JP2010138842A - ガス浄化装置 - Google Patents
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Abstract
【課題】捕捉されたPMを加熱することなく効率よく除去して、浄化対象ガスを浄化することができるガス浄化装置を提供することを目的とする。
【解決手段】ガス浄化装置10は、放電電極32、放電電極32に誘電体31を介して対向するように設けられた放電用対向電極33、ガス流路36を介して放電電極32に対向して設けられた集塵用対向電極34を備える。放電電極32を構成する導電体のパターンは、導電体によって周囲が囲まれる閉ループとなる部分を有しないように形成される。導電体のパターンは、導電体のパターン上の任意の点を中心とする同じ直径の円の包絡線を前記円の直径を増加させながら描いた場合に、包絡線どうしが少なくともいずれか1箇所において最初に接する際の円の直径Sと、放電電極32と放電用対向電極33との間の誘電体31の厚さDとがS/D≧0.5の関係を満たすように構成される。
【選択図】図2
【解決手段】ガス浄化装置10は、放電電極32、放電電極32に誘電体31を介して対向するように設けられた放電用対向電極33、ガス流路36を介して放電電極32に対向して設けられた集塵用対向電極34を備える。放電電極32を構成する導電体のパターンは、導電体によって周囲が囲まれる閉ループとなる部分を有しないように形成される。導電体のパターンは、導電体のパターン上の任意の点を中心とする同じ直径の円の包絡線を前記円の直径を増加させながら描いた場合に、包絡線どうしが少なくともいずれか1箇所において最初に接する際の円の直径Sと、放電電極32と放電用対向電極33との間の誘電体31の厚さDとがS/D≧0.5の関係を満たすように構成される。
【選択図】図2
Description
本発明は、粒子状物質等の有害物質を含む浄化対象ガスから有害物質を除去して浄化するガス浄化装置に関する。
従来、エンジン等の排ガス発生源から排出された排ガスから粒子状物質(PM;Particulate Matter)等の有害物質を浄化するためのガス浄化装置として、PMを含む排ガスのガス流路にPMフィルタを設け、このPMフィルタによりPMを捕捉する装置がある。例えば、特開平11−062558号公報に記載には、PMフィルタに捕捉したPMに含まれる炭素等の物質を加熱ヒータで燃焼して除去し、PMフィルタの機能を再生するガス浄化装置が開示されている。
このガス浄化装置においては、PMの捕捉に機械的集塵を用いているために排ガスの圧力損失が高く、エンジン等の排ガス発生源に対する負荷が高くなるという問題がある。
また、PMフィルタに捕捉されたPMに含まれる炭素等の物質を酸素との燃焼反応により除去するため、ガスの温度を600℃程度に加熱する必要がある。そのため、外部加熱ヒータおよび逆洗機構等の追設や、燃焼のための燃料の追加噴射が必要となり、特に排ガス温度が低温(特に200℃以下)である場合にはPMを効率良く除去することが困難である。
そこで、排ガスの流れ方向に交差してコロナ放電を行い排ガスを浄化するガス浄化装置が開示されている(例えば、特許文献1参照。)。このガス浄化装置では、コロナ放電により発生した放電プラズマによって荷電されたPMを誘電体や放電電極に捕捉し、加熱せずに除去して、排ガスを浄化することができる。
特開2005−320895号公報
しかしながら、従来の浄化装置を用いて、負荷変動の激しい実エンジンからの排ガスを処理する場合、誘電体や放電電極に捕捉されたPMが燃焼しきれずに堆積することがあった。これによって、コロナ放電が不安定となったり、コロナ放電を生じなくなったりすることがあった。さらに、PMが堆積して排ガスが流れる流路断面積が小さくなり、排ガス流路における圧力損失が上昇するなどの問題も生じることがあった。また、システムの大きさや重量が大きいことが実用化上の課題であった。
そこで、本発明は、上記問題を解決するためになされたものであり、捕捉されたPMを加熱することなく効率よく除去して、浄化対象ガスを浄化することができるガス浄化装置を提供することを目的とする。
上記目的を達成するために、本発明の一態様によれば、放電電極、前記放電電極に誘電体を介して対向するように設けられた放電用対向電極を備え、浄化対象ガスが流動するガス流路に放電用の電界を形成して前記放電電極から沿面放電して放電プラズマを生成し、前記浄化対象ガスに含まれる粒子状物質を前記放電プラズマの作用により荷電するとともに燃焼処理する第1の電界形成手段と、前記ガス流路を介して前記放電電極に対向して設けられた集塵用対向電極を備え、前記荷電された粒子状物質を電気的集塵機能により捕捉するとともに前記放電プラズマを前記ガス流路側に引出すための集塵用の電界を形成する第2の電界形成手段とを具備するガス浄化装置であって、少なくとも前記第1の電界形成手段の放電電極は、前記誘電体の前記ガス流路側の表面に設けられたパターン化された導電体により構成され、前記導電体のパターンは、前記導電体によって周囲が囲まれる閉ループとなる部分を有しないように形成され、かつ前記導電体のパターン上の任意の点を中心とする同じ直径の円の包絡線を前記円の直径を増加させながら描いた場合に、包絡線どうしが少なくともいずれか1箇所において最初に接する際の前記円の直径Sと、前記放電電極と前記放電用対向電極との間の前記誘電体の厚さDとが、S/D≧0.5の関係を満たすように構成されていることを特徴とするガス浄化装置が提供される。
本発明のガス浄化装置によれば、捕捉されたPMを加熱することなく効率よく除去して、浄化対象ガスを浄化することができる。
以下、本発明の実施の形態について図面を参照して説明する。
(第1の実施の形態)
図1は、本発明に係る第1の実施の形態のガス浄化装置10を備えるガス浄化システムを模式的に示したブロック図である。図2は、本発明に係る第1の実施の形態のガス浄化装置10の断面を模式的に示す図である。図3は、放電電極32近傍における放電プラズマPの発生の様子を説明するための放電電極32近傍の断面を示す図である。
図1は、本発明に係る第1の実施の形態のガス浄化装置10を備えるガス浄化システムを模式的に示したブロック図である。図2は、本発明に係る第1の実施の形態のガス浄化装置10の断面を模式的に示す図である。図3は、放電電極32近傍における放電プラズマPの発生の様子を説明するための放電電極32近傍の断面を示す図である。
図1に示すように、ガス浄化装置10は、例えば、自動車のエンジン20から排出される排ガス等の浄化対象ガスEGが通る排気流路21に設けられる。図2に示すように、このガス浄化装置10は、浄化対象ガスEGの流路上に設けられる放電反応部30、この放電反応部30と放電用電気系統51を介して接続された放電用電源50、および放電反応部30と集塵用電気系統61を介して接続された集塵用電源60を備える。
放電反応部30は、誘電体31、放電電極32、この放電電極32に誘電体31を介して対向して設けられた放電用対向電極33、放電電極32に浄化対象ガスEGの流路を介して対向して設けられた集塵用対向電極34を備える。また、放電反応部30において、放電用対向電極33や集塵用対向電極34よりも上流側に荷電用電極35を設けてもよい。
誘電体31は、誘電材料からなる、例えば平板あるいは筒体であり、例えば自動車のエンジンから排出される排ガス等の浄化対象ガスEGの流路上に設けられる。このため、誘電体31内部には、浄化対象ガスEGが導かれて浄化対象ガスEGのガス流路36が形成される。ここで誘電材料として、例えば、テフロン(登録商標)、エポキシ、カプトン等の樹脂や、ガラス、アルミナ、窒化アルミ等のセラミックスを用いることができる。また、実際のエンジンからの排ガスを処理する場合のように高温での処理が必要な場合には、セラミックスの使用が有効であり、誘電材料の温度特性を考慮すると、高温での誘電損失が小さい材料、例えばアルミナ等を用いることが消費電力低減の観点から有効である。特に1kHzで測定した300℃での誘電損失がtanδ<0.1である材料では良好な浄化性能を得ることができる。誘電体31の比誘電率を0.1〜1000、誘電体31の厚さを0.01mm〜10mm程度とすれば、後述する沿面放電を容易に点弧することができる。
ここで、誘電体31をセラミックスを用いて構成する場合、例えば、電子ビーム物理蒸着(EB−PVD)によって金属表面にセラミックスの層を形成することで誘電体31を構成することができる。この方法により緻密なセラミックスの層を形成することができるため、通常の焼結法により作成されたセラミックス板に比べて耐電圧の高いセラミックス層を任意の金属曲面上に形成することができる。そのためコンパクトで形状自由度の高い排ガス浄化装置を作製することが可能となる。
このガス流路36の内壁面には、放電電極32と集塵用対向電極34とがガス流路36を介して互いに対向して設けられている。放電電極32は、誘電体31のガス流路36側の表面に設けられたパターン化された導電体により構成される。導電体のパターンは、導電体によって周囲が囲まれる閉ループとなる部分を有しないように形成される。閉ループをさらに説明すれば、閉ループは、導電体によって周囲が囲まれることによって形成される閉領域である。さらに導電体のパターンは、導電体のパターン上の任意の点を中心とする同じ直径の円の包絡線を前記円の直径を増加させながら描いた場合に、包絡線どうしが少なくともいずれか1箇所において最初に接する際の円の直径Sと、放電電極32と放電用対向電極33との間の誘電体31の厚さDとが次の式(1)に示す関係を満たすように構成されている。なお、円の直径Sについては、後に詳細に説明する。
S/D≧0.5 …式(1)
S/D≧0.5 …式(1)
まず、導電体のパターンについて、図4A〜図4Eを参照して説明する。
図4A〜図4Eは、放電電極32を構成する導電体のパターンを示す平面図である。なお、図4Aには、上記した円の直径Sについて説明するための、円100と包絡線101が点線で示されている。
図4Aに示すように、導電体のパターンは、例えば、1つの母線90と、この母線90からそれぞれが交わらないように分岐した複数の枝線91とから構成されてもよい。なお、枝線91は、母線90から少なくとも1つ分岐されていればよい。このように、枝線91のそれぞれが交わらないように分岐されることで、導電体によって周囲が囲まれる閉ループとなる部分を有さず、枝線91の先端側が開かれた開ループを構成している。
ここで、図4Aに示した導電体のパターンを用いて、上記した円の直径Sについて説明する。
図4Aに示すように、導電体のパターン上の任意の点を中心とする同じ直径の円100を複数描き、この複数の円100の包絡線101を描く。図4Aに示された包絡線101では、包絡線101どうしが接する部分は存在しない。次に、円100の直径を増加させた同じ直径の円を複数描き、この複数の円の包絡線を描く。これを繰り返し行うことで、包絡線どうしが少なくともいずれか1箇所において最初に接する部分が生じる。この際の円の直径をSとしている。
また、図4Bおよび図4Cに示すように、導電体のパターンは、例えば、少なくとも1つの屈曲部を有し、交差する部分がないように設けられた1つの母線90で構成されてもよい。図4Bには、母線90が渦巻き状に形成されたもの、図4Cには、母線90が渦巻き状に形成されたものジグザグ状に形成されたものを例示している。この場合においても、母線90は、交差する部分がないように設けられているので、閉ループとなる部分を有さず、開ループを構成している。
また、図4Dおよび図4Eに示す導電体のパターンは、図4Aに示した導電体のパターンの枝線91にさらに枝線92を設けたものである。さらに、図4Fに示す導電体のパターンは、図4Aに示した導電体のパターンの枝線91を渦巻き状に形成されたものである。図4D〜図4Fに示すいずれの導電体のパターンにおいても、上記した他の導電体のパターンと同様に、閉ループとなる部分を有さず、開ループを構成している。
ここで、図4A〜図4Eでは、図中の矢印の方向から浄化対象ガスEGが流れてくる状態における導電体のパターンを示しているが、導電体のパターンは、浄化対象ガスEGの流方向に対して90度回転したパターンであっても、45度回転したパターンであってもよい。すなわち、上記した形状のパターンを、浄化対象ガスEGの流方向に対して任意の角度で設定することができる。
ここで、上記したように、閉ループとなる部分を有さず、開ループを構成する導電体のパターンで放電電極32を構成することが好ましい理由を説明する。
図5は、閉ループとなる部分を有さず、開ループを構成する導電体のパターンで構成された放電電極115を示す平面図である。図6は、閉ループとなる部分を有する導電体のパターンで構成された放電電極116を示す平面図である。図7は、図5に示した放電電極115を用いたときの放電電極上および放電電極間に堆積するPMの様子を模式的に示した図である。図8は、図6に示した放電電極116を用いたときの放電電極上および放電電極間に堆積するPMの様子を模式的に示した図である。図9は、図5および図6に示した放電電極115、116を用い、放電電極上および放電電極間にPMを堆積させた状態で電力を投入したときのPMの燃焼量を示す図である。なお、放電電極間に堆積させたPM量および印加する電力は、それぞれ同じとした。また、ここでは、図5および図6中の矢印の方向から浄化対象ガスEGを導入している。
放電電極上には、PMが捕捉されるため、放電電極上および放電電極間には、図7および図8に示すようにPMが堆積することがある。放電電極間に導電性のPMが付着すると、放電電極間の電界が緩和され、図7および図8の点線で示す領域にのみにしか放電プラズマPが発生しなくなる。
図7に示すような開ループの放電電極115内では、放電電極115の開部から放電電極間に放電プラズマPが侵入し、PMの燃焼が内部まで進展する。そして、最終的に全領域のPMを燃焼させ、電界緩和が解消される。
一方、図8に示すような閉ループの放電電極116内では、閉ループ内がPMで埋め尽くされた場合に、閉ループ内には放電プラズマPが発生しない。そのため、放電プラズマPによるPMの燃焼が起こらず、埋め尽くされた部分に再度放電プラズマを発生させることが困難となる。
また、図9に示すように、図7に示された放電電極115を用いた場合の方が、図8に示された放電電極116を用いた場合よりも、経過時間当たりのPMの燃焼量が多く、すなわちPMを燃焼させる速度が速い。そのため、図7に示された放電電極115を用いた場合の方が、図8に示された放電電極116を用いた場合よりも、効率的にPMを燃焼させることができる。
次に、導電体のパターンが、導電体のパターン上の任意の点を中心とする同じ直径の円の包絡線を前記円の直径を増加させながら描いた場合に、包絡線どうしが少なくともいずれか1箇所において最初に接する際の円の直径Sと、放電電極32と放電用対向電極33との間の誘電体31の厚さDとが上記した式(1)に示す関係を満たすように構成されることが好ましい理由を説明する。
図10は、導電体のパターン上の任意の点を中心とする同じ直径の円の包絡線を円の直径を増加させながら描いた場合に、包絡線どうしが少なくともいずれか1箇所において最初に接する際の円の直径Sと、放電電極32と放電用対向電極33との間の誘電体31の厚さDとの比(S/D)と、放電用電源50から放電電極32と放電用対向電極33との間に印加される電圧のピーク値Vを一定にした場合の放電入力との関係を示す図である。
図10に示すように、S/Dが0.5未満では、放電入力は低下している。これは、隣接する放電電極どうしの電界干渉により、放電電極近傍の電界が緩和しているためと考えられる。このような状態で必要な放電入力を投入するためにはより高い電圧が必要となり、放電用電気系統の絶縁設計が困難になる。そこで、S/Dが0.5以上となるように放電用電極を配置し、放電用電極間の電界の緩和を避けることが好ましい。これによって、高効率で低コストのガス浄化装置が実現可能となる。
また、放電電極32は、浄化対象ガスEGに対して耐腐食性や耐熱性を有する導電材料で構成され、例えば、ステンレス鋼などが用いられる。この放電電極32は、例えば、ガス流路36の内壁面に、直接プリントして形成されてもよい。この場合、放電電極32の材料として、タングステン等の熱膨張率の小さい金属を用いることで、半硬化状態のセラミックスシート上に放電電極32のパターンをプリントした後に同時焼結することが可能となる。そのため、放電電極32とセラミックスの固着性を高めることができ、高耐久性の電極を形成することができる。
また、他の方法として、セラミックス上に溶射により放電電極32を形成してもよい。この場合、熱膨張率の制約を受けずに、放電電極32の材料の選択が可能となる。そのため、例えば、CrやNiなどの高耐久性の金属を選択することにより、高耐久性の放電電極32を形成することがでる。さらに他の方法として、セラミックス上に拡散接合により放電電極32を形成してもよい。この場合、厚さが数mmの厚物金属を直接放電電極32として用いることができる。そのため、腐食しろの多い、高寿命の放電電極32を形成することができる。
ここで、図4Gは、上記した図4Aに示した放電電極32を構成する導電体のパターンに、PMが付着し難いPM排除部材110を備えた一例を示す平面図である。
図4Gに示すように、放電電極32間のPMが堆積する領域の一部にPM排除部材110を備えている。ここでは、PM排除部材110は、枝線91に沿う方向に設けられている。また、PM排除部材110は、誘電体31と同じ材料で構成され、突条、凹溝などの形状で構成することができる。
このように、PM排除部材110を設けて、PMが付着しにくい領域を形成することで、放電電極32間にPMが堆積したときであっても、このPMが付着しにくい領域において放電プラズマの発生を維持することができる。そのため、このPMが付着しにくい領域から周囲に向かってPMを燃焼させながら、放電プラズマを発生させることができる。なお、ここでは、図4Aに示した放電電極32を構成する導電体のパターンにPM排除部材110を設けた一例を示したが、前述した図4B〜図4Fに示された放電電極32を構成する導電体のパターンにPM排除部材110を設けてもよい。この場合にも、上記した図4Aに示した放電電極32を構成する導電体のパターンにPM排除部材110を設けた場合と同様の作用効果を得ることができる。
集塵用対向電極34は、平板形状を有し、放電電極32と同様に、例えば、ステンレス鋼などの、浄化対象ガスEGに対して耐腐食性や耐熱性を有する導電材料で構成される。また、集塵用対向電極34を、上記した放電電極32と同様のパターンで形成してもよい。この集塵用対向電極34も、上記した放電電極32と同様の方法で形成することができる。例えば、放電電極32が配置された位置に対向するガス流路36の内壁面に、放電電極32を直接プリントして形成してもよい。また、放電電極32や集塵用対向電極34に耐食性や耐熱性をもたせるためには、金属電極の表面を、耐食性や耐熱性を有する材料で被覆することも有効である。例えば、ステンレスやタングステンの電極に、1μm〜100μmの厚さのニッケルめっきやアルミナ被覆を行うことで、例えば、自動車のエンジンから排出される排ガス等の実ガス環境における腐食を抑制することができる。例えば、放電電極32を被覆する際、放電電極32の全体を被覆する以外に、放電電極32の一部、特に放電が集中して発生するエッジ部分のみに被覆してもよい。これにより、被覆による放電電極表面の帯電とそれによって生じる放電電極表面の電界緩和を最小限に止めることができ、高効率なガス浄化装置を構成することができる。また、浄化対象ガスEGの流入方向に対する、集塵用対向電極34を構成するパターンの向きは、前述した放電電極32と同様に任意に設定することができる。
さらに、放電反応部30の放電用対向電極33は、誘電体31を介して、換言すると、放電電極32と誘電体31を挟んで対向配置される。放電用対向電極33の形状は、特に限定されるものではなく、例えば、薄い平板状の導電材料で形成される。導電材料としては、耐熱性を有する導電材料であることが好ましく、例えば、ステンレス鋼などが用いられる。放電用対向電極33は、例えば、放電電極32と対向する誘電体31のガス流路36の外壁面に直接プリントして形成されてもよい。この場合、放電用対向電極33の材料として、タングステン等の熱膨張率の小さい金属を用いることで、半硬化状態のセラミックスシート上に放電用対向電極33のパターンをプリントした後に同時焼結することが可能となる。そのため、放電用対向電極33とセラミックスの固着性を高めることができ、高耐久性の電極を形成することができる。
また、放電用電源50の一方の極は、放電反応部30の放電電極32と、他方の極は、放電用対向電極33と、それぞれ放電用電気系統51を介して接続されている。放電用電源50は、例えば一次側と二次側の電源で構成される。一次側の電源としては、AC100Vでφ50Hzまたはφ60Hzの交流電源やDC12VまたはDC24Vの直流電源が使用される。また、二次側の電源の出力電圧は、例えば、パルス状(正極性、負極性、正負の両極性)、交流状(正弦波、断続正弦波)の波形を有する出力電圧とされる。また、一次側の電源と2次側の電源は一体構造とすることもできるが、通常自動車に搭載されているバッテリー等の電源を一次側として利用することで、新たに一次側の電源を設置する必要がなくなり、装置のコンパクト化が図れる。さらに、2次側の電源は、トランスを備え、インバータ等で整形した数V〜数百V程度の信号を、トランスにより数kVから数十kVの出力電圧に昇圧する構成にすることができる。高電圧配線の距離をできるだけ短くするためには、二次側の電源を放電反応部30に近接させて設置することが望ましい。なお、放電反応部30が高温になる場合などには、インバータ等の電子回路が熱により損傷することを防ぐため、二次側の電源からトランス部分を独立構成として、トランスのみを放電反応部30に近接させて設置することが好ましい。
そして、放電用電源50によって、放電電極32と放電用対向電極33との間に例えば数kVから数十kV程度の電圧を印加することにより、ガス流路36に電界を形成するとともに放電し、ガス流路36内部に放電プラズマPが生成される。この際、放電電極32と放電用対向電極33との間には誘電体31が介在し、かつ誘電体31は、放電電極32と接触して設けられるため、ガス流路36における放電は、誘電体31に沿って形成される沿面放電となる。
上記した、放電用電気系統51を介して互いに接続された放電用電源50、放電電極32および放電用対向電極33により第1の電界形成手段が形成される。
一方、集塵用電源60の一方の極は、放電反応部30の集塵用対向電極34と、他方の極は、放電反応部30の放電電極32とそれぞれ集塵用電気系統61を介して接続されている。集塵用電源60は、例えば一次側と二次側の電源で構成される。一次側の電源としては、AC100Vでφ50Hzまたはφ60Hzの交流電源やDC12VまたはDC24Vの直流電源が使用される。また二次側の電源の出力電圧は、直流状(正極性、負極性、正負の両極性)、パルス状(正極性、負極性、正負の両極性)、整流波形(単波整流波形、両波整流波形)の出力電圧とされる。
そして、集塵用電源60から放電電極32と集塵用対向電極34との間に、例えば数kV程度の電圧を印加することにより、ガス流路36に電界を形成することができるように構成される。上記した、集塵用電気系統61を介して互いに接続された集塵用電源60、放電電極32および集塵用対向電極34により第2の電界形成手段が形成される。ここで、放電電極32と集塵用対向電極34との間の距離をL、この間に印加する電圧をVとすると、V/Lで規定される平均電界強度は、放電電極32と集塵用対向電極34との間で放電が自発的に発生しない範囲で使用されることが好ましく、例えば1〜30kV/cmが好適である。
また、荷電用電極35を設ける場合には、荷電用電極35は、放電用対向電極33や集塵用対向電極34よりも上流側(図2では左側)に設けられ、浄化対象ガスEGの主流方向に対してほぼ垂直な方向にガス流路36に亘って配設されている。この荷電用電極35は、例えば、棒状の形状を有し、円柱で形成する場合には、その直径が0.3〜10mm程度に形成される。また、この荷電用電極35は、浄化対象ガスEGに対して耐腐食性や耐熱性を有する導電材料で構成され、例えばステンレス鋼などが用いられる。この荷電用電極35の両端は、それぞれ上記した放電用電気系統51を介して放電用電源50に接続されても、上記した集塵用電気系統61を介して集塵用電源60に接続されてもよい。また、荷電用電極35に電圧を印加する荷電用電極用の電源を別個設けてもよい。荷電用電極35に印加する電圧は交流でも直流でもよい。
荷電用電極用の電源として放電用電源50が用いられる場合には、上記したように、二次側の電源の出力電圧は、例えば、パルス状(正極性、負極性、正負の両極性)、交流状(正弦波、断続正弦波)の波形を有する出力電圧となり、荷電用電極35の両端間には、例えば数kVから数十kV程度の電圧が印加される。これによって、荷電用電極35ではコロナ放電が生じ、荷電用電極35の周囲を流動する浄化対象ガスEGが荷電される。また、荷電用電極用の電源として集塵用電源60が用いられる場合には、上記したように、二次側の電源の出力電圧は、直流状(正極性、負極性、正負の両極性)、パルス状(正極性、負極性、正負の両極性)、整流波形(単波整流波形、両波整流波形)の出力電圧となり、荷電用電極35の両端間には、例えば数kV程度の電圧が印加される。これによって、荷電用電極35ではコロナ放電が生じ、荷電用電極35の周囲を流動する浄化対象ガスEGが荷電される。
なお、図2には、1つの荷電用電極35を備えた放電反応部30の構成の一例を示しているが、荷電用電極35は複数配設されてもよい。この場合における荷電用電極35の配置例として、例えば、放電用対向電極33や集塵用対向電極34よりも上流側に、浄化対象ガスEGの主流方向に対してほぼ垂直な方向に、所定の間隔をあけて複数の荷電用電極35を配置する例などが挙げられる。所定の間隔は、少なくとも、隣り合う荷電用電極35間に火花放電を生じない程度に設定される。なお、各荷電用電極35の放電電極32から集塵用対向電極34に向かう方向(図2では上下方向)に配列した場合、直線的に配列されても、隣り合う荷電用電極35が互い違いに異なる位置に配置されるような非直線的な配列であってもよい。このように複数の荷電用電極35を配置することで、ガス流路36を流動する浄化対象ガスEGに含まれる有害物質であるPMは、ガス流路36の断面に亘ってほぼ均一に荷電される。
次に、ガス浄化装置10の作用について説明する。
まず、自動車などのエンジンから排出される排ガス等の浄化対象ガスEGが放電反応部30に形成されたガス流路36に導かれ、放電反応部30内に流入する。
ここで、放電反応部30の入口に配設された荷電用電極35には、パルス状(正極性、負極性、正負の両極性)、交流状(正弦波、断続正弦波)または整流波形(単波整流波形、両波整流波形)の波形を有する出力電圧が印加される。これによって、荷電用電極35ではコロナ放電が生じ、その周囲を流動する浄化対象ガスEGに含まれるPMが荷電される。
荷電されたPMを含む浄化対象ガスEGは、放電電極32と集塵用対向電極34との間に流入する。ここで、放電用電源50から放電電極32と放電用対向電極33との間にパルス状(正極性、負極性、正負の両極性)あるいは交流状(正弦波、断続正弦波)の電圧が印加される。これによって、放電電極32と放電用対向電極33との間、特に放電電極32の近傍には、集中的に電界が形成されて誘電体31に沿う沿面放電が起こり、沿面放電に伴って放電プラズマPが発生する。
ここで、放電用電源50の2次側の出力電圧は、パルス状(正極性、負極性、正負の両極性)あるいは交流状(正弦波、断続正弦波)の出力電圧であるため、誘電性の誘電体31を介在させても、誘電体31の表面に表面電荷が蓄積して放電を停止させたり、放電がアーク放電に移行したりすることがないため、一様で安定な放電プラズマPが発生する。
一方、集塵用電源60から放電電極32と集塵用対向電極34との間に直流状(正極性、負極性、正負の両極性)、パルス状(正極性、負極性、正負の両極性)あるいは整流波形(単波整流波形、両波整流波形)の電圧が印加される。すなわち、時間的に極性が変化しないような電圧が集塵用電源60から放電電極32と集塵用対向電極34との間に印加され、放電電極32と集塵用対向電極34との間には一様な電界が形成される。
この結果、放電電極32と集塵用対向電極34との間に形成された電界の作用により、放電プラズマPは、放電電極32からガス流路36内部に大きく引き出される。そして、ガス流路36を流動する浄化対象ガスEGに含まれるPMは、ガス流路36内部に大きく引き出された放電プラズマPにより生成された電子やイオンとの衝突により荷電される。すなわち、PMは、前述した荷電用電極35によって荷電され、さらに放電プラズマPによっても荷電される。また、上記したように、放電プラズマPは、放電電極32からガス流路36内部に大きく引き出されることによって、ガス流路36の断面積に亘って広がるため、ガス流路36を流動する浄化対象ガスEGと接触する確率が高まる。これによって、浄化対象ガスEGに含まれるPMの荷電される割合が高まる。
また、上記したように、集塵用電源60の出力電圧特性により、放電電極32と集塵用対向電極34との間に形成される電界の向きは時間的に変化しないため、ガス流路36内部に引き出される放電プラズマPは、プラスあるいはマイナスのうち一方の極性を有する放電プラズマPとなる。これによって、PMの大半もプラスあるいはマイナスに荷電される。このため、荷電されたPMは、第2の電界形成手段の作用で形成された電界から受けるクーロン力により軌跡が曲げられる。曲げられる方向は、PMの持つ電荷と電界の向きで決まるので、電荷の極性により、放電電極32側に曲げられるPMと、集塵用対向電極34側に曲げられるPMが生じる。
これによって、ガス流路36内で荷電された一方のPMは、集塵用電源60の作用で放電電極32と集塵用対向電極34との間に形成された電界の電気集塵的機能に加え、放電プラズマPの電気的な力により放電電極32側に引き寄せられて、放電電極32の表面や放電電極32近傍の誘電体31の表面に捕捉される。また、一方のPMと荷電された極性の異なる他方のPMは、集塵用対向電極34の表面や集塵用対向電極34近傍の誘電体31の表面に捕捉される。すなわち、プラスあるいはマイナスのいずれかに荷電されたPMは、電界および単極性の放電プラズマPの作用により一様な方向に電気的な力を受けて、放電電極32側または集塵用対向電極34側に捕捉される。
上記したように、PMは、荷電用電極35によって荷電され、さらに放電プラズマPによっても荷電され、十分な荷電量を有し、電界および単極性の放電プラズマPの作用により一様な方向に電気的な力を受けて、効率よく放電電極32側または集塵用対向電極34側に捕捉される。このように、集塵用電源60の作用により形成された電界は、放電プラズマPの引き出し効果によるガス流路36内におけるPMの荷電効率の向上の他、荷電されたPMに電気的な力を与えて効率的に放電電極32側または集塵用対向電極34側に捕捉させる役割を有する。ここで、放電電極32と集塵用対向電極34との間(距離L)に印加する電圧Vを高くしていくと、両者の間で空間放電が発生し、ついにはスパークに至る。このような状態になると、ガス流路内の電気伝導度が上昇し、ガス流路中に引き出されていた単極性の電荷の移動度が高くなって放電電極32または集塵用対向電極34に吸収されてしまい、PMを効率的に荷電することができなくなる。このような状態を避けるため、印加する電圧Vは、放電電極32と集塵用対向電極34との間で放電が自発的に発生しない範囲で使用されることが好ましく、例えば1〜30kV/cmが好適である。
ここで、図3を参照して、放電電極32近傍における放電プラズマPの発生の様子について説明する。
放電反応部30には、例えば、上記した図4Aに示した形状の放電電極32が配置され、放電電極32の一端は、放電用電気系統51に電気的に接合されている。ここでは、放電電極32の枝線91が、ガス流路36を流れる浄化対象ガスEGの主流方向に対してほぼ垂直になるように配置されている。なお、図4Aでは、放電電極32の枝線91間の間隔をMと示す。すなわち、放電電極32が設置された部分は、幅Wの電極と幅Mの誘電体とが交互に露出した状態となり、この部分にPMが捕捉される。なお、放電電極32の導電体のパターンは、上記したように、導電体のパターン上の任意の点を中心とする同じ直径の円の包絡線を前記円の直径を増加させながら描いた場合に、包絡線どうしが少なくともいずれか1箇所において最初に接する際の円の直径Sと、放電電極32と放電用対向電極33との間の誘電体31の厚さDとが式(1)に示す関係を満たすように構成されている。
一般に、例えば、放電電極32を一枚の平板で構成にした場合、放電電極32の両端部では放電プラズマPが高密度に存在するためPMが燃焼されるが、放電電極32の中央付近では放電プラズマPの密度が低く、PMが燃焼されずに堆積する。このように、PMが堆積するとコロナ放電が阻害され不安定になったり、PMの堆積によりガス流路36の断面積が減少し、ガス流路36内における圧力損失が増加して、ガス浄化装置を安定に運転することが不可能になる。
一方、上記したように、放電電極32を構成する導電体のパターンを、前述したパターンとし、この放電電極32に電圧を印加した場合、電界が最も高くなる3重点80(板状の電極と誘電体と空気の接点)から放電プラズマPが進展して、PMが捕捉される放電電極32が設置された部分、すなわち幅Wの電極と幅Mの誘電体とが交互に露出した部分に広がる(図3参照)。これによって、PMを確実に燃焼させることができ、PMの堆積が防止される。平面上に均一に放電プラズマPを進展させるためには、幅Wと幅Mは0.1〜20mm程度であることが好ましい。
また、上記した放電電極32において、幅Wや幅Mは一定である必要はなく、例えば浄化対象ガスEGの入り口付近においては幅Wや幅Mを短く、浄化対象ガスEGの出口付近においては幅Wや幅Mを長くしてもよい。これによって、PMの濃度が高い入り口付近に放電電力を集中させ、効率的にPMを燃焼させることが可能となる。また、放電電極32の高さも一定である必要はなく、例えば浄化対象ガスEGの入り口付近においては高さを低く、出口付近においては高さを高くしてもよい。これによって、入り口から出口に向かって拡大される流れの境界層に対する放電の位置関係を入口から出口まで一定とすることで、処理を均一化することが可能となる。また、放電電極32側で発生した放電プラズマPは、前述したように、集塵用電源60の作用により、集塵用対向電極34側に引き出され、ガス流路36の所定の断面に亘って広がる。
また、放電反応部30内のガス流路36には、放電プラズマPによって生じた高エネルギー電子が浄化対象ガスEGと衝突することにより、O、OH、O3、O2−等の酸化ラジカルやNO2などが生成される。酸化ラジカルは、さらに浄化対象ガスEG中の炭化水素と反応して、別の活性な炭化水素分子を生じさせる。また、NO2は、PMと燃焼反応を生じ、PMを分解および酸化する。
この放電プラズマP内に突入したPMは、加熱などの処理を施すことなく、段階的に燃焼反応して分解および酸化され、最終的には一酸化炭素や二酸化炭素などになる。ここで、高密度の放電プラズマP中に突入したPMの一部は空間中で分解し、残りは、放電電極32の表面や放電電極32近傍の誘電体31の表面、または集塵用対向電極34の表面や集塵用対向電極34近傍の誘電体31の表面に衝突し捕捉される。それぞれの表面上に捕捉されたPMは、酸化ラジカルとの反応場に長時間滞留することになり、加熱などの処理を施すことなく、その間に酸化ラジカルの作用により段階的に分解および酸化などの燃焼反応を生じ、最終的には一酸化炭素や二酸化炭素などになる。このため、放電反応部30内は、常に清浄に保たれ、これらの汚損による放電プラズマPの減少や、電気集塵的機能の低下を防ぐことができる。特に、表面に捕捉されたPMの近傍で沿面放電を点弧することにより、酸化ラジカルとPMの距離が近くなり、より短寿命の酸化ラジカルをも有効に、PMに含まれる炭素や炭化水素等の物質の燃焼反応に利用することが可能になり、より効率的な処理が可能となる。
ここで、放電プラズマPによって生成され、PMの燃焼に寄与する酸化ラジカルやNO2などの生成量は、放電プラズマPの放電入力によって決まる。放電入力を制御する方法としては、電圧、周波数を変化させる方法が一般的である。しかしながら、広く任意の電圧や周波数に対応させるようなトランスの設計は困難であり、これに対応するためには、例えば、動作特性の異なる複数のトランスを備え、それらを切り替えて使用することが必要となる。そこで、電圧、周波数は一定にしておき、そこにステップ状の電圧を重畳して、電圧をオン・オフ、または強弱させるデューティ制御を行い、そのデューティ比を変えることで放電入力を制御することが好ましい。
図11は、デューティ制御を説明するための図である。図11には、3つのデューティ制御を例示している。図11に示すように、基本波からなる電圧120にステップ状の電圧121を重畳して、デューティ制御された波形の電圧122を得ている。例えば、(3)に示されたデューティ制御された波形の電圧122は、急激に立ち上がることなく徐々に電圧が上昇するように制御されている。そのため、このデューティ制御は、例えばデューティ制御に伴う振動や騒音を防止するのに効果的である。なお、デューティ制御は、上記した制御パターンに限れるものではなく、使用する用途に応じて任意に設定することができる。ここで、デューティ制御するための信号は、例えば、自動車などの場合、数Vのステップ状の電圧121をエレクトロニックコントロールユニット(ECU)等から送信することができる。そのため、低コストで制御性の高いデューティ制御を行うことができる。
上記したように、放電反応部30によってPMが除去された浄化対象ガスEGは、放電反応部30の外部に排出される。
なお、上記説明では、PMが集塵用対向電極34の表面や集塵用対向電極34近傍の誘電体31の表面に捕捉された場合においても、放電プラズマPは、集塵用対向電極34側にも広がるため、捕捉されたPMを段階的に分解および酸化させることができる。ここで、集塵用対向電極34の表面や集塵用対向電極34近傍の誘電体31の表面に捕捉されたPMを、さらに効率よく燃焼させるためには、例えば、特開2005−320895号公報の図13に記載されているように、集塵用対向電極34を設ける代わりに、放電電極32に対向する誘電体31の内壁面に放電電極を設け、この放電電極と誘電体31を介して対向する側に放電用対向電極を備えた構成にしてもよい。すなわち、2組の対向する放電電極および放電用対向電極を設けた構成としてもよい。
上記したように、第1の実施の形態のガス浄化装置10では、放電電極32における導電体のパターンを、導電体によって周囲が囲まれる閉ループとなる部分を有しないように構成することで、導電体間に堆積したPMを的確に燃焼させることができる。そのため、浄化対象ガスを効率よく浄化することができる。また、導電体のパターンを、導電体のパターン上の任意の点を中心とする同じ直径の円の包絡線を前記円の直径を増加させながら描いた場合に、包絡線どうしが少なくともいずれか1箇所において最初に接する際の円の直径Sと、放電電極32と放電用対向電極33との間の誘電体31の厚さDとが前述した式(1)に示す関係を満たすように構成することで、放電入力を高めることができる。これによって、放電用電極間、すなわち導電体間の電界の緩和を避ける。そのため、高効率で低コストのガス浄化装置が実現可能となる。
上記したように第1の実施の形態のガス浄化装置10では、捕捉されたPMを効率よく除去することができるので、例えば、負荷変動の激しい実エンジンからの排ガスを処理する場合でも、十分な性能を発揮させることができる。
(第2の実施の形態)
ここでは、本発明に係るガス浄化装置10を直列に配置したガス浄化システムおよび並列に配置したガス浄化システムについて説明する。
ここでは、本発明に係るガス浄化装置10を直列に配置したガス浄化システムおよび並列に配置したガス浄化システムについて説明する。
図12は、本発明に係る2つのガス浄化装置10a、10bを直列に配置したガス浄化システムを模式的に示したブロック図である。図13は、本発明に係る2つのガス浄化装置10a、10bを並列に配置したガス浄化システムを模式的に示したブロック図である。なお、ここで用いられるガス浄化装置10a、10bは、前述した第1の実施の形態におけるガス浄化装置10で構成されている。
図12に示すガス浄化システムでは、自動車のエンジン20から排出される排ガス等の浄化対象ガスEGは、排気流路21を介して、直列に配置されたガス浄化装置10a、10bのうち、まず上流側のガス浄化装置10aに導入される。続いて、上流側のガス浄化装置10aから排気された浄化対象ガスEGは、下流側のガス浄化装置10bに導入され、その後排気される。
図13に示すガス浄化システムでは、自動車のエンジン20から排出される排ガス等の浄化対象ガスEGは、排気流路21を通り、さらに排気流路21が分岐された分岐排気流路21a、21bのいずれかを通り、ガス浄化装置10aまたはガス浄化装置10bに導入され、その後排気される。また、排気流路21の分岐部には、ガス浄化装置10aまたはガス浄化装置10bに、浄化対象ガスEGの流れを切り替えて流すための切替弁150が備えられている。
上記したガス浄化システムでは、例えば、各ガス浄化装置における第1の電界形成手段および第2の電界形成手段の運転条件を、それぞれ個々に設定して運転することができる。なお、直列または並列に配置されるガス浄化装置は、2つに限られるものではなく、3つ以上配置されてもよい。また、並列に配置されたそれぞれのガス浄化装置10a、10bに同時に分岐ガスを通流する場合には切替弁150を備えなくてもよい。直列または並列に配置されるガス浄化装置10a、10bは、例えば、積層され複数の単位ガス浄化装置からなるユニットとして構成されてもよい。これらのユニットをさらに直列または並列に構成してもよい。また、それぞれのユニットは同時に制御されてもよいが、個々に独立で制御されることでより効率的な処理が可能となる。
ここで、図14は、ユニットを積層して並列配置のガス浄化装置を形成する場合における放電電極32近傍の断面を示す図である。図14に示すように、ユニットを積層して並列配置のガス浄化装置を形成する場合、誘電体31の表裏に放電電極32を設け、これらの放電電極32間に放電用電圧を印加することができるように構成することができる。これによって、誘電体31の表裏に同時に放電プラズマPを形成することができ、流路断面積に占める誘電体31の厚さの割合を低下させることができる。そのため、コンパクトなガス浄化装置を得ることができる。
(第3の実施の形態)
図15は、本発明に係る第3の実施の形態のガス浄化装置10の断面を模式的に示す図である。なお、上記した実施の形態のガス浄化装置10の構成と同一部分には、同一の符号を付している。
図15に示されたガス浄化装置10は、前述した実施の形態におけるガス浄化装置10において、集塵用対向電極34を設ける代わりに、複数組、例えば2組の対向する放電電極32a、32bおよび放電用対向電極33a、33bを設けたものである。なお、ここでは、この図15に示されたガス浄化装置10を一例として説明するが、他の実施の形態のガス浄化装置10において、集塵用対向電極34を設ける代わりに、複数組、例えば2組の対向する放電電極32a、32bおよび放電用対向電極33a、33bを設けてもよく、この一例のガス浄化装置10の作用効果と同様の作用効果が得られる。
ガス浄化装置10では、例えば平板あるいは筒状構造の誘電体31によりガス流路36が形成される。誘電体31のガス流路36側には、複数組、例えば2組の放電電極32a、32b(第1の放電電極32aおよび第2の放電電極32b)が設けられる一方、誘電体31のガス流路36と逆側には、2組の放電用対向電極33a、33b(第1の放電用対向電極33aおよび第2の放電用対向電極33b)が設けられる。第1の放電電極32aおよび第2の放電電極32bは、互いにガス流路36を挟んでそれぞれ誘電体31に接触して設けられる。さらに、第1の放電電極32aと誘電体31を挟んで対向する位置に第1の放電用対向電極33aが配置され、第2の放電電極32bと誘電体31を挟んで対向する位置に第2の放電用対向電極33bが配置される。
また、第1の放電電極32aおよび第1の放電用対向電極33aは、第1の放電用電源50aと放電用電気系統51aを介して接続され、第1の放電用電源50aにより第1の放電電極32aと第1の放電用対向電極33aとの間にパルス状あるいは交流状の電圧を印加することにより放電用の電界を形成させて放電を起こし、放電プラズマP1を生成できるように構成される。
同様に、第2の放電電極32bおよび第2の放電用対向電極33bは、第2の放電用電源50bと放電用電気系統51bを介して接続され、第2の放電用電源50bにより第2の放電電極32bと第2の放電用対向電極33bとの間に両極性のパルス状あるいは交流状の電圧を印加することにより放電用の電界を形成させて放電を起こし、放電プラズマP2を生成できるように構成される。上記した、放電用電気系統51a、51bを介して互いに接続された放電用電源50a、50b、放電電極32a、32bおよび放電用対向電極33a、33bにより第1の電界形成手段が形成される。
このとき、第1の放電電極32aと第1の放電用対向電極33aとの間には誘電体31が存在し、かつ第1の放電電極32aと誘電体31は密着しているため、引き起こされる放電は安定したコロナ放電であり、第1の放電電極32a近傍において誘電体31に沿う沿面放電となる。第2の放電電極32bにおいて引き起こされる放電も同様である。
さらに、第1の放電電極32aおよび第2の放電電極32bは、それぞれ集塵用電気系統61を介して集塵用電源60と接続され、集塵用電源60により第1の放電電極32aと第2の放電電極32bとの間に直流状、単極性のパルス状、整流波形状の電圧を印加することにより時間的に向きが一定の集塵用の電界を形成させることができるように構成される。上記した、集塵用電気系統61を介して互いに接続された集塵用電源60、放電電極32a、32bにより第2の電界形成手段が形成される。
このため、集塵用の電界の作用により第1の放電電極32a近傍および第2の放電電極32b近傍において生成された各放電プラズマP1、P2のうち、マイナスの電荷あるいはプラスの電荷を有する放電プラズマP1、P2がガス流路36側に引き出される。なお、このとき、集塵用の電界であり、かつ放電プラズマP1、P2の引き出し用にも利用される電界の向きは一定であるため、ガス流路36側に引き出された各放電プラズマP1、P2の極性は互いに逆となる。
そして、放電プラズマP1、P2により荷電されたPMは、第1の放電電極32aと第2の放電電極32bとの間に形成された集塵用の電界の電気的集塵効果により極性に応じた向きで電気的な力を受けて誘電体31に捕捉され、さらに捕捉されたPMは、第1の放電電極32aおよび第2の放電電極32bの近傍に沿面放電により生成された放電プラズマP1、P2により燃焼処理される。
つまり、ガス浄化装置10は、2組の放電電極32a、32bを対向配置させて集塵用の電界を形成させることにより、図2に示すガス浄化装置10における第2の電界形成手段の構成要素である集塵用対向電極34としての機能を放電電極32a、32bが互いに兼ねた構成である。
このため、ガス浄化装置10によれば、図2に示すガス浄化装置10における効果の他、誘電体31のガス流路36側の表面近傍において、より広い範囲で放電プラズマP1を生成させることができる。例えば図15に示すように放電電極が2つの場合には、2箇所で放電プラズマP1、P2を生成させることが可能となるため、誘電体31の各所に捕捉されたPMをより効率的に燃焼処理することができる。
特に、例えば図2に示すガス浄化装置10のように、放電プラズマPの電荷が単極性であり、かつ1箇所から生成されるような場合には、放電プラズマPの極性と同じ極性に荷電されたPMは、放電プラズマPが生成されない側に引き寄せられて捕捉されることとなる。この場合、捕捉されたPMを十分に燃焼できない恐れがある。実際に、発明者らは、流入したPMの大部分が、放電プラズマPと対向する側の面に付着する場合があることをエンジンベンチ試験によって確認している。
一方、図15に示すようなガス浄化装置10によれば、PMがいずれの向きに電気的に力を受けて誘電体31で捕捉されても、放電プラズマP1、P2により燃焼処理することができる。
さらに、このガス浄化装置10において、放電用の電界形成のための電圧印加、すなわち第1の放電電極32aと第1の放電用対向電極33aとの間における電圧印加並びに第2の放電電極32bと第2の放電用対向電極33bとの間における電圧印加を交互に切り換えて断続的に行なうと、より効率的にPMを除去することができる。
すなわち、仮に第1の放電電極32aと第1の放電用対向電極33aとの間における電圧印加並びに第2の放電電極32bと第2の放電用対向電極33bとの間における電圧印加を同時に行なうと、第1の放電電極32aおよび第2の放電電極32bからそれぞれ同時に放電プラズマP1、P2が生成される。しかし、各放電プラズマP1、P2の極性は互いに異なり、ガス流路36の中心部分では、双方の極性を有する放電プラズマP1、P2が混在することとなる。また、第1の放電電極32aおよび第2の放電電極32b近傍において、集塵用の電界による影響の小さい部位においても双方の極性を有する放電プラズマP1、P2が混在する。
このため、放電用に大きな電圧が印加され、集塵用の電界による電気的集塵効果に影響を与える程、放電プラズマP1、P2の量が多いような場合には、双方の極性を有する放電プラズマP1、P2が混在する領域において、荷電されたPMの移動が阻害される恐れがある。特に第1の放電電極32aおよび第2の放電電極32bの近傍には、双方の極性を有する放電プラズマP1、P2がより大量に生成され、誘電体31付近に引き寄せられたPMの移動が阻害される可能性が高い。そこで、放電を放電電極32a、32bごとに切り換えて行なえば、放電用により大きな電圧を印加したとしてもこのようなPMの集塵阻害を回避することができる。
なお、第1の放電用電源50aおよび第2の放電用電源50bを共通化し、単一の放電用電源を用いて第1の放電電極32aと第1の放電用対向電極33aとの間における電圧印加並びに第2の放電電極32bと第2の放電用対向電極33bとの間における電圧印加を行なうようにしてもよい。また、第1の放電用電源50aおよび第2の放電用電源50bのそれぞれの出力電圧は、同一であっても異なるものであってもよい。
次に、上記した第3の実施の形態のガス浄化装置10におけるガス浄化方法について図16を用いて説明する。
図16は、本発明に係る第3の実施の形態のガス浄化装置10におけるガス浄化方法を説明するためのガス浄化システムを模式的に示したブロック図である。図16に示すように、ガス浄化装置10は、例えば、自動車のエンジン20から排出される排ガス等の浄化対象ガスEGが通る排気流路21に設けられる。また、排気流路21のガス浄化装置10よりも上流側には、粒子状物質(PM;Particulate Matter)の燃焼処理に係る情報を検知する第1の検知装置22が備えられている。また、排気流路21のガス浄化装置10よりも下流側には、PMの燃焼処理に係る情報を検知する第2の検知装置23が備えられている。なお、PMの燃焼処理に係る情報を検知する装置は、上記した第1の検知装置22、第2の検知装置23の少なくともいずれか一方を備えていればよい。また、ガス浄化装置10、第1の検知装置22、第2の検知装置23は、制御部24と電気的に接続されている。なお、図16では、各装置と制御部24との接続線の記載は図の明記のため省略している。
ここで、PMの燃焼処理に係る情報には、例えば、ガス浄化装置10の入口、内部または出口における浄化対象ガスEGのガス成分(CO、NOx、HC、CO2、O2等)やその変化、ガス浄化装置10の入口、内部、出口における浄化対象ガスEGの圧力、前記ガス浄化装置10における圧力損失、ガス浄化装置10の入口、内部または出口における浄化対象ガスEGの温度またはその変化、第1の電界形成手段または第2の電界形成手段における印加電圧、電流、印加電圧と電流との比率(印加電圧/電流)などのガス浄化装置10の状態に係る情報、エンジン回転数、トルク、空燃比、吸入空気の圧力または流量、燃料の噴射量または消費量、噴射のタイミング、燃料の圧力、エンジン内圧力、吸気バルブ、排気バルブまたはEGRバルブの開度、エンジンの温度、冷却水の温度などのエンジンの状態に係る情報のうちの少なくともいずれか1つが含まれる。
第1の検知装置22および第2の検知装置23は、例えば、排気流路21を流動する浄化対象ガスEGの圧力を計測する圧力計測装置で構成される。この圧力計測装置における計測結果に基づいて、ガス浄化装置10内における圧力損失値を得ることができる。また、第1の検知装置22および第2の検知装置23は、例えば、ガス浄化装置10から排出された浄化対象ガスEGのガス成分を分析するガス成分分析装置、ガス浄化装置10から排出された浄化対象ガスEGの温度を計測する温度計測装置、第1の電界形成手段または第2の電界形成手段を駆動する放電用電源の出力端電圧または電流を計測する電圧計または電流計などで構成される。なお、第1の検知装置22および第2の検知装置23は、上記した各装置の少なくともいずれか1つで構成されればよい。また、ガス成分分析装置では、浄化対象ガスEG中の二酸化炭素、炭化水素、酸素などの濃度が計測される。また、上記した電圧計または電流計は、第1の電界形成手段の放電用電源50、第2の電界形成手段の集塵用電源60に電気的に接続されている。
制御部24は、例えば、ガス浄化装置10の動作などを制御するためのプログラムがインストールされたコンピュータなどによって構成され、所定の入力装置、情報処理装置、記憶装置、表示装置および入出力インターフェースなどを備えている。
ここで、入力装置は、キーボードやマウスなどのポインティング・デバイス等の入力手段で構成され、文字入力などを受け付けて情報処理装置へ供給する。情報処理装置は、内部での種々の演算処理を実行するCPU等の演算手段、システム情報等が記憶されたROM等の不揮発性メモリや更新可能に情報を記憶するRAM等の半導体メモリで構成された記憶手段、および内部での種々の動作や外部との情報授受を司る制御手段等を有し、入力装置からの入力やインストールされたプログラムの内容等に応じて様々な処理を実行するものとなっており、ガス浄化装置10の動作などを制御するための中核を担う。記憶装置は、インストールされたプログラムのファイルや種々のデータ・ファイル(例えばデータベース構造で種種のデータを管理しているデータベースのファイル)などの情報が格納されるハードディスク等の記憶手段で構成され、それらの情報を必要に応じて保持し続ける。表示装置は、液晶ディスプレイ、CRTディスプレイ、プリンタ等の表示手段で構成され、情報処理装置による制御の下で所定の情報表示をする。入出力インターフェースは、例えば、各計測機器などからのPMの燃焼処理に係る情報や、エンジンの運転状態に係る情報の入力や、ガス浄化装置10の放電用電源50および集塵用電源60などを制御するための信号の出力などの情報の出入力を担うものである。
また、図15に示したガス浄化装置10において、放電用電気系統51aを介して互いに接続された放電用電源50a、放電電極32aおよび放電用対向電極33aからなる第1の電界形成手段と、放電用電気系統51bを介して互いに接続された放電用電源50b、放電電極32bおよび放電用対向電極33bからなる第1の電界形成手段とを切り替えて運転することができる。ここで、切り替えとは、放電用電源50aと放電用電源50bとの運転と停止を交互に切替えることで行っても、放電用電源50aおよび放電用電源50bは作動させたままで、その印加電圧、印加周波数を切り替えることで行ってもよい。すなわち、極性の異なる放電プラズマP1と放電プラズマP2の電荷量との間に差が生ずる状態とすればよい。
ここで、切り替えのタイミングを、ガス浄化装置10に流入するPMの量Qi(g/h)、ガス浄化装置10におけるPMの捕捉効率η、燃焼処理速度Qb(g/h)を用いて決めることができる。なお、上記した2つの第1の電界形成手段の切り替えや制御、および第2の電界形成手段の制御などは、制御部24によって行われる。
例えば、放電用電源50aを運転し、放電用電源50bを停止している時間t1の間、放電電極32bの表面に付着したPMは、燃焼することなく堆積する。このPMの堆積量が多くなり過ぎると、切り替え後に放電用電源50bを運転にした際に、放電電極32bがPMで被覆されているため、有効に電界を印加できず、放電を開始することができなくなる可能性がある。PMの堆積量は、「η×Qi×t1」の値に比例するため、この値が一定値以下になるようにt1を決めて、運転と停止の切り替えを行うことで、放電開始時における放電が不能となることを回避できる。これによって、安定した制御が可能となる。
続いて、放電用電源の運転状態を切り替え、放電用電源50bを運転し、放電用電源50aを停止している時間t2の間に、堆積したPMを燃焼させる必要があることから、「Qb×t2」の値が「η×Qi×t1」の値よりも大きくなるようにt2が設定される。
ここで、実際にQiやQbを直接的に測定することは不可能であるので、以下に示す情報に関連付けられた、QiやQbの情報をデータベースとして備え、以下の情報を測定することでデータベースからQiやQbを得ることができる。なお、データベースは、ハードディスク等の記憶手段に格納される。また、以下に示す情報は、前述したPMの燃焼処理に係る情報と同じである。すなわち、この情報には、例えば、ガス浄化装置10の入口、内部または出口における浄化対象ガスEGのガス成分(CO、NOx、HC、CO2、O2等)やその変化、ガス浄化装置10の入口、内部、出口における浄化対象ガスEGの圧力、前記ガス浄化装置10における圧力損失、ガス浄化装置10の入口、内部または出口における浄化対象ガスEGの温度またはその変化、後述する第1の電界形成手段または第2の電界形成手段における印加電圧、電流、印加電圧と電流との比率(印加電圧/電流)などのガス浄化装置10の状態に係る情報、エンジン回転数、トルク、空燃比、吸入空気の圧力または流量、燃料の噴射量または消費量、噴射のタイミング、燃料の圧力、エンジン内圧力、吸気バルブ、排気バルブまたはEGRバルブの開度、エンジンの温度、冷却水の温度などのエンジンの状態に係る情報のうちの少なくともいずれか1つが含まれる。これらの上記した情報に基づいて制御部24がデータベースを参照して判定を行うことにより第1の電界形成手段または第2の電界形成手段の作動状態を制御する。なお、ガス浄化装置10の状態に係る情報を用いる場合は、主にエンジンから排出される排ガスによって引き起こされたガス浄化装置10の状態の変化をとらえた受動的な制御、エンジンの状態に係る情報を用いる場合は、主にエンジンから排出される排ガスによって引き起こされるガス浄化装置の状態の変化を予測する能動的な制御を行う。また、これらの制御を組み合わせてもよい。
また、放電電極32a、32bの表面における耐熱性や耐食性を向上させる目的で、電極表面を誘電体で被覆する場合は、別の観点からの切り替え制御が有効である。
放電電極32a、32bを誘電体で被覆した場合において、放電用電源50aを運転し、放電用電源50bを停止にしているとき、放電プラズマP1から引き出された電荷やPMに付着した電荷が、第2の電界形成手段の作る電界によって放電電極32b上に到達すると、誘電体表面に電荷が蓄積される。この蓄積電荷によって作られる電界によって、第2の電界形成手段が作る電界が打ち消され、時間とともに第2の電界形成手段の作る電界の効果を発揮できなくなる。この状態で放電用電源50bを運転し、放電用電源50aを停止すると、放電電極32b付近で生じる放電プラズマP2によって、蓄積していた電荷が減衰して、再度第2の電界形成手段の作る電界の効果を発揮することができるようになる。
その一方で、今度は放電電極32a側に電荷の蓄積が開始され、時間とともに第2の電界形成手段の作る電界の効果を発揮できなくなる。そこで、第2の電界形成手段の作る電界の効果を損なわない時間間隔で、放電用電源50aおよび放電用電源50bの運転と停止を切り替えることにより、第2の電界形成手段の作る電界の効果を十分に発揮させ、連続的に良好な処理状態を維持することができる。電荷の蓄積速度は、第2の電界形成手段に流れ込む電流を測定することにより可能であり、この情報を制御部24に入力することにより制御部24は、電源の切り替えのタイミングを制御することができる。実際には第2の電界形成手段に流れ込む電流を直接測定しなくても、前述したPMの燃焼処理に係る情報のうちのいずれかを用いて、第2の電界形成手段に流れ込む電流を特定し、電源の切り替えのタイミングを制御することができる。
上記したように、本発明に係る第3の実施の形態のガス浄化装置10によれば、複数組、例えば2組の対向する放電電極32a、32bおよび放電用対向電極33a、33bを設けることで、放電用電源50aおよび放電用電源50bの運転と停止を切り替えることができる。これによって、より効率的にPMを捕捉して除去することができる。
以上、本発明を一実施の形態により具体的に説明したが、本発明はこれらの実施の形態にのみ限定されるものではなく、その要旨を逸脱しない範囲で種々変更可能である。また、本発明に係るガス浄化装置、ガス浄化システムおよびガス浄化方法は、自動車の排気路に適用する以外にも、PMを含む排気ガスを排出する原動機全般に適用することができる。
10…ガス浄化装置、30…放電反応部、31…誘電体、32…放電電極、33…放電用対向電極、34…集塵用対向電極、35…荷電用電極、36…ガス流路、50…放電用電源、51…放電用電気系統、60…集塵用電源、61…集塵用電気系統、EG…浄化対象ガス、P…放電プラズマ。
Claims (4)
- 放電電極、前記放電電極に誘電体を介して対向するように設けられた放電用対向電極を備え、浄化対象ガスが流動するガス流路に放電用の電界を形成して前記放電電極から沿面放電して放電プラズマを生成し、前記浄化対象ガスに含まれる粒子状物質を前記放電プラズマの作用により荷電するとともに燃焼処理する第1の電界形成手段と、
前記ガス流路を介して前記放電電極に対向して設けられた集塵用対向電極を備え、前記荷電された粒子状物質を電気的集塵機能により捕捉するとともに前記放電プラズマを前記ガス流路側に引出すための集塵用の電界を形成する第2の電界形成手段と
を具備するガス浄化装置であって、
少なくとも前記第1の電界形成手段の放電電極は、前記誘電体の前記ガス流路側の表面に設けられたパターン化された導電体により構成され、前記導電体のパターンは、前記導電体によって周囲が囲まれる閉ループとなる部分を有しないように形成され、かつ前記導電体のパターン上の任意の点を中心とする同じ直径の円の包絡線を前記円の直径を増加させながら描いた場合に、包絡線どうしが少なくともいずれか1箇所において最初に接する際の前記円の直径Sと、前記放電電極と前記放電用対向電極との間の前記誘電体の厚さDとが次に示す関係を満たすように構成されていることを特徴とするガス浄化装置。
S/D≧0.5 - 前記導電体のパターンが、1つの母線と、前記母線からそれぞれが交わらないように分岐した少なくとも1つの枝線とから構成されていることを特徴とする請求項1記載のガス浄化装置。
- 前記導電体のパターンが、少なくとも1つの屈曲部を有し、交差する部分がないように設けられた1つの母線から構成されていることを特徴とする請求項1記載のガス浄化装置。
- 前記放電電極に印加される電圧が、高周波電圧と、所定の時間ごとに電圧が変化するステップ状電圧とを重畳したものであることを特徴とする請求項1乃至3のいずれか1項記載のガス浄化装置。
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