JP2010143799A - 光学素子成形用型の洗浄方法 - Google Patents
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Abstract
【課題】 成形用ガラス素材からの揮発物による光学素子成形用型の成形面の堆積物の洗浄は、塩酸、硫酸、硝酸等は強酸を使用するため、光学素子成形用型自体の腐食や、取り扱いの困難さがあった。
【解決手段】 リン酸を主成分とする成形用ガラス素材をプレス成形する光学素子成形用型を、リン酸で除去する。リン酸はリン酸を主成分とする成形用ガラス素材からの揮発物を容易に溶解することができる。またリン酸は強酸ではないため、取り扱いが容易であり、光学素子成形用型自体の腐食させることが無い。
【選択図】 図2
【解決手段】 リン酸を主成分とする成形用ガラス素材をプレス成形する光学素子成形用型を、リン酸で除去する。リン酸はリン酸を主成分とする成形用ガラス素材からの揮発物を容易に溶解することができる。またリン酸は強酸ではないため、取り扱いが容易であり、光学素子成形用型自体の腐食させることが無い。
【選択図】 図2
Description
本発明は、レンズやプリズム等の光学ガラス素子のプレス成形に使用する光学素子成形用型の洗浄方法に関するものである。
従来から、レンズやプリズム等の光学ガラス素子は、溶融ガラス、もしくは成形用ガラス素材を光学素子成形用型によりプレス成形することで製造される。このときのプレス成形は、たとえば400℃から600℃の高温で行なわれるため、溶融ガラス、もしくは成形用ガラス素材からの揮発物が光学素子成形用型に付着してしまう。プレス成形を繰り返すことによりこの付着物が堆積すると、成形した光学ガラス素子にキズや曇りを発生させる要因となってしまう。そのため、光学素子成形用型は一定の期間使用する度に洗浄することが必須となっている。
光学素子成形用型の洗浄には、酸またはアルカリを使用することが知られている。特開平1−119533号公報(特許文献1)には、酸として塩酸、硫酸、硝酸、アルカリとして水酸化ナトリウム、水酸化カリ、アンモニアを使用することが記載されている。また、特開平07−391639号公報(特許文献2)には、塩酸、硫酸、硝酸以外に酢酸を使用することが記載されている。また、特開2006−224611号公報(特許文献3)には、弗酸、弗硝酸を使用することが記載されている。
特開平1−119533号公報
特開平07−391639号公報
特開2006−224611号公報
しかしながら、前述の特許文献に記載されている、塩酸、硫酸、硝酸等は強酸である。従って取り扱いや管理に注意を要し、設備等にも耐酸性の強いものが必要となる。また、強酸は光学素子成形用型自体を腐食する可能性もある。そのため、光学素子成形用型として酸による腐食に強い材料を用いることが考えられるが、耐酸性の高い材料は限られており、製造上およびコスト上の大きな制約となる。また、成形面以外の型表面に酸が掛からないようにエポキシ樹脂等のマスクを配置し、光学素子成形用型を型ユニットから分解して成形面のみを洗浄する必要があった。
本発明は、前述の課題を解決するため、リン酸を主成分とする成形用ガラス素材をプレス成形する光学素子成形用型の成形面を、リン酸により洗浄する光学素子成形用型の洗浄方法を提供するものである。
本発明は、光学素子成形用型の洗浄に、リン酸を用いることで、光学素子成形用型の成形面を劣化させることがない。また、リン酸は取り扱いが容易なため洗浄工程の無害化、簡素化にもなるという効果が有る。
本発明において使用する成形用ガラス素材2は、リン酸を5wt%%以上含有するリン酸ガラス素材である。本発明者は、リン酸ガラス素材からの揮発物はリン酸に非常に良く溶けることに着目した。
本発明の実施の形態を、図面を参照して説明する。図1は、本発明において、洗浄の対象となる光学素子成形用型1に、成形用ガラス素材2を載せた状態を示している。成形用ガラス素材2はリン酸ガラス素材である。光学素子成形用型1の成形用ガラス素材2の載っている面が成形面3である。成形面3の表面は、成形面を保護するために不図示のコーティングが設けられている。光学素子成形用型1は、不図示のプレス成形機に組み込まれ、成形用ガラス素材2のプレス成形に使用される。プレス成形を繰り返し行なう事により、成形面3の表面には、成形用ガラス素材2からの揮発物が付着することと成る。
図2は、図1に示した光学素子成形用型1を、洗浄する洗浄槽の側面図である。図中100はリン酸の入った超音波槽、200は清浄な温水超音波槽、300は水蒸気槽である。まず、成形面3に揮発物が付着した光学素子成形用型1を超音波槽100に浸漬させる。超音波槽100で超音波を印加することで、成形面3に付着した揮発物はリン酸の溶解力により溶解される。次に超音波槽100から光学素子成形用型1を取り出し、温水超音波槽200に浸漬させ、温水により超音波洗浄する。更に、温水超音波槽200から光学素子成形用型1を取り出し、水蒸気槽300にて水蒸気を成形面に吹き付ける。このようにして、成形面3付着物を完全に除去した後、水蒸気槽300から光学素子成形用型1を引き上げ不図示の乾燥装置で乾燥させることで、洗浄は終了する。
このように、光学素子成形用型の洗浄にリン酸を使用することで、光学素子成形用型の成形面及び成形面以外の部分を腐食させることは無い。そのため、光学素子成形用型を型ユニットから分解して成形面のみを洗浄する必要は無く、型ユニットのままリン酸に浸漬することが可能である。これにより、洗浄工程は格段に合理化される。また、リン酸は、極めて弱い酸であるため、例えば手に直接液がかかったとしても全く問題は無く、取り扱いや管理の上で非常に扱いやすい。
次に、本発明の具体的な実施例1乃至2を説明する。
図1に示す光学素子成形用型1として、直径16mmの型母材に、曲率半径が10mmの凹形状の成形面3を加工した。この成形面3を0.1μmのダイヤモンド砥粒を用いて表面粗さ10nm以下鏡面に研磨した。次に、スパッタ法等により、この鏡面上に保護層を成膜した。実施例1乃至28における型母材と保護層(成形面コーティング)を表1に示す。
図1に示す成形用ガラス素材2は、リン酸を主成分とする(株)住田光学ガラス製K−PSFn3(nd=1.8391、νd=23.9、転移点Tg=477℃、屈伏点At=515℃、リン酸;約24wt%)、(株)住田光学ガラス製K−PSK50(nd=1.59380、νd=61.4、転移点Tg=381℃、屈伏点At=403℃、リン酸;約52wt%)、(株)オハラ製L−PHL1(nd=1.56455、νd=60.8、転移点Tg=350℃、屈伏点At=373℃、リン酸;約50wt%)、(株)住田光学ガラス製CaFK95(nd=1.43425、νd=95.0、転移点Tg=428℃、屈伏点At=464℃、リン酸;約6wt%)の4種類を使用した。
図3は光学素子のプレス成形装置の概略断面図である。図3において24はチャンバー、25は上軸、26は下軸、27はヒーターを内蔵したブロック(ヒーターブロック)、28はヒーターブロック、29は上型、30は下型、31はガラス、32は油圧シリンダーである。
まず、チャンバー24を不図示の真空ポンプによって真空引きした後、N2ガスを導入し、チャンバー24内をN2雰囲気にする。その後、ヒーターブロック27、28により上型29、下型30を加熱する。成形するガラスの粘度で109d・Pa・sに対応する温度になったら、油圧シリンダー32により、上軸25を引き上げ、下型30の上に不図示のオートハンドにより成形用ガラス素材2を置いた。そのままの型温度で、1分間保持した後、油圧シリンダー32により上軸25を降下させ、上型29と下型30でボールレンズを3000Nの力で3分間プレスし、70℃/分で冷却を行い、上下型温度がTg−40℃になった時点で上型29を上昇させ、不図示のオートハンドで下型30上の成形品31を取り出した。続いて不図示の置換装置を通して成形品31をチャンバー24より取り出した。次に上下型を加熱し、上記操作を繰り返し、表面層の曇や融着が顕著になるまで成形を行った。この成形は表1に記載のすべての光学素子成形用型1について行った。
次に揮発物やガラスが融着した光学素子成形用型1を、図2に示す洗浄槽で洗浄する。まず室温のリン酸超音波槽100に5分間浸漬し、槽内に与えた超音波振動とリン酸の溶解力により、成形面の汚れを落とした後、隣接して設けられた清浄な温水超音波槽200で1分間超音波洗浄する。その後水蒸気槽300に成形用型1を入れて、水蒸気を成形面に吹き付ける。このようにして、完全に付着物の除去が完了したならば、成形用型1を引き上げ、乾燥する。超音波の出力は例えば300Wとした。
実施例1乃至28の洗浄結果を、表1の右端に示す。尚、各実施例の洗浄結果は、前述の4種類の成形用ガラス素材のそれぞれで行なったが、何れも同じ結果が得られた。表1から分るように、全ての実施例において、汚れが除去されており、また、型の劣化も無かった。
尚、本実施例で用いたリン酸は、キシダ化学(株)製1級試薬(H3PO4、約85%)をそのまま薄めずに用いたが、リン酸の濃度を適宜薄めても、若干の処理時間の延長で同じ効果が得られる。
(比較例)
次に、比較例1乃至11を説明する。比較例は前述の実施例と同様に、図2および図3に示した装置で行なった。各比較例のそれぞれは、実施例1乃至28で使用された型母材と保護層に対して行なった。すなわち1比較例に対して28個の実験を行なった。尚、このときの成形用ガラス素材2は、(株)住田光学ガラス製K−PSFn3を使用した。その結果を表2に示す。
次に、比較例1乃至11を説明する。比較例は前述の実施例と同様に、図2および図3に示した装置で行なった。各比較例のそれぞれは、実施例1乃至28で使用された型母材と保護層に対して行なった。すなわち1比較例に対して28個の実験を行なった。尚、このときの成形用ガラス素材2は、(株)住田光学ガラス製K−PSFn3を使用した。その結果を表2に示す。
表2から分るように、全ての成形面以外の部分に劣化(表面粗さの増大)が生じ、更に一部の成形面に劣化が認められた。
尚、本実施例では、リン酸槽に型を浸漬したが、洗浄方法は、これに限定されるものではなく、綿棒にリン酸をつけて成形面を擦っても良い。また、成形面にリン酸を噴霧した後所望の時間(例えば5分)経過後にふき取るなどの方法でも良い。
1 成形用型
2 光学素子成形素材
3 成形面
24 チャンバー
25 上軸
26 下軸
27、28 ヒーターブロック
29 上型
30 下型
31 ガラス
32 油圧シリンダー
100 超音波槽
200 温水超音波槽
300 水蒸気槽
2 光学素子成形素材
3 成形面
24 チャンバー
25 上軸
26 下軸
27、28 ヒーターブロック
29 上型
30 下型
31 ガラス
32 油圧シリンダー
100 超音波槽
200 温水超音波槽
300 水蒸気槽
Claims (4)
- リン酸を主成分とする成形用ガラス素材をプレス成形する光学素子成形用型の成形面を、リン酸により洗浄することを特徴とする光学素子成形用型の洗浄方法。
- 前記リン酸による洗浄は、前記光学素子成形用型をリン酸のなかに浸漬することでなされることを特徴とする請求項1に記載の光学素子成形用型の洗浄方法。
- 前記リン酸による洗浄は、前記光学素子成形用型の成形面にリン酸を噴霧することでなされることを特徴とする請求項1に記載の光学素子成形用型の洗浄方法。
- 前記リン酸により洗浄された光学素子成形用型は、温水超音波槽および水蒸気槽により更に洗浄されることを特徴とする請求項1に記載の光学素子成形用型の洗浄方法。
Priority Applications (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP2008324164A JP2010143799A (ja) | 2008-12-19 | 2008-12-19 | 光学素子成形用型の洗浄方法 |
Applications Claiming Priority (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
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JP2008324164A JP2010143799A (ja) | 2008-12-19 | 2008-12-19 | 光学素子成形用型の洗浄方法 |
Publications (1)
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Family Applications (1)
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JP2008324164A Pending JP2010143799A (ja) | 2008-12-19 | 2008-12-19 | 光学素子成形用型の洗浄方法 |
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2008
- 2008-12-19 JP JP2008324164A patent/JP2010143799A/ja active Pending
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