JP2010142708A - 尿汚水浄化装置およびその浄化方法 - Google Patents
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Abstract
【解決手段】 尿汚水が流入する流入口2およびこの尿汚水の処理水を流出させる流出口3が設けられ、上部に開口1aを有した尿汚水処理槽1と、この尿汚水処理槽1の底部側に配置された散気管9cに空気を送気する送気手段9aと、前記開口1a側に複数の散水口が向けられて前記尿汚水処理槽1の上方に配設された散水部7に前記尿汚水処理槽1内の尿汚水を給水する給水ポンプ5を備えた散水手段4と、尿汚水浄化微生物が付着された多孔材を載置する網体および散水孔が複数形成された散水板を離間させて筒体内に保持した尿汚水浄化手段10とを備え、この尿汚水浄化手段10が前記開口1aの上方において前記各散水口の直下にそれぞれ配置されてなる。
【選択図】図1
Description
この尿汚水は、汚れの元である有機物を多く含んでいるので、浄化施設で生物化学的酸素要求量(BOD)を1,200mg/L程度にまで希釈して浄化し、河川に放流するのが一般的であった。
しかしながら、このような希釈法によると、浄化施設が必然的に大型化するので、畜産農家に設置場所の確保と高額の負担を強いるという難点があった。
この反応方法に用いられる反応装置は、液体(汚水)の移動が可能な溢流管を設けたボート形の容器と、菌群等を担持した多孔質体とを組み合わせて多段にし、容器間に空間部分を生じさせた状態で、密閉された反応槽内に収納した構成となっている。
また、空間部分は、多孔質体の間に形成された気体の移動できる流通孔を介してつながっており、所望成分の気体で満たしておいて、液体を多孔質体に供給し反応させるようになっている。
また、所望の成分の気体は、多孔質体内を通って移動することがなく、多孔質体と接触するのがその表面のみとなるので、多孔質体に担持されている菌群等が剥離することなく反応するというものである。
よって、汚水が容器内を移動すると、多孔質体が水没状態となり、汚水中での反応となることから、酸素の接触が殆どなく、有機物等の分解が活性化されず、尿汚水の汚れ浄化や脱臭には一定の限界があった。
さらに、前記循環処理時に、前記尿汚水が前記尿汚水浄化手段を通過するとき、前記散水板の散水孔によりシャワー状に分散されて多孔材の尿汚水浄化微生物に対する酸素の供給量が増加して活性化されるので、尿汚水に含まれる有機物等が効果的に分解される。よって、従来のように、尿汚水中に尿汚水浄化微生物を水没させて有機物等を分解する場合に比して浄化作用が格段に向上する。これにより、希釈を行う必要がなくなるので、尿汚水浄化装置が大型化することなく、設置コストを大幅に低減できる、といった効果がある。
そして、前記尿汚水循環処理時に尿汚水を曝気するので、効率よく曝気処理を行うことができる。
さらに、前記循環処理時に前記尿汚水が前記尿汚水浄化手段を通過するとき、シャワー状に分散されて多孔材の尿汚水浄化微生物に対する酸素の供給量が増加して活性化されるので、尿汚水に含まれる有機物等が効果的に分解される。よって、従来のように、尿汚水中に尿汚水浄化微生物を水没させて有機物等を分解する場合に比して浄化作用が格段に向上する、といった効果がある。
図1は本発明の尿汚水浄化装置の概要構成を示す断面図、図2は尿汚水浄化部の実施例1に係る側面図、図3は同尿汚水浄化部の縦断面図である。
前記送気管9bの一端には、排気孔を多数設けた送気ヘッド9cが接続される一方、他端はエアコンプレッサ9aに接続されている。
送気ヘッド9cは、尿汚水処理槽1の底部側に配置されており、エアコンプレッサ9aからの圧縮空気を排気孔から排気して、尿汚水処理槽1に貯留された尿汚水を曝気する。これにより、尿汚水処理槽1内で最初の尿汚水浄化がなされる。
排水管3は、他端が曝気槽18の側周面に接続されており、尿汚水処理槽1からの処理水を曝気槽18に送水する。この曝気槽18は、下部の側周面に前記送気管9bが接続されている。
この沈殿槽20は、排水管19の反対側の側周面に排水管21が接続されている。この排水管21は、例えば、河川に延出しており、沈殿槽20で不純物が沈殿除去された処理水を浄化水として、河川に放流するようになっている。
支柱8は、尿汚水処理槽1の開口1aの周縁に立設され、尿汚水処理槽1の上方において各散水管7を支持している。この散水管7は、後述の尿汚水浄化部10に合わせた本数が備えられており、各基端を配水部6に接続して開口1全体に拡がるように配管されている。
この給水ポンプ5は、制御部により運転が制御され、起動時に尿汚水処理槽1の貯留尿汚水を汲み出して、配水部6に送水し各散水管7に給水する。これにより、尿汚水が各散水管7の散水口7aから、各尿汚水浄化部10に向けて落下する。
円筒体11は、対向する側周面の縦方向に略円形の挿入口11aが各3個形成されており、この挿入口11aを介して、多孔材17の収納や交換を可能としている。
そして、連結孔11bのうち、上段の連結孔11bに紐部材13が挿通されて、図1、図4に示す如く前記散水管7に吊下げられる。この際は、散水管7の各散水口7aの位置に吊下げることにより、尿汚水浄化部10を散水口7aの直下に配置させ、散水口7aからの散水を上段の尿汚水浄化部10側に落下可能とする。
これにより、各尿汚水浄化部10は、円筒体11の内部、円筒体11相互、貯留尿汚水との間に空気層がそれぞれ形成される。
なお、この尿汚水浄化部10は、散水管7に吊下げる以外に、尿汚水処理槽1の開口1aの上部に網状の架台を設け、この架台に載置して各散水口の直下に配置する構成としてもよい。
網体15は、図5に示す如く円形金網であって、上方から1番目、3番目、4番目の保持部14に保持される。そして、各網体15にガラス発泡材17が載置されるようになっている。
尚、この保持部14に代えて、各網体15に引っ掛けを設けて、この引っ掛けを挿入口11aに引っ掛けるようにしても良い。
この微生物は、空気中に曝されることによって酸素との接触量が増え、有機物等の分解が活性化され、尿汚水の汚れ浄化や脱臭が促進される特徴を有している。
以上のように構成された尿汚水浄化部10は、小型コンパクトであるから、飼育場の規模および尿汚水処理槽1の容量に合わせて設置数を加減することが可能であり、尿汚水浄化装置全体を小型に設計製作することができる。
但し、図1に示す尿汚水処理槽1に、飼育場からの尿汚水が送給されて、開口1a近傍のレベルまで貯留されているものとする。
これに伴い、尿汚水処理槽1内の送気ヘッド9cに圧縮空気が送られて、尿汚水の曝気がなされる。また、圧縮空気は曝気槽18の送気ヘッド9dにも送られて、処理水の曝気がなされる。
すると、尿汚水浄化部10に落下し散水板16とガラス発泡材17を通過して尿汚水処理槽1に戻される。
また、尿汚水処理槽1の尿汚水は、給水ポンプ5により再び散水管7に給水されて、図4に示す如く散水口7aから尿汚水浄化部10に散水されることにより、尿汚水が循環する。これにより、尿汚水が繰り返し浄化処理されるので、浄化が促進される。併せて、送気ヘッド9dによる曝気も維持されて浄化が一層促進される。
これにより、ガラス発泡材17の尿汚水浄化微生物に対する酸素の供給量が増加して活性化されるので、尿汚水に含まれる有機物等が効果的に分解され、浄化される。
(表1)尿汚水浄化装置による尿汚水の浄化結果
尚、発泡材通過後とは、尿汚水処理層1の出口の各濃度をいう。最終処理水とは、沈殿槽20の出口の濃度をいう。
排水基準は、水質汚濁防止法第三条第一項、排水基準を定める省令第一条別表第二の規定である。BODは生物化学的酸素要求量、CODは化学的酸素要求量である。
この尿汚水浄化部22は、前記円筒体11を方形筒体23に形成したもので、基本的構成は前記実施例1の尿汚水浄化部10と略同一である。
即ち、方形筒体23は、前記円筒体11と同じく全体に多数の小孔又は隙間或いは通気空間を形成してあり、通気性を高めている。また、上端に連結孔23aが4個形成されており、この連結孔23aに前記紐部材12が挿通されて、3個の方形筒体23が連結される。
そして、連結孔23aのうち、最上段となる方形筒体23の連結孔23aに紐部材13が挿通されて、前記散水管7に吊下げられる。
この網体および散水板は、方形筒体23の内径に合わせて略方形に形成してあり、円筒体11と同様に、上方から2番目の保持部に散水板が保持され、上方から1番目、3番目、4番目の保持部に網体が保持される。そして、各網体に前記ガラス発泡材17が載置される。
この尿汚水浄化部24は、前記実施例1の円筒体11を短くして円筒枠体25を形成し、1対の網体および散水板と、ガラス発泡材17を保持したものである。この円筒枠体25は、前記網体15および散水板16を1組収納可能な長さにしてある。
そして、連結孔25aのうち、最上段となる円筒枠体25の連結孔25aに紐部材13が挿通されて、前記散水管7に吊下げられる。
また、この円筒枠体25は、図示省略しているが、内周面の2箇所に保持部を突設してあり、前記網体15および散水板16を保持している。
よって、前記実施例1および2と同様、散水口7aから落下した尿汚水が、酸素の供給量の増加により活性化された尿汚水浄化微生物に接し、尿汚水に含まれる有機物等が効果的に分解され、浄化される。
この尿汚水浄化部27は、前記実施例2の方形筒体22を短くして方形枠体28を形成し、前記実施例3の円筒枠体25と同じく1対の網体および散水板と、ガラス発泡材17を保持したものである。
そして、連結孔28aのうち、最上段となる方形枠体27の連結孔28aに紐部材13が挿通されて、前記散水管7に吊下げられる。
これにより、前記実施例3の円筒枠体25を備えた尿汚水浄化部24等と同様の作用効果を有する。
この尿汚水浄化部29は、前記実施例4の方形枠体28を逆台形状の略方形にして略方形枠体30を形成し、前記実施例3の円筒枠体25や実施例4の方形枠体28と同じく1対の網体および散水板と、ガラス発泡材17とを保持したものである。
そして、連結孔30aのうち、最上段となる略方形枠体30の連結孔30aに紐部材13が挿通されて、前記散水管7に吊下げられる。
これにより、前記実施例3の円筒枠体25や実施例4の方形枠体28を備えた尿汚水浄化部24,27等と同様の作用効果を有する。
また、前記沈殿槽20に尿汚水浄化部10を多数個配設し、曝気槽18からの処理水をさらに浄化したうえ、不純物を沈殿除去する構成としてもよい。
また、本実施の形態で示した尿汚水浄化装置は、本発明に係る装置の一態様に過ぎず、本発明の要旨を逸脱しない範囲内で適宜設計変更できることは勿論である。
1a 開口
2 流入口
3 流出口
4 散水手段
5 給水ポンプ
7 散水部
9 送気管
9c 散気管
10 尿汚水浄化手段
Claims (6)
- 畜産動物またはその飼育場から排出される尿を含む尿汚水が流入する流入口およびこの尿汚水の処理水を流出させる流出口が設けられ、上部に開口を有した尿汚水処理槽と、
この尿汚水処理槽の底部側に配置された散気管に空気を送気する送気手段と、
前記開口側に複数の散水口が向けられて前記尿汚水処理槽の上方に配設された散水部に前記尿汚水処理槽内の尿汚水を給水する給水ポンプを備えた散水手段と、
尿汚水浄化微生物が付着された多孔材を載置する網体および散水孔が複数形成された散水板を離間させて筒体内に保持した尿汚水浄化手段とを備え、
この尿汚水浄化手段が前記開口の上方において前記各散水口の直下にそれぞれ配置されてなることを特徴とする尿汚水浄化装置。 - 前記筒体が円形管や略方形管により形成されてなることを特徴とする請求項1に記載の尿汚水浄化装置。
- 前記筒体内に前記網体と散水板とが1対保持され、この筒体が上下方向に複数個連結されて前記尿汚水浄化手段が構成されてなることを特徴とする請求項1または2に記載の尿汚水浄化装置。
- 前記尿汚水浄化手段が、前記散水口の近傍に吊下げられてなることを特徴とする請求項1または3の何れかに記載の尿汚水浄化装置。
- 前記多孔材が、ガラス材を焼成して発泡させたガラス発泡材であることを特徴とする請求項1に記載の尿汚水浄化装置。
- 請求項1ないし5の何れかに記載の尿汚水浄化装置を用いる尿汚水浄化方法であって、
(1)畜産動物またはその飼育場から排出される尿を含む尿汚水が、流入口を介して尿汚水処理槽に流入し所用量が貯留されると、散水手段の給水ポンプが前記尿汚水処理槽の尿汚水を散水部に給水し、この散水部の散水口から尿汚水が散水されると、この散水口の直下に配置された尿汚水浄化手段に落下し、この汚水浄化手段の筒体内に保持された散水板と尿汚水浄化微生物が付着された多孔材を通過して前記尿汚水処理槽に戻された後、前記給水ポンプにより再び前記散水部側に給水する循環処理、
(2)この循環処理時に、送気手段から前記尿汚水処理槽の底部側に配置された散気管に空気が送気されて尿汚水を曝気する曝気処理、
(3)前記循環処理時に、前記尿汚水が前記尿汚水浄化手段を通過するとき、前記散水板の散水孔によりシャワー状に分散されて空気に触れつつ多孔材の尿汚水浄化微生物に接し、尿汚水に含まれる有機物等が微生物により分解されて浄化する浄化処理を含み、
この処理水が前記尿汚水処理槽の流出口から浄化水として排出されることを特徴とする尿汚水浄化方法。
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