JP2010138493A - シャフト炉型冶金炉のステーブ配置構造 - Google Patents
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Abstract
【課題】シャフト炉型冶金炉のステーブの耐久性を維持するとともに、ステーブによる炉の熱損失を極力抑制し、さらにステーブ等に要する設備コストの低減化を図る。
【解決手段】炉壁内側の環境に炉高方向で大きな差がある点に着目し、これらの環境の違いに応じてそれぞれの領域に最適なステーブを配置することにより、炉全体のステーブの長寿命化とステーブからの抜熱の抑制による省エネルギー化、さらに設備面及び操業面での低コスト化を達成できることを見出しなされたもので、炉高方向において、熱負荷が小さい炉上部・中部領域(A)には鋳鉄製ステーブを配置し、それよりも下方の熱負荷の大きい炉下部領域(B)には銅または銅合金製ステーブを配置し、それよりも下方の炉最下部領域(C)には鋳鉄製ステーブ若しくは銅または銅合金製ステーブを配置することを特徴とする。
【選択図】図1
【解決手段】炉壁内側の環境に炉高方向で大きな差がある点に着目し、これらの環境の違いに応じてそれぞれの領域に最適なステーブを配置することにより、炉全体のステーブの長寿命化とステーブからの抜熱の抑制による省エネルギー化、さらに設備面及び操業面での低コスト化を達成できることを見出しなされたもので、炉高方向において、熱負荷が小さい炉上部・中部領域(A)には鋳鉄製ステーブを配置し、それよりも下方の熱負荷の大きい炉下部領域(B)には銅または銅合金製ステーブを配置し、それよりも下方の炉最下部領域(C)には鋳鉄製ステーブ若しくは銅または銅合金製ステーブを配置することを特徴とする。
【選択図】図1
Description
本発明は高炉等のシャフト炉型冶金炉におけるステーブ配置構造に関する。
高炉の炉壁構造は、鉄皮の内側に内部冷却機構を備えたステーブ(クーリングステーブ)を設け、このステーブの内側に炉内側耐火物が保持される構造となっている。通常、高炉を一定期間操業すると炉内側耐火物が破損等によりステーブから脱落し、ステーブが炉内部に直接曝されることが多くなる。したがって、ステーブはこのような炉内側耐火物の脱落後も炉内部の熱負荷に耐え得るものでなければならない。
従来、高炉用のステーブとしては鋳鉄製のものが広く用いられており、またその中でも冷却パイプを鋳鉄で鋳包んだ構造のものが一般的である。しかし、このような鋳鉄製ステーブは鋳鉄の熱伝導度が小さいために冷却能が低い。このため高炉の高熱負荷領域ではステーブ本体内に高い熱応力が発生して亀裂を生じ易く、この亀裂が冷却パイプに伝播して漏水事故を起こし易い。
このような冷却パイプの破損を防止するため、冷却パイプと鋳物部とを非融着にすることが一般化しているが、この構造ではステーブの冷却能がさらに低下してしまう。また、このような冷却能の低下を補うために、例えば、冷却パイプ本数を増加させることで冷却能を高める、ステーブ本体を2重化することで溶損に対応したステーブの長寿命化を図る、鋳鉄製ステーブと銅または銅合金製ステーブと組み合わせ一体化することで冷却能を高める等の対策が試みられているが、これらの対策は冷却水量の増大、ステーブの重量増加、ステーブや炉壁構造の複雑化を伴うため、ステーブの製造コストの増大を招く、冷却水による熱損失が大きくなるためエネルギーロスの増加をもたらす、等の問題を生じる。
特に最近では、高炉の長寿命化、微粉炭大量吹込み等による操業条件の苛酷化に伴いステーブにはより一層の耐久性が求められており、また一方において、省エネルギー化の観点からステーブによる炉の熱損失が極力抑制されるようにすることも重要な課題であると言える。
したがって本発明の目的は、シャフト炉型冶金炉のステーブの耐久性を維持するとともに、ステーブによる炉の熱損失を極力抑制し、さらにステーブ等に要する設備コストの低減化を図ることにある。
したがって本発明の目的は、シャフト炉型冶金炉のステーブの耐久性を維持するとともに、ステーブによる炉の熱損失を極力抑制し、さらにステーブ等に要する設備コストの低減化を図ることにある。
従来のステーブに関する研究は、ステーブ自体の冷却能や耐久性を高めるという観点からその構造の改良に終始してきた。これに対して本発明者らは、高炉等のシャフト炉型冶金炉における炉壁内側の環境、例えば、熱負荷、溶融スラグの存在の有無、炉壁付着物の程度等に炉高方向で大きな差がある点に着目し、これらの環境の違いに応じたステーブの適性について詳細な検討を行った。その結果、これら炉壁内側の環境に応じてそれぞれの領域に最適なステーブを配置することにより、炉全体のステーブの長寿命化とステーブからの抜熱の抑制による省エネルギー化を図ることができ、しかも設備面及び操業面での低コスト化も達成できることを見出した。
本発明はこのような知見に基づきなされたもので、その特徴は以下の通りである。
[1]炉高方向において、熱負荷が小さい炉上部・中部領域(A)には鋳鉄製ステーブを配置し、それよりも下方の熱負荷の大きい炉下部領域(B)には銅または銅合金製ステーブを配置し、それよりも下方の炉最下部領域(C)には鋳鉄製ステーブ若しくは銅または銅合金製ステーブを配置することを特徴とするシャフト炉型冶金炉のステーブ配置構造。
[2]上記[1]のステーブ配置構造において、銅または銅合金製ステーブを配置する炉下部領域(B)が、定常操業時における炉内の主要なスラグ生成開始領域及びスラグ存在領域を少なくとも含むことを特徴とするシャフト炉型冶金炉のステーブ配置構造。
[3]上記[1]または[2]のステーブ配置構造において、炉高方向で炉下部側から順に朝顔部、切立部およびシャフト部を備え、且つ炉下端側に羽口を備えたシャフト炉型冶金炉において、銅または銅合金製ステーブを配置する炉下部領域(B)が、朝顔部の上部領域、切立部の全部領域およびシャフト部の下部領域であり、鋳鉄製ステーブ若しくは銅または銅合金製ステーブを配置する炉最下部領域(C)が、羽口上方における朝顔部の下部領域であることを特徴とするシャフト炉型冶金炉のステーブ配置構造。
[1]炉高方向において、熱負荷が小さい炉上部・中部領域(A)には鋳鉄製ステーブを配置し、それよりも下方の熱負荷の大きい炉下部領域(B)には銅または銅合金製ステーブを配置し、それよりも下方の炉最下部領域(C)には鋳鉄製ステーブ若しくは銅または銅合金製ステーブを配置することを特徴とするシャフト炉型冶金炉のステーブ配置構造。
[2]上記[1]のステーブ配置構造において、銅または銅合金製ステーブを配置する炉下部領域(B)が、定常操業時における炉内の主要なスラグ生成開始領域及びスラグ存在領域を少なくとも含むことを特徴とするシャフト炉型冶金炉のステーブ配置構造。
[3]上記[1]または[2]のステーブ配置構造において、炉高方向で炉下部側から順に朝顔部、切立部およびシャフト部を備え、且つ炉下端側に羽口を備えたシャフト炉型冶金炉において、銅または銅合金製ステーブを配置する炉下部領域(B)が、朝顔部の上部領域、切立部の全部領域およびシャフト部の下部領域であり、鋳鉄製ステーブ若しくは銅または銅合金製ステーブを配置する炉最下部領域(C)が、羽口上方における朝顔部の下部領域であることを特徴とするシャフト炉型冶金炉のステーブ配置構造。
[4]炉高方向で炉下部側から順に朝顔部、切立部およびシャフト部を備え、且つ炉下端側に羽口を備え、羽口から微粉炭吹き込みを行う高炉の炉体冷却方法であって、
炉高方向において、炉上部・中部領域(A)を鋳鉄製ステーブで冷却し、
朝顔部の上部領域、切立部の全部領域およびシャフト部の下部領域からなる炉下部領域(B)と、羽口上方における朝顔部の下部領域からなる炉最下部領域(C)を銅または銅合金製ステーブで冷却し、
炉下部領域(B)と炉最下部領域(C)の溶融スラグが存在する領域では、銅または銅合金製ステーブの表面に、ステーブに付着して固化した溶融スラグによる凝固スラグ層を生成させることを特徴とする高炉の炉体冷却方法。
炉高方向において、炉上部・中部領域(A)を鋳鉄製ステーブで冷却し、
朝顔部の上部領域、切立部の全部領域およびシャフト部の下部領域からなる炉下部領域(B)と、羽口上方における朝顔部の下部領域からなる炉最下部領域(C)を銅または銅合金製ステーブで冷却し、
炉下部領域(B)と炉最下部領域(C)の溶融スラグが存在する領域では、銅または銅合金製ステーブの表面に、ステーブに付着して固化した溶融スラグによる凝固スラグ層を生成させることを特徴とする高炉の炉体冷却方法。
本発明によれば、シャフト炉型冶金炉における炉全体のステーブの耐久性を効果的に維持でき、且つステーブによる炉内からの抜熱も極力抑制することができる。このため炉の高寿命化、エネルギーコストの低減化を合理的に図ることができ、また、個々のステーブの冷却能や耐溶損性を過度に高める必要がないため、設備コストの低減化も図ることができる。
本発明者らは、高炉等のシャフト炉型冶金炉における炉壁内側の環境とこの環境下でステーブに要求される適性について詳細な検討を行った。その結果の要点を表1に示す。
すなわち、シャフト炉型冶金炉の炉高方向での各領域(部位)の炉内環境とこれに適用されるステーブの適性について、以下のような点が明らかとなった。
(1)炉上部領域(一般的な高炉の場合の部位:シャフト部の上部):この領域は熱負荷が比較的小さく溶融スラグも存在しないため、ステーブの溶損は生じにくい。また、この領域に冷却能の大きいステーブを配置した場合、炉上部における炉内からの抜熱量が大きくなるため、大きなエネルギーロスを生じて生産量の低下を招くとともに、排ガス中の亜鉛やアルカリ類が炉上部の炉壁に付着し、これが装入物の円滑な降下を妨げるため炉況が不安定となる。
また、この領域では、原料装入面が下降した際に装入原料がステーブに直接当たる恐れがあるため、剛性の高いステーブを使用する必要がある。
したがって、この領域に適用するステーブは、溶損の防止の観点よりも抜熱の抑制と装入原料の衝突による損傷、損耗の防止を主眼とした観点から選定することが好ましい。
(1)炉上部領域(一般的な高炉の場合の部位:シャフト部の上部):この領域は熱負荷が比較的小さく溶融スラグも存在しないため、ステーブの溶損は生じにくい。また、この領域に冷却能の大きいステーブを配置した場合、炉上部における炉内からの抜熱量が大きくなるため、大きなエネルギーロスを生じて生産量の低下を招くとともに、排ガス中の亜鉛やアルカリ類が炉上部の炉壁に付着し、これが装入物の円滑な降下を妨げるため炉況が不安定となる。
また、この領域では、原料装入面が下降した際に装入原料がステーブに直接当たる恐れがあるため、剛性の高いステーブを使用する必要がある。
したがって、この領域に適用するステーブは、溶損の防止の観点よりも抜熱の抑制と装入原料の衝突による損傷、損耗の防止を主眼とした観点から選定することが好ましい。
(2)炉中部領域(一般的な高炉の場合の部位:シャフト部の中部):この領域も熱負荷が比較的小さく溶融スラグも存在しないため、ステーブの溶損は生じにくい。また、この領域に冷却能の大きいステーブを配置した場合にも、上記炉上部領域の場合と同様の問題を生じる恐れがある。したがって、この領域に適用するステーブは、溶損の防止の観点よりも抜熱の抑制を主眼とした観点から選定することが好ましい。
(3)炉下部領域(一般的な高炉の場合の部位:シャフト部の下部、切立部、朝顔部の上部):この領域は溶融スラグの生成開始領域(シャフト部の下部)及び溶融スラグの常時存在領域(切立部、朝顔部の上部)を含む高熱負荷領域であり、この領域に適用するステーブは、溶損防止を主眼とし、且つ可能な限り抜熱を抑制するという観点から選定することが好ましい。
(4)炉最下部領域(一般的な高炉の場合の部位:朝顔部の下部):この領域は本来的には溶融スラグが存在する高熱負荷領域であるが、一般の高炉等の場合には炉内壁(ステーブ)に付着したスラグが固化して凝固スラグ層を形成し、且つこの凝固スラグ層は炉壁の安息角のために剥離し難いため、ステーブに作用する実際の熱負荷は比較的小さい。したがって、この領域に適用するステーブは、上記のような一般的な構造を有する炉の場合には、溶損の防止の観点よりも抜熱の抑制を主眼とした観点から選定することが好ましい。一方、炉の構造上、ステーブに付着した凝固スラグ層が剥離しやすい場合等には、溶損防止を主眼とし、可能な限り抜熱を抑制するという観点から選定することが好ましい。
また、以上のような炉高方向の各領域に応じたステーブの適性の検討とともに、使用するステーブの種類とその特性について検討を行った結果、鋳鉄製ステーブは冷却能が低い分、抜熱の抑制を主眼する領域に適用するステーブとして好適であること、一方、溶損防止を主眼とする領域には銅または銅合金製ステーブが好適であり、特に、この銅または銅合金製ステーブは熱伝導度が大きいため本体内部の温度が常に低く維持されるだけでなく、以下のような理由により、高熱負荷領域における長寿命化と炉内からの抜熱抑制に極めて有効なステーブであることが判った。すなわち、銅または銅合金製ステーブは、炉の高熱負荷領域においてステーブ本体から炉内側耐火物が脱落した場合でも、その高い冷却能の故にステーブ表面に溶融スラグが接触するとすぐに凝固し、ステーブ表面に難剥離性の凝固スラグ層が生成する。この凝固スラグ層は熱伝導度が非常に小さいため、炉の高熱負荷からステーブを保護し、且つステーブによる炉内からの抜熱も適切に抑制されるものである。
したがって、本発明では以上のような検討結果に基づき、熱負荷が比較的小さく、しかも炉からの抜熱を極力抑制する必要(さらに、炉上部領域については装入原料の衝突によるステーブの損傷、損耗を防止する必要)がある炉上部・中部領域(A)には鋳鉄製ステーブを配置し、それよりも下方の熱負荷の大きい炉下部領域(B)には銅または銅合金製ステーブを配置し、それよりも下方の炉最下部領域(C)には鋳鉄製ステーブまたは銅または銅合金製ステーブを配置する。
図1はシャフト炉型冶金炉の縦断面図であり、上記炉上部・中部領域(A)、炉下部領域(B)及び炉最下部領域(C)を(A)〜(C)で示してある。図において、1はステーブ、2はステーブ本体の冷却稼動面に固定される炉内側耐火物、3は羽口、4は鉄皮である。
図1はシャフト炉型冶金炉の縦断面図であり、上記炉上部・中部領域(A)、炉下部領域(B)及び炉最下部領域(C)を(A)〜(C)で示してある。図において、1はステーブ、2はステーブ本体の冷却稼動面に固定される炉内側耐火物、3は羽口、4は鉄皮である。
このような本発明のステーブの配置構造によれば、炉上部・中部領域(A)に鋳鉄製ステーブを配置することにより炉内からの抜熱が適切に抑制される。この領域は熱負荷が比較的小さく溶融スラグも存在しないため、鋳鉄製ステーブであっても溶損は生じにくい。この領域に鋳鉄製ステーブを配置して炉内からの抜熱を抑制することにより、大きなエネルギーロスを生じて生産量の低下を招くことがなく、また、排ガス中の亜鉛やアルカリ類が炉上部の炉壁に付着して装入物の円滑な降下を妨げることもない。また、炉上部領域においては、原料装入面が下降した際に装入原料がステーブに直接当たる恐れがあるが、剛性の高い鋳鉄製ステーブが配置されているため、ステーブの損傷や摩耗を生じることが少ない。
また、熱負荷が大きく溶融スラグの生成開始領域及び溶融スラグ存在領域である炉下部領域(B)に冷却能が高い銅または銅合金製ステーブを配置することにより、ステーブの溶損等を適切に防止できる。また、銅または銅合金製ステーブは溶融スラグが存在する高熱負荷領域においてその表面に難剥離性の凝固スラグ層が生成し、この凝固スラグ層は熱伝導度が非常に小さいため、炉の高熱負荷からステーブを保護してその耐久性が維持され、しかもステーブによる炉内からの抜熱も適切に抑制される。
さらに、炉最下部領域(C)に鋳鉄製ステーブを配置することにより、炉内からの抜熱が適切に抑制される。この領域は本来的には溶融スラグが存在する高熱負荷領域であるが、一般の高炉等の場合にはステーブに付着して固化したスラグが凝固スラグ層を形成し、且つこの凝固スラグ層は炉壁の安息角のために剥離し難いため、ステーブに作用する実際の熱負荷は比較的小さい。したがって、一般的な構造を有する炉の場合には、鋳鉄製ステーブを配置しても溶損することはない。また、炉の構造上、ステーブに付着する凝固スラグ層が剥離しやすい場合等には、銅または銅合金製ステーブが配置され、これによりステーブの溶損防止が図られる。
ここで、銅または銅合金製ステーブを配置する前記炉下部領域(B)としては、定常操業時における炉内の主要な溶融スラグ生成開始領域及び溶融スラグ存在領域を少なくとも含む領域であることが好ましい。
また、図1に示すような炉高方向で炉下部側から順に朝顔部、切立部およびシャフト部を備え、且つ炉下端側に羽口を備えた通常のシャフト炉型冶金炉においては、銅または銅合金製ステーブを配置する前記炉下部領域(B)は朝顔部の上部領域、切立部の全部領域およびシャフト部の下部領域となり、鋳鉄製ステーブ若しくは銅または銅合金製ステーブを配置する前記炉最下部領域(C)は羽口上方における朝顔部の下部領域となる。
また、図1に示すような炉高方向で炉下部側から順に朝顔部、切立部およびシャフト部を備え、且つ炉下端側に羽口を備えた通常のシャフト炉型冶金炉においては、銅または銅合金製ステーブを配置する前記炉下部領域(B)は朝顔部の上部領域、切立部の全部領域およびシャフト部の下部領域となり、鋳鉄製ステーブ若しくは銅または銅合金製ステーブを配置する前記炉最下部領域(C)は羽口上方における朝顔部の下部領域となる。
このように本発明のステーブ配置構造では、熱負荷が比較的小さく溶融スラグの存在しない炉上部・中部領域(A)や、高熱負荷領域であっても炉壁付着物(凝固スラグ層)のために熱負荷が問題とならない炉最下部領域(C)については、抜熱が少なく且つ安価な鋳鉄製ステーブを配置することで、設備コストの低減化と炉からの抜熱の抑制が図られつつステーブの耐久性が維持され、しかも、炉上部・中部領域においては、抜熱の抑制によって炉壁付着物の生成が抑えられることにより、炉内装入物の円滑な降下を維持できる、装入原料の衝突によるステーブの損傷、損耗を防止できる等の効果も得られる。一方、溶融スラグが存在する高熱負荷領域である炉下部領域(B)については、冷却能が高い銅または銅合金製ステーブを配置することでステーブの溶損等が適切に防止されるとともに、溶融スラグの急冷によりステーブ表面に生成した凝固スラグ層がステーブを保護し且つ炉内からの抜熱も抑制する作用をするため、炉からの抜熱の抑制が図られつつステーブの耐久性が適切に維持される。
このように本発明によれば、鋳鉄製ステーブと銅または銅合金製ステーブとを炉壁内側の環境に応じて使い分けることにより炉全体のステーブの耐久性を適切に維持でき、且つ炉内からの抜熱も極力抑制することができる。このため炉の高寿命化、エネルギーコストの低減化を合理的に図ることができ、また、個々のステーブの冷却能や耐溶損性を過度に高める必要がないため設備コストの低減化も図ることができる。
銅または銅合金製ステーブには、圧延材等から機械加工して得られるステーブや鋳銅製ステーブ(例えば、冷却パイプを鋳銅で鋳含むタイプのもの等を含む)等があるが、本発明ではいずれの形式のステーブを用いてもよく、構造や材質、製造法等は問わない。但し、鋳銅製ステーブは、機械加工により得られるステーブに較べて熱伝導度は低いものの製造コストが小さく、また、炉プロフィールに応じた製作も自由にできることから、鋳銅製ステーブを用いる方がより好ましい。
銅製のステーブとしては、例えばJIS
H 5100に規定されたCuC1、CuC2、CuC3等が用いられ、また、銅合金製のステーブとしては、例えばクロームジルコン銅、ベリリウム銅等の低合金銅が用いられる。
また、本発明のステーブ配置構造は、高炉以外のシャフト炉型冶金炉(例えば、スクラップ溶解炉等)にも適用することができる。
H 5100に規定されたCuC1、CuC2、CuC3等が用いられ、また、銅合金製のステーブとしては、例えばクロームジルコン銅、ベリリウム銅等の低合金銅が用いられる。
また、本発明のステーブ配置構造は、高炉以外のシャフト炉型冶金炉(例えば、スクラップ溶解炉等)にも適用することができる。
なお、上述した理由により炉上部・中部領域(A)に適用すべきステーブとしては鋳鉄製ステーブが最適であることから、本発明ではこれに限定したが、場合によっては、他の素材によるステーブ或いは鋳鉄と他の素材とを組み合わせたステーブであって、鋳鉄製ステーブと略同程度の冷却能を有するステーブがある場合には、これを炉上部・中部領域(A)における鋳鉄製ステーブの一部または全部に代えて用いてもよい。また、同様に鋳鉄製ステーブと略同程度の冷却能を有する冷却函を炉上部・中部領域(A)における鋳鉄製ステーブの一部または全部に代えて用いてもよい。
1 ステーブ
2 炉内側耐火物
3 羽口
4 鉄皮
(A) 炉上部・中部領域
(B) 炉下部領域
(C) 炉最下部領域
2 炉内側耐火物
3 羽口
4 鉄皮
(A) 炉上部・中部領域
(B) 炉下部領域
(C) 炉最下部領域
Claims (2)
- 炉高方向で炉下部側から順に朝顔部、切立部およびシャフト部を備え、且つ炉下端側に羽口を備え、羽口から微粉炭吹き込みを行う高炉の炉体冷却方法であって、
炉高方向において、炉上部・中部領域(A)を鋳鉄製ステーブで冷却し、
朝顔部の上部領域、切立部の全部領域およびシャフト部の下部領域からなる炉下部領域(B)と、羽口上方における朝顔部の下部領域からなる炉最下部領域(C)を銅または銅合金製ステーブで冷却し、
炉下部領域(B)と炉最下部領域(C)の溶融スラグが存在する領域では、銅または銅合金製ステーブの表面に、ステーブに付着して固化した溶融スラグによる凝固スラグ層を生成させることを特徴とする高炉の炉体冷却方法。 - 炉高方向で炉下部側から順に朝顔部、切立部およびシャフト部を備え、且つ炉下端側に羽口を備え、羽口から微粉炭吹き込みを行う高炉の炉高方向において、熱負荷が小さい炉上部・中部領域(A)には鋳鉄製ステーブを配置し、それよりも下方の熱負荷の大きい炉下部領域(B)及び炉最下部領域(C)には銅または銅合金製の鋳銅製ステーブを配置したステーブ配置構造であって、
前記炉下部領域(B)が、朝顔部の上部領域、切立部の全部領域およびシャフト部の下部領域であり、前記炉最下部領域(C)が、羽口上方における朝顔部の下部領域であることを特徴とする高炉のステーブ配置構造。
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