた共重合ポリエステル樹脂1、2のガラス転移温度および数平均分子量を表1に示す。なお、ガラス転移温度はDSC(示差走査熱量計)によって測定し、数平均分子量はGPC(ゲル浸透クロマトグラフィ)によって測定してそれぞれ求めた。
Figure 2010145548
<共重合ポリエステル樹脂粒子水分散体の調製>
(共重合ポリエステル樹脂粒子水分散体a−1)
温度計、コンデンサおよび撹拌羽根を備えた四つ口の10リットルのセパブルフラスコに、上記共重合ポリエステル樹脂1を100重量部、ブタノ−ル48部、メチルエチルケトン12部、およびイソプロパノ−ル20部を投入し、70℃で撹拌して溶解した。さらに、共重合ポリエステル樹脂1の酸価に等量となるように1Nのアンモニア水溶液を1重量部加え、70℃を保持し30分間撹拌した後、撹拌しながら70℃の水300部を添加し共重合ポリエステル樹脂1の水分散体を得た。さらに、得られた水分散体を蒸留用フラスコに入れ、留分温度100℃に達するまで蒸留した後冷却し、脱イオン水にて固形分を調整し最終的に脱溶剤された固形分濃度30%の共重合ポリエステル樹脂粒子水分散体a−1を得た。この共重合ポリエステル樹脂粒子水分散体a−1に含まれる共重合ポリエステル樹脂粒子の体積平均粒子径は0.095μmであった。
(共重合ポリエステル樹脂粒子水分散体a−2)
温度計、コンデンサおよび撹拌羽根を備えた四つ口の10リットルのセパブルフラスコに、上記共重合ポリエステル樹脂2を34重量部およびブタノール10重量部を投入し、90℃で撹拌して溶解した後、80℃まで冷却した。さらに共重合ポリエステル樹脂2の酸価に等量となるように1Nのアンモニア水溶液を1.5重量部加え、80℃を保持し30分間撹拌した後、撹拌しながら80℃の水56重量部を添加し共重合ポリエステル樹脂2の水分散体を得た。さらに、得られた水分散体1000重量部を蒸留用フラスコに入れ、留分温度100℃に達するまで蒸留した後冷却し、最終的に脱溶剤された固形分濃度33%の共重合ポリエステル樹脂粒子水分散体a−2を得た。この共重合ポリエステル樹脂粒子水分散体a−2に含まれる共重合ポリエステル樹脂粒子の体積平均粒子径は0.05μmであった。
(架橋性ポリエステル樹脂の水分散体a−3)
温度計、コンデンサおよび撹拌羽根を備えた四つ口の10リットルのセパブルフラスコに、上記共重合ポリエステル樹脂1を100重量部、ブタノ−ル48部、メチルエチルケトン12部、およびイソプロパノ−ル20部を投入し、ホモジナイザーでせん断力をかけながら微粒子化を行い、目開き50ミクロンのメッシュに通した。さらに、架橋性ポリエステル樹脂の酸価に等量となるように1Nのアンモニア水溶液を1重量部加え、70℃の状態で30分間撹拌した後、撹拌しながら70℃の水300部を添加し架橋性ポリエステル樹脂の水分散体を得た。さらに、得られた水分散体を蒸留用フラスコに入れ、留分温度100℃に達するまで蒸留した後冷却し、脱イオン水にて固形分を調整し最終的に脱溶剤された固形分濃度30%の架橋性ポリエステル樹脂粒子水分散体a−3を得た。この架橋性ポリエステル樹脂粒子水分散体a−3に含まれる架橋性ポリエステル樹脂粒子の体積平均粒子径は0.3μmであった。
なお、共重合ポリエステル樹脂粒子水分散体a−1〜3におけるポリエステル樹脂粒子の体積平均粒子径は、マイクロトラックUPA−ST150(日機装株式会社製)にて測定した。
<結晶性ポリエステル樹脂の合成>
(結晶性ポリエステル樹脂c−1)
撹拌機、温度計、加熱ヒータ、冷却装置、および溜出用冷却器を装備した反応缶内に、テレフタル酸980質量部、アジピン酸590質量部、エチレングリコール770質量部、1,4−ブタンジオール680質量部、イルガノックス1330(Ciba−Geigy社製)3質量部、およびテトラブチルチタネート1質量部を仕込み、230℃まで昇温しつつ4時間かけてエステル化反応を行った。エステル化反応終了後、反応缶内にポリテトラメチレングリコール(三菱化学株式会社製、PTMG1000)100質量部を加え、その後、系内を240℃まで昇温しながら60分かけて10mmHgまで減圧し、さらに1mmHg以下の真空下まで減圧して240℃で60分間重縮合反応を行った。その後、系内に窒素を流し、真空破壊することで重縮合反応を終了させた。その後、系内に窒素を充填したまま内温が220℃になるまで冷却した。冷却後、エチレングリコールビスアンヒドロトリメリテート90質量部を投入し、再度窒素を充填して220℃で30分間酸付加反応を行った。反応終了後、ポリエステル樹脂を取り出し、冷却することにより結晶性ポリエステル樹脂c−1を得た。この結晶性ポリエステル樹脂c−1の数平均分子量は21000であり、融点Tmは110℃であった。
(結晶性ポリエステル樹脂c−2)
撹拌機、温度計、加熱ヒータ、冷却装置、および溜出用冷却器を装備した反応缶内に、テレフタル酸963質量部、アジピン酸146質量部、セバシン酸627質量部、5スルホナイトイソフタル酸ナトリウム30質量部、エチレングリコール248質量部、1,4−ブタンジオール495質量部、イルガノックス1330(Ciba−Geigy社製)3質量部、およびテトラブチルチタネート1質量部を仕込み、230℃まで昇温しつつ4時間かけてエステル化反応を行った。エステル化反応終了後、反応缶内にポリテトラメチレングリコール(三菱化学社製、PTMG1000)500質量部を加え、その後、系内を240℃まで昇温しながら60分かけて10mmHgまで減圧し、さらに1mmHg以下の真空下まで減圧して240℃で60分間重縮合反応を行った。その後、系内に窒素を流し、真空破壊することで重縮合反応を終了させた。その後、系内に窒素を充填したまま内温が220℃になるまで冷却した。冷却後、トリメリット酸39質量部、エチレングリコールビスアンヒドロトリメリテート45質量部を投入し、再度窒素を充填して220℃で30分間酸付加反応を行った。反応終了後、ポリエステル樹脂を取り出し、冷却することにより結晶性ポリエステル樹脂c−2を得た。この結晶性ポリエステル樹脂c−2の数平均分子量は25000、融点Tmは105℃であった。
<結晶性ポリエステル樹脂粒子水分散体の調製>
温度計、コンデンサ、および撹拌羽根を備えた三つ口のセパラブルフラスコに結晶性ポリエステル樹脂c−1を270質量部、メチルエチルケトン180質量部、およびイソプロピルアルコール60質量部を仕込み70℃にて溶解した。次いで塩基としてアンモニアを5質量部加えた後、70℃のイオン交換水630質量部を加え、水へ分散させた後、蒸留用フラスコにて留分温度が100℃に達するまで蒸留し、冷却後に水を加えて固形分濃度を30%の結晶性ポリエステル樹脂粒子水分散体b−1とした。得られた結晶性ポリエステル樹脂粒子水分散体b−1に存在する結晶性ポリエステル樹脂粒子の体積平均粒子径は0.100μmであった。
同様にして、結晶性ポリエステル樹脂c−2の水分散体b−2を調製した。得られた結晶性ポリエステル樹脂粒子水分散体b−2に存在する結晶性ポリエステル樹脂粒子の体積平均粒子径は0.116μmであった。
<顔料水分散体の調整>
(シアン顔料水分散体)
シアン顔料(BASF社製:Eupolen Blue 69−1501)50重量部、 アニオン性界面活性剤(第一工業製薬株式会社製、ネオゲンR)5重量部、およびイオン交換水223重量部をホモジナイザー(ポリトロン社製、PT3000)に投入し室温で20分間撹拌して顔料を分散し、加えて超音波ホモジナイザー(株式会社日本精機製作所製)で20分間分散して、体積平均粒子径が0.2μmのシアン顔料水分散体を得た。なお、シアン顔料水分散体および後述の顔料水分散体に分散している顔料の平均粒子径の測定は、マイクロトラックUPA−ST150(日機装株式会社製)にて行った。
(マゼンタ顔料水分散体)
マゼンタ顔料(Eupolen Red 47−9001)50重量部、アニオン性界面活性剤(第一工業製薬株式会社製、ネオゲンR)5重量部、およびイオン交換水223重量部をホモジナイザー(ポリトロン社製、PT3000)に投入し室温で20分間撹拌して顔料を分散し、加えて超音波ホモジナイザーで20分間分散して、体積平均粒子径が0.2μmのマゼンタ顔料水分散体を得た。
(イエロー顔料水分散体)
イエロー顔料(BASF社製:Eupolen Yellow 09−6101)50重量部、アニオン性界面活性剤(第一工業製薬社製、ネオゲンR)5重量部、およびイオン交換水223重量部をホモジナイザー(ポリトロン社製、PT3000)に投入し室温で20分間撹拌して顔料を分散し、加えて超音波ホモジナイザーで20分間分散して、体積平均粒子径が0.1μmのイエロー顔料水分散体を得た。
(ブラック顔料水分散体)
カーボンブラック(キャボット社製、モーガルL)50重量部、非イオン性界面活性剤(三洋化成社製、ノニポール400)5重量部、およびイオン交換水223重量部をホモジナイザー(ポリトロン社製、PT3000)に投入し室温で20分間撹拌して顔料を分散して、体積平均粒子径が0.15μmのブラック顔料水分散体を得た。
<ワックス微粒子水分散体の調製>
パラフィンワックス(日本精蝋社製、HNP10、融点72℃)50重量部、アニオン性界面活性剤(第一工業製薬社製、ネオゲンR)5重量部、およびイオン交換水161重量部をジャケットつきステンレスビーカーに投入し、ホモジナイザー(ポリトロン社製、PT3000)にて95℃で加熱しながら30分間分散した後、圧力吐出型ホモジナイザー(日本精機社製)に移して90℃で20分間分散処理を行い、体積平均粒子径が0.2μmのワックス微粒子水分散体を得た。なお、ワックス微粒子の体積平均粒子径の測定は、マイクロトラックUPA−ST150(日機装株式会社製)にて行った。
<トナー1>
(混合液調製工程)
表2に示す固形分濃度(重量部)で、マゼンタ顔料水分散体、結晶性ポリエステル樹脂粒子水分散体b−1、およびワックス微粒子水分散体を混合し、混合液を得た。
(凝集物形成工程)
得られた混合液を、室温でホモジナイザーを用いて13000rpmで撹拌しながら、1重量%の硫酸アルミニウム水溶液25重量部を少量ずつ滴下し、水媒体中に凝集物を形成した。このとき、マイクロトラックで粒子径を確認しながら、3ミクロンの粒子形が得られるまで制御を行った。その後、プロペラ式攪拌機に変更し、温度を室温まで降下させ、共重合ポリエステル樹脂粒子水分散体a−1を混合し、0.1重量%の硫酸アルミニウム水溶液10重量部を少量ずつ滴下し、その後、この混合液を1時間撹拌した。そうすることによって、水媒体中に凝集物がさらに形成された。
(粒子形成工程)
凝集物形成工程を経た凝集物を含む水媒体を75℃まで加熱して、さらに30分間撹拌を継続し、さらに94℃にて20分撹拌し、凝集物の粒径および形状の均一化を行った。なお、粒子径のコントロールおよび形状のコントロールはそれぞれ、加える多価金属塩の量でコントロールし、形状については粒子形成工程の温度と時間とをコントロールすることで調整を行った。
(洗浄工程)
次に、凝集物を含む水媒体の上澄み液を除去し、凝集物を純水にて3回洗浄(上澄み液を3回交換)した後、pH2に調整したHCl水溶液で洗浄し、さらに純水にて3回洗浄した後、ろ過し、真空乾燥機を用いて乾燥して、マゼンタトナーを調製した。なお、洗浄に用いる純水は、超純水製造装置(ADVANTEC社製:Ultra Pure Water System CPW−102)を用いて水道水から調製した0.5μS/cmの水を使用した。水のpHおよび導電率はラコムテスター(井内盛栄堂製:EC−PHCON10)を用いて測定した。
その後、上記方法で得られたマゼンタトナーの母粒子100重量部に対して、シランカップリング剤で処理した平均一次粒径20nmのシリカ粒子0.7重量部を混合(外添)することによって、トナー1を得た。このトナー1を構成するトナー粒子は、有機溶媒に可溶な結着樹脂および結晶性ポリエステル樹脂を含んでいる。また製造過程から、このトナー1を構成するトナー粒子は、顔料がトナー粒子表層に少なく、内部に多く存在する。
Figure 2010145548
<トナー2>
表2に示す固形分濃度(重量部)で、シアン顔料水分散体、結晶性ポリエステル樹脂粒子水分散体b−2を用いて混合液を調製し、凝集物形成工程で共重合ポリエステル樹脂粒子水分散体a−2を加えること以外、トナー1と同様にしてトナーを製造し、トナー2を得た。このトナー2を構成するトナー粒子は、有機溶媒に可溶な結着樹脂および結晶性ポリエステル樹脂を含んでいる。また製造過程から、このトナー2を構成するトナー粒子は、顔料がトナー粒子表層に少なく、内部に多く存在する。
<トナー3>
表2に示す固形分濃度(重量部)で、イエロー顔料水分散体、結晶性ポリエステル樹脂粒子水分散体b−1を用いて混合液を調製し、凝集物形成工程で共重合ポリエステル樹脂粒子水分散体a−2を加えること以外、トナー1と同様にしてトナーを製造し、トナー3を得た。このトナー3を構成するトナー粒子は、有機溶媒に可溶な結着樹脂および結晶性ポリエステル樹脂を含んでいる。また製造過程から、このトナー3を構成するトナー粒子は、顔料がトナー粒子表層に少なく、内部に多く存在する。
<トナー4>
表2に示す固形分濃度(重量部)で、ブラック顔料水分散体、共重合ポリエステル樹脂粒子水分散体a−1、および共重合ポリエステル樹脂粒子水分散体a−2を用いて混合液を調製し、凝集物形成工程で共重合ポリエステル樹脂粒子水分散体a−1を加えないこと以外、トナー1と同様にしてトナーを製造し、トナー4を得た。このトナー4を構成するトナー粒子は、有機溶媒に可溶な結着樹脂を含んでいるが、結晶性ポリエステル樹脂を含んではいない。また製造過程から、このトナー4を構成するトナー粒子は、顔料がトナー粒子表層に少なく、内部に多く存在する。
<トナー5>
表2に示す固形分濃度(重量部)で、ブラック顔料水分散体、共重合ポリエステル樹脂粒子水分散体a−1、および共重合ポリエステル樹脂粒子水分散体a−2を用いて混合液を調製し、凝集物形成工程で共重合ポリエステル樹脂粒子水分散体a−1を加えず、粒子形成工程で粒子径を4.5μmに調整したこと以外、トナー1と同様にしてトナーを製造し、トナー5を得た。このトナー5を構成するトナー粒子は、有機溶媒に可溶な結着樹脂を含んでいるが、結晶性ポリエステル樹脂を含んではいない。また製造過程から、このトナー5を構成するトナー粒子は、顔料がトナー粒子表層に少なく、内部に多く存在する。
<トナー6>
トナー1の粒子形成工程における94℃での撹拌時間を5分に変更して、SF−2が大きなトナーを製造し、トナー6を得た。このトナー6を構成するトナー粒子は、有機溶媒に可溶な結着樹脂および結晶性ポリエステル樹脂を含んでいる。また製造過程から、このトナー6を構成するトナー粒子は、顔料がトナー粒子表層に少なく、内部に多く存在する。
<トナー7>
トナー2の凝集物形成工程において用いた硫酸アルミニウム水溶液を20重量部から10重量部に変更して粒子径が小さなトナーを製造し、トナー7を得た。このトナー7を構成するトナー粒子は、有機溶媒に可溶な結着樹脂および結晶性ポリエステル樹脂を含んでいる。また製造過程から、このトナー7を構成するトナー粒子は、顔料がトナー粒子表層に少なく、内部に多く存在する。
<トナー8>
トナー2の凝集物形成工程において用いた硫酸アルミニウム水溶液を20重量部から50重量部に変更して粒子径が大きなトナーを製造し、トナー8を得た。このトナー8を構成するトナー粒子は、有機溶媒に可溶な結着樹脂および結晶性ポリエステル樹脂を含んでいる。また製造過程から、このトナー8を構成するトナー粒子は、顔料がトナー粒子表層に少なく、内部に多く存在する。
<トナー9>
トナー3の凝集物形成工程における撹拌スピードを10000rpmに変更して変動係数CVが大きなトナーを製造し、トナー9を得た。このトナー9を構成するトナー粒子は、有機溶媒に可溶な結着樹脂および結晶性ポリエステル樹脂を含んでいる。また製造過程から、このトナー9を構成するトナー粒子は、顔料がトナー粒子表層に少なく、内部に多く存在する。
<トナー10>
トナー1の製造において、結晶性ポリエステル樹脂粒子水分散体b−1の代わりに架橋性ポリエステル樹脂粒子水分散体a−3を用いてトナー10を得た。このトナー10を構成するトナー粒子は、有機溶媒に可溶な結着樹脂および不溶な結着樹脂を含むので、トナー粒子中の有機溶媒に可溶な結着樹脂の割合がトナー1〜9と比べて小さい。また、トナー10を構成するトナー粒子は結晶性ポリエステル樹脂を含んでいない。また製造過程から、このトナー10を構成するトナー粒子は、顔料がトナー粒子表層に少なく、内部に多く存在する。
<トナー11>
トナー1の凝集物形成工程において、硫酸アルミニウム水溶液の代わりに、1価の金属塩である硝酸リチウム水溶液1重量%を80重量部添加し、凝集粒子を作製した。これに対し、トナー1〜10,12は2価以上の金属塩を含んでいる。
<トナー12>
トナー1の製造において、顔料分散体の50重量%を、共重合ポリエステル樹脂粒子水分散体a−1を混合する際に同時に加えて、その後は同様にしてトナー12を作製した。トナー12は表層に顔料分散体を多く含む。
トナー1〜12について、体積平均粒子径、変動係数CV、および形状係数SF−2を測定した結果を表3に示した。なお、表3中の「○」記号は各項目において本発明に用いるトナーの条件を満たしていることを意味し、「×」は満たしていないことを意味する。全ての項目が「○」であるトナーが、本発明に用いることのできるトナーである。
(体積平均粒子径および変動係数CV)
トナーの体積平均粒子径および変動係数CVは、コールターマルチサイザーII(コールター社製)を用いて測定した。測定粒子数は50000カウントとし、アパーチャ径は100μmとした。なお、変動係数CVは以下の式によって求められる。
変動係数CV(%)=(標準偏差/体積平均粒子径)×100
(形状係数SF−2)
100mlビーカーに、トナー2.0g、アルキルエーテル硫酸エステルナトリウム1ml、および純水50mlを加えて良く撹拌し、トナー粒子の分散液を調製した。この分散液を、超音波ホモジナイザー(株式会社日本精機製作所製)によって出力50μAにて5分間処理し、さらに分散させた。6時間静置して上澄み液を取り除いた後、純水50mlを加え、マグネチックスターラにて5分間撹拌した後、メンブランフィルター(口径1μm)を用いて吸引ろ過を行った。メンブランフィルター上の洗浄物をシリカゲル入りデシケーターにて約一晩、真空乾燥した。
このようにして表面を洗浄したトナー粒子の表面に、スパッタ蒸着により金属膜(Au膜、膜厚0.5μm)を形成した。この金属膜被覆トナー粒子について、走査型電子顕微鏡(商品名:S−570、株式会社日立製作所製)によって、加速電圧5kVで、また1000倍の倍率で、無作為に500個程度を抽出して写真撮影を行った。この電子顕微鏡写真データを、画像解析ソフト(商品名:A像くん、旭化成エンジニアリング株式会社製)で画像解析した。画像解析ソフト「A像くん」の解析パラメータは、小図形除去面積:100画素、収縮分離:回数1;小図形:1;回数:10、雑音除去フィルタ:無、シェーディング:無、結果表示単位:μmとした。これにより得られたトナー粒子の周囲長PERI、図形面積AREAから、以下の式によって形状係数SF−2を算出した。以下の式において、πは円周率を表す。
SF−2=<(PERI)/AREA>×(100/4π)
Figure 2010145548
<評価方法>
トナー1〜12と複数種類の記録用紙とを用いて形成された画像について、モトルの評価を下記に示す評価方法によって行い、その結果を表4に示した。また、トナー1〜12と複数種類の記録用紙とを用いて形成された画像について、転写ムラ、定着性、解像度、およびカブリの各評価を、下記に示す評価方法によって行い、その結果を表5に示した。なお、表4および表5中のt1〜t12はそれぞれ、トナー1〜12を示す。また、トナー1〜12から選んだトナーと1種類の記録用紙とを用いて、様々な定着圧力によって形成された画像について、モトルの評価を下記に示す評価方法によって行い、表6に示した。また、トナー1〜12と複数種類の記録用紙とを用いて形成された画像について、剥離性の評価を、下記に示す評価方法によって行い、その結果を表7に示した。
(モトル)
デジタルフルカラー複合機(シャープ株式会社製:AR−C150)の現像装置を改造した装置と上記トナーとを用いて、表4に示す紙種1〜16のそれぞれに対して、紙面の各部分におけるトナーの付着量が全て0.6mg/cm2となるようなベタ画像を印字させ、外部定着機を用いて同一の定着圧力(1.1kgf/cm)、定着温度180℃によって定着させた。形成された画像について、目視によってモトルの観察を行った。定着のスピードは200mm/secで行った。また表6は、表4に示す紙種2を用い、定着ニップ部を170℃に加熱し、定着圧力を変化させたときのモトルの評価結果である。評価結果がa,b,cのいずれかであれば、良好とした。
a:モトルがなく良い。
b:少しモトルが見られるが、目立たない。
c:モトルがあるが実用上問題なし。
d:モトルが見える。
e:モトルが目立つ。
(転写ムラ、定着性、解像度、およびカブリ)
デジタルフルカラー複合機(シャープ株式会社製:AR−C150)の現像装置を改造した装置と上記トナーとを用いて、表5に示す紙種1〜16のそれぞれに対して、紙面上にライン幅が400μmになるように調整して細線を印字させ、外部定着機を用いて、定着圧力(1.1kgf/cm)、定着温度180℃によって定着させた。転写ムラがある場合は、定着性が良くても細線に欠けが生じ、転写ムラがなくとも、定着性が悪ければ細線に欠けが生じる。また、細線に欠けがある画像は、解像度が低い。ルーペを用いて目視で、細線に欠けがあるか否かを確認することによって、転写ムラ、定着性、および解像度の評価を行った。また、カブリの評価も同時に行った。評価結果がa,b,cのいずれかであって、×がなければ、良好とした。
a:欠けがなく良い。
b:少し欠けが見られるが、目立たない。
c:欠けがあるが実用上問題なし。
d:欠けが見える。
e:欠けが目立つ。
×:トナー飛散(カブリ)が目立つ。
(トナー剥離)
複写機AR−505(シャープ株式会社製)を使用して、表7に示す紙種17〜20のそれぞれに対して、ベタ部分の記録紙面上でのトナー付着量が0.8mg/cm2となるように調整したベタ画像を形成し、外部定着器にてプロセス速度200mm/sec、温度170℃、定着圧力1.0(kgf/cm)で定着させた。次に、定着させた記録紙のベタ部分が折り曲げられるように軽く折り、1kgのローラを転がして折り目をつくった後、記録紙の折り目を広げて清潔なウエスで折り目の脱落トナーを払い落とした。この記録紙とトナー剥離の基準を評価する見本記録紙とを検査員の目視によって比較し、トナーの剥離レベルを剥離の少ないものから順に10,20,…,60として記録紙の剥離レベルを決定し、以下のような基準で評価を行った。
○:剥離レベルが20未満である。
△:剥離レベルが20以上30以下である。
×:剥離レベルが30を超える。
Figure 2010145548
Figure 2010145548
Figure 2010145548
Figure 2010145548
<考察>
トナー1〜5,12および紙種2〜20を用いる画像形成は本発明の実施例であり、トナー6〜11および紙種1の少なくとも1つを用いる画像形成は比較例である。
(形状係数SF−2)
表4の、トナー1を用いて形成された画像およびトナー6を用いて形成された画像のモトルの評価結果は、トナーの形状係数SF−2が大きくなると、トナー粒子の帯電状態が不均一となって転写ムラが生じ、その結果モトルが生じたことを示している。よって、トナー1を用いて形成された画像のモトルの評価結果から、トナーの形状係数SF−2が100〜130であると、モトルが少ない良好な画像を得られることがわかる。
(顔料の分散性)
トナー粒子中の顔料の分散性によるモトルへの影響を考察するために、表4における、トナー1を用いて形成された画像のモトルの評価結果とトナー12を用いて形成された画像のモトルの評価結果とを比較する。トナー1を構成するトナー粒子は、顔料がトナー粒子表層に少なく内部に多く存在するので、帯電状態が均一であり、転写ムラが生じにくいため、モトルの発生が少なくなっている。よって、顔料がトナー粒子表層に少なく内部に多く存在するトナーを用いて画像を形成すると、より良好な画像が得られることがわかる。
(中心線表面粗さRa)
表4のモトルの評価結果で、同一のトナーを用い、異なる紙種を用いた結果を比較すると、記録用紙の画像形成面の中心線平均粗さRaが小さいほど、モトルの少ない良好な画像を形成できることがわかる。中心線平均粗さRaが0.2〜3.9μmであると、特に良好な画像を形成できることがわかる。また、表7から中心線平均粗さRaが0.2μm未満の場合は、記録用紙の折り曲げ等によってトナーが剥がれやすいことがわかる。
(定着圧力)
表6から定着圧力が、0.5〜3.0kgf/cmであるとよりモトルの少ない画像を形成できることがわかる。
(有機溶媒に可溶な結着樹脂)
トナー粒子中の、有機溶媒に可溶な結着樹脂の含有量による定着性への影響を考察するために、表5における、トナー5およびトナー10の転写ムラ、定着性、解像度の評価結果を用いる。トナー5は、有機溶媒に可溶な結着樹脂の含有量を87重量部として製造されており、トナー10は、有機溶媒に可溶な結着樹脂の含有量を30重量部として製造されている。表4の評価結果から、有機溶媒に可溶な結着樹脂の含有量が多いトナー5は、トナーの弾性が高いので、定着性が高いという結果が得られる。よって、有機溶媒に可溶な結着樹脂の含有量が多いトナー粒子で構成されるトナーを用いれば、より良好な画像を形成できることがわかる。
(2価以上の金属塩)
トナー粒子中に2価以上の金属塩が含まれていることによる定着性への影響を考察するために、表5における、トナー1を用いて形成された画像の転写ムラ、定着性、解像度の評価結果とトナー11を用いて形成された画像の転写ムラ、定着性、解像度の評価結果とを比較する。トナー1は3価の金属塩である硫酸アルミニウムが含まれており、トナー11は1価の金属塩である硫酸リチウムが含まれている。トナー1を用いて形成された画像の転写ムラ、定着性、解像度の評価結果の方が良好であるので、2価以上の金属塩を含むトナー粒子で構成されるトナーを用いて画像形成を行うことで、良好な画像を形成できることがわかる。
(結晶性ポリエステル樹脂)
トナー粒子中に結晶性ポリエステル樹脂が含まれていることによる定着性への影響を考察するために、表5における、トナー2およびトナー4の転写ムラ、定着性、解像度の評価結果を用いる。トナー2は、結晶性ポリエステル樹脂を含むトナー粒子で構成され、トナー4は、結晶性ポリエステル樹脂を含まないトナー粒子で構成される。表5の評価結果から、結晶性ポリエステル樹脂を含むトナー粒子で構成されるトナー2は、定着性が高いという結果が得られる。よって、結晶性ポリエステル樹脂を含むトナー粒子で構成されるトナーを用いれば、より良好な画像を形成できることがわかる。
(体積平均粒子径)
表5のトナー5を用いて形成された画像のカブリの評価結果、および表5のトナー7を用いて形成された画像のカブリの評価結果から、トナーの体積平均粒子径が3.8μm以下であると、トナー粒子が充分に帯電されず、カブリが生じるが、トナーの体積平均粒子径が4.5μm以上であるとカブリが生じないことを示している。よって、体積平均粒子径が4.0μm以上のトナーを用いることで、カブリのない良好な画像を形成できることがわかる。
また、表5のトナー8を用いて形成された画像の転写ムラ、定着性、解像度の評価結果は、トナーの体積平均粒子径が7.2μm以上であると、解像度が低くなることを示している。よって、体積平均粒子径が7.0μm以下のトナーを用いることで、解像度の高い良好な画像を形成できることがわかる。
(変動係数CV)
表5のトナー9を用いて形成された画像のカブリの評価結果は、トナーの変動係数CVが28%の場合、小粒径のトナー粒子の割合が増えることで、カブリが生じることを示している。トナーの体積平均粒子径が4.0μm以上であるトナー1〜6、8の変動係数CVはいずれも25%以下であり、いずれのトナーを用いて形成された画像もカブリが生じていないので、体積平均粒子径が4.0μm以上で、変動係数CVが25%以下であればカブリが生じないことがわかる。よって、カブリのない良好な画像を得るためには、変動係数CVが25%以下のトナーを用いれば良いことがわかる。
(総合)
上記の各考察から、形状係数SF−2が100〜130であって、顔料がトナー粒子表層よりも内部に分散しているトナーと、中心線平均粗さRaが0.2〜3.9μmであって、坪量が40〜200g/mの記録用紙とを用いて、定着圧力を0.5〜3.0kgf/cmとして、画像形成を行うと、最もモトルの少ない画像を形成できることがわかる。また、有機溶媒に可溶な結着樹脂、結晶性ポリエステル樹脂、および2価以上の金属塩を含むトナー粒子で構成される、体積平均粒子径が4〜7μmの小粒径トナーを用いて画像形成を行うと、転写ムラが少なくなり、定着性が高くなり、解像度が高い画像を形成できることがわかる。
本発明の画像形成装置100の構成を模式的に示す概略図である。 本発明の画像形成装置100に備えられる現像部14の構成を模式的に示す概略図である。 本発明に用いるトナーの製造方法を示す工程図である。
符号の説明
2 トナー像形成部
3 転写部
4 定着部
5 記録媒体供給部
6 排出部
12 帯電部
13 露光ユニット
14 現像部
15 クリーニングユニット
31 定着ローラ
32 加圧ローラ
100 画像形成装置

Claims (5)

  1. 記録媒体上に形成された未定着トナー像を少なくとも加圧して、該記録媒体に該未定着トナー像を定着させることによって画像を形成する画像形成方法であって、
    前記記録媒体の画像形成面の中心線平均粗さRaは0.2〜3.9μmであり、
    前記トナーは有機溶媒に可溶な結着樹脂を含むトナー粒子で構成され、形状係数SF−2が100〜130であり、体積平均粒子径が4〜7μmであり、変動係数CVが25%以下であり、
    前記記録媒体上に形成された未定着トナー像を加圧する際の定着圧力は、0.5〜3.0kgf/cmであることを特徴とする画像形成方法。
  2. 前記トナー粒子は、2価以上の金属塩を含有していることを特徴とする請求項1に記載の画像形成方法。
  3. 前記トナー粒子は、結晶性ポリエステル樹脂を含むことを特徴とする請求項1または2に記載の画像形成方法。
  4. 前記トナー粒子に含まれる顔料は、前記トナー粒子の表層に少なく、内部に多く存在することを特徴とする請求項1〜3のいずれか1つに記載の画像形成方法。
  5. 請求項1〜4のいずれか1つに記載の画像形成方法を用いて画像形成が可能であることを特徴とする画像形成装置。
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* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JPH0936051A (ja) * 1995-07-14 1997-02-07 Nippon Telegr & Teleph Corp <Ntt> 化合物半導体薄膜の結晶成長方法
JP2012022088A (ja) * 2010-07-13 2012-02-02 Kao Corp 電子写真用トナー
JP2014136799A (ja) * 2013-01-15 2014-07-28 Xerox Corp アモルファスポリエステル樹脂エマルションの調製

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