JP2010144898A - 摺動式トリポード型等速ジョイント及びローラユニット - Google Patents

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Abstract

【課題】スナップリングの低コスト化を図ることができる摺動式トリポード型等速ジョイント及びローラユニットを提供することを目的とする。
【解決手段】外輪10と、トリポード20と、ローラユニット2と、を備える摺動式トリポード型等速ジョイント1であって、ローラユニット2の外ローラ30は、ニードル50を転動させるニードル転動面32と、ニードル転動面32より外ローラ30の径方向内方に突出しニードル50の外ローラ30に対する軸方向移動を規制するニードル規制部33と、スナップリング60の外ローラ30に対する軸方向移動を規制するスナップリング規制部34を有する。
【選択図】図3

Description

本発明は、摺動式トリポード型等速ジョイント及び摺動式トリポード型等速ジョイントのローラユニットに関するものである。
摺動式トリポード型等速ジョイントは、例えば特開2007−182973号公報(特許文献1)、または、特開2007−177958号公報(特許文献2)に記載されたものがある。この摺動式トリポード型等速ジョイントは、3本の軌道溝が形成された筒状の外輪と、径方向に延びる3本のトリポード軸部を有するトリポードと、それぞれのトリポード軸部に軸支されるダブルローラタイプのローラユニットを備える。このダブルローラタイプのローラユニットは、外輪の軌道溝を転動可能な外ローラと、トリポード軸部の外周面に軸支される内ローラと、外ローラと内ローラとの間に転動可能に介在するニードルと、外ローラに固定され内ローラおよびニードルの軸方向移動を規制するスナップリングを備えている。
また、特許文献1のローラユニットにおいて、ニードルの軸方向移動を規制しているスナップリングは、外ローラの内周面に形成された係止溝に係止されている。つまり、ローラユニットの組付け時において、スナップリングは、外ローラの内周径よりも縮径され、係止溝に嵌め込まれてから元の外径に戻ることで、外ローラの係止溝に係止されている。
特開2007−182973号公報 特開2007−177958号公報
ここで、外ローラと内ローラとの間で転動するニードルは、ニードルの回転軸が転動軌道に対してスキュー角をなすことがある。これにより、ニードルが外ローラに対して軸方向に相対移動する。そのため、ローラユニットの作動中において、ニードルの端部がスナップリングに滑り接触している状態となる。この時、組付け時に縮径するためのスナップリングのスリット幅が広いと、滑り接触しているニードルがスリットに噛み込むなどして、ニードルが滑らかに転動できないという不具合が生じるおそれがある。そのため、スリット幅を狭くするなど特殊な形状にすることで、ニードルの転動を阻害しないようにする必要がある。よって、このような特殊な形状のスナップリングに加工するので、その分だけコストがかかることになる。
また、摺動式トリポード型等速ジョイントがジョイント角を付加された状態で、外輪とシャフトとの間でトルクを伝達する場合に、内ローラはトリポード軸部に対して摺動する。これにより、トリポード軸部の外周面と内ローラの内周面との間に摩擦力が生じ、内ローラがスナップリングに対して軸方向への荷重を加える。スナップリングには、この荷重により外ローラの係止溝における接点を基点とするモーメントが発生する。よって、スナップリングは、このモーメントに耐えるのに十分な曲げ剛性を有することが要求される。従って、肉厚の形状にしたり焼き入れをしたりするなど、スナップリングの曲げ剛性を増す必要があった。
本発明は上記課題を鑑みてなされたものであり、スナップリングの低コスト化を図ることができる摺動式トリポード型等速ジョイント及びローラユニットを提供することを目的とする。
上記の課題を解決するため、請求項1に記載の発明の構成上の特徴は、
筒状からなり、内周面に外輪回転軸方向に延びる3本の軌道溝が形成された外輪と、
シャフトに連結されるボス部、および、前記ボス部の外周面からそれぞれ前記ボス部の径方向外方に延びるように立設されそれぞれの前記軌道溝に挿入される3本のトリポード軸部を有するトリポードと、
前記軌道溝に転動可能に挿入される外ローラと、前記トリポード軸部に対して軸支される内ローラと、前記外ローラの内周面と前記内ローラの外周面との間に転動可能に介在するニードルと、前記外ローラに固定されると共に前記内ローラに対して軸方向移動を規制するスナップリングとを有するローラユニットと、
を備える摺動式トリポード型等速ジョイントであって、
前記外ローラは、前記ニードルを転動させるニードル転動面と、前記ニードル転動面より前記外ローラの径方向内方に突出し前記ニードルの前記外ローラに対する軸方向移動を規制するニードル規制部と、前記スナップリングの前記外ローラに対する軸方向移動を規制するスナップリング規制部とを有し、
前記スナップリングの前記ニードル側の端面は、前記ニードル規制部の前記ニードル側の端面に対して前記ニードルより遠い位置に位置することである。
請求項2に記載の発明の構成上の特徴は、請求項1において、
前記外ローラの前記ニードル規制部は、前記ニードルの軸方向最大幅となる部位よりも前記外ローラの径方向内方に延びて形成されることである。
請求項3に記載の発明の構成上の特徴は、請求項1または2において、
前記スナップリング規制部の内周面は、前記ニードル転動面よりも前記外ローラの径方向内方に位置するように形成されていることである。
請求項4に記載の発明の構成上の特徴は、請求項3において、
前記スナップリング規制部の内周面は、前記内ローラの外周面よりも前記外ローラの径方向外方に位置するように形成されていることである。
請求項5に記載の発明の構成上の特徴は、請求項3または4において、
前記スナップリングの外周面は、前記ニードル規制部の内周面に当接し、
前記スナップリング規制部は、前記ニードル規制部よりも前記外ローラの径方向内方に突出するように形成されていることである。
請求項6に記載の発明の構成上の特徴は、請求項5において、
前記ニードル規制部および前記スナップリング規制部は、前記外ローラの内周面において連設されていることである。
請求項7に記載の発明の構成上の特徴は、請求項6において、
前記ニードル規制部の内周面幅は、前記スナップリングの厚さよりも大きいことである。
上記の課題を解決するため、請求項8に記載の発明の構成上の特徴は、
筒状からなり、内周面に外輪回転軸方向に延びる3本の軌道溝が形成された外輪と、
シャフトに連結されるボス部、および、前記ボス部の外周面からそれぞれ前記ボス部の径方向外方に延びるように立設されそれぞれの前記軌道溝に挿入される3本のトリポード軸部を有するトリポードと、
前記軌道溝に転動可能に挿入される外ローラと、前記トリポード軸部に対して揺動可能に設けられる内ローラと、前記外ローラの内周面と前記内ローラの外周面との間に転動可能に介在するニードルと、前記外ローラに固定されると共に前記内ローラに対して軸方向移動を規制するスナップリングとを有するローラユニットと、
を備える摺動式トリポード型等速ジョイントであって、
前記外ローラは、前記ニードルを転動させるニードル転動面と、前記スナップリングの前記外ローラに対する軸方向移動を規制するスナップリング規制部とを有し、
前記スナップリング規制部の内周面は、前記ニードル転動面よりも前記外ローラの径方向内方に位置し、且つ、前記内ローラの外周面よりも前記外ローラの径方向外方に位置するように形成されていることである。
請求項9に記載の発明の構成上の特徴は、請求項1〜8のいずれか一項において、
前記外ローラの内周面の一方側端部には、前記スナップリング規制部が形成され、
前記外ローラの内周面の他方側端部には、前記内ローラおよび前記ニードルに対して軸方向移動を規制する鍔部が形成されていることである。
上記の課題を解決するため、請求項10に記載の発明の構成上の特徴は、
トリポードの3本のトリポード軸部に対して軸支され、外輪の軌道溝に転動可能に挿入される摺動式トリポード型等速ジョイントのローラユニットであって、
前記軌道溝に転動可能に挿入される外ローラと、前記トリポード軸部に対して軸支される内ローラと、前記外ローラの内周面と前記内ローラの外周面との間に転動可能に介在するニードルと、前記外ローラに固定されると共に前記内ローラに対して軸方向移動を規制するスナップリングとを有し、
前記外ローラは、前記ニードルを転動させるニードル転動面と、前記ニードル転動面より前記外ローラの径方向内方に突出し前記ニードルの前記外ローラに対する軸方向移動を規制するニードル規制部と、前記スナップリングの前記外ローラに対する軸方向移動を規制するスナップリング規制部とを有し、
前記スナップリングの前記ニードル側の端面は、前記ニードル規制部の前記ニードル側の端面に対して前記ニードルより遠い位置に位置することである。
上記の課題を解決するため、請求項11に記載の発明の構成上の特徴は、
トリポードの3本のトリポード軸部に対して軸支され、外輪の軌道溝に転動可能に挿入される摺動式トリポード型等速ジョイントのローラユニットであって、
前記軌道溝に転動可能に挿入される外ローラと、前記トリポード軸部に対して軸支される内ローラと、前記外ローラの内周面と前記内ローラの外周面との間に転動可能に介在するニードルと、前記外ローラに固定されると共に前記内ローラに対して軸方向移動を規制するスナップリングとを有し、
前記外ローラは、前記ニードルを転動させるニードル転動面と、前記スナップリングの前記外ローラに対する軸方向移動を規制するスナップリング規制部とを有し、
前記スナップリング規制部の内周面は、前記ニードル転動面よりも前記外ローラの径方向内方に位置し、且つ、前記内ローラの外周面よりも前記外ローラの径方向外方に位置するように形成されていることである。
請求項1に係る発明によると、ニードルは、外ローラのニードル規制部によって規制される構成となっており、かつ、スナップリングのニードル側の端面がニードル規制部のニードル側の端面に対してニードルより遠い位置に位置している。これにより、ローラユニットの作動中において、ニードルの端部はスナップリングと非接触となる。よって、ニードルは、スナップリングのスリット幅が広いとしても、スナップリングのスリットに噛み込むことがない。つまり、ニードルは、スナップリングのスリットによって滑らかな転動が阻害されることを防止できる。また、スナップリングは、ニードルと非接触となるので、スリット幅を狭くするなど特殊な形状にする必要がなくなる。従って、汎用的なスナップリングを使用できる。
請求項2に係る発明によると、ニードル規制部がニードルの軸方向最大幅となる部位に対して規制するので、より確実にニードルを規制できる。よって、ニードルの転動をより安定させることができる。ここで、「軸方向最大幅となる部位に対して規制」とは、例えば、ニードルの端部の軸方向断面が凸状円弧であった場合には、その円弧の頂部とニードル規制部が接触して規制することを意味する。また、ニードルが円柱状や樽状であり、ニードルの端部が回転軸に直交する平面状の場合には、少なくともこの平面の一部にニードル規制部が接触して規制することを意味する。このような構成とすることで、ニードル規制部は、確実にニードルの軸方向移動を規制することができるので、ニードルとスナップリングの非接触状態を確実に維持することができる。
請求項3に係る発明によると、スナップリングが内ローラから荷重を受けた場合に、スナップリングには、スナップリング規制部との接点を基点とするモーメントが発生する。ここで、スナップリング規制部の内周面は、ニードル転動面よりも外ローラの径方向内方に位置する。従って、モーメントが発生する基点は、ニードル転動面よりも外ローラの径方向内方に位置する。ここで、従来のローラユニットにおいては、スナップリングを係止するために外ローラの内周面に係止溝を形成していた。つまり、従来のスナップリング規制部の内周面は、ニードル転動面と同一面となっていた。これに対して、本発明によれば、スナップリングが内ローラから受ける荷重点から基点までの距離を、従来に比べて短くできる。その結果、スナップリングに発生するモーメントを低減できる。よって、スナップリングの曲げ剛性を従来と比べて低減することができる。従って、この点からも、汎用的なスナップリングを使用できる。
請求項4に係る発明によると、スナップリング規制部の内径は、内ローラの外径よりも大きくなる構成となっている。これにより、スナップリング規制部の内周面をニードル転動面よりも外ローラの径方向内方に延ばす構成とした場合でも、ローラユニットの組付け時において、内ローラがスナップリング規制部に制限されることがない。よって、組付け性を良好に保ちつつ、スナップリングへのモーメントを低減できる。
請求項5に係る発明によると、スナップリングは、ニードルから遠い位置に位置する端面(外ローラ開口側の端面)がスナップリング規制部に規制されると共に、外周面がニードル規制部の内周面に当接する構成となっている。つまり、ニードル規制部がスナップリングの配置位置として兼用されている。換言すると、スナップリングの厚さとニードル規制部の内周面幅が外ローラの軸方向において重なるように位置している。これにより、スナップリングを配置する位置として、ニードル規制部と別に設ける必要がない。その結果、本発明の構成を採用したとしても、外ローラの内周面における省スペース化を図ることができ、ローラユニット全体を小型化することができる。
請求項6に係る発明によると、より効率的に外ローラの内周面における省スペース化を図ることができ、ローラユニット全体を小型化することができる。このような構成では、外ローラの内周面は、ニードル転動面とニードル規制部の内周面とスナップリング規制部の内周面とによって階段状に形成されている。
請求項7に係る発明によると、ニードル規制部とスナップリング規制部とが連設する構成において、外ローラの軸方向において、スナップリングが、ニードル規制部の内周面幅内に完全に収容されている状態にできる。換言すると、スナップリングの全てが、外ローラの軸方向において、ニードル規制部の内周面に重なるように位置する。これにより、スナップリングとニードルが接触することをより確実に防止することができる。
請求項8に係る発明によると、スナップリングが内ローラから荷重を受けた場合に、スナップリング規制部との接点を基点とするモーメントが発生する。ここで、スナップリング規制部の内周面は、ニードル転動面よりも外ローラの径方向内方に位置する。従って、モーメントが発生する基点は、ニードル転動面よりも外ローラの径方向内方に位置する。ここで、従来のローラユニットにおいては、スナップリングを係止するために外ローラの内周面に係止溝を形成していた。つまり、従来のスナップリング規制部の内周面は、ニードル転動面と同一面となっていた。これに対して、本発明によれば、スナップリングが内ローラから受ける荷重点から基点までの距離を、従来に比べて短くできる。その結果、スナップリングに発生するモーメントを低減できる。従って、スナップリングの曲げ剛性を、従来と比べて低減することができる。
請求項9に係る発明によると、ローラユニットの構成を簡易化することができる。また、部品点数を減らすことで、コストを低減できると共に、組付け時の負担を軽減することができる。本発明に係る外ローラは、内周面の一方側端部のみに、スナップリング規制部が形成されている。そして、内周面の他方側端部には、内ローラおよびニードルに対して軸方向移動を規制する鍔部が形成されている。この鍔部の内周面は、内ローラの外周面よりも外ローラの径方向内方に位置するように形成されている。これにより、鍔部は、外ローラに対して相対回転する内ローラおよび転動するニードルと滑り接触している。よって、外ローラの内周面の他方側端部において、スナップリングを使用しない構成にでき、部品点数を減らすことができる。
請求項10に係る発明によると、ニードルは、外ローラのニードル規制部によって規制される構成となっており、かつ、スナップリングのニードル側の端面がニードル規制部のニードル側の端面に対してニードルより遠い位置に位置している。これにより、ローラユニットの作動中において、ニードルの端部はスナップリングと非接触となる。よって、ニードルは、スナップリングのスリット幅が広いとしても、スナップリングのスリットに噛み込むことがない。つまり、ニードルは、スナップリングのスリットによって滑らかな転動が阻害されることを防止できる。また、スナップリングは、ニードルと非接触となるので、スリット幅を狭くするなど特殊な形状にする必要がなくなる。つまり、本発明によれば、上述した請求項1に係る摺動式トリポード型等速ジョイントによる効果を奏する。ここで、上述した摺動式トリポード型等速ジョイントにおける他の特徴部分は、本発明の摺動式トリポード型等速ジョイントのローラユニットに適用することができる。この場合、摺動式トリポード型等速ジョイントのそれぞれの特徴による効果と同一の効果を奏する。
請求項11に係る発明によると、スナップリングが内ローラから荷重を受けた場合に、スナップリング規制部との接点を基点とするモーメントが発生する。ここで、スナップリング規制部の内周面は、ニードル転動面よりも外ローラの径方向内方に位置する。従って、モーメントが発生する基点は、ニードル転動面よりも外ローラの径方向内方に位置する。ここで、従来のローラユニットにおいては、スナップリングを係止するために外ローラの内周面に係止溝を形成していた。つまり、従来のスナップリング規制部の内周面は、ニードル転動面と同一面となっていた。これに対して、本発明によれば、スナップリングが内ローラから受ける荷重点から基点までの距離を、従来に比べて短くできる。その結果、スナップリングに発生するモーメントを低減できる。従って、スナップリングの曲げ剛性を、従来と比べて低減することができる。つまり、本発明によれば、上述した請求項8に係る摺動式トリポード型等速ジョイントによる効果を奏する。ここで、上述した請求項9に係る摺動式トリポード型等速ジョイントにおける特徴部分は、本発明の摺動式トリポード型等速ジョイントのローラユニットに適用することができる。この場合、請求項9に係る摺動式トリポード型等速ジョイントによる効果と同一の効果を奏する。
以下、本発明の摺動式トリポード型等速ジョイント(以下、単に「等速ジョイント」と称する。)を具体化した実施形態について図面を参照しつつ説明する。ここで、本実施形態の等速ジョイントは、車両の動力伝達シャフトの連結に用いる場合を例に挙げて説明する。例えば、ディファレンシャルギヤに連結された軸部とドライブシャフトの中間シャフトとの連結部位に用いる場合である。
<第一実施形態>
第一実施形態の等速ジョイント1について、図1〜図3を参照して説明する。図1は、第一実施形態の等速ジョイント1の一部の径方向断面図である。図2は、ローラユニット2の斜視図である。図3は、ローラユニット2の一部の拡大した断面図である。
等速ジョイント1は、図1に示すように、外輪10と、トリポード20と、ローラユニット2とから構成される。
外輪10は、筒状(例えば、有底筒状)に形成されており、一端側がディファレンシャルギヤ(図示せず)に連結されている。そして、外輪10の筒状部分の内周面には、外輪軸方向(図1の前後方向)に延びる軌道溝11が、外輪軸の周方向に等間隔に3本形成されている。各軌道溝11における溝延伸方向に直交する断面形状が、コの字形をなしている。つまり、各軌道溝11は、ほぼ平面状に形成され且つ幅方向中央部に逃げ凹溝が形成された溝底面と、相互に対向し且つ深さ方向の中央部における対向距離が最も大きくなるような円弧凹状に形成される両側の溝側面とを備える。
トリポード20は、外輪10の筒状部分の内側に配置されている。このトリポード20は、ボス部21と、3本のトリポード軸部22とを備える。ボス部21は、筒状からなり、内周側には内周スプライン21aが形成されている。この内周スプライン21aは、中間シャフト(図示せず)の端部の外周スプラインに嵌合連結される。また、ボス部21の外周面は、ほぼ球面凸状に近似した形状に形成されている。
それぞれのトリポード軸部22は、ボス部21の外周面からそれぞれボス部21の径方向外方に延びるように立設された柱状をなしている。詳細には、トリポード軸部22の外周面は、トリポード軸方向(トリポード軸部22の柱方向)の中央部が最も径方向外方に突出するように形成された球面凸状の部分形状をなしている。つまり、トリポード軸部22の根元部がくびれ形状をなしている。これらのトリポード軸部22は、ボス部21の周方向に等間隔(120deg間隔)に形成されている。そして、それぞれのトリポード軸部22の少なくとも先端部は、外輪10のそれぞれの軌道溝11内に挿入されている。
ローラユニット2は、全体形状としては、環状からなる。このローラユニット2は、各トリポード軸部22の外周側に配置され、トリポード軸部22に対して回転且つ揺動可能に軸支されている。さらに、ローラユニット2は、外輪10の軌道溝11の溝側面に転動可能に嵌合されるように挿入されている。このローラユニット2は、外ローラ30と、内ローラ40と、複数のニードル50と、スナップリング60とから構成される。
外ローラ30は、円筒状に形成されている。この外ローラ30の外周面31は、軌道溝11に対応する形状、すなわち軌道溝11を反転した形状からなる。つまり、外ローラ30の外周面31は、幅方向中央部が最も径方向外方に突出するようなほぼ円弧凸状に形成されている。そして、外ローラ30は、その中心軸が外輪10の回転軸にほぼ直交する姿勢で、軌道溝11に転動可能に嵌合されるように挿入されている。また、外ローラ30は内周面において、ニードル転動面32と、ニードル規制部33と、スナップリング規制部34と、鍔部35を有する。ここで、ニードル転動面32、ニードル規制部33、スナップリング規制部34および鍔部35は、外ローラ30を構成する部位であって、一体的に形成されている。
ニードル転動面32は、後述する内ローラ40の外周面41との間に介在する複数のニードル50を転動させる滑らかな円筒内周曲面をなしている。詳細には、ニードル転動面32は、その内径φo1が外ローラ30の軸方向において、ほぼ同一径となる円筒内周面をなしている。ニードル規制部33は、環状からなり、ニードル転動面32の一方側端部(図3の上側)において、ニードル転動面32より外ローラ30の径方向内方に突出するように形成されている。このニードル規制部33は、ニードル50の軸方向最大幅となる部位の一方である端部51よりも外ローラ30の径方向内方に延びて形成されている。つまり、ニードル規制部33の内径φo2は、ニードル転動面32に沿って転動する状態におけるニードル50の端部51とトリポード軸部22の中心軸との距離Rnの2倍よりも小さく設定されている。つまり、ニードル規制部33のニードル50側(外ローラ30の幅中央側)の端面33aは、ニードル転動面32に沿って転動するニードル50の一方側の端部51に接触し得る状態となる。これにより、ニードル規制部33は、ニードル50の外ローラ30に対する軸方向移動を規制している。
また、このニードル規制部33の内周面33bは、後述するスナップリング60の外周面61と当接している。このニードル規制部33の内周面33bの幅W1は、スナップリング60の厚みW2よりも所定量だけ大きくなるように形成されている。ここで、「所定量」とは、ローラユニット2の構成上、ローラユニット2の作動中にニードル50とスナップリング60が干渉することを回避するのに十分な距離を指す。特に、ニードル50の形状やニードル規制部33の構成によりニードル50の軸方向移動がほとんど生じない場合は、所定量は0または、僅かな量で足りる。
スナップリング規制部34は、環状からなり、ニードル規制部33の内周面33bの一方側端部において、内周面33bより外ローラ30の径方向内方に突出するように形成されている。このスナップリング規制部34のニードル50側(外ローラ30の幅中央側)の端面34aは、スナップリング60のニードル50から遠い側(外ローラ30の開口側)の端面63と当接可能となっている。つまり、スナップリング60が外ローラ30の開口側へ移動した場合に、このスナップリング規制部34の端面34aと当接し、スナップリング60の外ローラ30に対する軸方向移動を規制している。
また、本実施形態において、このスナップリング規制部34の内周面34bは、内ローラ40の外周面41よりも外ローラ30の径方向外方に僅かにずれて位置するように形成されている。つまり、スナップリング規制部34の内径φo3は、内ローラ40の外径φiよりも僅かに大きくなるように形成されている。よって、内ローラ40は、スナップリング規制部34の開口部を挿通可能となっている。
その他、本実施形態において、ニードル規制部33およびスナップリング規制部34は、外ローラ30の内周面において連設されている。つまり、外ローラ30の内周面は、ニードル転動面32と、ニードル規制部33の内周面33bと、スナップリング規制部34の内周面34bによって階段状に形成されている。
鍔部35は、環状からなり、ニードル転動面32の他方側端部において、ニードル転動面32より外ローラ30の径方向内方に突出するように外ローラ30に一体的に形成されている。この鍔部35のニードル50側(外ローラ30の幅中央側)の端面35aは、ニードル転動面32に沿って転動するニードル50の他方側の端部52に接触している。さらに、鍔部35の端面35aは、内ローラ40の他方側の端面44に接触している。これにより、鍔部35は、内ローラ40およびニードル50の外ローラ30に対する軸方向移動を規制している。また、この鍔部35の内周面35bは、内ローラ40の外周面41よりも外ローラ30の径方向内方に位置するように形成されている。すなわち、鍔部35の内径φo4は、内ローラ40の外径φiよりも小さくなるように形成されている。
内ローラ40は、円筒状からなり、それぞれのトリポード軸部22の先端部に回転、且つ揺動可能に、且つ、トリポード軸部22の延伸方向に摺動可能となるように軸支されている。そして、内ローラ40の軸方向長さは、外ローラ30の鍔部35の端面35aと、スナップリング60のニードル50側(外ローラ30の幅中央側)の端面64との間の離間距離に相当する。つまり、内ローラ40の端面43の一部はスナップリング60の端面64と接触している。同様に、内ローラ40の端面44の一部は鍔部35の端面35aと接触している。これにより、内ローラ40は、外ローラ30に対する軸方向移動を規制されている。この内ローラ40の外径φiは、外ローラ30のニードル転動面32の内径φo1よりも小さく形成されている。そして、外ローラ30のニードル転動面32と内ローラ40の外周面41との径方向隙間には、全周に亘って複数のニードル50が配置されている。そして、このニードル50を介することで、内ローラ40は、外ローラ30に対して相対回転可能とされている。さらに、内ローラ40は、外ローラ30に対して、径方向内方に同軸上に配置されている。
ニードル50は、円柱状からなる転動体である。このニードル50は、端部51,52が球面凸状となるように形成されている。よって、ニードル50の端部51,52の軸方向断面は凸状円弧となっている。従って、本実施形態において、ニードル50の軸方向最大幅となる部位は、ニードル50の回転軸上にあたる円弧の頂部となる。そして、ニードル50の軸方向長さは、外ローラ30の鍔部35の端面35aと、外ローラ30のニードル規制部33の端面33aとの間の離間距離に相当する。つまり、ニードル50の端部51,52は、いずれも外ローラ30の一部によって外ローラ30に対する軸方向移動を規制されている。
スナップリング60は、図2に示すように、スリットが形成されたC字形状からなる縮径可能な止め輪である。このスナップリング60は、外ローラ30の内側に嵌め込まれる前の状態において、スナップリング60の外径は、外ローラ30のニードル規制部33の内径φo2よりも大きい。スナップリング60の両端部には、工具孔65が設けられている。スナップリング60は、この工具孔65に専用工具の先端部を挿入され、縮径される。また、スナップリング60は、工具孔65を有さないものもある。そして、外ローラ30の内側に嵌め込まれた状態において、スナップリング60の外径は、外ローラ30のニードル規制部33の内径φo2とほぼ等しい。また、スナップリング60の内周面62は、内ローラ40の外周面41よりも外ローラ30の径方向内方に位置している。すなわち、スナップリング60のうち両端部を除く部位の内径は、内ローラ40の外径φiよりも小さくなっている。
また、上述したように、スナップリング60の図3における上側の端面63は、外ローラ30のスナップリング規制部34の端面34aと当接可能となっている。よって、スナップリング60は、スナップリング規制部34によって外ローラ30に対する軸方向移動が規制されている。さらに、スナップリング60の図3における下側の端面64は、内ローラ40の端面43の一部と接触している。つまり、内ローラ40は、スナップリング60を介して外ローラ30のスナップリング規制部34に外ローラ30に対する軸方向移動を規制されていることとなる。
ローラユニット2の組付け手順について説明する。まず、外ローラ30のニードル転動面32の全周に、複数のニードル50を配置する。この時、ニードル50は、外ローラ30のニードル規制部33および鍔部35によって、外ローラ30に対する軸方向移動を規制されている。次に、内ローラ40を外ローラ30の内部に挿入する。このとき、内ローラ40は、外ローラ30のうちスナップリング規制部34側の開口部から挿入する。そして、内ローラ40の端面44が鍔部35の端面35aと当接する位置まで、内ローラ40を外ローラ30の内部に挿入する。この状態において、内ローラ40は、複数のニードル50よりも外ローラ30の径方向内方において、外ローラ30と同軸的に配置される。
次に、専用工具の先端をスナップリング60の工具孔65に挿入して、スナップリング60を縮径する。この時、スナップリング60の外径は、外ローラ30のスナップリング規制部34の内径φo3よりも小さくなっている。そして、縮径した状態のスナップリング60を、外ローラ30のうちスナップリング規制部34側の開口部から外ローラ30の内部に挿入する。そして、スナップリング60の下側の端面64が内ローラ40の端面43に当接する位置まで、スナップリング60を外ローラ30の内部に挿入する。このとき、スナップリング60の上側の端面63は、スナップリング規制部34の端面34aよりも下方に位置している。
そして、スナップリング60を徐々に拡径していく。そうすると、スナップリング60の外周面61がニードル規制部33の内周面33bに付勢する状態となる。つまり、スナップリング60の上側の端面63は、スナップリング規制部34の端面34aと対向するように配置され、スナップリング60の下側の端面64は、内ローラ40の端面43の一部と対向するように配置される。このようにして、スナップリング60は、外ローラ30の内側に嵌め込まれる。
上述した等速ジョイント1の動作について説明する。一端側がディファレンシャルギヤに連結された外輪10が動力を受けて回転すると、軌道溝11に嵌合しているそれぞれのローラユニット2を介して、それぞれのトリポード軸部22が動力を伝達し、トリポード20を連結している中間シャフトが等速回転する。この時、ジョイント角が付加された状態の場合に、トリポード20は外輪10の回転軸直交断面に対してジョイント角分だけ傾いた状態で中間シャフトを中心に回転する。従って、軌道溝11の側面から見た場合に、トリポード軸部22は、外輪10およびトリポード20の回転に伴い、軌道溝11の延伸方向に往復運動し、且つ、軌道溝11に対して揺動する。
ここで、ローラユニット2を構成する内ローラ40の内周面42がトリポード軸部22に対して揺動可能に軸支されている。そして、外ローラ30は、ニードル50を介することで、内ローラ40と相対回転可能となり、軌道溝11の延伸方向への滑りを生じることなく転動する。この時、トリポード軸部22が軌道溝11の延伸方向に往復運動することにより、トリポード軸部22の外周側に配置されたローラユニット2も軌道溝11の延伸方向に往復運動する。つまり、ジョイント角を付加した状態の動力伝達に伴い、ローラユニット2の外ローラ30と内ローラ40の間に介在するニードル50が転動する。
この時、ニードル50の回転軸が転動軌道に対してスキュー角をなすことがある。これにより、ローラユニット2の作動中において、ニードル50は、外ローラ30に対して軸方向に相対移動しようとする。ここで、本実施形態において、ニードル50は、外ローラ30のニードル規制部33と鍔部35によって規制される構成となっている。さらに、スナップリング60は、スナップリング規制部34により軸方向一方への移動を規制されている。また、スナップリング60は、鍔部35との間に内ローラ40を挟んでいる。つまり、スナップリング60は、内ローラ40により軸方向他方への移動を規制されている。
これらに加えて、ニードル規制部33とスナップリング規制部34とが連設する構成において、ニードル規制部33の内周面33bの幅W1が、スナップリング60の厚みW2よりも所定量だけ大きくなるように形成されている。従って、スナップリング60の端面64は、ニードル規制部33の端面33aよりも外ローラ30の開口側に位置している。換言すると、外ローラ30の軸方向において、スナップリング60が、ニードル規制部33の内周面33bの幅W1内に完全に収容されている状態となる。さらに換言すると、スナップリング60の全てが、外ローラ30の軸方向において、ニードル規制部33の内周面33bに重なるように位置する。これにより、ローラユニット2の作動中において、スナップリング60とニードル50が接触することを確実に防止できる。
よって、ニードル50は、スナップリング60のスリット幅が広くても、スリットに噛み込むことがない。そして、ニードル50の端部51または52は、凹凸の少ないニードル規制部33の端面33aと滑り接触し、滑らかに転動することができる。また、スナップリング60は、ニードル50と接触しないので、スリット幅を狭くするなど特殊な形状にする必要がなくなる。従って、汎用的なスナップリング60を使用できる。
さらに、ニードル規制部33および鍔部35がニードル50の軸方向最大幅となる部位に対して規制する構成なので、より確実にニードル50の軸方向移動を規制できる。よって、ニードル50の転動をより安定させることができる。また、ニードル50が円柱状や樽状であり、ニードル50の端部が回転軸に直交する平面の場合には、少なくともこの平面の一部にニードル規制部33が接触して規制するとよい。このような構成とすることで、ニードル規制部33は、確実にニードル50の軸方向移動を規制することができるので、ニードル50とスナップリング60の非接触状態を確実に維持することができる。
また、本実施形態では、ニードル50の軸方向最大幅となる部位に対して規制するものとした。しかし、ニードル50のスキュー角が小さいなどの要因により、ニードル50の軸方向移動が生じにくい場合には、軸方向最大幅とならない部位に対して規制をしても十分な効果を得られる。
ここで、等速ジョイント1がジョイント角を付加された状態で、外輪10とシャフトとの間で動力を伝達する場合に、ローラユニット2はトリポード軸部22に対して摺動している。これにより、トリポード軸部22の外周面と内ローラ40の内周面42との間に摩擦力が生じ、内ローラ40を外ローラ30に係止しているスナップリング60に軸方向の荷重が加えられる。スナップリング60には、この荷重により外ローラ30との接点を基点とするモーメントが発生する。
これに対して、本実施形態において、スナップリング規制部34の内径φo3は、ニードル転動面32の内径φo1およびニードル規制部33の内径φo2よりも小さくなるように形成されている。さらに、内径φo3は、内ローラ40の外径φiよりも僅かに大きくなるように形成されている。これにより、モーメントが発生する基点は、ニードル転動面32およびニードル規制部33の内周面33bよりも外ローラ30の径方向内方に位置する。よって、スナップリング60が内ローラ40から受ける荷重点から基点までの距離を、従来に比べて短くできる。その結果、スナップリング60に発生するモーメントを低減できる。従って、この点からも汎用的なスナップリング60を使用できる。また、内ローラ40は、スナップリング規制部34の開口部を挿通可能となっているので、ローラユニット2の組付け時において、内ローラ40がスナップリング規制部34に制限されない。
その他、本実施形態において、ニードル規制部33およびスナップリング規制部34は、外ローラ30の内周面において連設されている。つまり、外ローラ30の内周面は、ニードル転動面32とニードル規制部33の内周面33bとスナップリング規制部34の内周面34bとによって階段状に形成されている。そして、スナップリング60は、外ローラ30開口側の端面63がスナップリング規制部34に規制されると共に、外周面61がニードル規制部33の内周面33bに当接する構成となっている。これにより、スナップリング60の厚さとニードル規制部33の内周面33bの幅を外ローラ30の軸方向に対して重ねることができる。よって、スナップリング60の厚さ分だけ省スペース化を図ることができる。従って、ローラユニット2全体を小型化することができる。
また、本実施形態の外ローラ30は、内周面の一方側端部のみに、スナップリング規制部34が形成し、1つのスナップリング60で全体の一体性を保持している。これにより、ローラユニット2の構成を簡易化することができる。また、両端部にスナップリング60を使用する構成と比べて、部品点数を減らすことができるので、コストを低減できると共に、組付け時の負担を軽減することができる。
<第二実施形態>
第二実施形態の構成について、図4を参照して説明する。図4は、第二実施形態のローラユニット102の一部を拡大した断面図である。
ここで、第二実施形態の構成は、主に、第一実施形態の外ローラ30の内周面において、ニードル規制部133とスナップリング規制部134が連設されていない点が相違する。なお、その他の構成については、第一実施形態と同一であるため、詳細な説明を省略する。以下、相違点のみについて説明する。
ローラユニット102の外ローラ130は、その内周面において、ニードル転動面32と、ニードル規制部133と、スナップリング規制部134と、鍔部35を有する。ここで、ニードル転動面32および鍔部35は、第一実施形態と同一である。本実施形態では、ニードル規制部133とスナップリング規制部134が離間して形成されている。そして、その両者の離間距離は、スナップリング60の厚みとほぼ同じ大きさに設定されている。そして、この間にスナップリング60が嵌め込まれる。また、スナップリング規制部134は、ニードル転動面32より外ローラ130の径方向内方に位置するように形成されている。
よって、スナップリング60は、ニードル規制部133のニードル50から遠い側(外ローラ130の開口側)の端面133cと、スナップリング規制部134の端面134aによって係止される。従って、スナップリング60は、スナップリング規制部134により、スナップリング60の外ローラ130に対する軸方向移動を規制されている。これにより、ニードル規制部133のニードル転動面32からの突出距離を比較的多く取ることができる。
また、スナップリング60の端面64は、ニードル規制部133の端面133aよりも外ローラ130の開口側に位置している。これにより、スナップリング60とニードル50が接触することをより確実に防止することができる。また、スナップリング60の両端面を外ローラ130の内周面で係止するので、スナップリング60とニードル50が接触することをより確実に防止することができる。また、スナップリング60に発生するモーメントの基点は、ニードル転動面32よりも外ローラ130の径方向内方に位置する。よって、スナップリング60が内ローラ40から受ける荷重点から基点までの距離を、従来に比べて短くできる。その結果、スナップリング60に発生するモーメントを低減することができる。
しかし、このような構成では、スナップリング60の幅の分だけニードル50の軸方向長さを短くする必要性や、外ローラ130の軸方向長さを大きくする必要性が生じることがある。よって、ローラユニット2,102の小型化および省スペース化を図るという観点からは、外ローラ30,130の内周面を階段状に形成する方が望ましい。
<第三実施形態>
第三実施形態の構成について、図5を参照して説明する。図5は、第三実施形態のローラユニット202の一部を拡大した断面図である。
ここで、第三実施形態の構成は、主に、第一実施形態の外ローラ30の内周面において、ニードル規制部33を有さないものとした点が相違する。なお、その他の構成については、第一実施形態と同一であるため、詳細な説明を省略する。以下、相違点のみについて説明する。
ローラユニット202の外ローラ230は、その内周面において、ニードル転動面32と、スナップリング規制部234と、鍔部35と、係止溝236を有する。ここで、ニードル転動面32および鍔部35は、第一実施形態と同一である。本実施形態では、ニードル転動面32の一方側端部にスナップリング60を係止するための係止溝236が形成されている。そして、スナップリング60は、この係止溝236に嵌め込まれ、内ローラ40およびニードル50の外ローラ230に対する軸方向移動を規制している。また、外ローラ230のスナップリング規制部234は、ニードル転動面32より外ローラ230の径方向内方に位置するように形成されている。
ここで、スナップリング規制部234の内周面234bは、ニードル転動面32よりも外ローラ230の径方向内方に位置する。従って、モーメントが発生する基点は、ニードル転動面32よりも外ローラ230の径方向内方に位置する。よって、スナップリング60が内ローラ40から受ける荷重点から基点までの距離を、従来に比べて短くできる。その結果、スナップリング60に発生するモーメントを低減できる。従って、スナップリング60の曲げ剛性を、従来と比べて低減することができる。
本実施形態では、従来のローラユニットに対して、特にスナップリング規制部234の構成を付加することにより、スナップリング60に加わるモーメントを低減できることについて述べた。しかし、このような構成において、ニードル50がスナップリング60と滑り接触することになる。よって、ローラユニット202の作動中において、ニードル50がスナップリング60のスリットに噛み込まないように、スリット幅を狭くするなど特殊な形状に変更する必要がある。従って、汎用的なスナップリング60の使用を可能にするなど、低コスト化を図るという観点からは、第一実施形態および第二実施形態の構成にすることが望ましい。
<その他>
第一〜第三実施形態において、外ローラ30,130,230は、いずれも鍔部35を有するものとした。これに対して、外ローラ30,130,230のニードル転動面32の両側端部にニードル規制部33およびスナップリング規制部34を設け、鍔部35を省く構成としてもよい。このような構成とすることで、ローラユニットとして対称的な形状となるので、ローラユニットをトリポード軸部22に誤組付けすることを防止できる。しかし、部品点数を減らし、組付け性の向上などの観点からは、鍔部35を有することが望ましい。
第一実施形態:等速ジョイント1の一部の径方向断面図である。 ローラユニット2の斜視図である。 ローラユニット2の一部の拡大した断面図である。 第二実施形態:ローラユニット102の一部の拡大した断面図である。 第三実施形態:ローラユニット202の一部の拡大した断面図である。
符号の説明
1:等速ジョイント、 2,102,202:ローラユニット
10:外輪、 11:軌道溝
20:トリポード、 21:ボス部、 21a:内周スプライン
22:トリポード軸部
30,130,230:外ローラ、 31:外周面、 32:ニードル転動面
33,133:ニードル規制部、 33a,133a:端面
33b,133b:内周面、 133c:端面
34,134,234:スナップリング規制部、 34a,134a:端面
34b,234b:内周面
35:鍔部、 35a:端面、 35b:内周面、 236:係止溝
40:内ローラ、 41:外周面、 42:内周面、 43,44:端面
50:ニードル、 51,52:端部
60:スナップリング、 61:外周面、 62:内周面、 63,64:端面
65:工具孔

Claims (11)

  1. 筒状からなり、内周面に外輪回転軸方向に延びる3本の軌道溝が形成された外輪と、
    シャフトに連結されるボス部、および、前記ボス部の外周面からそれぞれ前記ボス部の径方向外方に延びるように立設されそれぞれの前記軌道溝に挿入される3本のトリポード軸部を有するトリポードと、
    前記軌道溝に転動可能に挿入される外ローラと、前記トリポード軸部に対して軸支される内ローラと、前記外ローラの内周面と前記内ローラの外周面との間に転動可能に介在するニードルと、前記外ローラに固定されると共に前記内ローラに対して軸方向移動を規制するスナップリングとを有するローラユニットと、
    を備える摺動式トリポード型等速ジョイントであって、
    前記外ローラは、前記ニードルを転動させるニードル転動面と、前記ニードル転動面より前記外ローラの径方向内方に突出し前記ニードルの前記外ローラに対する軸方向移動を規制するニードル規制部と、前記スナップリングの前記外ローラに対する軸方向移動を規制するスナップリング規制部とを有し、
    前記スナップリングの前記ニードル側の端面は、前記ニードル規制部の前記ニードル側の端面に対して前記ニードルより遠い位置に位置することを特徴とする摺動式トリポード型等速ジョイント。
  2. 請求項1において、
    前記外ローラの前記ニードル規制部は、前記ニードルの軸方向最大幅となる部位よりも前記外ローラの径方向内方に延びて形成されることを特徴とする摺動式トリポード型等速ジョイント。
  3. 請求項1または2において、
    前記スナップリング規制部の内周面は、前記ニードル転動面よりも前記外ローラの径方向内方に位置するように形成されていることを特徴とする摺動式トリポード型等速ジョイント。
  4. 請求項3において、
    前記スナップリング規制部の内周面は、前記内ローラの外周面よりも前記外ローラの径方向外方に位置するように形成されていることを特徴とする摺動式トリポード型等速ジョイント。
  5. 請求項3または4において、
    前記スナップリングの外周面は、前記ニードル規制部の内周面に当接し、
    前記スナップリング規制部は、前記ニードル規制部よりも前記外ローラの径方向内方に突出するように形成されていることを特徴とする摺動式トリポード型等速ジョイント。
  6. 請求項5において、
    前記ニードル規制部および前記スナップリング規制部は、前記外ローラの内周面において連設されていることを特徴とする摺動式トリポード型等速ジョイント。
  7. 請求項6において、
    前記ニードル規制部の内周面幅は、前記スナップリングの厚さよりも大きいことを特徴とする摺動式トリポード型等速ジョイント。
  8. 筒状からなり、内周面に外輪回転軸方向に延びる3本の軌道溝が形成された外輪と、
    シャフトに連結されるボス部、および、前記ボス部の外周面からそれぞれ前記ボス部の径方向外方に延びるように立設されそれぞれの前記軌道溝に挿入される3本のトリポード軸部を有するトリポードと、
    前記軌道溝に転動可能に挿入される外ローラと、前記トリポード軸部に対して揺動可能に設けられる内ローラと、前記外ローラの内周面と前記内ローラの外周面との間に転動可能に介在するニードルと、前記外ローラに固定されると共に前記内ローラに対して軸方向移動を規制するスナップリングとを有するローラユニットと、
    を備える摺動式トリポード型等速ジョイントであって、
    前記外ローラは、前記ニードルを転動させるニードル転動面と、前記スナップリングの前記外ローラに対する軸方向移動を規制するスナップリング規制部とを有し、
    前記スナップリング規制部の内周面は、前記ニードル転動面よりも前記外ローラの径方向内方に位置し、且つ、前記内ローラの外周面よりも前記外ローラの径方向外方に位置するように形成されていることを特徴とする摺動式トリポード型等速ジョイント。
  9. 請求項1〜8のいずれか一項において、
    前記外ローラの内周面の一方側端部には、前記スナップリング規制部が形成され、
    前記外ローラの内周面の他方側端部には、前記内ローラおよび前記ニードルに対して軸方向移動を規制する鍔部が形成されていることを特徴とする摺動式トリポード型等速ジョイント。
  10. トリポードの3本のトリポード軸部に対して軸支され、外輪の軌道溝に転動可能に挿入される摺動式トリポード型等速ジョイントのローラユニットであって、
    前記軌道溝に転動可能に挿入される外ローラと、前記トリポード軸部に対して軸支される内ローラと、前記外ローラの内周面と前記内ローラの外周面との間に転動可能に介在するニードルと、前記外ローラに固定されると共に前記内ローラに対して軸方向移動を規制するスナップリングとを有し、
    前記外ローラは、前記ニードルを転動させるニードル転動面と、前記ニードル転動面より前記外ローラの径方向内方に突出し前記ニードルの前記外ローラに対する軸方向移動を規制するニードル規制部と、前記スナップリングの前記外ローラに対する軸方向移動を規制するスナップリング規制部とを有し、
    前記スナップリングの前記ニードル側の端面は、前記ニードル規制部の前記ニードル側の端面に対して前記ニードルより遠い位置に位置することを特徴とする摺動式トリポード型等速ジョイントのローラユニット。
  11. トリポードの3本のトリポード軸部に対して軸支され、外輪の軌道溝に転動可能に挿入される摺動式トリポード型等速ジョイントのローラユニットであって、
    前記軌道溝に転動可能に挿入される外ローラと、前記トリポード軸部に対して軸支される内ローラと、前記外ローラの内周面と前記内ローラの外周面との間に転動可能に介在するニードルと、前記外ローラに固定されると共に前記内ローラに対して軸方向移動を規制するスナップリングとを有し、
    前記外ローラは、前記ニードルを転動させるニードル転動面と、前記スナップリングの前記外ローラに対する軸方向移動を規制するスナップリング規制部とを有し、
    前記スナップリング規制部の内周面は、前記ニードル転動面よりも前記外ローラの径方向内方に位置し、且つ、前記内ローラの外周面よりも前記外ローラの径方向外方に位置するように形成されていることを特徴とする摺動式トリポード型等速ジョイントのローラユニット。
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